• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成24年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

前林 孝一良 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/25/2012

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:

1 知事の時代認識について
2 臨時財政対策債について
3 事業者用太陽光発電の導入促進について
4 芸術文化振興について
5 国内就航先からの誘客促進について
6 県営住宅におけるペットとの共生について
7 急性アルコール中毒防止策について
8 肝炎対策について
9 在宅医療の充実について
10 大学生の就労支援策について
11 米の消費拡大について
12 ふじのくに応援寄附金を活用した基金の募集について
13 全国育樹祭を契機とした森林・林業の再生の取り組みについて
14 地域の青少年声掛け運動の取り組みについて
15 高等学校における防災教育について
16 新東名高速道路の課題と対策について



    ○議長(小楠和男君) ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、知事提出議案第百十二号から第百三十三号まで及び平成二十三年度静岡県一般会計、特別会計、公営企業決算全部を一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、三十番 前林孝一良君。
           (三十番 前林孝一良君登壇 拍手)
    ○三十番(前林孝一良君) 私は公明党静岡県議団を代表し当面する県政の諸課題について、知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長に質問をいたします。
     初めに、知事の時代認識について伺います。
     昨年十月、滋賀県大津市の中学二年の男子生徒が自殺した問題は、いじめが原因であるか否かをめぐって遺族と学校、市教委の意見が対立、報道が過熱化する中で、教育長が襲撃されるという事件にまで発展をいたしました。この問題を重視した文部科学省は今月五日、いじめ対策アクションプランを発表、従来学校や教育委員会に対応を委ねてきたいじめ対策の方針を転換、国の対策を強化することになりましたが、国が乗り出したからといっていじめが解消されることはないと私は考えます。
     いじめを原因とした生徒の自殺は近年急に発生したものではありません。今から二十六年前、一九八六年――昭和六十一年に、東京都中野区でやはり中学二年生の男子生徒が自殺をしております。その背景に担任教師もかかわった葬式ごっこといういじめがあったことはマスメディアでも大きく報じられ、一大センセーションを巻き起こしました。事実の隠蔽はまた新たな不幸を生み出します。徹底した真相の解明が求められます。
     初代の日本ユニセフ協会大使でもあるタレントのアグネス・チャンさんは今回の問題について、いじめは遊びではなく明白な人権侵害であり犯罪です、決して未成年だからといって許されるものではありませんと述べています。また夜回り先生、水谷修さんは公明新聞のインタビューに対して、いじめは基本的人権を侵害する重い罪という考え方を共有することが大事だ、そのためには質の高い人権教育をする必要があると答えています。さらに同氏は教員だけで勉強から道徳、生活習慣まで全てを教えるのは無理があるとし、地域の力の重要性を強調しています。
     いじめは子供の世界だけの話ではありません。セクハラ、パワハラなどの言葉に表現されるように、社会人の中でも見逃すことができない重大な社会問題となっております。自分のエゴイズムを制御し、他者の人格、人権を重んじるような社会を実現しなければなりません。
     大阪府並びに大阪市が、大阪市浪速区にある大阪人権博物館への補助金を本年度いっぱいで打ち切ることを表明いたしました。一九八五年――昭和六十年に開館し、多くの市民の人権啓発の場として活用されてきた同博物館が廃館の瀬戸際に追い込まれていることを知って、先月訪問をしてまいりました。被差別部落の問題だけではなく、アイヌ民族や沖縄の人々、在日外国人への差別、またハンセン病や薬害エイズへの偏見などさまざまな角度から人権問題が取り上げられており、興味深く見学させていただきました。夏休み中ということで、年輩のボランティアの方々から説明を受けている中学生や高校生の姿も見受けられました。思いのほか見学者が多かったことに正直言って驚きました。
     明治に入り江戸時代の身分制度は廃止され、いわゆる四民平等の社会が実現しました。形の上では身分差別はなくなりましたが事実上はさまざまな形で差別は残り、また新しい差別が次々と誕生していったことは非常に残念なことであります。橋下氏は大阪府知事の時代からネガティブな中身だと同博物館を批判してきたそうです。伝えなければならないことは、栄光の歴史だけであってはなりません。決して繰り返してはならないマイナスの歴史も子供たちに正しく伝えるべきであります。今を時めく橋下氏ではありますが、こと人権に関してはその見識を疑います。
     県は、平成二十三年三月にふじのくに人権文化推進プランを策定し、県民一人一人に人権尊重の意識が育まれたぬくもりあふれる静岡県の実現を目指し施策を推進しています。平成二十一年度に実施された人権問題に関する県民意識調査結果によれば、人権について「重要である」とした県民は八九・一%でしたが、本県が「人権尊重の意識が定着した住みよい県である」と答えた県民は三〇・五%に過ぎません。
     知事は本県の現状についてどのように認識されているのかまず伺います。また人権意識の高揚には今後どのような取り組みが必要とされるのか、お考えをお聞かせください。さらに十二月の人権週間にはどのような啓発事業を展開されるのかあわせてお伺いいたします。
     次に、臨時財政対策債について伺います。
     財政事情が悪化する中、財政健全化法に基づく指標は、平成二十三年度において公債費の財政負担の度合いを示す指標である実質公債比率が目標数値である一八%を下回る一五・三%、また一般会計等が将来負担すべき実質的な負債を示す将来負担比率は、目標値である四〇〇%を下回る二四八・八%となっています。これは県が平成十二年度から財政健全化に向けて努力を重ねた成果であり、一定の評価をするものであります。
     一方、リーマンショック以来企業収益の大幅な改善が見られず税収も本格回復しない状況の中、国は地方財政対策において、地方交付税の身がわりである臨時財政対策債を大幅に増加させることにより地方が必要としている一般財源を確保するという方策が、ここしばらくとられています。
     私は、平成十三年度以来九年間で三千八百億円という数字に膨れ上がった臨時財政対策債に不安を覚え、平成二十一年二月の本会議において当時の石川知事に対し所見を求めました。知事は、必要な財源確保のためにやむを得ない措置であるとした上で、病状はどんどん悪化しており抜本的な手を講じなければならないと述べられました。県の報告によれば本県の臨時財政対策債の残高は、平成二十四年度末で七千四百億円を超えることが予想されており、事態はますます深刻なものになっていると言わざるを得ません。
     財政規模は比較にならないかもしれませんが、三重県松阪市では臨時財政対策債発行の規模を抑えた上で行財政改革に取り組み三年間で六十億円の借金削減をなし遂げたと聞いています。これは同市の借金の五%に相当します。この問題については毎年度本会議で取り上げられておりますが、県だけでコントロールできる問題ではない、国に対して提言を続けていくとの答弁ばかりで要を得ません。
     赤字国債はふえる一方です。国の財政状況が好転する兆しすら見えない中で、国の言い分をいつまで信じればいいのでしょうか。
     臨時財政対策債について知事の御所見を伺います。
     事業者用太陽光発電の導入促進について伺います。
     住宅用の太陽光発電設備に対する助成制度に加え、今年度新たに創設した事業者用の太陽光発電設備に対する助成制度については、申請額が当初の見込みを大幅に上回っており、今議会においても助成枠を拡大するための補正予算が上程されているところであります。またこの補正予算を執行することによって、県が昨年三月に策定したふじのくに新エネルギー等導入倍増プランに掲げる太陽光発電の導入目標三十万キロワットを今年度中には達成する見込みであると聞いております。
     発電事業への関心の高さに驚くばかりですが、申請額がこれほどまでに見込みを上回ったのは、本年七月から始まった再生可能エネルギー固定価格買い取り制度において、太陽光発電の買い取り価格が四十二円と当初の想定を上回る価格に設定されたことの効果も大きいのではないかと考えます。
