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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成16年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

前林 孝一良 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/07/2004

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:



    ○議長 (奥之山 隆君)  ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、 知事提出議案第百四十六号から第百七十二号までを一括して議題といたします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、 二十九番 前林孝一良君。
            (二十九番 前林孝一良君登壇 拍手)
    ○二十九番 (前林孝一良君)  皆さん、 おはようございます。
     公明党県議団を代表して県政の当面する諸課題について、 知事、 関係部局長、 教育長、 そして警察本部長に質問させていただきますが、 質問に先立って簿外郵券問題について若干意見を述べさせていただきます。
     十一月二十九日、 簿外郵券等にかかわる全庁特別調査が完了し、 その結果概要と今後の対応方針等が発表されました。 今回新たに判明したのは、 知事部局で百十三万円余、 教育委員会で七千五百八十円、 既に公表したものと合わせて二千五百八十八万円余の簿外郵券が確認されたわけであります。 個人費消はなかったとはされているものの事務所運営費に加えて、 またしても公金が不正に蓄積されていたという事実が確認されたことは、 まことに遺憾なことであり、 県民の怒りの声は頂点に達しております。 二度と同様の問題が起きないような対策を講じることは当然のこととして、 失墜した県民の信頼回復に向けて、 知事以下総出で名誉挽回への取り組みがなされることを強く要望するものであります。
     それでは質問に入らせていただきますが、 前回と同じく生活者の目線に立った質問をいたしますので、 誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。
     最初に、 知事の政治姿勢について二点お伺いいたします。
     第一点は、 若手職員の育成という課題であります。
     本年は大自然の驚異を痛感させられた年でありました。 集中豪雨、 台風による風水害、 地震と、 例年にない自然災害に見舞われ、 多くの犠牲と甚大な被害に目を覚まされる思いがしたのは私だけではなかったと思います。 犠牲になられた多くの皆様の御冥福を心からお祈りするものであります。 また被害をこうむられ、 不自由を余儀なくされている方々も依然としてたくさんいらっしゃいます。 皆様が一日も早く安心して生活できる環境が整うことを願うものであります。
     本年――平成十六年は以上申し上げましたように、 私たちにとって厳しい試練の年であった反面、 新たに明るい希望を見出した年でもありました。 アテネ・オリンピックでは、 昭和三十九年、 私が小学校五年生だったときに開催された東京オリンピックに並ぶ金メダルを獲得、 総メダル数においては過去最高というすばらしい記録を残してくれました。 またメジャーリーグでは、 イチロー選手が年間安打二百六十二本という未曾有の記録を達成し、 実に八十四年ぶりにメジャーリーグの記録を更新するという快挙をなし遂げました。 「ゴー、 イチロー」 「ゴー、 イチロー」 というかけ声に私も興奮いたしました。 一方、 リーグ二年目の松井秀喜選手もヤンキース四番打者の重責を見事に全うし、 すばらしい記録を残してくれました。 彼らの活躍が、 アメリカ人の持つ日本のイメージを変えることに貢献したという評価がありましたが、 日本人として誇りを感じました。 「個人の力で国の品位が上がっていく時代になった」 と指摘する有識者もおります。 さまざまな分野で人づくりをしていくことが、 今まさに重要な時代となりました。
     田澤義鋪という人物がいます。 大学を卒業後、 高等文官試験に合格、 本県に赴任してきたのは明治四十三年のことでありました。 同年八月、 二十五歳で安倍郡長に就任しましたが、 役所の形式的な仕事に飽き足らず、 自然と目が外に向き地域を担うべき青年層が教育的に見捨てられているのを発見、 青年の内部からの発展、 成長を図ることは地域の活性化につながると確信して青年の育成に全力を傾けるようになりました。 大正三年、 千代田村蓮永寺にて郡の中堅青年二十五人の参加のもとに、 第一回青年講習会を開催、 田澤による青年の指導育成がスタートしました。 この講習会は、 我が国の青年団運動の原点となることは広く知られるところであります。 田澤はこの直後、 郡長の任を解かれ栄転しますが、 その後本県を離れてもこの取り組みを忘れず、 社会教育なかんずく青年の育成に生涯をささげることになります。 田澤は絶えず青年たちの中に人材の卵を求めていました。 そして、 見つければ徹底してそれに磨きをかけ大切に育てました。
     さて、 本論に入りますが次の時代を担う人材の育成こそ、 現代の最大の課題であると私は常日ごろ考えております。 人づくりさえ誤らなければ明るい未来は見えてきます。 そのような観点から考えた場合、 本県が抱える人材群としての若手職員をいかに育てるかという問題は、 知事初め幹部職員の皆様の双肩に重くのしかかっていると言わざるを得ません。 民間企業体験研修に参加した若手職員は、 わずかな日数の研修の中ではありましたが、 客の信頼というものを最重要視し、 客との信頼関係を守ることに緊張感を持って臨んでいる民間企業の厳しさを体験できてよかったと感想を述べております。 優秀な人材であるからこそ得られた感想であります。 これを県行政の中でどう生かせるかが重要です。
     政令市の誕生など、 地方自治の骨組みが変わっていく中で今後県職員のあり方が大きく変わることは間違いありません。 たとえ立場の変わることがあっても、 どこからも歓迎されるような力ある人材の宝庫が県でなければならないと私は考えます。 未来ある職員をどのように育成していくのか、 また、 人材を県行政の中でどのように生かしていくのか知事の所見を伺います。
     次に、 文化振興への取り組みと、 文化を通しての人づくりについて知事のお考えを伺います。
     九月定例会において我が会派の谷議員は、 文化に関する県民意識調査に基づき県民の芸術文化とのかかわりが低下傾向にある中で、 芸術文化振興へどのように取り組んでいくのかただしました。 この質問に対して、 知事は 「県民の幅広い文化芸術活動の活性化に向けた施策を推進する」 と述べ、 「多くの県民に本物の芸術文化を直接体験してもらうことが重要である」 と答弁されました。 この施策の一環として、 平成二十一年、 第二十四回国民文化祭の本県開催が位置づけられております。 本県らしさを発揮したすばらしい文化祭とするための準備を進めることは当然として、 県民の文化とのかかわりをさらに高めていく必要があると考えるものであります。
     先日、 雰囲気を学ぶために、 第十九回国民文化祭・ふくおか二〇〇四のオープニングフェスティバルに参加させていただきました。 ステージの主役が歌手の氷川きよしさんだったことの是非はともかくとして、 心に響きわたるエネルギッシュな太鼓の音と各所にちりばめられた中国、 韓国からのゲストの演奏と踊りが印象的でした。 祭りを中心とした福岡県の伝統文化と、 地域の持つ国際性が十分に生かされているステージであると感じました。
     日本人は、 教育のレベルは高いのに文化的教養に欠けると言われます。 また高視聴率を誇る番組に見られるように、 美術品や骨とう品につけられた金額でしかその価値の判断基準を持たないのであれば、 それは非常に残念なことです。 一流を知った人は二流三流を見抜けると言われます。 一方、 二流三流ばかり見ていたら一流がわからないとも言われます。 文化、 カルチャーとは、 心を耕すということです。 未来を託す子供たちが心身ともに成長するためにも、 すぐれた芸術文化を守り育てていくことが、 現代に生きる私たちの使命であると考えます。 それには行政のバックアップがどうしても必要です。
     五年後の国民文化祭に向けて、 文化振興というテーマにどのように取り組んでいかれるのか。 また人が文化をつくり、 その文化がまた人を育てていくという観点から、 人づくりへの文化の果たす役割についてどのようにお考えなのか知事の所見を伺います。
     次に、 財政問題に関して、 地方交付税改革と当初予算編成について伺います。
     三位一体改革の柱の一つである地方交付税改革については、 基本方針二〇〇三で平成十八年度までに交付税の財源保障機能全般を見直して縮小し交付税総額を抑制することとされました。 基本方針二〇〇四では昨年の反省を踏まえ、 「地域において必要な行政課題に対しては、 適切に財源措置を行う」 ことが明記されましたが、 政府からの要請を受けて地方六団体が提案した国庫補助負担金に関する改革案をめぐり、 国と地方の協議の場において突如、 財務大臣から地方財政計画適正化により、 地方交付税を平成十八年度までに七・八兆円削減するとの提案がなされたことは大きな波紋を呼んだところであります。
