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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成22年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

佐野 愛子 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/06/2010

会派名:

民主党・ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                     
 (1) 新総合計画の実現に向けた取り組み               
 (2) 税収見通し                          
 (3) 平成二十三年度当初予算編成                  
2 長期化する円高と景気対策について                
3 大学生に対する就職支援策について                
4 ふじのくにの産業戦略について                  
 (1) 産業構造転換に向けた取り組み                 
 (2) ふじのくにの物流拠点の活用                  
5 富士山の日の取り組みについて                  
6 地域外交について                        
7 富士山静岡空港の経営について                  
8 保育園の待機児童解消対策について                
9 国の障害者制度改革とふじのくに障害者プラン21の見直しについて                             10 世界お茶まつり二〇一〇の成果と今後の茶業振興について      
11 不適正経理の再発防止策について                 
12 教育行政について                        
 (1) 有徳の人の育成                        
 (2) 静岡式三十五人学級編制の推進                 
13 暴力団対策について



    ○議長(天野進吾君) ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、知事提出議案第百二十五号、第百二十六号及び第百三十二号から第百五十六号までを一括して議題といたします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、二十三番 佐野愛子君。
           (二十三番 佐野愛子君登壇 拍手)
    ○二十三番(佐野愛子君) おはようございます。十一月一日、静岡県議会に新たなる最大会派民主党・ふじのくに県議団が誕生しました。知事与党として川勝県政の目標である富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの実現に向け、あらゆる分野において県民満足度の向上を図るための政策提言を行っていきたいと思います。私はその民主党・ふじのくに県議団を代表して初めての代表質問をさせていただきます。よろしくお願いします。
     初めに、知事の政治姿勢についてのうち、新総合計画の実現に向けた取り組みについて伺います。
     川勝県政のふじのくにづくりの設計図とも言うべき新総合計画は、今議会での集中審査などを経て計画の決定を目指していくこととしておりますが、今後は計画の設計から実行へと全面的に切りかえ大きく歩みを進めていくことになります。多くの方々の知恵を結集してつくり上げられた計画が絵にかいたもちに帰すことにならないよう、戦略的に実現、実行に移し、目標の達成に向けスピード感を持ちながら確実に成果を上げていくことが重要であると考えますが、計画の実現に向けこれからどのように取り組んでいくのか、知事の決意を含め御所見を伺います。
     また、計画は理想の姿というものを意識しつつ、十年間の基本構想を描いた上で当初四年間の取り組みを基本計画の中に位置づけているところであります。知事は「一寸先は何が起こるかわからないので見直すべきときは見直す。一番大切なのは計画ではなく現実である」と述べられており、今後施策の中には緊急性や重要性などが変化し、四年間の計画であっても軌道修正が必要になるものも出てくるものと思われます。
     そこで、どのように進捗管理を行っていくのかあわせて伺います。
     次に、税収見通しについてです。
     平成二十二年度の県税収入につきましては、企業収益の悪化等を見込み前年度決算比八八・六%となる三千七百億円を当初予算に計上しています。一方、二十二年三月期の企業の決算状況を見てみますと、現在も厳しい状況には変わりはありませんが、一時の最悪期に比べれば比較的よかったのではないかと認識しております。
     今年度の本県の十月末までの調定額は前年同期比で九四・一%となっており、最近の円高等の懸念材料はあるものの、本県の税収にも持ち直しの動きが見え始めているのではないかと考えております。
     このような中で、本年度の税収についてどのように見込んでいるのかをまず伺います。
     また、我が国の経済状況は一時の最悪期は脱しつつあると考えておりますが、現下の状況をかんがみますと急回復を期待する状況にもありません。
     そこで、来年度の税収の動向についてもどのように認識しているのかあわせて伺います。
     次に、平成二十三年度当初予算編成について伺います。
     平成二十三年度当初予算につきましては去る十月に各部局に対して予算編成要領が示され、現在各部局長から提出された部局調整案をもとに予算編成作業に入っている状況と伺っております。
     県内経済の状況を見ますと、景気は持ち直しの動きが広がりつつあるものの円高等の影響により先行きに不透明感が増しつつあり、十月に県が示した平成二十三年度当初予算の財政収支の試算によれば、歳入の柱となる県税収入はわずかな増加にとどまっております。また今月一日に県が発表した部局調整案の概要によれば財源不足は四百十一億円で、十月試算時より幾分不足額が解消されたとはいえ決して楽観視できる状況ではありません。
     さらに、国の動向を見ますとさきに実施された国の事業仕分けの中で、交付税特別会計に対して仕分け人から厳しい意見が相次ぎ「抜本的見直し」と判定されていることや、地域主権改革の中で補助金の一括交付金化が検討されるなど、本県の当初予算編成にも大きな影響を与える可能性があるものと考えております。
     このように、本県を取り巻く状況は依然として不透明で昨年度に引き続き厳しい環境下での予算編成となることが予想されますが、一方で来年度は議会でも審議している新しい総合計画の初年度に当たり、知事が進める富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを実現するためのふさわしい当初予算にする必要があります。
     そこで、難しいかじ取りにはなると思いますが今後の当初予算編成についてどのような方針で取り組んでいくのか伺います。
     また、県は先ごろ本年度で二度目となる事業仕分けの対象事業についても部局調整案の状況を公表いたしました。事業仕分け結果への県の対応につきましては一部に厳しい意見もあり、まさに知事の手腕が問われているものと考えます。
     つきましては、これらも踏まえ今後どのように当初予算に反映させていくつもりなのか伺います。
     次に、長期化する円高と景気対策について伺います。
     十二月に入りことしも残り少なくなりました。毎年この時期恒例の青葉公園のイルミネーションもまばゆい光を放ち、街はクリスマスに向けて華やいだ雰囲気になってきました。そうした一方で去る十一月十八日に政府が発表した十一月の月例経済報告では、景気は足踏み状態となっていると、一年八カ月ぶりに下方修正した前月の景気の基調判断を据え置いています。これは急速な円高や世界経済の減速、国内の政策効果の息切れが重なり個人消費が落ち込むとともに、これまで国内景気を牽引してきた輸出等が弱含み、その結果生産が減少しているためであり、今後も円高が続く場合には景気はさらに下振れするリスクがあるものと言われております。
     一部の製造業では生産拠点の一部を海外に移転するなど国内生産体制の見直しを進める動きも見られ、このままでは国内産業の空洞化が進み、地域経済や雇用に大きな影響を及ぼすおそれがあるものと考えております。特に輸出産業が多い本県の企業では高どまりしている最近の円高の水準は、経営に大きな影響を与えているのではないかと心配しているところであります。
     このような状況の中、国は去る九月に当面の対応に限らず平成二十三年度までの時間軸を考慮した新成長戦略実現に向けた三段構えの経済対策を閣議決定いたしました。その第一段階として予備費を活用した緊急的な対策を実施し、さらに十月八日には、雇用対策など五本柱から成る円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策を閣議決定し、五兆八千億円余の補正予算を先月の二十六日に成立させました。
     県におきましても、さきの九月議会で国の予備費の使用に迅速に対応するため九十九億円余の補正予算を計上し、現在その実行に全力を挙げていることと思いますが、私としては現下の厳しい経済状況を踏まえるとさらなる対策が必要不可欠であると考えております。
     そこで、国の補正予算への対応など今後の県の経済対策について伺います。
     次に、厳しい雇用情勢の中、内定の獲得に苦労している大学生に対する就職支援策について伺います。
