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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成21年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

渥美 泰一 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/18/2009

会派名:

自由民主党県議団


質疑・質問事項:

1 県政運営の基本方針について                    
2 経済情勢悪化の影響に対する本県の取り組みについて         
3 平成二十一年度当初予算について                  
 (1) 予算編成の考え方                        
 (2) 財政の中期見通し                        
4 地震対策について                         
 (1) 地震財特法の延長                        
 (2) プロジェクト 「TOUKAI―0」 の推進             
5 浜岡原子力発電所のリプレース計画について             
6 富士山静岡空港について                      
 (1) 開港への取り組み                        
 (2) 完全運用                            
7 魅力ある観光地づくりについて                   
8 地球温暖化防止対策の推進について                 
9 地域医療の確保について                      
10 今後の静岡県の道づくりの推進について               
11 環境に配慮した農業農村整備の推進について             
12 理想の学校教育の具現化について                  
13 本県警察の体制について



    ○議長 (天野 一君)  質疑及び一般質問を行います。  
     通告により、 四十四番 渥美泰一君。
            (四十四番 渥美泰一君登壇 拍手)
    ○四十四番 (渥美泰一君)  おはようございます。 私は自民党会派を代表して当面する県政の諸課題について、 知事並びに関係部局長、 教育長、 警察本部長に質問します。
     アメリカでは、 黒人初のオバマ大統領を皆で守り立て、 そして大統領に国民から大きな期待が寄せられております。 一方、 どこかの国では首相就任早々に足を引っ張られ、 まあ本人の責任もありますけども、 そうしたことによって国民の期待はすっかり地に落ちてしまったような感があります。 ただ、 おもしろおかしければいいというものではないと思います。 富士山静岡空港にしてもそうですが、 やはり国をあるいは地域を思う気持ちがなければ、 世の中いい方向には進まないというふうに思うわけであります。 そうした世論を醸成していくのも、 議会、 あるいは議員の務めではないかというふうに感じておるところであります。
     初めに、 県政運営の基本方針について伺います。
     現行の県の総合計画――二〇一〇年戦略プラン後期五年計画は策定から三年が経過し、 残すところ二年余りとなっています。 現在の国内外の経済状況や景気悪化に伴う雇用への影響の大きさなどは、 計画策定当時には全く想定できなかったものであり、 本県を取り巻く社会経済状況は大きく変わってきております。 こうした中、 現在、 静岡県総合計画審議会においては、 社会経済環境の現状分析と課題整理に関する審議が行われているところであり、 昨年末に開催された会議では本県の産業を支える人材の育成確保に長期的な視点で取り組む重要性などが指摘されたと聞いております。
     いよいよ六月には富士山静岡空港が開港し、 今後は空港を活用した静岡県づくりを具体的に進めていくことになります。 県境や国境を越えた地域間競争が厳しさを増す中で、 本県が発展していくためには、 国内外との活発な交流や地域の均衡ある発展を促す社会基盤の整備とともに、 安心・安全な社会を支える医療や福祉、 教育などの内需型産業や、 新しい産業の育成による外需や為替などの変化に強い経済構造への転換、 さらには県民に夢を与える新たなプロジェクト事業を進めることも必要であります。
     また一方、 これらの施策を力強く進めるためには、 地方分権を一層進め真の地域主権型社会を構築する必要がありますが、 今、 気になっているのは、 国の県への権限移譲がなかなか進まないどころか、 三位一体改革実施以降、 県を経由せず国が直接市町村や民間団体に補助金を出し政策誘導を進める案件が異様にふえていることなど、 これでは地方分権の議論に逆行するばかりか、 国と県、 市町村との連携すら困難になると危惧します。 地方分権を進めるために、 私ども地方が結束して国を突き動かしていくことの必要を強く感じているところであります。
     こうした状況を踏まえ、 知事におかれましては魅力ある静岡県づくりに向けて、 今後の県政の基本方針についてどのようにお考えか伺います。 そして現在は将来を見通すことが大変難しい局面でありますが、 だからこそ県民と共有できる将来を見据えた地域づくり構想を持つことが大変重要になると考えますが、 次の総合計画についてどのように策定を進めていくのか、 あわせて知事の御所見を伺います。
     ところで知事、 次の総合計画策定時期とも絡みますが、 本年七月で知事は四期目の任期満了を迎えます。 平成五年の御就任からこれまでの十六年間、 バブル崩壊後の厳しい財政環境の中で、 新公共経営の導入など着実な県政運営をしてこられましたことを高く評価するところであります。 五選に向け知事の意欲を感じているところでもありますが、 現在どのようにお考えかお尋ねできればと思います。
     次に、 経済情勢悪化の影響に対する本県の取り組みについて伺います。
     アメリカ発の金融不安はあっという間に全世界に広がり、 我が国においても、 トヨタ、 日産、 パナソニックといった日本を代表する企業さえも派遣社員にとどまらず正規社員の大量解雇を打ち出しており、 雇用情勢は極めて深刻であります。 一方、 我が国においては、 ニートと呼ばれる仕事につかないで学業もしていない若者が全国で六十二万人にも上っており、 現下の情勢のもとでは、 彼らの就業はますます困難であります。
     私は、 雇用対策、 とりわけ将来の我が国を担う若者が安定した職業につくことが何より重要であり、 行政が職業訓練の充実など就業支援に積極的に取り組むことが必要であると痛感しております。 国外に目を向けますと、 北欧のフィンランドでは、 学校を卒業した若者が働きながら無償で学ぶことができる制度や、 本人が希望する職業につけるまで専門学校や職業訓練校で知識や技能を無償で身につける制度が確立しております。 我が国においても、 フィンランドとは社会保障制度の考え方が異なりますが、 一貫した就業支援策が必要ではないかと思います。
     さて、 国においては、 十月の追加経済対策に続いて十二月には雇用対策を中心とした生活防衛のための緊急対策を取りまとめ、 これを実行に移すための第二次補正予算が一月二十七日に成立したものの、 これらを実施するための法案と二十一年度予算については現在国会で審議中であります。 さらに政府はこのほど大型の追加経済対策を実施するための二十一年度補正予算の検討を打ち出しております。
     こうした中、 県におかれては、 十月、 十一月の経済対策連絡会議で世界的な金融経済混乱の影響に対する県の対応を決定し、 また十二月の二回にわたる経済対策連絡会議では、 県独自の当面の緊急雇用対策を決定し、 我が党からの要望にもこたえて一月臨時議会を開催し、 国に先行して補正予算を編成していただいたところであります。 県内経済や県民生活への影響は、 雇用情勢を中心として、 これからが一層深刻な状況になると思わなくてはなりません。 国の第二次補正予算に対しても、 県がすぐに対応できるように我が党としても申し入れをしたところでありますが、 経済情勢悪化の影響に対し、 どのように取り組んでいかれるのか伺います。
     次に、 平成二十一年度当初予算について伺います。
     初めに、 予算編成の考え方についてであります。
     来年度当初予算は、 県税収入が本年度当初予算と比較してマイナス千百六十億円、 率にして二〇・二%と、 過去に例を見ないほど減収となる大変厳しい状況の中で、 県民の要望や県政の諸課題に対応するため、 限られた財源をこれまで以上に重点化するという大変かじ取りの難しい予算編成であったと思います。 景気の悪化が深刻化する中で、 経済雇用対策が喫緊の課題となっておりますが、 目の前の緊急課題だけではなく、 医師不足対策、 高齢者・子育て支援の充実、 地震対策などの県民生活の安心・安全の確保、 さらには富士山静岡空港の開港を契機とした交流拡大など、 将来の魅力ある県づくりにも取り組んでいかなければなりません。
