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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

落合 愼悟 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/06/2011

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
 (1) 総合計画の推進  
 (2) 事業仕分けの結果の反映  
 (3) 来年度予算編成  
2 地域外交のあり方について  
 (1) 浙江省友好提携三十周年を契機とした今後の取り組み  
 (2) 韓国との交流  
3 富士山静岡空港の利活用の促進について  
4 地域医療の再生について  
5 福祉医療費助成の拡充について  
6 静岡県立大学短期大学部看護学科の四年制への移行について  
7 TPPに対する知事の所見について  
8 経済情勢の変化に対応した中小企業支援策について  
9 農業施策について  
 (1) 本県の茶業振興  
 (2) ミカンの生産振興  
 (3) 干しシイタケの信頼回復に向けた取り組み  
10 原子力発電所事故に備えた防災対策重点地域の拡大について  
11 災害への対応について  
 (1) 災害に強い県土づくり  
 (2) 民間津波避難施設に対する県の支援  
12 学校教育について  
 (1) 教職員の不祥事根絶  
 (2) 高校生の交通事故の現状と対策  
13 警察行政について  
 (1) 県警察の運営に対する所信  
 (2) 今後の繁華街対策の方針



    ○議長(植田 徹君) 開会に先立ち、御報告いたします。
     労働委員会会長から、本日付で、田澤労働委員会事務局長が本日の午前中の本会議を欠席し、木村労働委員会事務局調整審査課長が代理出席する旨の届け出がありましたので、御承知おき願います。

    ○議長(植田 徹君) ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、知事提出議案第百二十六号から第百二十八号まで及び第百三十四号から第百五十七号までを一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、四十七番 落合愼悟君。
           (四十七番 落合愼悟君登壇 拍手)
    ○四十七番(落合愼悟君) おはようございます。
     私は自民改革会議を代表し、知事及び関係部局長並びに教育長、警察本部長に通告に従い県政の諸課題について伺います。
     初めに、知事の政治姿勢についてのうち、総合計画の推進について伺います。
     知事は本年二月に静岡県総合計画を策定し、今年度をふじのくにづくり元年として県民幸福度最大化に向けて全力を傾注すると決意を述べられました。しかし総合計画策定後に発生した東日本大震災及び福島第一原子力発電所の事故による放射能風評被害やエネルギー問題、さらに急激な円高の進行による企業収益の悪化など、社会経済情勢の変化はさまざまな分野で県民生活に多大な影響を与えております。
     現在、総合計画に対する評価結果を取りまとめているところですが、残念ながら評価を行うべき総合計画には策定後の社会経済の情勢変化については組み込まれていません。知事は総合計画の評価結果についてどう受けとめ、県政運営の基本方針にどのように反映させていくのか、所見を伺います。
     次に、事業仕分け結果の反映について伺います。
     去る十月に、県は三度目の事業仕分けを実施いたしました。知事はこれまで仕分け結果について非常に重要な意見として重く受けとめ、特に「不要」とされたものは原則廃止の方向で部局に検討を求め、その検討状況まで県民に報告するほど熱の入ったものでした。その結果として、仕分けを実施した約二百事業のうち二十七本の事業が廃止、百五十九本の事業が改善となり、四十八億円の財源捻出につながったものと思います。
     今回の仕分けでは、ほとんどの事業が見直しを迫られ、知事の肝いりの新規事業も十本すべてが「抜本見直し」または「一部見直し」という結果になりました。仕分け事業に対する県民評価者の意見内容は、例えば「富士山の日」総合推進事業費は、「目標、成果指標があいまいである」、また「理念としては理解できるが、この事業のために介護などほかの重要な予算を削っていないか」といった意見で「一部見直し」の判定。またふじのくに「食の都」づくり推進事業費では、「経費がかかり過ぎである」とか、「税を使っている以上、県民に見える効果がないと納得いかない」といった意見もあり、「抜本見直し」の判定でした。知事は、こうした県民からの厳しい意見に対して、これまではできる限り尊重するという姿勢であり、予算などに反映してきました。今回、みずからの肝いり事業についても、いただいた意見を尊重し積極的に見直しを行っていく考えなのか伺います。
     次に、来年度予算編成について伺います。
     県は、来年度予算編成に当たって財源不足額が四百十億円に上ると発表し、この財源不足解消に基金の活用、歳入の確保、歳出のスリム化の三つの手法で臨むと編成要領の中で示されました。特に歳出のスリム化に当たっては各部局に対し五%の効率化を求め、実質的な削減目標を設定しています。しかし知事が目指す富国有徳の理想郷づくりの施策については、削減対象とはせず、昨年度設置したふじのくにづくり推進基金などを活用し、実質的に青天井で予算計上が可能な特別枠を設定するとしています。これで本当に県民の思いが届く編成内容と言えますか。先ほどの事業仕分けの質問にもあったように、川勝知事が就任後、肝いりで始まった事業の結果は大変厳しいものでありました。このことは、知事が進めようとしているふじのくにづくりについて、県民の中に異論があることを示しているのではないでしょうか。
     家・庭一体の住まいづくりや出生率の向上など、総合計画の基本構想に掲げる六つの重点取り組み項目は、川勝知事の常日ごろの発言と同様、聞こえのよい言葉で包まれているだけであり、施策の実現性については疑問を持たざるを得ません。知事も三度目の予算編成です。自分の理想と県民が現実に求めているもののギャップを感じられているのではないですか。感じておられるならば、もっと県民生活に密着し、かつ地に足の着いた施策の充実強化を図るべきと思うのです。知事は今回の予算編成において、県民生活の何を最も重点とし予算を編成していくつもりなのか、所見を伺います。
     次に、地域外交のあり方についての中で、最初に浙江省友好提携三十周年を契機とした今後の取り組みについて伺います。
     県では、本年度地域外交局を設置し、七月にはアメリカ東海岸でお茶の風評被害の払拭を図るためのトップセミナーを行うとともに、黒船祭で交流のある下田市とニューポート市との友好関係を促進し、七月末にはモンゴル国ドルノゴビ県と友好協定締結などさまざまな交流を展開しています。来年は浙江省との友好提携三十周年です。浙江省とは、これまで経済、教育、文化、医療、防災などさまざまな分野で幅広く交流が行われてきましたが、それらの実績を踏まえ、友好提携三十周年の節目となる来年、どのような交流事業を推進していくのか伺います。またその交流の成果としてどのようなものを目指していくのか、あわせて伺います。
     次に、韓国との交流について伺います。
     去る十月二十七日に安煕正知事を団長とする忠清南道代表団が静岡に来られ、川勝知事を表敬するとともに、今後の友好交流を発展させるための友好協定に係る覚書を両県道で締結いたしました。本県と忠清南道との交流は浜名湖花博へ忠清南道が出展したことを契機に始まり、昨年九月には韓国で実施された世界大百済典に川勝知事が出席するなど相互の親交を深めてまいりました。
     韓国の中央部に位置する忠清南道は約二百十万人の人口を有し、いにしえの百済の都として文化・観光交流が大いに期待されるほか、自動車産業や石油化学工業が盛んで歴史的、文化的な状況や産業構造などが本県と類似していると聞いています。今後忠清南道との交流をどのように展開していくのか伺います。
     次に、富士山静岡空港の利活用の促進について伺います。
     富士山静岡空港の管理運営に係る二十二年度の企業会計収支状況においては、決算特別委員会でも取り上げられたところでありますが、収支の改善のためには利用の拡大を図ることが喫緊の課題であると思います。私たち議員も真摯に反省し、今こそ富士山静岡空港の利用拡大、収支改善に真剣に取り組むべきであると感じております。