     そこで、県はこの助成制度をどのように認識しているのかまず伺います。また太陽光発電の導入目標を達成することになりますが、今後の取り組みについて県当局の考えを伺います。
     次に、芸術文化振興について伺います。
     文化は、精神的な豊かさやきずなを育むとともに、地域の誇りとなり経済の発展にもつながるなど多様な分野においてますます重要性を高めており、長期的な視点に立って継続して文化振興に取り組んでいくことが必要であると考えます。
     本年六月、国会において劇場、音楽堂等の活性化に関する法律、いわゆる劇場法が超党派の議員立法で制定されました。同法では、文化や芸術の継承、創造、発信の場である劇場や文化ホールを、心豊かな生活を実現する場であることに加え、人々の共感と参加を得る新しい広場として地域コミュニティーの創造や再生を通じて地域の発展を支える拠点となることを期待し、企画力の向上や人材の育成を図っていくこととしております。
     しかし、理念とは裏腹に同法が制定された背景には、全国に二千に近い文化ホールがあるにもかかわらずその多くが貸し館業務を主体としており、人材の不足や財政的な厳しさから満足な自主企画事業が展開できていないという実態があります。特に、劇場や文化ホールは特殊な設備を必要とすることからその維持管理に多額の費用が必要となり、十分な施設水準の維持、公演の企画や運営を担う人材育成、地域独自の文化創造活動の展開を圧迫していることが大きな課題となっております。その運営は地域の公共団体等の姿勢に任されていることから、地域間の格差も懸念されるところです。
     本県の状況を見れば、三年ごとに実施している県の文化に関する意識調査結果によれば、一年間に文化や芸術を鑑賞した県民の割合は、平成十二年度に七四・七%であったものが平成二十一年度には六一・八%、みずから何らかの文化活動を行った県民の割合は、平成十二年度に三二・五%であったものが平成二十一年度には一九・六%といずれも減少傾向にあり、県民の文化芸術活動は低迷していると言わざるを得ません。ハート(heart)、すなわち心をあらわす英単語のスペルの中にはアート(art)――芸術があります。豊かな心を育むためには芸術文化は必要不可欠な存在であると私は思います。
     県では、ふじのくに芸術回廊の実現を目標に掲げてさまざまな文化振興に取り組んでいますが、ここ数年の県の文化関係予算は横ばいの状態です。本県では、文化振興基本条例を平成十八年十月に制定し、県民が等しく文化活動に参加できるような環境を整備するため、文化振興施策の総合的な推進を図ることとしていますが、特に県には市町等では実施が困難なものに取り組むなど県全体をリードするような取り組みが期待されます。劇場法の制定をきっかけとして今後県全体の文化力の向上にどのように取り組んでいくのか、県の考えを伺います。
     国内就航先からの誘客促進について伺います。
     先日発表された県内の宿泊者数の状況について四半期ごとの変遷を見ますと、東日本大震災直後の平成二十三年度第一・四半期は震災前の平成二十一年度同期に比べ八五・一%と大幅な減少となりましたが、第二・四半期は九八・二%、第三・四半期は一〇一・八%、第四・四半期は一〇一・六%と推移しており、震災の影響から順調に回復していることがうかがえます。
     また、八月の富士山静岡空港国内線の搭乗率は、札幌線のうち、FDAは八七・五%、ANAは八一・九%でした。また福岡線は八四・三%、鹿児島線は八二・九%、沖縄線は八八・六%を記録し、国内線全体の搭乗率は八四・九%と開港以来最高を記録しました。特に福岡線の搭乗率は十四カ月連続して前年同月を上回っており、利用の定着が一段と進んできております。
     こうした状況を踏まえてFDAは、冬ダイヤでは福岡を一日三往復、鹿児島を毎日運航へと増便することを決定しており、九州方面との行き来がますます便利になります。ANAにおいても、冬ダイヤについて沖縄での滞在時間が長くなるよう沖縄線のダイヤ改正を行うとともに、沖縄線、札幌線ともにこれまでの百二十席から百六十七席の機材へと変更を行い、輸送力の増強を図ることとしております。
     このような中、県では、利便性の向上が図られる九州を初め北海道や沖縄といった富士山静岡空港の就航先からの誘客について、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
     次に、県営住宅におけるペットとの共生について県のお考えを伺います。
     本年七月二十五日から三十一日にかけて、NPO法人沖縄災害救助犬協会が主催して被災地、南三陸町へのセラピー犬派遣事業が実施されておりました。仮設住宅で高齢者の皆さんたちと交流している様子がニュースで放映されていました。セラピー犬とは人間の心のケアに貢献できるように訓練された犬のことです。東日本大震災で被災され心に傷を負った方々にとって、大きな癒やしの場となっている様子が映像から感じられました。
     ペットフード協会の調査によれば、犬猫の飼育数は平成二十三年度で二千百五十四万匹に達しています。平成二十二年の内閣府調査では、ペットを飼育する家庭は全世帯の三四%で三軒に一軒の割合になります。また年代別では四十代が三七%、五十代が四五%と子育てが一段落した中高年世代で飼育率が高いという結果が出ています。ペットが単なる愛玩の対象から人間社会に欠かせないパートナーになっている様子がうかがえます。高齢化がさらに進む中でこの傾向はさらに進むものと思われます。
     平成十三年、都市基盤整備公団が条件つきでペット飼育を認めるという発表をしたことから、私は県営住宅におけるペット飼育の是非について本会議で取り上げました。石川知事からは、ペットの癒やし効果を認めた上で、今後新設する団地でのペット飼育の可能性について検討していきたいとの答弁がありました。それから十一年がたちましたが、県ではどのような検討がなされたのでしょうか。
     六年前、長女が捨てられていた子猫を拾ってきたことをきっかけとして、我が家でも猫を飼うことになりました。家の中を我が物顔に走り回る二匹の猫は、癒やしの対象というより家族そのものという存在になりました。川勝知事も犬を飼われているということですけれども、思いは同じではないかと推察いたします。
     本県の県営住宅におけるペットとの共生について所見を伺います。
     急性アルコール中毒防止策について伺います。
     本年五月七日、北海道の小樽商科大学グラウンドで催されていたバーベキューパーティー会場から九人の学生が急性アルコール中毒で救急搬送され、このうち一年生の男子学生が死亡するという痛ましい事件が発生しました。七月には、常軌を逸した異常な飲み会が実施されたとして、大学は四年生八人の無期停学を初めとして五十人の学生の処分を発表しました。大学側は、四月以降学生生活安全マニュアルを配布するなどしており、事故防止には注意を払ったつもりだったと話していますが、型どおりの注意喚起が現場の学生にまで響かなかったのが現実のようであります。
     NPO法人の静岡犯罪被害者支援センターが発行した被害者遺族の手記「みかんのはな」には、やはり飲酒を強要されて死亡した大学生の母親の思いがつづられております。この女性の息子さんは、大学の新入生歓迎合宿でサークルという組織に属するためのあしき儀式としての一気飲みを強要されて、急性アルコール中毒による急性心不全で亡くなりました。結局犯罪としては扱われず親として無念の思いがおさまらないとのことでした。
     血中アルコール濃度が〇・四%を超えると一、二時間で約半数が死亡するそうです。酒に強い弱いは関係なく酔った自覚のないままに一気に危険な量のアルコールを摂取すれば、誰でも中毒に陥るということを今回改めて学びました。残念ながら毎年必ず犠牲者が出ています。アルコール薬物問題全国市民協会の調査によると、この三十年間で学生を中心に百三十九人が亡くなっています。急性アルコール中毒患者の四五%は二十歳代の若者、そのうち三分の二が男性だそうです。うまく立ち回ることができない真面目な若者が事故に遭うことが多いと指摘されます。大切なことは、強要しないこと、無理して飲まないこと、そして一気飲みしないことです。大切な若い命が理不尽に失われることは避けなければなりません。このアルコールハラスメントによる事故を根絶するために、飲酒に関する正しい知識を普及させなければなりません。
     この問題について当局はどのように認識されているのでしょうか、御所見を伺います。また今後の取り組みについてあわせて伺います。
     次に、肝炎対策について伺います。