     街角を真っ黒いリクルートスーツで書類を抱えて歩く若者が目につきます。大学生の就職活動は年々早まり三年生になると学業より就活、四年生になると早々に内定が決まり心は会社へ。一体、学生の本務であるはずの学業はどうなっているのかと危惧してしまいます。
     それはさておき、静岡労働局が先日発表した来春卒業見込みの県内大学生の就職内定率は十月末現在で四七・四%であり、これは調査を始めた平成八年度以降で最も低い数字とのことであります。就職氷河期真っただ中の平成十五年度ですらこの時期の内定率が五四・六%であったことを考えますと、いかに厳しい状況であるのかおわかりいただけると思います。
     来春卒業見込みの大学生の中には、昨年度の就職活動で内定をもらえず、多くの企業が新卒優先で採用する実態を受けてやむなく進学、留年した再チャレンジ組も含まれていますし、さらに昨年度の就職活動で内定を得られないまま卒業した若者はもっと厳しい就職活動を強いられています。今の若者は大企業への志向が強く、中でもデザインやマスコミなど見ばえのいい仕事をえり好みする傾向もあり、中小企業の求人とうまくマッチングできない問題点もあります。
     しかし、中には四十社受けても面接にこぎつけたのは二社、まだ内定もないと自分に自信を失い、希望もなくしてしまう若者もいます。静岡県の将来、日本の将来を担うべく勉学に励み、将来に希望を抱いていた多くの若者が社会人としての第一歩すら踏み出せない状況は、本人の人生にとってもマイナスであるし、我が国の社会経済全体の活力の低下をも招きかねない深刻な事態であります。ことしの春、就職できないまま県内の大学を卒業した大学生はおよそ六百人でありましたが、今年度はそれを大きく上回る可能性もありますし、さらにやむを得ず留年する学生も多発するとなると親の負担も心配です。
     こうした事態にならないよう、内定を得ていない若者や結果として未内定のまま卒業を迎えてしまう若者への対策を早急にとる必要があります。県におきましては、来春卒業見込みの大学生に対してどのような就職支援策を行っていくつもりなのか伺います。
     次に、ふじのくにの産業戦略についてのうち、産業構造転換に向けた取り組みについて伺います。
     平成二十年秋のいわゆるリーマンショック以降の世界的な景気後退により、本県は国内の他の地域に比べ離職者の増大や製造業の生産の落ち込みなど大きな影響を受けたことは記憶に新しいところであります。二年を経過した今でも有効求人倍率は全国を下回っています。
     こうした背景には、自動車などを中心とした本県の産業構造が、世界同時不況による先進国等の需要の急激な減少により大きな影響を受けたものと考えます。下請の中小企業は、取引先からのコスト削減を強いられるだけでなく閉鎖に追い込まれるなど、すそ野に行けば行くほど大変厳しい経営状況となっています。今後、中国に代表される新興国は生産を担う世界の工場から大きな購買力を生み出す世界の市場に変わっていくと考えられます。本県の産業構造もこうした世界の需要構造の変化に対応していかなければなりません。
     ふじのくにには、ものづくりの技術や人材に加え知事自慢の全国一の品目を誇る農水産物、農芸品、水資源、観光資源など豊かな宝物がたくさんあります。本県の産業を将来にわたって持続的に発展させていくためには、長期的な視野に立った産業戦略のもとに新しい付加価値と雇用を生み出す産業構造に転換していくことが必要と考えます。
     知事の御所見を伺います。
     次に、ふじのくにの物流拠点の活用について伺います。
     静岡県は、首都圏と中京圏のほぼ中央に位置し日本を代表する大消費地と生産地を近郊に持っているなど、経済が発展するための条件が整っています。古くから地理条件や交通の要所として、東海道五十三次などの特色のある文化や力強い産業を育てて発展してきたところであります。そして現在こそ交通の要所としての高いポテンシャルがあり、物流拠点としての発展が見込まれている地域であります。
     私の地元、志太榛原地域を例に挙げると、鉄道では東海道本線、新幹線があり、道路では国道一号、バイパス、東名高速道路、さらに開通間近の新東名高速道路など東西の大動脈が走っています。さらに国の重要港湾に指定される御前崎港、空の港――富士山静岡空港などが機能的につながれようとしています。もちろん中部地区には世界につながる清水港もあります。
     まさに、交通基盤や地理的優位性といったものは魅力ある重要な資源であり、本県を物流拠点とする場力になっていると考えます。今後はこれらを大いに活用して本県が継続的な発展をするための戦略を立てていく必要があると考えます。
     そこで、物流拠点として場の力を活用してふじのくに静岡県のさらなる発展を続けるためには、どのような取り組みが考えられるのか、御所見を伺います。
     次に、富士山の日の取り組みについて伺います。
     国民の財産であり日本のシンボルである富士山を抱く本県においては、来年の二月二十三日第二回となる富士山の日を迎えます。御存じのとおり富士山の日は県民が富士山について学び、考え、思いをはせ、富士山憲章の理念に基づき後世に引き継ぐことを期する日であります。このため昨年度の富士山の日には、条例制定後間もなく短い準備期間の中でありましたが、市町や民間企業とも連携を図ってさまざまな事業が展開されました。
     既にことしも師走に入り、それでは来年二月の富士山の日はどうなるのか大変気になるところですが、県では今二月には、富士山の日を含む十九日から二十三日までを富士見の祭典と称して富士山の日に関連するイベントとともに県の施策に係る行事をこの時期に集中的に開催し、“ふじのくに”づくりの取り組みを国内外に発信していくと説明しております。
     特に二月二十三日の富士山の日当日には、国内外のいわゆるオピニオンリーダーと呼ばれる方々やふじのくにに縁のある方々を広くお招きするとのことであります。このためこの十二月定例会に富士見の祭典の開催経費に係る補正予算の議案が提出されているところです。
     昨年十二月に制定された富士山の日条例では、県の責務として「富士山を後世に引き継ぐための県民運動の促進に努める」と規定されておりますが、今回県が企画している富士見の祭典と富士山の日との関連性やあえて補正予算を組んで実施する意義は何なのか、知事の御所見をお伺いします。
     また、富士山の日にちなむ県民運動というのであれば、多くの県民の皆様がこの富士見の祭典に参加できるような工夫が必要であり、全県にわたる事業実施に配慮することが求められると考えますが御所見を伺います。
     次に、地域外交について伺います。
     最近の日本の外交については、中国との尖閣諸島問題、ロシアとの北方領土問題等、日本が戦後の約六十年間に積み重ねてきた外交施策がさらに難しくなっている局面を迎えています。
     本県の対外的な国際施策については、一九八二年から中国浙江省と友好提携を締結し、経済、農業、教育、医療から防災に至るまで幅広く交流をしています。特に本年度においてはふじのくに三七七六友好訪中団事業を実施し、目標である三千七百七十六人の県民の訪中を早期に達成するとともに、十一月八日現在で五千四百八十三人の県民を中国に送り出しているところです。これらの訪中された県民が、これまで培った交流を基盤として交流のさらなる発展に寄与されたことは非常に有意義であったと感じております。
     また九月には、韓国の忠清南道において開催された二〇一〇世界大百済典の開会式に川勝知事が出席し、文化、観光などの交流の推進を図ってきたと伺っております。さらに十一月十九日には、モンゴル国大統領夫人を静岡がんセンターに御案内し本県のすぐれた医療体制を視察いただいた後、東京都港区元赤坂の迎賓館において大統領立ち会いのもと、本県とドルノゴビ県との相互協力に関する覚書に調印し、教育分野における人的交流などを推進することとなったと聞いております。
     本県がこのように活発に海外との国際交流を展開していることは非常に評価できることでありますが、これらの活動を踏まえ本県としてはどのように今後地域外交施策を展開されるのか伺います。
     また現状は、文化・観光部や経済産業部などにおいてそれぞれの分野で国際交流施策を進めていると伺っていますが、地域外交施策をより一層推進していくためには、専門の組織を設置するとともに、高度な専門性を有する人材を確保して取り組んでいくことが重要だと思いますが、知事の所見をあわせてお伺いします。
     次に、富士山静岡空港の経営について伺います。
     先月県は富士山静岡空港の初年度決算を公表しました。空港建設に係る減価償却費九億二千万円まで含んだ企業会計方式の計算では約十六億円の赤字とのことでした。まず結果以前に全国の地方空港の中でいち早く収支状況を明らかにしたことは、空港経営の透明性を高めていこうという県の決意を示したものとして評価すべきと考えます。
     また、空港は道路、橋、港など県の社会資本整備の一つと考えて、県民が利用し財産として生かされれば赤字という言葉はそぐわないというとらえ方もあります。しかしながら県民の税金で運営されていることを考えれば赤字のままでよいとは決して言えません。航空会社の経営環境など現在の空港を取り巻く現状が厳しい中では、今すぐ黒字経営に転換するのは難しいとは思いますが、中長期的に経営の改善を図り将来的な安定経営を目指して努力していかなければならないことは当然であります。
     県当局が改善策として挙げているように、就航路線の新規開拓や需要の掘り起こしによる使用機材の大型化など、収入の基本をなす着陸料等の収入の増加に直結する取り組みが重要であるのはもちろんですが、加えて将来の経営改善のためには、知恵を絞り何らかの収入確保に向けた取り組みを検討していくことも必要ではないかと考えます。