     先般、 三位一体改革の全体像が示されました。 この中で、 十六年度の改革で交付税総額を実質三兆円近く削減し地方からの反発を受けたことを踏まえ、 十七年度から二年間は基本方針二〇〇四を遵守、 さらに地方団体の安定的な財政運営に必要な一般財源の総額を確保するとされました。 一方で引き続き歳出削減に努め、 十七年度以降も地方財政計画の合理化などを進めるとともに、 十七年度以降、 地方財政計画と決算との乖離を是正し中期地方財政ビジョンを策定することとされるなど、 今後の削減が大規模なものなのか緩やかなものなのかが不明確です。 このため、 昨年と同様に交付税総額の決定などの重要事項が年末までずれ込み、 当初予算編成に大きな影響を与えるのではないかと心配するものであります。
     そこで、 今回決定された三位一体改革の全体像に関して、 地方交付税の改革内容を知事はどう評価しているのか伺います。 また来年度の当初予算編成にどう取り組んでいくのかあわせて伺います。
     次に、 防災について二点お伺いいたします。
     最初は、 雨水の利用促進についてであります。
     今回の新潟県中越地震においても、 阪神・淡路大震災のときと同様、 被災された方々が御苦労されたのは水とトイレの問題であると聞いております。 本県では家庭での地震対策の一つとして、 七日分の食料と、 一人につき一日三リットルの飲料水を三日分準備することが呼びかけられております。 昨年実施された東海地震についての意識調査によれば、 九四・七%の県民が東海地震について関心があると答えたものの、 三日分以上の飲料水を備蓄している家庭はわずか二七%にすぎず、 全く備蓄していないと答えた家庭も三四%ありました。 家庭における飲料水の確保の現状は非常に厳しいと言わざるを得ません。
     環境問題への取り組みの中で雨水利用が注目されております。 年間平均千八百ミリ、 世界の年間平均降水量の倍という雨が我が国には降ります。 しかし、 その大部分は利用されず、 そのまま海に流れてしまいます。 飲料水として利用するために、 莫大な費用をかけて殺菌処理された水道の水をトイレ、 庭の散水や洗車のために使うのは資源のむだ遣いという声も出てきております。
     備蓄した雨水を緊急時に飲料水として利用するシステムを開発した企業が静岡市にあります。 千リットルの貯水タンクとヤシがら活性炭を利用した簡易浄水器を一ユニットとしたシステムで、 これで約百人、 三日分の飲料水が確保できることになります。 もちろん備蓄した雨水は日常的には公園への散水や防火用水として使用できます。 東海地震に備えるために、 引き続き家庭での飲料水確保を呼びかけなければなりませんが、 これとあわせて、 自主防災組織を単位とした取り組みも推進すべきであると考えます。 このような自主防災組織としての飲料水確保の取り組みに対して、 県はどのような支援策をとられるのか伺うものであります。
     次に、 災害時要援護者の救済策についてお伺いいたします。
     本年のたび重なる台風の上陸と新潟県中越地震で多くの方が亡くなりました。 中でも高齢者などの災害時要援護者の方々が多く犠牲になられたことは、 非常に残念なことです。 十年前の阪神・淡路大震災の折、 淡路島北淡町では、 地域住民がどの家に高齢者がいて、 どの部屋に寝ているかということまで知っていたため目覚ましい救援活動ができたということをお聞きしました。 七月の福井県で起きた集中豪雨の際も福井市内ではひとり暮らしの高齢者世帯は、 市の社会福祉協議会に登録されていたため、 安否確認や救援はスムーズに行われたという報告がされています。
     災害時要援護者を守るためには、 その所在を正確に把握することがまず求められます。 町村部や山間地においては、 日常密度の濃い人間関係が保たれていますが、 都市部においては密度の高いコミュニティーを期待することは困難です。 被害を最小限にとどめるためにも、 特に都市部における災害時要援護者救済のための対策を強化する必要があると思いますが当局の所見を伺います。
     次に、 県が行う広聴の現状と今後の取り組みについて伺います。
     市町村合併の進展とこれに伴う市町村の権限強化により、 福祉、 教育、 まちづくりといった住民に身近な行政の多くが、 今後それぞれの市町村において実施されるようになります。 また一方、 三位一体の改革をめぐる議論に見られるように、 国、 県の関係においては今後徐々にではありますが、 財源を伴いながら広範な権限の県への移譲が進み、 その結果、 県は市町村との役割分担を踏まえつつ、 自由度が増す反面、 これまで以上に地域に対して責任ある行政運営が求められるようになります。 しかし依然として厳しい財政状況が続くことに変わりはなく、 県は県民からの行政ニーズを幅広くとらえつつも、 このうち何を行政課題とするかについて十分な議論と選択を行い、 さらにこれを効率的で最大の住民満足が得られるような施策に引き上げ展開していくこととなります。 この場合、 県民の声をいかに的確に把握し、 施策に反映させていくかという観点から県の広聴のあり方が、 これまでにも増して重要な意味を持つようになります。
     県ではこれまでにも知事みずからが行うふれあいトークや幹部職員によるタウンミーティング、 さらには県政世論調査、 県民のこえ担当制度や意見箱の設置などにより、 県民の声や意見の把握に努めていると聞いております。 しかし、 これらの実施状況や県民の声にどのようなものがあり、 その対応やこれが県政にどのように反映されたかなど、 県民には意外に知られておりません。 今後、 県民の県政に対する関心をさらに高め県民との協働を一層推進していくためには、 県政情報の発信の一環として県民から寄せられた意見を紹介するとともに、 県の考え方や県民の意見が施策にどのように反映されたかなど、 広く県民に知らせていくことが重要であります。 県が行っている広聴事業の現状と県民の声に対する対応や活用の状況、 さらに今後の展開について伺うものであります。
     次に、 静岡空港について伺います。
     県は静岡空港の工事完成予定期日を平成二十年十一月に変更、 空港開港もこれに伴って平成二十一年春になるとの見通しを発表いたしました。 いまだに地権者の同意を得られない二%の空港予定地を、 土地収用法に基づき取得するための手続に要する期間として二年間が加算されたものであります。 昭和六十二年の建設地決定以来、 一番機の飛び立つことを長く心待ちにしてきた県民の一人として非常に残念な思いがいたしております。 円満解決の可能性も残されているとはいうものの期待された経済効果の先延ばしという点を含めて、 この二年間のおくれの影響が心配されます。
     今回、 土地収用手続に着手することにより、 追加的に新たな費用が生じたり工事関係において経済的なロスが発生することも考えられるわけですが、 今後の空港整備計画、 特に費用面でどのような影響が出てくるのか伺います。
     次は、 外国人観光客の誘致についてであります。
     九月下旬、 ある新聞記事が目にとまりました。 「富士山ブーム到来」 という見出しでありました。 山梨県富士河口湖町では、 平成十一年の旧河口湖町の時代から町を挙げて海外誘客キャラバン隊などの企画で富士山のふもとの町であることを地道にPRし外国人観光客誘致に取り組んだ結果、 ビジット・ジャパン・キャンペーンの効果も相まって、 本年上半期に昨年比六六%増の六万七千人余が同町に宿泊したとのことであります。 多くは台湾、 香港、 中国など東アジアからの客で日本一の富士山を訪れてみたいという理由を一番に挙げております。 本年四月に香港で日本への観光ビザが免除になったことや中国でも観光ビザの発給対象地域が三市五省に拡大されたことから、 今後富士山を訪れる外国人観光客はふえ続けるであろうというのが記事の趣旨でありました。
     ビジット・ジャパン・キャンペーンをさらに高度化する取り組みが全国で展開されつつあります。 東北では祭りをテーマに、 また九州では中国からの修学旅行客にターゲットを絞った誘致に力を入れているということであります。 シンガポールでは北海道へのツアーの人気が高いが、 その背景にはエージェントたちの積極的な売り込みがあり、 本県としても学ばなければならないと本県駐在員の報告が先日ありました。
     本県の最大のセールスポイントは、 言うまでもなく日本一の富士山であります。 富士山を訪れてみたいと希望する外国人観光客が多いということは、 本県にとって最高の強みであり政府のキャンペーンを追い風として、 「静岡の富士山」 を世界の人々に知っていただくための取り組みを今、 強力に推進すべきであると考えます。 先日、 米国カリフォルニア州知事のシュワルツェネッガー氏が来日、 積極的なカリフォルニア・キャンペーンを行っておりました。 テレビ番組にも何度か出演していましたが、 しつこいくらいに 「カリフォルニア、 カリフォルニア」 と連発をしておりました。
     石川知事も浙江省で本県のPRをされ、 まさにトップセールスに取り組まれたわけでありますが、 「静岡の富士山」 を認知してもらうために今後どのような取り組みをされていくのか、 また外国人観光客をいかにして表側の富士山に誘致するのか知事のお考えを伺います。
     次に、 アスベスト問題への取り組みについてお伺いいたします。
     本年十月からアスベストが全種類にわたり輸入、 製造、 使用が原則禁止されることになりました。 アスベストは天然の繊維状鉱物で、 熱に強く摩擦に強く切れにくい、 酸やアルカリにも強いなど丈夫で変化しにくいという特性を持っている上、 安価であるということから、 さまざまな分野で広く使用され、 その用途は三千種に上ります。 日本のアスベスト輸入は昭和三十年代後半から急増し、 昭和五十年代までビルの建設などに多く利用されました。 平成六年には約二十万トン使用されており、 その約九〇%は建材製品であります。