     富士山静岡空港の最近の搭乗率を見ますと、東日本大震災の影響による利用低迷からは回復の傾向にあるものの、この冬ダイヤでは鹿児島便や福岡便などが減便となり、国際線も大震災以来非常に厳しい状況となっています。空港利用キャンペーン時の統計結果から利用者の状況を県内居住地別に見ると、富士川以東の利用は全体の一二%、浜松市及び湖西市の合計にあっては約一〇%と、かなり偏りが見られます。
     また、去る十一月二日には運航支援金訴訟の和解を受け、知事と日本航空の稲盛会長が対談されて今後の協力について前向きな話し合いが行われたと聞いております。また先日チャイナエアラインが台湾との路線の開設を検討しているとの情報も発表されました。日本航空を含めたあらゆる航空会社と協力を深めながら、新たな路線の開拓や既存路線の増便など、LCCを含めたあらゆる路線拡大の可能性を追求していくことも重要であると考えます。
     さらに、貨物輸送も重要な視点であり、来年新東名高速道路が開通し、本県の製造業などの潜在的な可能性は非常に高く航空物流の展開が大きく期待されます。世界的なハブ空港である仁川空港や貨物基地のある那覇空港へ毎日就航していることから、一層の戦略的取り組みが求められます。
     そこで、富士山静岡空港の旅客及び貨物の今後の利活用促進の展開について、県の考え方を伺います。
     次に、地域医療の再生についてであります。
     本年度県が実施した県内の公的病院等四十五病院の医師数などの調査において、平成二十三年四月一日現在、これらの病院に勤務する常勤医師の総数は二千七百五十三人であり、前年同期と比較して六十五人増加しています。一方、各病院診療科単位の実質充足状況では改善の傾向にあるものの、必要な医師数に対し実人員は四百五十五人不足しております。依然としてこの厳しい医師不足の状況が続き、地域の医療の崩壊が危惧されています。
     私の地元、志太榛原医療圏では人口四十七万人に対し公立病院が四施設ありますが、平成二十年度以降、内科医系を中心に医師の退職などで診療科の縮小が相次ぎ、救急など急性期の医療提供が困難な状況になりつつありました。このため平成二十一年度に県が策定した志太榛原医療圏の地域医療再生計画に基づき、藤枝市にある夜間救急医療センターの診療体制を再整備し、救急医療提供体制の強化並びに二次医療機関である病院の負担軽減を図る施策が進められているところであります。
     そこで私は、県民の安心・安全を守るため、全県的に実施している医師確保対策はもちろんですが、この対策と並行して、現在あるヒト、ハコ、モノ等の医療資源を最大限に活用して医療提供体制を充実していくことが重要であると考えます。今後県は、地域医療の再生に向け、どのように医療提供体制の充実を図っていくか伺います。
     次に、福祉医療費助成の拡充について伺います。
     県では、昭和四十八年に乳幼児医療費助成及び重度障害児・障害者医療費助成を発足させ、以降昭和五十五年に母子家庭等医療費助成を開始し、小さな子供を抱える家庭を初め、重度障害児や母子家庭等を対象とした医療費を助成し、この方々の経済的負担の軽減を図ってまいりました。
     ことしの二月の本会議で、川勝知事は「重度障害児の医療費助成について、制度の拡充に前向きに検討する」との答弁。さらに九月定例会においても、こども医療費助成について、知事は「通院医療費の拡充を平成二十四年度中には必ず実現させる」と力強く答弁しております。平成二十四年度中に実現のためには、そろそろ具体的な方針を定めなければならない時期かと思いますが、これらの福祉医療費助成の拡充、実現に向けて、知事はどのように考えているのか伺います。
     次に、静岡県立大学短期大学部看護学科の四年制への移行について伺います。
     生活水準の向上や医療技術の急速な進歩に伴い、我が国の疾病構造は結核などの感染症から、がん、脳卒中、心疾患、糖尿病などの生活習慣病へとシフトしており、また高齢化も急速に進んでおります。こうした医療を取り巻く状況の変化に対応するため、看護職員には高度な専門医療の一翼を担う看護から、慢性疾患・在宅療養患者等への訪問看護に至るまで、幅広い分野で役割を果たしていくことが求められています。また平成九年に三十二校あった全国の看護系公立短期大学は来年度二校にまで減少する見込みであり、このことは看護職員を目指す高校生の四年制大学志向の一つのあらわれではないかと考えます。
     県内でも、昨年三島に新設された順天堂大学保健看護学部、学校法人常葉学園が静岡市に計画している看護医療学部は、いずれも四年制となっております。このような中で、県は県立大学の看護教育を充実させるため、短期大学部看護学科の四年制への移行についてどのように取り組んでいくのか伺います。
     次に、TPPに対する知事の所見についてであります。
     政府は、TPP交渉参加に向けて関係国と協議に入る旨を表明いたしました。TPPが及ぼす国内産業への影響については、県内の各産業界でも賛否両論、さまざまな議論がなされています。川勝知事はTPP交渉への参加について賛成の立場であると表明をしております。今後TPP締結によって貿易関税撤廃やサービス業などにかかわる規制の廃止など国際的な自由化が図られることで、県内各産業や県民生活に与える影響ははかり知れないものが起きてくると思います。本県の農業やサービス業、中小企業などへの影響についてどのように認識され、また本県産業のさらなる発展に向け、どのように取り組んでいこうとしているのか、知事の所見を伺います。
     次に、経済情勢の変化に対応した中小企業支援策であります。
     企業が生産コスト削減を図るため、中国や東南アジアなど市場としても魅力のある海外で工場を開設する動きは、円高の急速な進行や東日本大震災による部品供給網の寸断等に対する危機意識の高まりから、今後ますます加速していく感があります。企業の海外進出の形態も多様化しており、海外に工場を開設して製品を製造する以外に、国内の液晶テレビや携帯電話などのデジタル家電機器等の大手電気メーカーが、EMSやODMと呼ばれる中国で数十万人から百万人規模の受託製造専門企業へ生産を委託する形態も増加していると経済誌に掲載されています。また商社が海外で工業団地を開発し、中小の日本企業を受け入れる方式も見受けられます。このように大手製造企業がさまざまな形態で生産拠点を海外に移転する中で、海外へ進出する体力のない県内中小企業の中には、仕事の受注量が減少し、倒産へと追い込まれる企業もふえ、このような状態が続けば県内産業の衰退に結びつくのではないかと懸念されます。
     そこで、県内の中小企業にとって厳しい経済環境の中、本県経済を持続的に発展させていくために、県としてどのように取り組んでいくのか所見を伺います。
     次に、農業施策についてのうち、本県の茶業振興について伺います。
     近年の茶業を取り巻く環境は、消費者の嗜好の多様化や流通・消費構造の変化、昨年の凍霜害、さらにはことしの放射能汚染による実被害、風評被害など、これまでにない困難な事態に遭遇しています。私は湯飲み茶わんに茶こしネットを直接入れて、各地で栽培された茶葉をたっぷり入れて、味や香りを味わいながら飲みますが、「やぶきた」茶でも栽培する土地や手法によって味が大きく異なることを感じています。お茶に香り、味、形状に個性があってよいと思っています。しかし現在売られているお茶は、茶商たちが一般受けするようにブレンドして仕上げ茶にしています。そのためお茶の持つ特徴がなくなっています。なぜ茶産地でない金沢で、加賀ほうじ棒茶が五十グラム缶で二千四百円で売れているのか。お茶をおいしく感じさせ、飲みたくなる仕掛けも必要かと思います。
     岡部の朝比奈玉露は日本三大産地の一つです。こも掛けで栽培し手もみで仕上げた玉露やかぶせ茶を飲んだことがありますか。本来のお茶の色と香り、うまみ、渋み、苦みをしっかり味わえます。本当においしいお茶です。最近、深蒸しせん茶に岡部の抹茶をブレンドして、鮮やかな緑の水色とさわやかな香りをプラスしたお茶商品なども出てきました。茶業試験場でもLED照明を利用して甘みの増したお茶の開発なども行っていますが、静岡県内の各地の特性を生かした思い切った茶業振興方策を関係者が知恵を出して取り組むべきと思います。県として今後どのように茶業振興に取り組むのか所見を伺います。
     次に、ミカンの生産振興について伺います。
     本県はミカンの栽培面積が六千七十ヘクタールで、全国の栽培面積の一二・四%を占め、平成二十一年の産出額は百八十二億円と全国第三位の位置にあります。本県農業を支える重要な農産物であります。しかし原油や肥料価格の高騰による生産コストの増加など、ミカン経営を取り巻く環境は大変厳しく、二十五年以上経過した老齢樹や生産性の劣る樹園地も多くあります。国内のミカンの需給バランスは約百万トンが適正量と言われていますが、老齢樹の比率が高まりますと隔年結果が助長されることで、表、裏年の生産量の格差が大きくなって、販売価格も変動し農家経営は不安定になります。ミカン産地の継続的な発展を図るためには、担い手を中心とした足腰の強い産地への構造改革を早急に進め、生産から加工販売までの六次産業化の導入や各地域のブランド力を生かしていくことが必要に感じていますが、県はミカンの生産振興に向け今後どのように取り組むのか伺います。