     例えば、ターミナルビルや空港用地をより有効活用して使用料収入や土地賃貸料収入の増加を図っていくことも一つの案として考えられますし、空港ティーガーデンシティ構想も提案されている中で、西側の未利用地や周囲の隣接地も含めた土地の積極的な活用を図ることにより、新たな収入を生み出す方法も考えられるのではないでしょうか。
     また、富士山静岡空港の物流機能を充実させ航空貨物という新たな分野を切り開くなど、空港が周辺地域に及ぼす経済効果をさらに高め、公共事業としての経済性を向上させていくことも必要と考えます。
     そこで、空港経営に関する中長期的な取り組みについて、県当局の考えを伺います。
     次に、保育園の待機児童解消対策について伺います。
     全国的に少子化が進む中、共働き世帯の割合は年々増加しています。こんな中で、自分の能力を生かし働き続けたいという意欲と結婚や出産、子育てのために仕事をやめるかという二者択一を迫られる構造が依然としてあります。ワーキングマザーが安心して子供を預け働くために、また働きたいと思っている人のために、保育サービスに対する需要は大変大きいものがあります。
     子育て期の三十代、四十代の女性の多くはパートなどの非正規雇用が多くなっておりますが、業種によって休日や夜間の勤務があるなど働き方も大変多様なものとなっています。さらに母子家庭の増加、長引く不況による家計の緊迫から、これまで育児に専念していた母親も働きに出ることを求められるなど、子育て家庭を取り巻く状況は大きく変化し切迫を増しています。
     このような中、本県の待機児童数は、平成二十年度まで五年連続で減少していたものが二十一年度から増加に転じ、ことし四月一日の県内の保育所の待機児童数は四百八十六人と昨年の三百六十四人から大幅に増加し、二年連続増加となっています。まさに待機児童対策は待ったなしの状態です。
     国では昨年度の第二次補正予算により安心こども基金を拡充いたしましたが、本年度の補正予算によりさらに拡充してあわせて実施期限も延長することにより、保育所の基盤整備を図ることとしています。
     しかしながら、待機児童の解消を図るに当たっては、周知のとおり相対的には子供の数は減っているため、認定こども園、幼保一元化など中長期的視野を持って進めることも大切です。何年か後、空き家になった保育園ばかりが点在するようでは困ります。保育ママの育成など施設に頼らない施策や政府の待機児童ゼロ特命チームがこのほど発表した認可外保育所にも補助をするなど、柔軟な対応が必要であると考えます。
     本県においても、昨年策定したしずおか次世代育成プラン後期計画における施策として保育サービスの拡充を柱の一つとするなど、これまでも待機児童の解消に取り組んではきていますが、子供が健やかに育つ環境を整備し親の就労を支援するために、待機児童の解消に向けてさらなる拡充を図るべきと考えますが県の対応策について伺います。
     次に、国の障害者制度改革とふじのくに障害者プラン21の見直しについて伺います。
     障害の一元化や就労支援を強化して障害者の自立を促した障害者自立支援法が成立して五年たちますが、利用料の一割負担や報酬の減少などさまざまな課題が挙げられていました。それらを見直した改正つなぎ法案が十二月三日成立しました。所得に応じた負担はもちろん、これまで立場がはっきりしなかった発達障害や高次脳機能障害などがはっきりと法の対象になること、相談体制や地域での生活支援の充実など、障害者をめぐる環境が少しでも改善されることはありがたく受けとめます。
     現在、国においては、障がい者制度改革推進会議を中心に、国連の障害者権利条約の批准を目指して障害者に係る法制度の集中的な改革に取り組んでいます。この改革は、障害の定義や障害を理由とする差別の範囲など基本的な考え方の見直しに始まり、障害のある方の労働及び雇用、教育、政治参加や司法手続までにわたる幅広い分野に及ぶものであり、障害のある方の生活そのものを大きく変えるものとなります。
     今後国では、障害者基本法の改正法案を初め、平成二十四年には障害者自立支援法にかわる障害者総合福祉法、平成二十五年には障害を理由とする差別の禁止に関する法案の提出など、この数年の間に障害のある方をめぐる社会環境が大きく変わることが予測されます。これらの国の障害者制度改革の成果を県内の障害のある方々の日々の生活に反映していくためには、本県の障害者計画であるふじのくに障害者プラン21を見直していく必要があると思いますが、どのような対応を考えているのか、県の所見を伺います。
     次に、世界お茶まつり二〇一〇の成果と今後の茶業振興について伺います。
     十月二十八日から三十一日までグランシップをメーン会場に開催された世界お茶まつりは、会期中に台風十四号が通過するなど天候には恵まれませんでしたが、多くの人が訪れにぎわっていました。会場の一階から三階のお茶のブース出展や世界のお茶会では、国内だけでなく海外からの出展者が多く見受けられ、世界じゅうのお茶の試飲や購入ができ楽しませていただきました。六階のフロアでは、伝統的な茶道文化に加え新しいお茶の楽しみ方を紹介し、お茶の持つ文化性の高さを本県から国内外に発信していたと感じました。
     今回の特徴としては、お茶のカテキン効果に目をつけたサプリメントやお菓子、抗アレルギー成分を強調したお茶などお茶の可能性を引き出す商品が多く見られたことです。まさに農商工連携を生かすチャンスであると思われます。ジェトロが開催した商談会には外国人バイヤーの真剣な姿も見受けられました。世界のお茶の消費量は海外での緑茶ブームと健康志向の高まりにより増加し、日本茶の輸出量もここ十年で数倍に増加しています。
     しかし、本県のお茶の生産現場では平均荒茶価格がピークの六〇%に低下し生産農家はあえいでいます。新しいことに挑戦したくてももとになる荒茶の価格が安いため思うようにできないのが現実です。低価格の原因は、景気の低迷や贈答用利用の減少などで高価格のお茶の需要が減少していることや、若い世代が急須で入れるお茶を敬遠する傾向にあることなどが挙げられます。現在のお茶産業の最大の課題はお茶の消費拡大です。そのためにはお茶を持ち運ぶ水筒など容器の工夫や粉末茶など手軽に飲める形態の工夫、高級玉露やワインボトル詰めの水出し茶などシチュエーションの工夫など、幅広い世代に受け入れられる開発が求められます。
     さて、これまで三回にわたって開催した世界お茶まつりですが、今回四回目のお茶まつりを開催してどのような成果があったのか、その成果を今後の本県茶業振興、茶業再生にどう生かしていくのか、知事の御所見をお伺いします。
     次に、不適正経理の再発防止策について伺います。
     去る十月二十二日に県が独自で実施していた全庁会計調査の結果が、また先月十一月五日には国の会計検査院による国庫補助事業に係る事務費等の検査結果がそれぞれ公表され、さきの県議会決算特別委員会においても同様の報告を受けて審議されたところであります。他県ばかりでなくやっぱり本県でも不適正経理はあったのかと思いを抱く県民の皆様もいらっしゃると思います。
     県では、平成十四年度に空出張などで拠出された事務所運営費問題が判明し、この教訓を踏まえコンプライアンスの推進に力を注いできたと聞いていましたので、このたびの調査により多数の所属で不適正経理の存在が確認されたことについて私は大変残念に思っております。
     今回の発生の要因に挙げられている「各所属の物品担当の職員が現場の要求に応じて業務を滞りなく執行するためにまずは速やかに必要な物品を用意することに傾倒してしまった」、あるいは「その後の事務処理もある程度まとめて行うほうが効率的であると考えてしまった」というような実態も理解できなくはありません。
     しかしながら、今回の調査結果において、私的な物品購入などは確認されなかったとはいえ、実際に納品した物品と異なる請求書等を業者に提出させる差しかえなどは会計ルールを逸脱した処理であり、不正行為につながりかねないものであったと考えます。公金を適正に扱い厳正に執行することは県職員に課せられた責務であり、今回の調査結果を見れば県職員の公金に対する認識の甘さが根底にあったと言わざるを得ないのではないでしょうか。今回の不適正経理により損ねた県行政に対する信頼をいち早く回復し、二度とこのような事態が起こらないようにすることが強く望まれます。
     そこで、今後不適正経理の再発防止に向けてどのように取り組んでいくのか、県当局の所見を伺います。
     次に、教育行政についてのうち、有徳の人の育成について教育長に伺います。
     皆さん御存じのとおり、富国有徳は川勝知事が縁あって静岡県のために提唱した言葉です。富国有徳の理想郷“ふじのくに”は新しい県総合計画のタイトルであり、基本理念の一つの柱として“ふじのくに”の徳のある人材の育成が示されております。
     安倍教育長は就任に当たり六月議会において、「これからの社会を支える人づくりに当たっては、身につけた知識や技術などを人のため、社会のために役立てようとする心をはぐくむこと、他者のために汗をかくことをいとわない人づくりが肝要であるとし、それが現在策定中の教育振興基本計画が基本目標として掲げる有徳の人の育成につながる」と答弁されました。
     しかしながら、まだ県民にとって有徳の人の認知度は低いと思われます。以前の意味ある人が県民にとってわかりにくかった反省を踏まえて、どんな人が有徳の人なのか具体的にイメージを描くことができるようにしなければなりません。社会の活性化も生産性向上もすべての基本は人材です。人材の育成こそが改革をなし遂げるもととなります。経済が豊かで富める社会をつくることも重要ですがそれだけでは不完全です。利益を得るためには手段を選ばないような徳のない会社はやがて破滅します。県民三百八十万人すべてが有徳の人の意識を持つことができるならば、このふじのくにからはいじめも犯罪もなくなりモラルやマナーの低下もなくなるでしょう。さらに遠来者にはおもてなしの心で接することができ、まさに「住んでよし 訪れてよし」の理想郷が実現できるのです。