     本年七月二十八日は、世界保健機構――WHOが定めた世界肝炎デーでした。日本のウイルス性肝炎の持続感染者は、B型が百十から百四十万人、C型が百九十から二百三十万人存在すると言われています。県内でもB型が三・三から四・二万人、C型が六から七・二万人と推計されています。感染時期が明確にわからないことや自覚症状のないことが多いため、本人が気づかないうちに肝硬変や肝がんに移行するケースが少なくありません。日本では年間約三万人が肝がんで亡くなっており、この数は四十年前と比べると約四倍にふえているそうです。
     日本のB型肝炎ウイルスキャリアの約三割、およそ四十万人は、一九四八年――昭和二十三年から一九八八年――昭和六十三年までの間、集団予防接種の際、注射器が不適切に使い回しされたことにより感染したと考えられています。集団接種に係るB型肝炎訴訟では、平成十八年の最高裁判決で国の責任が確定し、平成二十三年に国と原告団等の間で救済に向けた基本合意が成立したところです。またC型肝炎の薬害肝炎訴訟では、出産や手術の際に使用されたフィブリノゲン製剤などの特定の血液製剤が原因でウイルスに感染したとして国と製薬会社が責任を認め、平成二十年には救済のための特別措置法が成立しました。これらの訴訟で問題となった感染の時期はちょうど私たちの世代に一致している時代であり、他人ごととは思えません。またB型肝炎は母子感染の可能性もあるため、若い世代でもリスクを抱えている方が多く存在します。
     肝炎対策でも早期発見、早期治療が重要だと言われています。定期健診に肝炎検査を盛り込むだけでチェックは可能です。治療に関しても効果が高い新たな治療薬が導入されたと聞いています。肝炎に関する正しい理解や検査の重要性の周知、医療体制など本県では肝炎対策にどのように取り組んでいくのか、当局のお考えを伺います。
     在宅医療の充実について伺います。
     高齢化の波はとどまることを知りません。特に都市部での高齢化は急速に進み病気になり治療が必要となる高齢者は増加します。一方病院のベッド数は大きくふえることはなく、当然の結果として病院の対応能力は限界を超えることになります。
     平成二十三年人口動態調査によりますと、国内の年間死亡者数は約百二十五万人となっております。このうち約八〇%の方は病院で亡くなられておりますが、一方自宅で亡くなられる方は約一二%に過ぎません。
     国立社会保障・人口問題研究所が平成十九年五月に推計した都道府県の将来推計人口によりますと、十六年後の二〇三〇年の年間死亡者数は現在よりも三十五万人も多い百六十万人とされており、現状でさえ既にベッドがいっぱいの状況からしますと、これからは病院で死を迎えることが大変難しい時代になると思われます。
     一方、平成十九年度に内閣府が調査した高齢者の健康に関する意識調査によりますと、死期が迫ったときの療養場所としてできるだけ自宅でと希望される高齢者が六割を超えると報告されています。病気を持ちつつも可能な限り住みなれた場所で自分らしく過ごす。これが高齢者のニーズであります。今後患者が望む生活を支える医療として在宅医療の重要性が高まっていくものと考えられます。入院医療から在宅医療への大きな転換期にある現在、県は今後、在宅医療提供体制の整備をどのように進めていかれるのか、その取り組みについて伺います。
     次に、大学生の就労支援策について伺います。
     公明党では、大学生と中小企業との出会いの場を提供する就職支援ウェブサイト「ドリーム・マッチプロジェクト」の実現や大学とハローワークとの連携強化など、学生と中小企業とのミスマッチの解消に全力で取り組んでまいりました。今春大学を卒業した学生の就職率が九三・六%となり、昨年よりも二・六ポイント上昇しましたが、こうした取り組みが功を奏したものと考えています。
     県内大学を卒業した大学生の就職率も八九・六%となり、昨年よりも二・七ポイント上昇するなど、徐々に回復傾向にはありますが、来春卒業予定の大学生の就職戦線は依然として厳しい状況にあると聞いております。さらに中小企業が新卒人材を求めても人材を確保できないというミスマッチや、せっかく就職しても早期に離職してしまう等の問題も指摘されるところであります。これから年度末に向けては、未内定者を就職に導くと同時に来年度就職活動を予定する大学三年生のミスマッチを回避するための大事な時期になります。未来を担う若者が社会にしっかり飛び立てるよう県の積極的な支援をお願いしたいと思います。
     県として、年度末に向けてどのような就労支援を実施していくのか、その取り組みについて伺います。
     米の消費拡大について伺います。
     私がこのテーマを最初に取り上げたのは、国際コメ年とされた二〇〇四年――平成十六年の二月定例会においてでありました。当時の日本人一人当たりの米消費量は年間六十キログラム余り。ピークだった昭和三十七年の半分に減っておりました。穀物自給率の低下する中、米を粉として利用することで小麦粉依存を克服できないかとの思いで、米粉の普及に期待し当局の答弁を求めました。以後、米粉パンの生産が進みスーパーマーケットの店頭に日常的に並ぶようになりましたし、当局の御努力によって学校給食にも使用されるようになりました。しかし残念ながら米の消費量の増加にはつながっていません。
     先日、総務省より昨年の家計調査の結果が発表されました。これによれば、昨年の一世帯当たりの米消費額は二万七千七百八十円、パンの消費額は二万八千三百六十八円で、初めて米とパンの地位が逆転しました。ただこれは家庭で炊いて食べるための精米に限定されたためで、弁当やおにぎりなどのいわゆる中食や外食を含めれば米はまだまだ食べられているとの報告もありましたが、米の消費の減少が続いていることは間違いありません。
     ことし七月二十七日、静岡市葵区のアイセル21で食育シンポジウムが開催され、静岡文化芸術大学学長の熊倉功夫先生が「和食を世界の無形文化遺産へ」と題して基調講演をされました。先生は、「一汁三菜、つまり御飯とみそ汁、おかずと漬物を基本とする日本型食生活こそ日本の長寿社会を実現する大きなエンジンとなった」と述べられています。
     先ほど紹介した総務省の調査の中に米の消費量の全国ランキングがありますが、全国の米どころを抑えて第一位が浜松市、第二位を静岡市が占めており驚きました。日本一の食材に恵まれている県であることは、知事が事あるごとに触れられているとおりでございまして、本県の誇りであると私も思います。豊富な食材を生かし米の消費をふやしてこそ、本県県民の健康が維持できると思います。
     米の消費拡大に向けた県の取り組みについて伺います。
     ふじのくに応援寄附金を活用した基金の募集について伺います。
     先日国が公表した南海トラフを震源とする地震による津波被害は、県の第三次被害想定を大幅に上回るものでありました。沿岸部の住民にとっては大変な脅威であり、一刻も早い対策の実施が望まれます。
     そのような中で知事は、一条工務店からの寄附金を契機として、津波対策を推進するため広く県民の皆さんからの善意をもとにした津波対策施設等整備基金の創設を今議会に提案しました。この津波対策施設等整備基金の具体的な目的、基金の使途や管理方法についてまず伺います。
     一方、平成二十年度の税制改革においてふるさと納税制度が創設され、本県ではふじのくに応援寄附金として県内外の個人からの寄附を募っています。寄附金の活用先としては、富士山環境保全対策の推進、NPO活動の推進、芸術文化の振興、観光振興の推進、富士山世界文化遺産の早期実現、安心の健康福祉の実現、ものづくりの振興、社会基盤整備の推進があると聞いています。
     今回創設する津波対策施設等整備基金については、今後広く県民から新たな寄附の申し出が予想されます。先行するふじのくに応援寄附金の制度を活用すべきであると考えますが、県の所見を伺います。
     次に、全国育樹祭を契機とした森林・林業の再生の取り組みについて伺います。
     本年六月定例会で、知事から平成二十三年の木材生産量が三万立方メートル強増加し二十八万立方メートルとなったとの答弁がありました。ふじのくに森林・林業再生プロジェクトが着実に進んでおり増産の兆しが見える中、その成果に大いに期待するところであります。
     しかし、現場ではこの春先から木材価格が下落し木材を生産してもなかなか売れない現状であります。本年一月ごろから、ギリシャ危機が発端となる想定外の急激な円高・ドル安・ユーロ安が進み、外材の価格競争はますます増大し外材から国産材への転換が進みません。また外材との競争のほか各県も積極的に木材の増産に取り組んでおり、佐賀県や岡山県での先進県視察に行った際に国内の産地間競争が激化していることを実感いたしました。県外の大型製材工場等では自県産を優先して利用しており、本県産材の受け入れが拒否されるなど大変苦労していると聞いております。今後住宅着工数の大幅な増加が見込めない中、全国的に森林・林業を取り巻く状況はますます厳しい環境になっていますが、この厳しい状況であるときこそ森林・林業の再生に向けたチャンスであると捉えるべきであると思います。
