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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成24年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中谷 多加二 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/03/2012

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 総合計画の目標達成について  
2 来年度当初予算編成について  
 (1) 財源不足額の解消と特別枠予算の確保  
 (2) 新しい地震対策・津波対策アクションプログラムへの対応  
 (3) 雇用確保に向けた取り組み  
3 キャンプ富士を使用したオスプレイの飛行訓練について  
4 天竜浜名湖鉄道の利用促進について  
5 富士山世界遺産センター(仮称)の整備について  
6 新しい福祉需要への対応について  
7 農業の担い手確保について  
8 中小企業金融円滑化法の期限到来に対する対応について  
9 全国育樹祭の成果とそれを生かした森林・林業再生の方針について  
10 地震・津波対策に対する新たな特別措置法の制定について  
11 災害時におけるアメリカ海兵隊との連携について  
12 原子力防災対策の推進について  
 (1) オフサイトセンターの移転整備  
 (2) 原子力災害対策重点区域の設定  
13 教育行政のあり方検討会への対応について  
14 犯罪の起きにくい社会づくりについて


○議長(小楠和男君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第百三十四号から第百五十六号まで及び第百五十八号を一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、六十五番 中谷多加二君。
       (六十五番 中谷多加二君登壇 拍手)
○六十五番(中谷多加二君)
 皆さんおはようございます。何かと疲れる昨今ですが、私は県政の諸課題について知事及び関係部局長並びに教育長、警察本部長に伺います。
 初めに、総合計画の目標達成について伺います。
 知事は、昨年二月に静岡県総合計画を策定し、県民幸福度の最大化に向けて計画を前倒しして実行すると決意を述べました。この計画の着実な推進を図るため、県では総合計画審議会やパブリックコメントを初め県議会の常任委員会での意見を反映した計画の評価を実施しております。その目的は、数値目標の達成状況など計画の進捗についての評価を行い、翌年度以降の施策の重点化や見直しを図ることで、最適な手法を導入して計画の実効性を高めることだと伺っております。
 しかし、残念ながら昨年度公表された“ふじのくに”づくり白書では、目標達成に向けより一層の推進を要するとするC評価の数値目標が三割余を占め、今年度の評価においてもその割合は改善の兆しが見えていないのも事実であります。県政運営の基本はマニフェストを盛り込んだ総合計画を達成する、つまり実績を上げることが知事の県政運営の本当の成果になると考えます。来年度は四年間を計画期間とする基本計画の最終年度であり、残す一年間で目標の達成が求められておりますが、C評価となった富士山静岡空港の利用者数七十万人、企業の立地件数百件、保育所の待機児童数ゼロなどの項目について実現が可能とお考えでしょうか。特に目立つ項目が、戦略の中で「憧れ」を呼ぶ“ふじのくに”づくりで十七項目もあるなど厳しい状況にあります。知事は、一期四年で全部やり切るという姿勢で臨まないと結局四年たってもできないという持論をお持ちでありますが、総合計画の目標達成について、知事の見解を伺います。
 次に、来年度当初予算編成についてのうち、財源不足の解消と特別枠予算の確保についてであります。
 十月に公表した来年度当初予算の収支試算においては、三百七十億円の財源が不足するとのことでありました。これは、二十四年度当初予算の際に財政の中期見通しで試算した四百二十八億円に比較し五十八億円ほど減少しているものの、まだまだ相当な額であります。この財源不足を解消するため各部局に対し五%、予算調整において五%の計一〇%のカットを指示しています。一方で県が示した編成方針においては、喫緊の課題への対応や総合計画の基本計画の目標達成のため、戦略的施策展開の取り組みやふじのくにづくり推進事業については特別枠を設け、これに該当する事業については効率化の対象外とし、所要額で予算要求が可能としています。巨額の財源不足額があるにもかかわらず、一方では一〇%カットするが他方では青天井で要求できる、これは二律背反しているものであり、どのようにして予算編成を可能とするのでしょうか。あちらを立てればこちらは立たずです。ましてや夏以降景気は下振れし始めており、来年度の税収は十月の試算よりも大幅に落ち込むこともあり得、そうすれば財源不足額は拡大するおそれもあります。財政課のぼやきとも受け取れる表現ではありますが、最近の景気動向を見ればその可能性は十分あると思っております。
 総合計画における基本計画の最終年度であるとともに、知事の任期の総決算として力を入れて予算編成に臨む気持ちはわかりますが、県財政の健全性を維持していくことも重要なことであります。一方で一定額の投資の必要性も認識しておりますが、知事はこのような状況の中で財源不足額の解消と特別枠予算の確保をどのように行っていくつもりなのか、具体的にお答え願います。
 次に、新しい地震対策・津波対策アクションプログラムへの対応について伺います。
 県では、国が南海トラフ巨大地震の防災対策の検討に着手した昨年度から、国の検討作業と並行させる形で第四次地震被害想定の策定に取り組んでいます。去る八月末には国の被害想定が約二カ月おくれで公表されましたが、最悪の条件が重なった場合、県内では死者約十一万人、家屋の全壊は三十二万棟を超えるとされ、三十五年前の夏に伝えられた東海地震説と並ぶ非常に衝撃的なニュースでありました。浜松市では市町村別の浸水域面積が日本一広くなったほか、北遠の山間地域も含めて震度七の激しい揺れに見舞われることが示されております。万が一南海トラフ巨大地震が発生した場合に、どのような状況に陥ってどの程度の被害がどこで発生するのか大変気になるところであります。
 聞いているところのスケジュールでは、来年六月の県防災会議で、第四次被害想定とあわせて新しい地震対策・津波対策アクションプログラムを公表するとのことでありますが、そこから具体的な対策を検討し必要な予算を確保するというのでは、甚だスピード感が足りないと言わざるを得ません。現在のアクションプログラム二〇〇六は平成二十七年度末までを対策期間としており、現段階で達成されていない内容については早急に予算を確保して事業を推進する必要があると思います。鋭意策定を進めていると聞いております新しいアクションプログラムについても、知事お得意の前倒しで積極的な予算措置が重要ではないかと考えます。県政の最重要課題に命を守る危機管理を位置づけ、三百七十五万静岡県民の安全・安心を確保するためにも新しい防災の目標達成を目指す新アクションプログラムの事業に対して積極的に予算を計上すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、雇用確保に向けた取り組みについてであります。
 雇用の確保は豊かな県土づくりの礎であり、その質の向上は県民生活に直結するものです。本県の雇用創造アクションプランでは、成長分野の産業育成や地域基幹産業の活性化、積極的な企業誘致などにより雇用の場を創出し、また就労の促進や未来を担う人材の育成などにより労働市場のニーズに応じた人材を供給するという二つの側面から施策を展開することで、完全失業者数で三万人の減少を目標としております。
 しかし、本県の現下の雇用情勢を見ますと、有効求人倍率が直近の十月の数値で〇・七六倍となり、四カ月連続で全国を下回るなど厳しい雇用環境が続いております。また本年七月から九月の本県の完全失業者数は六万五千人となり一万七千人の改善となりましたが、世界的な景気低迷により主要国の政策金利は引き下げられ、一ドル八十円前後の超円高水準の解消にはめどが立っておらず、今後とも県内企業の経営環境は厳しい状況が続くことが予想されますことから、雇用創造アクションプランの目標である三万人の雇用の創造に向けその達成が危惧されております。雇用創造アクションプランは官と民の両方による需要喚起により雇用確保を目指すものですが、民間の需要が冷え込みつつある今こそ、官を中心に需要喚起を図ることが重要であると考えます。
