本会議会議録

質問文書

平成26年９月静岡県議会定例会 質問

質問者：
髙田　好浩 議員

質問分類
代表質問

質問日：
10/01/2014

会派名：
公明党静岡県議団

質疑・質問事項：
１　知事の政治姿勢について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(1)　地震津波対策　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(2)　中小企業への雇用支援策　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(3)　リニア中央新幹線の工事開始に関する対応　　　　　　　　　　　　
２　防災対策について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(1)　土砂災害対策　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(2)　タイムラインの早期導入　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(3)　工業用水道、水道の施設等の耐震化　　　　　　　　　　　　　　　
３　人口減少社会への挑戦について　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(1)　地域づくりの方向性　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(2)　地域の高齢化を誘発しない移住・定住政策　　　　　　　　　　　　
４　社会資本の活用について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(1)　県有施設の活用　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(2)　空き家の活用　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(3)　生活排水処理のあり方　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
５　安全・安心な社会の構築について　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(1)　夜間救急電話相談「大人版♯八〇〇〇」の導入　　　　　　　　　　
　(2)　生活困窮者自立支援の推進　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(3)　振り込め詐欺等の特殊詐欺事件撲滅への対応　　　　　　　　　　　
６　人材の新たな育成について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(1)　土曜教育の推進　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(2)　真の学力向上

○議長（多家一彦君）　ただいまから会議を開きます。
　議事日程により、知事提出議案第百三十五号から第百六十三号まで及び平成二十五年度静岡県一般会計、特別会計、公営企業決算全部を一括して議題とします。
　質疑及び一般質問を行います。
　通告により、二十八番　髙田好浩君。
　　　　　　　（二十八番　髙田好浩君登壇　拍手）
○二十八番（髙田好浩君）　皆さんこんにちは。私は公明党県議団を代表し当面する県政の諸課題について、知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長に一括方式で質問いたします。
　質問に先立ち、ことしの夏日本を襲った集中豪雨により広島市を初め多くの地域で土砂災害の発生等により犠牲になられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された皆様、避難生活が続いている皆様に衷心よりお見舞い申し上げます。また九月二十七日に発生しました御嶽山の噴火により犠牲になられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に衷心よりお見舞いを申し上げます。あわせて富士山における速やかな安全対策の検討と実施を要望して質問に入ります。
　初めに、知事の政治姿勢についてのうち、地震・津波対策について伺います。
　防災・減災対策の三本柱は自助、共助、公助と言われ、個人、地域、行政、国においてさまざまな取り組みが行われています。私は中でも自助の取り組みが重要と考えますが、なかなか個人におけるアクションが推進されず、例えば七日分以上の水・食料が備蓄できている世帯は七％に満たない状況で、県としても常に自助の重要性をあらゆる機会を通じて県民に訴えていくことが必要です。自助である自宅の耐震化、家具の転倒防止、水・食料の備蓄等が完璧に行われれば、共助、公助の負担が大幅に減少するとともに、県民の多くの命が守られることになります。
　県では、この自助、共助、公助の観点から、県はもとより県民、事業所、市町等が実施主体となる百六十二のアクションで構成する静岡県地震・津波対策アクションプログラム二〇一三を昨年度公表し推進しています。十一月には早くも一年が経過しますが、アクションにより進捗状況にばらつきが出ているのではないかと思われます。特におくれの出ている事業については残り九年の中で確実に達成するための大胆な取り組みや改善が必要と考えます。
　そこで、まず初めに現在の進捗状況と今後の取り組みについて伺います。
　このアクションの実施による減災目標を想定される犠牲者を十年間で八割減少させるとしておりますが、県民がその進捗状況を知ることで安心感を持つことができたり、また県民からさまざまな御意見をいただくために、九月一日の防災の日等に毎年アクションの進捗状況や今後の方針を公表する必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
　言うべきことを言う、行うべきことを行う。当たり前のことですができていないことがあります。広島市の土砂災害から学ぶべきことを一つ挙げれば、市民の声を聞いて危険区域に指定しないことが市民を守ることではなく、地価が下がったとしても命にかえられないことを訴えることが行政の使命だと考えます。釜石の奇跡と言われますが、奇跡でしか命が救われない住居や公共施設のあり方でいいのでしょうか。津波の到達までに四十分、五十分と時間があった地域でさえ多くの命が奪われました。静岡県を襲う地震は揺れの数分後に津波が襲う地域もあると分析されております。奇跡はあり得ないものとして、県民の命を守るためにさらに取り組むべきハード・ソフト両面による地震・津波対策を強化する必要があると考えます。
　南海トラフ地震対策特別措置法においては、県内の沿岸二十一市町全てが津波避難対象特別強化地域に指定されましたが、県として津波避難対策緊急事業計画の策定のために市町にどうかかわり確実な事業として実施していくのか、知事の所見を伺います。
　次に、中小企業への雇用支援策について伺います。
　静岡県は、長引く景気低迷や東日本大震災、円高などの影響に対し新たな雇用の創造を目指すための行動計画である静岡県雇用創造アクションプランを策定し、平成二十四年一月三十一日に公表して取り組みを開始しました。その結果、完全失業者数がピーク時の八万九千人から五万六千人に減少しリーマンショック前の水準に改善されたことと、有効求人倍率も一・〇八倍に回復したと評価がされています。このプランの目標は雇用の創出と人材の供給に大きく分けられていますが、雇用の創出政策で働く場を創出できても人材の供給では中小企業において必要な人材が確保できていないというミスマッチが発生しています。大学生の採用については中小企業には厳しい状況が続き、しずおか産学就職連絡会の調査では、ことし三月卒業の大卒者の採用において県内の中小企業のうち四六％が充足できなかったと回答し、応募がなかった企業も二一％に上っております。
　また、静岡新聞社の調査によれば来年三月卒業予定の大学生等の中小企業への応募状況は約四割の企業で前年度より応募数が減少し、人材確保が難しくなっていることがわかります。このように必要な人材が確保できない状況では景気回復の兆しが見え、事業を拡大しようとする矢先にブレーキをかけられたような状況であり、現在はもとより将来にわたって人材確保ができない状況が続けば中小企業の存続が危ぶまれ、結果として本県経済への影響が懸念されます。
　そこで、県内中小企業への雇用支援にどのように取り組むのか、知事の所見を伺います。
　三点目に、リニア中央新幹線の工事開始に関する対応について伺います。
　私たち公明党議員団は、七月七日に井川地区の皆さんとともに扇沢を除く六カ所の残土置き場予定地を視察し、その後意見交換を行い、さまざまな懸念や不安事項をお聞きいたしました。翌日、国土交通省に太田昭宏国交大臣を訪ね視察の内容と地域の方々の御意見を伝えました。この時点ではまだＪＲ東海から残土置き場の案すら直接地元の皆さんに話がなく不信感が募っていました。私たちも現地をつぶさに見てきましたが、井川地区の皆さんが一番危惧していることが燕沢を残土置き場の候補に挙げていることでした。既に土砂の崩落が発生し、今後大きな山体崩壊の危険があり、昔から住民が危険な場所だと指摘している場所にわざわざ残土を積み上げれば、崩壊による土砂流入により川がせきとめられ、大きな被害を発生させる危険がある。絶対に考え直す必要があると訴えられました。