     そういった意味でも人づくりを推進する教育委員会の責務は重大です。守備範囲が学校教育だけであると思われがちですが、学校はもちろん老若男女、広く県民を育成するために県民全体の力を生かして進めていくべきであると考えます。これらのことを踏まえて教育長は有徳の人をどのように県民に周知し育成していくおつもりなのか伺います。
     次に、静岡式三十五人学級編制の推進について伺います。
     川勝知事のマニフェストを受けて国に先駆けての静岡式三十五人学級編制が進んでいます。今年度は中学の全学年、小学校の六年生で該当となり、多くの保護者、教職員、子供たちから一人一人へ向き合う時間がふえたと感謝の声が届いています。
     一方、本来であれば生徒指導などの級外として加配されている教員を活用しているために、教員一人当たりの授業時間など負担がふえ、またすべての教員が授業に出払ってしまって職員室は空っぽ、緊急時にだれも対応できる者がいないという課題もあることも事実です。来年度以降も拡充を進め国に先立って平成二十四年に全学年で達成する計画ですが、今後は県単独の加配を措置して広げていくことが必須です。また小学校一・二年生については、三十四人以上の学級に支援員を配置して複数体制での指導で手が行き届くようにしています。
     一方、文部科学省では、中央教育審議会の提言を受け「公立義務教育諸学校教職員定数改善計画案」を発表しました。この計画では、平成二十八年度までに小中学校すべての学年で三十五人学級の実現を、さらに平成二十九・三十年で小学校一・二年生で三十人学級の実現を目指しています。来年度は小学校一・二年生での三十五人学級の実現に向けその財源を概算要求に盛り込んでいます。国の計画を参考にしながらも県は県でしっかり少人数学級を着実に進めていくべきであると考えますが、教育長の決意を伺います。
     また、来年度、小学校一・二年生における三十五人学級が実現しても、これまで取り組んできた小学校低学年への支援員は指導の上で欠かせない人材であるので、今後とも配置基準を引き下げて継続していくべきであると考えますが教育長の所見を伺います。
     最後に、暴力団対策について警察本部長にお伺いします。
     現在、県警におかれては暴力団排除を進めるための条例制定作業を進めていると承知しております。暴力団は我々のあらゆる社会生活に入り込み、合法的にあるいは非合法に資金獲得活動を行っている状況にあります。近年では公共事業などへの参加や証券取引の分野にまで介入するようになったと言われるほど、我が国の経済社会の根幹にまで侵食し始めていると聞きます。
     これまで警察においては、暴力団対策法を初めあらゆる法令を適用して暴力団を検挙し県民の安全な生活を確保してきたところであります。今回県警が制定を進める条例については、こうした状況を踏まえ、県や県民の役割を明文化して暴力団のいない安全で安心な社会の実現を目指しているものと承知しております。
     静岡県は、かつて地域住民の力で暴力団事務所を排除したという輝かしい実績を持ち、全国の暴力団追放運動の先駆けとなりました。県民の一人一人が「暴力団を恐れない」、「暴力団に金を出さない」、「暴力団を利用しない」という暴力団追放三ない運動を実践し、安全で住みよい静岡県の実現に向けて取り組む必要があると思います。
     そこで、本県の暴力団情勢について伺うとともに、現在県警が制定作業を進めている静岡県暴力団排除条例の骨子と、十一月に実施したパブリックコメントで県民からどのような意見が寄せられたのかについて伺い、ひとまず私の質問を終わります。(拍手)
    ○議長(天野進吾君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 佐野議員にお答え申し上げます。
     初めに、私の政治姿勢についてのうち、新総合計画の実現に向けた取り組みについてであります。
     計画は計画倒れになってはまいりません。これは実行、実現するためのものであります。新しい総合計画は、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの中身と、その中身を推進する県組織が直接結びつくようにいたしました。基本構想それ自体はことしの四月にほぼ固まりましたので、この構想に即した形で部局の改編を行い、基本計画を含む全体の取りまとめを進めているところでございます。
     富国有徳いう言葉でございますけれども、これを会社の「社」と置きかえれば富社有徳になります。富者とか貧者とかいう「人」を意味するものにすれば富者有徳になります。貧困を克服するということはなかなか難しいことですけれどもこれは立派な仕事だと存じます。こうした富をどのように使うか、その使い方に品格があらわれるというふうに思います。人がお金持ちになったらそれをどのように使うか、非常に立派な使い方だというふうに言われればまさに富者有徳であります。その会社が立派な業績を上げて大きな利潤を獲得し、さてそれをどう使うかと、それの使い方に私はまた会社の風格があらわれると思います。同じように“ふじのくに”というふうに銘打ちましたこの静岡県が、今は十分にその富に享受できない人がいますけれども、我々がある富をどのように使うかということがまさに大切で、そこに品格のある使い方をしようということが富国有徳に込められた理念であります。
     この理想郷は、「住んでよし 訪れてよし」、「生んでよし 育ててよし」、「学んでよし 働いてよし」というようにかみ砕いて表現しておりますけれども、来年度の予算編成に向けまして重点的に取り組む事業を“ふじのくに”づくり推進事業と位置づけております。組織、予算の両面から腰を据えて計画の実現に取り組むこととしています。
     計画には外部評価が必要であります。数値目標と工程表を可能な限り盛り込みました。その達成状況を業務棚卸表とリンクさせながら、計画、実施、評価、改善、よくアルファベットでPDCAと言われますがプラン・ドゥー・チェック・アクションというその過程を重ねるとともに、総合計画審議会で外部評価を賜りながら着実な進捗を図っていくつもりでございます。
     いずれにいたしましても、現場に即した計画であり、かつその実行でなくちゃなりませんので、現実に即して時宜を逸しない対応が大切でありますから、現場主義に徹して必要に応じて施策の手段や進度を見直すなど弾力的な対応を図っていく考えでございます。
     次に、平成二十三年度当初予算編成についてであります。
     現在来年度当初予算の編成を進めているところでございます。各部局の調整案を取りまとめた段階で四百十一億円の財源不足が見込まれております。加えて今後の円高の状況等による本県税収への影響が不透明でありますことから、議員御指摘のとおり年末の国の地方財政対策によりましては、財源不足が拡大する懸念も出ております。厳しい状況下での予算編成であるという認識を持っております。
     一方、本年度新しい総合計画を策定いたしますので、“ふじのくに”づくり実現のため、例えば地域医療の再生、観光交流人口の倍増、新しい産業のフロンティア開拓などの施策も盛り込んでまいりたいと考えております。事業の重点化や効率化、行政目的が既に達成された事業や必要性の低下した事業の廃止などさらなる歳出の見直しを徹底的に進めます。未利用の財産の売却や有料の広告などによる歳入確保にも取り組んで、財源の確保を図ってまいる所存でございます。
     事業仕分けにつきましては、その過程も含め結果につきましても真摯に受けとめております。「不要」と仕分けられました十六の事業の中にも、県全体の地域づくりの方針に照らしてみた場合に改善して実施するべき事業もあると考えております。県全体の計画というのは新総合計画でございます。そうした中で、地域の資源を活用するという、そういうものとして県産材の活用というのがございます。こうしたものを「不要」とされましたが、これは本県にとって柱となる事業でございますので、これはむしろ耐震性にも県産材を活用するなどむしろ県産材を使うための方途を考えているところでございますので、「不要」とされた事業仕分けをそのまま受け取るというわけではありません。
     あるいは第一次産業、これが大事であるという考え方を持って、食材の王国を食の都にしてまいりたいと思っていると。そうしますとそれを供給する農業基盤というものに対する支出もこれは大切です。そうしますとそれが「不要」とされましても、私どもはそれに対して全体の総合計画の骨格に照らして、果たしてこれが真に「不要」と言えるかどうかという観点から改めまして予算編成過程で十分精査して、最終的にはチーム川勝で私が最終責任をとる形で判断した上で議会にお諮りしてまいります。
     次に、長期化する円高と景気対策についてであります。
     県では、円高及びデフレの長期化による県内中小企業や県民生活への影響が懸念されております。八月に続きまして十一月十二日に私が会長を務めております経済産業政策会議を開催いたしました。この会議におきまして、ポイントになるのは中小企業をどのようにして支えるかということでございますが、当初予算や九月補正予算で措置いたしました雇用・経済対策関連事業の効果が最大限上がるようにすること、そして年末、年度末に向けた中小企業の資金需要につきましては、緊急円高対応枠、これを創設いたしまして十分な支援を行うこと、国の補正予算を最大限に活用して必要な措置については十二月補正予算で機動的に対応することなどを指示いたしました。