     国は、 生活防衛予算として国民生活の安心確保や経済対策分野に重点配分する来年度予算案を編成し、 地方に対しては地方交付税を一兆円増額するなど、 地方の厳しい財政状況に一定の配慮がなされました。 本県におきましても、 健全財政の枠組みは確保していかなければなりませんが、 国の予算など県が活用できる財源を極力確保するなどにより積極的な財政出動が求められると考えます。
     我が党は、 本年一月、 引き続き厳しい財政環境下にあるものの、 当面の経済雇用対策と合わせて地域経済の再生と産業の活性化、 豊かな未来を築く基盤づくりなど重点項目について配慮した予算編成を知事に要望したところであります。
     そこで、 知事は平成二十一年度当初予算について、 県民暮らし満足度日本一の実現に向けて、 どのような考え方で編成されたのか伺います。
     次に、 財政の中期見通しについてであります。
     県から当初予算案と合わせて示された財政の中期見通しの中で、 本県の健全化目標の見直しが公表されました。 平成十二年度に 「経常収支比率は九〇%以下」、 「起債制限比率は一五%台に抑制」、 「県債残高は二兆円程度を上限」 の三つの目標を定めて以来九年が経過しましたが、 今回が初めての見直しであり大変注目をしているところであります。
     また、 昨年の九月県議会において我が党の代表質問に対し、 現在の三つの指標は本県の健全財政の維持に有効に機能していることから捨てがたく、 本年度から導入された国の健全化判断比率を考慮しながら比較検討したいとの答弁をいただいておりました。 今回の見直しでは、 従来の起債制限比率を実質公債費比率に変更するとともに、 新たに将来負担比率が導入されるとのことであります。
     そこで、 本県の健全財政の道しるべとも言うべき目標を今回見直した考え方について改めて伺います。
     また、 今回の予算案では、 県税収入の落ち込みを賄う財源として県債が大幅に増加しております。 国では税収減を大幅な赤字国債発行で賄い、 小泉政権以来の財政再建路線は事実上棚上げされた状態にあります。 税収の減を借り入れで賄う点では国と同じでありますが、 本県の健全財政の枠組みはこれまでと同様に堅持できるのかどうか、 財政健全化に向けて今後どのような財政運営をしていくのか伺います。
     次に、 地震対策について伺います。
     初めに、 地震財特法の延長についてであります。
     昨年五月の中国におけるマグニチュード八を記録する四川大地震では、 多くの方が倒壊建物の下敷きになるなどにより、 死者・行方不明者が八万人を超える甚大な被害が発生しました。 また我が国でも翌六月の岩手・宮城内陸地震では、 山間地域において大規模ながけ崩れや地すべりなどの土砂災害が発生し、 多くの被害が発生したのは記憶に新しいところであります。 本県において発生が予想される東海地震の規模は、 まさに四川大震災クラスのマグニチュード八程度と想定されており、 予測される被害は甚大ですが、 これをいかに軽減できるかが重要な課題であります。
     本県では、 昭和五十一年の東海地震説の発表以来、 予想される東海地震への対策として、 昭和五十五年度から、 いわゆる地震財特法に基づく地震対策緊急整備事業を、 さらに平成八年度からは阪神・淡路大震災を契機として制定された地震防災対策特別措置法に基づく地震防災緊急事業、 この二つを地震対策の大きな柱に据え、 避難地や避難路の整備、 公立小中学校の耐震化など各種地震防災対策を推進し地震被害の軽減に取り組んできております。 県当局の御努力により成果を上げていただいておりますが、 いまだ相当量の事業を残していると思われます。 これらの事業の進捗状況はどうなっているのかまず伺います。
     また、 時限立法である地震財特法につきましては、 我が県にとっては大変使い勝手のよい制度であり、 これまで五回の延長を経て、 現在同法に基づく地震対策緊急整備事業の三十カ年計画を推進しているところですが、 この法律は来年度末をもってその期限が切れると承知しております。 東海地震の切迫性がますます高まる中、 県民の生命、 身体、 財産を地震被害から守るため引き続き地震対策事業を強力に推進していく必要があると考えますが、 地震財特法の延長に向けて、 今後の取り組みについて御所見を伺います。
     次に、 プロジェクト 「TOUKAI―0」 の推進について伺います。
     毎年一月十七日がめぐってくるたびに、 あの阪神・淡路大震災についてマスコミが大きく取り上げ、 私たちの身の回りの地震対策について見詰め直すことを強く訴えております。 この阪神大震災は、 地震対策をより実践的なものへと見直す契機となるなど、 全国の地方自治体を初め関係機関に大きな影響を与えた震災であります。 あの大震災からはや十四年を経過しましたが、 この未曾有の被害については決して風化させてはならず、 そして今もってこの震災から学ぶ点は数多くあると感じております。
     私は、 あの大震災の年の四月に初めて議員になり、 その後幾度か現地を視察し本県の地震防災対策のあり方を検討してまいりました。 この震災では六千四百三十四人の方が亡くなられ、 そのうち約八割の方が住宅などの建物の下敷きとなったことが原因でありますことから、 地震から命を守るためにはまず我が家をつぶれないようにすることが大事であり、 住宅の耐震化は地震対策の第一に取り組むべきとこれまでも訴えてまいりました。
     本県においては、 東海地震の人的被害を半減させるため、 平成十八年十月に静岡県耐震改修促進計画を策定して、 住宅等の耐震対策に取り組んできております。 その中で平成十三年度から始まった木造住宅の耐震化事業――プロジェクト「TOUAI―0」 は、 今年度末までに耐震補強が必要とされる木造住宅、 推計三十二万戸のうち耐震補強助成一万戸の目標を掲げており、 県では市町との連携のもとに懸命の努力をしてこられ、 それなりの実績を上げてきたと理解しております。 が、 しかし目標の一万戸は達成できそうにないと懸念しております。
     そこで、 現状の耐震化の戸数と耐震化率はどの程度か、 そして目標達成が厳しい原因、 私は、 耐震補強助成制度の内容のこともあるでしょうし、 何よりも地震に対する県民の意識啓発が十分できていないのではないかと思うのですが、 県の御所見を伺います。 また平成二十七年度までに耐震化率九〇%の達成に向けて、 県としては平成二十一年度以降の新たな目標を立て強力にこれを進める必要があると思いますが、 どのように取り組んでいかれるのか、 あわせて伺います。
     次に、 浜岡原子力発電所のリプレース計画について伺います。
     近年、 世界的なエネルギー需要の増加に伴い、 国際エネルギー市場では激しい資源獲得競争が繰り広げられるとともに、 一方で温室効果ガスの排出量も大幅に増加し、 地球温暖化が世界的に深刻な問題にもなってきております。 こうした中、 エネルギー資源に乏しい我が国が、 地球温暖化問題にも対応しながらエネルギーの安定確保を図ることは国の将来を左右する重大な問題であり、 したがってエネルギー政策は、 国が長期的な視点に立って総合的、 計画的に進めるべきであります。
     さて、 昨年十二月二十二日、 中部電力は浜岡一、 二号機の廃炉と六号機の増設等の計画について、 地元御前崎市や関係漁協に対し申し入れを行うとともに、 県を初めとした関係機関に対して協力の依頼を行ったところであります。 現在、 約五百万キロワットの設備出力を有する浜岡原子力発電所の役割を維持するために、 一、 二号機の廃炉と並行してほぼ同じ規模の新型炉の建設を行うとする今回の計画は、 国のエネルギー政策に呼応して電力供給の安定性を確保し、 かつクリーンなエネルギーである原子力の比率を高めるためのものと認識しております。
     県としても、 地球環境問題への対応という点とあわせて、 電力は全国第三位の製造品出荷額を誇る本県の産業と三百八十万の県民生活を支える重要なライフラインであり、 県内富士川以西の電力需要、 過去最大でおよそ四百五十万キロワットに匹敵する電力供給源を確保するためにも必要な計画ではないかと考えますが、 県の電源立地に対する考え方と今回のリプレース計画に対する見解を伺います。
     また一方で、 原子力発電所においては、 安全性の確保、 これが大前提であります。 特に今回の計画は設備出力が一、 二号機合計で約百四十万キロワットとなる大規模な商業用発電施設の廃止措置であり、 全国的にも例がなくリーディングケースとなるものであります。 中部電力の説明によれば、 運転を終了して更地になるまでに二十年以上の期間を要し、 廃棄物発生量も合計およそ六十万トン、 うち放射性廃棄物もおよそ一、 二万トンと膨大であります。
     何よりも安全最優先、 そして地元の意向を尊重して進めるべきと考えますが、 県として今後具体的にどのような検討、 手続を進めていくのか、 また国や事業者に対しどのような対応を求めていかれるのか伺います。
     次に、 富士山静岡空港について伺います。
     初めに、 開港への取り組みについてであります。