     次に、干しシイタケの信頼回復に向けた取り組みについて伺います。
     本県のシイタケの人工栽培は一七四一年に天城湯ヶ島の石渡清助氏までさかのぼり、二百七十年の歴史があります。伊豆の気候はシイタケ栽培、とりわけ良質などんこの生産に適しており、先人のたゆまぬ栽培技術の改良、栽培技術の全県への普及によって本県は日本有数のシイタケ産地を形成してきました。
     しかし、ことし十月、伊豆市産、伊東市産の春物干しシイタケから食品衛生法に基づく暫定規制値を超える放射性セシウムが検出され、両市の干しシイタケの出荷自粛と自主回収が行われました。十月以降に生産加工された干しシイタケの検査では、伊豆市産の安全性が確認されましたので、秋以降のみの限定ではありますが出荷自粛が取り消されました。しかし春に生産加工された干しシイタケは一部が出荷自粛と自主回収の要請を受けたままです。干しシイタケの大部分は春に生産加工され、一年を通じて販売されます。販売はお歳暮やなべ物需要など今がピークのはずですが、売ることができません。シイタケ生産者や問屋は、全国に長年かけて築いてきた販路を一気に失わないか、消費者の信頼を再び取り戻すことができるのか、安心してシイタケ生産を継続できるのか、さまざまな危惧を募らせています。
     そこで、干しシイタケの信頼回復を図るため、県としてどのように取り組んでいくのか所見を伺います。
     次に、原子力発電所事故に備えた防災対策重点地域の拡大について伺います。
     東日本大震災の被災地では、今もなお津波で自宅を失い仮設住宅などで避難生活を続け、福島第一原子力発電所周辺の地域では故郷を遠く離れ避難生活をしています。被災者の皆さんにとっては実にお気の毒な年末であろうかと察するに余りある状況です。一日も早く被災者の皆さんが震災前の生活に戻られることを祈願してやみません。
     先般、国の原子力安全委員会は専門部会が報告した原子力発電所の事故に係る防災対策の重点地域の見直し案を了承したと報道がありました。現行の半径約八から十キロメートルを改め、新たにPAZとして予防的防護措置を準備する区域として半径おおむね五キロメートル、UPZとして緊急時防護措置を準備する区域を半径おおむね三十キロとすることにしました。さらにその外側でも、PPAという、プルーム通過時の被曝を避けるための防護措置を実施する区域を設定するよう、今後具体的な対応の検討がされるとのことで、各区域ごとに避難や屋内退避などの防災対策が実施されると聞いております。
     浜岡原子力発電所が立地する本県におきましても、重点地域の拡大により新たに焼津市、藤枝市、島田市、袋井市、磐田市などが区域に入る上、PPAとされる区域には県庁を含む静岡市中心部も含まれることになる可能性があります。拡大された場合の重点地域の人口は十一市町、約七十四万人となります。
     そこで、今回の原子力安全委員会の方針について県はどのように認識しているのか、また今後県としてどのような施策に取り組んでいくのか伺うものであります。
     次に、災害への対応についてのうち、災害に強い県土づくりについてであります。
     この秋は、ゆっくりとした速度で列島を縦断した台風十二号、県西部に上陸した台風十五号と本県は立て続けに大雨と強風による被害に見舞われました。被害は土砂災害、河川のはんらんによる浸水被害、道路寸断による集落の孤立、大量の流木の海岸や港への漂着など多岐にわたり、両台風による公共土木施設の被害は六十三億円に上り、今議会に災害対策に関する補正予算案も提出されているところです。藤枝市の県道藤枝黒俣線は道路に段差が生じ、現在も通行どめが続いています。また大雨ばかりでなく東日本大震災における被災状況からの教訓を踏まえ、本県においても津波対策を充実強化する必要があります。
     しかし、想定すべき豪雨や津波などの規模が増大しつつある状況の中で、本県の投資的経費に係る予算は財政健全化を進める観点から年々縮小され、ピーク時の三割程度しか確保されていないのが現実です。また維持的経費についても橋梁や水門を初め、施設の老朽化の進行により今後の更新費用の増大が予測され、施設の長寿命化による延命化や維持費の平準化などへ一層の取り組みを推進することを前提としても一定の必要額は優先的に確保する必要があります。
     ことしの台風十二号は、広範囲、長期間にわたり豪雨をもたらし、県内では井川で総雨量が千ミリメートルを超えるなど山間部を中心に大雨となりました。こうした豪雨の激化や厳しい財政状況、少子高齢化による地域防災力の低下など、豪雨災害に対する安全・安心を取り巻く厳しい環境の中で災害に強い県土づくりにどのように取り組んでいくのか、県当局の所見を伺います。
     次に、民間津波避難施設に対する県の支援について伺います。
     静岡県では、三十五年以上も前から東海地震の発生が予測され津波対策も進められてきましたが、東北の被災地での実情を見ますと、本県の津波対策はまだまだ不十分と言わざるを得ません。静岡県では一四九八年の明応地震で発生した津波が最大だった可能性があると言われています。伊豆では三十八メートルの高さまで到達したとの東京大学地震研究所の都司准教授の調査結果が出ました。焼津の高草山のふもとにある林叟院に保存されている古文書や石碑などに、小川の港で八メートルの高さの津波があり志太地域では二万六千人が溺死したと記録されています。
     仮に東海地震が単独で発生し、現行の県第三次地震被害想定の範囲の津波であったとしても、五分から十分以内に襲ってくるとされる大津波から、津波浸水区域内の住民およそ二十七万人全員が無事避難するということは極めて困難なことではないかと思われます。このような中、沿岸市町では一つでも多くの津波避難施設を確保しようと懸命に取り組んでいます。特に海岸付近に丘陵や高台がない平たん部の地域では、津波避難施設の有無は人命を左右する極めて重要な問題であります。各地で津波避難施設の見直しや指定の拡充が急がれています。その際、避難先となる施設の多くは公共施設とのことですが短時間で大津波が来襲することを考えますと、施設の管理者が公であるか民間であるかは、その区別を問う必要は一切ありません。沿岸部の住民を守るためには一定の条件が整った建物はすべて津波避難施設に指定すべきと考えます。
     そこで、市町が民間建物を津波避難施設に指定する際、避難施設として屋外階段や屋上の安全さくなどを新たに整備する必要がありますが、そのような場合の経費に対する県の助成方針を伺います。
     次に、学校教育についてのうち、教職員の不祥事根絶についてであります。
     この数カ月間、県内で教職員の不祥事が続発しておりマスコミをにぎわしています。県教育委員会では今年度既に十件の懲戒処分が行われたところです。この中には学校を管理する立場にある校長のセクハラ行為や教員の立場を利用して生徒に対してわいせつ行為を働くなど、悪質で許しがたい事犯も含まれています。教職員のみならず本県の学校教育全体に対する児童生徒や保護者の信頼が失われつつあるこの現状は、まことに残念な事態であります。
     教育委員会では不祥事続発を受け九月に各学校に対し、セクハラ、わいせつに特化した研修の実施、年度後半の研修計画の提出といった対策を求めたと聞いています。各学校では、これらを受け各自で創意工夫を凝らした研修を実施しているとのことでありますが、その矢先に教員が盗撮により県迷惑防止条例違反で逮捕されるという事件が発生しました。この事実は研修が一人一人の教職員に伝わっていない、さらに言うならば、本当に伝えなければならない者に伝わっていないことを示していると思わざるを得ません。
     そこで、不祥事の再発を防止し、教育への信頼回復をしていくために、どのような対策を講じていくのか、教育長の決意を伺います。
     次に、高校生の交通事故の現状と対策についてであります。
     三月十一日の東日本大震災を受けて、全国各地では安全教育の見直しが進められ、本県においても想定される東海地震の発生による被災の恐れがあり、子供たちが自分の命を自分で守る災害安全教育を進めていかなければいけないところであります。それとともに全国の中で児童生徒の交通事故の死傷者数の多い本県においては、交通安全教育についても喫緊の課題といえます。平成十七年より減少していた児童生徒の交通事故死傷者数は平成二十二年には増加に転じ、特に高校生による交通事故は小学生の事故の一・二倍、中学生の事故の二・二倍に上り、本年度においては死亡事故も八件中四件と全体の半数を占めています。また県内高校生の交通事故の内容を見ますと、今年度十月までの死傷者数千七十九人のうち七六%を占める八百十六人が自転車による事故となっています。このような状況から見ても自転車を利用する際の交通ルールの遵守とマナーの向上を含めた交通安全教育のさらなる推進が図られる必要があると考えます。