     例えば、森林・林業の再生を進めるためには、さらに外材や他県産材と競争できる低価格で安定供給していかなければなりません。また山側では利用間伐による木材増産の体制づくりは進んでいると聞いていますが、売り先があって初めて増産が進むので県産材を安定的に受け入れてくれる大型製材工場などの確保が不可欠となります。まさに需要と供給の一体的な創造を加速していく必要を感じるものであります。
     このような中で、本年十一月に開催する全国育樹祭では、森林資源の活用とそのために人づくりを基本コンセプトとしております。この育樹祭を契機として森林・林業の再生に向けた取り組みを加速していくべきと考えますが、県の取り組みについて伺います。
     地域の青少年声掛け運動の取り組みについて教育長に伺います。
     安倍教育長は、就任当初より左胸に大きなバッジをつけております。地域の青少年声掛け運動の実行章です。きょうは私も胸につけてまいりました。「あいさつをかわしてつくる地域の輪」の標語に表現されるように、地域の青少年声掛け運動は、地域で生活している青少年に周りの大人の誰もが温かなまなざしを向け声をかけ積極的にかかわることにより、青少年の健やかな成長を支援していこうとの目的で、平成十二年に始まりました。十年間で県内の大人の約一〇%に当たる三十万人の参加を目指してのスタートでしたが、十年目の平成二十二年には目標を達成し、本年三月には三十二万人を超え声かけの輪は県内全域に広がっています。人間関係が希薄になってしまった時代ではありますが、声をかけるというちょっとした行動が心を温かくしてくれます。私ごとで恐縮ですが、運動不足解消のために年に数回山歩きやウオーキングに出かけます。山では行き交う人々全てが声をかけ合います。「こんにちは」、たった一言ですが心が洗われる思いがいたします。
     静岡市内のある中学校では、生徒会のリーダーが毎日正門に立って生徒の名前を呼んで朝の挨拶をするという運動を始めました。名前を呼ばれた生徒の顔には必ず笑顔が浮かぶそうです。この運動は、クラスごとに順番に当番を決めて全員が校門に立つという運動に発展したと聞きました。声かけの重要性を教えてくれる実践活動として評価したいと思います。
     さて、既に目標を達成した地域の青少年声掛け運動ですが、青少年を取り巻く昨今の悲しい事件を思うにさらなる進化を期待したいと思います。県の取り組みについて伺います。
     高等学校における防災教育について教育長に伺います。
     兵庫県立舞子高等学校は昭和四十九年創立の普通高校です。平成七年の阪神・淡路大震災を経て、平成十四年には環境防災科を設置、全国唯一の防災学科を擁する高等学校として十周年を迎えました。兵庫県は今年度、国の実践的防災教育総合支援事業の実施委託を受け、高校生向けの新たな防災教育の検討に着手、協議を重ねる中で、高校生防災リーダー育成事業に取り組むことになりました。
     第一弾として、七月二十一、二十二日の一泊二日で、高校生防災リーダーを育成するための学習会が県立淡路高校旧一宮校を会場に開催されました。防災教育や被災地支援活動で実績のある県内外の公立高校に呼びかけた結果、兵庫県十五校、東京都一校、神奈川県一校から七十二人が参加し、舞子高校の教員が中心となって講義と少人数で意見を出し合うワークショップが行われました。八月には第二弾として、学習会の参加者のうち三十七人が宮城県気仙沼市、松島町、石巻市、東松島市を訪問、被災地ボランティアとして清掃活動や中学生との交流、仮設住宅でのお年寄りたちとの交流に汗を流すという貴重な経験をしています。参加した生徒たちからは、喜んでもらえて本当にうれしかった、泥まみれの写真洗浄作業を通して命の大切さを改めて感じたとの声が寄せられています。同校環境防災科の諏訪清二科長は、生徒たちには地震の際のノウハウを学ぶだけでなく災害時には人間はどうあるべきなのかという人間力を身につけさせたいと語っています。創立以来十年間で、消防士や警察官として市民の命を守る活動をしている卒業生ばかりでなく、青年海外協力隊員として発展途上国で防災教育や農業支援に従事している卒業生も誕生したとのことです。
     防災というテーマを通して、社会に貢献するリーダーが着実に育っているという同校の実践を知って、防災先進県を自負する本県としても一歩踏み込んだ取り組みができないものかと考えさせられた次第です。本県の高等学校の防災教育のあり方について教育長の所見を伺います。
     最後に、警察本部長に伺います。
     質問に入る前に一言申し上げます。近年全国で警察官による不祥事が頻発しております。不祥事も多岐にわたり、中には耳を疑うような犯罪に警察官が深く関与していたという事犯もあり非常に残念に思っております。国民の生命と財産を守るというとうとい職業を選んだことを誇りに思うならば、このような不祥事が発生するはずはありません。どうか国民の信頼を回復すべく汚名の返上を目指して初心を忘れず日夜業務に励んでいただきたいと思います。よろしくお願いします。
     新東名高速道路の課題と対策について伺います。
     全長百六十二キロメートルに及ぶ新東名高速道路がことし四月に開通して、はや半年がたとうとしております。この新東名高速道路は、関東、中部、関西の三大都市圏の連携強化を初め東名・名神高速道路の渋滞緩和に伴う安定的な輸送体制を実現させることにより、県内のみならず日本の産業、文化、社会経済の振興に大きく寄与することが期待されていることは周知の事実であります。また災害時とりわけ東海地震に備え、東名高速道路の代替ルートとして緊急輸送路の確保に大きな役割を担うとともに、サービスエリアなどにヘリポートが整備されるなど充実した防災機能が備わったこの高速道路に、県民の期待は大きいと言わざるを得ません。
     ただ、一方でカーブが緩やかで高低差も少ないこの新東名高速道路は、スピードが出しやすく区間の四分の一がトンネルとあって、一つ事故が発生すれば大事故に発展する危険性があるとともに、山間部を走る地理的条件から、濃霧の発生やイノシシ、鹿などの大型獣の横断による事故の発生も懸念されてきました。事実、開通後動物相手の事故が相次いで発生したほか、四月には掛川市内の下り線で、山の斜面からフェンスを突き破って落ちてきた落石に大型トラックなど車四台が乗り上げる事故が発生しました。また五月には八十歳代の男性が運転する軽乗用車が、新清水インターチェンジから下り線を約二十キロメートルにもわたって逆走するという、思いも寄らない事件も発生しました。県警によれば人身交通事故は開通後三カ月で約四十件発生し、七月十四日には残念なことに藤枝市岡部町の下り線で乗用車三台が関連する死亡事故が発生してしまいました。県警はこれまで、高速道路交通警察隊員を約六十人増員して体制の強化を図りつつ、新東名高速道路に新たに設置した新静岡、長泉沼津、浜北のそれぞれの分駐隊を拠点に配置された隊員による取り締まりや交通規制、事故処理訓練等を積み重ね、万全を期してきたと報告を受けていますが、さきに述べたような予想し得ない事故や事件が発生したことは非常に残念な事態と言わざるを得ません。
     警察本部長はことし二月定例会において、新東名高速道路の交通安全対策について、重大事故に直結する速度違反の取り締まりの強化、パトカーをペースメーカーとして走行させることによる速度の抑制と事故抑止を図ると答弁しております。新東名高速道路が開通して約半年、これまでの事故事件の発生状況を踏まえ新たに見えてきた新東名高速道路の課題とその対策について、本部長はどのような御所見をお持ちかお聞きをして、ひとまず質問を終わります。(拍手)
    ○議長(小楠和男君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 前林議員にお答えいたします。
     初めに、人権問題にかかわる私の時代認識についてであります。
     昨今、児童虐待や配偶者などからの暴力であるドメスティック・バイオレンス――DV、職場におけるパワーハラスメントなどが後を絶ちません。子供のいじめ問題につきましても連日のように報道されており心を痛めております。これらの深刻な人権侵害を解消するには、やはり誰もが人権思想を真剣に学び人権意識を涵養することが必要であると考えております。
     県の取り組みといたしましては、平成二十三年三月に静岡県人権施策推進計画を改定しました。そして人権啓発センターを拠点に、地域、学校、企業などに対しまして年間約百九十回、参加者二万六千人に及ぶ各種講座等を開催しております。またセンター機関紙を約五千カ所に配布したりマスメディアを活用した広報を展開するなど、県民の意識の高揚にも力を入れております。