     空港建設地決定から実に二十一年の歳月にわたって進められてきた富士山静岡空港であります。 これまで空港事業用地への先祖伝来の貴重な土地の提供をいただいた地権者の皆様や県当局を初め関係方々の御尽力により空港整備が進められ、 就航路線についても着実に実現してきております。 いよいよ残すところ百日余りで開港を迎えることを考えますと万感の思いであります。
     世界的に経済が減速、 悪化する中でのスタートと大変厳しいものもありますが、 新たに結ばれる地域との交流人口の拡大や新たなビジネスチャンスが生まれることは間違いなく、 富士山静岡空港の開港が本県経済の起爆剤となることを大いに期待するところであります。
     開港まで残された期間で、 空港としての機能整備はもちろんのこと、 空港運営などソフト面や空港へのアクセス道路整備、 主要都市間を結ぶ交通アクセスの確保など、 準備万端抜かりなく進め、 六月四日には円滑なスタートを迎えなければなりません。 また就航路線についても、 開港延期が決まった後も中国東方航空、 大韓航空が相次いで就航を決定するなど、 本県の潜在力の高さが実証されていると思います。 また知事みずからによるエアポートセールスなどの成果として、 国内六路線・一日十往復、 海外二路線・週十八往復が決定し、 香港などへのチャーター便も次々と計画されてきていますが、 なお一層の努力が必要であります。
     また、 開港に向けての県民の機運を盛り上げ、 利活用につなげる施策や就航先との交流拡大を図り、 結びつきを強めていくことも大事であります。
     そこで、 まさに開港を迎える本年の開港に向けての取り組み並びに利活用促進に向けて、 どのように取り組んでいかれるのか伺います。
     次に、 完全運用についてであります。
     去る一月三十日には、 追加工事の完了により国に対して工事完成検査の申請を行うこととあわせて、 知事は、 二千五百メートル滑走路による完全運用の道筋を示されました。 支障物件となっている立ち木等の除去に当たっては、 昨年、 地権者から七項目から成る申し入れに対し、 謝罪するとともに県としてでき得る最大限の回答を書面で行い、 十二月には六月四日の開港時点で完全運用ができるよう支障物件の除去の申し入れを行うなど協議してきたと聞いております。
     円満に解決されることが望ましいとはいうものの、 そもそも反対地権者は空港建設そのものに反対しているわけですし、 だとすれば暫定開港が決まった現在においては全く無意味な行動であると思わざるを得ません。 しかも地権者は既に当該物件以外のところについては収用に応じ多額の補償金を得ていることや、 地すべり対策工事によって平らで広大な土地を得ていることなどからしても、 当初ボタンのかけ違いがあったにせよ、 事ここに至っては支障物件の除去に応じていただけることを強く望むものであります。
     ところが地権者は、 去る二月十一日には知事との会談において、 知事が任期満了前に辞職することによって知事としての責任を示された場合に限って支障物件を除去するといった申し入れをしており、 あくまでも地権者の申し入れを受け入れなければ除去に応じられないとの姿勢であります。 こうしたことから県による今回の航空法に基づく除去請求手続もやむを得ないと理解するものであります。
     いずれにせよ、 できるだけ早期に富士山静岡空港の機能を最大限発揮させ、 県勢発展に寄与できるよう完全運用を実現していくべきであると考えますが、 改めて知事の御所見を伺います。
     次に、 魅力ある観光地づくりについて伺います。
     少子高齢化の到来や本格的な国際交流の進展が見込まれる中で、 観光は 「住んでよし、 訪れてよしの国づくり」 を実現するものとして、 従来にも増して極めて重要な役割を担っていると考えます。 平成十九年に施行された観光立国推進基本法において、 観光立国の実現は二十一世紀の我が国経済社会の発展のために不可欠な重要課題と位置づけられ、 国際競争力の高い魅力ある観光地づくりはその基本施策の一つに掲げられております。
     私は四年前に県議会の海外事情調査団の一員としてニュージーランドのクライストチャーチ・カンタベリー地方観光局を訪れた際、 本県への滞在経験があるという局長さんから、 魅力ある観光地づくりについて示唆に富む貴重な助言をいただいたのを覚えております。 何よりも感銘を受けたのは、 「静岡県は、 東京や大阪と比べ自然の美しさや田舎のよさといった観光資源はたくさんあるが、 重要なのは、 地域の住民が本当に観光客に来てほしいと望んでいるか、 お客をもてなそうという気持ちがあるかどうかである」 との言葉であり、 観光が行政主導ではなく地域が一体となって取り組むことの必要性を痛感した次第であります。
     日本国内に目を転じれば、 昨年六月に日本観光協会主催の第十五回優秀観光地づくり賞の金賞を受賞した日本三名泉の一つである下呂温泉では、 旅館の宿泊者は特産の飛騨牛の肥育現場や棚田を見学し、 農園での体験農業の後はみずから見聞した安全・安心な食材による地産地消の食膳が提供されるほか、 御当地検定を通じ市民が下呂市内を観光案内できるようにするなど、 まさに地域全体でおもてなしの取り組みを実践し誘客に効果を上げています。
     本県では、 富士山静岡空港開港により国内外から伊豆や富士地域を中心に多くの観光客の来訪が期待されており、 また浜名湖地域においても観光圏の整備を目指す取り組みが進められています。
     こうした中、 私は、 地域が一体となった観光地づくりへの取り組みを促すことが真に魅力ある観光地づくりにつながると思いますが、 県の御所見を伺います。
     次に、 地球温暖化防止対策の推進について伺います。
     県は昨年十二月、 平成十八年度における県内温室効果ガス排出量を公表しました。 そのうち排出量の九割以上を占める二酸化炭素排出量について、 部門別に基準年度である一九九〇年度と比較すると、 産業部門は三・六%の増加、 運輸部門は一一・三%の増加にとどまっているのに対し、 家庭部門、 業務部門はそれぞれ二六・七%、 二九・三%と依然として大幅な増加となっており、 県が平成十八年三月から取り組んでいるストップ温暖化しずおか行動計画における重点施策の一つである家庭における省エネルギー行動の促進の成果がまだ見えてきておりません。
     一部屋一台のエアコン、 大型化したテレビや冷蔵庫、 一人一台の自家用車など暮らしの利便性や快適性を追求する私たちの日常生活は、 電気やガソリン等の大量のエネルギーを消費し二酸化炭素排出量の急激な増加を招き、 地球温暖化の一因となっておりますが、 こうした暮らしになれ親しんだ私たちは省エネに踏み切れないでいるのが現実であり、 まさに一人一人の意識改革が必要であります。
     私ごとで恐縮ですが、 私自身の意識改革として以前から環境行動宣言 「HOPE」 の趣旨に賛同し、 生ごみはコンポストに捨てる、 牛乳パックの洗い水は庭の植木にかける、 紙類はすべて資源回収に出すことを心がけており、 そしてたったこれだけのことを徹底することによって環境に対する意識がさまざまな面に広がってくることも実感しております。
     また、 当県議会が昨年七月に開催した北海道洞爺湖サミット記念シンポジウムにおいて、 待機電力のカットやエコドライブへの取り組みを提案させていただきましたが、 こうした経済的なメリットを前面に出した呼びかけが省エネの普及には効果的ではないかと思います。 また子供たちが学校での環境教育や地域で行う環境イベントに参加し、 そこで習得した知識をもって家庭におけるエコリーダーの役割を担ってもらうのも効果的ではないでしょうか。
     思うところをもろもろ述べましたが、 県内における温室効果ガス排出量は平成十八年度実績で基準年度である一九九〇年度と比べ、 県の目標値であるマイナス一二%に対し、 逆に一・九%増加してしまっております。 県によると、 現時点の数値を考えれば平成二十二年度の目標達成は現状では大変厳しいということでありますが、 環境県を標榜する我が県としては何としても目標達成をしなければなりません。
     そこで、 私は、 産業部門も大変重要ですが、 二酸化炭素排出量が増加の一途をたどっている家庭部門での取り組みを促進することが、 一人一人の意識改革となり目標達成に大きく前進するのではないかと思いますが、 今後これにどう取り組まれるのか県のお考えを伺います。
     次に、 地域医療の確保について伺います。
     医療の問題については、 産科を初めとする診療科の廃止や公立病院の経営難など連日新聞紙上でも大きく取り上げられております。 私の住む浜松市は大きな医療機関が複数あり医療については県内でも比較的恵まれた地域であると思っておりますが、 この浜松市においても社会保険浜松病院がことしの三月末で休止予定となっております。 また静岡市においても清水厚生病院が一部を介護施設へ転換する計画を進めているとのことであります。 一方、 賀茂医療圏のように医療圏の中で必要な医療が完結できない地域もあり、 大都市を含め県内いずれの地域においても地域医療に陰りが生じていることに危惧を抱きます。
     これら医療の問題にはさまざまな要素があると考えますが、 医療関係者の話からも医師の不足や偏在が大きく影響しているようです。 例えば大学による医師の引き揚げや医師みずからの退職により診療科の休止を余儀なくされ、 そしてある病院の診療科が休止となれば近隣の病院に患者が移り、 今度はその病院の負担が重くなり医師の引き揚げや退職につながるという悪循環に陥ります。