     そこで、県内高校生の交通事故の現状を踏まえ、本県の高校生の交通安全教育の取り組みについて教育長に伺います。
     次に、警察行政についてのうち、県警察の運営に対する所信について伺います。
     繁田本部長は去る十月十八日に着任され多忙な日々を送られていることと思います。本県の治安維持のため、六千八百余名の警察職員の指揮官として一層の活躍を期待いたします。県内の治安情勢は昨年の刑法犯認知件数が過去十年間で最少となったほか、交通事故死者も昭和二十八年以降最少となるなど治安は回復基調にあります。しかしながら子供、女性、高齢者などをねらった凶悪犯罪や振り込め詐欺などが後を絶たず、県民に脅威と不安を与えているのが現状です。また東日本大震災の発生を受け、予想される東海地震の各種対策も見直しを迫られているほか、裾野警察署の新設を初めとする警察署再編整備計画の推進も重要な課題と認識しています。本部長着任後の新聞記事によりますと、本部長は着任式で、職員に「仕事に仕える」、「現場をよく見る」、「仕事は楽しく」の三点を訓示され、「それぞれの得意わざを持っている職員をうまく組み合わせ、プラスを大きくしてマイナスをカバーし合う。これがまさに管理能力」と県警の目指すリーダー像を披露されたとのことで、私も県民の一人として、大変心強く頼もしく感じた次第であります。
     そこで、県警本部長着任に当たり、静岡県の安全・安心をどのように推進されていくのかについて、本部長に伺います。
     次に、今後の繁華街対策の方針について伺います。
     静岡市中心部ではパルシェの改装オープン、セノバのオープンなど、新規店舗の進出やリニューアル等に伴い県内外から多くの人が訪れ静岡駅周辺が大変活気づいております。このように県内ばかりでなく県外からも多くの人に来ていただき、静岡を活気づけていただくに際し、心配になるのは静岡駅周辺を初めとする繁華街の風俗環境であります。警察の厳しい取り締まりを受け、ひところに比べ夜の繁華街は安全になりましたし、安心して歩けるようになったと感じています。
     しかし、今なお客引きの若者が行き交う人にしつこく入店を勧める光景も見受けられますし、繁華街における各種犯罪の報道も散見されています。警察では、風営法や迷惑防止条例などといった法令を適用して繁華街での違法行為等を検挙するなどしているほか、防犯カメラを設置して繁華街における犯罪の未然防止や早期検挙などの対策を推進していると伺っています。藤枝駅周辺には昨年防犯カメラが数十台設置され監視が始まり、防犯効果が出ていると感じています。繁華街の風俗環境の健全化のために、こうした街頭防犯カメラの増設などといった対策を強化する必要があると思います。
     そこで、こうした検挙と犯罪防止活動の両面について、本県における繁華街対策の現状と今後の方針について伺います。以上で代表質問といたします。(拍手)
    ○議長(植田 徹君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 落合議員にお答え申し上げます。
     初めに、私の政治姿勢についてのうち、総合計画の推進についてでございます。
     富国有徳の理想郷“ふじのくに”を実現するためには、常に総合計画に盛り込みました施策の効果をはからねばなりません。そして創造的な見直しを行いながら、より効果的な県政運営を図る必要があると考えております。このために本県では初めての取り組みといたしまして、基本計画に掲げるすべての施策の取り組みの実績や数値目標の達成状況などをもとに、総合計画の進捗評価を実施いたしました。その実施に当たりましては有識者並びに県民の皆様の御意見もちょうだいし、より客観性を高めたところでございます。
     その結果でございますけれども、すべての施策について、おおむね順調に推移しているという評価をいただきました。また議員御指摘のとおり社会経済情勢の変化に的確に対応できるよう、必要な計画の見直しを行ったところでございます。具体的に申し上げますれば東日本大震災の教訓を踏まえた津波対策がその一つです。また津波対策を初め、危機管理対策を強化いたします。また全県を挙げた雇用対策の推進もその一つでございます。新東名高速道路を生かした内陸部の魅力ある地域づくりなども新しい展開だということで、こうしたものを計画の中に位置づけることにしております。
     今後、議員の皆様の御意見もちょうだいしながら、来年一月をめどに、仮称ですけれども、“ふじのくに”づくり白書として評価結果を公表することとしております。県政に対する御理解や御関心を深めていただき、行政への県民参画を促し理想郷ふじのくにの実現に向けた施策の推進に県民の皆様とともに邁進してまいりたいと存じます。
     次に、来年度予算編成についてであります。
     低迷する雇用情勢や急激な円高など、社会経済の先行きに対する不透明感が一段と強まっている中、県税収入への影響の懸念や社会保障関係経費などの義務的経費が増加しておりまして、平成二十四年度当初予算は厳しい財政環境下での編成になると想定されます。このような状況下にありましても、総合計画の目指す姿の早期実現を図り、東日本大震災や厳しい社会情勢の変化を踏まえまして、県政の諸課題に的確に対応していかねばなりません。中でも喫緊の課題である安全・安心な地域づくり、また厳しい雇用情勢への対応につきましては重点的に進めていく必要があると考えております。
     具体的には津波に強いまちづくりのための、ふじのくに津波対策アクションプログラムに設定した目標に沿いまして、漁港の堤防や河川の護岸の整備、水門の耐震化などの基盤整備などを計画的に進めてまいります。さらに静岡県雇用創造アクションプランに基づきまして、内定を得ていない新卒者への就職支援や雇用のミスマッチの解消など、目標でございます三万人の雇用創造に向けまして、産業界、労働界、教育界など各界や各層と連携して積極的に施策を推進してまいります。
     理想と現実とが、そごがあるのではないかという御懸念でございますけれども、そういうことがないように、いわゆる総合計画というのは県の各界の知見を得まして、実現可能なものを重点項目として取り上げております。議員の言われました出生率の増大、そしてまた家・庭一体、そのほか地域医療の再生、さらに観光交流人口の増加、新産業のフロンティア、いずれもふじのくに静岡県が今喫緊に取り組むべき課題であるというふうに認識しております。そうした中で、今は津波対策と雇用創造のためのアクションプログラムというものを重点的に取り組んでまいりたいということでございます。
     こうした県民生活に密着した取り組みを全庁的に進めることにより、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの実現を目指したいと存じます。
     次に、地域外交のあり方についてのうち、浙江省友好提携三十周年を契機とした今後の取り組みについてでございます。
     来年の静岡県と浙江省の友好提携三十周年につきましては、先月、大村副知事を団長といたしまして、企画広報部長、文化・観光部長、経済産業部長、健康福祉部長、教育次長など、浙江省を御訪問申し上げ、十五の分野、二十の項目を上回る交流を着実に推進しようということで合意したところです。その結果、来年四月には夏宝龍代省長を団長とする御訪問団を受け入れることになりまして、その答礼として、十一月には私を団長として各界友好代表団とともに浙江省を訪問し、相互に記念式典を行うなど年間を通して訪問し合って、さまざまな交流事業を実施する予定でございます。それらを通しまして、静岡県、浙江省の皆様に四季折々の景観や文化のすばらしさを体験していただきまして相互理解を深めるなど、これまでの三十年の実績を踏まえて、来年を両県省の交流のさらなる発展に向けた出発点としたいと考えております。
     そのため、民間や市町等、幅広い層の方々の参加による両県省民――静岡県、浙江省の人々が主体となった交流や新しいビジネスチャンスの拡大が見込まれるような経済交流の展開、さらには一年間を静岡県・浙江省友好観光年と位置づけまして、交流人口の一層の拡大を図ることなど、それらを基本にいたしまして記念事業を進めてまいります。