     この結果、去る七月に行いました県政世論調査におきまして、約四〇%の方が人権尊重の意識が定着した住みよい県であるとのお答えをいただきました。三年前の調査から約一〇%増加いたしましたが、この割合を平成二十七年度までに五〇%とする目標に向けてさらなる取り組みが必要であります。
     ことしの十二月四日から十日までの人権週間では、法務省や県内の人権擁護委員の方々などと連携し、多くの県民が集うふじのくに人権フェスティバルを焼津市で開催いたします。またDVや児童虐待をテーマとしたシンポジウムを掛川市で、キリマンジャロ登山に挑戦した視覚障害者を講師とした講演会を御殿場市で行います。加えましてテレビやラジオ、インターネット、地域情報誌などを活用した啓発活動を集中的に展開いたします。この際には浜松を拠点に活動し歌を通して若者から共感を得ている音楽グループを起用することで、特に若い世代に対してともに支え合うことの大切さを訴えてまいります。
     今後とも、誰もが人間らしく幸せに暮らしていくことができる社会の実現を目指して、以上のような取り組みをしっかりと進め、関係団体、市町、教育委員会と連携しながら、人権尊重の意識の定着に向けた取り組みを粘り強く進めてまいります。
     人権は、議員御指摘のとおり明治期に導入せられた外来の思想でございました。天賦人権論としてこの国に根づき、それが民権論として発達をし、そして民族の自決、人種の平等というところにまで発展し、ベルサイユ条約では日本が人種平等宣言をその条約の中に取り込むように提言したぐらいでございます。またこうした民族の自決に基づいて、多くの植民地の国が自立独立してまいりました。さらに一九四八年には、世界人権宣言、これをもとにした国際規約でございます国際人権規約というものが一九六六年に結ばれております。
     こうした歴史をしっかり知るということは、やはり人権意識を涵養する上で人間がかち取ってきたものだということを知る上で大きな意味があると思います。しかし基本的には思いやりの心、そして正しいことを勇気を持ってするということ、そしてまた人間関係には礼節を失わないという、昔で言えば仁・義・礼という、そういう徳目をもやはりあわせて私どもが二千年近いこの歴史の中で涵養してきたものだということも知ることが重要ではないかと存じます。さらに言えば山川草木悉皆成仏あるいは草木国土悉皆成仏と言われるように、生きとし生けるものすべて平等である、衆生生きとし生けるもの平等であると。激烈なばかりの平等思想というものも我々の伝統の中にございます。そうしたものもあわせて自覚することを通して、我々の社会の中に仁・義・礼と言われるような徳が行き渡る社会になるのではないかというふうに考えております。
     次に、事業者用太陽光発電の導入促進についてであります。
     今年度新たに創設した太陽光発電を設置する中小企業等に対する助成制度につきましては、当初の想定を大幅に上回る申請が寄せられております。設置に向けたこのような機運の高まりに応えまして、予算額を四億九千万円増額することといたしまして、今議会にお諮りしているところでございます。
     申請件数がふえている要因としては、七月から始まりました再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の効果に加えまして、六月から七月に発電事業の運営ノウハウを習得するセミナーを県内四会場で集中的に開催したことで、県内の中小企業等の投資意欲が高まっていることにもよると考えております。これまで申請の少なかった個人商店、農業等の業種、あるいは志太榛原、中東遠、東部、伊豆などの地域から申請がふえておりまして、取り組みの視野が広がっているわけでございます。
     セミナーへの参加者を対象にアンケート調査を行いましたところ、太陽光発電事業は初期投資額が大きい、それゆえ約八割の方が県の助成制度の有無で投資を判断すると回答をされています。県の積極的な支援に対し高い評価をいただいているということでございます。現在景気の低迷や電気料金の値上げなど経営環境が大変厳しい状況にある中、中小企業の積極的な設備投資を促進する高い効果が得られているものと考えています。こうした取り組みの成果として、ふじのくに新エネルギー等導入倍増プランに掲げる太陽光発電の導入目標である三十万キロワットを、当初予定していた平成三十二年度から八年前倒しして今年度中に達成できる見通しとなったと考えます。
     一方、新エネルギー等の導入率を平成三十二年までに一〇%以上とするプラン全体の目標につきましては、平成二十三年度末の実績が暫定値でございますが六・四%です。この目標を可能な限り早期に達成できますよう一層促進を図る必要がございます。引き続き本県の強みである日本一の太陽エネルギーを生かした太陽光発電の導入促進に努めてまいります。また小水力発電、バイオマス、天然ガスコージェネレーションなど多様な新エネルギー等の導入を加速し、エネルギーの地産地消を推進してまいります。
     次に、芸術文化振興についてであります。
     文化施設は、文化芸術の創造と発信の場であるとともに、にぎわいを形成し地域の発展を支える拠点でもあります。本県の文化力を高めるには県有施設を初めとする文化施設の機能の向上が重要です。このため県立美術館、グランシップ、SPACなどでは、これまで培ってきた企画力などを生かし見る人に感動を与える魅力ある公演や展覧会などを開催しているところでございます。さらに県内各地の文化施設と連携した出前事業、これを積極的に展開することで多彩な文化芸術に触れる機会を県民の皆様に提供しているところでございます。また地域の文化施設におきましても、質の高い公演の企画制作を初め地域に根差した文化活動への支援、施設の効率的な運営など多様な役割が求められており、厳しい経営環境の中ではございますが自主企画事業の拡充にも努めています。
     県といたしましては、県内文化施設の企画力や運営力の一層の向上のため、グランシップとの共同企画による公演、SPACによるスタッフの派遣、静岡文化芸術大学の教授陣によるアートマネージャー養成講座の開催等々、県の文化関係機関の持つ経験と能力を生かした支援を積極的に行ってまいります。
     今後も、地域の文化施設が文化創造やまちづくりの拠点としての機能を高め、県民の皆様の文化活動を一層盛んにすることで、みずからの地域に誇りを持ち国内外からの憧れがここに集中するふじのくに芸術回廊の実現を目指してまいります。
     先ごろ、県立美術館とSPACと日本平ホテルが連携をするという取り決めもなされました。SPACの公演をたまたまお泊まりのホテルのお客様が鑑賞できるというようなことも、これから進んでいくのではないかというふうに思っております。言うまでもなく、また美術館の中で演劇をあわせて見られるという、そういう試みは既になされているところで、こうした既にあるものを結びつける相乗効果を狙ったソフトを通して、限られた予算の中での芸術振興を図るということも考えております。
     次に、米の消費拡大についてであります。
     米の消費拡大を図るには、高品質でおいしい米づくり、米を使った新商品の需要開拓、米を中心とした日本型食生活の推進が重要です。
     このため、県では「御殿場コシヒカリ」、遠州森町産「究極のコシヒカリ」、浜松の「やら米か」、こうしたブランド米の生産を支援しております。また平成十六年から開催しているお米日本一コンテストで競うことなどによって、県内産の米は東北や北陸のトップレベルの米と肩を並べるほど品質が向上してまいりました。
     また、お米を使った新商品としては、県では学校給食用の小麦粉ではなくて米粉を使ったパンの開発に取り組み、ことし一月から県内二十八の市町の学校給食に導入されています。さらに産学官の連携により本県で初めて開発された、米ペーストを利用した膨らみがよいなどの長所を生かした食パン――なかなかおいしいものでございます――こうした加工食品への商品開発も支援してまいります。
     十一月には、第六十六回全国お茶まつりと第九回お米日本一コンテストを同時開催し、和食文化の柱であるお米とお茶の魅力を一体的に情報発信してまいります。
     これらの取り組みに加えまして、学校教諭や栄養士等を対象として、議員から御紹介のございました熊倉功夫静岡文化芸術大学学長先生を講師にお招きした食育シンポジウム等の開催を通じ、米を中心とした栄養バランスのすぐれた日本型食生活の重要性について理解を深め、子供たちにそのよさを伝えてまいります。
     今後とも、お米とともにお茶、お魚等の豊富な本県の食材を食すという静岡らしい和食文化を広げることにより、米の消費拡大を一層推進してまいります。