     このような状況の中で、 つい先日、 静岡県医療対策協議会が静岡県の医療の確保のための提言をされたところであります。 提言では、 県の役割として地域ごとの医師数等医療の実態を定期的に調査し、 診療科間、 地域間の医師偏在緩和のための医師配置調整や、 女性医師の離職防止、 復帰支援など緊急に実施すべきことと、 医科大学の設置検討など中長期的に取り組む事項が盛り込まれております。 私は、 この施策が有効に働いたならば、 現在の医師偏在の緩和について大いに効果が期待できるのではないかと注目しているところであります。
     そこで、 今回の提言をどのように受けとめておられるのか、 そして医師確保を初め本県の地域医療を確保するために県は今後どのように取り組んでいかれるのか伺います。
     次に、 今後の静岡県の道づくりについて伺います。
     今まさに起こっている国内外における経済の急激な悪化という状況のもとでは、 地域を元気にすることが何より大切であり、 そのための重要な施策の一つが将来にわたって役立つ社会基盤の整備であり、 中でも道路整備は不可欠であると考えます。 昨今、 公共事業費の縮減や道路特定財源の一般財源化の流れなど道路整備を取り巻く環境は大変厳しくなっております。
     しかしながら、 慢性的な交通渋滞や多発する交通事故、 大規模地震に備えた橋梁の耐震化のおくれなど本県の道路には多くの課題があり、 まだまだ道路整備を進める必要があります。 加えて、 これまで全国トップクラスの企業立地の実績を持つ本県がその優位性を失わないようにするためにも、 また六月四日に決まった富士山静岡空港の開港を最大限生かすためにも、 県内外の交流を盛んにする道路交通ネットワークの早期構築も緊急の課題であります。
     こうした中、 国は昨年十二月に道路の新たな中期計画を公表しました。 計画では、 従来十年間であった計画期間を五年間に短縮するとともに、 計画内容もこれまでの事業費中心から事業により達成される成果に転換するものであります。 国ではこの計画と今後策定される社会資本整備重点計画との一体化を図り、 計画的、 効率的な道路整備を進めるとしております。
     道路財源の確保を初め、 さまざまな課題を抱える本県の道路の整備に当たっても、 こうした国の方針も踏まえ、 将来を見据えた上で、 計画的、 効率的に道づくりを進めていくことが重要であります。
     そこで、 現在県で策定中の静岡県の“みちづくり”計画の内容を含め、 今後の道づくりをどう進めていかれるのか伺います。
     次に、 環境に配慮した農業農村整備の推進について伺います。
     農山村には、 農地や水、 美しい農村景観、 多様な動植物などさまざまな地域資源が存在し、 これらは農家のたゆまない営みによって地域固有の財産として守られ、 育て、 受け継がれてきたものであります。 最近では、 都市住民が市民農園で野菜づくりを楽しんだり子供が農作業体験を通じて食料や自然の大切さを体感するなど、 農業や農山村に対する関心が大変高まってきております。
     一方、 都市化が進行し混住化が進む中で、 農地や農業用水等の管理機能の低下や耕作放棄地の増加などにより美しい田園や小川等の自然が失われるとともに、 農村社会が持っている集落の一体感も低下しているように感じられます。 中山間地域の問題は特に深刻で、 過疎化や高齢化の進行は茶やミカンの耕作放棄園の増加や放置竹林の繁茂、 さらに空き家や廃屋などの増加により農村環境の悪化は大変危惧するところであり、 また集落のコミュニティー機能の減退も進行しております。 これまで農業生産活動の継続があったればこその美しい農村環境でありますが、 これらを県民共有の財産として継承していくことができるのかと危惧しております。
     こうした中、 農水省では農地・水・環境の良好な保全と質的向上を図る地域共同活動への助成制度を平成十九年度から実施しており、 県内でも百四十三の地域で取り組まれております。 しかし活動内容は農道や水路、 遊休農地といった部分の管理に限られております。
     そこで、 傾斜地を初め個人で管理できなくなった農地を含む一定の地域全体を、 地域の住民で管理していく新たな仕組みの構築が必要ではないかと考えます。 県は今後、 環境に配慮した農業農村整備についてどのように取り組んでいこうとしておられるのか伺います。
     次に、 理想の学校教育の具現化について伺います。
     今回の世界的な経済危機の中、 我が国は百年に一度の大きな変化を経験すると言われ、 その将来像は極めて不透明であります。 このほど中教審会長に就任された新日鉄会長の三村明夫氏は、 「こうした時代だからこそ教育の重要性は高まっており、 先を正しく見通し賢明な判断と冷静に行動できる人材の育成が必要で、 企業や社会と教育現場のニーズを結びつけ学校の要望を実現させたい」 とおっしゃっておられます。 本県としても人づくりの中核である学校教育の質の向上は大きな課題であります。
     教育長は、 さきの十二月定例会において、 理想の学校教育具現化委員会から提出された提言のうち優先的に取り組む施策として、 少人数学級、 小学校高学年における教科担任制、 学校のICT化を取り上げましたが、 これらはいずれも県内教育関係者の期待が大きく、 我が党としてもその推進は意義あるものと認識しております。
     そこで、 これらの施策に取り組むことで本県の学校教育の質をどのように改善することができると考えるか、 教育長の御所見を伺います。 また一方、 少人数学級や教科担任制を導入して教員を増員したとしても教員の質が伴わなければ理想の学校教育の実現は困難であり、 そのためにどのような施策を推進していくのか、 あわせて伺います。
     また、 教育の出発点である家庭教育において子供のしつけをしっかり行うことや、 地域社会全体として学校教育を支援する体制が形成されていくことが重要であり、 これらのことが有機的に連携されることによって真の理想の学校教育が具現化していくものと考えますが、 教育長の御所見を伺います。
     最後に、 本県警察の体制について伺います。
     昨年の県内の治安情勢を見ると、 刑法犯認知件数が前年比マイナス五・六%の四万二千九百四十六件、 交通事故発生件数が前年比マイナス五%の三万六千七百四十八件と、 それぞれが連続して減少していることは、 県民の安全・安心への意識の高揚などもあると思われますが、 県警を初め関係機関、 団体等の御尽力のたまものと感謝申し上げる次第であります。
     しかしながら、 昨年実施した県政世論調査では、 いまだに犯罪被害に遭う不安を感じている県民が七三%と依然として変化がないなど、 まだまだ県民が肌で感じる治安状況というものには改善が見られないのではないかという現状がうかがえます。 そんな中、 昨年末に国から地方警察官の増員内示があり、 本県にも二十八人の増員が見込まれることになったとの説明を受け、 今後さらなる良好な治安環境の確立に向けてより一層の御努力を期待するところであります。
     そこで、 まず今回の増員予定である二十八人についてはどのように配置される計画なのか伺います。
     次に、 新東名高速道路の供用開始が早ければ二十二年度中にも予定されているようですが、 それに伴う警察体制の問題であります。
     先日、 我が党県連三役で県内の主要事業にかかわる箇所を視察し、 その一つとして新東名高速道路を一部区間でありますが実際に走行して説明を受けてまいりました。 そこでは、 この新しい道路の規模の大きさや、 ほとんどが山間地を通るためトンネル区間が多いなど、 新東名の交通安全や事故処理に携わることとなる県警にはかなりの負担が生じるのではないかと感じました。 そして伺いましたところ、 新東名供用に伴い、 現東名と合わせ高速道路交通警察隊を編成するには、 さらに六十名程度の警察官が必要とのことであります。
     こうしたことから、 回復傾向にある本県の治安情勢を引き続き確保していくためにも、 今後、 国に対してさらなる増員を強力に要請していくことと同時に警察業務の効率化を一層進めるなど、 知恵と工夫を凝らして警察の体制づくりを進めていく必要があります。
     そこで、 県警では新東名高速道路の供用開始に向けてどのように取り組んでいこうと考えておられるのかあわせて伺いまして、 私の質問を終わります。 (拍手)
    ○議長 (天野 一君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  渥美議員にお答えをいたします。
     初めに、 県政運営の基本方針についてであります。
     私は、 県政運営に当たりましては、 県民の皆様だれもが安心して暮らし、 将来に向かって明るい展望を抱くことのできる社会を築くために、 「富国有徳 創知協働」 を県政の基本理念に掲げて、 これを具体化させるため、 県民暮らし満足度日本一の実現に向けて諸施策に取り組んでまいりました。 しかし次期総合計画策定の準備段階に入ったこの今の時期に、 世界経済が急激に変動して景気は日を追って悪化をしております。 いつ底を打ちどのような形で回復に向かっていくのか、 その見通しもつけられない状況でございます。