     アスベストは少量を吸っただけで肺がんや、 胸膜や腹膜のがんである中皮腫を発症するおそれがあり、 また吸い込んでから発症するまで三十年から五十年と長いため、 「静かな時限爆弾」 とも呼ばれております。 その危険性から、 昭和五十年に鉄骨材などの表面に使用する吹きつけ作業が禁止されるなど規制措置がとられましたが、 本年に至ってようやく原則使用禁止となりました。
     今後は、 アスベストが使用されたビルなどの解体や改修がふえることが予想されます。 飛散しやすい吹きつけアスベストは、 特別管理産業廃棄物として厳重な廃棄処理が課せられますが、 スレートやタイルなどアスベストを含む建材の一部は、 通常の産廃として扱われるため破砕処理などによってアスベストが周囲に飛散するおそれが指摘されております。 中皮腫による男性死亡者は二〇四〇年までで十万人に達するとの分析もあります。
     東京都練馬区では昭和六十一年以来、 区立施設の吹きつけアスベストを除去する方針をとってきましたが、 平成十四年に除去漏れが判明し再調査を実施した結果、 五分の一の施設で吹きつけアスベストの使用が確認され、 来年度末までにすべての区立施設からの除去を実施する方針を立てるとともに、 区としてのアスベスト問題への取り組み内容をまとめた練馬区アスベスト対策大綱を本年五月に策定しております。
     こうした状況の中で県内におけるアスベスト製造等の状況、 また使用した建築物の実態はどうなっているのか、 今後件数増加が予想される解体作業や廃棄処分に伴う環境対策について、 県としてどのように取り組んでいかれるのかお考えをお伺いいたします。
     次に、 健康福祉行政について二点伺います。
     最初に、 こころの医療センターの果たす役割についてであります。
     本年十月、 埼玉県で男女七人が集団自殺するというショッキングな事件がありました。 インターネットで自殺者を募った女性は、 九月下旬に起きた集団自殺にもかかわっていたことがわかり大きな衝撃を呼びました。 七人に共通することは、 仕事や受験の失敗などで落ち込んでいたということで、 自殺サイトの募集に応じて行動に及んだものと考えられています。 先月末、 静岡市においても同様の事例があったことは残念なことであります。
     平成十五年度の自殺者は、 平成十四年度を二千百六十人上回る三万二千百九人でした。 これは死亡順位の六位に当たります。 一日当たり八十八人の方が亡くなっていることになり、 早急に自殺者防止のためのセーフティネット構築が期待されています。 九年連続で自殺者ワースト一位の秋田県では、 三年前からモデル地区の四町で自殺予防の事業に取り組み、 自殺率が三年間で二七%減少したと報告されました。 うつ症状や悩みがある住民を知り地域全体でうつ病などの理解を広め、 早急に芽を摘み取ることで自殺者数を減らすことができたとのことであります。
     県立こころの医療センターでは、 昨年度の初診患者数は千三百八十八人で、 この十年間で三倍に伸びております。 また新規外来患者のうち、 気分障害、 神経症性障害など、 いわゆるうつ病患者が四八・七%を占めているということです。 本県の場合も昨年度の自殺者は七百八十五人に上っております。 自殺未遂者は自殺者の十倍に上るとも言われており、 ストレスが蓄積されやすい現代社会で十分なケアがなされなければならないと考えるものであります。
     このような患者の増加傾向の中で、 こころの医療センターではどのような態勢で対応されようとしているのか、 また県内の精神科医療の中核病院として、 県立こころの医療センターはどのような役割を果たすのか当局のお考えを伺います。
     次に、 除細動器 (AED) 普及への取り組みについて伺います。
     我が国では毎年二万から三万人の方が心臓突然死で死亡しております。 その原因の多くは心室細動です。 心室細動は発症と同時に心臓からの血液の拍出が停止し数分放置すれば死に至ります。 この唯一かつ確実な治療法は、 除細動器による電気的除細動と言われる方法であります。 これは心臓に一過性の電流を流し心臓の異常な興奮を抑制して、 正常な心臓の動きを取り戻す治療法で発症から三分以内、 遅くとも五分以内の除細動がなされれば患者の命は助かると言われております。
     厚生労働省は本年七月一日、 自動体外式除細動器を一般人でも使用できるように決定しました。 欧米では既に空港、 スポーツ施設など、 多くの人の集まる施設への設置が進んでおり救命率の上昇と安全性が確認されております。 国体を控えた兵庫県では、 いち早く九月に一般人向けのAED講習会を実施、 約四百人が受講しています。 さらに安全にスポーツができる環境づくりという観点から、 県立のスポーツ施設四十六カ所にAED配備を進めているとのことです。 さらに震災関連死が相次いでいる新潟県中越地震の被災地では、 メーカー二社の無償提供を受け千人以上の避難所十五カ所にAEDが配備され、 職員がその使用法の講習を受けたとの報道もありました。
     今議会の質問を前にして、 先日、 日赤職員の方に御協力いただきAEDに挑戦をさせていただきました。 非常にコンパクトな器材で扱い方を誤らなければ容易に操作できるものであると実感いたしました。 心臓突然死を減少させるためには、 このAEDを普及させることが必要ですし、 またたくさんの人がこのAEDを扱えるように、 本県でも積極的に講習会を開催すべきであると考えますが当局の所見を伺います。
     次に、 商工労働行政について伺います。
     最初に、 若者の就業支援についてであります。
     昨年秋の衆議院選挙に際して、 我が党は若者の失業率を半減させるための対策として、 ジョブカフェの開設をマニフェストに掲げました。 本年初頭、 青年党員による署名運動を全県で展開し石川知事にもこの署名をもとにジョブカフェ開設の要望を出させていただきましたが、 そのかいあって六月一日、 県内三カ所にヤングジョブステーションが開設されました。 重要な課題に対する敏速な対応を評価をいたしますとともに、 開設されたヤングジョブステーションが十分に機能を発揮し若者の就業支援に役立ってほしいと期待するものであります。
     さて、 厚生労働省は急増するフリーター対策の一環として、 来年度から若者自立塾を開設する方針を打ち出しました。 共同生活で職業意識や専門技術を養うということがその主眼ですが、 そのモデルとなった沖縄県東村の社団法人沖縄産業開発青年協会、 通称、 開発青年隊を先月視察してまいりました。
     開発青年隊は昭和三十年の開設で、 既に七千四百人を超える人材を社会に送り出しています。 四月と十月に百二十人定員で十五歳から二十七歳までの隊員を募集し、 入隊者は六カ月間共同生活をしながら延べ七百五十時間に上るプログラムに挑戦します。 半年間で取得できる資格は、 大型特殊自動車免許、 フォークリフト運転技能、 ガス溶接技能など十種類で、 訓練終了後直ちに就業できる技能が身につくことになります。 朝六時起床、 点呼、 体操、 二キロメートルの駆け足訓練の後朝食、 午前午後の農業畜産実習と機械技術・技能訓練を経て、 夜は講義と自習時間、 九時点呼、 十時就寝と規則正しい、 また厳しい生活の中ですが落伍者はほとんど出ないということで、 職業訓練の場であると同時に青少年の健全育成の場としても大切な機能を果たしていることを感じました。
     運営費は約一億五千万円、 以前は県等がその八〇%を補助していましたが現在は補助が削減され、 入隊者に負担を強いらざるを得ないことがつらいと理事長の松田憲和氏は嘆いておられました。 現在は十月一日に入隊した第百二十五期の隊員が訓練を受けていますが、 本県からも掛川市出身の二十六歳の青年が沖縄の青年たちにまじって参加しておりました。
     フリーター二百十七万人、 ニート五十二万人の存在が、 社会の活力低下を招いている現状にかんがみ、 この開発青年隊のような組織の存在価値は非常に高いと考えます。 厚生労働省は、 全国四十カ所にこのような若者自立塾を設立したいと発表しております。 短期間で就職に必要な技術を身につけることができ、 しかも現代の若者が苦手な共同生活の中で自身を鍛えてくれる若者自立塾を、 ぜひ本県に誘致していただきたいと希望するものでありますが、 知事はどのようにお考えか所見を伺います。
     次に、 中高年齢者の創業支援について伺います。
     中高年齢者のうち五十五歳から六十四歳の完全失業率は四・三%と、 三十五歳から四十四歳の四・〇%や、 四十五歳から五十四歳の三・一%に比べて高い状況にあります。 このような中で、 中高年齢者による共同創業を支援する国の助成制度が県内で伸びているとの報道がありました。 職種は車の部品製造の下請や産業機械の設計など、 ものづくりの分野から、 人材紹介業、 旅行会社、 カウンセラー、 焼き鳥屋、 ラーメン屋に至るまでさまざまであるということです。 高齢者やリストラで職を失った人たちの創業を後押しするだけでなく、 再雇用の難しい中高年齢者の雇用増につながる大切な制度であると考えます。
     本県でも離転職者訓練などによる中高年齢者の再雇用の促進を図っていると伺っておりますが、 団塊の世代がこれから大量に定年を迎えようとしている中で、 すぐれた技能や技術、 ノウハウを持つ高齢者の活力を新規創業という形で活用できるような施策を、 さらに推し進める必要があると考えるものでありますが当局のお考えを伺います。