 そこで、来年度に向けて県みずからの積極的な雇用対策をどのように実施していく方針なのか、所見を伺います。
 次に、キャンプ富士を使用したオスプレイの飛行訓練についてであります。
 米軍の新型輸送機オスプレイは、現在使用されているヘリコプターと比べ搭載量、飛行速度、航続距離などの点ですぐれた性能を有しており、これが沖縄に配備されることにより在日米軍全体の抑止力が強化され、アジア・太平洋地域の平和と安定に大きく寄与するとのことです。しかし一方で、ことしになってモロッコと米国フロリダ州において墜落事故を起こしており、またオスプレイの配備について国からの情報提供も十分になされなかったことから、沖縄県を中心に配備への反対運動が展開されてきました。
 これに対し、国は九月十九日に米軍が日米合同委員会において合意された安全確保策を遵守し、住民の安全に対して最大限に配慮することを前提として、日本におけるオスプレイの飛行運用を開始させるといういわゆる安全宣言を行い、これを受け米軍はオスプレイを岩国飛行場から普天間飛行場に移動させ、十月上旬から沖縄における訓練を行っております。
 去る十一月中旬、普天間基地を眺望できる嘉数高台公園から十二機のオスプレイを確認しました。機体はダークグリーンに塗られ、六機ずつ二列に駐機している様は壮観ではありました。このような中、去る十一月二日政府主催の全国都道府県知事会議において、国は、早ければ十一月にもオスプレイが本県のキャンプ富士を含む本土の施設を利用し飛行ルートに沿って訓練を行う可能性があることを明らかにしました。二十六日には、防衛省が演習場の使用協定運用委員会を開催したい旨関係市町及び権利者団体の代表者に申し入れたところ、十二月六日に運用委員会が開催されることになりましたが、キャンプ富士を使用したオスプレイの飛行訓練に対する県民の不安を払拭するため県としてどのように対応するのか伺います。
 次に、天竜浜名湖鉄道の利用促進についてであります。
 天竜浜名湖鉄道は、沿線各地にわたる三十六施設が国の有形文化財に登録されるなど多様な歴史的文化遺産や豊かな自然に恵まれていることから、沿線地域住民の通勤、通学などの生活路線としての役割だけでなく、観光交流の増大などさまざまな分野でも重要な役割を果たしており、また県内陸部を運行する天竜浜名湖鉄道が果たす役割は今後ますます増大するものと考えております。平成二十一年度からの五カ年の新経営計画も今年度で四年目となり、残すところ一年余りとなりました。また現在天竜浜名湖鉄道の経営分析と将来展望プロジェクトチームで、鉄道の現状と課題や今後の対応などについて検討されていると聞いております。このプロジェクトチームでは、鉄道施設の安全対策の充実や予想される大規模地震の耐震対策等への対応が急務である、廃線も含めて検討すべきという意見が出ている一方、沿線施設のフルーツパークでは浜松市の指定管理者制度により来年度から時之栖が運営しリニューアルオープンするなど、利用促進に向けての明るい兆しもあります。
 県としては、これまでも会社や沿線市町と連携して天竜浜名湖鉄道のさまざまな利活用対策を講じるなど支援を行ってきましたが、現在の新経営計画の進捗やプロジェクトチームでの検討を踏まえ今後の天竜浜名湖鉄道のあり方や利活用についてどのように考えているのか、所見を伺います。
 次に、富士山世界遺産センター――仮称――の整備についてであります。
 富士山の世界文化遺産登録につきましては、本年一月に日本政府が推薦書をユネスコの世界遺産センターへ提出したことを受け、去る八月二十九日から九月五日にかけてユネスコの諮問機関でありますイコモスの現地調査が行われました。現地調査では資産の保存管理の状況を主眼に調査が行われたとのことですが、文化庁は現地調査後の記者会見において、調査員の一定程度の理解は得られたと述べており、私も登録に向け大きく前進したのではないかと考えております。今後は、来年五月ころのイコモスの評価結果の勧告を経て同年六月にカンボジア・プノンペンにおいて開催が予定されている世界遺産委員会において登録の可否が審議されると伺っております。来年六月には晴れて富士山が世界文化遺産として登録されていることを願ってやみません。しかし世界文化遺産の登録はあくまでも通過点であると思います。富士山を後世に継承していくためにはその適切な保存管理と活用が図られていくことが必要になります。
 県は、その拠点施設として富士山世界遺産センター――仮称――の整備について準備を進めており、本年度は昨年度策定した基本構想を踏まえ基本計画を策定していると伺っております。富士山にふさわしい世界遺産センターの整備が必要であると考えますが、県はどのような世界遺産センターを整備しようとしているのか伺います。
 また、昨年度世界文化遺産に登録された平泉の状況を見てみますと、登録を契機に多くの来訪者が訪れたと伺っております。来年六月の登録決定時には世界遺産センターが整備をされておりませんが、登録時における来訪者への対応をどのように考えているのかあわせて伺います。
 次に、新しい福祉需要への対応について伺います。
 静岡県では、本年四月に開通した新東名高速道路や整備が進む三遠南信自動車道などを最大限生かし、内陸のフロンティアを拓く取り組みを推進することとしており、私どもが住む内陸部においては豊かな自然環境を最大限に生かし、新しい産業集積や自然環境と共生した新しいライフスタイルの創造が進むことが期待されます。また一方で、都市部においては沿岸部から内陸部への住居・産業・都市機能の移転等に伴う空間を活用することでゆとりと潤いのある暮らし空間の形成が進むことにより、防災力と居住環境の向上などが期待されます。しかしながら、このような状況の変化により特に内陸部においては産業の集積が進み、定住人口が増加することによる子育て支援や障害福祉サービスなどの新たな福祉需要の発生が見込まれます。
 ところで国は、東日本大震災の被災地の復興に当たっては、高齢者、障害のある方、子供がともに利用でき、身近な地域でコンパクトに一つの場所でサービスの提供が可能な共生型福祉施設の設置が有効であるとしております。既に天竜厚生会ではこの考え方の一部を先取りしている取り組みが行われております。具体的にはデイサービスセンター、障害者グーループホーム、保育所などを同じ敷地内に合築させ、高齢者と障害のある方、子供が日ごろから自然体で触れ合うことのできるような環境づくりが進められています。
 県内の他の地域にこのような取り組みが広がりつつあると聞いておりますが、内陸のフロンティアを拓く取り組みにより見込まれる福祉需要の大きな変化に的確に対応するため、一層の推進が必要であると考えます。
 そこで、県としてこの取り組みをどのように推進していくのか伺います。
 次に、農業の担い手確保について伺います。
 本県の農業者の状況は、基幹的農業従事者数では平成二十二年度で六万四千人と平成二年の十万一千人の六三%まで減少し、またそのうち七六%が六十歳以上の方で占めるなど農業者の高齢化と減少が進んでいることから、意欲ある若者を新たな農業の担い手として幅広く確保していくことが重要です。国においては、今年度から毎年二万人の青年就業者の定着を目指し、新たに農業経営を始める四十五歳未満の青年を対象に年間百五十万円を給付する青年就農給付金の事業を開始しました。これは、青年の就農意欲の喚起と就農後の確実な定着を図るため、就農前の研修期間中と経営が不安定な就農直後の所得を確保する給付金を交付するものであり、この制度により就農への関心が高まり、国が想定した人数の倍に当たる約一万五千人の青年が受給を希望していると聞いております。今後全国でこの給付金が交付されることから、就農への関心が高まり農業を目指す青年がふえることが期待されます。しかし新たに農業を開始するためには、給付金のような資金を援助することだけでは十分ではなく、栽培技術や経営ノウハウの習得はもちろんのこと農地や機械、施設の確保など多くの課題を解決していくことが必要であります。さらには、就農後この給付金に頼らなくても着実に自立して経営が展開できるよう、農地集積による経営規模の拡大や販売戦略の構築などにより経営発展を着実に進めることも重要であります。