     このような時代を迎えた中で何が大事かというと、 私は、 緊急に対処しなければならない事象へ素早く対応するということがまず求められると思います。 加えて一方で、 先行き不透明という言葉が常套句のように使われますけれども、 実はよく見ていくと、 見通しがつかないのはいついかなる形で景気が底を打つか、 その時期とかタイミングですね、 これがよくわからないというのがそのわからなさの本筋にあるように思うんです。 今後時代がどのような方向へ向かっていくかということについては、 例えばグローバル化であるとか、 あるいは交流人口の拡大であるとか、 あるいは知的な活動、 これにより経済的な価値がシフトしていわゆる知価社会になるとか、 私は現在の世界を覆い尽くしているような不景気の中でも、 方向性が、 それが間違っておって別の方向へ進んでいくんじゃないかということではないというふうに思うわけであります。
     したがって、 そういうように考えるならば、 本県が今まで追い求めてきた富国有徳の魅力ある静岡県の実現に向けての諸施策、 これがさらに強力に幅広く展開される必要があると考えるわけであります。 問題はそれを実行するだけの財政力、 財政的な基盤がこれから伴ってくるかどうか、 これが非常に問題視されると、 こういうことではないかというふうに考えておるわけでございます。
     したがって、 次期総合計画の策定に当たりましては、 時代の動きを冷静に注視をしながら社会経済全体の生産性の向上を共通の視点として、 私は三つの視点、 すなわち豊かさの維持向上、 それから安心・安全社会の構築、 そして地域力の向上、 この三つが相互に関連いたします。 これらに係る政策の柱を打ち立て、 それが相互にうまく連携し好循環させていくということを基本的な方針としていくべきであるというふうに確信をしております。
     加えて、 施策の展開に当たっては、 県民生活が直面する喫緊の課題にスピード感をもって対処するということ、 これは極めて大事になりますけれども、 さらには本格的な人口減少社会の到来や地球規模での大競争時代への対応を図っていくために、 短期、 中期、 長期といった時間軸を考慮して、 健康で心触れ合う安心社会づくりを初め、 新しい産業の創出、 交流人口の拡大などに結びつく諸施策について知恵を絞り、 本県の将来を見据えた地域づくりに取り組んでいく必要があると考えるわけであります。
     したがって新しい総合計画は、 こうした考え方に立って、 視野を広くそして深くかつ遠くを見据えて、 望まれる社会の仕組みや広域的な交流を促進する都市機能の整備などについて研究を急ぎ、 総合計画審議会や県議会の御意見を伺いながら、 現行の総合計画の期限である平成二十二年度末を待たずに前倒ししてでも新たな計画を策定し、 そちらに移行すべきではないかと考えております。
     ところで、 次期知事選挙についての御質問がございましたが、 私自身は、 今まで申し上げましたような大変変化の激しい時代に当たって、 まだまだ県政のお役に立ち得るんではないかと主観的には思っておりますけれども、 そうしたことが客観的に許される状況にあるかどうか、 いましばらく時間をいただいて十分に情勢を見きわめた上で、 時期を失しないように決断してまいりたいと考えております。
     次に、 経済情勢悪化の影響に対する本県の取り組みについてであります。
     百年に一度と言われる世界の金融資本市場の混乱によって実体経済の弱体化が進み、 我が国の景気も急速に悪化し、 県内の産業活動や県民生活へ深刻な影響を与えております。 このため本県では、 二十年度――本年度に入ってから七回にわたって経済対策連絡会議を開催し、 国の対策を踏まえた中小企業や農林漁業者への支援、 雇用対策などその時々の状況に応じた取り組みを決定し、 特に先月三十日の会議では、 将来にわたり安定的な雇用・就業の機会の創出を図るための当面及び中長期の雇用対策の基本方針を確認いたしました。
     今後、 国の第二次補正予算――二十年度の第二次補正予算ですね――に盛り込まれました緊急雇用創出事業など二つの交付金による九十九億円の基金造成と、 これを活用した事業を実施することによって平成二十一年度には県と市町村合わせまして三千三百人余の雇用創出を図るほか、 就職相談体制の強化などの就職支援、 経済変動対策貸付の融資枠の大幅な拡充などの中小企業の支援、 さらには国の交付金を活用した安心こども基金などによる事業の実施を通じまして、 生活対策を含めた緊急雇用経済対策を実施していく考えであります。
     また、 雇用対策を円滑かつ効果的に推進するためには、 県とか市町村、 行政が幾ら頑張っても限りがあるわけであります。 そこで今年度中に公労使から成る産業労働懇談会や雇用対策審議会などを開きまして、 その場を通じて経営者団体や労働団体、 関係行政機関の意見を伺うと同時に歩調をそろえていろいろな活動を行えるように取り組んでいきたいと考えております。 今後の経済、 雇用情勢について十分注視しながら経済対策連絡会議を有効に活用し、 全庁を挙げてこの緊急事態に対応してまいります。
     次に、 平成二十一年度当初予算についての御質問のうち、 まず予算編成の考え方についてであります。
     平成二十一年度当初予算は、 景気後退に伴いまして県税の大幅な減少が見込まれる中で、 社会保障関係費や公債費などの義務的経費が増加するなど厳しい財政環境のもとでの編成になりました。 しかしながら、 この厳しい経済環境を克服し地域の安定的な発展を図ることが私に課せられた責務であると考え、 自民党県議団初め県議会各会派からの御提言も踏まえながら、 次の三つの基本方針を設定して県民暮らし満足度日本一へと飛躍し得る政策を戦略的に展開する予算編成を行いました。
     まず、 基本方針の第一でありますが、 県民生活を守る緊急雇用・経済対策を機動的に実施するということであります。 このことに伴いまして、 予算編成の内容としては、 近年にない厳しい雇用、 経済情勢の中で、 切れ目のない雇用対策や中小企業等への支援を行う必要があるということから、 県独自に先行実施した一月補正予算に続きまして、 二月の補正予算で国の地域活性化・生活対策臨時交付金を活用し、 早期に事業着手が可能な道路等の維持補修事業を計上いたしますとともに、 二十一年度当初予算では離職者等の再就職支援や中小企業の新事業分野進出への助成などの緊急雇用・経済対策事業を取りまとめました。
     次に、 基本方針の第二でありますけども、 こうした厳しい財政環境でも必要な行政サービス水準を確保するということであります。 具体的には、 医師の奨学金貸付枠を前年度の十人から百人に拡大するなどの医療・福祉サービスの充実、 中学校一、 二年生に対する静岡式三十五人学級編制の導入など教育の質の向上に取り組み、 さらには生活の安心・安全確保として、 道路交通の円滑化や河道拡幅、 土砂災害対策などの豪雨対策を行う緊急事業を新たに実施することといたしました。
     基本方針の第三でありますけれども、 社会経済全体の生産性の向上に向けた戦略的施策の展開であります。 将来にわたり本県の豊かさを維持向上させていくために、 ことし六月に開港をいたします富士山静岡空港も活用して産業競争力の強化、 循環型社会の形成、 都市的機能の高度化などに資する施策の展開も盛り込んだところでございます。
     次に、 財政の中期見通しについてであります。
     平成十二年度から導入いたしました財政健全化に向けた三つの目標は、 本県の財政運営の健全性の確保のため有効に機能してきたものと考えております。 平成十九年度決算で見ますと、 全国でいずれも低いほうから起債制限比率第八位、 経常収支比率第五位という水準を保っております。
     一方、 自治体財政運営のより一層の透明化や早期健全化のための仕組みを導入するための地方公共団体の財政の健全化に関する法律が二年前でしたか定められまして、 この法律によりまして健全化の判断基準が、 従来言いならわされておりましたものを改めまして、 例えば起債制限比率については実質公債費比率であるとか、 また将来負担比率、 これも健全化判断基準に新たに導入するというようなことに変わってまいりました。
     このため、 平成十二年度から掲げてまいりました三つの目標の一つである起債制限比率につきましては実質公債費比率を導入することによりまして、 公債費による財政負担の度合いをより厳格にとらえる方向に変えます。 また将来負担比率を新たに採用することによりまして、 外郭団体や第三セクターに対する一般会計等の負担見込み額なども、 将来の債務の中に加えて債務の全体像をあらわすことにいたしました。 この二つの新たな指標、 すなわち実質公債費比率と将来負担比率、 これを加えて、 これまでの経常収支比率と県債残高、 これを合わせた四つの指標で今後の財政健全化指標とすることにしたところであります。