     次に、 耕作放棄地の利活用について伺います。
     平成十二年十一月に発表された農林業センサスによれば、 同年の耕作放棄地は県下で五千六百九十二ヘクタール、 全耕地面積六万三千九十七ヘクタールの九・〇%を占めております。 全国平均が五・一%ですから、 それを三・九ポイント上回っているというのが本県の現状です。 特に、 伊豆地域は二二・九%と耕作が放棄された農地が四分の一を占めているという実態が浮き彫りになりました。
     農業従事者の高齢化や後継者不足などを原因として、 耕作放棄地が年々増加しております。 こうした耕作放棄地の増加は、 豊かな農産物の安定供給を損なうばかりか、 雑草の繁茂や病害虫の発生等による周辺農地へ悪影響をもたらし、 また国土保全、 環境や景観の保持といった農業・農村の持つ多面的機能の低下にもつながります。 こうした現状を踏まえ、 二点にわたって質問させていただきます。
     最初は、 担い手への農地の集積であります。
     担い手が減少している中でも、 企業経営を目指すチャレンジ精神あふれる若い担い手が徐々にあらわれてきています。 また、 共同生産、 出荷、 加工への取り組みなど、 地域ぐるみで農業を営もうとする担い手も育ってきております。 こうした担い手が耕作放棄地を活用して経営規模拡大を図ろうとする場合、 県はどのように支援されるのか伺います。
     次は、 市民農園等への活用であります。
     都市部に住む人の中には、 自然の中で週末に農作業に従事したいと考えている人も多くおります。 また、 人生の第二ステージを土いじりをして過ごしたいと希望されておる方もおります。 神奈川県では耕作放棄地を県が借り上げ、 堆肥をまくなどして畑に戻し、 百平方メートルほどの農園を年間一万五千円で都市在住の県民に貸し付けるという制度を昨年春からスタートさせました。 既に県内七カ所で約二百人がセミプロとして土と格闘しているということであります。 本県でも二百四十カ所、 四十二・七二ヘクタールが市民農園として利用されていると聞いております。 都市在住の県民のニーズにこたえる取り組みを県としてさらに推進すべきであると考えますが所見を伺います。
     次に、 台風二十二号による土砂災害への取り組みについて伺います。
     本年、 我が国には観測史上最多記録となる十個の台風が上陸し、 全国的に風水害をもたらし各地で土砂災害が発生しました。 本県でも台風二十二号により、 伊豆や榛南地域などで多くの土砂災害が発生し特に伊豆市では一名の方が亡くなられるなど悲惨な被害を出しております。 このような土砂災害を未然に防ぎ県民が安全に暮らせるため、 県では継続して防災工事に取り組んできましたが、 県内にある土砂災害危険箇所一万五千百九十三カ所のうち、 要対策箇所五千八百四十八カ所に対する平成十五年度末の整備率は二三%と低い状況にあるとの報告を受けました。
     そのような状況の中、 今回の台風二十二号による被災地区に対して県民の不安を取り除き安全な生活を送るため、 ぜひとも緊急対策が必要と思われますが、 その対応状況について当局の所見を伺います。
     次に、 市街地における民間建築物の耐震化の促進について伺います。
     新潟県中越地震では、 ライフラインの寸断、 土砂崩壊、 上越新幹線の脱線等、 阪神・淡路大震災以来の大きな地震災害となりました。 また、 この地震により四十人の方が亡くなり二千八百人以上の方が負傷する等、 多くの人的被害が発生し住宅も全壊が二千五百七十二棟、 半壊が五千二百五十棟、 一部損壊が五万七千七百二十七棟であったと発表されたところであります。
     今回の中越地震では建物被害は住宅に集中しましたが、 地震の規模がはるかに大きい東海地震では住宅だけでなく、 デパートやホテル、 事務所ビル等、 民間建築物が立ち並ぶ市街地においても阪神・淡路大震災のときのような甚大な被害が予想されます。 さらに倒壊したビルにより道路がふさがれ、 緊急車両の通行や住民の避難にも重大な障害を及ぼすことから、 緊急の耐震化対策が必要であると考えるものであります。
     県はプロジェクト 「TOUKAI―0」 により、 木造住宅の耐震化を推進しており耐震補強の助成制度活用実績は年々増加しております。 今回の中越地震で、 さらに加速度を増すことが予想されます。 阪神・淡路大震災を教訓に平成七年十二月、 耐震改修促進法が施行され、 これに基づき県ではデパートやホテル、 事務所ビル等の耐震化対策を推進しておりますが、 耐震診断の実施率も低く耐震補強工事の補助実績に至っては、 この五年間でわずかに五件にすぎません。 さらに一層の促進が必要と考えるものでありますが県の取り組みについてお伺いいたします。
     教育行政について二点お伺いいたします。
     最初に、 確かな学力についてであります。
     九月の中旬に小学生の四割が地動説を知らず、 半数以上が月の満ち欠けを理解していないとのアンケート結果が新聞に大きく掲載されていました。 今の小学校の教科書では、 地球が丸いことや自転、 公転など、 基礎的な天文学の知識について教えていないことを問題視する天文学者の訴えをセンセーショナルに取り上げた記事でした。 これに対し、 元宇宙飛行士で日本科学未来館の毛利衛館長は、 「いいんじゃないですか。 私も小学校のときそう思っていました」 と答え、 また 「どうなんだろうと考えることが大切であって、 学校で教えないということを問題にすべきではない」 と述べておりました。
     地球が太陽の周りを回っていることを自分の目で見ることはできない以上、 地動説は単なる知識にすぎません。 なぜそうなのか、 なぜそれがわかったのかと考える習慣をつけることの方が大切と考えます。 「大学は知識ある野蛮人をつくっている」 との批判があります。 知識の偏重は庶民を見下すような人間をつくるというのがその趣旨です。 学んだ知識を何に使うか、 それが知恵です。 知恵は生活であり生きる力であり生き抜く源泉とも言えます。 知識だけをありがたがって、 知恵のない社会が行き詰まるのは当然であると思います。
     確かな学力とは学ぼうとする力、 すなわち探求しようとする向学心のことであって、 覚えた知識そのものではないと考えますが、 確かな学力についての教育長の認識を伺います。
     次に、 教員としての専門性と指導力の確立について伺います。
     本年十月、 中山文部科学相が、 教員免許の更新制導入について中央教育審議会に二年の空白期間を経て再諮問しました。 指導力不足と判定された教員が年々ふえ、 また、 わいせつ行為や体罰などで懲戒処分を受ける教員が後を絶たない状況で、 教員への風当たりが強い中にあって、 教育への国民の期待にこたえ、 信頼される学校づくりを進めていくためには、 教員の資質向上はどうしても最優先に取り組まなければならない課題であり、 文部科学省としてもあえて再諮問に踏み切ったと考えられます。 更新制については、 さまざまな議論もあり中教審の答申を待って議論させていただくことにして、 今回は研修制度について伺います。
     大学で教員免許を取り教員採用試験に合格すれば、 教員としての生活をスタートさせることができます。 しかし、 採用試験に合格するということは教員の卵として可能性を認定されたにすぎず、 教員として一人前になるためには、 少なくとも十年間の経験が必要であると私は考えます。 日々研さんに努め向上を図り、 必要な資質を習得するまで努力することが新任教員には求められますが、 残念ながら全員が頑張るとは限りません。 難関の教員採用試験を突破した優秀な人材の卵をどのように育てていくかは、 教育委員会にとって最重要の課題であります。 初任者研修、 五年研修、 さらに十年研修と教員には段階に応じた研修制度が備えられていますが、 この研修が本当に役立っているのか、 疑問に思っている県民は少なくないのではないかと私は考えます。
     そこでまず、 教員としての資質を十分に身につけなければならない期間の総仕上げとしての十年研修は、 どのような内容で行われるのか伺います。
     一人前の教員となるのに十年間を要するとするならば、 この十年研修は中堅教員として第二段階へ進むべきスタート地点に当たるわけであります。 厳しく鍛えるばかりでなく、 ちょっとしたほめ言葉が本人のやる気を引き出すということは、 すべての世界に通用することです。 十年間の教育期間に、 現場でよく頑張った、 これで晴れて一人前の教員であると正式に認定することも区切りとして必要ではないかと考えるものであります。 十年研修の終了時にそのようなセレモニーを行ってもよいのではないかと考えますが教育長の所見を伺います。
     次に、 原動機付自転車の事故防止について警察本部長にお伺いいたします。
     全県挙げての交通事故防止への取り組みの結果、 十一月二日段階で交通死者は前年比十六人減の二百二十五人でありました。 残念なことに高齢者の交通死者は昨年より早いペースで増加し、 既に百人を突破、 全交通死者の四四%を占めております。 県警ではこのような事態を打開するために、 十月から高齢者事故抑止三カ月対策を展開し、 さらに一層の交通事故防止への取り組みを強化したところであります。
     十一月五日夜、 三島市において交通違反でパトカーに追跡されていた原動機付自転車が、 軽乗用車と出会い頭に衝突し、 乗っていた二人のうち十七歳の無職少女が大けがを負うという事故が発生しました。 原動機付自転車に二人乗りの上、 一人はヘルメットをかぶっていなかったことから、 パトカーで巡回中の署員が停止を求めたところ二人は逃走し一時停止標識を無視して交差点に進入、 事故を起こしたということであります。