     議員は、おなかが出ないように登山をされているとのことでございますが、一定年齢を過ぎますと御飯を食べるとどうしてもバランスが悪くなるということがございます。しかし本県産の米を使った最高の芸術品日本酒も、これまた米の消費拡大に資するものであると思います。外国産のアルコールのかわりに本県産「誉富士」を使い本県の誇る「静岡酵母」を活用した銘酒を、飲み過ぎないように愛飲をしてPRすることを通して、これまた本県産の米の消費拡大と――ただしこれは二十歳以上に限りますが――をするということも、特にここにいらっしゃる議員の先生方にはお勧めでございます。
     次に、全国育樹祭を契機とした森林・林業の再生の取り組みについてでございます。
     来る十一月十日、十一日に開催する全国育樹祭の基本コンセプトは、「森林資源の活用とそのための人づくり」であります。このコンセプトは、本県が目指す需要と供給を一体的に創造するふじのくに森林・林業再生プロジェクトを推進するためのものでございます。
     このプロジェクトの目標である県産材生産四十五万立方メートルの達成に向け、木材の供給側では、森林施業の集約化、路網の整備、高性能林業機械の導入、人材の育成を重点施策として取り組んでおり、県内各地で着実に成果を上げているところでございます。
     需要側では、静岡県森林組合連合会の原木供給センターと連携し、需要と供給を調整するコーディネーターの育成や大型製材工場などの大口需要先の確保に取り組んでおりまして、北駿地域、富士地域、天竜地域で製材工場の新設など意欲的な取り組みが生まれてまいりました。
     育樹祭ではこうした取り組みを全国に発信いたします。それとともに参加者が実際に県産材製品に触れることのできる催しや世界各国の最新鋭の林業機械の展示・実演会を開催し、木材のよさや活用について理解を深めていただくこととしております。
     県といたしましては、この全国育樹祭の開催を契機として、本県の持つ森林資源のポテンシャルを最大限に活用し、県産材の供給体制のさらなる整備と安定的に受け入れる需要先確保の取り組みを加速させることで、ふじのくに静岡の森林・林業を再生してまいります。やはり安定した需要先をつくり上げることが大切です。
     内陸フロンティアの開発というのもその一つになり得ます。もちろん公共施設に県産材を使うということは、従来どおりこれを拡大して継続してまいりますけれども、一方で内陸地域におきまして住宅建設、あるいは工場やその他さまざまな施設がつくられる可能性が出てきております。こうしたところに県産材を活用していただくというその思想を盛り込んでいるというのが、内陸フロンティアにおけるグランドデザイン。これはその地域をいわゆるコンクリートジャングルにするのではなくて、農業芸術、農林業、あるいは園芸、こうしたものが生かされていると。緑が生かされているという、そういう意味においての農芸都市――ガーデンシティーとしていくということは、きっとこういうところにおきまして需要の安定的な拡大が望まれるというふうに期待しているところでもございます。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長(小楠和男君) 土屋経営管理部長。
           (経営管理部長 土屋優行君登壇)
    ○経営管理部長(土屋優行君) 臨時財政対策債についてお答えいたします。
     臨時財政対策債につきましては、地方財政法の規定によりその償還金の全額が後年度に地方交付税の基準財政需要額に算入されることとなっており、地方団体の財政運営に支障が生じないよう措置されております。
     しかしながら、議員御指摘のとおり臨時財政対策債の本県の平成二十四年度末残高見込みは七千四百億円を超え、一般会計の県債残高の約四分の一を占めております。また全国の地方団体の合計では約四十一兆円に達する見込みであり、大変深刻な状況にあることは認識しております。
     このような状況におきましても、臨時財政対策債は、地方交付税の身がわりとして措置されているものであり、県民に必要な行政サービスの水準を維持するためには国が示した配分額を発行せざるを得ない状況にあります。このため基本的には交付税原資が不足しているという国と地方全体の問題であることから、地方交付税の法定率の引き上げを含めた抜本的な見直しとともに、発行額の縮減、償還財源の確保、配分方式の見直しについて国に引き続き粘り強く提案してまいります。
     しかし一方で、県独自の行革努力もさらに強めていく必要がありますので、歳出のスリム化や歳入確保に努めながら通常債につきまして極力圧縮し、健全財政に向けた取り組みを進めてまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 下山文化・観光部長。
           (文化・観光部長 下山晃司君登壇)
    ○文化・観光部長(下山晃司君) 国内就航先からの誘客促進についてお答えいたします。
     十月末に各航空会社が実施する運航ダイヤの改正では、富士山静岡空港の国内線の輸送力が大幅に増強されます。これは、多くの県民の皆様に富士山静岡空港の利便性を理解していただき、観光やビジネス等での利用が定着してきた結果であると考えております。
     富士山静岡空港を発展させるためには、就航先から本県を訪れる人の増加が不可欠でありますことから、北海道では冬のゴルフツアーの造成、福岡ではビジネス客誘致のための企業訪問、鹿児島では経済団体等との相互交流、また沖縄では大規模イベントへの出展など、就航先の特性に応じた誘客活動を積極的に展開しているところであります。
     また、各就航先のラジオ番組に本県の魅力を紹介するコーナーを設けるとともに、番組のパーソナリティーを本県に招き観光地での実体験をリスナーに伝えていただくなど、メディアを活用した情報発信にも取り組んでまいります。
     今後は、富士山世界文化遺産の構成資産や没後四百年を迎える徳川家康公ゆかりの事物などと、県内各地の温泉や食などをめぐる魅力あふれる旅行商品の造成を旅行会社に働きかけるなど、富士山静岡空港の就航先からの観光客の増大に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 伊熊くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 伊熊元則君登壇)
    ○くらし・環境部長(伊熊元則君) 県営住宅におけるペットとの共生についてお答えいたします。
     ペットは、人々の心に潤いと喜びをもたらす存在であり、孤独の解消や心の癒やし、感性豊かな潤いのある生活を求めて、ペットを家族の一員としてともに生活したいと思う方がふえております。
     しかし、隣家と壁一枚隔てただけの集合住宅で飼育する場合は細心の注意が求められることから、県では先進事例を参考にこれまで県営住宅でのペット飼育のあり方について検討してまいりました。先進事例の多くは、同じ団地の居住者の同意、飼育ルールの策定と遵守、トラブルへの対処や解決を図るための飼い主会の結成などを義務づけて、比較的理解の得られやすい団地からモデル的に導入が進められました。しかし実際にスタートしてみると、鳴き声やふん尿の問題、飼育マナーが守られない、トラブル処理がうまくいかないことから団地住民の反発が強まるなど、さまざまな問題が発生してモデル事業を拡大するには至っておらず、本県が導入する場合にも相当慎重に対応する必要があるということがわかりました。
     ペットを必要とする世帯とそうでない世帯が、いかにして一つ屋根のもとで共存するかという大きな問題でありますので、まずは県営住宅におけるペットの飼育について、居住者の意向を調査するなどして課題の解決に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 急性アルコール中毒防止策についてお答えをいたします。
     議員御指摘の大学生の急性アルコール中毒による死亡事例が後を絶たないことや、県内の多量飲酒者の割合が平成十五年から平成二十年までの五カ年で、女性は横ばいであったのに対し男性は一・三ポイント増加している状況にあることから、若いうちからの適正飲酒の啓発は大変重要なことと考えています。
     県では、未成年者の飲酒や喫煙は健康に悪影響を及ぼすとともに薬物乱用の入り口になることから、県民の健康づくりを目的とするふじのくに健康増進計画に若い世代への正しい知識の普及を盛り込み対策を進めています。具体的には薬剤師会などと連携し、県内の小中高等学校において飲酒、喫煙や薬害等に係る薬学講座を開催するとともに、飲酒機会の多い大学、専門学校の学生に対してアルコールに関する体質を知ることができるパッチテストを行っています。