     今後の財政運営でありますけれども、 世界経済が低迷して一般財源総額が一定という前提を置いて試算いたしますと、 平成二十二年度以降の財源不足額は五百億円程度という大変高い金額  多額のところでずっと推移するということでありますので、 社会保障関係経費等の義務的経費の増嵩が一方で確実に進んでまいります状況をにらんでみると財政の硬直化が心配をされます。
     このような厳しい財政状況が想定されるところでありますけれども、 医療、 福祉、 教育など県民に身近で必要不可欠な行政サービスの水準を維持されるということも強く一方で求められてまいります。 したがってそのために必要な一般財源の確保はどうしても不可欠になってまいります。
     そこでどうするかということになるわけでありますけれども、 当然のことながら歳出のスリム化や歳入の確保、 社会経済全体の生産性の向上などによって、 県の経済力、 産業力、 すなわち財源を生み出す力を強めるという努力を最大限する一方、 それでも賄い切れないような巨額な財政支出がこれからどうしても続いてまいると、 五百億円という不足額をどのようにして埋めるかというのは、 今申し上げました歳出のスリム化とか歳入の確保、 あるいは経済力の向上といっても、 県でなし得るものは非常に限界があることは否めません。 しかもこのような状況に置かれておるのは本県だけではないわけでありまして、 財政の健全度で言えば全国トップクラスにある本県ですら今の状態ということは、 日本列島全体がもう財政破綻状態に追い込まれるということを暗示しているわけでございます。
     したがって、 我が国全体で国、 地方を通ずる行政水準のサービスと負担のあり方について、 両方をどういうバランスをとったらいいのか、 そこを真剣に考えて、 必要ならば国民の負担増もお願いするというところへ向かっていかないと、 我が国はこれからにっちもさっちもいかない大変な状態になると。 その意味で行政にかかわる者の責務は、 そのようなことについてもいかに県民――有権者の理解を得るような努力をするか、 その責務も重大だと思いますし、 一方で県の段階で幾らこのようなことを言っても最終的には国民負担は法律で決められるものでありますので、 国政のあり方、 これが本当に重要になってきてるというふうに思います。
     その意味でまた有権者の責任も問われるんじゃないかと。 今後の総選挙を初めいろいろな選挙を通じて、 やはり国民自身が自覚をしてこういう問題に真剣に取り組むことが期待される、 望まれるというふうに私は存じます。 県レベルで、 全国知事会なども通じながら積極的にそういう面での活動も重要な時期に来ているんじゃないかというふうに感ずる昨今でございます。
     次に、 原子力発電所のリプレース計画についてであります。
     本県では、 エネルギー資源の有効活用と環境への負荷の少ない安定的なエネルギーへの転換を図るという観点とともに、 県内の電力需給のバランスを踏まえて引き続き電源立地に協力していくということを基本姿勢としてまいりました。 また一方、 個々の立地でありますけれども、 これは地元の考え方がまずは基本でありますので、 事業者において安全性の確保を大前提に、 地域の実情なども十分配慮して地元の理解と同意を得ることが何よりも必要と考えておるわけであります。
     したがって、 今回の全国で初めての原子力発電所のリプレースとなる計画につきましても、 このような電源立地に対する考え方のもとに、 県としては事業者や国に対して徹底した情報公開などによって、 住民の皆様を初めとした本県の信頼を獲得することを前提に、 特に御前崎市及び隣接三市との密接な連携をとって地元理解を獲得すると、 こういうことが大事だと考えます。 そのことをもう事あるごとに主張すると同時に、 御前崎市、 隣接三市と連携をとりながら、 そのようなことがきちんと維持されると、 実現するという前提でこの問題に取り組んでいきたいと考えております。
     一、 二号機の廃止ですが、 仕組み上は中部電力が今後原子炉等規制法に基づいて廃止措置計画を策定して国の認可を受けることから始まってまいります。
     県といたしましては、 計画の認可申請に先立って、 廃止に係る工程や炉の解体方法、 放射性廃棄物の処理方法などについて基本方針を定め、 県民、 特に地域住民に示し理解を得ることから始める必要があると考え、 中部電力にそのことを求めているところでございます。 また国に対しても県の考え方を伝えるとともに、 事業者への適切な指導やできるだけ早い時期に使用済燃料再処理施設を稼働させること、 高レベル放射性廃棄物の最終処分場の建設場所を確保することを願い出ておるところでございます。 今後とも安全を第一に、 徹底した情報公開のもとで一、 二号機の廃止が進められるよう注視してまいります。
     次に、 富士山静岡空港についてのうち、 まず開港への取り組みについてであります。
     県民の共有財産であり、 本県の発展を担う重要な社会資本である富士山静岡空港については、 既に空港基本施設は完成し、 現在、 国による工事完成検査が行われております。 検査はこれまで順調に進んでおり、 今後、 合格通知をいただいた後、 供用開始届の提出、 航空路誌への掲載手続を進めて六月四日の開港を迎えたいと考えております。
     県といたしましては、 このような手続に加えて開港を万全の状態で迎えることができるように、 引き続きアクセス道路の整備や交通アクセスの確保に努めていくほか空港の円滑な管理運営や利活用の促進、 需要の拡大を図るべく、 来年度、 静岡空港管理事務所への人員配置を充実するとともに、 空港部に需要拡大策を一体的、 効率的に推進する体制を整備することといたします。 空港部全体では規模が縮小されますけども、 再編成によってそのような体制に模様がえいたします。
     また、 開港後において、 就航する各路線の安定的な需要の確保と新しい路線の獲得や便数の増加を図るべく、 二十一年度においても空港利活用促進のための支援策を拡充したいと考えております。 具体的には、 チャーター便、 パック旅行、 団体利用送迎バス等への助成など、 これまでのメニューに加えて、 二十一年度は教育旅行に対する助成や県内市町村が実施する空港利活用促進事業に対する助成制度を新たに設けたいと考えております。
     また、 これまで日本航空との間で協議を継続してまいりました総合的運航支援策の一つとして、 福岡線に対する搭乗率保証制度を導入したいと今議会にもお諮りしているところであります。 福岡線につきましては、 新幹線との競合がある中で開港当初から一日三便もの経営資源を投入することに伴う航空会社のリスクを軽減させるための特別なインセンティブとして、 仮に実績が目標搭乗率七〇%を下回った場合に運航支援金を支払う搭乗保証を行うものであり、 そのための債務負担行為の議案を本議会にお諮りしているところであります。
     県といたしましては、 こうした支援策を活用しながら、 引き続き就航先への交流団の派遣や観光キャンペーンの実施などによる需要喚起策と、 県内市町や富士山静岡空港利用促進協議会等の関係団体と一体となった利活用促進策に全力で取り組んでまいります。
     次に、 完全運用についてであります。
     富士山静岡空港は、 二千五百メートル滑走路での完全運用が必要とされる空港であり、 その速やかな実現が県政の重要な課題でありますことから、 これまで地権者に対してできる限りの誠意をお示しし支障物件の除去をお願いしてまいりました。 また昨年末には、 本年六月に二千五百メートル滑走路として開港を目指す最後のタイミングと考えて地権者に対し改めて除去をお願いいたしましたが、 残念ながら御理解をいただけず、 ことしに入りましても早期解決が困難な状況は変わっておりません。 このため完全運用を実現していく上で、 行政として使用可能な法的措置を講ずることも必要であると考え、 先月末、 航空法に基づく除去請求手続に入る方針であることを表明したところであります。
     その後、 去る二月十一日には私が直接地権者にお会いして改めて支障物件の除去をお願いする機会がありました。 その際にきちんと航空法に基づく除去請求手続を開始する旨もお伝えいたしましたが御理解いただけず、 地権者からは新たな申し入れもいただきました。 私としては、 私の果たすべき責務から考えて申し入れをそのままお受けしかねると考え、 一昨日その旨を地権者に回答するとともに、 航空法第四十九条三項に基づく除去請求手続を開始をいたしました。 今般、 手続を開始したとは言いましても、 この条項はまず話し合いにより解決に向け協議をすることが前提となっておるわけであります。 県といたしましては、 今後とも話し合いによる解決が完全運用への早道であること、 また円満解決を期待する関係者のお気持ちも踏まえ、 地権者から支障物件除去の御理解をいただくことによって一日でも早い完全運用を実現できるよう、 引き続き全力で取り組んでまいります。
     次に、 魅力ある観光地づくりについてであります。
     少子高齢化が一段と進み人口減少社会がいよいよ現実のものとなる中、 地域の住民が誇りと愛着を持つことのできる活力に満ちた地域社会を実現するためには、 観光振興による交流人口の拡大と地域経済の活性化が有効であります。 そのため観光関係者はもとより農林水産業や商工業関係者、 住民など地域が一体となって、 観光客がその土地ならではのおもてなしに感動を味わうことができる魅力ある観光地づくりに取り組むことが何よりも重要であるという御指摘をいただきましたが、 私も同感であります。