     平成十五年中に起きた原動機付自転車による事故件数は五千百八十七件で、 すべての事故件数の一二・六%を占めております。 死者は二十六人で全件数の八・八%、 負傷者は五千三百九十九人で一〇・一%であったとの報告でした。
     原動機付自転車、 いわゆるミニバイクは手軽に乗れる庶民の足として本県で誕生、 全国に普及しました。 現在、 県内では三十二万台余のミニバイクが登録されており、 この数字は二輪車の六八%に相当します。 時代とともに性能も向上し走行時速は三十キロメートルに制限されているにもかかわらず、 それ以上の性能を持つ機種がほとんどであります。 その機動性ゆえに親しまれていますが、 ルールを守らないと自身も危ないし、 走る凶器ともなりかねないのがミニバイクであります。 現状としてはスピード違反や一方通行無視、 歩道の走行などの違反行為が目立ちます。 また正規のヘルメットではなく工事用安全帽をかぶる、 あごひもを締めていない、 あるいはサンダル履きなど、 法令に違反している方も多く見受けられます。 ルールの遵守の必要性を痛感する次第であります。
     国の推進しようとしている歩いて暮らせるまちづくり計画にとって障害とならないように、 危険運転については徹底して厳しい指導をすべきであるし、 また事故防止のためには安全運転の指導を進めることが大切であると考えます。
     ミニバイクの事故防止について警察本部長の所見を伺い、 私の質問を一たん終了いたします。 (拍手)
    ○議長 (奥之山 隆君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  前林議員にお答えをいたします。
     初めに、 私の政治姿勢についてのうち、 若手職員の育成についてであります。
     地方分権の進展により、 自治体の自己決定と自己責任の範囲が大幅に拡大いたします。 このため、 各自治体がみずからのビジョンと経営理念に基づいて行政を運営していくことが重要になってきております。 したがって、 その自治体を担う職員には、 今まで以上に主体的で積極的な行動とそれを支える専門的な知識、 能力が求められるものと認識をしております。
     県ではこれまでも前林議員のお話に取り上げていただいたように、 民間企業への研修派遣や国、 市町村との人事交流のほか、 職の公募制度を実施するなど、 意欲ある職員の育成に努めてまいりました。 来年度からは職員の意向を前提とはいたしますが、 地方行政に求められる専門性を高める能力開発プランに基づいて、 それを実践し、 その結果身につけた能力、 これを組織として有効活用する人材開発プログラム――キャリア・ディベロップメント・プログラムと民間では言われておりますが――そのすぐれた人材能力開発活用法、 これを本県でも導入する予定でございます。
     このようなプログラムに沿って職員研修や人事配置を総合的に実施をいたしますとともに、 今後はこれらに基づいて、 職員の多様な能力や専門性を的確に評価をいたしまして生かしていく、 そういう人事管理体制すなわちこれまでは人事管理というか、 県庁に入りますと平から入って、 係長、 主幹、 補佐、 室長、 総室長、 部長と、 あるいは知事まで行くかもしれませんが、 そういう言うなれば組織の縦割りと言いましょうか、 単線系でいく昇進コースしか用意されておりませんでした。 しかし、 今後はこのような能力開発プログラムを経て専門的な能力を身につけた人間については、 それはそれとして専門職として生かしていくような複線系の人事管理体制、 これを構築するように考えておるところでございます。
     先ごろ、 閉幕いたしました浜名湖花博の会長を務めていただきましたスズキの鈴木修会長からは、 浜名湖花博に県からも多くの職員を派遣して従事させましたが、 それらの職員――県の職員ですが――「県から来た職員は大変すぐれておった。 ただし、 やる気を出せば」 という。 今回浜名湖花博に派遣した職員は、 すべてやる気を出してくれた。 それらは物すごい働きをしたと、 高く評価をしていただきました。 日ごろ行政の効率の悪さとか行政というか県のですね、 県行政の効率の悪さとか、 あるいは対応の遅さについてしばしば辛口の意見を述べておられる鈴木会長の目から見ても、 静岡県職員の少なくとも潜在能力は非常に高くて、 それを引き出せば大したもんだと、 そういうことではなかったかなと思います。 引き出したのは私ではなくて、 鈴木会長が浜名湖花博の総括責任者で陣頭指揮をやられましたので、 そういう潜在能力への評価と、 それから今後の県庁の的確な対応についての期待だと思いますけれども、 これらの御意見も十分踏まえながら先ほどの新しい昇進管理体制と、 それに見合った職員の能力開発について積極的に取り組んでいきたいと考えております。
     次に、 文化振興と文化を通しての人づくりについてであります。
     県はこれまで国内外に向けた質の高い文化芸術の情報発信を行う一方で、 県民の皆様に多様な文化芸術の鑑賞機会の提供や県民参加による事業の実施など、 県民が文化芸術に親しむ土壌の広がりに努めてまいりました。 今後は、 平成二十一年度国民文化祭を静岡県で開催するという内定をいただきました。 これに向けまして県民への文化芸術のすそ野がさらに広がっていく契機にするように、 次の三つの事項を重点として取り組んでいきたいと考えております。
     第一は、 市町村、 文化団体、 NPO法人など、 多様な文化の担い手との連携や協働、 第二は、 伝統文化や生活文化、 芸術などにわたるさまざまな分野、 あるいは県内外、 海外との交流や産業との連携など、 さまざまな角度からの取り組み、 第三は、 地域文化の継承や創造などの県民の文化芸術活動の活性化と持続化に向けた取り組みであります。
     一方、 文化芸術の振興は文化芸術の創出――つくり出すことや、 創造や支援、 享受などの活動を通して、 感性豊かな人づくりに大きく寄与するとともに、 特に前林議員御指摘のとおり、 本物の文化芸術に直接接する、 直接体験するということは、 小中高校生などの次代を担う多感な世代にとって感性の向上や人格形成に極めて重要であると考えますので、 そのための施策や仕組みづくりに積極的に取り組んでまいる考えであります。
     県が設立をいたしております文化財団――グランシップの管理運営も担ってもらっておりますが――この文化財団の自主事業を多彩に繰り広げております。 この中で五年前から、 昨年文化勲章も受賞された三島市出身の大岡信さんに主宰をしていただきまして、 現代詩の連詩、 これは日本古来の短歌、 和歌、 俳句、 これを複数の人でつくり合う連歌とか連句というのがありますが、 この方式を現代詩に取り入れた連詩、 この連詩の提唱者の一人でありますので、 これを静岡でやっていただきたいということで五年前から年一回開催してまいりました。
     今年は連詩ではなくて連句を行ったものを発表していただきましたけれども、 実はこの静岡連詩の会の開催にあわせまして、 今年から高校生を対象に連詩を県教委の主催で行うようにしてもらっております。 この中から選ばれた十人の方と連詩の会の開催に先立って大岡信さんと懇談の機会を設けたわけでありますけれども、 終わって大岡さんの感想を聞きましたら、 「いや、 もう子供たちはもう大変率直にいろんな意見や感想をどんどん述べるので、 大変自分も刺激になった、 ためになった」 と言ってくれておりますけれども、 こういうような機会、 連詩の会、 連詩を高校生にも拡大する。 そしてまたこれを主唱している、 この連詩の部分でも世界的にも知られている大岡さんなどとも直接対話させますと大変いい刺激を子供たちにも与えることができたんじゃないかと思います。
     これは一つの例でありますけれども、 今後いろいろな取り組みを拡大をして静岡県の文化の文化力、 これを一層高めていきたい。 この文化力がこれからは世界の国力のもとになるという認識が急速に高まってきておるわけでありますので、 これらの動向に静岡県もうまく対応できるように頑張っていきたいと考えているところでございます。
     次に、 財政問題についてであります。
     地方交付税改革と当初予算編成についてでありますが、 三位一体改革の全体像において地方交付税の改革については、 平成十七、 十八年度は地方団体の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額を確保すること、 また来年度以降、 地方財政計画と決算の乖離を是正し中期ビジョンを作成することなどが示されました。
     私は地方交付税の改革という言葉で提唱されておりますものは、 端的に言うと総額の削減、 これをねらっているに違いないと見当をつけておったわけですが、 現実に起こっている現象を見ますと、 もうそれであることは間違いありません。 現に平成十六年度については、 突如二兆八千億円の多額の削減を強いられて、 本県を初めとして全国どこも大変なこれは動揺と混乱の中に落とされたわけでありますけれども、 政府はその反省に多少立ったと思いますけれども、 さきのような、 去年のようなことにはしないと、 いきなりはやらないと言っておりますけれども、 これは結果が出て見るまでは安心できません。 今後とも地方団体が混乱をしないように、 しかし今、 国、 地方を通じて必要とする歳出の抑制、 削減、 この両方がうまく成立するように一層努力をしていきたいと考えます。