     現在十二月補正予算につきましては、若年者に対する就労支援や民間の知恵を活用した雇用対策のさらなる充実、道路・河川を中心にした社会基盤整備など本県の未来につながる投資に加え、医療・介護の充実、生活困窮者に対する支援等につきまして検討を進めているところでございます。国の補正予算が十一月二十六日に成立いたしましたので、現在その内容につきまして情報収集に努めながら鋭意、編成作業を進めておりまして、今議会に追加してお諮りしてまいります。
     次に、ふじのくにの産業戦略についてのうち、産業構造転換に向けた取り組みについてであります。
     本県の平成二十一年の製造品出荷額は約十五兆円で愛知県に次ぐ全国第二位でございます。第二位とはいえリーマンショック前の平成十九年と比較いたしますと約四兆四千億円、二三%減ということになっております。愛知県もまた二七%減ということでございまして、そうした中で本県は二位を保っておりますけれども、本県の経済は世界同時不況の影響を大変強く受けており依然としてまことに厳しい状況が続いております。
     本県の産業が将来にわたり持続的に発展していくためには、国内外の経済情勢の変化に対応するとともに、成長が期待される新しい基幹産業が並び立つ多極的な産業構造を構築していくことが必要です。これまでも医療分野、食品、光技術などの次世代産業の育成を進めてまいりましたが、リーマンショック以後は、昨年度から輸送用機械の製造などで培った技術を持つ中小企業、この中小企業の成長分野への参入を促進する事業をスタートさせました。本年度からは次世代自動車や太陽光発電などで注目される環境産業分野への進出をする中小企業に積極的に支援をしております。
     今後も、現在策定しております新しい総合計画におきまして、成長分野への中小企業の方々の参入の支援、創業者やベンチャー企業等の育成、ものづくりを支援する研究開発、国内外からの企業誘致などを次世代産業創出の主要施策と位置づけて、産官学の連携により未来につながる産業構造の構築に積極的に取り組んでまいります。
     これまで、議員御指摘のとおり、我々の県も国のいわば縮図として海外市場に依存する体質を持っていたわけでございますけれども、一方で私は本県も含め日本のフロンティアは日本の中にもあるというふうに思っております。そうした分野の一つが医療分野です。あるいは食品分野です。あるいは環境分野です。あるいは福祉分野です。あるいは第一次産業分野です。
     こうしたところにこれまでの知恵と技術を総結集して、また地域別のその特性を生かす、比較優位を生かす形で支援をしてまいりたい。西部においてはものづくり、そして中東遠、志太榛原地域におきましてはその豊かな自然に恵まれた物流を支援してく、そして全体として美しいガーデンシティと言われるような人々の交流する地域をつくっていく。そしてこの中部の駿河の地域におきましては城下町としての商業が発達しておりますので、そこにおいて食品とそして化学技術というものが一体になりましたそういう食の都づくりを支える。そして東部におきましては、これはがんセンターがございますので、それとの関連で健康産業を積極的に推進していくと。さらにまた伊豆半島におきましては、これはその地域それ自体がすばらしい観光資源を持っておると同時に世界のジオパークと――地球のつくり上げた造山活動の傑作というふうに見られておりますので――そうした知識を踏まえながらここを観光産業のメッカにしてまいりたいというように思っておりまして、そういう地域の比較優位を生かした未来につながる産業構造の転換ということに努めてまいりたいと。
     ふじのくにのフロンティアはふじのくにの中にもあるというようにいたしまして、最近、振り込め詐欺などと称しまして、その事件を見てみますと――きょうは警察本部長もいらっしゃいますけれども――なかなか後を絶たないと言われております。その振り込め詐欺が獲得しているといいますか、盗み取っている金額は半端な額ではありません。それが六十代、七十代、あるいは最近では五十代の方々にまで被害が及んでいると聞いています。一両日の間に、あるいはあっという間にものすごい額が振り込まれると。それは日本の中にいわゆる個人金融資産と言われるものが一千四百兆円、いろいろなローンを引いても一千兆円以上あると言われてますが、その大半が実は老後のために安心のために蓄えられていると。そうしたものが詐欺に遭われて、詐欺の対象になっていたりするわけです。
     こうした老後の不安を抱えている方々にこの地域をよくしていくために安心して使えるというような、そういう機会をしっかり提供することによってお金が回るようにしてまいりたいというふうに思っております。現在のところは我々のほうからなけなしの、しかしどうしても必要なところに資金を提供しつつ、全体としてこの地域が持っている、そういう潜在的な資金も含めて活用してこのフロンティアを、内なるフロンティアを開発してまいりたいというふうに思っている次第でございます。
     次に、富士山の日の取り組みについてであります。
     富士山の日条例、これは昨年十二月議会におきまして全会一致でお認め賜りました。その第三条には県の責務として「富士山を後世に引き継ぐための県民運動の促進に努める」とあります。この趣旨にのっとりまして、今年度は富士山県民講座や富士山世界文化遺産出前講座の開催など学習機会の提供を初めとする県民運動の展開を図ってまいりました。
     しかし、まことに残念なことに本年七月に予定しておりました富士山世界文化遺産登録の推薦書原案が提出できませんで一年延期となりました。来年の七月の提出に万全を期さねばなりません。この早期の登録を図れますよう二月二十日には、来年ですね、二月二十日には世界文化遺産登録に向けてより一層の機運醸成を図るフォーラムを開催することとしております。
     あわせて、この日には伝統芸能を含め合唱、ダンス、和太鼓など多くの県民の皆様、国民文化祭で発揮していただきましたそうした皆様の文化に寄せる熱い思いを念頭に置きまして、そうした皆様に御参加いただくふじのくに芸術回廊イベントを開催する。二月十九日から二十三日は食育の週間です。それはことしから始めましたが、そこと重なる形で富士見の祭典と銘打って富士山やふじのくにに思いを寄せる催事を集中して実施することといたしまして、本議会に所要の経費にかかわる補正予算をお諮りしているところでございます。
     特に、富士山の日におきましては、国内外から有識者やふじのくにに縁のある方々などを広くお招きした式典を開催し、参加者の皆様に富士山の世界文化遺産登録に向けた決意を訴えるとともに、国内外の方々とも富士山について学び、考え、思いを寄せる日にしてそれを共有してまいりたいと考えております。市町、関係団体、民間企業にもぜひ御協力をお願い申し上げて昨年度を上回る協賛事業の展開を図るなど、富士山の日を県民全体で盛り上げるよう積極的に取り組まねばなりません。
     私は、富士山の日はただにこれを世界文化遺産にするためのものではなく、これは一つの踏み台でございまして、それからも我々がふじのくにとして富士山を柱としてそういう地域づくりをしていくという、そういう思いを常に新たにする日がなければなりません。議員も一年に一度お誕生日があると存じます。それは家族の方々がお祝いをされ、また御自身もそのみずからの人生を顧みて、新しい一年、新しい未来を考えるという、そういう日があると思います。
     私はふじのくにと言ったときに、これは中央集権のいわば名残でございます、というか中央集権の制度を体現した静岡県というものから、そこから自立したふじのくにと。本県の風土に根差した、そうした地域名称をもって新しいくにづくりをするとなりますれば、それに対する誕生日といったようなものが必要です。そうしますとふじのくにですから、これは富士山が柱にあります。富士山はどのような形で我々に存在してるかといえば、これは日本じゅうに富士見台があったり富士見ヶ丘があったりいたしますように、富士は仰ぎ見られる存在としてこれまで日本に存在してまいりました。
     そのような富士山が仰ぎ見られる最もよい季節が冬であるということは、経験的に知られております。このような美しい日、我々は富士を仰ぎ見ることができますが、まだ十二月の初旬でも若干暖かくてそのためにかすみがかかったりします。しかし冬至を過ぎますとさすがに空気が冷えてくっきりと青空に白雪の雪化粧をした富士山が姿を見せます。このような富士を通して我々は冬を知ることができます。
     そして、富士山がかすむころになりますと春が立つと。そして八十八夜のお茶摘みのころになりますと夏も近づく八十八夜と言われるように夏が来ると。そして秋になりますと中秋の名月を見ながらものを思う、あるいは日中の日差しは強くても夕方になりますとコオロギの鳴く声に秋の訪れを感ずると。このように春夏秋冬というものを我々は体の中で知っている。
     しかし、今の日本の大半の人はそれを失っています。ですからそれを取り戻したいと。何を通して取り戻すか。地域の風土を通してです。その風土の柱になっているのは富士山です。その富士山を最もよく見られるときが十二月の、この冬至を過ぎたときから大体二月の下旬で、そして二月におきましては平成二十年は最も富士山を仰ぎ見ることができたという、九〇%富士山が姿をお見せになったという記録がございます。そうしたことから富士見というのをしっかりと入れることを通して富士山の日というものをことほぎたいということです。
     そうしますと、いわば一年で富士見をする十二月二十三日、一二、二三、一年の富士見の始まりから春がすみが立つ二月二十三日までを冬と、あるいは二月二十三日に春が立つというふうにいたしますと非常にわかりやすい。で二月二十三日から本県の芸術祭を始めたいと思います。春の祭典、サマーフェスティバル、秋祭りというようにめり張りをつけた、そういう文化芸術回廊としての“ふじのくに”づくりをつくってまいりたいというふうに思ってるわけですが、現在のところは八月の三十一日から二月十三日という、よくわからない形での芸術祭が何十年にもわたって行われてきました。