     このため、 これまでにもいろいろ関係者にも働きかけ、 いろいろな動きを促してまいりましたけども、 そういうことの一つの成果として奥浜名湖地区など県内十一地区を観光おもてなし推進モデル地区に指定して、 おもてなしガイドの育成など地域ぐるみで取り組む活動を支援し、 おもてなしの活動を全県に広げることができるようになってまいりました。 これがまだ成果が顕著に上がるという段階ではありませんけども、 やっとそういう動きが出てまいりました。
     また、 地域の観光地づくりを牽引する人材を育成する地域観光カリスマ育成講座の開催、 旅行商品企画や広報の研修、 地域で造成した旅行商品のメディアを通じた情報発信、 各地域がみずから行う旅行商品造成への助成などの支援も行って、 全県挙げての観光振興に取り組む活動を行っているところであります。
     こうした取り組みのまたもう一つの成果として、 奥浜名湖観光連絡協議会では地域の関係者が連携して富士山静岡空港を利用した地域の歴史・文化をめぐる旅行商品の造成を進めるなど、 着実に具体的な成果となってあらわれてきております。 さらに浜名湖周辺地域において訪れる観光客の滞在を促進するために、 県、 浜松市、 湖西市、 新居町と観光、 商業、 農業等の関係者が協働して、 花、 自然、 歴史、 食等を活用した浜名湖観光圏の実施計画を策定いたしまして、 今月二十日に国に認定申請をすることになりました。 本県の主要な観光マーケットである首都圏などに加えまして、 このような富士山静岡空港を利用して国内外から多くの観光客が本県を訪れることができるような仕掛けを用意することによって、 交流人口の拡大が期待をされるわけであります。 今後とも全県を挙げての取り組みが一層盛り上がりますように取り組んでまいります。
     次に、 地域医療の確保についてであります。
     医師不足に対応するため、 これまで県といたしましては、 県立病院医師の公的病院への派遣や医療クラークの配置支援などさまざまな施策を講じてきたところでありますが、 状況はさらに深刻さを増しており大変危機感を抱いております。
     こうした厳しい状況下で、 このたび静岡県医療対策協議会から具体的な施策提言をいただきましたので、 これを実現すべく来年度予算においては医学生奨学金の大幅な拡充を初め勤務医に研修の機会を設ける病院へ支援すると、 こういうことによって病院の魅力を高めると、 病院の勤務状態――条件ですね――状態についての魅力を高めることによって医師を獲得しやすくなると言われておりますので、 そういう支援を組み込むとか、 公的病院幹部を対象とした医療経営人材の養成など医療関係のための施策を二十年度――本年度の二倍以上の額を計上して取り組むこととしたところであります。
     これらの対策を着実に進めるとともに、 今後は関係者の協力を得て効果的な医師配置のための調整を行う場の設置など、 特に医療対策協議会などを中心にそういう調整の場を設置をいたしまして、 新たな施策にも積極的に取り組んでまいりたいと考えます。
     昨今の医師不足問題に関連して、 県内の医学生、 医師の養成機能が少な過ぎるんじゃないかと、 したがって医大の開設をすべきだと、 これが抜本的解決になると、 そういう声が大変強く出てきております。 私もそれは大変有効な方策だと考えますけども、 前提としてそれが許されるならばということですね。 許されるっていうのは、 制度的に許されるならばこれはすぐにでも取り組むべき課題だと思っているのでありますけれども、 今、 我が国においては国策として医科大学の増設は一切、 ここ数十年認めてきておりません。
     ただ、 昨今の全国的な医療問題を背景に、 平成二十年度の入学生について十一の大学について十名ずつ、 すなわち百十人の定員増が認められ、 来年度はさらにそれが拡充されて、 平成二十年度では選に漏れた浜松医科大学も十名の枠を認められることになりまして、 既存医科大学の入学定員増、 これは平成二十年度から一部スタートしたわけであります。 今後さらにこれが、 医師の養成をどのようにするかということを考えた場合には、 中長期的な医師の需給状況、 これの見通しが非常に重要になるということから、 国においてもこういう点を踏まえていろいろな議論が交わされるようになってきております。
     その結果、 既存の医科大学の一部の定員増にとどまらず医大の新増設ですね、 そういうことが認められるということになれば、 すぐにでも静岡県も何らかの形でそれを実現すべく準備はいろいろしていくと、 研究をしていろいろ対応を図っていくと。 各方面のいろんな情報収集とか、 そういう意思があるとか、 希望の表明とか、 いろいろな手だてを講じて、 万が一医療政策が変わった場合、 医学教育政策が拡充という方向へ変わった場合には対応できるようにしていくことは必要だと思うのでありますけれども、 今現在はその門が開かれておりません。 そのことも十分考えて、 医科大学ができれば何でもいいんだと言わんばかりの言説は、 かえって地道な、 しかも直ちにやらなければいけないいろいろな政策を展開する上で障害にもなりかねないことでありますので、 この辺は十分に慎重に対応しなきゃいけないというふうに考えておるところでございます。
     新設医科大学ができても、 実際に戦力としてそれが医療現場に出てくるためには最低十五年かかるわけですね。 そうすると、 新しく大学をつくるとなるとどんなに急いでも三年、 四年はかかるわけでありますので、 何だかんだしてると新設医科大学から医療現場に戦力として出てくるまでには二十年近く先になっちゃうと。 こういうことでありますから、 それよりも何よりも要するに背に腹はかえられませんので、 他県のことをおもんばかる以前に静岡県にとにかくたくさん来てもらうような有効な政策を思い当たるものはどんどんやっていくということでやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
     したがって、 二十一年度予算の編成の過程では、 いろいろ考えられるものをかなり金額的にも踏ん張って計上したわけでありますけども、 今後は、 新年度に入って、 これもいいじゃないかと思われるものがあれば、 必要に応じて例えば予備費を認めていただいてこれを活用して即実施するとか、 そういう非常に臨機応変、 迅速な対応も必要かと存ずる次第でございます。
     その他の御質問については、 関係部局長、 教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長 (天野 一君)  藤原総務部長。
            (総務部長 藤原通孝君登壇)
    ○総務部長 (藤原通孝君)  地震対策についてのうち、 地震財特法の延長についてお答えいたします。
     地震対策事業の進捗状況でありますが、 地震財特法に基づく地震対策緊急整備事業の執行率は、 昭和五十五年度から平成二十一年度末までの三十年間の計画事業総額八千八百六十七億四千万円に対しまして平成二十年度末で九二・六%を見込んでおります。 また地震防災対策特別措置法に基づく地震防災緊急事業の執行率につきましては、 平成十八年度から平成二十二年度までの第三次五カ年計画の事業費総額八百二億八千五百万円に対しまして同じく平成二十年度末で五一・四%となる見込みであります。
     これらの地震対策事業を実施してまいりました結果、 平成十九年度末時点で東海道新幹線の跨線橋でありますとか、 あるいは東名高速道路跨道橋の耐震化、 漁港における耐震強化岸壁の整備が完了いたしました。 また避難路となる街路区間の整備率や老人保健・福祉施設の耐震化率が九五%を超えるなど、 着実な成果を上げておるところであります。
     しかしながら、 耐震化が急がれます公立小中学校や保育所の耐震化率につきましては、 それぞれ八六・四%、 七二・四%にとどまっておりますほか、 急傾斜地崩壊対策施設や地すべり防止施設の整備率が五〇%を下回るなど、 引き続き事業の進捗を図る必要があるものと考えております。
     このため県におきましては、 来年度末で期限切れを迎えます地震財特法につきまして、 平成二十二年度から向こう五年間の計画策定に取り組み、 市町村や関係都県とも十分連携を図りながら、 国に対して強く延長を働きかけてまいりたいと考えております。 県議会におかれましても一層の御支援を賜りますようお願い申し上げる次第であります。
    ○議長 (天野 一君)  稲津県民部長。
            (県民部長 稲津成孝君登壇)
    ○県民部長 (稲津成孝君)  地震対策についてのうち、 プロジェクト 「TOUKAI―0」 の推進についてお答えいたします。
     プロジェクト 「TOUKAI―0」 の助成制度を活用して耐震補強工事を実施した木造住宅は、 本年一月末で九千二百八十戸となり、 住宅の耐震化率は本年度末約八〇%と推計しております。