　また、南アルプスがことし六月十二日にユネスコエコパークに登録され、今後観光客の増加が見込まれます。道路は非常に狭く周辺斜面が脆弱で、私たちが行った日には行きになかった落石が帰りには発生しており、一旦車をとめてその落石を撤去しなければ前に進めない状況でした。この脆弱な道路で建設関連車両が巨大な建設機械や重機、現場事務所・足場などの資材、砕石・セメント・電線などの材料、作業員の食材・日用雑貨品等の運搬を十年にわたって行うことを想像すると、道路や橋の劣化や損傷、さらに交通事故の発生が容易に考えられ、地元の方々や観光客に多大な迷惑をかけることは間違いありません。着工が早かろうが遅かろうがその総量に変化はなくＪＲ東海は総影響量のできる限りの減少を目指すべきで、本格的な工事に入る前に既存道路を強化、拡幅したり、または新たな作業用専用道を設置するなどの万全な準備が必要です。さらに多くの作業員が入ってくることによる井川地区の医療など生活環境への影響を地元の皆さんが大変に心配されています。
　計画ありきの議論や後出しの情報提供が続きＪＲ東海の姿勢が問われています。工事の中断や工法の変更、規模の見直しも随時行っていくべきで、国交省は意見書で事業の実施には地元の理解と協力が不可欠として、環境保全に関する情報を最大限に公開するなど地元住民への丁寧な説明が必要としました。静岡県中央新幹線環境保全連絡会議を実効性ある会議にし、井川地区や静岡市、静岡県が懸念している不安事項の解決をＪＲ東海が確実に実行することを求めていくことが必要です。今後の知事の対応について伺います。
　次に、防災対策についてのうち、初めに、土砂災害対策について伺います。
　静岡県内の地質は多種多様にわたり、もろく崩壊しやすい地盤が全県に分布しています。現在、地域の開発により住宅地は広島市と同じように山裾まで広がり、過去の大災害のうち今から四十年前――昭和四十九年七月七日に発生した七夕豪雨では洪水より土砂による犠牲者が多かったという痛ましい経験をしました。全国では土砂災害防止法による警戒区域、特別警戒区域の指定が進められていますが、土地の評価額が低下することなどにより特別警戒区域に指定することに反対する声があり、あわせて調査に労力がかかることも要因となり指定におくれが生じています。
　広島市を襲った豪雨では、避難勧告や避難指示情報の発令の決定と伝達に課題があったと分析され、空振りを恐れずに避難所の開設と情報の発信を行うべきであり、また気象庁では予測技術の向上に努めていますが、今回のようにごく狭い地域における短時間の大雨を予測するのは大変に難しく、よって自助、共助の力でそれぞれが判断し避難行動を開始することが必要であるとの教訓が示されました。さらに気象庁は今後温暖化の進行で雨の量が多くなると分析し、結果として土砂災害や洪水は増加していくと予測しております。
　国は土砂災害防止法の改正を検討し始め、警戒区域に指定された地域住民の避難行動計画の策定を求めたり、都道府県が警戒区域などの指定の際に行う基礎調査の結果公表の義務化や土砂災害警戒情報の市町への提供義務づけを進めるという方向性を打ち出しました。県としての警戒区域、特別警戒区域の指定の進捗状況を伺うとともに、さらに指定を進め住民に対して啓発活動をしていく必要があると考えますが、今後の推進方法について伺います。
　次に、タイムラインの早期導入について伺います。
　二〇一二年にアメリカ東海岸を襲ったハリケーン「サンディ」は、北米で百三十人以上の犠牲者を出し被害総額は約八兆円に上りました。ニュージャージー州では事前の準備を整えるタイムラインを策定し実施した結果、沿岸部四千世帯が被災しましたが犠牲者はゼロでした。
　事前防災行動計画タイムラインは、先を見越した対応ができる台風の特徴を生かした防災対策です。具体的には防災にかかわる組織が連携し事前調整を図り台風に対するそれぞれの役割や対応行動を定めたもので、いつ、誰が、何をすべきかを事前に明確にし、おおむね上陸百二十時間前から上陸後七十二時間の対応を明確にし、上陸時をゼロアワーとし、防災行動として警察、消防団、水防団の避難を完了させるとしています。
　ＣｅＭＩ環境・防災研究所の松尾一郎副所長は、日本では、災害が発生すると主に災害対策基本法で対処しているが、同法の理念は、災害予防、応急対策、復旧・復興のみ。台風接近などの予報が出た事前段階での対応は盛り込まれていない。国や市町村の防災計画でも、何か現象が起こってから対応しているケースが多く、後手に回っている印象がある。予防と応急の間にある事前段階にタイムライン導入の意義があると主張されております。
　本年七月四日に、幹部職員の対応力向上を目的に県において災害時に第一線で指揮をとる市町の危機管理監や防災監を対象にした初のセミナーが開催され、松尾副所長がタイムラインを解説し、台風や局地的豪雨などへの初動対応を学んだと聞いております。その後、県が台風八号や十一号に備えてタイムラインを試行しましたが、これを活用してどのような対応を行ったのか。そしてこの結果をどのように評価し今後の防災対策に生かしていくのか、県の所見を伺います。
　三点目に、工業用水道、水道の施設等の耐震化について伺います。
　現在、工業用水事業及び水道事業の主な管路等の施設が昭和四十年代建設時から四十年余りを経過し、全面更新の時期を迎えようとしています。老朽化の改善とともに大規模地震発災時における被災を最小限にするため、事前の耐震化を進める必要があります。
　平成二十五年十一月に公表された静岡県第四次地震被害想定の第二次報告では、県内の上水道は発災直後にほぼ全域で断水し、一週間後でも県内の給水人口の五割以上で断水が継続し、応急復旧には五から六週間程度が必要と見込まれると想定されています。
　管路の破損は断水にとどまらず、二次被害として破断による大量の漏水による広範囲における浸水被害や管路の老朽化に伴う平時の被害が想定されるとともに、健全な管路であっても良質地盤でない場合には継ぎ手部の損傷や抜け落ちが想定されます。アクションプログラム二〇一三においては、工業用水道、水道の施設である浄水場管理棟や水管橋などの基幹施設百十三カ所の耐震化率を、平成二十三年度の四五・一％から平成三十一年度末に一〇〇％にすると目標設定しています。
　また、企業局所管の管路は、平成二十五年度末のレベルツーの地震動に対する耐震化率が工業用水道が三四・五％、水道は六〇・五％となっていますが、今後できるだけユーザー負担が増加しないようにしつつ施設や管路の確実な耐震化を推進すべきと考えますが、県の方針を伺います。
　また、南海トラフ巨大地震による施設や管路の被害状況のシミュレーションを行った上で適量の資機材を用意しておくべきと考えますが、その対応はいかがでしょうか。さらに、早期にかつ確実に復旧するための人材の育成と確保は万全でしょうか。県の対応を伺います。
　次に、人口減少社会への挑戦についてのうち、地域づくりの方向性について伺います。
　国は、本格的な人口減少社会の到来や巨大地震の切迫等に対する危機管理を共有し、二〇五〇年を見据えた国土づくりの理念、考え方を示す国土のグランドデザイン二〇五〇を策定しました。全国を一キロ四方の升目状に分けると、二〇五〇年に今、人が住んでいる土地の六割以上で人口が半減し、うち二割が無居住化し地域消滅の危機があると推測、長期的に人口を一定水準に保つためには全ての地域で少子化対策を推進するとともに、相対的に出生率の高い地方から出生率の低い東京への人口流出に歯どめをかけることが必要としています。また巨大災害の切迫から見ると、首都直下地震、南海トラフ巨大地震の三十年以内の発生確率は七〇％で、過去の歴史が示しているように、これらの災害が発生すれば国家滅亡の危機に見舞われるとしています。これらの状況を克服するためにはコンパクト・プラス・ネットワークの概念にのっとった地域の整備が必要とし、各種サービスを効率的に提供するためには集約化、コンパクト化することが不可欠で、かつネットワーク化により各種の都市機能に応じた圏域人口を確保することが不可欠としています。
　静岡県総合計画では、県内を五つの圏域に区分けしてそれぞれ特徴を生かした地域づくりを進めていくこととしていますが、こうした政策をさらに長期的目線で見ていく必要があると国土のグランドデザイン二〇五〇が提言しているのではないかと考えます。
　こうした動きがある中で、人口減少社会の進行に挑戦し活気あふれる静岡県を構築するために、県では地域づくりについてその方向性をどのように考えどう取り組んでいくのか伺います。
　次に、地域の高齢化を誘発しない移住・定住政策について伺います。
　静岡県では、人口減少対策の取り組みとして平成二十二年度から二十五年度の四年間にわたり、ふじのくに移住・定住促進戦略を実行してきました。戦略の冒頭に本県への移住者、定住者は、都会生活では難しかった、住まいの周辺で木々のぬくもりを感じられる環境を充実したり、住スペースの拡充や家族のきずなの回復を図るとともに、多様なライフスタイルの中から自分にとって最適なものを選択することが可能となりますとありますが、私はこの文言から、中山間地域に定年退職された御夫妻に自給自足の生活で余生を送るためのステージを用意しましたので、ぜひお越しくださいというイメージを感じてなりません。現実には若者も移住してきているとのことですが、地域の高齢化がさらに進み公共交通や医療環境が確保されていない中では、人口が一時的に増加してもその効果が継続しない可能性があります。
　県は、移住・定住に関する総合相談窓口として、ふじのくに移住・定住相談センターを県庁東館十一階の交流推進課内に開設しました。しかし県外の方には情報提供できません。私は、Ｕターン・Ｉターン希望者の住居、仕事、教育など生活の基盤をなす重要な課題をワンストップで相談、解決できる窓口を首都圏に設置し、安心して静岡県に行こう、ふるさとに帰ろう、親と暮らそうという若者や子育て世代をふやし、東京から連れ戻してくることも有効と考えます。
