本会議会議録
答弁文書
平成30年2月静岡県議会定例会
相坂 摂治 議員(自民改革会議)の 代表質問 に対する答弁
(質問日:02/26/2018番目)
答 弁 者 | : | 知事 |
○知事(川勝平太君) 相坂議員にお答えいたします。
私の政治姿勢についてのうち、総合計画の策定と私が目指す静岡県の将来像についてであります。
私は、知事就任以来地域づくりの基本理念として富国有徳を掲げてまいりました。この富国有徳とは富士という字を四字熟語にしたものであります。富士の士という字は有徳の人を意味し、富士の富という字は物心の豊かさを意味するわけでございます。徳のある人が物心ともに豊かに暮らす、人と物をともに大切にする自立した地域を実現しようとするものでございまして、いわば富士山のある日本の大地に根差した理念であります。戦前期、富国強兵、特に戦前期は強兵、戦後は富国というものに偏した富国強兵の時代が続きました。これにかわる、富士山がある限り私は日本国としての不滅の理念であると思っております。
これに加えまして、後期アクションプランではポスト東京時代の日本の理想郷を創るを掲げました。これは本県が新しい時代の日本を切り拓く先導役を担うという決意であります。
これまで、我が国は中心地の名称で時代を区分してまいりました。正確には首都機能の所在地で時代区分をする世界で唯一の国です。奈良時代、平安京都時代、鎌倉時代、室町時代、安土桃山時代、江戸時代といったぐあいであります。明治以降の日本は東京に首都機能が置かれました。したがって私はこれを東京時代と呼んでおります。東京時代の目的は何であったのかと。日本には所変われば品変わるという、そういうことわざがございますけれども、東京の第一における目的は欧米の文物を受容して欧米に追いつき追い越すということを目的とする拠点であったと存じます。その目的は私はほぼ達成されたと見ております。
この東京時代、欧米に追いつくための中央集権体制の時代でもありました。日本が今日の発展を遂げ、いまやその役割は終えております。むしろ人口減少が進む中、東京が人口を吸収し、そして合計特殊出生率が一余りということで言ってみればアリ地獄のような存在になっているわけでございます。
そこで、その一方東京一極集中によって地方は疲弊しております。国内の各地域がこれからは東京を模倣してミニ東京になるのではなくて、それぞれの持っている固有の場の力を生かして自立し魅力ある地域を実現する、いわば多中心の時代、すなわちポスト東京時代に移行すべきであるという考えに変わりはありません。
折しも、本年は明治維新から百五十年の節目の年であり、来年は平成の世も改まり新しい時代を迎えます。明治から続いた東京時代を総括し新しい国づくりを進める時を迎えております。
今日の我が国は、戦争、テロの危険が少なく世界一の健康寿命を誇り、文化が高く評価され外国人観光客が急増するなど世界から憧れられる国になっております。そして人口減少や超高齢化などの世界的な課題を克服し物心ともに豊かな国を実現することでポスト東京時代の日本は世界の人々にとって夢がかなう場所、選ぶところが多様な、すなわちドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの時代に入ったと思います。私は静岡県がその拠点になり得ると考えております。
改めて静岡県に目を転じますと、今月焼津市御出身の建築家、長谷川逸子さんがイギリスのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツの建築賞を受賞されるなど富士山の世界遺産登録を皮切りに何と七十にも迫る地域資源、人材群が次々と世界的な評価を得ております。ポスト東京時代の理想郷づくりを進めてきた本県はまさに世界のひのき舞台に立ちつつあり、誰もが努力をすれば人生の夢がかなうドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの拠点になると考えます。
新ビジョンにおきまして、ポスト東京時代の日本の理想郷を創るを進展させるものとして静岡県をドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの拠点にというものを提示した次第であります。今後は東京から静岡を見るのではなくグローバルな観点いわば世界から見た静岡県という視点に立ちまして、世界の人々が憧れて来る「住んでよし 訪れてよし 働いてよし 学んでよし」の魅力ある地域をこの静岡の地に全国に先駆けて実現してまいりたいと考えております。