     そういう中で本県の場合も当然のことながら、 地方交付税をいただいている団体として、 中長期的に、 いかに県の行財政改革を徹底をして歳出の増加を抑制していくか、 これは大変難しい課題でありますけれども、 これに取り組まなければいけない。 逃げられないと思いますので来年度当初予算の編成に当たりましても、 これに積極的に対応する必要があると考えております。
     幸い本県の場合は、 これまでこの日が来るであろうと、 こういうときが来るであろうということを想定をして徹底した行財政改革、 それも単に精神論、 かけ声だけではなくて実際にその実効あらしめるためのいろんな手法の導入、 そしてそれを実際に取り入れて成果も上げつつあるわけでありますので、 さらに勇を鼓して頑張っていきたいと。 すなわち業務棚卸表を活用した行政評価に基づく事業の見直しや重点化を徹底し、 目的志向型の機動的な行政運営や、 めり張りのある施策の展開など、 新公共経営の考え方に基づく戦略的な予算編成に努める考えでございます。
     次に、 防災についてのうち、 災害時要援護者の救済策についてであります。
     高齢者等の災害時要援護者の避難誘導は、 消防などの機関だけでは十分即応できないと考えられますので、 本県の地域防災計画では、 地域の自主防災組織等がこれを担うというふうにしております。 その際、 自主防災組織が避難誘導を的確に行うためには、 常日ごろから災害時要援護者の所在を把握しておくことが不可欠であります。
     このため県では県行政センターや健康福祉センターを通じまして、 市町村の防災、 福祉担当者に対し、 避難誘導のもととなる自主防災組織ごとの要介護者台帳の作成を働きかけてきたわけでありますけれども、 実際には余り進んでないのが実情であります。 この原因としてはプライバシーの保護の意識というか、 感覚が非常に最近は一般化をしてまいっておりますから、 そういう点で家庭の中の事情を台帳に登載するということが、 なかなかしにくいというようなこともあります。 しかし、 中越地震などを見ましても、 一方で、 まさかのときにはこの要介護者台帳なども有効に活用するということが感じられますので、 台帳整備率の高い市町村では、 どうしてこれがうまくいったのか。 あるいはその結果を踏まえて、 整備の進まない市町村へ情報提供するなどして県内全域で要援護者の所在が把握できるように努めてまいる考えであります。
     また、 点字防災マニュアルや携帯電話のメール機能等を活用して、 要援護者への迅速な災害情報の提供に努めるほか、 現在、 災害時の被災者に対する健康支援ガイドラインの作成を進めておりますので、 これができ上がり次第、 これらも活用して適切な対応の一助にしたいと考えております。
     次に、 静岡空港についてであります。
     大航空時代を迎えて空港の必要性がますます高まる中で、 県民の皆様が広く国内外と直接交流する機会を創出し、 そしてまた県外それから国外からも本県へ多くの人々が訪れていただく、 そういうことによって本県の地域の豊かさとか活力がますます高まるわけであります。
     こういうことを踏まえて静岡空港の開港後の経済効果などを推計いたしますと、 直接的な経済波及効果としては五百億円を超える数字が計算されますし、 またこの五百億円を超える数字の中には、 空港が開港することに伴う新規の企業立地に伴う経済効果は計算外でありますので、 それらを考えますと、 五百億円プラスアルファの経済効果が見込まれるわけでございます。 そういう数字などをもとにしましても、 本県の持続的な発展にとって大変大きな効果が期待される空港であると考えるわけであります。
     今後の空港整備計画については二年間の延期によりまして、 追加的に必要となる工事が発生はいたしませんので、 全体として見た場合に工事内容に変更は生じないものと今考えております。 しかし、 工事のおくれに伴う維持管理費が追加的な経費として必要になってまいりますし、 土地収用ということを認められる前提には、 対象となる土地や資産などの測量調査、 これを厳密に行わなければなりません。 この費用は十億円を上回ると現在見積もっておりますけれども、 こういう経費も追加的な経費として見込まれます。 他方、 今後残されました工事の執行に当たりましては、 大型機械の導入などを通じた事業費の縮減をするという努力も他方でいたします。 この結果、 差し引き増加要因と、 それから合理化努力、 削減努力と、 これらを合わせますと現在想定しております総事業費の枠内で執行できる見込みでございます。
     今後、 一日も早い開港に向けて引き続き努力をしてまいりますので、 県議会を初め、 県民の皆様の一層の御支援と御協力を賜りますようにお願いを申し上げる次第です。
     次に、 外国人観光客誘致への取り組みについてであります。
     富士山は、 前林議員のお述べになりましたように、 本県が世界に誇る国際的な観光資源であることは間違いありません。 私も多くの人々や多くの文献とか、 いろんな機会に、 この富士山の高い評価、 これを耳にし目にする次第でございます。
     そこで、 この富士山を中心に本県への外国人観光客誘致を図るためには、 他県と異なる 「静岡の富士山」 の魅力をアピールしていくことが必要だと考えます。 本県には海越しに富士山を望む西伊豆、 日本平や三保の松原、 ダイヤモンド富士の田貫湖など、 静岡県でしか見られない富士山のビューポイントが数多くありますので、 それらの映像を取り込んだDVDを新たに作成いたしまして、 海外メディアやエージェントに提供するなど、 情報発信に努めてまいります。
     さらに、 こうした景観資源と富士山周辺に立地する国際的企業を訪れる産業観光を組み合わせたツアールートや駿河湾でのクルージングなど、 本県ならではの富士山の魅力を十分味わっていただける多彩な旅行企画をつくり出していく、 旅行商品をつくり出していく、 その努力をするとともに海外への広報宣伝活動、 これも積極的に展開をしてまいる考えであります。 また外国人観光客の受け入れ態勢の充実を図るために、 四カ国語表示の観光案内の標識整備や受け入れ施設でのおもてなし研修の実施なども引き続き取り組んでまいります。
     次に、 健康福祉行政についてのうち、 こころの医療センターの果たす役割についてであります。
     近年、 精神科医療は治療技術の向上や新薬の開発などにより、 入院期間が短縮している一方、 社会が大きく変化する中で子供への虐待や不登校を初め、 働き盛りの人のメンタルヘルスなど、 対象とする疾患は多様化しその新規患者は増加傾向にあります。
     こころの医療センターにおきましては、 うつとか神経症疾患の患者が、 平成十年の三百五十三人から平成十五年の六百六十一人へと倍増している状態であります。 自殺予防の点からも入院加療を要する重症な患者を受け入れるとともに、 産業医や医師会及び県の精神保健福祉センター等と連携をいたしまして、 地域の医療機関における早期診断、 早期治療が可能な診療体制に寄与してまいりたいと考えております。
     また、 民間医療機関では対応できない処遇や治療が困難な重症患者や時代の要請に即応した児童・思春期などの専門医療分野に取り組むほか、 地域の医療機関が行う在宅医療を支援するなど、 県内の精神科医療システムの中核機関としての役割を一層発揮してまいりたいと考えております。
     石田院長ほか、 このこころの医療センターのスタッフの話によりますと、 今後の方向としては、 入院患者は減る傾向にある、 ところが大変な勢いで外来患者がふえておりますので、 こころの医療センターもそういう方向への対応をできるだけ早くしなければいけないと言っております。 さらにまた、 精神疾患に陥る人、 あるいは精神疾患患者の場合も他方、 生活習慣病などの成人病疾患これを同時に患っておりますので、 こころの医療センターに来る患者へのその面での対応も並行して必要になってきておると。 これを、 こころの医療センターでやるのかそれとも県立総合病院などでやるのか、 その辺の精神疾患患者への精神疾患以外の疾患の治療体制これをどのように整えていくのか、 これも今後関係機関とのいろいろ調整の上で至急結論を出して体制を整えなきゃいけないということも言っておりますので、 これらの意見を踏まえてできるだけ早く、 このこころの医療センターを中心とした本県の精神医療の状態ですね、 急激に変化しておりますこの分野の状況に、 的確に対応できるように努力をしていきたいと考えております。
     その他の御質問につきましては、 関係部局長、 教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長 (奥之山 隆君)  橋本総務部長。
            (総務部長 橋本嘉一君登壇)
    ○総務部長 (橋本嘉一君)  防災についてのうち、 雨水の利用促進についてお答えいたします。
     本県では東海地震発生時においては、 浄水場や水道管などの設備が損傷し給水ができなくなることを想定し県民の皆様に対し、 各家庭で 「一人一日三リットル・三日分」 の飲料水の備蓄を働きかけてきたところであります。 しかしながら、 備蓄の状況はいまだ十分とは言えないことから、 自主防災新聞や自主防災会の研修会、 防災訓練など、 さまざまな場を通じて備蓄を呼びかけているところであります。
     また、 市町村では地震発生時の飲料水を確保するため、 耐震性の確保された配水池の水を給水車により給水することとしております。 これに加え公園などに飲料水兼用の耐震性貯水槽を約二百七十基、 避難所となる学校などに非常用給水タンクを約九百基、 避難所や自主防災組織などにプールや防火水槽などの水をろ過する、 ろ水機を約二千五百基配備しております。