     ここには季節感がありません。ですから私は冬の芸術は富士山それ自体である、富士を仰ぎ見ることによっておのれの心に元気を与える、あるいはそこに審美眼を培う精神性、あるいは美意識というものが富士それ自体を通してつくられる、それが冬でございます。そうしたものをしっかりと根づかせて、そして二月二十三日をもって本県は春をことほぐと、春夏秋冬をしっかりと持った、そういう地域、そういう日本をつくっていくという、そういう大事な日です。
     それはただに本県、ふじのくにのためだけでなくて、富士を大切にする日本全体のためでありますから、さらにまた富士をもって日本の象徴とみなしている海外の人々にも立派にそれを見ていただくと、しっかり見ていただくということが必要でありますので、本県にゆかりのある海外の要人をお招きいたしましてそれをことほぐと、ふじのくにを建国する、平和をことほぐということで、これはとても大事な日です。
     ですから、私は単に世界文化遺産になるという、そういうことだけのためではありませんで、しかし現在それが最も大切なので、ここのところには次回におきましては重点をいたしますけれども、ふじのくに百年を見越しながら二月の十九日から最後の富士見をしてやがて春の訪れを待つと、そういう大切な期間にしたいというふうに念願しているところでございます。
     次に、地域外交についてであります。
     グローバル化が進展し大きく変動しつつある現代の国際社会におきまして、静岡県が今後とも高い経済力を維持し魅力のある地域として生き残っていくためには、海外とのさまざまな交流、連携を強化していくことが不可欠です。つまり国や地域による文化の違いを理解して国内外の人々と積極的にかかわることによって、自立した相互の信頼関係を築く地域レベルの国際交流の強化が重要であります。私はこれを象徴的に地域外交と呼んでおります。
     このため、本県といたしましては富士山静岡空港の就航地である中国や韓国、またチャーター便就航先の台湾、さらにモンゴル国を含めた東アジア地域を中心に、これまで交流実績のあるアメリカなどの国や地域も対象として交流を進めていくこととしております。
     具体的には中国浙江省におきましては、既に日中間の、あるいは中国が持っている地方政府間の関係のモデルであるというふうに評価されているものでございますから、友好提携締結三十周年に向けまして産業、観光、教育分野はもとより防災、環境分野など各分野において一層の交流拡大に取り組んでまいります。
     本県と浙江省との関係は二十八年に及びますが、この間、山本知事、斉藤知事、石川知事、私で四代目になります。しかしこの間に浙江省と本県との友好関係は一度も揺るぎません。しかしこの間、日本政府と北京政府との関係はアップ・アンド・ダウンを経験しました。反発があり友好がありまた反発があるというようなことを繰り返しております。すなわち日本と中国との関係におきまして最も安定しているもの、頼りがいのあるものの一つになっているのは、浙江省と静岡県との関係でございます。これは日中間の平和に必ず寄与するものというふうに信じております。そしてそれが全体としては本県のいわば存在感を上げ、かつ地域の自立へ結びついていくものだというふうに考えておりまして、地域外交というのは国家の外交とあわせて補完的な関係として推進していかねばならないと、こういうふうに思っております。
     モンゴル国におきまして来年七月末に予定されておりますドルノゴビ県の創立八十周年記念事業に多くの県民の皆様とともに参加する予定でございます。相互の交流を図っていくこととしております。県民の皆様にはあの美しい草原、またあの美しい満天の星をぜひ知っていただきたい。海のない地域における海へのあこがれを持っている人たちとも交流していただきたい。そして本県のよさもまたアピールしていただきたい。結果的にそれがドルノゴビの持っている鉄鉱石、石炭、希少資源などと結びつくかもしれません。しかしそれ自体は目的ではありません。むしろ信頼関係を築くことが目的でございます。
     今後とも、産業、観光、教育、文化などさまざまな分野において、友好的互恵・互助の精神に基づきまして誠意を持って相互にメリットのある地域外交施策を展開いたし、民間団体や企業、県民等の交流を促進することにより県勢の一層の発展に努めてまいります。
     こうした中、現在の推進体制は国際交流の推進、在住外国人との共生、空港を活用した海外との交流促進などの施策は文化・観光部でやっており、また県産品の海外への販売促進などの施策は経済産業部で所管するなど、事業を担当する部局がそれぞれの視点で各種交流を進めているところであります。ありていに言えばばらばらなわけです。したがって今後、地域外交を一層推進していくためには、全庁的な視点で戦略的に施策を展開し調整するとともに、対外的な交渉や話し合いを円滑に行うことができる組織体制を整備する必要があると考えております。
     この十一月十五日に、突然アメリカのルース大使に呼ばれまして、午前十時に来るように言われてお昼も御一緒にというふうに言われました。ビフテキとワインが出るのかと思っていたのですが、もう十時から二時過ぎまで全然席を立たずに、サンドイッチのボックスと水とコーヒーが出ただけで、大使が――アメリカの代表が、日本との問題では普天間であるとかその他さまざまな安全保障の問題が中心になっておりますが、一方、経済関係を大事にしたいというオバマ政権の意向を実施するには地域のレベルとの交流も大事だということで、そういう熱い思いを私は肌で感じて帰ってきたわけでございますが、そうしますとアジアだけでなくて南の台湾や東南アジア、さらに太平洋の向こう側、こうしたところとこれまでの成果をベースにしてさらに親交を深めながらお互いの互恵・互助の関係にしていく必要があるということでございまして、もはや待ったなしだというふうに思っております。
     そのために、来年度の組織改編に向け高度な専門性を有する人材の外部からの登用を含めまして、例えば東郷和彦という、本来ならば日本の外務省のトップ、あるいは対外外交の要職を担う人がたまたま暇とは言いませんけれども時間があいてるということで、喜んで本県のリーディング・アドバイザーになっていただきました。ですからこうした日本の外交のキャリアを積んできた方々も含め、本県外交はこれから地域外交戦略づくりを担う組織をきっちり整えまして、議員の皆様方にお諮り申し上げてまいりたいというふうに思っております。
     次に、世界お茶まつり二〇一〇の成果と今後の茶業振興についてであります。
     世界お茶まつりは、お茶にかかわるヒト、モノ、情報が集まる世界最大級の総合イベントとして静岡県が二〇〇一年から開催しており、このたび四回目となりました。国際性が高くなり、また静岡から新しいお茶文化を発信することを目指して、産業、文化、学術に関する五十を超えるプログラムを実施したところでございます。
     この国際性に関しましては、中国、スリランカ、インドネシアなど世界の主要な茶の生産国がさまざまな茶を展示し、アメリカ、イギリス、ロシアのお茶の専門家がそれぞれの国のお茶の楽しみ方を紹介することなど、これまで最大の二十八の国・地域から御参加をいただきました。また十五カ国以上のメディアが取材に訪れられました。名実ともに世界じゅうから注目されたお茶まつりとなったわけでございます。
     新しい茶の文化の提案では、今回初めて開催いたしましたワールド茶器コンテストに日本はもちろん、中国や韓国などからもおしゃれで個性的な茶器百三十三点の出品があり、また静岡の伝統工芸技術でつくられた茶器などを用いたおもてなしのためのテーブルのセッティング、季節感を大切にしたお菓子とお茶を組み合わせた展示などをいたしまして、そこにェ仁親王殿下が御視察を賜りまして大変お褒めの言葉をちょうだいし感激した次第でございます。またボトリングした最高級の静岡茶をワイン感覚で楽しむというランチなども試みまして、多くのお客様の好評をいただきました。多彩で新しい茶の文化の発信につなげることができたと思います。
     世界のお茶の消費量はこの十年間で三〇%も伸びております。世界じゅうでお茶への関心が高まっている中で本県の茶業が不振であるというのは、このミスマッチを何としてでも埋めることができるという、ある意味で励みにもなっていると思っております。
     県といたしましては、これまで培いました技術や自然など場の力を最大限に生かした多様で個性的なお茶づくりに加え、お茶を楽しむ文化や場づくりなど茶を総合文化、あるいは総合産業としてとらえてその振興に取り組んでまいります。
     ちなみに、韓国におきましてロッテという大きなデパートがございます。全体のデパートの四〇%ぐらいをそこだけで占めているという有力なデパートですが、その地下、一カ月間もの間、本県のお茶とワサビとそれからクラウンメロンが無料でその場所を貸していただいて販売するという、そういう現場を見に行きました。そうするとメロンなどは価格が数倍高いのです。見ればわかります。農芸品とそうでないものとの違いは。もう網目が違いますから。そして韓国のお茶を売っている場所を見に行ったわけです。そこは我々にとってお茶っていうのは緑茶ですが、しかしそこにはマツタケ茶だの何とか茶だの、もうほとんどジュースのように並んでいる。要するにお茶のイメージが固定してないんですね。というよりはお茶の文化がないというふうにすら思いました。