     具体的には、複数回にわたるチャーター便の活用などによる県省民交流団の派遣や受け入れ、静岡県・浙江省二〇一二緑茶博覧会、また静岡県産業観光展、両県省交響楽団による三百人のベートーベンの「第九」演奏会の開催、両県省における観光キャンペーンの開催、観光事業者による人材交流などを行い、これまでにも増して、静岡県、浙江省の人々が幅広く参加できる事業を展開してまいります。来年の三十周年を契機に、より強固な友好的互恵・互助関係を築くとともに、相互にメリットのある交流の展開を促進し、県勢の一層の発展に努めてまいる所存でございます。
     次に、富士山静岡空港の利活用の促進についてであります。
     富士山静岡空港は、本県の有する陸・海・空の交通ネットワークの基幹施設の一つでございます。開港以来、百三十万人を超える皆様に御利用をいただいており、総合計画に掲げる目標の早期達成に向けまして、より効果的な利活用促進策を展開することが重要です。
     まず旅客利用につきましては、これまでの取り組みと成果の検証を踏まえまして、アウトバウンドにつきまして、ビジネス利用や教育旅行など底がたい利用を促進すること、仁川国際空港や上海浦東空港を利用した世界各地への乗りかえ利用の促進などに取り組んでまいります。また路線のバランスのとれた利用を促進するため、インバウンド拡大のための取り組みを一層強化することにし、特に潜在需要の大きい海外からの誘客促進に向けまして、就航先での旅行商品の販売促進なども展開してまいります。
     さらに本年度から県西部地域におきまして、富士山静岡空港からの旅の魅力を紹介するふじのくに空旅講座なるものを開催し、五百人以上の方に参加をいただきました。その九割以上の方から「静岡空港を利用したい」という御回答をいただいています。着実に成果を上げておりますことから、今後はこれを県全域で開催して新しい利用者の拡大に積極的に取り組んでまいります。目標でございます利用者七十万人の達成には、新規路線の就航などによる路線や便数の増加が不可欠です。したがいまして台湾や釜山等のチャーター便の実績を踏まえた定期便化への取り組みに加え、激しい空港間競争がございますので、その中で議員御指摘のとおり、LCCを含むすべての航空会社を対象に新規路線の誘致や定期路線の増便などを積極的に展開していくため、富士山静岡空港の競争力の向上を図る新しい施策の検討も進めてまいります。
     また、航空貨物につきましては、まだ三けたのレベルで、二、三百トンというレベルでございますけれども、潜在的には数万トンまで伸びるというふうに試算されているところでございますので、就航機材のベリー部、すなわちおなかの部分を活用した貨物取扱量を着実に積み上げて、コンテナ搭載可能な中型機の就航環境を整えるとともに、新東名高速道路の開通など空港アクセスが向上いたしますので、それを踏まえまして貨物専用機のチャーター便誘致や全日空の沖縄貨物基地活用などを含む中長期戦略の策定に取り組んでおります。こうした取り組みを進めながら、全国有数の観光交流人口や、製造品出荷額、恵まれた交通環境など富士山静岡空港の持つ大きなポテンシャルを十分に生かすことによって、国内外との交流を一層促進し、「住んでよし 訪れてよし」のふじのくにの実現を目指してまいります。
     次に、福祉医療費助成の拡充についてでございます。
     福祉医療費助成は、子育て家庭や障害のある方の経済的負担を軽減する上で、まことに重要な支援策でございます。その充実に向けられる県民の期待も大きいものがあると受けとめております。福祉医療費助成の拡充につきましては、本年八月、こども医療費助成につきましては通院の補助対象を中学三年生まで引き上げること、重度障害者・重度障害児の医療費助成につきましては新たに精神障害者を対象に加えることなどを内容とする県の案をお示し申し上げました。そして今、市町の意見をお聞きしたところでございます。補助対象の拡充につきましては市町の財政負担にも影響を及ぼすこととなりますけれども、市町から御理解をおおむねいただきまして、平成二十四年度中に補助対象を拡充する方針でございます。今後、実施時期や補助率などにつきまして最終的な調整を行いました上で平成二十四年度当初予算案に所要額を計上し、二月議会にお諮り申し上げます。
     次に、TPPに対する私の所見についてであります。TPP――環太平洋パートナーシップについてでありますが、私は日本が海洋国家であり貿易なしには発展できない国柄でございますので、早期に交渉に参加して情報収集に努めるべきであると考えてまいりました。市場アクセスを初め、各分野におけるルールづくりが行われますので、そこに積極的に、みずからの提案によるルールを主張しなければならないと考えております。TPP協定は現在二十一の分野にわたり交渉が進められています。その具体的な交渉内容は依然として推測の域を出ていません。関税の撤廃とか削減方法の具体的な議論を交渉参加国の間で行う状況にはまだ立ち至っていないという情報も来ておりますが、これも推測です。こうした情報不足の中で安い農産物の輸入が増加するという影響も懸念されております。しかし農産物の競争というのは価格のみならず、品質でも十分な競争力というのがございます。味覚とか食文化が農産物を選ぶ大きな要素でございますから、本県の農産物は私は国内外の競争に打ち勝つものと確信しています。
     落合県議は先ほどお茶の例を挙げられましたけれども、中国とはTPPとは関係ございませんけども、一例を挙げますならば、例えば本県が三十年来交渉、交流を努めてまいりました浙江省は中国で最高のお茶と言われる龍井茶を持っております。我々は静岡のお茶を持っているわけでありますが、我々は最高のお茶を向こうにプレゼントする、向こうから最高の龍井茶をいただくと。それをですね、安いほうに取りかえますでしょうか。向こうは向こうで、向こうのお水で彼らのお茶を楽しまれる。我々は、向こうのお茶よりも、最良のお茶よりも高くてもですね、恐らく大半の人は、落合先生ほど特別の入れ方をしないまでも、せん茶についての味覚がございますから、そうしたものを重視するというふうに思います。ですから価格と品質というのは同じほどに重要であるというふうに考えている次第でございます。
     今後の農業への取り組みにつきましては、政府は経済連携と国内農業・農村の振興等を両立させて、持続可能な力強い農業を育てるための基本方針、行動計画を十月に公表いたしました。これは私もあの委員会に加わって論じたことが入っております。県といたしましても、六次産業化やブランド化などによる農産物の高付加価値化の推進とあわせまして、農地の流動化による農業経営規模の拡充や新品種の導入、技術革新による生産性向上などに取り組むことで力強い農業構造の構築に努めてまいります。
     また、サービス業や中小企業への影響につきましては今後成長の見込まれるアジア太平洋地域の市場を取り込むという姿勢でもって、本県の産業全体が発展するというふうに見込んでおります。一方、安価な輸入品との競争の激化などにより影響を受ける懸念ももちろんございます。このため、これまで以上に開かれた国際競争力のある新成長分野への参入を加速させてまいりたいということで、国際化に対応できる本県産業の構築に取り組んでまいりたいと考えております。
     次に、原子力発電所事故に備えた防災対策重点地域の拡大についてお答えいたします。
     先月、原子力安全委員会が了承した原子力発電所に関する防災対策を重点的に充実すべき地域、いわゆるEPZの見直しが行われました。すなわち、ほぼ十キロをEPZとするということでございましたが、福島第一原発が事故を起こしまして、現在もまだ二十キロまでが警戒区域、すなわちそこに立ち入ることが禁じられている地域になっておりますので、このEPZはもとより現実性をもう持っていないということで見直しが行われるのは当然でございました。
     県では、この見直しを受けまして、原子力災害に備えた地域防災計画の見直しや防災資機材の整備、環境放射線モニタリング体制の見直しなど、さまざまな課題に取り組んでおります。その手始めとしまして、先月十六日には県内全市町を対象に原子力防災に関する情報交換会を開催し、このEPZの見直し状況について御説明申し上げますとともに、これらの課題を検討するための研究会の設置を県として提案いたしました。
     また、原子力発電所から五キロメートル圏内につきましては直ちに避難などを実施するPAZ――先ほど言われました予防的防護措置を準備する区域――プリコーショナリー・アクション・ゾーンといわれるもので、「事故が起こった、さあ逃げなさい」という、その五キロ。これがPAZでございますが、浜岡原子力発電所から二・三キロ、すなわち五キロ圏内のところに、もし事故が起こった場合に、そこが現場の対策本部になるオフサイトセンターがあります。そこは逃げなくちゃいけませんから、オフサイトセンターとして機能はできないわけでございます。ですから現在のオフサイトセンターは移転を直ちにするべきであるということで、それを視野に検討するべきものと考え、中央政府のほうにも強くそれを今申し出ているところでございます。