     県といたしましては今後とも市町村が非常用給水タンクや、 ろ水機を初め貯水タンクや簡易浄水器などの機器を自主防災組織などに整備する場合には、 大規模地震対策等総合支援事業補助金により助成し飲料水の確保に努めてまいります。
    ○議長 (奥之山 隆君)  谷広報局長。
            (広報局長 谷 和実君登壇)
    ○広報局長 (谷 和実君)  県が行う広聴の現状と今後の取り組みについてお答えいたします。
     県民の皆様から積極的に声をお寄せいただき、 これに的確にお答えし、 また県の施策に生かしていくことは、 県政への理解と信頼を得、 協働を実現していくために非常に重要なことでありますことから、 県では開かれた県政を目指し、 これまでも広報広聴に力を入れてまいりました。 従来からふれあいトークや、 さわやかタウンミーティングなどを積極的に行うとともに、 全国に先駆けて本庁の室長及び出先機関の次長等が、 県民の皆様からの声に誠意を持って対応する県民のこえ担当制度を整備してまいりましたが、 さらに本年度は県民のこえ意見箱も設けたところであります。
     本年度を見ましても、 これまでに十八回のふれあいトークで二百九件、 十月末までの六十九回のタウンミーティングで七百九十一人に上る御意見等をいただきました。 このほかにもさまざまな形で寄せられる皆様からの御意見等は、 速やかにまた確実にそれぞれの担当部局に伝えており、 これを受けた部局におきましては、 例えば伊豆で地域活動をされている方々から、 観光地伊豆の魅力向上策として地域の自主的な活動を活用してはどうかとの御意見につきまして、 早速、 生活・文化部が支援策の検討に着手いたしましたように県政への反映に努めているところであります。
     これら県に寄せられた御意見等は、 現在でもその一部を県民だよりや県のホームページで公開しておりますが、 今後とも個人情報の保護などにも配慮しながら御意見や施策への反映結果をお知らせする機会の拡大を図ってまいりたいと考えております。
    ○議長 (奥之山 隆君)  花岡環境森林部長。
            (環境森林部長 花岡志郎君登壇)
    ○環境森林部長 (花岡志郎君)  アスベスト問題への取り組みについてお答えいたします。
     アスベスト使用建築物の解体などによる環境汚染を防止するため、 大気汚染防止法の規制対象とならない建築物についても、 静岡県生活環境の保全等に関する条例において、 県独自の作業基準を設けるなど、 これまで積極的な対応を図ってまいりました。
     現在、 県内にはアスベストの製造工場及び最終処分場はありませんが、 平成九年度に行った実態調査では、 三百七十七施設でアスベストの使用が確認されました。 また三百七十七施設のうち三十七の県有施設について本年度アスベスト対策の追跡調査を実施したところ、 既に撤去された施設及び来年度撤去を予定している施設が二十四、 飛散防止措置が講じられている施設が九あり、 このほか未対策などが四施設ありました。
     このため今後、 市町村や民間施設についても追跡調査を実施するとともに庁内に設置しているアスベストに関する連絡会を通じて、 アスベスト使用建築物の適正な管理や解体を行う場合の作業基準の遵守など、 環境汚染防止対策の徹底を図ってまいります。
    ○議長 (奥之山 隆君)  川口健康福祉部長。
            (健康福祉部長 川口正俊君登壇)
    ○健康福祉部長 (川口正俊君)  健康福祉行政についてのうち、 除細動器――AED普及への取り組みについてであります。
     突然に心臓がとまった人の救命には、 発症後早急に電気刺激装置である除細動器――AEDを使用することが効果的でありますので、 不特定多数の人が利用する施設に広くAEDを普及することが、 救命上非常に有効であると考えております。 このため県といたしましては県有施設への積極的な導入を検討するとともに、 市町村や公共交通機関、 民間事業者等に対してAEDの導入を働きかけるなど、 その普及を促進していきたいと考えております。
     また、 現場でAEDを迅速的確に扱う必要がありますので、 消防職員やAEDを設置した施設の職員に対する講習により指導者の養成を行うとともに、 一般県民に対する講習につきましては、 各消防本部が現在地域住民を対象に行っている応急手当て講習時に、 AEDの使用に関する講習を組み込んで実施するなど、 消防本部等関係機関と連携し、 さまざまな機会をとらえて普及啓発に努めてまいります。
    ○議長 (奥之山 隆君)  梅田商工労働部長。
            (商工労働部長 梅田正雄君登壇)
    ○商工労働部長 (梅田正雄君)  商工労働行政についてのうち、 初めに若者の就業支援についてお答えをいたします。
     今般、 国が打ち出した若者自立塾は合宿による共同生活や労働体験などを通じて忍耐力や協調性、 働くことへの意欲や関心を持たせ、 就業に導くことをねらいとして創設されるものと聞いております。 県としても画期的な事業として、 その構想に注目をしております。 また、 若者自立塾は国が民間事業者からの提案を受けまして、 直接民間事業者に委託を行うと聞いておりますことから、 国の予算が明確になった段階で県内の民間事業者に情報を提供し国への提案を働きかけるなど、 県としても県内での事業実施に向けて、 できる限りの対応をしてまいりたいと考えております。
     なお、 本県におきましても本年六月にヤングジョブステーションを開設しまして、 若者の就業意欲を高めるための一歩踏み込んだ支援策を行っておりますが、 これに加えまして本県初の試みとして、 来年三月にNPO法人の協力を得まして一泊二日の合宿形式で、 若者を対象とした就職準備セミナーを実施することとしております。 県といたしましては今後実施される若者自立塾の成果も参考にし、 本県独自の若者に対する就業支援施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
     次に、 中高年齢者の創業支援についてであります。
     県では中高年齢者も含めまして創業の意欲のある方に対しまして、 創業の基礎知識を習得するための養成講座などを開催するとともに、 創業時の活動場所としてインキュベートセンター、 SOHO支援施設などを提供し、 あわせて施設の利用者に対しまして個別に専門家による経営・技術面での相談、 助言を行っているところであります。
     平成七年度から開設したインキュベートセンターなどの支援施設は、 現在までに百八十三人が利用しております。 そのうち四十五歳以上の中高年齢者は三二%にわたる五十八人で、 中には人工骨の製造販売や印刷関連の技術コンサルタントなどの分野で活躍されている方もおります。 また資金支援として、 県制度融資の中で創業支援資金を制度化しておりますが、 特に五十五歳以上の高年齢者には、 知識や経験を生かした創業を促進するため、 他の創業支援資金よりも有利な融資期間や返済の据え置き期間を設定した創業フロンティア貸付資金を用意しております。
     今後、 団塊の世代が退職を迎えるに当たりまして中高年齢者による創業は、 雇用の創出や地域経済の活性化などの効果が期待されますことから、 特に中高年齢者に的を絞った創業に関する講座の開催など、 創業を誘引するための施策を検討してまいりたいと考えております。
    ○議長 (奥之山 隆君)  北村農業水産部長。
            (農業水産部長 北村正平君登壇)
    ○農業水産部長 (北村正平君)  耕作放棄地の利活用についてのうち、 初めに担い手への農地の集積についてお答えいたします。
     耕作放棄地を解消し、 発生を防止していくためには農地を資産として保有する意識の改善を図り、 意欲ある農業者が活用できるようにすることが重要であり、 これまでも県農業振興公社や市町村、 農協と連携し、 担い手への農地集積を進めてまいりました。 また、 このような取り組みを促進していくため、 農地の賃貸などに対する県単独の農地流動化奨励金の交付や権利調整のための専任マネジャーの設置などにより、 これまでに本県農用地の二八%、 一万八千ヘクタール余りが認定農業者等に集積されているところであります。
     耕作放棄地の利活用の事例といたしましては、 竜洋町、 大須賀町、 大東町で遊休農地解消戦略モデル事業を実施した結果、 耕作放棄地が優良な農地として復元され、 新たな担い手に集積されております。 今後とも、 農地流動化奨励制度の活用や経営体育成型の整備事業などによりまして、 地域の実情に応じた土地基盤整備と農地の集積を一体的に実施し耕作放棄地の解消と担い手の経営規模拡大を支援してまいります。
     次に、 市民農園等への活用についてであります。
     近年、 県内では耕作放棄地の活用も含め毎年三百区画程度の市民農園が新設されておりますが、 多くの市民農園ではすべての区画が利用されており、 新たな利用希望者は空き区画を待っている状態であります。 このような中、 国は構造改革特別区域においてNPOや民間企業などが市民農園を開設することを可能とする規制緩和を行い、 さらにこれを特区以外にも広げる方向で検討するなど、 民間が主役となった耕作放棄地等の市民農園への活用拡大に向け条件が整ってきております。
     本県では、 JAによる高齢者向け市民農園や農業者グループによる手づくり農園など、 特色のあるさまざまな市民農園が開設され、 さらには、 しずおかユニバーサル園芸ネットワークが中心となったシンポジウムにおいて活発な議論が展開されるなど、 民間主導による市民農園開設に向けた機運が盛り上がってきております。