     その後、こうしたお茶まつりがきっかけになったと思いますけれども、シンポジウムがあるので招かれました。そして何と連れていかれたところは国会議事堂だったわけです。その大会議室で国会議員の先生や副議長先生などがお越しになって、静岡県からこれこれの人が来て講演していただくということで、私はほとんど準備していなかったので真っ青になったわけですが、しかし例によって一夜漬けといいますか、いっとき漬けでまとめまして、そして静岡のお茶の文化、歴史、これを紹介したわけです。
     これはやはりそれなりの知識もありますので与えられた時間に提示いたしまして、その後韓国の学者が韓国のお茶について講演をされたんですが、それは日本ではこうしてる、先ほどの話ではこうなってると、つまりこれからお茶の文化をつくっていこうということなんですね。我々の持っているのはお茶の文化っていうのは、もう定型化した、いわゆる茶の湯もございますしお茶の煎茶道もございます。そしてまた今新しい茶の文化をつくっていこうとしていることで、ある意味で茶の文化の最先進国であるという自覚を持って帰ってきた次第です。ですから可能性は非常に高いと思います。
     そのためには、各国におけるお茶の文化もあわせて我々が知って、そうしたものに対してどう対処していくかというような国際的感覚を持った、お茶にかかわる方々の取り組みが求められているというふうに思います。いいお茶をどのように楽しむかというその楽しみ方、これもまたあわせて今、我々に突きつけられている課題ではないかと存じます。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長(天野進吾君) 丸山経営管理部長。
           (経営管理部長 丸山康至君登壇)
    ○経営管理部長(丸山康至君) 知事の政治姿勢についてのうち、税収見通しについてお答えいたします。
     まず、平成二十二年度の税収見通しにつきましては、本年十月末の県税の調定実績が前年同期比九四・一%と前年を下回っておりますのは、主要税目の法人二税が地方法人特別税の平年度化の影響で前年同期比八八・九%となっているほか、個人県民税も個人所得の減少から九一・五%と前年を下回っていることが主な要因であります。
     このような傾向は当初の税収算定時に織り込んでいるところでありますが、企業収益の改善傾向などを背景に法人二税や地方消費税が当初算定の見込みを上回って推移していることから、当初予算に計上いたしました三千七百億円は十分確保できるものと見込んでおります。
     また、平成二十三年度の県税収入につきましては、上場企業が公表した業績予想では製造業を中心に企業収益の改善が見込まれますため、本年度を上回る税収を期待しているところでありますが、景気の動向や為替相場の影響など先行きは不透明でありまして、必ずしも楽観できる状況にはないことから、今後の動向を十分注視していく必要があると考えております。
     次に、不適正経理の再発防止策についてであります。
     今回の不適正経理の主な発生原因といたしましては、職員の意識面におきましては必要な物品を速やかに調達することを優先する余り形式さえ整っていれば問題ないというふうに考えていたこと、あるいは手続面では予算流用の手続等を安易に怠った運用が行われていたこと、それから物品検収におけるチェック機能が不十分であったことなどが挙げられております。
     このため、まずは各部局に対して適正な会計処理の徹底について改めて通知するとともに、出先機関の出納員研修会や所属長会議などを通じて注意喚起をしたところであります。また物品事務解説パンフレットや質疑応答集を作成いたしまして全職員に配布するとともに、物品検収における事業担当者の立ち会いの徹底、県の会計帳票と業者帳簿を突き合わせる特別調査の導入など、実施できるものから速やかに取り組んでまいります。
     さらに、不適正経理を根絶するためには何よりも新たな未然防止の仕組みが必要でありますことから、先月十九日に全庁横断的な再発防止策検討チームを立ち上げたところであり、現在現場で実務に携わる職員の意見も聞きながら、より詳細に発生原因の分析を行っております。
     今後、法律や企業経営の専門家で構成いたしますコンプライアンス委員会の御意見も伺いながら、三月末をめどに財務規則の改正や物品管理システムの変更も視野に入れた抜本的な対策を取りまとめ、実効性のある再発防止策を進めてまいります。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 堀川経済産業部長。
           (経済産業部長 堀川知廣君登壇)
    ○経済産業部長(堀川知廣君) 大学生に対する就職支援策についてお答えいたします。
     厳しい雇用情勢の中、大学生の就職支援は緊急の課題であることから、県といたしましては、昨年度から大学生を対象に就職面接会を拡充して実施しており、今年度もこの十月に県内三カ所で実施したほか、内定獲得セミナーを五月からこれまでに三回実施するなど大学生の就職支援に取り組んでいるところであります。
     しかしながら、議員御指摘のとおり、大学生の就職内定率はこれまで以上に厳しい状況でありますことから、九月に県と労働局が産業、労働、教育機関と連携して新卒者就職応援本部を設置し、十月にはしずおか新卒応援宣言を行ったところであります。これを受けて本部名で県内企業五千五百社に採用拡大の要請を行うとともに、県のヤングジョブステーションと新卒応援ハローワークが連携して内定までマンツーマンの支援を行うほか、年度末に向けて求人開拓の強化や二月と三月に就職面接会の追加実施を計画しており、関係機関と連携して就職内定率の向上に取り組んでまいります。
     これらに加え、年度末には未内定のまま卒業する学生を短期で雇用した上で就職のための研修や実習を行う新たな人材育成事業を実施するなど、来春の新卒者に対するきめ細やかな就職支援に積極的に取り組んでまいります。
    ○議長(天野進吾君) 大須賀企画広報部長。
           (企画広報部長 大須賀淑郎君登壇)
    ○企画広報部長(大須賀淑郎君) ふじのくにの産業戦略についてのうち、ふじのくにの物流拠点の活用についてお答えいたします。
     本県は、既に東名高速道路を初め清水港や御前崎港といった重要港湾、さらには富士山静岡空港など陸・海・空の充実した交通ネットワークを有しているのに加え、二年以内には新東名高速道路が県内で供用開始されるとともに、中部横断自動車道や三遠南信自動車道の整備も進むなど、全国でも有数の交通利便性の高い地域となります。また日本のGDPの約七割を占める首都圏、中部圏、近畿圏のほぼ中央に位置するという地理的優位性にも恵まれていることから、本県は物流産業の一大拠点となる大きな可能性があると考えております。
     本県経済を発展させていくためには、これらのすぐれた特色を生かす物流産業の振興が必要であり、ITを活用した物流システムなど新しい物流産業についての理解を深め、物流センターの誘致や人材育成など物流に係る総合的な取り組みを官民一体となって推進していくことが必要となります。
     このため県といたしましては、本県の物流に関する優位性や物流産業の発展の可能性を内外に積極的に情報発信していきますとともに、今後本県における物流産業の振興に関するグランドデザインの策定に取り組んでまいりたいと考えております。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 岩ア静岡県理事。
           (静岡県理事 岩ア富夫君登壇)
    ○静岡県理事(岩ア富夫君) 富士山静岡空港の経営についてお答えいたします。
     富士山静岡空港は、富国有徳の理想郷“ふじのくに”をつくり上げていく推進エンジンの一つとして、国内各地や東アジアの国々との新たな結びつきを創出するとともに、我が国の経済活性化の切り札として期待されている観光産業を振興していく上でも、重要な役割を果たすものと確信しております。
     しかしながら、現下の空港経営は大変厳しい状況にありますことから、管理運営コストの節減はもとより、路線・便数の維持拡充を図るため、運用時間の延長といった空港機能の向上や航空会社の運航コスト軽減、魅力ある旅行商品の造成支援等による利活用の促進に取り組んでいるところであります。
     さらに、中長期的には、現在整備を進めている駐機場を活用した航空ビジネスの参入促進や空港西側未利用地への航空関連産業の誘致、あるいは本県の地理的優位性を生かした航空貨物の利用促進等、空港を活用したさまざまな産業集積を進めるとともに、富士山静岡空港の魅力を高める有識者会議から御提案をいただきました空港ティーガーデンシティ構想の具体化により、にぎわいにあふれた経営効率の高い空港の実現を目指してまいります。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 石川健康福祉部長。
           (健康福祉部長 石川俊一君登壇)
    ○健康福祉部長(石川俊一君) 保育園の待機児童解消対策についてお答えをいたします。
     潜在的保育需要の顕在化や一昨年来の景気後退を背景といたしました就労希望者の増加に伴い、今後も保育需要の増大が見込まれます中で、待機児童の解消は喫緊に対応すべき課題であると認識をしております。
     こうしたことから、県におきましては待機児童の発生している市町に対して待機児童解消計画を作成していただくとともに、これらの市町に出向いてヒアリングを行い、安心こども基金の活用などによる待機児童解消のための積極的な取り組みについて助言を行ってまいりました。この結果、本年度は各市町において保育所や認定こども園の定員七百九十人分を拡充することとしておりますほか、二つの市が新たに保育ママ事業を開始いたしました。