     一万戸の目標達成が厳しい原因として、 これまで県ではテレビCMや県民だよりなどによる広報、 市町村では広報紙やダイレクトメールなどにより周知啓発に努めてまいりましたが、 昭和五十六年以前の木造住宅にお住まいの世帯に対して、 耐震化の必要性や補助制度等の周知の仕方になお一層の工夫が必要であったと考えております。
     今後は、 平成二十七年度末の耐震化率九〇%の達成を目指して、 平成二十一年度から新たに耐震補強件数一万戸、 累計二万戸を目標と定め、 実験教材 「木造倒壊ぶるる」 を活用した出前講座や耐震診断で倒壊の危険性があると評価された住宅に対する戸別訪問、 地域で活躍する建築関係団体による啓発活動への支援などにより、 市町村や関係団体と連携して木造住宅の耐震化を積極的に推進してまいります。
     次に、 地球温暖化防止対策の推進についてであります。
     家庭部門からの二酸化炭素排出量の大幅な増加が県内の二酸化炭素排出量増加の大きな要因となっており、 日常生活における省エネルギーの取り組み促進はますます重要になってきていると考えております。 このため市町村等と連携して、 家庭における省エネルギーを支援するアースファミリー事業や子供向けの温暖化防止教育を行うアースキッズ事業を実施するとともに、 平成十八年度からは県民参加型のSTOP温暖化アクションキャンペーンを実施しており、 本年度の参加者はエコポイント制度導入の効果もあり昨年度の三倍の十二万六千人に及んだところであります。
     今後は、 省エネルギーによる二酸化炭素排出量や光熱費の削減といった取り組み成果をわかりやすく示すなど家庭における取り組み意欲を高める工夫に努めるとともに、 引き続き国の住宅用太陽光発電補助制度の申請支援を行うなど、 家庭における新エネルギーの利用拡大を図っていくこととしております。 さらに来年度から県で電気自動車を率先導入しさまざまな普及啓発事業に活用するなど、 ストップ温暖化しずおか行動計画の目標達成に向けて県民と一体となった地球温暖化防止対策を推進してまいります。
    ○議長 (天野 一君)  衛門建設部長。
            (建設部長 衛門久明君登壇)
    ○建設部長 (衛門久明君)  今後の静岡県の道づくりの推進についてお答えいたします。
     道路特定財源の一般財源化や橋梁を初めとした道路施設の維持更新費用の増大など道路を取り巻く環境は大きく変化しており、 今後の道づくりにおいては、 道路の現状や課題並びに地域や利用者の声等を的確に把握し、 将来を見据えて今まで以上に事業を重点化していくことが重要であります。
     このため、 本年度内を目途に策定を進めております静岡県の“みちづくり”計画では、 おおむね十年間の施策や事業の選択と集中の基本方向を示すビジョンと、 五年間に重点的に取り組む施策や主要な事業箇所、 成果目標等を明示しており、 現在、 計画案についてパブリックコメントを実施しているところであります。
     この計画では、 従来の量的充足を重視した整備から既存構造物の活用や保全と整備のバランスを考えた道路行政への転換に配慮しつつ、 国内交流ネットワークの構築や渋滞対策、 地域の孤立化防止対策、 交通安全対策など五つの重点施策を掲げ、 また約百八十の主要な事業箇所と十三の成果目標を示しているところであります。
     県といたしましては、 県民暮らし満足度日本一の実現に向けて、 この計画に基づき国や政令指定都市等と連携して、 高規格幹線道路から身近な生活道路まで必要な道路の整備を計画的かつ着実に進めてまいります。
     次に、 環境に配慮した農業農村整備の推進についてであります。
     農村には、 かけがえのない固有の特性を持つ農地や水辺、 農村環境などの資源のほか、 農業生産活動や冠婚葬祭などの集落共同活動を通じて形成された 「結い」 や 「普請」 等の農村コミュニティーとされる無形の資源があり、 これらの多くが社会構造の変化の中で見失われ農村らしさの喪失や高齢化、 混住化による農地等の荒廃が進行しております。
     農村が、 将来にわたり住む人や訪れる人たちにとって魅力ある空間として引き継がれていくためには、 農村空間を形成するさまざまな資源を県民共有の財産と位置づけ、 農地や農業用施設等の継続的な利用を通じて農村コミュニティーの維持、 再生に努めていく必要があります。
     このため、 これまで取り組んできた環境に配慮した農地や農業水利施設の整備に加え、 農地や水辺、 環境、 コミュニティーなどの農村環境資源を保全管理する視点に立って、 地域の実情に応じた農地利用の体制づくりや美しい農村環境を形成する里山や石積み水路の保全、 復元等の方策を盛り込んだ新たな対策指針を年度内に策定することとしております。 今後、 これらの指針に基づき農地等の整備を推進するとともに、 多様な人々の参画による協働活動を促進し継続的な農業生産活動への支援と農地等の持つ多面的機能の発揮に努めてまいります。
    ○議長 (天野 一君)  遠藤教育長。
            (教育長 遠藤亮平君登壇)
    ○教育長 (遠藤亮平君)  理想の学校教育の具現化についてお答えいたします。
     来年度優先的に取り組む施策の大きなものといたしましては、 中学校一、 二年生への静岡式三十五人学級編制の導入、 小学校高学年への理科専科教員の配置、 県立学校の情報化の推進を考えております。
     その効果といたしましては、 少人数学級編制の中学校への導入により一人一人に目の行き届いた教育が可能となり、 生徒個々のニーズに応じたきめ細かな指導を通して学習指導の面では授業への理解度、 満足度の高まりが期待できるとともに、 生徒指導の面においても子供理解が深まることでいじめ、 不登校等の減少につながると考えております。
     小学校高学年における理科専科教員の配置については、 教員の教材研究の時間の確保につながるとともに、 専門性を有する教員が指導することで指導の質が高まり理科への興味関心、 理解度の向上が期待でき、 さらに小学校において教科担任制を実施することは、 中学校教育との継続性の上でもプラスに作用すると考えております。
     学校の情報化推進については、 教職員一人一台パソコンの配備及び共通ソフトの活用により成績処理や文書事務等の効率化が図られ、 また学校間等のネットワークの活用により教材、 指導案等の共有化が進むことで、 授業の質の向上や授業準備の時間の確保ができ指導の充実につながるものと考えております。
     また、 教員がすぐれた授業力を身につけるためには、 日々の授業の中で児童生徒の実態を踏まえ指導の改善を積み重ねることが不可欠であり、 教育委員会といたしましては、 このたびの組織再編の中で、 総合教育センターに集中配置する指導主事が行う学校訪問の質、 量の充実を図るとともに、 教職員のニーズに応じた研修を推進することにより授業力の一層の向上に努めてまいります。
     一方、 議員御指摘のとおり、 理想の学校教育を実現するためには、 学校教育の充実だけでなく家庭、 地域の教育力の向上及び学校・家庭・地域の連携が大切であり、 現在実施しております親学講座や通学合宿、 学校支援地域本部などの取り組みを中心に情報提供や活動環境の整備に取り組んでまいります。
    ○議長 (天野 一君)  原田警察本部長。
            (警察本部長 原田宗宏君登壇)
    ○警察本部長 (原田宗宏君)  本県警察の体制についてお答えいたします。
     まず、 増員予定の警察官二十八人の配置計画でありますが、 この二十八人は、 国において緊急に対応が必要で、 かつ増員によらなければ有効に対処しがたい治安課題として、 子供と女性を性犯罪等の被害から守るための体制の強化、 一層緻密かつ適正な死体取扱業務を推進するための体制の強化、 この二点について認められたものです。
     増員予定の警察官の実際の現場への配置は早くても来年度以降になりますが、 警察といたしましては、 厳しい財政状況のもとでの増員であることを重く受けとめ、 部内の体制の見直しにより、 今回の増員の趣旨に沿った必要な体制を早期に整備し、 県民の皆様に増員の効果を示してまいりたいと考えております。
     次に、 新東名高速道路供用開始に向けた取り組みについてであります。
     平成二十四年度中には県内全線が供用される予定の新東名高速道路については、 高速道路交通警察隊の体制強化が必要不可欠であると考えております。 事件事故発生の際、 速やかに現場に到達して必要な初動措置が行えるよう活動の拠点となる新たな分駐隊の設置を初めとして、 そこに配置すべき相当数の警察官、 そしてパトカーを初めとした車両や装備資機材も必要になります。
     これらの人的基盤の整備、 装備資機材につきましては国などに対して要望しているところであり、 今後とも業務の合理化と体制の見直しを図りつつ、 引き続き新東名高速道路を利用されるすべての方が安全で安心できる交通環境を整備すべく要望していく所存であります。 御支援のほどよろしくお願いいたします。
    ○議長 (天野 一君)  これで渥美泰一君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

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