     県といたしましては一層の市民農園の開設促進が、 耕作放棄地解消の一助ともなることから、 こうした民間組織との協働により、 研修会の開催や利用に関する情報提供を行うとともに、 農園の整備に対しても支援してまいりたいと考えております。
    ○議長 (奥之山 隆君)  櫻井土木部長。
            (土木部長 櫻井克信君登壇)
    ○土木部長 (櫻井克信君)  台風二十二号による土砂災害への対応についてお答えいたします。
     今年の土砂災害は既に例年の約三倍となる九十八カ所で発生しており、 中でも伊豆半島を直撃した台風二十二号では五十二カ所で発生し、 砂防関係施設が設置されていた六カ所では崩壊土砂による人家への影響を防止したものの平成十年以来となる人的被害が発生しました。
     台風二十二号による被災地区に対する緊急対応でありますが、 県事業となる三十二カ所のうち、 特に被害の著しい十四カ所につきましては、 国へ災害関連緊急事業等を申請いたしますとともに、 それ以外の十八カ所につきましても県単独事業予算の不足額を今議会にお諮りするなど、 再度災害を防止するため早期の復旧を図ってまいります。 さらに、 被害が著しく人家への影響の大きい箇所につきましては、 区域全体の一体的な警戒避難態勢の整備を図るため、 土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域の早期指定ができますよう、 基礎調査の予定を早めて、 本年度内に着手することとしております。
     今後とも施設整備、 いわゆるハード対策を着実に進めますとともに、 市町村と連携いたしましてハザードマップによる危険箇所の周知徹底や警戒避難態勢の整備等のソフト対策を推進して、 人的被害の未然防止など、 県民の安全確保に努めてまいりたいと考えております。
    ○議長 (奥之山 隆君)  田邉都市住宅部長。
            (都市住宅部長 田邉義博君登壇)
    ○都市住宅部長 (田邉義博君)  市街地における民間建築物の耐震化の促進についてお答えいたします。
     市街地のデパート、 ホテルや事務所ビル等、 多くの方が利用する旧耐震基準の民間建築物は、 発災時に甚大な被害が予想されることから、 耐震化は非常に重要と認識をしております。
     建築物の耐震化には耐震診断が前提となることから、 実施率を現在の二〇%から十九年度末には五〇%に引き上げることを当面の目標として取り組むこととしております。 このために、 建築物の指導権限を有する静岡市、 浜松市、 沼津市、 富士市とも連携して建物所有者に対し耐震化の実態や意向についてのアンケートを実施し、 その結果を踏まえた個別指導を進めているところであります。 またトップセミナーを開催して企業の代表者や商工関係団体へも耐震化の必要性を訴えるとともに、 耐震診断及び耐震補強工事に対する助成制度の周知にも努めてまいりました。
     しかしながら利用実績が低調でありますので今後とも市町村と一体となって、 助成制度の活用について理解を得られるよう努めるとともに、 耐震診断、 補強工事の実施を強く働きかけ、 市街地における民間建築物の耐震化を促進してまいります。
    ○議長 (奥之山 隆君)  鈴木教育長。
            (教育長 鈴木善彦君登壇)
    ○教育長 (鈴木善彦君)  教育行政についてのうち、 初めに、 確かな学力についてお答えいたします。
     確かな学力の認識についてでありますが、 本県における確かな学力は、 基礎基本とみずから学び、 みずから考える力から成るものととらえ、 この両者をバランスよく総合的に培っていくことを目指しております。
     知識については確実な定着を図るとともに、 御指摘のように、 将来生きて働く知恵となり得るよう配慮する必要があると受けとめております。 そこで、 学校の授業では、 教えて考えさせることを基調として、 身につけた知識が使える役に立つと実感させる場や将来の生活に生かせることを理解させる場を設定するよう努めております。 特に、 総合的な学習の時間においては、 みずから学び、 みずから考える力をはぐくむよう、 児童生徒が蓄えた知識をもとに、 地域の自然や産業などと結びつけ、 みずから課題を掲げて調査や分析をするなどの活動を取り入れております。
     また、 これからの社会を生き抜くには、 学ぶ意欲や学び続ける力が重要であり、 それらを通して将来の夢や目標を見出し、 志を持って学ぶ静岡の子供が育つよう、 今後も努めてまいります。
     次に、 教員としての専門性と指導力の確立についてであります。
     本県においては十年経験者研修を教職生涯における重要な節目と位置づけ、 校内における二十日間の研修と総合教育センター等における十八日間の校外研修を実施しております。 研修の特徴は個々の教員の能力、 適性等に応じて必要な研修を実施するというところにあり、 研修計画の作成に際しては教員自身の自己評価及び校長等による評価や面談を行い、 苦手分野を克服したり得意分野をさらに伸ばしたりする研修を実施しております。 研修内容については特に教科指導力や生徒指導力の向上に重きを置いておりますが、 民間企業等における社会体験研修なども取り入れ社会的な視野の拡大にも努めております。
     なお、 研修終了時には校長が研修成果を評価し、 それに基づいて教員と話し合い、 その後の教育活動への激励と方向づけを行っておりますが、 御提案の趣旨も踏まえ、 校長室におけるこの話し合いの場を中堅教員としての自覚を促し、 資質向上に向け一層の努力をするための契機として、 これまでにも増して活用するよう、 校長を指導してまいりたいと考えております。
    ○議長 (奥之山 隆君)  高石警察本部長。
            (警察本部長 高石和夫君登壇)
    ○警察本部長 (高石和夫君)  原動機付自転車の事故防止についてお答えをいたします。
     まず、 原動機付自転車が関連いたします交通事故は、 本年十月末現在で四千百七十五件発生しておりまして、 このうち原付の運転者が事故の主たる原因となっておりますものは千五百二件ということで、 全体の約三六%となっております。
     この原付の運転者が主たる事故原因となりました、 今申し上げました千五百二件を年齢別に見てみますと、 十六歳から十九歳の少年が二百七十七件、 一八・四%、 高齢者が三百九件、 二〇・六%でございまして、 少年と高齢者を合わせますと四割を占めております。 また、 その事故の発生場所を見てみますと約半数に当たります七百六十七件が交差点やその付近において発生しておりますし、 また事故原因を法令違反別に見てみますと安全不確認、 あるいは一時不停止というものが上位を占めておりますことから、 いわゆるその原付を自転車感覚で安易に運転しているという傾向が認められるところでございます。
     他方、 原付を運転中の交通事故による致死率を見てみますと自動車運転中の致死率の約二倍となっておりますので、 御指摘のとおり、 機動性にすぐれ手軽に乗れる反面、 命にかかわる重大事故の危険性をはらんでいるということが言えると思います。
     そこで、 原付の事故防止には安全教育と、 それから指導取り締まりが重要でございますけれども、 まず交通安全教育といたしましては、 原付免許試験に合格した者に対する実技講習、 普通免許を取得した者に対する講習、 さらには県教育委員会と連携いたしまして高校生に対する二輪車グッドマナー講習におきまして、 交通事故防止に必要な技能、 知識に関する教育を実施しているところでございます。 また中学生、 高校生を対象といたしました自転車教室、 暴走族加入阻止教室、 あるいは非行防止教室などの機会にもモラルやマナー向上のための安全教育を進めてまいる所存でございます。
     さらに、 高齢者に対する安全教育でございますが、 高齢者講習あるいは関係機関と連携した参加体験型の交通安全講習会を開催いたしまして、 自分の身を守る安全な走行について、 より実践的な再教育を進めてまいりますほか、 自発光あるいは大型の標識設置などの交通安全施設の整備にも努めてまいる所存でございます。
     次に、 指導取り締まりについてでございますけれども、 原付の運転者が主たる原因となっている事故の約半数が交差点あるいはその付近で発生しているということ。 それから交通事故のその事故原因の違反別では、 安全不確認あるいは一時不停止が上位を占めておりますことから、 こうした観点からの指導取り締まりを強化してまいりたいと考えております。
     さらに、 少年が自転車から原付や自動車の利用に移行しているという実態を踏まえまして、 特に目立ちます自転車の二人乗り、 あるいは信号無視、 一時不停止などの違反に対しまして、 自転車指導カードを交付いたしましたり、 あるいは指導警告に従わず違反を繰り返す悪質な自転車運転者に対しましては、 検挙も辞さないといった厳しい措置を講ずることも必要だと考えております。
     いずれにいたしましても、 原動機付自転車の事故防止は警察だけの力でなし得るものではございませんので、 今後も引き続き関係機関、 団体の御協力を得て、 交通事故防止に努めてまいりたいと考えておりますので御理解いただきたいと存じます。
    ○議長 (奥之山 隆君)  これで前林孝一良君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

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