　そこで、首都圏に暮らす若者を本県に呼び込むためにどのように若者にアプローチしていくのか、県の所見を伺います。
　地域おこし協力隊の制度が国にあり、静岡県においても二市三町が協力隊を受け入れ、また受け入れの予定をしております。昨年度全国では九百七十八名まで拡大し、安倍首相は今後三年間で三千人にふやす方針を打ち出しています。協力隊の任期は最長三年で、自治体には募集に必要な経費のほか隊員一人につき最大四百万円の特別交付税措置による財政支援があります。活動は多岐にわたり、伝統芸能や祭りの復活、地域ブランドの開発、販売、空き店舗を活用した商店街の活性化、耕作放棄地の再生などで、任期を終えた隊員のうち約六割が活動していた市町村か近隣地域に定住しているとの報告がされています。
　県として地域おこし協力隊の受け入れをさらに積極的に行い、若者の移住・定住を促進し、新たな視点による新たな地域活性化を促進すべきと考えますが、県の所見を伺います。
　次に、社会資本の活用についてのうち、県有施設の活用について伺います。
　静岡県では、ファシリティマネジメントの理念を平成二十四年に導入し、ことし一月に実施方針を策定しました。推進のために四本の柱を設定し、県有施設の総量の最適化、長寿命化などへの取り組みが行われております。県有施設を取り巻く環境は老朽化の進行、厳しい財政状況、人口減少などによるニーズの変化など大きな変化の時代を迎えています。中でも人口減少などによる行政ニーズの変化に伴い公共施設の総量の最適化を進めていくことはやむを得ないことであり、今後未利用となるスペースや施設自体がその機能として不要となるものが出てくると思われます。こうした状況を踏まえると、未利用となる県有施設の有効活用はファシリティマネジメントの理念からも重要になってくると考えます。
　先日、淡路市野島地区で平成二十二年に廃校となった旧野島小学校をリノベーションし再び地域住民の交流の場とするとともに、観光地としての地域経済活性のための拠点に生まれ変わったのじまスコーラを視察いたしました。廃校を企業に譲渡し新たな命を吹き込まれた建物は観光客でにぎわい、次の使命達成に向かって有効活用されていました。
　これまでも、静岡県においては未利用財産の売却等に積極的に取り組み一定の成果を上げていることについては評価しておりますが、より柔軟な発想のもとで有効活用を図っていくことが必要と考えますが、県の所見を伺います。
　次に、空き家の活用について伺います。
　少子高齢化の進行で全国各地の空き家の増加が問題となっていると言われますが、有効活用により空き家は地域活性化に寄与する大切な資源になります。総務省の調査によりますと、現在全国の空き家総数は約八百二十万戸で空き家率は全国平均一三・五％、静岡県は一六・三％で全国平均を上回っています。現在三百五十五の自治体が空き家に関する条例を制定していますが、条例を根拠として行える行為の範囲は限定されています。国においては、その壁を取り除くことも含め空き家等対策の推進に関する特別措置法の検討が進められており、先日開会した臨時国会で議論される予定です。
　私は、長期的な人口構成の変化や世帯の形の変化を踏まえ、既存住宅のストックの有効利用を含め住宅需給のミスマッチを解消する必要があると考えます。同時に空き家の活用にあわせて空き工場や空き店舗、空き事務所などの活用や転用を推進することがコンパクトシティーを実現する上でも有効な手法になると考えます。また地域包括ケアシステム推進のための施設や待機児童を減少させるための施設への転用がスムーズに行われる政策も必要と考えます。
　空き家の活用は、中心市街地、都市近郊部、中山間地域、過疎地域によって政策を変化させる必要があります。中でも都市近郊部などでは高度経済成長期に開発された大規模住宅地があり、その地域では高齢化に伴い空き家のさらなる発生が想定されます。
　そこで、このような地域の活性化のために大切な資源である空き家をどのように活用しようとするのか、県の所見を伺います。
　三点目に、生活排水処理のあり方について伺います。
　人口減少や高齢化、地域社会構造の変化、さらに地方財政の厳しさなどから生活排水処理を取り巻く状況が大きく変化しています。これまでの排水処理計画の延長線上に今までと同じ方針で計画を進めることはすべきではなく、新たな視点による新たな長期計画を策定する必要があると考えます。県においては本年三月に静岡県生活排水処理長期計画を策定したと聞いていますが、平成二十五年度末の総人口に占める汚水処理人口普及率は七六・九％で全国第三十五位。東伊豆町、西伊豆町は二割台にとどまり、さらなる普及の推進が必要です。
　県内の水環境の現状を見ると、ウナギの幼魚の減少の一因に河川の水環境の悪化による餌のエビ、小魚の減少が挙げられていますが、その要因は約四十九万基ある浄化槽のうち合併処理浄化槽はわずか約三割、単独処理浄化槽が約七割を占め浄化槽の切りかえが進まないことによる生活雑排水の垂れ流しが続いていること。そしてわずかながらにしか向上しない法定検査の受検率の低さにより、規定の水質管理が行われていないことが考えられます。
　下水道による処理、浄化槽による処理のどちらにも長所と短所がありますが、これからの社会構造や防災対策のあり方を考えると、それぞれの長所を最大に生かし短所を最小限に抑えていく必要があります。財政を圧迫する下水道事業の拡大やそれに伴う施設や設備の維持管理をこれ以上行えないという市町が増加し、下水道整備を縮小させ合併処理浄化槽による下水処理に方向転換する市町も出てきております。
　ことし三月に仙台市の南蒲生浄化センターを訪問し、石川所長から震災当日から現在に至る復旧状況を伺いました。市民に震災時に下水が使えませんと言っても市民にどんな協力ができるのか周知されておらず、市民は平常時と同じように下水を使い続け、結果として自然流下のため震災前と同じように汚物や雑排水がセンターに流れ続け、処理設備が稼働できないため全てが残留し、長時間にわたり広範囲に悪臭を放ち市民から多くの苦情が寄せられたとのことでした。現在この施設は三年半にわたる復旧工事に取り組んでいます。このような状況を見ても平常時と災害時の両面から今後の生活排水処理のあり方について十分な検討が必要であると考えますが、県の方針を伺います。
　次に、安全・安心な社会の構築についてのうち、夜間救急電話相談大人版＃八〇〇〇の導入について伺います。
　静岡県は平成十八年七月一日から、小児を持つ親の不安を解消するとともに、二次救急病院への患者の集中を緩和し小児科医の負担を軽減するために、夜間に電話で専門家から助言を受けられる電話相談事業＃八〇〇〇を開始しました。当初は土日祝日、年末年始の夕方六時から夜十一時までの実施でしたが、平成二十二年十月一日から毎日翌朝八時までに相談時間が拡大され、当初の相談件数は千四百七十四件が、昨年度には三万一千二百九十二件に拡大しました。件数の増加は、小児を持つ親への＃八〇〇〇の周知が進み、あわせてこの相談事業が活用しやすいことを示すとともに、受診者数の減少による小児科医への負担軽減に確実につながっています。
　平成二十一年度に、国において救急出動件数の大幅な増加を解消するために、子供を含む全ての患者を対象に急な病気やけがの際に救急車を呼ぶべきか否かを迷う場合の不安に応えるため、短縮ダイヤル＃七一一九による救急相談窓口を設置する救急安心センターモデル事業を愛知県、奈良県、大阪市の三地域で行ったと聞いております。その結果、一一九番通報のうち緊急通報以外の通報件数の減少、救急医療機関への時間外受診者数の減少、及び救急搬送件数における軽症者の割合の減少が見られ、また救急相談の結果、緊急性が高いと判断された傷病者を救急搬送し一命を取りとめた事例が多く報告されたということです。
　静岡県においては、インターネットで相談窓口や医療機関を紹介する医療ネットしずおかを開設しています。しかし私も体験しましたが、深夜に家族が苦しんでいるときに救急車を呼ぶべきか、時間外の医療機関に行くべきか、判断の基準すら持ち合わせていない状況の中、医療ネットしずおかを見るなどという余裕はなく、結果として祈る思いで時間外の医療機関に行ったところ、状況を簡単に確認し長時間待たされ、結果として点滴をして帰宅するということがありました。
　緊急時にはまず相談したいというのが一般県民の気持ちであり、救急車を呼ぶには相当の勇気がいるため、ちゅうちょすることもあり得ます。
　そこで、安心医療の提供と健康寿命日本一の推進を掲げる本県において大人版の夜間救急電話相談のシステムを早期に導入すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
　次に、生活困窮者自立支援の推進について伺います。
　厚生労働省は、社会経済環境の変化に伴い、稼働年齢層を含む生活保護受給者が増加しているほか、非正規雇用労働者や年収二百万円以下の世帯など生活困窮に至るリスクの高い層が増加している。また生活保護受給世帯のうち約二五％の世帯主が、出身世帯においても生活保護を受給しているという調査結果にも見られるように、いわゆる貧困の連鎖も生じている。こうした中で生活困窮者の自立を促進するためには、最後のセーフティーネットである生活保護制度の自立助長機能の強化に加え、生活保護に至る前の段階にある生活困窮者を支援する、いわゆる第二のセーフティーネットの充実強化を図ることが必要であるとして、平成二十五年十二月に生活困窮者自立支援法を成立させました。