     今後は、本県の高等教育機関の連合体であります大学ネットワーク静岡と連携し、アルコールへの知識や一気飲みの危険性などの情報を提供することにより、県内大学、短大等での対策を強化していただき、若者の飲酒による事故がなくなるよう努めてまいります。
     次に、肝炎対策についてであります。
     ウイルス性肝炎は国内最大級の感染症であり、感染しても自覚症状がなく肝がんなどの重篤な病態に進行するおそれがありますことから、検査でウイルスの感染を確認し早期の受診に結びつけることが何より大切であります。
     このため本県では、保健所や二十九の拠点病院において肝炎ウイルス検査を無料で実施するとともに、患者の経済的負担を軽減するため平成二十年度から昨年度まで合計で十二億円余の肝炎医療費を助成してまいりました。本年三月には、肝疾患死亡率の低減を目的とした静岡県肝炎対策推進計画を新たに策定し、感染予防の正しい知識の普及、ウイルス検査の受検勧奨、医療体制の確保等、より総合的な肝炎対策の推進を図ることといたしました。
     今年度は、六十カ所以上のスーパーマーケット等の大型店においてリーフレットの配布等の啓発活動を実施するとともに、去る七月の日本肝炎デーに合わせまして知事と肝臓専門医との対談を新聞に掲載し、生涯一回以上ウイルス検査を受けるように広く県民に啓発をしたところであります。さらに検査陽性者に対しましては、受診を強く勧めるとともに、身近な医療機関で治療を受けられますよう肝疾患かかりつけ医の周知もあわせて計画をしています。今後もこのような継ぎ目のない総合的な施策の実施を通じまして、肝炎対策のさらなる充実を図ってまいります。
     次に、在宅医療の充実についてであります。
     今後ますます進展する高齢社会を見据えますと、高齢者が住みなれた環境でできるだけ長く過ごし、望む人には自宅でのみとりも選択できるようにすることが重要であり、こうした高齢者を支える在宅医療の推進は不可欠であります。しかしながら現時点では、本県の在宅医療提供体制は取り組む医師や訪問看護師などの人材が不足しており、二十四時間体制を維持するための病診・診診連携などの医療連携や地域包括支援センターを初めとする介護部門との連携は、まだまだ不十分な状況にあります。
     こうしたことから、本県では、昨年十一月に策定をいたしました静岡県地域医療再生計画におきまして、国の取り組みに先駆け在宅医療を救急、周産期医療と並ぶ最重要施策の一つとして位置づけ、昨年度から県医師会とともに在宅医療体制の整備に取り組んでいるところであります。これまで、県医師会が中心となって地域の課題の抽出を行うとともに、在宅患者情報を共有化するシステムを開発してまいりました。そして本年五月には静岡県在宅医療推進センターを立ち上げ、各地域で実際に在宅医療に取り組む医師や訪問看護ステーション等の事業者が効率的な連携を行えるように取り組みを始めたところであります。
     県といたしましても、在宅医療を担う人材育成、人材確保のため医師、看護師を対象とした研修会等を実施し、在宅医療従事者の拡大を図っているところであります。また本年度から新たに、医師、訪問看護師及び介護支援専門員等の多職種の従事者がチームとなって患者・家族をサポートしていく体制を構築するためのコーディネーターの育成も行うこととしています。
     今後も、在宅療養者を支えるため、医療及び介護の関係者と密接な連携を図りながら、多くの県民の皆様が望む在宅医療体制の着実な整備に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) 大学生の就労支援策についてお答えいたします。
     大学生の就職のミスマッチや入社後の早期離職の問題は、就職活動の段階で求人のある地域企業の情報や会社の現場の情報が不足していることが大きな要因と考えております。
     県では、直接学生に企業の情報を提供することといたしまして、未内定の大学四年生を対象に八月には一泊二日の就活バスツアーを県内三コースで開催いたしまして、若手社員から仕事の説明や経営者との懇談などの機会を設けたところでございます。また地域企業を中心とした就職面接会を七月に県内三カ所で開催をいたしまして、学生が事前にPRシートを提出した上で企業から学生に面接をリクエストする方式を新たに導入するなど、マッチングを促進する工夫も取り入れております。今後は十月、十二月にも同様の就職面接会を合計六回開催することとしております。
     また、就職活動前の大学三年生に対しましても、九月に今回初めて企業見学バスツアーを実施いたしましたほか、八月から来年二月までの間、企業見学会ワークラリーしずおかを実施することとしております。さらに十二月には、地域企業が自社の魅力をアピールする県内企業魅力発見説明会を開催いたしますとともに、今年度新たに中小企業三百社を掲載する企業情報誌一万二千部を大学生に配布する予定でございます。
     こうした取り組みに加えまして、ヤングジョブステーションや新卒応援ハローワークにおきましてマンツーマンの相談支援を続けるなど、一人でも多くの大学生が就職できますよう年度末に向けて実効性のある就職活動の支援に積極的に取り組んでまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 長島交通基盤部長。
           (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
    ○交通基盤部長(長島郁夫君) ふじのくに応援寄附金を活用した基金の募集についてお答えいたします。
     県では、東日本大震災を受け第四次地震被害想定とあわせて津波対策アクションプログラム中長期対策編の策定を進めておりますが、津波対策に必要な施設の整備には多大な費用と時間を要することが見込まれています。
     本議会にお諮りしている津波対策施設等整備基金は、広く企業や県民の皆様から受け入れる寄附を積み立て、県が行う津波対策施設等の整備に活用するために造成するものであります。具体的には、防潮堤や河川の堤防、水門など津波を防御する施設のほか、内陸側において保安林や道路のかさ上げなど津波の被害を軽減する機能を持つ施設の整備に活用いたします。
     また、個人からの寄附の受け入れにつきましては、県内在住の方に加え県外で御活躍される方々の思いも幅広く受け入れることができるよう、御提案いただいたふじのくに応援寄附金を活用してまいりたいと考えております。
     県といたしましては、沿岸地域の安心・安全のため、国の各種制度を積極的に取り入れより一層の予算確保に努めるとともに、基金を有効に活用し着実かつ迅速な津波対策施設等の整備を推進してまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 地域の青少年声掛け運動の取り組みについてお答えいたします。
     この運動は、地域の青少年に対し周りの大人が挨拶をする、よい行いを褒める、励ますなどの声かけを積極的に行うことにより青少年を地域で守り育てるという大人の意識の高揚を図ることを目的として、平成十二年にスタートいたしました。議員から御紹介がありましたように、平成二十二年度には参加者が目標であります三十万人を達成したところであります。
     昨今、いじめ、万引き等が問題となっており、学校・家庭・地域が互いに協力しながら社会総がかりで対応していくことが極めて重要であると考えております。県教育委員会では、これらの問題行動等への対策として、きまりを守る子ども育成協議会や静岡県・市町教育委員会代表者会等を開催し対応を協議しているところであり、委員からは、挨拶や声かけを通して顔の見える関係を地域で築いていくことが大切であるとの御意見をいただいております。
     県教育委員会といたしましては、協議会の提言等を踏まえ、学校やPTAだけではなく民間企業やNPO団体とも連携を図りながら、今後も地域の青少年声掛け運動を初め青少年の健全育成につながる運動を積極的に推進してまいります。
     次に、高等学校における防災教育についてであります。
     本県におきましては、平成十八年度から県立裾野高等学校におきまして総合的な学習の時間で「環境と防災」という講座を開設し、自然や社会環境と防災の関係について理解を深めるとともに災害に対応できる能力を身につけ、生徒全員が静岡県ふじのくにジュニア防災士の認定を受けるなど、地域に貢献できる人材の育成に努めております。
     また、昨年三月の東日本大震災以降、夏休み等を利用し多くの高校生がボランティア活動に参加しており、その成果を防災活動等に生かしております。
     県教育委員会といたしましては、昨年度から日ごろの防災訓練や授業等の学習活動を通じてみずから命を守る教育の充実に取り組んでいるところでありますが、今後は、より専門性の高い将来の防災リーダーの育成や主体的に地域の防災に取り組む企画力のある人材育成の必要性も感じております。