国家的見地に立ち、新しい日本づくりの先導役を担うという強い決意に全く変わりはありません。霊峰富士の姿にふさわしい、富国有徳の美しい“ふじのくに”の人づくり・富づくりに全身全霊をささげて邁進いたしますので県議会の皆様の御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。
次に、県の組織改編についてであります。
平成三十年度は新ビジョンのスタートに当たり、スピード感を持って政策を着実に実行することが求められます。そのため日ごろから政策と予算に関する情報を共有し一体的に取り組めるよう財政課を知事直轄組織に移管いたしました。それとともに総合計画課を総合政策課に改称いたしまして、これらを所管する政策推進局を新しく設置いたします。政策を実行していく上で各部局と議論を重ね、そしてそれとともに県議会とも県政の運営に関し意思疎通を図ることが非常に重要であります。その政策推進と財政運営のかじ取り役として政策推進担当部長を知事直轄組織に設置することとしております。
これまで、平成二十八年度の組織改編におきまして迅速な意思決定と柔軟で機動的な対応を図るために知事直轄組織を設置いたしました。平成二十九年度には後期アクションプランの総仕上げとともに新しい総合計画策定に向けて政策立案機能を知事直轄組織に集約いたしました。また平成二十八年度以降、政策決定の新たな仕組みとして知事戦略会議や政策調整会議を導入しているところであります。私や副知事が関係部局長と政策議論を徹底的に行い、県の重点施策の決定や戦略的な予算配分を行うなど政策推進と予算編成を連動させた取り組みを進めてまいりました。こうした取り組みを踏まえまして、今回の組織改編により新ビジョンをスタートする最適な体制が整ったものと考えております。
なお、県税に関する業務は引き続き経営管理部の所管としておりますが、公平公正な課税のもと適切に徴収される県税を経営管理部において確実に見積もり、これを歳入予算として予算編成に反映いたしますので財政規律の点で何ら心配はないと考えております。
また、四圏域の中核機関として地域局を設置いたします。この地域局の設置によりまして、今まで以上に地域において市町や関係団体と顔の見える関係を築き危機管理と地域支援を一体的に推進することができます。そのことにより平時から災害があった場合の復旧・復興まで、安全・安心で魅力ある地域づくりが進められると考えております。
加えまして、農地局の移管により農業の生産性向上や新しいビジネス展開を図る施策とそれらの取り組みを支える生産基盤整備を一体的に行うことといたしました。これによりまして本県農業の競争力強化に向けた体制を整備いたします。
また、それぞれの部局の枠におさまらない複雑化、高度化する行政課題の解決に向けまして政策目的に応じた組織づくりに取り組んでいるところであります。部局間における連携や専門的な視点を補うため部局横断的タスクフォースや専任チームを設置いたします。それとともに特命事項を担当する理事などの職を設置いたします。そしてその職にふさわしい能力や知識を備えた職員を配置することとしております。
今後も、変動する時代のニーズを的確に捉え、行政現場の声や関係団体の皆様からの御意見を丁寧に伺い不断の検証を重ねながら柔軟で機動的な組織づくりに取り組むことで富国有徳の美しい“ふじのくに”づくりを目指してまいります。
次に、平成三十年度当初予算編成についてであります。
平成三十年度当初予算の編成に当たりましては、自民改革会議の皆様からいただきました七つの要望項目や御意見を真摯に受けとめておりまして可能な限り予算案に盛り込んだところであります。
御要望項目の一つ目、経済成長の加速と産業人材の確保への対応でありますが、これに対しましてはファルマバレー、フーズ・サイエンスヒルズ、フォトンバレーの三つのクラスターについてそれぞれの中核支援機関の機能を強化し企業の製品開発や販路開拓などをきめ細かく支援することにより経済成長を加速してまいります。また企業の生産性や経営力の向上を図るために経営革新計画の承認、あるいは生産性向上等に取り組む企業に対する助成枠を二倍以上に拡大いたします。これらは中小企業への支援を一層充実するためのものであります。
産業人材の確保につきましては、製造業と農林業を支える高度な技術を持つ人材を育成するため清水、沼津の技術専門校の短期大学化並びに農林大学校の専門職大学化を進めます。
二つ目の御要望項目は、人口減少社会を克服する子育て支援と医療・福祉の充実であります。
これに対しましては、待機児童の解消に向け二十一カ所の保育所等の整備を進め入所定員を九百五十七人増加させます。それとともに必要となる保育人材を確保するため能力と経験に応じた処遇改善を図るキャリアアップ制度を普及してまいります。
健康寿命のさらなる延伸に向けましては、県立総合病院リサーチサポートセンターを中核として社会健康医学にかかわる研究を開始いたします。また障害を理由とする差別の解消を図るため各種団体と連携し、ヘルプマークの普及啓発やユニバーサルタクシーでありますUDタクシーの導入などに取り組んでまいります。
三つ目の御要望項目、豊かな県民の暮らしの実現に対しましては、地域の身近な道路や河川の新設、改良などを行う県単独生活環境整備事業を前年度から十億円を増額して二百八十億円といたしました。舗装補修など適切な予防保全によりまして道路の長寿命化を図り、快適な交通基盤の確保にも配慮してまいります。
四つ目の御要望項目は、本県の魅力を生かした観光・交流の促進でありますが、これに対しましてはラグビーワールドカップ二〇一九、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの成功に向け競技会場の整備を初め交通輸送計画や警備計画の策定、県民の機運醸成など万全な準備を進めてまいります。またこれら世界的なイベントなどの機会を捉えまして本県が持つ世界クラスの魅力を発信し、国内外からの観光客を呼び込むため静岡ツーリズムビューローが実施するインバウンド対策への支援や地域DMOとの連携も強化してまいります。
五つ目の御要望項目は、教育・人づくりの充実でありますが、これに対しましては魅力ある学校づくりに向けスポーツ、演劇等の新たな専門学科の研究など技芸を磨く実学の奨励を進めるとともにICT教育の充実を図ります。そのため全ての県立学校に無線LAN環境を整備いたします。また特別支援学校における教育環境を一層充実するため来年の夏までに全ての普通教室に空調設備を設置いたします。
六つ目の御要望項目は、県民の生命・財産を守る危機管理体制の強化であります。これに対しましては南海トラフ地震に関する情報が発表された場合の新たな防災対応の策定に取り組みますほか、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づく取り組みを着実かつ迅速に進めるため平成二十九年度二月補正予算と合わせて道路、河川、港湾の防災・減災対策などに取り組んでまいります。
七つ目の御要望項目は、行財政改革の推進でありますが、これに対しましては企業収益の改善による県税収入の増加や歳出の見直しなどにより財源不足額を前年度の四百五十六億円から大幅に二百十八億円に圧縮いたしました。翌年度以降に活用可能な基金につきましては前年度より百五十二億円多い三百十三億円確保いたしました。また平成二十九年度二月補正予算におきましては生産性革命、人づくり革命、TPP対策等々を狙いとする国の補正予算を活用し企業の次世代自動車の部品開発に必要な試験施設を浜松工業技術支援センターに整備いたします。そのほか農業生産基盤の整備や間伐材生産・路網の整備への支援などを進めてまいります。
さらに、新しい総合計画を着実に推進するため県税収入の増加分などを活用してふじのくにづくり推進基金を二百億円積み増しいたします。こうして今後の県政運営を支える予算を編成できたものと考えております。本県経済の成長を確かなものとし県民の皆様の生活と幸福度の向上を実現するため、静岡県の新ビジョン、富国有徳の美しい“ふじのくに”の人づくり・富づくりにスピード感を持って全力で取り組んでまいる覚悟であります。以上であります。
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