　生活困窮者は複合的な課題を抱えていることが多く、それゆえに自立や社会参加ができない状況にあり就労支援を含めた新たな支援体制をつくることが必要です。生活困窮者に関する審議会の最終報告では、新しい支援の形は個別的、包括的であるとともに、早期的、継続的であるべきとしています。御本人みずからがＳＯＳを出すことができない人も多くアウトリーチが必要で、何より経済的な困窮の対策がうまくいってもそれで問題が全て解決できるわけではなく、継続的な支援が必要になります。新制度では相談支援、就労支援、多様な就労機会の提供、住居確保支援、家計相談支援、健康支援、子供、若者の支援、その他生活困窮者の自立の促進に関し任意の事業も含め包括的な事業を実施することになります。
　また、来年四月一日の施行に向け県と市町が連携して具体的な支援策の実行に向けた準備を整える必要があります。しかし報道によると六月末時点で全国の市区町村で担当部署が未定の自治体が約三割あり、順調に準備が進んでいるとは言えない状況です。新制度の支援策は自治体の判断において任意の事業を幅広く実施できるので、できるだけ県内の市町ごとに支援の格差が生じないようにすべきと考えます。また就労支援の場面などでは県による広域的な調整が必要になると思われます。
　そこで、今後生活困窮者の自立支援にどのように取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
　三点目に、振り込め詐欺等の特殊詐欺事件撲滅への対応について、新たに就任された西川警察本部長に伺います。
　静岡県の平成二十六年度県政世論調査の速報値によると、県内で犯罪被害に遭うのではないかという不安を持っている人は五八・五％で、不安を感じている犯罪は空き巣などの侵入窃盗、インターネットを利用した犯罪と続き、第三位が振り込め詐欺などの詐欺で三六・九％の人が不安を感じているという結果が公表されました。詐欺の手口は日々進化し株や社債等の取引やギャンブル必勝情報提供、異性との交際あっせん等を口実にした詐欺、さらに東日本大震災に便乗した手口、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴う不動産や未公開株への投資、入場券の贈呈などを口実とした勧誘や公的機関等をかたって、あなたの個人情報が漏れているので削除してあげるなど電話をかけてきて最終的にお金をだまし取る詐欺が発生しています。犯罪者は常に時代を先取りした巧妙な手口を編み出し、高齢者から若者までそれぞれ狙いを定め次々に襲いかかってきます。一方、加害者の低年齢化も進行し、ことし一月から六月に全国の警察が摘発した未成年者は百三十七人となり統計を始めた二〇〇九年以降最多で、この種の犯罪が一般社会にまで拡大していることに憤りを覚えるとともに、なかなか逮捕されない犯罪グループ組織の巧妙なやり方に怒りを覚えます。
　静岡県警として、今までにも振り込め詐欺等特殊詐欺事件撲滅への対応を懸命に行ってこられたことは承知しておりますが、新たな警察本部長のもとで今まで以上の効力のある取り組みを行う必要があると考えますが、西川警察本部長の決意を伺います。
　次に、人材の新たな育成についてのうち、初めに土曜教育の推進について伺います。
　学校週五日制は、平成四年九月から段階的な実施を経て平成十四年度に完全実施されました。その目的は学校・家庭・地域の三者が互いに連携し役割分担しながら社会全体として子供を育てるという基本理念の具現化にありました。
　昨年の全国学力・学習状況調査の分析によると、小学生の土曜日午前中の過ごし方は、習い事やスポーツ、地域の活動に参加しているが二六・七％、家族と過ごしているが一六・〇％、家でテレビやビデオ、ＤＶＤを見たりゲームをしたりしている、勉強や読書をして家や学習塾で過ごしたり友達と遊んでいるの合計が五〇・六％になり、社会全体として云々という週五日制の設置目的とは違う過ごし方をしている小学生が半数を超えています。
　文部科学省は、土曜日の活用方法として豊かな教育環境を実現する土曜日の教育活動推進プランを進めています。先進事例として、大分県豊後高田市では地域住民が講師となり小中学校生などを教え、教員もボランティアとして手伝うなど地域が一体となって子供たちの活動を支援する事業に取り組み、県内の学力テストが二十三市町村でかつてワースト二位でしたが現在では八年連続で一位になり、あわせて野球やバレーボールで全国大会に出場するなどの成果を上げています。
　そこで、静岡県において文科省の土曜日の教育活動推進プランの地域における多様な学習、文化やスポーツ、体験活動などさまざまな活動の推進のための支援策を活用するなどして土曜教育の推進を行うことが必要と考えますが、教育長の所見を伺います。
　最後に、真の学力向上について伺います。
　文部科学省は、全国学力・学習状況調査の目的を義務教育の機会均等と、その水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握、分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図るとともに、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。さらにそのような取り組みを通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立するとしています。
　また、調査結果の解釈等に関する留意事項では、本調査は、幅広く児童生徒の学力や学習状況等を把握するなどを目的として実施しているが、実施教科が国語、算数・数学の二教科のみであることや、必ずしも学習指導要領全体を網羅するものではないことなどから、本調査の結果については、児童生徒が身につけるべき学力の特定の一部分であることや、学校における教育活動の一側面にすぎないことに留意することが必要であるとして、この調査によって児童生徒全ての学習結果がわかる調査ではないことを強調しております。
　調査内容は、一、教科に関する調査と、二、生活習慣の学習環境等に関する質問紙調査から成っており、一は学習のまさに結果調査であり、二は一の結果が出てきた児童生徒の学習意欲や学習方法、学習環境、生活のさまざまな側面を、また学校における指導方法に関する取り組みや人的・物的な教育条件の整備状況等の原因を調査しているのではないでしょうか。
　よって、教科に関する調査については、教師がその状況を直視し反省すべきは反省し次のステップに進めばいいと思いますが、それ以前の生活習慣や学習環境等に関する調査の結果から見えてくる、児童生徒が抱えている課題や学校における指導方法などの課題を冷静に見つめ、それをどう改善していくかを検討し実行することが結果として教科に関する調査の向上につながると考えますが、教育長の見解並びに今後の真の学力向上に向けた学習状況改善のための推進策を伺い、代表質問といたします。明確なる御答弁をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。（拍手）
○議長（多家一彦君）　川勝知事。
　　　　　　　（知事　川勝平太君登壇）
○知事（川勝平太君）　髙田好浩議員にお答えいたします。
　私の政治姿勢についてのうち、地震・津波対策についてであります。
　地震・津波対策の充実強化は、本県の豊かで自立した地域づくりの基礎となるものであります。本県は目下総合計画を実施しておりますけれども、それとともに八つの重点領域を定め、その筆頭に掲げているのが危機管理、すなわち地震・津波対策でございます。したがって、この地震・津波対策の充実強化は県政の最重要課題と言って過言ではありません。地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に盛り込みました百六十二のアクションを通じまして安全・安心なふじのくにの実現に努めているところであります。
　十カ年計画の初年度となる平成二十五年度には、既存海岸堤防への避難用階段及び避難誘導看板の設置など既に十五のアクションで目標を達成していますが、県民の皆様の水・食料の備蓄など一部の取り組みにはまだ達成度の低いものもございます。アクションプログラムの進捗を促す意味におきましても、御提案いただきました防災の日など毎年度のできる限り早い時期に進捗状況を公表し、課題を分析するとともに改善を図ります。
　また、南海トラフ地震対策特別措置法に基づき市町が策定する津波避難対策緊急事業計画につきましては、県が積極的に関係省庁との調整を行い作成例を示すなど市町と一体となって取り組んでおります。既に九市におきまして事業計画の作成が進んでいます。命山や津波避難タワー、避難路の整備に係る補助率のかさ上げなど、国の制度が有効に活用されるよう引き続き支援してまいります。
　この南海トラフ特措法による、関係する九の本県を含む県がございますけれども、それは例えば高知県あるいは宮崎県のように特措法ができたので整備をしてくださいという国への要望が中心でございますけれども、私どもはそれに先立って自分たちでやっているということは本県の防災先進県としての特徴ではないかというふうに存じます。
　私どもは、県民の生命財産を守るため、昨年度創設いたしました緊急地震・津波対策交付金を活用するなど今後とも地域特性に応じた地震・津波対策をハード・ソフト両面から着実に推進し、減災目標である想定される犠牲者の八割減少に向けまして全力で取り組んでまいります。その結果、本県は最も危険なところにあるけれども最も安心な地域という一見矛盾するような表現ですが、最悪の場合を想定し、それを想定した形での防災・減災対策がとられている地域としての地位を確立したいと存じております。
　次に、中小企業への雇用支援策についてであります。
　静岡県には、安定した経営基盤と革新性を兼ね備えた中小企業が多数立地しています。こうした中小企業が優秀な人材を確保することは本県経済の持続的な発展にとって極めて重要な課題です。この課題を達成するためには、県内企業の魅力発信と県外からの新たな人材の受け入れを強化する必要があります。
　本県出身者の大学進学先の約四割が首都圏であります。このこと自体は特段問題視するべきではないと存じます。課題は首都圏あるいは県外に行った若者たちが戻ってきやすい環境をつくることであります。したがいまして、県ではこうした静岡県出身の学生、あるいはＵターン並びにＩターンというのがございますので、そうした若い青年たちが本県企業へ就職をする場合、その支援の拠点といたしまして本年七月に東京都内に静岡Ｕ・Ｉターン就職サポートセンターを開設したところであります。今月十八日には当センターにおいて県内二十七の企業による就職面接会を開催いたします。
　あわせて、先ほど地域おこし協力隊の国の制度について御紹介いただきましたので、これももう既に浜松ほか一市三町ですか――で取り組まれているということなので、こうした地域おこし協力隊も拡充されるとのことでございますから、他の市町にも行き渡るようにこのセンターで何らかの紹介ができないか考えたいと存じます。
　今後は、大学生の就職活動の開始が三年生の十二月から三月に繰り下げられました。すなわち就職の活動期間が短くなります。そのことで中小企業での人材確保がさらに厳しくなると見込んでいます。このため県内中小企業の状況を知ってもらう取り組みとして、首都圏の学生さんを対象に県内の主要な業界の動向を紹介する説明会、企業見学バスツアーを就職活動開始前の早い時期から繰り返し実施する予定です。加えて、今年度初めてＵ・Ｉターン就職をした若手社員との交流会も開催することといたしました。
　さらに、県内高校と連携いたしまして、高校三年生及びその保護者に対しましても県の就職支援サイトへの登録を働きかける取り組みを今年度から始めることといたしました。保護者の意見というのも親孝行の青年たちにとっては重視するべき意見になりますので、そういう保護者へも働きかけようということでございます。高校卒業後も本県や県内企業の魅力、就職関連イベントの情報を発信してまいります。
　今後とも、県内経済の持続的な発展を図るため中小企業の人材確保支援に積極的に取り組んでまいります。
　次に、リニア中央新幹線の工事開始に関する対応についてであります。
　ＪＲ東海は、八月二十六日、国土交通大臣に対して環境影響評価法に基づき大臣意見を踏まえて補正した評価書を提出するとともに、全国新幹線鉄道整備法に基づく工事実施計画の認可申請を行われました。工事につきましては今後国土交通大臣の認可を受けた後に開始することになります。
　もともとＪＲ東海のほうでは、二〇二七年度をめどに品川から名古屋までを一挙開通するという御予定でした。しかしこの発表がされたのはオリンピックの誘致が決まる前のことでございます。私どもは二〇二七年に七年先立つ二〇二〇年にオリンピックが開かれるということでございますので、そのときに既に日本の誇るインフラとして海外の注目の高い新幹線ということでございますので、既存の新幹線並びにこのリニア新幹線を東京オリンピック時には内外の方々にＰＲするためにも、まずは地質構造のわかっているところから工事を始めるべきではないかというふうに考えております。すなわち工程表につきまして従来のものを見直し、関東ローム層ということで地質構造のわかっている甲府から品川までを最初にするべきではないかと。そして東京がオリンピックの会場でございますので、そこからリニア新幹線に乗れば十分余りで甲府に着くということになりますので、それ自体が大きなＰＲ効果を持つというふうに思う次第でございます。
　一方、ユネスコエコパークに登録された南アルプスにつきましては、毎年四ミリメートルと世界でもトップレベルの速度で隆起しておりまして、その一方で河川侵食などによって崩壊を続けている地域です。工事につきましては、徹底的に地質、環境等への影響を調査した上で慎重に慎重を重ねて行うことが肝要であります。にもかかわらず工事に入るという場合には、先ほど県議が言われましたが、この七月に現場に入られたということで帰り道に落石があったという御経験をされたそうですが、畑薙のダムから二軒小屋までの道は極めて状態が悪うございます。私も二度ばかり往復をいたしましたけれども、一度目のときには、一度は落石に対しましてベテランドライバーがよけて通るわけですが、残念ながら踏みつけてしまいましてパンクしてしまいました。したがいましてその間タイヤの交換を待たなくちゃならんということだったわけです。
　こうしたことから、本格的な工事に入る前に既存道路の強化をするべし、拡幅すべしと。そしてまた初夏から初秋に至るまでは登山者が来ますので、その人たちにも事故があってはならんということでございますから、工事に入る前には作業用専用道を設置するという、これを前提にするべきではないかと思いますね。そうすると井川の方たちにとっても、また登山者にとっても南アルプスに静岡県側から入るというのが今まで以上に簡便になるというふうに思う次第であります。
　静岡県では、四月二十二日に静岡県中央新幹線環境保全連絡会議を立ち上げました。専門家、井川地区の住民代表、大井川利水関係者は言うまでもありませんが、事業者であるＪＲ東海にも御参画いただき、発生土置き場が生態系に与える影響や工事用車両の通行等が住民に与える影響、河川流量への影響の確認、事業者が実施する環境保全措置の内容等々に関しまして地元の視点も重視した調査検討を開始したところです。
　今後は、環境影響評価条例に基づきまして工事開始前にＪＲ東海から提出される事後調査計画書に対し、県環境影響評価審査会の審議等を踏まえ知事意見を述べるとともに、環境保全連絡会議で大井川の河川流量や自然環境、さらに地元の生活環境等に影響を与えないように引き続き事業者に助言してまいりたいと存じます。また仮に自然環境、生活環境への悪影響が出たり大井川の流量の減少が生じた場合には、断固たる決意、体を張って私自身が納得いく対応をＪＲ東海に求めてまいる決意をしています。
　次に、人口減少社会への挑戦についてのうち、地域づくりの方向性についてであります。
　国土のグランドデザイン二〇五〇では、コンパクトとネットワークをキーワードにそれぞれの地域がみずからの資源に磨きをかけ、複数の地域間の連携によりヒト、モノ、情報の交流を促進する多様性と連携、さらにそれを可能にする災害に対する安全の確保を基本理念として示しているところです。
　この考え方は、私どもの総合計画後期アクションプランにおきまして、ポスト東京時代の日本の理想郷を支える特色ある五つの地域圏の形成を目指す静岡県の地域づくりの方向性と共通するものであります。というよりは、私どもはこの国土のグランドデザイン二〇五〇を先取りしているという自負を持ち得るのではないかと存じます。
　静岡県では、地域づくりに当たりましてまずは地震・津波対策アクションプログラム二〇一三、あるいは内陸のフロンティアを拓く取り組み等によりまして、安全・安心で魅力のある地域圏の形成に積極的に最優先で取り組んでいるところです。またそれぞれの地域が有する場の力、潜在力を最大限に活用いたしまして、多彩で力強い地域圏を形成していこうとしております。さらに新東名高速道路を初めとする交通ネットワーク等の充実により、圏域を越えた相互連携・交流の促進を図ることで県全体として多様な地域性が調和する、多様なものの調和としての富士山の理念にふさわしい、そうしたものを体現したふじのくにの形成を目指しているところであります。
　今後は、現下の最大の課題である人口減少を克服するため、来年度五つの地域圏ごとに地域会議を設置いたしまして、地域の特性を踏まえた対策を推進することにいたします。この中で人口減少社会への適応戦略として、都市機能の集約化を進めるコンパクト化につきましても中長期的な視点で取り組む所存です。
　こうした取り組みを通じまして、人口減少下においても活気あふれる、美しく強くてしなやかであるというレジリエンスという国土強靭化がございますけれども、私どもはこの風景の画廊とも言われる静岡県をあずかっている者として美しさ、強さ、しなやかさを三位一体とした地域づくりを進めまして、富国有徳の理想郷“ふじのくに”の実現に努めてまいります。
　次に、安全・安心な社会の構築についてのうち、生活困窮者自立支援の推進についてであります。
　県内の有効求人倍率は、おかげさまで本年一月以降一倍を回復し直近の八月は一・〇八倍となりました。景気も緩やかな回復基調が続いておりますが、一方県内の生活保護世帯数につきましては過去最高を更新するという状況が続いています。こうした中、生活保護に至る前の段階で、就労を初めとする自立支援と相談などを行う生活困窮者自立支援制度が生活に困窮する方々の自立に大変役立つ制度ではないかと認識しているわけです。
　県では、来年四月からの生活困窮者自立支援法の施行に向けまして健康福祉センターで準備を進めるとともに、全ての市町に対し福祉事務所の所長さんの会議、ブロック会議などにおきまして担当部局設置などの準備の促進に向けた働きかけを行ってまいりました。これにより三十五市町のうち県が実施主体となる町につきましては、新制度開始に先駆けてモデル的に自立支援や相談業務を開始するとともに、静岡市、浜松市、富士宮市、掛川市及び御殿場市の五市におきましては既に自立相談支援の窓口が設置されております。着実に新制度の導入の体制が整えられていると存じます。
　今後は、市町の担当部局に対し制度の周知徹底、先進事例の紹介等に加え効果的な実施手法について意見交換を行い、新制度の円滑な導入を図ってまいります。また現在、広域的な支援を行うハローワークとの協定の締結による生活保護受給者への就労支援が効果を上げておりますので、この連携を活用した取り組みを強化したいと存じます。さらに各市町に対しまして早期の自立につながる幅広い生活支援を働きかけ、複合的な課題を抱えた生活に困窮する方々に寄り添い、希望や自立につなぐことができるセーフティーネットの構築に努めてまいる所存であります。
　その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○議長（多家一彦君）　野知交通基盤部長。
　　　　　　　（交通基盤部長　野知泰裕君登壇）
○交通基盤部長（野知泰裕君）　防災対策についてのうち、土砂災害対策についてお答えいたします。
　県では、土砂災害から県民の生命や財産を守るためハードとソフトが一体となった対策を実施しており、人家が集中するなど整備効果の高いところからハード整備を進めるとともに、住民が確実に避難できる体制の構築などのソフト対策を推進しております。このため土砂災害危険箇所一万五千百九十三カ所を対象に、土砂災害警戒区域を昨年度末までに九千九百十三カ所、率にして約六五％、このうち土砂災害特別警戒区域を七千三百十三カ所指定したところであり、平成二十九年度を目途に全箇所の指定を進めてまいります。さらに八月に発生した広島市における土砂災害を踏まえ本年度中に宅地化の進行などによる新たな危険箇所の実態把握を行い、早期指定に努めてまいります。
　また、住民みずからが迅速に避難できるようパンフレットやハザードマップの配布による防災情報の周知、防災訓練や自主防災組織への講習会による防災リーダーの育成などこれまでも市町と協力して啓発活動を行ってまいりましたが、ハザードマップの配布率が低いことから今後は指定された区域での配布の徹底を図るなどさらなる地域防災力向上策に取り組んでまいります。県といたしましては、市町と連携し施設の整備を推進するとともに、より確実な住民避難の促進など総合的な土砂災害対策を進め安全・安心な地域づくりを目指してまいります。
　次に、社会資本の活用についてのうち、生活排水処理のあり方についてであります。
　静岡県生活排水処理長期計画につきましては、前回の策定から十年余りが経過し人口減少や地方財政状況の厳しさなど社会経済情勢も変化していることから、県と市町が共同して生活排水対策をより効率的かつ適正に推進するため、防災・減災の視点も取り入れ本年三月に見直ししたところであります。この計画に基づき、下水道や集落排水の整備から浄化槽の設置へ転換するなど地域の実情に応じた最適な整備手法の選択や生活排水を下水道へ統合するなど維持管理の向上に取り組んでおります。
　また、災害時対策といたしまして第四次被害想定を踏まえた施設の耐震化や津波対策を行い被害の最小化を図るとともに、市町に事業継続計画、いわゆるＢＣＰの策定を促し災害発生後の迅速な施設機能の回復を目指してまいります。
　県といたしましては、市町と連携して効率的な生活排水処理に取り組むことにより河川や湖沼など公共用水域の良質な水環境を確保し、安全で安心できる快適な暮らし空間の実現を図ってまいります。以上であります。
○議長（多家一彦君）　岩田危機管理監。
　　　　　　　（危機管理監　岩田孝仁君登壇）
○危機管理監（岩田孝仁君）　防災対策についてのうち、タイムラインの早期導入についてお答えいたします。
　県では、台風接近前の危機管理業務を時系列に従って整理した事前防災行動計画、いわゆるタイムラインを作成し、本年の台風八号、十一号においてこれに沿って気象台による説明会や市町への注意喚起、本部体制の準備などの事前対応を行ったところであります。今回タイムラインを運用することにより各職員が業務の目的や実施時期を明確に認識でき効果的に情報共有が図られ、先を見越して適切な時期に漏れなく業務を進めることができました。
　さらに、タイムラインに基づき夜間を避け早い時間に住民避難を促すよう市町へ通知し、これを受け山間部を抱える多くの市町が速やかに避難所を開設するなど時間に余裕を持った対応がなされ、その有効性を確認したところであります。
　今後は、タイムラインの考え方を全庁的な取り組みに広めるとともに、住民の避難を直接担う市町にも積極的に働きかけ行政と地域住民が災害発生前に適切な防災行動をとれる環境づくりに努めてまいります。以上であります。
○議長（多家一彦君）　篠原企業局長。
　　　　　　　（企業局長　篠原清志君登壇）
○企業局長（篠原清志君）　防災対策についてのうち、工業用水道、水道の施設等の耐震化についてお答えいたします。
　企業局は、平成二十五年度に策定いたしました第三期耐震計画に基づき耐震化を進めております。施設につきましては中央監視室や浄水施設など重要度の高い施設から工事を実施し、管路につきましては老朽化している管や地盤の悪い箇所から優先的に耐震性の高い継ぎ手を有する管への取りかえを進めております。なお、これらの工事に当たりましては、ユーザーの負担を軽減するため積極的に国の補助金を活用するほか起債により負担の平準化を図っているところであります。
　復旧用資材の備蓄につきましては、第四次地震被害想定に基づき震度と地盤の状況から被害箇所は二百九十三カ所と想定しておりますが、資材は四百十カ所分を確保し早期の復旧に努めてまいります。
　また、人材の育成と確保では、企業局や県内市町の職員を対象にした災害時の対応力を高める研修の充実や企業局ＯＢの方々との連携の強化に取り組んでおります。加えて東海四県及び名古屋市並びに神奈川県との間で災害時の相互応援協定を締結するとともに、県内の建設業や電気設備などの十三団体、二十八社とも支援体制を整えております。
　企業局といたしましては、今後とも施設等の耐震化に着実に取り組み、緊急時においても水の供給が早期かつ確実に行えるよう努めてまいります。
○議長（多家一彦君）　伊藤文化・観光部長。
　　　　　　　（文化・観光部長　伊藤秀治君登壇）
○文化・観光部長（伊藤秀治君）　人口減少社会への挑戦についてのうち、地域の高齢化を誘発しない移住・定住政策についてお答えいたします。
　平成二十五年度に県の移住・定住相談センターに寄せられた相談の六五％が首都圏在住者で、二十代から四十代の若者や子育て世代が半数近くとなっておりますことから、首都圏の若者世代へのアプローチを強化することが重要であります。このためこれまで行ってまいりました移住相談会や田舎暮らし専門誌への広告掲載等に加え、今年度は新たに若者や子育て世代を対象に本県へ移住された方々との交流会を十一月に東京で開催してまいります。
　また、この七月から都内にオープンした静岡Ｕ・Ｉターン就職サポートセンターとも連携して情報提供を行うほか、移住希望者が本県を訪問し住民と触れ合い地域への理解を深めていただく体験ツアーの開催などにも市町と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
　一方、地域おこし協力隊については、県が委嘱し派遣期間が終了した四名のうち三名がその後も地域に定住し、それぞれの個性や経験を生かし地元特産品の通販サイトの企画運営や耕作放棄地の解消などに継続して取り組んでいただいております。地域の担い手として期待の持てる人材として育っておりますことから、今年度も三名の派遣を予定しております。未実施の市町に制度の活用を働きかけますとともに、移住相談会などさまざまな機会を通じて隊員募集活動に取り組んでまいります。以上であります。
○議長（多家一彦君）　下山経営管理部長。
　　　　　　　（経営管理部長　下山晃司君登壇）
○経営管理部長（下山晃司君）　社会資本の活用についてのうち、県有施設の活用についてお答えいたします。
　県では、人口減少などによる行政ニーズの変化に対応して、未利用スペースや施設の有効活用を図っていくため平成二十四年度からファシリティマネジメントを本格導入しております。具体的には利用度や建物性能などの一定の指標で県有施設全体を分類し、計画的保全による質の高い施設の維持や施設の廃止による積極的な売却、転用統合による利用度向上につなげる取り組みなど経営的視点を取り入れた施策を実施することとしております。
　施設の転用の例といたしましては、旧長泉高校をファルマバレープロジェクトの拠点施設に、また旧静岡南高校を自然系博物館ふじのくに地球環境史ミュージアムにそれぞれ改装いたしました。これは当初の設置目的を果たした施設に新たな役割を与えるというこれまでにない取り組みであります。
　また、施設の有効活用は市町と共通の課題でありますことから、ことし四月に県と県内全市町が参加するファシリティマネジメント研究会を設置いたしました。公共施設情報の共有化やオープン化などにより各市町のファシリティマネジメントの取り組みを支援しながら、県内全域での公共施設の有効活用を目指しているところであります。こうした取り組みを通して行政ニーズの変化を見きわめながら県有施設の有効活用について積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○議長（多家一彦君）　池谷くらし・環境部長。
　　　　　　　（くらし・環境部長　池谷　廣君登壇）
○くらし・環境部長（池谷　廣君）　社会資本の活用についてのうち、空き家の活用についてお答えいたします。
　平成二十五年住宅・土地統計調査の速報値によりますと、本県の空き家は約二十七万戸で、そのうち別荘や中古住宅市場に流通している賃貸用住宅等を除いた空き家は約八万戸と平成二十年調査に比べ約二万戸増加しております。特に都市近郊部では高度成長期に開発された大規模団地において住民の高齢化に加え空き家の増加が目立ち、その住宅ストックの有効な活用や地域コミュニティーの再生が課題となっております。
　このため、県では三島市の光ケ丘団地において民間の静岡不動産流通活性化協議会及び三島市と連携し、団地内の空き家等の流通促進と地域の活力維持、再生を図るモデル事業を開始したところであります。具体的には団地住民にアンケートをとり売買や賃貸を希望する所有者に対しては建物の検査やリフォーム工事の費用を補助することで、消費者が安心して購入や賃借できる住宅として中古住宅市場に供給するものであります。
　県では、本事業を起爆剤とし空き家流通の活性化と県民のライフステージに応じた住みかえ需要を喚起して空き家の活用を図ってまいります。以上であります。
○議長（多家一彦君）　宮城島健康福祉部長。
　　　　　　　（健康福祉部長　宮城島好史君登壇）
○健康福祉部長（宮城島好史君）　安全・安心な社会の構築についてのうち、夜間救急電話相談大人版＃八〇〇〇の導入についてお答えいたします。
　県では、静岡こども救急電話相談＃八〇〇〇番の相談時間の拡大や医療ネットしずおかの機能強化による利便性の向上等、救急医療情報の提供体制を充実することにより救急医療機関の負担軽減や小児を持つ親の不安の解消などに寄与してまいりました。
　また、県独自に毎年九月を地域医療を考える月間に定め、県内各地域で行われる医療機関や住民団体などとの連携による救急啓発イベントの開催を通じて救急受診の目安や応急処置の方法を示すなど救急医療に対する理解の促進を図っているところであります。
　御提案のありました大人版の夜間救急電話相談につきましては、平成二十一年度から国のモデル事業として三自治体が取り組みを始めましたが、救急搬送件数の減少につながらなかったなどの理由により事業を取りやめた自治体もあります。また現在事業を実施している六自治体の中には、相談件数が当初の想定よりも低調であるといった課題が見受けられるところもあります。
　県といたしましては、これまで実施してまいりました救急医療に関する県民の皆様への情報提供や啓発をさらに充実強化するとともに、大人版＃八〇〇〇の先行事例の実施体制や実績等の検証も行いながら緊急時に安心できる救急相談体制のあり方について検討してまいります。以上であります。
○議長（多家一彦君）　西川警察本部長。
　　　　　　　（警察本部長　西川直哉君登壇）
○警察本部長（西川直哉君）　安全・安心な社会の構築についてのうち、振り込め詐欺等の特殊詐欺事件撲滅への対応についてお答え申し上げます。
　特殊詐欺の撲滅につきましては、全国警察挙げて取り組んでいるところでございます。本年八月末時点における本県での特殊詐欺の被害は百三十八件、被害額八億円余りとなっておりまして、近隣各県においては昨年同期より軒並み件数、被害額とも増大している中、唯一件数、被害額とも減少しております。これは全国に先駆けて導入いたしました金融機関との連携による預手プランの効果を初め暴力団幹部を含む特殊詐欺グループの中枢被疑者を逮捕するなどの強力な取り締まり、また関係機関・団体と連携しての防犯指導に加えまして新聞各社による広報活動、昨年四月からＮＨＫ静岡放送局に取り組んでいただいている「詐欺ゼロキャンペーン」、さらには本年九月一日からはアポ電多発時など、今まさに犯罪が起きようとしているときＳＢＳラジオの番組で注意喚起をしていただいているといった、複合的な広報活動等の効果が被害の減少に結びついてきたものと考えております。しかしながら依然として特殊詐欺被害は多発していると言わざるを得ない状況に変わりはないところでございまして、このような防犯取り締まり活動を強力に推進していくとともに、新たな施策をも進めていかなければならないと考えております。
　そこで、ＪＲ各駅では被害が疑われる高齢者への鉄道警察隊員らによる声かけ、コンビニ、郵便局、宅配業者との連携強化による被害現金のインターセプト作戦など物理的な被害防止策をも取り入れたところであります。さらに被害者が犯人からの詐欺電話で困惑しておって警察には相談しにくいという状況でも警察以外に相談できるよう、関係機関などに窓口の開設を働きかけることなどを計画しているところであります。
　今後、社会全体でこの種犯罪による被害防止を図るとともに、詐欺組織の壊滅に向けた捜査を強力に進めまして卑劣な犯罪は絶対に許さないという強い姿勢で臨みたいと考えております。以上であります。
○議長（多家一彦君）　安倍教育長。
　　　　　　　（教育長　安倍　徹君登壇）
○教育長（安倍　徹君）　人材の新たな育成についてのうち、土曜教育の推進についてお答えいたします。
　県教育委員会では、学校週五日制導入以来、土曜日における学習の場の提供に努めてまいりましたが、最近の子供たちの過ごし方を見ると土曜日を活用した体験や学習の環境をさらに整えていく必要があると認識しております。
　現在、吉田町では教育委員会と学校、家庭が一体となり基礎学力の向上を目指し、中学生を対象に元教諭や大学生、現役教諭らによる土曜学習を実施しております。また藤枝市など十三市町でも放課後子ども教室推進事業を活用し、地域の協力を得て土曜日の体験活動を実施しております。
　県教育委員会といたしましては、土曜日における教育活動の環境をより豊かにするため、議員から御紹介がありました文部科学省が展開する土曜日の教育活動推進プランを積極的に活用するよう各市町教育委員会に働きかけるとともに、県内各地で行われているすぐれた実践事例を広く紹介し地域の子供は地域で育てるという機運が一層高まるよう努めてまいります。
　次に、真の学力向上についてであります。
　全国学力・学習状況調査は、議員からも御指摘がありましたように、学力の調査結果に加え生活習慣や学習環境等に関する調査結果を踏まえて児童生徒の学習に対する姿勢や環境について詳細な分析を行い、解決に向けた対応策を実践していくことが大切であると考えております。
　日々の授業におきましては、子供の学習に対する興味関心を育み学びの実感を積み重ねるために、教師がさまざまな手だてを工夫することが求められております。例えば数学の指導方法について、文部科学省の報告書によりますと発展的な学習や実生活における出来事と関連づけた学習は教育効果が大きいことが示されており、今後本県の課題等を明らかにし、このような効果的な指導の工夫改善を検討し実行してまいります。
　また、子供の学習環境につきましては保護者や地域との連携が重要であると考えております。本年度は調査結果をもとに作成した子供の学力向上のための保護者、地域向けリーフレットを公立小中学校、特別支援学校小中学部の全保護者並びに公民館や図書館に配布することとしております。また市町教育委員会と連携しながら、各種会合において本県の抱える課題の共通理解を図り対応策を検討するなど学校、保護者、地域が一体となって学習環境の改善に努めてまいります。以上であります。
○議長（多家一彦君）　二十八番　髙田好浩君。
　　　　　　　（二十八番　髙田好浩君登壇）
○二十八番（髙田好浩君）　一括で再質問をさせていただきます。
　まず、リニア新幹線でございますが、知事がおっしゃる二〇二七年、それから二〇二〇年。これは確かにあると思いますが、やはり総量は変わらないと思いますので、そういう意味では工程表の見直し。それも私もあるのかなと思いますけれど、やはり今はこの連絡会議が頼みの綱でございますので、ここで知事のＪＲ東海に対するきちっとした姿勢を示し、また住民の方々にも安心・安全を与えていただきたい。このように考えております。この連絡会議に臨む姿勢、ＪＲに対する姿勢について、もう一度お聞かせいただきたいと思っております。
　二点目は、タイムラインでありますけれども、やはりこれは県というよりも現場である市町がどのように取り組んでいくかということが大事だと思います。アメリカにおいてもそういう広い範囲ではなくて、やはり狭いところで、うちのところはどうしようかということでありますので、県で言えば、三十五の市町が一日も早くこの体制ができるような、そういうこれから取り組みが必要だと思いますけれども、もう一度そこのことについてお聞かせいただきたいと思います。
　それから、高齢化を誘発しない移住・定住政策ですけれども、今、就職という意味で東京に窓口がございますが、お話にもありましたようにこれを拡大をして、やはり住居、仕事、教育、これがそろいませんと、やはりこちらに来る、そういう決意ができないと思います。ぜひこの窓口、せっかくつくりましたので早急に拡大をしていただいて具体的なそういう取り組みができるようにしていくべきと思いますけれども、いかがでしょうか。お答えいただきたいと思います。
　それから、県有施設の活用についてでありますけれども、県有施設はそれをどうするかということでいつも考えるときには、まず公共投資。こういうことだと思いますけれども、先ほどお話しさせていただいたように、より柔軟なやり方。要するに公共にだけではなくて民間ベースにもこの建物が使えないか。そういうことをあわせて同時並行に行っていく必要が私はあろうと思います。そういう中で企業がそれを使ったり、あるいはほかの団体が使うということもあろうと思いますので、やはりすばらしい場所にあることは間違いないと思いますので、それについて、もう一段の活用の努力が必要だと思いますが、民間との連携についてお聞かせいただきたいと思います。
　それから、大人版＃八〇〇〇。なぜうまくいかなかったのか、まず分析をお願いしたいと思います。検討するということは大事ですけれども、検討し過ぎてもしょうがない。そういうことで費用対効果ということだと思いますけれども、今年度新たに、これは埼玉県ですけれども三千八百万円を計上して新たに事業を起こしたと。こういう地域もあります。やはりそういうところをなぜできているのかということ、両面しっかり考えていただいて、やはりこれからの時代、私は絶対にこれは必要な事業だと思いますので検討をお願いしたい。もう一度答弁をお願いしたいと思います。以上です。
○議長（多家一彦君）　川勝知事。
○知事（川勝平太君）　リニア中央新幹線の南アルプスの掘削工事に関する再質問、ありがとうございました。
　連絡会議におきましては、地元の人ほか多数の方々が加わられております。その中でＪＲ東海は、当初はちゅうちょされておられましたけれども加わっていただくように強く働きかけるというのが私の役割かなと思いました。
　もとより大深度のトンネルでございますので、誰の所有でもないということでございますけれども、南アルプスはＪＲ東海の所有物ではありません。したがいましてその近隣にお住まいになっている方々、また大井川の水によって生活、産業をされている方々にとっても皆にとって大事なものでありますから、ＪＲ東海は当然この当事者とともに納得づくめで、工事をする場合あるいは何か起こった場合にはその都度報告をし、協議をしていかねばならないという考えであります。
　また、ＪＲ東海と私とは、もう十年ははるかに上回る長い交流がございます。そうした交流を通じて現在、実質意思決定者のトップと見られる葛西さんを初め現在の柘植社長、あるいは退かれましたけれども松本元社長さんなども存じ上げておりますので、トップ同士での意思疎通がこの解決に、あるいは連絡会議の方々に役に立つ限りにおいて、そのえにしも活用させていただきたいというふうに思っております。実際新しい社長になられて柘植さん、前の社長の山田さん、会長として知事室に表敬に来られたぐらいでございまして、特段要請もしてなかったわけですけれども、そうしたこともございますので、そうした個人的な信頼関係などもベースにした静岡県とＪＲ東海の関係を敵対的な関係にしないような、同時に全ての人に迷惑かけないような、そういうものにしていきたいと。
　また、リニア中央新幹線それ自体に反対しているわけではありません。これ自体は日本の五十年前につくられた新幹線の、さらにそれを上回る世界最先端の技術であります。これ自体が人々の福祉、経済に役立つということは確信しておりまして、そのことと南アルプスというエコパークを大事にするということとは両立するということでございます。エコパークである南アルプスにリニア新幹線が入るということは南アルプスを危うくするからリニア新幹線反対というのは、これは飛躍です。南アルプスも大事にする、リニア新幹線も、その工程も含めていろいろと生かしようがあるはずで、これをこれからつくっていくわけですから動きながら工夫をしていこうということで、私も当事者の一人という思いでいるところであります。以上であります。
○議長（多家一彦君）　岩田危機管理監。
○危機管理監（岩田孝仁君）　タイムラインの再質問ありがとうございます。
　私ども、髙田議員と同じ思いでですね、実は昨年度からタイムラインの導入についていろんな部局、それから各市や町にも事例を示しながら働きかけてまいりました。具体的には、今年度私ども県としての特に危機管理部としてタイムラインの事例をお示ししながら各市町にもお示しし、今回導入を既に図られ運用も実施された市町も八つ生まれてまいりました。運用について案はつくってありますけど、まだ運用は具体的にしていない市町もございます。それからこれから検討を進めていく市町もございます。なるべく私どもとしてはいろんな事例を各市や町にも具体的事例を幾つもお示ししながら早急な導入を進めていくように働きかけていきたいというふうに考えております。これは本当に住民の生命を守るために事前の防災行動というのは非常に重要であるというふうに考えておりますので、これは県だけではなく市町も一体となって、特に住民の方々にも御理解いただきながら前もっていろんな行動をとるということで私も積極的に進めさせていただきますので、ぜひ御理解いただければと思います。
○議長（多家一彦君）　伊藤文化・観光部長。
○文化・観光部長（伊藤秀治君）　移住・定住政策についての静岡Ｕ・Ｉターン就職サポートセンターの拡充についての御質問についてお答えいたします。
　サポートセンターでございますが、七月にオープンしたばかりでございますが移住・定住政策、就職と連携して今、情報提供をしております。こうした中で今後はやはり移住・定住を希望される方々にワンストップで、就職だけでなくて移住・定住、また教育などさまざまな質問に答えていくワンストップ窓口としてやはり機能していくことが望ましいと考えております。今後関係機関と連携して、そういった方向でできるよう検討してまいりたいと考えております。以上です。
○議長（多家一彦君）　下山経営管理部長。
○経営管理部長（下山晃司君）　社会資本の活用についてのうち県有施設の活用につきまして、再質問にお答えをいたします。
　従来ですと、県有施設について県として何ができるのかということで総量の適正化でありますとか、あるいは長寿命化、あるいは維持管理経費の縮減とそういったことについていかに工夫できるかということに取り組んでまいったわけですが、今後はそのさらなる工夫と、それからその発想を市町と一体となってというところに広げるということについては先ほど御答弁申し上げました。
　また、議員の御指摘がありましたように、今後はさらに公有の施設と民間所有の施設、相互に有効に活用していくというそういう新しい着想も持ちまして、柔軟に取り組んでまいりたいと考えております。以上です。
○議長（多家一彦君）　宮城島健康福祉部長。
○健康福祉部長（宮城島好史君）　夜間救急電話相談大人版＃八〇〇〇の再質問についてお答えいたします。
　現在導入している県の中では、大阪、奈良については大変相談件数の実績が多い状況で大変活用されていると伺っております。また香川、山形では、ちょっと相談件数が少ないというふうな状況も聞いております。また先生から御指摘ありましたとおり、埼玉県がことし十月一日から新たに導入するというふうなことも伺っております。私どもといたしましては単に件数の上面だけを調べるのではなく、しっかりとうまくいっている原因、まずい原因、それからなぜこれから導入するかについてしっかり話を伺いながら、丁寧に検討してまいりたいと思います。以上でございます。
○議長（多家一彦君）　これで髙田好浩君の質問は終わりました。
　議事の都合により休憩します。再開は午後二時五十五分といたします。

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〒420-8601 静岡県静岡市葵区追手町9番6号電話番号(県庁案内)：054-221-2455

	質問者：	髙田　好浩議員
	質問分類	代表質問
	質問日：	10/01/2014
	会派名：	公明党静岡県議団
	質疑・質問事項：	１　知事の政治姿勢について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(1)　地震津波対策　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(2)　中小企業への雇用支援策　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(3)　リニア中央新幹線の工事開始に関する対応　　　　　　　　　　　　２　防災対策について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(1)　土砂災害対策　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(2)　タイムラインの早期導入　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(3)　工業用水道、水道の施設等の耐震化　　　　　　　　　　　　　　　３　人口減少社会への挑戦について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(1)　地域づくりの方向性　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(2)　地域の高齢化を誘発しない移住・定住政策　　　　　　　　　　　　４　社会資本の活用について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(1)　県有施設の活用　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(2)　空き家の活用　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(3)　生活排水処理のあり方　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　５　安全・安心な社会の構築について　　　　　　　　　　　　　　　　　　(1)　夜間救急電話相談「大人版♯八〇〇〇」の導入　　　　　　　　　　　(2)　生活困窮者自立支援の推進　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(3)　振り込め詐欺等の特殊詐欺事件撲滅への対応　　　　　　　　　　　６　人材の新たな育成について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(1)　土曜教育の推進　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(2)　真の学力向上