     県といたしましては、国における子ども・子育て新システムを初めとしたさまざまな施策の検討状況を注視しつつ、保育の実施主体である市町が将来的な保育需要を的確に見込んだ上で地域の実情に合った待機児童解消策を実施できるよう、引き続ききめ細かな支援を行ってまいります。
     次に、国の障害者制度改革とふじのくに障害者プラン21の見直しについてであります。
     今般の国の障害者制度改革では、障害や差別の定義を初め発達障害や難病など制度の谷間にあるとされてきた方々への必要な支援の提供や、障害者権利条約の締結に向けた差別の禁止などの基本的な考え方が示されております。
     平成十九年三月に策定したふじのくに障害者プラン21では、重点的に取り組むべき課題として障害のある人への理解の促進とともに地域生活の支援や雇用の促進と就労の支援のほか、発達障害や難病、高次脳機能障害に対する支援についても位置づけ、支援の充実に努めてきたところであります。
     一方、障害者権利条約の締結に向けた差別の禁止については一層の取り組みが必要と考えておりますので、次期ふじのくに障害者プラン21の策定に当たっては国の制度改革の方向を踏まえて検討を進めるとともに、当事者である障害のある方々との意見交換を十分に行い、障害のある方とない方が互いに尊重しながら生活する共生社会の実現に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 教育行政についてのうち、初めに有徳の人の育成についてお答えいたします。
     有徳の人、徳のある人の育成を基本目標とする、現在策定中であります静岡県教育振興基本計画につきましては、今月中旬からパブリックコメントを実施いたしますが、教育広報紙Eジャーナルなどを活用して周知を図り、さまざまな視点からの御意見をいただくことでよりよい計画の策定に努めるとともに、これをよい機会として、県民の皆様に有徳の人についての理解を深めていただきたいと考えております。
     地域における人間関係が希薄になっている今こそ、若者が地域のためにみずからのアイデアを発信したり、役立つ活動をしたりする機会の充実、また通学合宿や学校支援地域本部の取り組みの一層の促進、それぞれの地域の特色ある自然環境や伝統文化を活用した体験学習の充実など、子供だけではなく大人も巻き込んでの活動を推進することで、あらゆる世代が徳のある人を目指す地域づくりに努めてまいります。
     日常の人間関係の中で身近な人のために気持ちよく行動する、あるいはまた困っている人に手を差し伸べるなど、たとえ小さなことであっても実際に行動できる徳のある人がふえ、互いのかかわり合いを深めていくことができれば、それがこれからの地域を力強く支えひいては富国有徳の理想郷を実現する原動力となると考えております。
     次に、静岡式三十五人学級編制の推進についてであります。
     議員御指摘のとおり、現在文部科学省では、小学校一・二年生での三十五人学級編制に向けて必要な予算を概算要求に反映させておりますが、国に先駆けて静岡式三十五人学級編制を本県におきましては進めているところであります。県教育委員会といたしましては、この静岡式三十五人学級編制を進めるための加配定数等に変更がなければ、平成二十五年度までに全学年で実施したいと考えております。
     また、小学校低学年支援充実事業につきましては、平成二十二年十月に実施したアンケートで小学校の校長の九八%、小学校低学年の保護者の九六%が三十五人学級が実施されても本事業の継続が必要であると回答しております。その理由としましては、学校からは配慮を要する児童はどの学級にも在籍し複数の目で子供たちを見守ることが必要である、また保護者からは支援員が子供たちの学習や生活の支えになり安心して学校に送り出すことができるなどが挙げられております。
     県教育委員会といたしましては、これらの意見や要望を踏まえ小学校低学年における複数の指導者によるきめ細かな支援体制の必要性についてさらに検証し、来年度以降の体制について検討をしてまいります。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 安村警察本部長。
           (警察本部長 安村骼i君登壇)
    ○警察本部長(安村骼i君) 県内の暴力団対策についての三点の質問にお答えいたします。
     まず、県内の暴力団情勢についてお答えいたします。
     県内には、指定暴力団である山口組傘下の二次組織が六団体、同じく稲川会傘下の二次組織が三団体存在し、本年十月末現在、これら二次組織を含めた約百組織の組事務所と構成員等約千九百人を把握しております。警察では暴力団対策法を初めあらゆる法令を適用した取り締まりと各業界、団体等と連携して暴力団排除対策を強力に推進しているところであります。
     しかしながら、暴力団は組織の不透明化を一層図り、企業活動を仮装したり、暴力団の活動に協力しあるいはそれに乗じて利益拡大を図るいわゆる共生者を利用するなどして各種事業に進出し、組織的な資金獲得活動を多様化、巧妙化させ県民の生活に脅威と不安を与えております。
     次に、暴力団排除条例についてでありますが、かような情勢下にあってこの条例は静岡県が暴力団の存在を許さない県であることを明確にするとともに、県民の安全で平穏な生活を確保し、健全な社会経済活動を発展させるため制定しようとするものであります。その骨子は、県の暴力団排除に係る基本的施策、青少年の健全育成を図るため、一定の区域内の暴力団事務所の新規開設及び運営を禁止、事業者を含む県民等が暴力団員等に対する利益供与等をすることの禁止、暴力団事務所の開設を防止するため不動産譲渡等をしようとする者及び建設業者のとるべき措置、祭礼等から暴力団を排除する措置であり、暴力団の活動を大きく制約し最終的には組織の壊滅を目指すものであります。
     次に、本年十一月に実施したパブリックコメントでは八件の意見が寄せられました。いずれも条例制定に賛成する意見であり、具体的には暴力団の葬儀や中元、歳暮等の取り扱いを禁止するべきである、暴力団事務所の開設禁止区域を一般住宅や商店等に広げるべきである、警察の保護措置を具体的に明記すべきであるなどでありました。今後、これらの意見を参考により効果的な条例案を策定し来年二月議会に上程したいと考えております。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 二十三番 佐野愛子君。
           (二十三番 佐野愛子君登壇)
    ○二十三番(佐野愛子君) 御答弁ありがとうございました。若干時間がありますので、質問を二点、要望を一点させていただきます。
     富士山の日におかれましては、知事の熱い思いが県民の皆様の総意となって富士山の日が繰り広げられることを確信いたしました。
     質問一つ、物流拠点は具体的にどこか場所を考えていらっしゃるのでしょうか、お聞かせください。
     もう一つ教育長に。三十五人学級につきましては支援員の配置について熱い決意と受けとめました。三十五人学級の加配につきましては県独自で措置をしていただけるのでしょうか。今のままの体制でまた学年が進めるとなると非常に問題点もあると思います。
     そして、最後に皆さんに要望ですが、各部局の御答弁の中、誠意を持ってはっきりと答えていただければと思います。私どもはちょっと時間が追われて早口になることもありますが、皆さんのお言葉に担当局の皆さんの力が込められるようにはっきりとお答えをしていくことを要望いたします。(発言する者あり)御答弁の中に不正経理の御答弁等はっきりともう少し県民に伝わるようなお答えをしていただきたかったと感想を持ちました。以上です。
    ○議長(天野進吾君) 大須賀企画広報部長。
           (企画広報部長 大須賀淑郎君登壇)
    ○企画広報部長(大須賀淑郎君) 物流拠点の具体的な場所はどこかという御質問でございますけれども、県全体の物流のインフラである交通基盤が徐々に整ってくるということで、現時点では県全体をその対象に考えて物流の振興というものを検討していきたいというふうに考えておりますけれども、議員の地元でございます志太榛原地域につきましては、御前崎港を中心とした港湾物流ですね――海運です――それから富士山静岡空港を拠点とした航空物流、さらには陸上交通の基幹であります国道一号、それから東名高速道路、こういった交通インフラが非常に充実した地域でありますので、志太榛原地域につきましても有望な地域であるというふうに認識をいたしております。
    ○議長(天野進吾君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 三十五人学級の加配の件でございますけれども、教員の配置につきましては大きく三つ考えられるかなというふうに思います。一つはいわゆる定数活用ということでございます。これは議員、先ほど御質問の中で御指摘ありましたように、この定数活用だけ推し進めますと職員室にだれもいないというような状況も見られるということでございますので、例えばそのほか、これは年度限定ですけども、緊急雇用交付金による人的配置、あるいは現在国のほうが先ほどこれもお話ありましたように概算要求で三十五人学級の計画を立てておりますので、その辺も含めまして、それら三つの要素にどれだけ県の加配が取れるかということになると思いますけども、極力、教育委員会としては、学校に御苦労をかけないような形で定数の加配の獲得をしていきたいなというふうに思っております。以上でございます。
    ○議長(天野進吾君) これで佐野愛子君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

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