     今後は、中央政府から示される避難等の防護対策実施の判断基準、避難の方法など原子力防災対策の見直しの結果や、関係法令の改正、国の防災基本計画の改定などを踏まえ、先ほどの研究会などを通じまして、県と市町とが協力して諸課題の検討を行い、県防災・原子力学術会議の意見も伺いながら、オフサイトセンターの位置を含めまして地域防災計画を見直してまいります。
     あわせて、防災資機材や環境放射線モニタリング体制の拡充など防災体制の整備に取り組むとともに、広域での避難など県だけでは解決することが困難な課題につきましては中央政府による対応をも求めてまいります。
     その他の御質問につきましては、関係部局長並びに教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長(植田 徹君) 須藤経営管理部長。
           (経営管理部長 須藤明裕君登壇)
    ○経営管理部長(須藤明裕君) 知事の政治姿勢についてのうち、事業仕分けの結果の反映についてお答えいたします。
     今回の事業仕分けにつきましては、無作為に抽出した県民が有識者である専門委員と県職員との議論を聞いた上で評価を行う方式を初めて導入いたしました。議員御指摘の「富士山の日」総合推進事業費やふじのくに「食の都」づくり推進事業費については専門委員から厳しい質問や指摘があったものの県側からの説明もあわせて聞いていただいた県民評価者が、納税者としてあるいはサービスの受け手としての視点から、これからのふじのくにづくりを真剣に考えられた上での判定や改善提案であると受けとめております。県民評価者の皆様からは、これらの事業を初め仕分けを実施したすべての事業に対し、意見や見直しや改善も含め八百件を超える御意見や御提案をいただいているところであります。これらの御意見や御提案につきましては、真摯に受けとめるとともに県全体の政策方針に照らしながら、見直すべきと判断したものについては、いずれの事業も聖域なく見直しや改善を行った上で議会にお諮りし、平成二十四年度当初予算に反映させてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 大須賀企画広報部長。
           (企画広報部長 大須賀淑郎君登壇)
    ○企画広報部長(大須賀淑郎君) 地域外交のあり方についてのうち、韓国との交流についてお答えいたします。
     韓国は、歴史、文化、経済的に我が国とのかかわりが深く、さらには開港三年目を迎えた富士山静岡空港と仁川空港との定期便が毎日二便就航する国でもありますことから、地域外交を展開する重点国の一つと位置づけております。忠清南道は就航先の仁川からもそれから首都ソウルからも車で二時間ほどの距離にありまして、農業、漁業に加え最近では世界最大のディスプレー産業が立地するなど各種産業の集積が進んだ地域であります。
     これまでの本県と忠清南道との交流につきましては、医療分野では双方の歯科医師会が友好交流協定を提携し、スポーツ分野では富士山と忠清南道の鶏龍山で合同登山を行うなど、民間団体を中心に交流が行われてまいりましたが、両県道の一層の交流拡大を目指し、本年十月には友好交流に関する覚書を締結したところであります。来年には訪問団を忠清南道に派遣し、友好交流協定を締結するとともに、交流を希望する県内民間団体のパートナーを紹介し交流活動を支援するなど、経済、観光、文化、教育等の幅広い分野において交流を積み重ね交流人口の拡大による県勢の一層の発展に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 地域医療の再生についてお答えをいたします。
     近年、医師を初めとする医療従事者の不足や施設・設備の老朽化等により、地域によっては救急や周産期医療体制の維持が困難になりつつあり、またこれからの高齢社会に不可欠である在宅医療体制の整備が追いつかないなど、これら三つの分野の充実が喫緊の課題となっております。こうしたことから新たに策定をいたしました全県版の地域医療再生計画において、救急医療分野では救命救急センターの建てかえや志太榛原圏域での新たな小児救急拠点の整備、周産期医療分野では全県的に不足する新生児集中治療管理室――NICUの増床などを進めてまいります。
     また、在宅医療分野では県医師会に設置する在宅医療支援センターを中心とした医療及び介護に携わる関係機関の連携システムの構築を図ることとしております。
     県といたしましては、この計画を着実に実行する中で疾病等の程度に応じた一次から三次までの段階的な医療提供体制の強化や、患者やその家族を中心に据えた切れ目のない病診、病病連携体制の構築など、役割分担と連携強化を進め、県民の皆様の理解と御協力を得ながら限られた医療資源を効率的に活用し地域医療の再生を図ってまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 出野文化・観光部長。
           (文化・観光部長 出野 勉君登壇)
    ○文化・観光部長(出野 勉君) 静岡県立大学短期大学部看護学科の四年制への移行についてお答えいたします。
     近年の医療の高度化や看護ニーズの多様化に的確に対応できる高い能力を備えた看護職員を確保するため、現在県では静岡県立大学の看護教育を充実させるための計画を策定しているところであります。計画では県立大学には現在四年制の看護学部がありますことから、移行に当たりましては短期大学部看護学科を廃止し看護学部に統合することにより、今まで培われた教育研究資源を活用しながら、カリキュラムの再編など充実した教養教育と専門教育を行い、医療、看護のあらゆる場で活躍できる看護職員を養成したいと考えております。
     さらに、教育の新たな取り組みといたしまして、災害発生直後の緊急的な看護から復興期における心のケアまで、災害に長期的、継続的に対処できる看護職員や、海外の多様な文化、社会制度等を理解し国際協力や支援に携わる手法を身につけた看護職員を養成するほか、チーム医療の中で薬剤師、管理栄養士など他の職種と連携しながら看護の専門性を発揮できる人材の育成など、県立大学ならではの特色ある看護教育を実施することを視野に入れております。
     また、統合に当たりましては、学生収容定員の増加に対応するため、歯科衛生学科や社会福祉学科を持ち、保健・医療・福祉に係る教育資源を活用することができる短期大学部の小鹿キャンパスも活用しながら教育環境を整備してまいります。なお、統合の時期につきましては教員の確保や施設整備などの準備期間を考慮いたしまして平成二十六年四月を目途に進めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) 経済情勢の変化に対応した中小企業支援策についてお答えいたします。
     東日本大震災や夏以降の歴史的な円高、生産拠点の海外移転の加速などにより、国内生産の縮小が懸念されますとともに、国内外における消費の低迷なども加わり中小企業は大変厳しい経済状況に置かれているものと認識をしております。
     このため県といたしましては、これまで円高対応枠の創設など緊急の資金需要に応じた県制度融資の拡充等を行いますとともに、来年二月には県内下請企業約百社の受注機会の拡大を図る展示商談会を東京で開催いたします。また九月補正予算に計上した経営革新計画に係る助成事業によりまして十五件を追加採択いたしますなど、経済情勢の変化に対応した中小企業への支援を実施しているところであります。
     さらに、新興国市場や電力需給の逼迫などに対応するための国内外の新たな需要を中小企業が取り込むため、浙江省での環境ビジネス商談会の開催、中小企業海外派遣人材の育成支援に取り組みますとともに、新エネ・節電フェア、医療機器用部品・部材交流会、総合食品開発展を開催するなど、新エネルギー・環境、健康・医療などの成長分野へ新たに参入する中小企業に対しまして、産業支援機関と連携しながら、今後とも時期を逸することなく、きめ細かな支援を実施し、本県経済を持続的に発展させてまいります。
     次に、農業施策についてのうち、まず本県の茶業振興についてであります。
     これまで県では、新しい品種や製造技術による味や香りに特徴のある銘茶づくりを推進し、牧之原の「望」や川根の「奥光」、「藤枝かおり」などの新たなブランドを構築いたしますとともに、味、香り、色、形に特徴を持つ山の銘茶のブランド化を進め、七十七の個性的な銘茶が誕生し、マーケットや消費者から高い関心と評価を集めております。
     また、県茶業研究センターに新たに発酵茶の製造施設を整備し、二番茶、三番茶を活用した、消費者の関心やニーズに合った付加価値の高い紅茶やウーロン茶などの新商品の開発を支援し茶業経営の安定化を図りますとともに、県内の大学や企業と共同で海外展開も視野に入れた香り高く機能性に富んだ静岡型発酵茶の研究開発も進めてまいります。こうした取り組みに加えまして、現代の生活スタイルに合った魅力あるお茶の楽しみ方の提案や健康志向にマッチしたお茶の機能性を世界お茶まつりなどを通じて国内外に情報発信してまいります。
     今後は、市町や産地と連携いたしまして、静岡のしゅんであり、香り高く風味豊かな静岡八十八夜新茶のブランド化を一層推進するなど、地域の特性を生かした新たなお茶づくりに積極的に取り組むことによりまして本県茶業の振興を図ってまいります。
     次に、ミカンの生産振興についてであります。
     本県のミカンは温暖な気候と恵まれた日照のもと、先人たちの努力により沼津西浦、清水、三ヶ日などの産地が形成され、ブランド力の高いミカン生産が行われており、今後もこれらを維持発展させていくことが重要であると考えております。このため県におきましては、産地を牽引するビジネス経営体を育成するため、県内の十五産地が作成いたしました産地構造改革計画に沿いまして、園内の作業道などの基盤整備や老齢樹の植えかえを進めますとともに、意欲ある担い手への農地集積を支援してまいります。
     また県では、ブランド化や六次産業化を推進するため、沼津西浦では冷風貯蔵庫を導入し、産地ブランド品「寿太郎プレミアムゴールド」を創出いたしますとともに、清水では中晩柑「はるみ」の果実の表面に糖度などの情報を印字し、他産地との差別化を図りますほか、三ヶ日では最高級のミカンを原料にした「純しぼり『極』」のような高級志向のジュースを開発するなど、産地の特徴を生かした商品開発を支援しております。
     今後とも、生産者や関係団体が一体となって進めますビジネス経営体を核とした産地づくりや、六次産業化の取り組みによる新商品の開発などを積極的に支援いたしまして、ミカン産地の一層の生産振興を図ってまいります。
     次に、干しシイタケの信頼回復に向けた取り組みについてであります。
     干しシイタケの信頼回復のためには、放射性物質に関する正確な情報を消費者や関係者に提供いたしますとともに、来年度に向けた生産技術対策に取り組んでいくことが重要であります。このため県では、これまで市町と連携して各産地において放射性物質の検査をきめ細かく実施いたしまして、その結果をホームページで公表いたしますなど消費者や生産者団体、流通関係者などに正確な情報を提供してまいりました。また安全性の確認された産地の春物干しシイタケにつきましては、出荷自粛及び自主回収の要請を取り消したところであります。
     信頼回復に向けた取り組みにつきましては、伊豆市内で開催されたきのこ祭や今後計画をしております街頭キャンペーンにおきまして、干しシイタケの効能や魅力とあわせまして安全性などをPRいたしますとともに、しずおか農林水産物認証制度の活用によりまして、生産段階におきます安全性の確保などにつきまして、信頼性の高い情報を消費者やマーケットに提供してまいります。
     さらに、技術対策につきましては、シイタケが発生するほだ木やその元となる原木の安全性の確保を図るため県森林・林業研究センターが主体となりまして、放射性物質の移行メカニズムの解明や低減対策の調査研究などに取り組んでいるところであります。これらの成果をもとに、生産者に対しまして農林事務所などによる研修会の開催や技術指導を実施してまいります。
     今後とも生産者や市町と一体となって、全国に誇る本県産干しシイタケの風評被害の防止やブランドイメージを含めた信頼回復に積極的に取り組んでまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 災害への対応についてのうち、災害に強い県土づくりについてお答えいたします。
     東日本大震災の津波やことしの台風十二号による河川の大規模なはんらん、斜面崩壊や土砂ダムの発生といった自然の猛威を目の当たりにして、予想されます東海地震、ゲリラ豪雨や台風の激化などに備え、県民の安全・安心を支える社会基盤の整備はますます重要であると考えております。
     道路につきましては、災害に強く信頼性の高い緊急輸送路などの確保に向け、現在橋梁の耐震対策や斜面の崩壊対策などに重点的に取り組んでおり引き続きこれらの対策を推進してまいります。
     近年頻発するゲリラ豪雨対策といたしましては、河川の整備と雨水の貯留施設の整備などをあわせて実施します豪雨災害対策アクションプランにより、流域全体での被害軽減に努めております。なお今回の台風被害では大量の土砂や流木を含む洪水の危険性を改めて認識したことから、着実な河川整備に加え、砂防や治山と連携した流域管理の視点に立ちました豪雨災害対策を講ずる必要があると考えております。
     また、津波対策につきましては、先般策定しました津波対策アクションプログラム短期対策編に基づき実施しております。今般の国の第三次補正予算も積極的に活用して事業を前倒しすることとし、本議会でお諮りしている補正予算案におきまして水門の耐震化などを講ずる経費を盛り込んでおります。引き続き来年示される国の「東海・東南海・南海」三連動地震の被害想定を踏まえ、本県の第四次被害想定を策定し、速やかに中長期対策を取りまとめ、計画的に津波対策を推進してまいります。
     県といたしましては、厳しい財政状況ではありますが、さらなる予算の確保に努め、選択と集中による効率的な施設整備により災害に強い県土づくりを進めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 小林危機管理監。
           (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監(小林佐登志君) 災害への対応についてのうち、民間津波避難施設に対する県の支援についてお答えをします。
     本県の津波対策につきましては、東日本大震災を受けましてソフト・ハード両面から再検討を行い、早急に取り組む必要のある対策につきましては、その期限や数値目標を定めましたふじのくに津波対策アクションプログラム短期対策編を本年九月に策定し、その推進に努めております。
     津波避難施設の確保につきましては、このアクションプログラムの中にも掲げ、津波避難ビルについては公的施設のみならず民間施設についても積極的に活用を図ることとし、市町の必要数を調査した結果、当面の整備目標数を千四百棟と定めたところであります。東日本大震災以前の指定数は五百五棟でしたが、市町の大変積極的な対応がございまして十二月一日現在で千二百三十一棟と指定数が大幅に増加をいたしております。民間の建物を市町が津波避難ビルとして指定し、屋外階段や屋上の安全さくなどの整備に対して助成を行う場合には、県において大規模地震対策等総合支援事業費補助金によりまして市町を支援することといたしております。既にこの補助制度を使いまして、掛川市と袋井市から避難ビルとして民間施設を整備するため県への補助要望が提出されております。審査が終了次第交付決定することとしております。
     津波への対策は安全な場所へできるだけ早く避難することにございますので、今後も市町と連携を図りながら津波避難ビルやタワー、人工高台など五分以内に避難できる施設の確保に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 学校教育についてのうち、初めに教職員の不祥事根絶についてお答えいたします。
     教職員の不祥事が相次いで発生したことにつきまして、県民の皆様に改めて深くおわびを申し上げます。議員御指摘のとおり不祥事根絶につきましては、これまでもさまざまな取り組みを行ってまいりましたが、相次いで発生している現状から実効性のある取り組みの必要性を痛感しております。
     県教育委員会におきましては、不祥事根絶委員会や校内コンプライアンス委員会の設置、セクハラ相談制度の拡充と周知、教職員セクハラ防止講座の開催など新たな六つの再発防止策を教育委員が示した方針に基づき行うことといたしました。そのうち不祥事根絶委員会につきましては、精神科医や犯罪心理学者、警察関係者などの専門家をアドバイザーとして不祥事の発生原因を分析するとともに、不祥事根絶の方策を企画立案することを目的としており、現在、これまでの不祥事についての整理、分析を進めているところであります。
     また、各学校に対しましては再発防止策であります校内コンプライアンス機能の確保、セクハラ相談員の増員に加え、子供たちや保護者との信頼関係を回復し、教職員同士の連帯感を強めていくために校長がみずからの言葉で教職員一人一人の心に届く語りかけを続けていくよう指示したところであります。
     今後も保護者や地域の皆様の御協力を得ながら、信頼回復に向けて知恵を絞り強い決意を持って不祥事根絶に継続して取り組んでまいります。
     次に、高校生の交通事故の現状と対策についてであります。
     議員御指摘のとおり、平成二十二年は交通事故死傷者数が増加に転じ、特に自転車の出会い頭の事故が目立つなど憂慮すべき事態であると考えております。これまでに県教育委員会では交通安全教育の教材を作成、配布する取り組みや、各学校の交通安全担当教員を対象に自動車学校等と連携して交差点事故や巻き込み事故についての研修等を進めてまいりました。
     また、各学校では、関係機関の協力を得て交通安全教室を実施しております。特に高等学校におきましては、警察と連携することを通して自転車により交通ルールに違反した生徒を直接指導したり、自転車通学者が多い学校に交通指導員を配置したりするなど、交通事故防止と自転車マナーの向上に努めているところであります。
     今後は、高校生を対象に交通安全に関する意識調査を実施し、その結果を高校生みずからが分析し対策を立てる取り組みや、各地域で高校生が主体となった交通安全に関する協議会の開催など自分の命は自分で守ることができる高校生を育成する交通安全教育を推進してまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 繁田警察本部長。
           (警察本部長 繁田 誠君登壇)
    ○警察本部長(繁田 誠君) 県警察の運営に対する所信についてという御質問であります。
     県警察の最高責任者として、課せられた責務を果たし静岡県の安全・安心を確保するためには、何よりもまず県民の期待と信頼にこたえる警察を構築することが大切であると考えます。これを実現すべく運営に対する所信を申し上げます。
     まず、危機管理体制の強化であります。
     本県は東海地震の発生が予想されていることや浜岡原発を有していることから、日本中から注目されております。震災に伴う津波被害に対しては、有事の際に迅速的確な対応により県民の被害を最小限に抑えることができるよう関係機関と連携の上、計画段階からすきのないものを策定し住民の避難誘導等さまざまな問題をカバーしてまいりたいと考えます。
     原発については、津波対策はもとより現下の厳しい国際テロ情勢にかんがみ、関連情報の早期収集や警戒警備を強化するなどテロの未然防止に万全を期してまいります。
     次に、暴力団対策のさらなる強化であります。
     本年八月に施行された暴力団排除条例の効果的運用は喫緊の課題であり、県民を守りつつ排除活動を進めるとともに検挙、取り締まりを強化し、資金源の封圧と組員の離脱支援等の対策を強力に推進してまいります。また子供、女性、高齢者など弱者をねらった凶悪犯罪や振り込め詐欺など、県民に脅威と不安を与えている犯罪に対する取り組みも強化してまいります。
     なお、県警察としての仕事への取り組み方でありますが、県民のためによい仕事をするためにはその姿勢が大切であります。私は着任時に行いました部下職員に対する訓示の一番目におきまして、仕事に仕えるということを指示しております。本部長を含め、あらゆるポストは県民の安全と安心を実現するという目的を達成するための道具にほかなりません。こうした姿勢を堅持し組織一丸となって仕事に取り組み、県民の期待と信頼にこたえてまいる所存であります。今後とも一層の御理解と御支援をお願いいたします。
     次に、繁華街対策の現状と今後の方針についての御質問でありますが、本県における客引きや無許可営業を初めとする風俗関係事犯の発生を検挙件数から見ますと、今年の十月末現在までに百七十九件、二百六十人で、前年同期に比べますと十三件、三十一人増加しております。風俗環境は依然として厳しい情勢にあると認識しております。中でも静岡市におきましては、繁華街を中心に悪質な客引きや年少者の使用、性的サービスの提供店が横行していることから、静岡市歓楽街クリーンアップ作戦として集中的な取り締まりを実施しております。本年は十月までに昨年を四人上回る四十八人を検挙するなどしております。
     また、街頭の防犯カメラにつきましては、これまでも県内各地で設置されているところであります。そのうち、繁華街、商店街につきましては静岡市葵区両替町等にはスーパー防犯灯が設置されております。両替町の刑法犯の認知件数は前年と比べ一六・四%減少しております。さらに浜松市や伊東市等において、県内の商店街組合などが自主的な取り組みにより十地区に防犯カメラを設置しております。加えて市町が自主的に防犯カメラを設置しており、一例では駐輪場において自転車盗が八七%減少した例もございます、榛原郡の吉田町でございますが。こういった犯罪抑止効果が見られているところであります。
     今後の方針でありますが、風俗環境の健全化のために歓楽街等の実態を踏まえ、警察内各部が連携した取り締まりと各関係行政機関や防犯ボランティア団体との連携の強化による官民一体となった犯罪防止活動を進めてまいります。また議員御指摘のように防犯カメラの設置は検挙と防犯の両面に有効であり、県民の安心感の醸成と防犯意識の高揚を図るという面で大変効果があると考えております。したがいまして今後とも、繁華街等を含めた公共空間の安全・安心のために、自治体や関係機関・団体及び事業者等に対し防犯カメラ設置を働きかけ、犯罪の起きにくい社会づくりを推進してまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 四十七番。
           (四十七番 落合愼悟君登壇)
    ○四十七番(落合愼悟君) 御答弁ありがとうございました。幾つかの点がありましたが要望だけ数点しておきたいと思います。
     まず知事に対して、県民の思いの届く施策、予算ということを申し上げましたが、ぜひその思いでお願いしたいと思います。
     富士山静岡空港の利活用なんですが、国内が当初の予定では百六万人だったんですね、それが今三十万人ちょっとしかいないということで、非常にもう三分の一なんです。そういう中から今の目標は、国際、国内合わせて七十万人の目標です。当初の百三十八万人から考えて、やはりふやしていかなければいけないと思います。ぜひいろんな面でふやしていく施策をお願いしたいと同時に、先ほど申したのは東部、西部が両方合わせて二〇%ちょっとなんです。ということは中部にもっと乗ってもらえるように力を入れていただきたいと思うわけです。まだまだ中部に潜在的な人たちがいるじゃないかと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
     そしてTPPなんですが、知事は国際的なことがあると言われますが、農業がこれからどうなっていくのか、本当どうなっていくのかわからない中で、事前にやはり力をつけていくための施策を考えて、手を入れていただきたいと思います。非常に今不安を持っていることは確かでございますのでお願いしたいと思います。
     そして農業の件なんですが、先日ブケ東海で、食の都の料理人表彰に私は参加させていただきました。非常に優秀な料理人が静岡県内の食材を使っていろんな料理をやっていました。この農業の中で感じるのが、石川県に行きますと能登野菜とか加賀野菜があるわけですね、静岡県に、じゃあ伊豆の野菜とか、それから遠州の何々とか志太とか駿府とか、何かあったらいいじゃないかなという気がするんです。そういう点でもし地域の特産の品種三十種とかやっていただくとまだよかったかなと思いました。農業施策として本当にぜひ、放射能の問題もありますが、力を入れていただきたいと思います。
     そして、原子力発電所事故の放射能の件なんですが、私は南相馬、相馬へ行ってまいりまして、このときの市長さんから伺ったのが、三月十一日に事故が起きて、十二日の早朝五時過ぎに十キロ範囲内の退去ですね、即避難、続いてすぐ二十キロということで、本当に寝ているときに起きたわけですね、そのときにバスの手配。大変なことで新潟県から応援に来てくれたと。バスを手配してくれたということで、いろんな面がこれから出てくると思います。もし今の時点で浜岡が大津波に襲われたら福島と同じ状態になってしまうんじゃないかなと思います。ぜひそういう面も含めた中で対策を考えた中でお願いしたいなと思います。
     最後に、警察の繁田本部長、本当に頼もしく感じました。県民を安全に守っていただきたいと思います。以上で要望を終わります。ありがとうございました。
    ○議長(植田 徹君) これで落合愼悟君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

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