 本県の農業・農村を発展させるためには、新たな農業者を確保し農業の担い手が着実に定着するよう支援することが必要であると考えますが、県はどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、中小企業金融円滑化法の期限到来に対する対応について伺います。
 リーマンショック以降、長引く円高・デフレや原材料高、東日本大震災や日中関係の悪化など本県産業を取り巻く経済環境が厳しさを増す中で、約二万社という県内の中小企業が生き残りをかけ金融円滑化法による返済猶予などの支援を受けていると聞いております。この金融円滑化法を活用した企業は全国で三十万から四十万社と言われ、景気が好転しない中で万一金融機関が貸し出し先の中小企業に対し厳格に返済を求めた場合には倒産が続出することも考えられます。実際、金融円滑化法を活用した企業の全国の倒産件数は、ことしに入ってから十月末までに百九十三件に上り、昨年同期比で約五〇%増加しており、来年三月末の期限到来とともに倒産が急増するとの懸念が広がっております。
 このため、国においては、従前から金融機関や商工団体を中心メンバーとする県中小企業再生支援協議会を設置し、中小企業の事業再生計画の策定を支援しているほか、県事業引き継ぎ支援センターを設置し、有望な事業については他の事業者に紹介する事業継承を支援するなどの対応を図っていると聞いております。また国において四月に中小企業金融円滑化法の最終延長を踏まえた中小企業の経営支援のための政策が発表され、これに基づいて本県においても、県信用保証協会が事務局となり十月二十四日に金融機関や商工団体などが連携するしずおか中小企業支援ネットワークを立ち上げたことも報道されております。十一月一日には金融担当大臣が金融機関に対し、「金融円滑化法の期限到来後も、貸付条件の変更や円滑な資金供給に努めるよう促していく」との談話を発表しました。再建見込みのある中小企業に対しては金融機関の貸し渋りを防いでいくとのことですが、今後の金融機関の動向や経営改善計画の実行状況によっては、中小企業の事業継続が厳しい状況に追い込まれることも予想されます。
 そこで、来年三月末の中小企業金融円滑化法の期限到来に向け、県として中小企業に対してどのような対応を考えているのか伺います。
 次に、全国育樹祭の成果とそれを生かした森林・林業再生の方針についてであります。
 先月十一月十日と十一日の二日間にわたり、皇太子殿下の御臨席を仰ぎ第三十六回全国育樹祭が盛大に開催されましたことは、大変喜ばしく県民の一人として誇らしく思います。まず全国育樹祭開催に御尽力された関係者や出演者の皆様方に深く敬意を表しますとともに感謝を申し上げます。残念ながら式典が終了するころに降り出した雨と冷たい風の影響で、近年他県で開催された機械展と異なり、全国育樹祭においての林業機械展、本年は五百種類に及ぶ最新鋭の機械が式典会場と同じ敷地内で展示されるという、関係者にとってもありがたい設営でありましたが、参加者が式典終了後足早に会場を後にする姿が見られたことは残念でなりませんでした。
 さて、式典行事は非常にすばらしいものであり、中でも式典行事中盤のメーンテーマアトラクションでは、かわいい子供たちやはつらつとした演技を行う高校生などによる創作ダンスが演じられました。木が芽生え若木となり大きく成長し、木材として活用され再生が始まるという森林の循環が表現されました。これは大会宣言にうたわれている「森林の整備や木材などの森林資源の積極的利活用を一層推進し、循環型社会の実現を目指す」を表現しており、非常に感銘深いものでありました。皇太子殿下からは、大会テーマである「木を植えて 育てて活かす 緑の力」にふさわしく、森林を守り育てそして生かす活動の輪が全国に広がり緑あふれる豊かな自然が未来へと継承されていくことを切に願うとのお言葉をいただきました。さらに知事も式典挨拶の中で、「ようやく質・量ともに成熟した杉・ヒノキなどは、今まさに木材として利用に最適な時期を迎えています。これからも社会全体で森林を育て将来にわたり引き継いでいくために、私たち一人一人が森林を資源として積極的に活用する」と全国に向け発信しました。これは、本県の森林・林業の再生に向け関係者が連携し総力を挙げて取り組んでいくという知事の決意と受けとめております。
 一方、森林・林業の現状を見ると、ことし当初からの歴史的な円高・ドル安・ユーロ安により外材製品の輸入が増大する中、外材との価格競争はますます増大し外材から国産材への転換が思うに任せない状況であります。天竜地区でも地場の製材工場による木材生産量が上向かない厳しい状況が続いているとの声も関係者から寄せられています。買い取り価格が安い上に大量の原木が市場にあふれ、国内の一部市場では入荷の差しとめをするなどといった対策を講ぜざるを得ない状況も生まれています。木材供給側の森林所有者も切る意欲をなくしています。こうした中、この厳しいときこそ頑張らなければと奮闘している森林・林業・木材産業関係者にとって、皇太子殿下のお言葉は大変心強く大きな励みになったと思います。私は、この育樹祭を一過性の行事に終わらせることなく、本県の森林・林業の再生に結びつけることが重要であると思っております。
 そこで県は、この育樹祭の成果をどのように認識し、今後ふじのくに森林・林業再生プロジェクトをどのように進めていくのか伺います。
 次に、地震・津波対策に対する新たな特別措置法の制定について伺います。
 東日本大震災の発生から来年の三月で丸二年がたとうとしています。しかし被災地の復興事業は遅々として進まず、今でも海岸線や漁港などには倒れた防潮堤が無残に横たわっている状況です。一方で復興事業と直接関係のない独立行政法人や他地域に予算が流用され、かつこの部分については予算の執行が着実にされているという実態が明るみに出ました。政府は一体何をそして誰のことを一番に思って、国民に増税という負担をさせて復興事業を行うこととしたのか理解できません。
 八月二十九日に南海トラフの巨大地震を想定した津波高及び浸水域などが公表されました。その内容によれば、これまでの想定とは異なり桁外れな被害が起きると想定されました。質問の冒頭で述べましたとおり、東日本大震災において津波は防潮堤や防波堤を軽々と乗り越えそしてなぎ倒し人々の命を奪っていきました。しかしながら防潮堤や避難ビル、高台避難地への避難路整備などの必要性は言うまでもありません。県は、津波対策については百年から百五十年ごとに繰り返し発生する巨大地震をレベルワンとし、防潮堤などのハード対策の目標としています。また千年に一度まれに発生する最大クラスの巨大地震をレベルツーとし、レベルワンのハード対策に加えソフト対策を組み合わせ対応するとしています。いまだレベルワンの高さの公表がないため、本県の海岸線約五百キロメートルのうちどれだけの部分に新たな工事が必要かはわかりませんが、相当広範囲で防潮堤の高さをかさ上げする必要が出てくるとともに、その費用は膨大なものがかかると思います。また主に市町が中心となるソフト対策についても同様です。
 これまで本県は、東海地震対策をいわゆる地震財特法を活用し補助率のかさ上げ、有利な県債の活用などの財源措置を背景に地震対策緊急整備事業を進めてきました。しかし今回の南海トラフの巨大地震に伴う被害を食いとめるための対策は膨大なものと見込まれ、県財政が厳しい中これまで以上に国の支援がなくしてその実行はできないのではないでしょうか。第四次地震被害想定は来年六月ごろに取りまとめられると聞いておりますが、これにあわせ本県におけるすべての対策にどのくらいの事業費がかかるかを示し、国に対し規制緩和措置や財源措置を盛り込んだ新たな特別措置法の立法を促すべく行動すべきと考えますが、知事の考えを伺います。
 次に、災害時におけるアメリカ海兵隊との連携についてであります。
 十一月十五日、沖縄県の静岡の塔において開催された追悼式・慰霊祭に出席をいたしました。その後那覇市内にある自衛隊那覇基地を訪問し、陸上自衛隊第十五旅団長小林茂陸将補から日本の最後のとりでと言われる西の守りの重要性について意見を伺いました。翌日には沖縄米軍基地キャンプバトラーを訪問し、コーヒーの香り漂う会議室で、米国海兵隊太平洋基地政務外交部次長・政治学博士のロバート・エルドリッジ氏から、災害時におけるアメリカ海兵隊の役割について伺いました。博士は、大阪大学の准教授でしたが、アメリカ軍にヘッドハンティングされて三年前にキャンプバトラーに着任しました。氏の話の中で海兵隊の役割は、武力紛争から自然災害に至るまでの種々の緊急事態に迅速に対応する初動機動部隊として重要な役割を担っており、広範な任務を有しています。昨年の三月十一日の東日本大震災発災後の救援活動において、日本側にアメリカ海兵隊についての知識不足や海兵隊等の受け入れの枠組みがなかったため救援活動がスムーズに実行されなかったことなど、せっかく海兵隊が日本に展開する中で人的被害の軽減等のため迅速に援助を要請すべきで、あの悲惨な状況の中での救援活動は世界中で海兵隊にまさる部隊はありませんと断言されました。あわせて静岡県の地震対策、発災後の救援体制等についてすばらしい評価もしていただきました。
 こうしたことから、一万五千人余が沖縄に駐留する海兵隊による支援は、いわゆる三連動地震発災後の救援活動に有効であると考えます。知事も既にエルドリッジ氏と面会し海兵隊など米軍との防災面での連携について意見交換をしたようですが、大規模災害発生時の救援活動に関して今後どのように海兵隊との協力を進めていくのか伺います。
 次に、原子力防災対策の推進についてのうち、オフサイトセンターの移転整備についてであります。
 十一月二日、知事は防災担当大臣に対して国の広域防災拠点整備の要請を行った際に、突如原子力災害の発生時に避難等の防護対策を実施する拠点施設であるオフサイトセンターを静岡空港西側に移転させると公表しました。またこれに関しては、本十二月県議会に補正予算の議案が提出され今年度中にも事業に着手することとされています。知事がオフサイトセンターの設置場所としている空港の西側用地は、知事みずから誘致している基幹的広域防災拠点としての整備用地であることは承知しておりますが、どのような考えからオフサイトセンターの移転先として最適と判断されたのか伺います。
 次に、原子力災害対策重点区域の設定についてであります。
 国の原子力規制委員会は、この十月に原子力災害対策の基準となるべき法定の指針として原子力災害対策指針を策定し、事前に重点的に原子力災害対策特別措置法に基づく地域を定める際の参考として拡散シミュレーションの結果を公表しました。公表されたデータのたび重なる訂正は関係者の失笑を買いましたが、県では、この指針とシミュレーション結果をもとに関係する市町と協議の上、原子力防災対策区域のうち避難も含めた対策が必要となるUPZの策定を先行して行うとしております。
 そこで伺いますが、UPZの設定に関し県はどのような考えで臨んでおりどのような協議の状況にあり、さらに原子力災害対策に必要となる地域防災計画をいつまでに策定するのか伺います。
 また、福島第一原子力発電所の事故を踏まえた原子力防災体制の見直しにより、新たに地域防災計画を策定しなければならない市町がふえるわけですが、県はこれらの市町に対してどのような支援を行い地域防災計画の策定を支援していくのか伺います。
 次に、教育行政のあり方検討会への対応についてであります。
 知事の発案で始まった教育行政のあり方検討会は、六月と九月に既に二回の検討が行われました。今月には三回目の検討会が行われ、検討の成果が示されていくものと承知しております。大津市のいじめの問題や大阪府の教育基本条例などを契機に教育行政のあり方については全国的にも関心が高まっており、教育委員会の隠蔽体質などは大いに改善の余地の必要性を感じさせるものです。例えば本県においてはいじめの問題の教育委員への報告は、学校教育課で著しく問題と判断した事案に限り教育長や教育委員に報告するとされていました。しかし県東部の県立高校で一年近くに及ぶ集団いじめがあった事件への対応から、全ての事案について教育委員に報告することに改められたところです。
 こうした状況下で、本県において県内外から有識者が集まって教育行政のあり方について真剣に検討されていることは意義のあることであると評価をしております。しかし過去二回の検討内容を見ると、国の制度の問題であったり検討委員の個人的な信条に過ぎる部分があったりで、議論が拡散気味な点も見受けられます。現行制度の中で本県の教育行政の果たすべき役割や現状の検証を行うことが本来の検討会の目的であったので、この趣旨に沿った有意義な検討となるよう今後を見守っていきたいと思います。教育委員会自体は、いわば仕分けを受ける立場であり検討会の結果をまとめる立場にはありません。しかし過去二回の検討会を通じて県内外の有識者からさまざまな意見をいただく機会を得たのは、教育委員会みずからがみずからを検証する上で意義のあることであったと思います。
 今後、検討会がどのような結論を出すかは別にして、教育委員会自体がこの貴重な意見を今後の教育行政に生かしていくべきであります。検討会の結果を待たずみずから改めるべき点は改めていくべきではないでしょうか。教育長にこれまでの教育行政のあり方検討会の結果を受けての考えを伺います。
 次に、犯罪の起きにくい社会づくりについてであります。
 県内の年間刑法犯認知件数は、平成十四年をピークに九年連続減少し、本年も十月末現在で二万七千二百八十九件と前年同期から二千七百七十六件減少しています。これは、現下の厳しい治安情勢のもと、県民の安全で平穏な生活を確保するため一線の各警察署において日夜街頭活動に尽力している多くの警察官の努力の結果であると感謝しております。ただ一方で最近の新聞紙面には、コンビニ強盗の連続発生や高齢者を狙った振り込め詐欺事件の多発等が報じられているほか、最近では東京や大阪などの複数の都府県でパソコンの遠隔操作により何の関係もない人が犯罪者に仕立て上げられる信じがたい事件が発生するなど、体感治安は必ずしも改善しているとは言えない状況であります。我が国の良好な治安を支えてきた社会の高い規範意識や強いきずなは残念ながら時代とともに希薄化しつつあり、治安が再び悪化をするのではないかという不安も少なからず感じているところであります。
 こうした中、県警においては、犯罪が起こる構造的な問題を解消し、社会の規範意識の向上やきずなの強化など真に犯罪の起きにくい社会をつくり上げていく、さらなる取り組みが必要であると思います。特に防犯ネットワークの整備促進は、地域住民の自主防犯に対する関心を高め規範意識を向上させることを期待できるものであります。中でも若い世代や現役世代の防犯ボランティアへの参画は、地域コミュニティーが再生強化されるとともに地域全体の活性化につながる相乗効果が期待できると考えられます。
 そこで、県警が平成二十四年度の警察運営において重点目標の一つに掲げている安全で安心できる犯罪の起きにくい社会づくりのうち、防犯ボランティア等の防犯ネットワークに関する取り組み状況と今後の方向性について本部長の所見を伺います。
 最後に一言申し上げます。衆議院解散、総選挙の影響を受け、今議会の日程が変更を余儀なくされ窮屈な日程になったと思っていたやさき、突如知事が内陸フロンティアの特区に関するプレゼンテーションを行うため十七日の本会議の午後の部を欠席したい旨の報告がありました。副知事が答弁すればいいという考えのようでしたが、とんでもない話で質問予定者に対し大変失礼な話であります。我々議員は県民から負託を受け議会という公式の場で県政を論じ施策を決定する責任があります。議会開催日程も議会運営委員会の決定を経なければ開催できないのであります。それを知事一人の考えで議会を欠席したいなどとんでもない話であります。前代未聞わがままきわまりない発言でありますが、考えを変える可能性はなくやむを得ず了承をしました。県庁内のうわさでは一度言い出したら聞かない鉄の意志をお持ちの知事ということもありますが、周りにかける迷惑をおもんぱかることもなく議会軽視も甚だしいと言わざるを得ません。
 議会と知事は二元代表制の関係を保ち県政の発展に努めなければなりません。今後二度とこのようなことがないよう猛省を促し、自民改革会議の代表としての質問を終わります。(拍手)
○議長(小楠和男君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 中谷議員にお答えいたします。
 初めに、総合計画の目標達成についてであります。
 私は知事に三年半前に就任いたしました。就任当初から掲げましたマニフェストは、与えられた任期四年の間に全部実行するという気概を持って県政に当たってきた次第でございます。過去三年間のマニフェストの達成状況について県外第三者からの評価をいただきました。御案内のようにマニフェスト大賞グランプリでございます。これは、みずからが現場に赴きまして現場で学び現場で解決するという現場主義を貫きまして、前倒しをモットーに常にスピード感を持って目標達成に取り組んできた結果だと思っております。総合計画の評価につきましては、これはその前年度の実績数値を用いて目標の達成状況をはかります。このほど東日本大震災の影響、歴史的な円高による厳しい雇用経済環境などがございまして、今年度の評価につきましては、観光交流客数や富士山静岡空港の利用者数、企業立地件数など、議員御指摘のとおり数値目標に落ち込みないし低迷が見られております。こうした割合が三〇%余りだということでございますが、逆の見方をいたしますと実はD評価、すなわち目標達成が困難というのは一つもありません。A評価とB評価です。そしてA評価、これはもう早期実現しているということなんですが、それにBは三つのランクがあります。一つは想定以上Bプラスです、想定どおり。そしてまたBマイナスというのは十分実現可能というものでございますが、Bプラスのほうが多うございます。それらが七割弱を占めているということでもございます。いずれにしろ三〇%余がC評価であるということは厳しいものというように受けとめております。こうした状況は、基本計画策定後の不測の社会経済情勢の変化に起因するものでございます。しかし結果は結果ということでこの結果のC評価を現実として受けとめ、評価結果を新たな出発点として施策の再構築を図っていくことが私どもに課せられた使命であるというふうに考えております。
 こうした使命実現の筆頭プロジェクトをなすものが内陸のフロンティアを拓く取り組みでございます。これは、静岡県第四次地震被害想定に基づく防災力の強化や津波対策施設の整備を初め、有事の防災拠点と平時の地域資源の活用を両立させるという、そうしたモデルを兼ね備えたものでございます。そのほか分散自立型エネルギー体系への転換というのも使命実現の筆頭プロジェクトにあります。さらに三万人の新たな雇用創造もその一つでございます。こうした喫緊の課題に戦略的に取り組んでまいりたいと決意しております。来年度は基本計画の最終年度となりますことから、目標達成に向けより一層の推進を要する目標につきましては、施策の改善や重点化を含め来年度予算に適切に反映することで目標達成に向けて取り組んでまいります。
 私の掲げた目標すなわちマニフェストというのは、知事候補として私みずからがつくり上げたものでございました。これは九カ月で九五%が軌道に乗っているということで、現在の総合計画というのは県民の代表全て、経済界、労働界、医療界、福祉界、NPO、市町の代表、その他全員でもってつくり上げたものでございますから、これは県民の県民による県民のためのマニフェストというふうに私は捉えております。この総合計画の目指す県民幸福度の最大化の実現に向け、県民の皆様が誇りと希望を持って暮らすことのできる富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりに向けて全力で邁進してまいります。
 次に、来年度当初予算編成についてのうち、まず新しい地震対策・津波対策アクションプログラムへの対応についてであります。
 地震対策アクションプログラム二〇〇六といいますのは、住宅や公共建築物の耐震化、津波を防ぐ防潮堤や水門等の整備、地域の防災活動を支える人材の育成、災害時に必要とされる要援護者避難支援プランの整備など、地震と津波から県民の命・財産を守るハード・ソフトの全体にわたる対策であり、平成二十七年度末を目標期限として鋭意取り組んできたものでございます。
 このうち、津波対策につきましては東日本大震災を踏まえまして総点検を行いました。目標の前倒しやレベルアップを図ったほか、早急に実現するべき対策を新たに加えましたふじのくに津波対策アクションプログラム短期対策編のほうは昨年九月に取りまとめました。スピード感を持って積極的に推進しているところでございます。現在私どもは、従来の激しい揺れへの対策に加えまして、南海トラフ巨大地震の最大クラスの津波にも対応できるよう、地震・津波対策全体にわたる新しいアクションプログラムの策定に取り組んでいるところでございます。具体的には最大クラスの津波から安全に避難できる場所の確保を初め、整備を進めてまいりました防潮堤などの津波対策施設につきましても、津波が乗り越えた場合でも壊れずにその施設が持つ機能を発揮し、津波の威力を減少できるように補強・改良を進めるなどの対策を講じてまいります。
 平成二十五年度の当初予算の編成に当たりましては、内陸のフロンティアを拓く取り組みをもって予防的な防災・減災対策の柱としつつ、南海トラフ巨大地震・津波等に対応した対策の確立をも重点課題として位置づけておるわけでございます。このため方針提示の前倒しを実施するという姿勢におきまして、この十二月には今後の地震・津波対策の方針をお示し申し上げ、来年二月を目途に第四次地震被害想定の中間報告を行います。またあわせて、新しいアクションプログラムにつきましても中間報告を行って、六月に策定予定のプログラムを一部前倒しをいたしまして平成二十五年度当初予算で必要な対策を進めてまいります。
 次に、雇用確保に向けた取り組みについてであります。
 中谷議員御指摘のとおり、雇用創造アクションプラン策定時に比べまして完全失業者数や有効求人倍率などの指標は改善してはおりますものの、世界的な景気低迷や長引く円高の影響などによりまして改善の動きは弱まっております。こうした状況を踏まえまして去る十一月九日に経済産業政策会議を開催いたしました。介護人材の育成確保、新卒者や障害者の就職支援の拡充を図ることとし、今議会に補正予算を諮っているところでございます。
 来年度につきましても、引き続き雇用の確保を重点テーマと位置づけることとしております。新エネルギー、環境、健康分野等の新しい成長産業の振興、これを推進するということとともに、地域企業の活性化や企業立地の促進なかんずく農林業ビジネスへの参入を促進してまいりたい。そして女性の起業支援も強化してまいりたい。こうした形で雇用の創出に全庁を挙げて取り組んでまいります。また労働ニーズに応じた人材の供給を進める中、業種別、世帯別に見られる雇用のミスマッチの解消にもきめ細かく取り組んでまいります。
 特に、介護・福祉分野に従事する方々が誇りを持って働けるように、介護職等のイメージアップに向けた取り組みをしておりますが、体験型介護講座や再就職セミナーなどによる介護人材の掘り起こしや介護職員のキャリアのアップを支援し、キャリアがアップすると報酬がふえるというそうした取り組みを行っておりまして、これが実現いたしますと離職防止施策にもなるであろうということで積極的に取り組んでいます。さらに障害のある方の自立と社会参加に向けまして職場開拓や実習支援などの就業支援に取り組むほか、キャリア教育の推進など未来を担う人材の教育、育成を図り、誰もが活躍できる就業環境の実現を目指してまいります。
 平成十九年、すなわち雇用が悪化する前の完全失業者は五万五千人でした。当時の有効求人倍率は一・二であります。現在完全失業者が去る十一月に発表されました数値によれば六万五千人です。したがってあと一万人、これに向けて邁進してまいりたいというふうに思っております。雇用創造アクションプランに掲げる三万人の雇用創造の実現に向け、産業界、労働界、教育界などあらゆる関係分野との連携協力を進めてまいります。県事業の前倒し執行を進めて資金の円滑な循環を図り、景気や為替の動向を踏まえた適時適切な対応に努めてまいります。
 次に、天竜浜名湖鉄道の利用促進についてであります。
 天竜浜名湖鉄道は、経営改善の取り組みにより経常損失を三期連続で圧縮するなど新経営計画はおおむね順調に進捗しております。ただ輸送人員の減少傾向が続いておりますことから依然として厳しい経営環境にあります。本年五月に、天竜浜名湖鉄道の経営分析と将来展望プロジェクトチームを設置いたしました。そこにおきまして企業経営や鉄道に関する有識者にも御参画を賜っておりますが、そこでは経営状況や設備投資の動向、大規模地震への対応も含めた安全対策、鉄道を廃止した場合の代替バスの運行コストや存続する場合の経営努力など、多面的に検討を進めていただいております。
 こうした中、天竜浜名湖鉄道の社会的な価値や便益のうち、定量的に把握が容易な生活交通面と観光面で少なくとも年間二十六億円を超える価値があるという調査結果が得られました。天竜浜名湖鉄道は、地域に多大な便益をもたらしておりまして、また内陸のフロンティアを拓く取り組みの推進に当たりましても重要な社会資本であります。
 県といたしましては、定期旅客などの沿線住民の利用とともに、鉄道に乗ること自体を目的とするツアーの誘致など観光面での取り組みを強め、利用客の増加や収益力の強化を図る必要があると考えております。地方鉄道の存続には、経営努力だけではなく沿線自治体や住民の皆様方の強い思いと利活用のための自主的な取り組みが不可欠です。プロジェクトチームの検討結果を取りまとめた上で、天竜浜名湖市町会議におきまして今後の鉄道のあり方や利活用について沿線市町と協議してまいりたいと考えております。
 次に、富士山世界遺産センター――仮称でございますが――その整備についてであります。
 世界遺産条約の趣旨に基づきまして、ことし一月日本政府がユネスコに提出した推薦書がございますが、その推薦書におきまして、富士山の自然や歴史、文化等の調査研究の成果を情報発信する拠点が必要とされており、その拠点として、静岡県及び山梨県は関係市町村の協力のもとに富士山世界遺産センターを整備することとしております。このため本県におきましては基本計画策定アドバイザー会議を設けました。このたび文化勲章を受章せられました高階秀爾先生、元文科相の遠山敦子先生、そして県立美術館の館長であります芳賀先生、スウェーデン王立アカデミーの会員の安田先生がメンバーでございます。このメンバーの方々によりまして、センターの整備におきましては四つの機能を持たねばならないと。「守る」機能、「伝える」機能、「交わる」機能、「究める」機能です。「守る」というのは保全と管理です。そして「伝える」というのは展示、教育のことです。そして「交わる」というのは交流拠点ということであります。そして「究める」、これは調査研究ということでございますが、富士山が持つ価値を長く守り楽しく伝えるとともに富士山に訪れる多くの人々が広く交わることができる拠点として、やはりセンターは富士山を身近に感じながら活動できる富士山周辺に設置するのが望ましいであろうと考えています。あわせて活動の基盤となる調査研究すなわち「究める」機能につきましては、県立の大学、美術館、図書館、あるいは静岡市谷田地区等の文化、学術機関が参加するムセイオン静岡というのがございます。その連携も視野に入れた拠点づくりも検討をしているところでございます。来年六月の登録決定時には、富士山周辺で各市町が設置している学習施設等におきまして、それぞれの独自性を生かしながら世界文化遺産としての富士山の価値を情報発信できるよう、展示内容の充実等について支援を積極的に行ってまいります。これら関係市町の施設とのネットワークを構築するということを基本構想に掲げておりまして、基本構想に掲げる四つの機能を全方位的にできるようにしたいと思っております。日本のシンボルであり世界に誇る富士山にふさわしい世界遺産センターは、ネットワーク型にするということを念頭に整備を着実に進めてまいります。
 次に、全国育樹祭の成果とそれを生かした森林・林業再生の方針についてであります。
 皇太子殿下の御臨席を仰いで、「木を植えて 育てて活かす 緑の力」をテーマとして第三十六回全国育樹祭を盛大に開催することができました。ここに県議会の皆様を初めといたしまして開催に御尽力賜りました関係の皆様や県内外の多くの参加者の皆様に、主催者の一人として厚く御礼を申し上げます。
 この育樹祭におきましては、開催期間中の延べ参加者数は過去最大の三万人を記録いたしました。森林資源の活用とそのための人づくりのメッセージを広く全国に発信できたことが大きな成果であったと確信しております。また雨の中ではございましたけれども、林業機械、こうしたもののプレゼンテーションが行われましたけれども、フォワーダーにしろあるいはハーベスターにしろ従来は輸入品でございましたが、全て国産品であったということに皇太子殿下もまた関係者も大変感銘を受けたというようなことが伝わっております。本県におきましては、ことしをふじのくに森林・林業再生元年と位置づけまして、育樹祭を契機とした森林資源の活用の機運が高まっているということで、この機運を受けまして森林の集約化や路網の整備などを着実に進めてまいり、木材生産量年間四十五万立方メートルに向けた山側の供給体制の整備を推進しているところでございます。
 一方県内におきましては、丸太を大量に加工する施設の新設や増設を行い住宅メーカー等に供給することを計画している企業が出てきております。これらの動きを確実に伸ばしていくためには、大口需要に応えることのできる安定的な丸太の流通システムの整備がますます重要になってきております。そのため切り出された丸太の集積場所の整備を進めるとともに、需要と供給の調整役を担う人材や需要者のニーズに応じた丸太の仕分けのできる人材の育成をも支援いたしまして、丸太の流通改革を図ってまいりたいと考えています。さらに県といたしましても、草薙総合運動場の体育館を初めシンボル性の高い公共建築物におきましては県産材を積極的に利用するとともに、公共事業で使用する型枠を県産材合板に置きかえるなど、需要と供給を一体的に創造する取り組みを重点的に進めます。このため全国育樹祭の成果である木を植えて育てて生かす活動の輪、これを全国に広げるとともに、森林・林業関係者と一丸となって森林資源の利活用を一層促進し、本県の森林・林業の再生を実現し森の都を実現してまいりたいと考えております。
 次に、地震・津波対策に対する新しい特別措置法の制定についてであります。
 昭和五十一年八月に東海地震説が発表されました。県では、その直後の十月に地震対策の専門部署を設置いたしまして東海地震対策を進め、昭和五十五年に議員立法により制定されました地震財特法等による補助率のかさ上げや地方債の特例措置を活用して、平成二十三年度までに二兆円を超える地震対策事業を進めてきたところでございます。現在策定中の第四次地震被害想定に合わせまして、巨大地震の被害を軽減させる具体的な対策と達成目標をまとめた地震・津波対策の新しいアクションプログラムの策定作業を進めております。このうち実現可能な対策につきましては、アクションプログラムの策定を待つことなく、平成二十五年度当初予算におきましてハード・ソフトの両面から本格的対策を展開いたします。
 今後、必要な地震・津波対策を速やかに進めていくには国の支援が必要不可欠です。県では本年六月に法律による財政支援制度の創設を政府と関係省庁に提案いたしました。また七月にも全国知事会等を通じて特別措置法の制定を働きかけたところでございます。国では特別措置法案を次回の通常国会に提出する予定と承知しております。県としましては、巨大地震・津波対策事業への財政支援のほか、地震・津波の予知観測体制の拡充・強化等を今後とも引き続き国に働きかけてまいりますが、なかんずく津波に対しては内陸高台への移転、並びに移転に伴う規制緩和等、制度的な変更が不可欠であります。議員御指摘のとおり、もし南海地震の巨大地震が襲った場合には、東日本大震災で失われた行方不明になった方々合計二万人の十六倍にも達する三十数万余の方たちが犠牲になり、本県だけでも十一万と言われております。こうしたものに対して予防防災をするためには、東日本大震災から得られた教訓として内陸フロンティアを拓くということは不可欠なのであります。今これを特区として政府にお願いをしておりまして、第一次、第二次ヒアリング調査は通りました。最大の関門が面接試験です。それが十二月十七日にございます。これに私はみずからの全てをかけるぐらいの覚悟で臨んでまいらねば、本県のあるいは日本の生命と財産を守ることができないという、そういう危機感を持っております。
 もう一つ、オフサイトセンターにつきまして決して突然ではありません。既に昨年の原子力事故再発防止顧問会議におきまして、浜岡の原発の近くにあるオフサイトセンターはだめだと固有名詞をもってうたわれているのです。そして三月に私は福島に参りまして、そこから二十キロメートル南のところにあるいわゆるJビレッジの事故対策の現場を見てきました。二十キロあればできるのです。さらに福島の知事様から、こういうオフサイトセンターが結果的には福島の場合には県庁に置かれました。その県庁に置かれた結果、防災にかかわる、救援にかかわる方々と一緒にあったほうがいいという、そういう御意見を賜りました。こうしたことは折に触れて御報告を申し上げてきた次第でございます。そうしたことからさらにSPEEDIによるいわゆる放射性物質の拡散は、洋上に行って内陸側に来ないということがございます。そうしたことからさらに関係省庁、関係者ほとんど全ての御意見を総合して、オフサイトセンターはあそこがベストだというふうになっておりまして、決して独断で決めたというものではありません。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(小楠和男君) 土屋経営管理部長。
       (経営管理部長 土屋優行君登壇)
○経営管理部長(土屋優行君) 来年度当初予算編成についてのうち、財源不足額の解消と特別枠予算の確保についてお答えいたします。
 来年度当初予算につきましては、世界景気の減速等が国内景気を下押しするリスクとなっており、県税収入の見通しが不透明な状態であります。また国の地方財政対策の動向によっては財源不足の一層の拡大が懸念されるなど厳しい財政環境下での編成となると認識しております。このため行財政改革大綱に基づく歳出のスリム化と歳入の確保に徹底して取り組み、財源不足の解消を図りながら、喫緊な課題などに対応する特別枠である戦略展開テーマに基づく事業やふじのくにづくり推進事業の財源の確保に努めてまいります。具体的には、全事業を対象としてスクラップ・アンド・ビルドを積極的に進め事業の重点化・効率化を推進するほか、補助金や内部管理経費の見直しなどを行ってまいります。あわせて滞納整理強化月間の設定などによる県税や税以外の未収金の徴収対策の一層の強化、ファシリティマネジメントの考え方に基づく新たな県有財産の売却計画及び利活用計画の作成などにも取り組んでまいります。
 これらの取り組みを通じて、県財政の健全化の枠組みの堅持と富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの実現の両立を図ってまいります。以上であります。
○議長(小楠和男君) 伊熊くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 伊熊元則君登壇)
○くらし・環境部長(伊熊元則君) キャンプ富士を使用したオスプレイの飛行訓練につきましてお答えいたします。
 県では、オスプレイがキャンプ富士に飛来する場合には、国の責任において事前に地元自治体や住民の皆様に丁寧に説明し理解を得るよう機会あるごとに国に要請してまいりました。こうした中、十一月二日の政府主催全国都道府県知事会議において、森本防衛大臣からキャンプ富士を含む本土の施設を使用した飛行訓練が行われるとの説明があったことから、十一月二十日に御殿場市、裾野市、小山町の各首長及び権利者団体の代表者が防衛省を訪問し、オスプレイの飛行運用の開始に当たっては必ず事前に地元と協議することなどを申し入れました。これを受け防衛省は、なるべく早い時期に東富士演習場使用協定に基づく運用委員会において説明を行うことを地元に提案し、県にも立会人として出席してほしい旨の要請がありました。
 県といたしましては、オスプレイの飛行訓練に対する県民の不安を払拭するためには、まずは地元自治体や住民の皆様の理解を得ることが重要であると考えております。このため十二月六日に開催されることとなった運用委員会の場において、日米間で合意された安全確保策に基づく具体的な訓練の内容や頻度、騒音の影響等について国から丁寧な説明が行われ、地元の意向を尊重した結論が得られるよう適切に対応してまいります。以上であります。
○議長(小楠和男君) 池谷健康福祉部長。
       (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
○健康福祉部長(池谷享士君) 新しい福祉需要への対応についてお答えいたします。
 内陸のフロンティアを拓く取り組みの推進により発生が見込まれる福祉需要に対応していくためには、従来の施設整備の概念にとらわれず、議員の御指摘にもある共生型福祉施設の整備や既存の施設を有効に活用して、さまざまなニーズに対応する手法を柔軟に取り入れることが重要であると考えております。県では、一昨年、平成二十二年度から年齢や障害の有無にかかわらず垣根のないサービスや相談を実施するふじのくに型福祉サービスを推進しています。地域にあるデイサービスセンターなどの高齢者施設で障害のある方や子供の受け入れを図るとともに、県内に百三十五カ所ある地域包括支援センターにおいて、幅広い相談をワンストップで受けられる体制の構築を進めているところであります。しかしながら現状では、高齢者のグループホームで障害のある方の利用ができないなど施設やサービス種別ごとの規制が存在していることから、本年十月国の構造改革特別区域制度を活用し、高齢者施設における障害のある方への受け入れや多様な子育て支援サービスの提供に関係した八件の規制緩和の提案を行ったところでございます。
 県といたしましては、今後の福祉需要に柔軟に対応することができるふじのくに型福祉サービスを意欲的な事業者や市町の協力を得て推進することにより、誰もが住みなれた地域で安心して暮らしていける社会を目指してまいります。以上であります。
○議長(小楠和男君) 吉林経済産業部長。
       (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
○経済産業部長(吉林章仁君) 農業の担い手確保についてお答えいたします。
 県では、他産業から高い意欲を持って農業を志す若者に対し、先進的な農業者のもとで一年間農業技術や経営ノウハウを習得する実践的な研修を実施いたしますとともに、受け入れ農家や市町、JAなどと組織をつくり、農地のあっせんや営農計画の作成などのきめ細かなサポートを行いますほか、施設や機械の整備に対し助成や無利子での資金の貸し付けを行っております。これらの取り組みにより、伊豆の国市、掛川市ではイチゴやミニトマトの産地を支える担い手が、また浜松市や森町などではミカンや露地野菜などに取り組む新規就農者が定着しております。特に伊豆の国市においては、ミニトマト生産者の八六%を新規就農者が占め販売額は八億円近くに達し、さらには収穫作業などにパートとして子育て中の主婦を雇用するなど、地域雇用の創出にも大きく貢献をしております。
 こうした取り組みを県内に広めますとともに、今後は経営を始めた新規就農者に対しましてアグリビジネススクールや経営戦略講座によります新商品開発、販売戦略の策定を支援してまいります。あわせて市町が策定を進めている人・農地プランを活用し、農地集積を促進することによりまして経営の着実なステップアップを図ってまいります。
 なお、青年就農給付金制度につきましては、約百八十人が希望しており希望者全員に給付ができますよう現在作業を進めているところであります。
 県といたしましては、こうした取り組みを進め、意欲ある若者を新たな農業の担い手として幅広く確保しかつ定着させることによりまして、本県農業・農村の一層の発展を図ってまいります。
 次に、中小企業金融円滑化法の期限到来に対する対応についてであります。
 厳しい経済環境の中、金融円滑化法を活用し返済猶予など貸し付け条件の変更により経営努力を続けている多くの中小企業が金融機関の支援を受けながら事業を継続していくことは、本県産業のものづくりを支える基盤の維持や雇用の確保のため大変重要であると考えております。
 このため、県といたしましては、国や金融機関等の取り組みに加え、円滑化制度を活用している中小企業に対し法の期限到来に際して対応すべき事柄を解説したパンフレットを作成し周知を図りますとともに、金融機関や商工団体等への相談など自主的な対応を促してまいります。また十二月補正予算におきましては、販路開拓による経営改善、事業の絞り込みなど専門的な相談を必要とする事業者を対象に税理士や弁護士等による個別相談会を県内二十カ所で開催いたしますとともに、経営改善計画策定のノウハウを持たない中小企業のため、専門家の派遣回数を拡充するなどきめ細かな支援策を講じてまいりたいと考えております。
 今後も引き続き、金融機関や商工団体などと連携をしながら、新事業に積極的に挑戦する経営革新計画の策定など中小企業の経営改善への取り組みを支援することで、金融円滑化法の期限到来の影響が極力生じないよう努めてまいります。以上であります。
○議長(小楠和男君) 小川危機管理監。
       (危機管理監 小川英雄君登壇)
○危機管理監(小川英雄君) 災害時におけるアメリカ海兵隊との連携についてお答えをいたします。
 東日本大震災において、米軍はトモダチ作戦により被災現場で活動する自衛隊を支援し大きな成果を上げましたが、日本側の受け入れ体制の不備などによりその能力を初期段階から十分に生かすことができませんでした。こうした課題を踏まえ、南海トラフの巨大地震のような広域災害において自衛隊などに対する米軍の速やかな支援が効果的に行われますよう、去る五月十八日本県が主体となり内閣府や外務省などの関係省庁や自衛隊、アメリカ大使館、在日米四軍の関係者が下田で一堂に会し、災害時の米軍との連携について意見交換を行いました。その結果自治体と米軍との顔の見える関係の構築や訓練参加の重要性、国による米軍の受け入れに関する取り決めの必要性などについて、共通認識を得たところであります。
 これを受け、広く在日米四軍に防災訓練への参加を呼びかけましたところ、ことしの総合防災訓練には、一昨年度から参加をしております陸軍に加え、八月三十日の本部運営訓練、九月二日の会場型訓練のいずれにも初めて海兵隊が参加するなど、連携の輪を広げることができました。
 県といたしましては、今後とも訓練などを通し米軍との顔の見える関係づくりを着実に積み重ね、米陸軍や海兵隊など在日米四軍との連携を強化することにより、大規模災害時における本県の初動対応能力の向上に努めてまいります。
 次に、原子力防災対策の推進についてのうち、まずオフサイトセンターの移転整備についてであります。
 福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、国はオフサイトセンターの設置場所を見直し、これまで原子力発電所から二十キロメートル未満としていたものを平成二十七年九月までに五キロ以上三十キロメートル未満とする内容の省令を施行したところでございます。またオフサイトセンターは、原子力災害が発生した場合に事態の進展に迅速に対応する必要がありますことから、関係機関が参集するための交通アクセスにすぐれていること、大型ヘリコプターが離着陸できるヘリポートが近くに確保されていること、八百平方メートル以上の作業スペースや参集要員の仮眠・休息スペースなどが確保できることなども条件として省令に定められております。これらの条件に適合する候補地を検討しました結果、浜岡原子力発電所から約二十キロメートルの距離にあり、東名高速道路、新東名高速道路のインターチェンジや御前崎港に近接し、陸・海・空の交通アクセスにすぐれていること、また今後基幹的広域防災拠点として整備されることにより、自衛隊を初めとする応援部隊との連携が容易となること、さらに国が過日実施しました拡散シミュレーションで放射性物質が広がる可能性が低いことなどから、富士山静岡空港が移転先として最適地であると考えたものでございます。
 次に、原子力災害対策重点区域の設定についてであります。
 原子力規制委員会が十月末に決定しました原子力災害対策指針では、緊急時に放射能の影響を考慮して屋内退避や避難などの防護措置を講じることとなる区域――いわゆるUPZでございますが――これを原子力施設からおおむね三十キロメートルを目安とすることが示されました。またこれに先立ち同委員会が十月二十四日に公開しました拡散シミュレーションによりますと、避難が必要となる被曝線量に達する区域は、最大で浜岡原子力発電所の東方の海上三十・九キロメートルとの予測結果でありました。このため県といたしましては、浜岡原子力発電所から三十一キロメートルにかかる自治会などまでをUPZの区域とする案を、去る十一月八日に開催した市町原子力防災対策研究会の場でお示ししました。関係市町からは、避難計画の対象は三十一キロメートルで線引きするのではなく市町全域を対象とすべきであるといった意見等が寄せられておりますので、それぞれの課題について市町と協議を進めながら整備し、早急に結論を得たいと考えております。
 今後の予定といたしましては、UPZの範囲を確定した上で、後日国が原子力災害対策指針に追加する原子力施設の事故の進展と放射性物質の拡散状況に応じた避難指示の出し方なども反映をし、県と市町の新たな地域防災計画を今年度中に策定することとしております。
 なお、市町の地域防災計画の策定につきましては、国から地域防災計画策定マニュアルが公表され次第速やかに必要な情報を詳細に提供するほか、避難計画については、避難シミュレーションの実施やUPZ圏外や隣接県への避難者の受け入れ調整を県が行い、策定した県の広域避難計画を情報提供するなど市町の計画策定を支援してまいります。以上であります。
○議長(小楠和男君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 教育行政のあり方検討会への対応についてお答えいたします。
 これまで二回開催されました教育行政のあり方検討会では、多くの御意見や御提言をいただきました。具体的には非常勤である教育委員が重責を担いつつ能動的に活動するための体制づくり、知事と意見交換する場の設定、市町教育委員会との役割分担や連携、地域と連携した教育活動の仕組みづくりなどであります。
 県教育委員会といたしましては、これまでにも月二回の定例会や臨時会、また移動教育委員会や学校訪問など精力的に活動してきたところでありますが、あり方検討会の最終的な意見書を待つことなくいただいた御意見等を踏まえ速やかに対応することといたしました。例えば学校現場等の諸課題に対し適時適切な指導助言を行うために、いじめなど重大な生徒指導事案の情報を速やかに定例会に報告する体制を整備したほか、より多くの方に傍聴していただくために広い会場で定例会を行うよう努めているところであります。また広報活動や教育委員会事務局の体制などに関する課題に対しましては既に検討を進めているところであり、今後も検討会の御意見、御提言を受け可能なものから実施するよう努め、本県教育の一層の充実発展に尽力してまいります。以上であります。
○議長(小楠和男君) 繁田警察本部長。
       (警察本部長 繁田 誠君登壇)
○警察本部長(繁田 誠君) 中谷議員の御質問にお答えいたします。
 これまでも、犯罪の起きにくい社会づくりのため、警察とともに地域安全推進員などが自主防犯活動を行ってまいりましたが、性犯罪や振り込め詐欺など被害に遭いやすい女性や子供、高齢者に対しては、既存の防犯ネットワークでは対策が不十分でありました。またかつて犯罪抑止に大きな役割を果たしてきた地域社会の連帯感やきずな、規範意識も御指摘のとおり希薄になってまいりました。このため一昨年九月から防犯ネットワークの整備を強力に推進し、本年十月末現在では一千百四十九団体まで増加いたしました。
 また、それぞれの防犯ネットワークの取り組み事例を紹介いたしますと、富士市内の新聞配達業者が顧客宛てのチラシに振り込め詐欺の手口を掲載して配達した結果、不審な電話を看破し被害を回避できたという事例、また住民の防犯灯設置要望を受け、森町の千七百人を有する自動車部品製造会社の従業員が防犯パトロールをし、その歩いた距離に応じて防犯灯の基金を積み立てるという活動を実施しております。また浜松市北区所在の大学では、学生が新東名サービスエリア利用者を車上狙いから守るため駐車場パトロールや鍵かけを呼びかける活動を行い、また地元信用金庫から製作費や施設提供の支援を受けて振り込め詐欺被害防止DVDを制作したもの、また県内のタイヤ販売業者では青色防犯パトロール車――これは静岡県は全国で二番目に多い三千台を有しておりますが――この青色パトロール車に対して、タイヤ点検や窒素ガス補充サービスなどを行って防犯活動を支援するなど多様な形態が見られております。
 今後の方向性としましては、防犯ボランティアなどのネットワークがより大きな牽引役となり、地域の安全は自分たちで守るという住民の意識を高め、地域におけるコミュニティーの再生を図って地域のきずなを強めることができるように、地域社会の各層末端までネットワークを整備します。あわせて警察が持つ犯罪情報、安全情報の提供や活動への助言などの支援も強化し、もって犯罪が起きにくい社会の実現を推進してまいりたいと思います。以上であります。
○議長(小楠和男君) これで中谷多加二君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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