     このため、防災に関する専門科目の開設や類型の設置などにつきまして、裾野高等学校の取り組みや高校生の被災地ボランティア活動の実績等を踏まえ、また先進校であります兵庫県立舞子高等学校の取り組み等も参考にしながら研究を進めてまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 繁田警察本部長。
           (警察本部長 繁田 誠君登壇)
    ○警察本部長(繁田 誠君) 初めに、議員から御指摘のあった全国的に警察の不祥事案が増加し国民からの信頼を傷つけていることに対し、まことに申しわけなく存じます。本県においても一昨日は沼津署交番において拳銃操作を誤り暴発させる事案があり、危険物を扱う者としての危機意識を再度強化すべく県下に指示したところであります。今後とも、県民の期待する警察活動を実現すべく私以下奮闘してまいりますので、どうか変わらぬ御支援、御協力のほどお願いいたします。
     御質問の新東名の現況についてでありますが、県内高速道路の平均交通量は新東名開通前より約三割増加しましたが、事故件数にあっては両東名合わせても昨年同期における現東名の発生件数よりもやや少ないレベルにおさまっております。しかし新東名が開通してから五カ月が経過し新たな課題も見えてまいりました。一つ目は、七月、清水ジャンクションで発生した転落死亡事故のようなジャンクション部での速度超過による単独事故、連絡路での渋滞時における追突事故、サービスエリア等での軽微な接触事故が多く発生しております。二つ目は、勾配やカーブ等が非常に緩やかで走りやすいため、開通当初の五月に比べ約三割の速度違反車両の増加が見られております。三つ目は、幸い重大事故には至っておりませんが、御指摘あったように動物の侵入事案が月に四十件発生し四月には本線への落石事故が発生いたしました。
     これらに対する事故防止対策でありますが、警察としましては、事故多発場所にポイントを置いたパトロールや、事故多発時間帯におけるペースメーキング及び覆面パトカーによる取り締まりの強化を実施してまいります。
     次に、関係機関を通じて行う事故防止対策としては、清水ジャンクションでの転落事故のような重大事故を防止するため、道路管理者に対して車線構成の見直し、情報板や道路標示等の安全施設の拡充などの対策を申し入れております。
     さらに、追突事故が多発している渋滞車両後尾における、NEXCOハイウエーパトロールによる広報と警戒活動の強化、駐車場での交通整理員の増強配置、防護柵設置による動物侵入対策、落石防止のための自然災害対策などの強化をお願いしているところであります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 三十番 前林孝一良君。
           (三十番 前林孝一良君登壇)
    ○三十番(前林孝一良君) それぞれ御答弁どうもありがとうございました。
     最初に、人権啓発の話でございますが、知事からはさまざまな形で人権啓発を進めてまいるという決意を示していただきましたが、特にやっぱり若い世代への啓発活動、若い世代が参加できるような取り組みをぜひ進めていただきたいと思っております。
     それから、あと米の消費拡大についてのことですが、日本酒については私も想定しておりませんで、さすがは知事の答弁だと思って感心をいたしました。私も日本酒が飲めるように挑戦をしたいと思っております。
     二点質問をさせてください。
     最初に、県営住宅におけるペットとの共生についてですけれども、部長からは御答弁がありましたが、残念ながらルールを守れなくて再度禁止になったというお話もありましたけれども、やはりルールを守れるような環境づくりも必要なわけでございまして、例えばマンション等においては、管理組合がしっかり住民との話し合いをしながらペットと共生をしているところもふえているわけでございます。団地にはそれぞれ自治会もあるわけですので、もしペットを飼いたいようなご希望があるならば、自治会の中でそういう話し合いをした上で、自治会にある程度任せるような取り組みもあっていいのではないかと思いますけれどもいかがでしょうか。御答弁をお願いします。
     それから、教育長から防災教育について御答弁がございました。裾野高校の取り組みは今お聞きさせていただきましたけれども、やはりみずからが防災の主体者であるという、そういう意識づくりが必要だと私は思っております。訓練に参加するだけではこれは傍観者でございまして、そういう意味でこれからのまさに防災リーダーをいかに育てていくか。これにもっともっと力を入れてほしいなと思っております。
     公明党県議団では、私以外の四名の議員がこの春に防災士の資格を取りました。防災士の資格を取ることでこの防災に関するやっぱり気持ちが変わるわけですね。非常にそういう意味では、私自身は防災士になっておりませんので反省をしておりますけれども、やはり高校生もその主体者であるというところを何とか、主体者であるために例えば防災士になろうとか、あるいは災害ボランティアコーディネーターを目指そうとか、そういう声が上がってきてもいいんじゃないかと思っております。
     私が前から思っているのは、例えばどこかの高校に高校生消防団があってもいいんじゃないかという気持ちも持っております。そういう意味でいろんな取り組みが可能かと思いますけれども、もう一度教育長のほうからの御答弁を期待したいと思います。
    ○議長(小楠和男君) 伊熊くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 伊熊元則君登壇)
    ○くらし・環境部長(伊熊元則君) 県営住宅におけるペットとの共生につきましての再質問につきましてお答えをいたします。
     ただいま議員から御提案ありましたとおり、団地住民の自治会においてペットの飼育について、その中で実施をしていくという方法は一ついい方法だとは思ってございます。これまでの先進事例を見ますと、団地の中での飼い主会がつくられましてここにおいて自主的に管理をしていくというような取り扱いのようでございますが、実際にはトラブル等が発生をしてなかなか団地の居住者の方の反対が強くて、既に実施したモデル事業もなかなか広がっていかないという、中止に至った例もあるということでございますので、そういった点、難しい点、あろうと思いますが、議員の御指摘がございます県営住宅の居住者の意向、最近は高齢化も進展しておりますのでペット飼育についての考え方が若干変わっていようと思いますので、そういった点も含めまして自治会等での管理が可能かどうか、そういった点を調査をしてまいりたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
    ○議長(小楠和男君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 防災リーダーの育成に力を入れていく必要があるのではないかという御質問であったかなというふうに思います。
     これにつきましては、教育委員会、いわゆる教育行政ができるものは何かということを、いま一度私たち整理をしなければいけないかなというふうに思っています。
     私が承知しているところによりますと、例えば防災士につきましても九日程度の、たしか研修を受けなければいけないということで、これは実は教員の中にも防災士の研修を受けたいという職員がいるわけですけれども、なかなか休暇をとって行くのが難しいというようなこともありますので、これは以前から危機管理部と相談をしておりまして、例えば夏休みにそういう研修ができないかというようなことも工夫することによって、教職員だけではなく生徒もそういう防災士の講座を受けることができるのかなというふうに思っています。
     また、答弁の中で申し上げましたように専門科目の開設、あるいは類型の設置ということでありますけれども、思い切って環境防災科の設置をというような考え方もあるわけですけれども、これにつきましては、本県の防災にかかわる人材育成のあり方ということも踏まえながら、もう少し広く捉えれば高等学校教育における人材の育成はどうなのかという、そういう視点からも改めて検討していきたいなというふうに思っております。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) これで前林孝一良君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。再開は二時五十分といたします。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp