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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成30年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

相坂 摂治 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/26/2018

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                      
  (1) 総合計画の策定と知事が目指す静岡県の将来像           
  (2) 県の組織改編                          
  (3) 地域外交による県民への効果                   
2 平成三十年度当初予算編成について                 
3 事業者との防災協定の見直しについて                
4 豊かな暮らし空間の実現について                  
5 文化力の拠点について                                               
6 社会健康医学の研究推進について                  
7 次世代産業の創出について                    
8 農業の成長産業化に向けた取り組みについて             
9 清港周辺のまちづくりについて                  
10 今後の教育行政の推進について                   
11 特別支援学校の教育環境の充実について              
12 平成三十年の県警察の取り組みについて              


○議長(杉山盛雄君) 質疑及び一般質問を行います。
 通告により五十番 相坂摂治君。
       (五十番 相坂摂治君登壇 拍手)
○五十番(相坂摂治君) おはようございます。十七日間にわたり開催されてきた韓国平昌でのオリンピックが昨日閉会いたしました。九十二の国と地域、三千名に及ぶ出場選手は冬季オリンピック過去最大規模とされ、世界中の注目を集める中、日本の若い選手たちにも国の内外から大きな称賛が送られました。スポーツはメダルを獲得する勝利の瞬間、鍛え抜かれ磨き上げられた技術と精神は見る者全てにさわやかな感動を起こしてくれると同時に、選手一人一人がオリンピック出場までに乗り越えてきたさまざまなドラマは私たちに大きな勇気をも与え、夢をかなえていくそれぞれの歩みが人類の成長をも思い起こさせてくれるものです。
 さて、政治は生命と財産を守り人類恒久の平和を実現するために生活の不便を解消する、災害への不安を取り除く、技術革新を支援し次なる人類の発展の礎を築く国柄と世代と個の事情を超えた営みでありますが、私たち議会や行政のこうした日々の取り組みはどれくらいの感動と勇気をもたらすことができるでしょうか。その歩みの背後にある幾つものドラマが時には人々の目に触れて、人々を励まし得るものであってほしいと願わずにはいられません。
 二月議会での議論すら、限られた時間と空間の中で私たちの議論の積み重ねがたとえわずかであったとしても一つのストーリー性を有して広く県民の皆様に伝わることを願うものであります。
 自民改革会議を代表して、通告に基づき分割して質問を行います。知事、関係部局長、教育長並びに警察本部長には簡潔、明瞭に御答弁願います。
 初めに、知事の政治姿勢について三点伺います。
 最初に、次期総合計画の策定と知事が目指す静岡県の将来像についてです。
 新しい総合計画をつくるという作業は、昨年九月知事が三期目を迎えた直後に始まり、各会派からの提案や審議会からの意見、パブリックコメント等を経て先月二十一日、ついに県議会の各常任委員会で最終の集中審査が行われたところであります。知事及び当局はこの審査結果を策定の最後の追加材料として、いよいよ四月から新しい静岡県づくりが始まるわけであります。
 この一連の策定作業を通じて私たち自民改革会議がこの半年間を通じて提案、要望してきたことは、ちょうど一年前に実施した県政の検証作業によって明らかにした本県の課題への処方せんでありました。御担当の皆様にはこの間提出してきた要望書、本会議や委員会での意見には極めて真摯に対応していただき、実に提案した項目のほぼ全てについて修正、加筆を行っていただきました。このお取り組みには敬意を表したいと存じます。
 しかしまだ、この計画を実行に移すに当たって明らかにしておきたい事項が残っています。誰もが努力をすれば人生の夢を実現でき幸せを実感できる地域、ドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの拠点となる。これが次期総合計画の新しいビジョンです。これから迎える東京オリンピック・パラリンピックによって日本が世界中の人々が夢をかなえる舞台となる。静岡県では富士山の世界文化遺産登録の実現以来世界水準の人材や資源が増加している。したがって本県は日本全国に先駆けて誰もが努力をすれば人生の夢をかなえることができる、その拠点となることができると説明しています。
 一方、これまでの総合計画ではポスト東京時代の理想郷をつくることがビジョンに置かれていました。どちらも耳ざわりのいい表現ではある反面ビジョンを示すとされるこれらの言葉が実際には一体何を意味しているのか、県民の暮らしの現場で本当に実現に向かってきたのか、余りにも抽象的過ぎて評価ができない、静岡県がどのような状態になった時にこれらが達成されたと言えるのか、いずれも曖昧模糊であると感じざるを得ません。
 ただ、知事が用いてきたポスト東京時代という言葉は人口の東京一極集中による制度疲労を克服すべきであるという単純な発想から生まれたものではなく、国会で長く議論され続けてきた首都機能移転への期待と都道府県制度などの地方自治制度を根本から改革し将来の日本の地方社会は先進国に匹敵する経済・文化を持つべきだとした気概が強く込められており、私などは実はひそかにこの政策的な重厚な系譜に強く関心を寄せておりました。
 しかし、今回知事が示したドリームズ カム トゥルー イン ジャパンという新ビジョンには知事御自身の政策的な背景、長期的な展望を感じることができません。俯瞰して国土を捉えるスケールも盛り込まれてはおりません。仏の川勝になったと同時に政策的野心まで薄めてしまったのではないかと感じざるを得ないのであります。今回のビジョンの背後にある知事御自身の政策的系譜は何か、先進国と肩を並べていくための制度的欠陥や静岡県が獲得すべき資源や条件は何かといった、知事がこれまで主張してこられたところの国家的見地に立った政策理念の継続性を感じることができないのです。
 総合計画の実行を目前にした今、知事の政策理念の継続性についてどのような説明を持って明らかにされるのか御所見を伺います。
 次に県の組織改編について伺います。
 知事は、議案第十八号として静岡県部設置条例の一部を改正する条例を今議会に提出されました。改正の大きなポイントは三つ。
 一点目は、財政課を経営管理部から知事直轄組織に移管するというもので、総合計画の実行に当たり政策推進と予算編成を一体化することを狙いに据え政策推進局を新設、政策推進担当部長も置いてここに総合政策課と財政課とを設置するとしています。
 二点目は、東部、中部、西部にそれぞれ設置されていた危機管理局と支援局とを統合し賀茂地域を含めた四つの圏域に地域局を設置、危機管理のみならず地域の複合的な政策課題に迅速に対応するとしています。
 三点目は、農地局を交通基盤部から経済産業部へ移管するというもので農業経営体の育成と生産基盤整備を一体化することを目的としておりますが、これは我が会派からもかねてから提案してきたことであり、ようやく実現の時期を迎えようとしています。これらの改正について伺います。
 これまでも、川勝知事は独断専行の政策決定を行い、当局職員にも寝耳に水で新たな政策が発表されたことも一度ばかりではなかったでしょう。議会の理解が得られず打ち出したものの前進が見られない政策分野、事業も決して少なくはありません。財政課の移管に伴う懸念は四点です。
 まず、知事への権限集中が加速し上意下達の傾向が強まることで風通しの悪い組織にはならないのか。
 二点目は、政策を誰よりも推進したい知事の元に財政課が置かれることによって政治主導での予算編成に偏ることはないのか。
 三点目は、税を徴収して収入を確保する税務課と徴収した税を何に使うかを決める財政課の仕事とがそれぞれ異なる指揮命令系統に置かれることで財政の均衡は確保されるのか。
 そして、全国の都道府県の組織構成を見ても政策推進と予算編成を一体化しているところは六県、知事直轄組織を有しているところはわずかに四県しかなく、知事の元に財政課を独立させて設置している例は皆無です。これは強大な権力によって恣意的な財政出動を抑制しようとする行政機構みずからの戒めの結果だろうと私は思います。
 そもそも、経営管理部に財政課を置いて長きにわたり予算編成の専門技術を蓄積してきた現状の何が課題だったのか今のところ明確な説明がありません。知事戦略監と政策推進担当部長はともに部局横断的な役割を担っており、その違いが不明瞭であることに加え部長職である以上一定の決裁権を有するわけであり、それなら他の部局長と同様の配置とすべきではないのか、知事の真意をはかりかねております。
 これらの点を踏まえ、財政課を経営管理部から知事直轄組織に移管することに至った考え方について説明を求めるものであります。
 一方、県内四圏域への地域局の設置や経済産業部への農地局の移管についてもその狙いと期待する効果について明らかにしていただきたいと思います。
 最後に、県庁組織における管理職員の配置について申し上げます。
 本庁組織は、部長、局長、課長という職位階層別に構成されておりますが、近年知事戦略監や理事などの部長級の役職が急増してまいりました。結果その役割と責任の所在がわかりにくく、管理職の種類や人員が増加することで年功序列を超えた実力評価、能力評価を妨げてしまう結果となっていないか懸念があります。
 現在の管理職員の配置のあり方についても、知事のお考えを伺います。
 次に、地域外交による県民への効果について伺います。
 知事は、従来の国際交流を地域外交という独自の呼び名に改めて県政の主要施策の一つに据えてこられました。知事直轄組織唯一の事業であり、他の施策や事業とは一線を画す並々ならぬ強い思い入れを感じます。地方行政が担う外交とは何か。それは決して知事を初めとする代表団が毎年同様の交流を繰り返すことではなく、県民一人一人の国際意識に強く働きかけることを念頭に置いた県民レベルでの文化的交流や地方経済全体にとっての具体的な通商効果をもたらすものでなくてはなりません。毎年の地域外交関連予算は五億円を超えており、諸外国との関係が県民にどのような利益や効果を発揮してきたのかそろそろ明確な判断が必要なのではないでしょうか。
 地域外交の名のもとに実施されるあらゆる施策が何を目的として行われているのか、交流事業の結果相手地域との関係にどのような変化が生じたのか、その変化によって県民一人一人の生活にどのような交流機会が生まれどのような意識変革が実現していくのか新たな評価指標が必要であります。このことは我が会派からも本会議や常任委員会の場でたびたび提案してきたことであり、昨年二月に実施した県政検証においても指摘した事項であります。
 一方、平成二十八年十一月難波副知事をリーダーとする通商推進プロジェクトチームが設置されました。これは地域外交を単なる交流から通商へと飛躍させようとする取り組みであり県産品の販路拡大や海外からの対日投資促進、新産業の創出など六項目を指標としておりますが、これについても六つの重点国ごとに年次を定め可能な限り具体的な目標数値を示すべきであります。その上で空港との就航連携や県民レベルでの交流機会の拡大に一定の結果が見られない相手国との事業については厳しい評価を実施し、今後は外交事業をいたずらに拡大させるのではなく選択と集中の視点を取り入れることを提言いたします。
 そこで、これまでの地域外交が県民にどのような成果をもたらしてきたのか知事はどのように捉えておられるのか、また今後はこの成果をさらに膨らめていくためにどのような次期地域外交基本方針を策定されるのか御所見を伺います。
 次に、平成三十年度当初予算編成について伺います。
 来年度予算の規模は、一兆一千八百七十二億円で前年度比百八十六億円の減少でありますが、政令市への税源移譲による影響を除いた実質的な県執行予算では対前年度比六十四億円余の増加となっており、人口減少が進行する中での税収増は新たな税制に加え経済活力が次第に増してきたものと評価することができます。
 安倍政権は、公共事業に積極的に財政出動して意図的なインフレターゲットを行う一方で、次世代産業として注目される分野の技術革新や市場開拓に重厚な投資を進めてきました。株価は順調に上昇し、地方経済でも牽引役となる産業分野が何か次第に見え始めてまいりました。これからの静岡県においては新産業の分野で進む新たな技術展開と地元中小企業の技術とを融合させ経済成長の効果を広く行き渡らせること、農林水産の海外展開を支援すると同時に新たな担い手の参入を促進しさまざまな分野の技術を応用して生産性の向上を図ること、医療・福祉の分野では専門職の処遇改善と人材の確保に加え世代間の均衡に配慮した子育てや教育への支援策も充実していかなくてはなりません。さらに社会インフラの整備を進めつつ長寿命化を図り河川、海岸、山間部の各種の災害対策を着実に進め、観光・交流の分野では大型スポーツイベントの開催を契機に交流人口の拡大を実現し、その後も交流客が定着する新たな仕掛けも視野に入れておく必要があります。
 このような中、昨年十二月十八日私たち自民改革会議は来年度予算に関し川勝知事に要望書を提出いたしました。私たちはこの予算要望書の作成に先立ち県内全域から地域の要望事項を聞き取り、また業界団体の諸課題についてもヒアリングを行ってまいりました。要望書は経済成長の加速と産業人材の確保、人口減少社会を克服する子育て支援と医療・福祉の充実、豊かな県民の暮らしの実現、本県の魅力を生かした観光・交流の促進、教育・人づくりの充実、県民の生命・財産を守る危機管理体制の強化、行財政改革の推進の七分野で構成し全二百五本の要望項目を網羅しております。
 そこで伺いますが、知事は平成三十年度の当初予算編成と国の経済対策に対応した平成二十九年度二月補正予算においてどのような事業に重点を置き、また我が会派の要望に対しどのような対応を図られたのか伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 相坂議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、総合計画の策定と私が目指す静岡県の将来像についてであります。
 私は、知事就任以来地域づくりの基本理念として富国有徳を掲げてまいりました。この富国有徳とは富士という字を四字熟語にしたものであります。富士の士という字は有徳の人を意味し、富士の富という字は物心の豊かさを意味するわけでございます。徳のある人が物心ともに豊かに暮らす、人と物をともに大切にする自立した地域を実現しようとするものでございまして、いわば富士山のある日本の大地に根差した理念であります。戦前期、富国強兵、特に戦前期は強兵、戦後は富国というものに偏した富国強兵の時代が続きました。これにかわる、富士山がある限り私は日本国としての不滅の理念であると思っております。
 これに加えまして、後期アクションプランではポスト東京時代の日本の理想郷を創るを掲げました。これは本県が新しい時代の日本を切り拓く先導役を担うという決意であります。
 これまで、我が国は中心地の名称で時代を区分してまいりました。正確には首都機能の所在地で時代区分をする世界で唯一の国です。奈良時代、平安京都時代、鎌倉時代、室町時代、安土桃山時代、江戸時代といったぐあいであります。明治以降の日本は東京に首都機能が置かれました。したがって私はこれを東京時代と呼んでおります。東京時代の目的は何であったのかと。日本には所変われば品変わるという、そういうことわざがございますけれども、東京の第一における目的は欧米の文物を受容して欧米に追いつき追い越すということを目的とする拠点であったと存じます。その目的は私はほぼ達成されたと見ております。
 この東京時代、欧米に追いつくための中央集権体制の時代でもありました。日本が今日の発展を遂げ、いまやその役割は終えております。むしろ人口減少が進む中、東京が人口を吸収し、そして合計特殊出生率が一余りということで言ってみればアリ地獄のような存在になっているわけでございます。
 そこで、その一方東京一極集中によって地方は疲弊しております。国内の各地域がこれからは東京を模倣してミニ東京になるのではなくて、それぞれの持っている固有の場の力を生かして自立し魅力ある地域を実現する、いわば多中心の時代、すなわちポスト東京時代に移行すべきであるという考えに変わりはありません。
 折しも、本年は明治維新から百五十年の節目の年であり、来年は平成の世も改まり新しい時代を迎えます。明治から続いた東京時代を総括し新しい国づくりを進める時を迎えております。
 今日の我が国は、戦争、テロの危険が少なく世界一の健康寿命を誇り、文化が高く評価され外国人観光客が急増するなど世界から憧れられる国になっております。そして人口減少や超高齢化などの世界的な課題を克服し物心ともに豊かな国を実現することでポスト東京時代の日本は世界の人々にとって夢がかなう場所、選ぶところが多様な、すなわちドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの時代に入ったと思います。私は静岡県がその拠点になり得ると考えております。
 改めて静岡県に目を転じますと、今月焼津市御出身の建築家、長谷川逸子さんがイギリスのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツの建築賞を受賞されるなど富士山の世界遺産登録を皮切りに何と七十にも迫る地域資源、人材群が次々と世界的な評価を得ております。ポスト東京時代の理想郷づくりを進めてきた本県はまさに世界のひのき舞台に立ちつつあり、誰もが努力をすれば人生の夢がかなうドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの拠点になると考えます。
 新ビジョンにおきまして、ポスト東京時代の日本の理想郷を創るを進展させるものとして静岡県をドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの拠点にというものを提示した次第であります。今後は東京から静岡を見るのではなくグローバルな観点いわば世界から見た静岡県という視点に立ちまして、世界の人々が憧れて来る「住んでよし 訪れてよし 働いてよし 学んでよし」の魅力ある地域をこの静岡の地に全国に先駆けて実現してまいりたいと考えております。
 国家的見地に立ち、新しい日本づくりの先導役を担うという強い決意に全く変わりはありません。霊峰富士の姿にふさわしい、富国有徳の美しい“ふじのくに”の人づくり・富づくりに全身全霊をささげて邁進いたしますので県議会の皆様の御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。
 次に、県の組織改編についてであります。
 平成三十年度は新ビジョンのスタートに当たり、スピード感を持って政策を着実に実行することが求められます。そのため日ごろから政策と予算に関する情報を共有し一体的に取り組めるよう財政課を知事直轄組織に移管いたしました。それとともに総合計画課を総合政策課に改称いたしまして、これらを所管する政策推進局を新しく設置いたします。政策を実行していく上で各部局と議論を重ね、そしてそれとともに県議会とも県政の運営に関し意思疎通を図ることが非常に重要であります。その政策推進と財政運営のかじ取り役として政策推進担当部長を知事直轄組織に設置することとしております。
 これまで、平成二十八年度の組織改編におきまして迅速な意思決定と柔軟で機動的な対応を図るために知事直轄組織を設置いたしました。平成二十九年度には後期アクションプランの総仕上げとともに新しい総合計画策定に向けて政策立案機能を知事直轄組織に集約いたしました。また平成二十八年度以降、政策決定の新たな仕組みとして知事戦略会議や政策調整会議を導入しているところであります。私や副知事が関係部局長と政策議論を徹底的に行い、県の重点施策の決定や戦略的な予算配分を行うなど政策推進と予算編成を連動させた取り組みを進めてまいりました。こうした取り組みを踏まえまして、今回の組織改編により新ビジョンをスタートする最適な体制が整ったものと考えております。
 なお、県税に関する業務は引き続き経営管理部の所管としておりますが、公平公正な課税のもと適切に徴収される県税を経営管理部において確実に見積もり、これを歳入予算として予算編成に反映いたしますので財政規律の点で何ら心配はないと考えております。
 また、四圏域の中核機関として地域局を設置いたします。この地域局の設置によりまして、今まで以上に地域において市町や関係団体と顔の見える関係を築き危機管理と地域支援を一体的に推進することができます。そのことにより平時から災害があった場合の復旧・復興まで、安全・安心で魅力ある地域づくりが進められると考えております。
 加えまして、農地局の移管により農業の生産性向上や新しいビジネス展開を図る施策とそれらの取り組みを支える生産基盤整備を一体的に行うことといたしました。これによりまして本県農業の競争力強化に向けた体制を整備いたします。
 また、それぞれの部局の枠におさまらない複雑化、高度化する行政課題の解決に向けまして政策目的に応じた組織づくりに取り組んでいるところであります。部局間における連携や専門的な視点を補うため部局横断的タスクフォースや専任チームを設置いたします。それとともに特命事項を担当する理事などの職を設置いたします。そしてその職にふさわしい能力や知識を備えた職員を配置することとしております。
 今後も、変動する時代のニーズを的確に捉え、行政現場の声や関係団体の皆様からの御意見を丁寧に伺い不断の検証を重ねながら柔軟で機動的な組織づくりに取り組むことで富国有徳の美しい“ふじのくに”づくりを目指してまいります。
 次に、平成三十年度当初予算編成についてであります。
 平成三十年度当初予算の編成に当たりましては、自民改革会議の皆様からいただきました七つの要望項目や御意見を真摯に受けとめておりまして可能な限り予算案に盛り込んだところであります。
 御要望項目の一つ目、経済成長の加速と産業人材の確保への対応でありますが、これに対しましてはファルマバレー、フーズ・サイエンスヒルズ、フォトンバレーの三つのクラスターについてそれぞれの中核支援機関の機能を強化し企業の製品開発や販路開拓などをきめ細かく支援することにより経済成長を加速してまいります。また企業の生産性や経営力の向上を図るために経営革新計画の承認、あるいは生産性向上等に取り組む企業に対する助成枠を二倍以上に拡大いたします。これらは中小企業への支援を一層充実するためのものであります。
 産業人材の確保につきましては、製造業と農林業を支える高度な技術を持つ人材を育成するため清水、沼津の技術専門校の短期大学化並びに農林大学校の専門職大学化を進めます。
 二つ目の御要望項目は、人口減少社会を克服する子育て支援と医療・福祉の充実であります。
 これに対しましては、待機児童の解消に向け二十一カ所の保育所等の整備を進め入所定員を九百五十七人増加させます。それとともに必要となる保育人材を確保するため能力と経験に応じた処遇改善を図るキャリアアップ制度を普及してまいります。
 健康寿命のさらなる延伸に向けましては、県立総合病院リサーチサポートセンターを中核として社会健康医学にかかわる研究を開始いたします。また障害を理由とする差別の解消を図るため各種団体と連携し、ヘルプマークの普及啓発やユニバーサルタクシーでありますUDタクシーの導入などに取り組んでまいります。
 三つ目の御要望項目、豊かな県民の暮らしの実現に対しましては、地域の身近な道路や河川の新設、改良などを行う県単独生活環境整備事業を前年度から十億円を増額して二百八十億円といたしました。舗装補修など適切な予防保全によりまして道路の長寿命化を図り、快適な交通基盤の確保にも配慮してまいります。
 四つ目の御要望項目は、本県の魅力を生かした観光・交流の促進でありますが、これに対しましてはラグビーワールドカップ二〇一九、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの成功に向け競技会場の整備を初め交通輸送計画や警備計画の策定、県民の機運醸成など万全な準備を進めてまいります。またこれら世界的なイベントなどの機会を捉えまして本県が持つ世界クラスの魅力を発信し、国内外からの観光客を呼び込むため静岡ツーリズムビューローが実施するインバウンド対策への支援や地域DMOとの連携も強化してまいります。
 五つ目の御要望項目は、教育・人づくりの充実でありますが、これに対しましては魅力ある学校づくりに向けスポーツ、演劇等の新たな専門学科の研究など技芸を磨く実学の奨励を進めるとともにICT教育の充実を図ります。そのため全ての県立学校に無線LAN環境を整備いたします。また特別支援学校における教育環境を一層充実するため来年の夏までに全ての普通教室に空調設備を設置いたします。
 六つ目の御要望項目は、県民の生命・財産を守る危機管理体制の強化であります。これに対しましては南海トラフ地震に関する情報が発表された場合の新たな防災対応の策定に取り組みますほか、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づく取り組みを着実かつ迅速に進めるため平成二十九年度二月補正予算と合わせて道路、河川、港湾の防災・減災対策などに取り組んでまいります。
 七つ目の御要望項目は、行財政改革の推進でありますが、これに対しましては企業収益の改善による県税収入の増加や歳出の見直しなどにより財源不足額を前年度の四百五十六億円から大幅に二百十八億円に圧縮いたしました。翌年度以降に活用可能な基金につきましては前年度より百五十二億円多い三百十三億円確保いたしました。また平成二十九年度二月補正予算におきましては生産性革命、人づくり革命、TPP対策等々を狙いとする国の補正予算を活用し企業の次世代自動車の部品開発に必要な試験施設を浜松工業技術支援センターに整備いたします。そのほか農業生産基盤の整備や間伐材生産・路網の整備への支援などを進めてまいります。
 さらに、新しい総合計画を着実に推進するため県税収入の増加分などを活用してふじのくにづくり推進基金を二百億円積み増しいたします。こうして今後の県政運営を支える予算を編成できたものと考えております。本県経済の成長を確かなものとし県民の皆様の生活と幸福度の向上を実現するため、静岡県の新ビジョン、富国有徳の美しい“ふじのくに”の人づくり・富づくりにスピード感を持って全力で取り組んでまいる覚悟であります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 増井地域外交監。
       (地域外交監 増井浩二君登壇)
○地域外交監(増井浩二君) 知事の政治姿勢についてのうち、地域外交による県民への効果についてお答えいたします。
 これまでの地域外交の成果につきましては、現在の総合計画がスタートした平成二十二年と直近の状況を比較いたしますと観光分野では海外でのプロモーションや富士山静岡空港への路線誘致等により県内の外国人延べ宿泊者数が六十万人から百五十七万人に、静岡空港の外国人出入国者数は十三万人から二十一万六千人に増加しております。経済分野では海外ビジネスサポートデスクの設置等により県内企業の海外事業所数が九百六十二事業所から千二百八十事業所に増加するなど、着実に成果が上がってきております。
 また、教育・文化分野でも高校生の海外への修学旅行の推奨を初め中国浙江省との青年交流や友好交流卓球大会、モンゴル、台湾の高校生との相互交流、民間外交への積極的支援などを通じて青少年の国際化や県民の異文化への理解が着実に進んでいると考えております。
 こうした成果をさらに拡大させていくため、現在見直し作業を進めている次期地域外交基本方針では人をつくり、富をつくり、平和を築く地域外交を展開することを戦略方針に掲げるとともに、国・地域ごとに中期的視点による重点的取り組みを記載し今後施策を進めていく上での方向性を示してまいります。数値目標につきましても、次期総合計画における成果指標、活動指標を基本として輸出商談会・見本市等参加事業者数や県内港湾のクルーズ船による寄港人数など特に経済分野を中心に充実させてまいります。また施策の展開に当たりましては基本方針の実施計画となるアクションプログラムを策定し国・地域ごとに取り組みの実績を把握して適切に進捗管理を図るとともに、その成果を公表してまいります。
 今後とも、県民の皆様や県内企業が多くの恩恵を享受できその成果をわかりやすくお示しできるよう積極的に地域外交を推進してまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 相坂摂治君。
       (五十番 相坂摂治君登壇)
○五十番(相坂摂治君) それぞれ御答弁をいただきましたが、一つずつ少しコメントだけ、要望だけ申し上げたいと思います。
 まず、総合計画の理念についてでありますが知事からは富国有徳の、これまで知事が述べてこられたことを今回も語っていただきましたけれども、理念的な目指す姿というよりもむしろ知事がその書籍の中で示した制度的な挑戦について今回のドリームズ カム トゥルー イン ジャパンというのはかなり個に着目をした理念であって、制度的な挑戦はどのように行われていくのかが非常にわかりにくいという印象を私は持ちました。この総合計画は前回の我々の検証の中でも、役所にある予算や人員が投下されれば事業はもちろん進みますが、その理念がどの程度達成されたかについては前回の総合計画ではかなり低い数値を示しました。この理念をよりわかりやすく、この理念がしっかりと具体的な数値に落とされるように総合計画を見直す中で進めていただきたいと思います。
 それから、組織改編についてでありますが、なぜ今、経営管理部から財政課を引き離す、今の体制にどんな課題があるかということについては語っていただくことがありませんでしたけれども、やはり全国的にこうした例がないという、私が先ほど申し上げたように制度的な、あるいは強権による恣意的な予算出動を防ぐという行政のみずからの戒めが必ずこの組織運営にはあるだろうと思います。ですから今回のこの改編については今後の見直しも含めて、知事の当局との意見交換の中で謙虚な姿勢を求めていきたいと思います。
 次に、当初予算についてはかなり御丁寧に対応もしていただきましたし、ありがとうございました。ただ一点だけ補正予算あるいは公共事業の予算を年間を通じてこれまでも執行してまいりましたけれども、年度末になるとどうしてもこの公共事業予算というものが繰り越されてしまうケースが多々あります。これについては各執行体制の中で年度内に着実にこの予算を消化して、これが経済効果につながるような組織体制、人員の作業体制を改めて見直していただきたいと思います。これは平成二十九年度当初予算を今執行、あるいは契約を結んでいるものもあります。平成二十九年度の補正予算がこれに間に合うかどうかということもありますのでぜひ組織の見直し、あるいは人員の作業の見直しを行っていただきたいと思います。
 それでは、次の質問に入りたいと思います。
 次に、事業者との防災協定の見直しについて伺います。
 二〇一八年四月現在、本県は各種の団体、事業者と計六百九十七本の防災協定を結んでおります。例えば県医師会とは災害時に設置される救護所への医師の派遣について、薬剤師会とは緊急時の薬剤の供給についてそれぞれ医療救護活動の体制を整備していただくこと、建設や設備関係の諸団体とは円滑な応急復旧工事の実施体制を整備していただくことなど過去に発生した災害対応を参考に事業者の力を借りなければ対応できない事項について多くの取り決めを事前に想定して迅速な人命救助や復旧・復興に備えようとしております。
 しかしながら、昨年実施した県政検証でも指摘したとおり、この防災協定締結後の実情を見直してみると締結時期から相当の期間が経過しその後一度も双方の見直しが行われていないものも多く、東日本大震災による教訓や突発的な火山災害への対応が盛り込まれていないものも多数存在しております。防災協定の見直し作業について県当局とはこれまでも議論を重ねてきましたが、現状では諸団体からの申し出を基本に必要に応じてその検証を行い協定内容を改定しているケースが多く、県の担当セクション側においては計画的にその内容の必要性や時代に応じた妥当性が検討されていないものもあるとのことです。
 私たち自民改革会議は、新総合計画や来年度予算の要望書などにおいても繰り返しその必要性を訴えてまいりましたが、この際危機管理部の取りまとめのもとで全ての防災協定について締結した各部各課の担当者がタスクフォースを組みその必要性と妥当性、趣旨の双方理解の徹底や訓練の実施も視野に全七百本の協定を刷新すべきものと考えますが、当局のお考えと今後の取り組み方針について伺います。
 次に、豊かな暮らし空間の実現について質問します。
 ことし一月二十九日に総務省が公表した人口移動報告では、本県が引き続き転出超過であることが示されました。移住・定住の促進や東京圏の若者への就職支援などの政策効果が十分発揮されるためにはさらなる制度の充実が求められますが、ここでは特に若い世代の方々が求める町の魅力とは何かについて御提案を申し上げたいと思います。
 第一に、自己実現できる仕事がありその成長が見込めること。第二に高度な教育施設が充実しており、世代を超えて知的好奇心が満たされること。第三に生活空間の安全と豊かさであります。
 二〇一三年、神奈川県藤沢市に誕生した藤沢サスティナブルスマートタウンについて紹介したいと思います。
 旧松下電器産業の工場跡地十九・三ヘクタールを敷地に藤沢市が区画整理事業を企画、パナソニック株式会社とパートナー企業とが連携して市と合意を締結、環境行動の先導的なモデルプロジェクトとして一千百戸の住宅を整備、着手からわずかの期間で住宅は完売となり今では環境との調和、次世代型の生活空間として広く注目を集めております。
 まず、環境への取り組みとしてCO2の七〇%、生活排水の三〇%を削減、再生可能エネルギー利用率を三〇%以上との目標を掲げ太陽光による発電と蓄電、各家庭のテレビにエネルギー使用のモニターが届けられ、車の所有はせずに次世代自動車をシェアすることが全住民で合意されております。さらに町全体の緑化は公園や道路など街区の全域で実現しており、車を所有しないかわりに循環型のバスの自主運行、中央部に設けられたコミッティセンターは地域の活性化を促すイベント会場としてばかりではなく屋上は津波からの避難施設として整備がなされ備蓄を含む防災センターも設置されております。防犯への配慮もきめ細かく、防犯カメラの完備ばかりか歩道を歩く際にはセンサーで感知して歩く方向だけを照らす省エネ型の街灯が施され、特別養護老人ホーム、高齢者向け住宅に各種クリニック、保育所や学習塾までも住民の人口規模に応じて整備されております。そして町の中心には書店と一体化したショッピングセンターが他の地域からの人々の流入をももたらしております。この町で目にしなかったものは居酒屋だけでありました。
 この町には日々開発される生活上の新たな産業技術が集積しています。この技術を活用することで住民の自治は町全体の医療や福祉、教育をどのような水準まで高めていくかにまで及んでおり、既存の住宅街から寄せられる不便解消の要望とは一線を画しているものと受けとめております。
 さて、本県においても豊かな暮らし空間の創生に取り組んでおります。かつては知事も家・庭一体のまちづくりを提唱しておられましたが、今のところ目立った取り組みは例を見ておりません。県内でも内陸フロンティアの指定区域で街区の形成が進んでおり、県からも一定の支援が行われております。
 そこで伺いますが、県として豊かな暮らし空間の実現に向けて今後どのように取り組んでいかれるのか御所見を伺いたいと思います。
 次に、文化力の拠点整備について伺います。
 東静岡地区の整備については、平成二年の大臣承認から既に三十年近くが経過しており、この間グランシップ以外の恒久的な利用が実現しないまま今日を迎えましたが、昨年九月の県議会定例会での我が会派の代表質問への答弁でようやく一定の方向が示されました。東静岡駅南口の県有地に文化力の拠点を形成するに当たり、県立中央図書館の東静岡への全館移転と図書館機能を中心とした公的施設の先行整備による段階的整備の二点であります。
 そもそも知事は、この地を中心に学住一体のまちづくりを進める方針を示してこられましたが、現在進められている隣接する草薙駅周辺への大学整備とも連携を模索し本県を代表する大学が集積する東静岡地区においては図書館の機能を十分に活用できる学生の創造を目指し、新たな学生研究の拠点、情報と流行の発信拠点となる機能を期待するものであります。
 これまで長い間議論されてきた東静岡地区の整備のあり方については、図書館機能の全面移転の決定によってこれまで取りまとめてきた意見の整理が必要な段階を迎えておりますが、改めて文化力の拠点の形成に向けた全体構想について現在の検討状況を伺います。
 また、県立中央図書館を中心とした公的機能の先行整備に当たりましては新しい図書館が文化力の拠点の三つのコンセプト、創造・発信、学ぶ・人づくり、出会い・交わるを実現しつつ立地の好条件も生かして全国でも有数の図書館機能を備えるべきだと考えます。先行して整備を行っている石川県や沖縄県では二万平米に及ぶ規模だと聞いておりますが、ぜひとも他県に負けない日本一の図書館をつくる気概を持ち高度な図書館機能を存分に使いこなし得る県民の機運醸成にも努めていただきたいと思います。
 大規模な図書館整備は数十年に一度の大事業であります。今回の整備が単なる移転改築にとどまらず文化力の拠点に備えられる他の機能と相互に作用し合い、県都静岡市の中心にふさわしい、県全域の中心にふさわしい若く新しい空間となることを期待するものであります。
 そこで、文化力の拠点を構成する一つとしての県立中央図書館の目指すべき姿をどのように考えているのかあわせて伺います。
 さらに、中央図書館の全館移転に伴って現在の谷田にある中央図書館の跡地の利用についても美術館や県立大学と隣接する貴重な文教地区の一画として今後の検討が必要であります。あわせてその利用方法について、知事のお考えを伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 文化力の拠点についてお答えいたします。
 私は、平成二十六年、四年前の六月県議会本会議におきまして東静岡駅南口県有地への文化力の拠点の形成に向けて検討を開始すると表明いたしました。以来まずは高階秀爾先生を会長とする有識者会議を設置いたしました。続けて東京大学名誉教授の伊藤滋先生を会長とする専門家会議を設置し、それぞれの会議において御議論をいただきまして平成二十八年度までに基本構想や基本計画案を取りまとめてまいりました。
 その中で、導入機能の一つである図書館につきましては東静岡の文化力の拠点と現県立中央図書館におきまして図書館機能を分けることを前提に検討してまいりました。県立図書館のほうはいわば研究専門図書館、そして東静岡のほうはいわば一般の図書館という、そういう役割分担で検討してきたわけであります。
 しかし、昨年六月に県立中央図書館の床のひび割れが確認されまして継続使用に大きな課題があることが判明いたしました。そのことから、さきの県議会九月定例会におきまして県立中央図書館を東静岡に全館移転する方針をお示しした次第であります。
 また、民間事業者へのヒアリング結果なども踏まえまして基本計画案に掲げる機能を一度に実現するのではなくまず早期に整備する必要がある図書館を中心とする公的施設を先行整備し、その後段階的に拠点の形成を進めていく方針をあわせてお示しいたしました。現在庁内プロジェクトチームにおきまして具体的な検討を進めているところであります。
 議員御指摘のとおり、本プロジェクトは学住一体のまちづくりの考え方を引き継いだものであります。先行施設には図書館を中心としつつ若者が集い学ぶとともに、にぎわいの創出につながるよう留学生と日本人学生等との交流などの機能を持つ大学コンソーシアムの拠点、あるいは本県の食、お茶の魅力を発信するレストランやカフェなどに加え拠点の価値を高める新たな民間機能の可能性も検討しておりまして、本年度内には導入する機能などを骨子案として固めていく予定であります。
 新たな県立中央図書館につきましては、県民の皆様の生涯学習、読書活動の拠点であります。またふじのくにのことなら何でもわかる図書館、県内市立図書館、町立図書館への支援といった本来県立図書館の果たすべき知のインフラとしての機能を確実に果たすものにするべきだと考えております。さらに情報や知識の提供にとどまらず文化力の拠点に導入する多様な機能との相乗効果により若者を初め多くの県民の皆様が出会い、交わり、静岡の新しい文化を創造する場となる図書館を目指してまいります。
 なお、図書館移転後の跡地につきましては県立大学や県立美術館と隣接した文化の丘ゾーンの一角でございますので、文教関連施設としての活用などこの地域全体の文教的価値を高める効果的な活用のあり方を検討してまいります。
 来年度は先行施設整備計画を策定する予定でございます。先行施設におきましても文化力の拠点の三つのコンセプト全てを実現しつつ、本県の高い文化力の発信によりましてにぎわいと交流を生む拠点を早期に実現できるよう着実に取り組みを進めてまいります。以上でございます。
○議長(杉山盛雄君) 杉保危機管理部長。
○危機管理部長(杉保聡正君) 事業者との防災協定の見直しについてお答えをいたします。
 県では、大規模災害発生時の災害応急対策が適切に実施できるよう食料、医療品等の物資の供給、緊急輸送路の確保、応急復旧工事の施工等に関して多方面にわたる防災協定を締結しております。こうした協定につきましては毎年相手方の連絡窓口を確認しているほか、訓練等から得た課題への対策を反映するなどの見直しを行っております。
 最近では、災害時のLPガスの供給に関する協定や新東名高速道路のサービスエリアの防災拠点化に関する協定について現状を踏まえた見直しを実施いたしました。また協定の実効性を高めるために毎年情報交換会を開催し、お互いに顔の見える関係を構築しております。
 しかしながら、締結から相当な期間が経過している協定もあることから国や県の支援・受援計画を適切に反映しているか、近年発生した災害の教訓が生かされているかなどといった視点から関係部局と連携して現在締結している六百九十七の全ての協定について総点検を実施した上で来年度中を目途に必要な見直しが完了できるよう取り組んでまいります。あわせて点検により新たに協定を締結すべき分野を明らかにし具体的な協定締結に向けた取り組みを進めてまいります。
 県といたしましては、南海トラフ地震等の大規模災害の発生に備え引き続き事業者との連携を進め県全体の防災力の向上に努めてまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 木くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(木利夫君) 豊かな暮らし空間の実現についてお答えいたします。
 県では、県民一人一人が住む町のよさを認識し住宅や住環境に愛着と誇りを持った魅力的な住まいづくりを推進するため生活と自然が調和し、地域コミュニティーが形成され、景観にも配慮された豊かな暮らし空間の倍増の実現に取り組んでおります。現在までに豊かな暮らし空間として認定しました住宅地は七団地二百三十九戸まで増加いたしまして、次期総合計画の目標であります累計四百戸を目指し着実に推進してまいります。
 認定した住宅地の中には、居住空間としての豊かさに加え太陽光発電などの再生可能エネルギーの活用や地域防災力の高い住宅地も整備されております。例えば富士市の住宅地では富士山の眺望や豊かな並木を生かした配置計画に加え、全戸をゼロエネルギーハウス――ZEHとするほか災害時に備え太陽光発電と蓄電池により電源を確保した集会所やマンホール式の仮設トイレを設置できる公園などを有しております。
 県といたしましては、市町や住宅、エネルギー、ITなどさまざまな分野の事業者と情報交換や事例研究の場を設けるなど連携を強化し新しい技術を取り入れながら豊かな暮らし空間の実現に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 相坂摂治君。
       (五十番 相坂摂治君登壇)
○五十番(相坂摂治君) 文化力の拠点について一点、御要望申し上げます。
 今年度中に計画見通しを立てて先行整備するものを来年度計画化させていくということで御答弁がありましたけれども、これまでもこの地域の検討には随分な時間をかけて、今までもさまざまな要素が上がってきてそこに図書館が入ってきたという状況になっておりますから、もうこれ以上検討の時間をそれほどかけずに今から早急にまとめ上げて形のあるものに早くつくり上げていただきたいと思います。
 それから、防災協定はかなり前向きな御答弁をいただきましたのでぜひ来年度見直しを行っていただいて、確実な早期に相互の訓練に至るまでですね、この取り組みを進めていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 それでは次に、社会健康医学の研究推進について伺います。
 本県は全国トップクラスの健康長寿県であり、男性は平均七十二・一三歳まで、女性は平均七十五・六一歳で日常生活に支障がなく健康で過ごしていると言われています。
 県議会では、平成二十八年十二月議会において我が会派が提案して協議を申し入れたみんなで取り組む健康長寿条例を議員提案で制定し、年齢を重ねてもいつまでも元気で社会の担い手として活躍できることを目指し県民総ぐるみで健康長寿日本一を推進しようとするものであります。
 さて、このたび県当局においても健康寿命の延伸に向けた施策の一環として社会健康医学の研究推進に取り組むものと伺いました。既に外部有識者で構成する検討委員会からの意見を踏まえ基本計画を策定する予定であり、これに向けて今月十四日には検討委員会の委員長である京都大学の本庶佑特別教授より知事に対して基本計画に対する意見書が提出されたところであります。この意見書には早期に取り組める研究への着手によって成果を県民に還元することや人材育成に向けた大学院大学の設置などが盛り込まれており、研究が進めば健康寿命の延伸につながる適切な社会生活のあり方について世代を超えた提言が確立されるものと伺っております。
 そこで、来年度以降の研究推進の取り組みについて県の方針を伺うとともに、県民一人一人の主体的な取り組みにどのようにつなげていくのかお伺いしたいと思います。
 次に、次世代産業の創出について伺います。
 第四次産業革命とも呼ばれるIoTやビッグデータ、AIなどの急速な技術革新はこれまでの産業構造の世界的な規模での再構築をもたらすと言われています。我が国が国際競争に打ち勝ち持続的に発展していくためには、地方経済社会においても独自の得意分野とされる各種の産業がこうした技術革新を他に先駆けて導入し、人口減少に伴う労働力不足に向けた省力化と生産性の飛躍的な向上に到達しなくてはなりません。
 本県では、これまで県立静岡がんセンターの開院を契機に始まったファルマバレープロジェクトや豊富な食材を生かしたフーズ・サイエンスヒルズプロジェクト、西部に集積してきた技術を応用するフォトンバレープロジェクトの三つの新産業集積クラスターに加え航空宇宙分野、次世代自動車産業、セルロースナノファイバープロジェクトなどが次世代産業の中核を担う産業と位置づけられ、このほど改定された静岡県経済産業ビジョンにもその期待と将来への投資の重要性が示されたところであります。
 新たな技術の登場に地元企業を融合させ資金を循環させる、中小企業の競争力を引き出すための資金援助に金融機関の積極的な参画を促すなど地方行政にも新たな政策展開が求められております。重要なのはオープンイノベーションの動きに連動して競争力を高めていく地元中小企業の成長を後押しする仕組みづくりであり、新たな価値を創造し続ける事業者を次々と誕生させていける技術開発とビジネス創造の好循環であり、これによってまた新たな結合スタイルを生み出す気概をあふれさせることであります。国際競争力のある成長産業へと構造転換していくために、次世代産業の創出に向けた県の今後の取り組みについて伺います。
 次に、農業の成長産業化に向けた取り組みについて伺います。
 国が昨年十二月に公表した本県の平成二十八年の農業産出額は二千二百六十六億円であり、十年前と比較して百七十七億円の減少となっております。一方で茨城県や群馬県などでは同じ時期に野菜や畜産を中心に三百億円以上の成長を達成しました。本県が農業を成長産業の一つとして裾野を広げることができるかどうか、この分野にも新たな展望が求められておりますが現状は極めて厳しい状況にあります。
 まず、農業従事者のおよそ三分の二が六十五歳以上という高齢化と同時に農家戸数も十年前から三割が減少しました。さらに荒廃農地は年々新たに発生する動きを抑制できず、平成二十八年末で五千八百十九ヘクタールにも及びました。こうした現状を踏まえると早急に省力化に寄与する技術を生産現場に導入すること、大量生産に適した作物と高ブランド化を図って付加価値を高めるべき作物とを選別しそれに見合った農地を確保すること、行政も含め海外市場のマーケティングを行ってその販路を獲得することなど強力な処方箋が必要であります。
 直近の情勢では、全国的に供給が不足する作物も指摘されており、今後もこうした状況が続けばTPPや日欧EPAなどによる経済のグローバル化が進む中で海外の農産物にシェアを奪われることも想定しなくてはなりません。
 このような状況の中、県は次期経済産業ビジョン二〇一八から二〇二一農業・農村編の案において三年後の二〇二一年の本県農業産出額を二千四百億円にすると高い目標を提示しました。これを達成するためには大胆かつ早急な政策転換が必要であります。
 特に、IoTやロボット技術など先端技術の導入による生産性の飛躍的な向上や企業参入者、新規就農者を含めた意欲ある農業者に対する集中的な支援などにより本県農業の成長産業化を急がなくてはなりませんが、県の今後の方針を伺います。
 次に、清水港周辺のまちづくりについて伺います。
 県と静岡市は、昨年三月JR清水駅東口周辺及び清水港江尻地区から日の出地区までを清水港ウオーターフロント地区と位置づけ、地区の目指す姿を開発基本方針として取りまとめ緑地と一体となった防潮堤整備や交流空間の創出を進めていく方向性を打ち出しました。その一つの拠点である日の出埠頭は寄港するクルーズ船の数も大幅に増加しており、昨年十二月に県が公表した国際旅客船拠点形成計画のもと、人々が集う拠点として連携するクルーズ船会社とともに進める受け入れ環境の整備により一層のにぎわいの創出が期待されます。
 一方、静岡市は清水港海洋文化拠点施設基本構想を平成二十九年六月に公表しており、来年度新たな組織を立ち上げ海洋文化拠点施設の実現に向けた検討を推進すると聞いており、港周辺への国内外からの来訪客の増加に大きく寄与するものと期待されています。
 さらに、これらの動きに触発されるかのように例えば折戸地区では民間団体が中心となり折戸湾再開発プラン報告書を平成二十九年二月に公表するなど、清水港周辺では近年複数のプロジェクトや構想が動き出そうとしています。昨年清水港をクルーズ船で訪れた乗客数は五万人を突破したと伝えられており、ことしはさらに船隻数が倍増するとの報道もあり、清水港を整備する機運が整ってまいりました。しかしこれまでのところクルーズ船寄港の効果が地元で十分に享受されていないとの声もあり、現在検討されているさまざまな開発プロジェクトの計画を速やかに実行に移し港湾と町の一体化、周遊を定着させる町並みの整備と地元企業による投資を促進していち早く経済波及効果を生み出したいところであります。
 そこで、県は今後どのように清水港周辺の整備を進めクルーズ船寄港の効果とつなげていくのか、その方針を伺います。
 次に、今後の教育行政の推進について伺います。
 木苗教育長は、県立大学の学長を経て新教育委員会制度による初めての教育長として三年目を迎えます。これまでの人口構造の変化や情報化技術の急速な進歩とグローバル化の進展に加え、近年では貧困問題などの経済格差や過労死などを受けた働き方改革など教育に影響を及ぼす社会情勢も大きく変化しております。こうした情勢の変化に伴い、教育界では児童や生徒が迎える将来の社会のありようを見据え子供たちがこれからどんな力を身につけていかなくてはならないのか、あらゆる想定をしながら場面に応じた適切な指導が求められております。AIや情報技術の進歩によって数年後には今ある仕事の大半が代替可能になるとも言われる一方、外国人とともに同じ職場で働くことも当たり前となり、コミュニケーション能力のみならず多様性への理解と共存する姿勢も必要な時代を迎えます。
 さて、国の人づくり革命では幼児教育や大学教育の無償化も検討が始まる中、学習指導要領の改訂では知識や技能の習得にとどまらず主体的で対話的な学びを実現するために学習課程が改善され、二〇二〇年度からはこの方針に沿って大学入学への新たな共通テストが導入されることにもなりました。
 こうした中、来年度の本県は新たな総合計画をスタートさせ、同時に県教育振興基本計画も動き出す節目を迎えます。特に来年度予算には学校をサポートする事務職員の増加によって教員の本来業務への時間を確保することや民間の人材を活用した学力向上への新たな施策が盛り込まれるなど、学校での教育現場にも改善が見込まれる取り組みが網羅されております。
 そこで、県が目指す有徳の人の育成に向け必要となる知識、技能の習得や人材育成など、どのように施策を実施していかれるのか、木苗教育長の御所見をお伺いします。
 次に、特別支援学校の教育環境の充実について伺います。
 教育委員会では、老朽化への対応として肢体不自由を対象とする西部特別支援学校を本年度移転改築し、東部特別支援学校についても改築工事を現在進めており、来年度中には完成する見込みであります。また先日二月八日には今後十年間を計画期間とする静岡県立特別支援学校施設整備基本計画が公表され、西部、東部の先行整備に加え新たに御殿場・裾野、富士・富士宮そして静岡の三地区における知的障害特別支援学校を早期に整備するとの方針が示されました。特別支援学校に通う児童生徒、保護者の方々からは教員の方々の献身的な指導に感謝する声を伺うことも多いのですが、子供たちの増加に伴って施設が狭くなり、また体温調節の苦手な児童もいることから学習環境の改善を望む声も多数寄せられております。
 近年の著しい児童生徒の増加や熱中症への対策が強く求められている例年の夏の酷暑を考えれば、こうした傾向は県内の特別支援学校に共通している課題であるのも当然であり、我が会派からもその改善と充実をかねてから求めてまいりました。
 そこで、この計画の実現について県教育委員会の今後の取り組み方針と、ハード面での整備に加え教育の質の向上についても教育長のお考えを伺いたいと思います。
 次に、平成三十年の県警察の取り組みについて伺います。
 平成二十九年の県内の刑法犯認知件数は、前年から五・五%、約千二百件減少した二万八百六十九件で十五年連続での減少とともに戦後最少を更新したとのことであります。ピークであった平成十四年の三分の一の件数にとどまっています。また交通事故についても件数、死者数、負傷者数ともに減少しており、特に死者数は昭和二十八年以降最少となる百二十八人まで減少すると一定の効果が見えております。
 とはいえ、件数は減少しても高齢者を狙った特殊詐欺の認知件数は前年から大幅に増加し、また高齢者が加害者や被害者となる交通事故の発生も頻発しており、超高齢社会における課題が浮き彫りになってまいりました。さらに科学技術の発展とともにサイバー空間における犯罪が一層巧妙化しているほか、子供や女性を対象とした性的犯罪、DVやストーカー、児童虐待等の人身の安全に関連する事案や暴力団等の組織犯罪対策も依然として存在し警察が対応しなければならない事象は多岐にわたっています。
 また、本県では平成三十一年九月にはラグビーワールドカップ二〇一九、その翌年には東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されることからテロ対策や交通対策への取り組みについては万全を期していかなくてはなりません。警察業務の現場は昼夜を問わず多忙をきわめる時期もあろうかと存じますが、県民の信頼と期待に応え続ける県警察であってほしいと願っております。
 そこで、ことし一年の県警察本部の取り組み方針について筋警察本部長にお伺いしたいと思います。以上、答弁を求めます。
○議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 社会健康医学の研究推進についてお答えいたします。
 県では今年度、京都大学高等研究院の本庶佑特別教授を委員長とする「社会健康医学」基本計画策定委員会におきまして、県民の健康寿命を延伸するため県が取り組む研究や健康施策を推進する人材の育成などについて五回にわたって御議論をいただきました。今月十四日には本庶先生から基本計画に関しまして五つの項目について御意見をいただいたところであります。
 重立ったところを紹介いたしますと、第一に社会健康医学の推進は研究者のための研究によるのではなく県民のための研究でなくてはならないので県民にわかりやすく提示すること、第二に研究成果を具体的な健康増進施策、疫病予防対策として県民に随時還元していくこと、第三に県民の健康寿命の延伸に貢献できる人材を育成すること、第四に医療機関と有機的に連携できる環境を整えること、第五に地域の健康寿命の延伸に特化した大学院大学を設置することであります。
 これらの議論を受けまして私どもは基本計画の策定に取り組んでいるところでありますが、本年度中に基本計画を取りまとめます。来年度は本年度中に取りまとめるこの基本計画に基づきまして県立総合病院の先端医学棟に設置されたリサーチサポートセンターを活用して研究体制を整え、早期に成果の得られる研究に着手いたします。県民の健康寿命延伸のため随時成果は還元いたします。
 具体的には、本県に比較的多い脳卒中に対する塩分摂取の影響を調べ企業などと連携いたしまして塩分の少ない食品の開発と普及に取り組みます。あるいは県民お一人お一人の健診データを経年的に結びつけることにより現在の健康状況を明らかにし、早期の保健指導に結びつく研究などを予定しております。
 また、社会健康医学の研究を長期的、継続的に推進し研究成果を医療現場や健康づくり施策に着実に還元できる人材を育成し、本県が寿命延伸の中核拠点となるためには研究体制をさらに充実していくことが必要であります。このため将来的には地域の健康寿命の延伸に役立てる大学院大学の設置を目指します。
 社会健康医学の研究に取り組むことは、みんなで取り組む健康長寿条例の目的である本県の健康寿命の延伸と効果的な健康増進施策の創出を初め県民の健康意識の醸成や県内の医療水準の向上につながることから、この研究は県民の県民による県民のためのものと考えております。社会健康医学の研究成果を県民の皆様にわかりやすく還元することで県民の皆様お一人お一人がみずからの健康に関心を持っていただき、みずからの健康づくりや疾病予防に向けた活動を主体的にかつ日常的に取り組んでいただくことで本県の健康寿命を一層延伸させてまいります。
 県としましては、今後人口減少・超高齢社会にあっても県民誰もが明るい希望を持って幸せを実感しながら暮らすことのできる、世界から憧れを呼ぶ健康長寿ふじのくにとなるよう社会健康医学の研究を推進してまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 難波副知事。
○副知事(難波喬司君) 次世代産業の創出についてお答えをいたします。
 近年、IoT、AI――人工知能などの科学技術の急激な進展や自動車のEV――電気自動車化への流れが速まるなど本県産業を取り巻く環境は大きな転換期を迎えています。
 こうした中、県ではイノベーション、あるいは新たな価値が絶えず生み出される社会づくりなどにより本県経済を持続的に発展させていくため、次世代産業の創出など五つの柱から成る静岡県産業成長戦略に基づき官民一体となった取り組みを推進をしております。
 具体的には、静岡新産業集積クラスターのさらなる強化のほかEV化への対応を含めた新たな成長産業の育成などオープンイノベーション、産学官金の連携を重視をして次世代産業の創出に積極的に取り組んでいるところです。
 ファルマバレーでは、新たに設立したふじのくに医療城下町推進機構がゲノム医療や超高齢社会へ対応した機器開発等への展開を図ってまいります。フーズ・サイエンスヒルズでは化粧品や食品加工機器の開発への支援の拡充、フォトンバレーでは短期間での試作品開発を促す仕組みの構築など各プロジェクトの中核支援機関の機能強化を図り新規参入と製品開発の加速化を推進してまいります。
 また、次世代自動車への取り組みについてはEV化による大きな影響を受ける中小企業を中心に電気モーター、自動運転等の技術開発や車体の軽量化など既存技術の高度化を積極的に支援するとともに、自動車産業で培ったすぐれた技術を生かし航空宇宙やロボット等の他の成長分野への参入を支援するなど多様な施策を展開をしてまいります。
 さらに、CNF関連産業の創出と集積を図るため研究開発の強化や製造拠点の形成に取り組みます。また農業の生産性向上を図るAOIプロジェクトの推進やマリンバイオテクノロジーを活用した革新的な技術開発と産業応用によるビジネス創出にも取り組んでまいります。
 県といたしましては、オープンイノベーションのもと国際競争力ある産業構造構築に向けた基盤整備をさらに進め、富国有徳の美しい“ふじのくに”の人づくり・富づくりを実現してまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 吉田農林水産戦略監。
○農林水産戦略監(吉田 茂君) 農業の成長産業化に向けた取り組みについてお答えいたします。
 現在策定を進めております次期経済産業ビジョンの農業分野におきましては、農業の成長産業化に向け生産性の飛躍的向上による生産力の強化と次代を担う農業経営体の育成を重要な課題と位置づけております。
 具体的には、昨年八月に開所したAOI―PARCにおいてさまざまな環境条件を再現できる次世代型栽培実験装置を活用しトマトの収益性を倍増させる革新的生産技術の研究開発などを進めており、今後研究成果を生かした県内外の民間事業者のビジネス展開を支援し農業現場へ早期に普及できるよう努めてまいります。また労働生産性の飛躍的な向上を図るため、農薬の散布や収穫物の運搬などに多目的に利用可能なAI――人工知能や画像認識技術を活用した無人作業機など農業ロボットの開発に取り組んでまいります。
 さらに、農業現場で求められる経営管理能力や高度な生産技術を持った人材を養成するため全国初となる農林大学校の専門職大学への移行を進めるとともに、農林事務所に経営体を集中的に支援する新たな組織を設置しビジネス経営体を初め認定農業者や参入企業など意欲ある経営体の経営発展を支援してまいります。
 これらに加え、昨年十二月首都圏の量販店や県内の食品加工業者などの本県農芸品に対する高い需要と産地を直接結びつけるため経済産業部内に専門チームを設置したところであります。今後需要に対応した産地の生産拡大を支援することにより県産品の供給力の強化を図ってまいります。
 県といたしましては、オープンイノベーションによる生産性の革新や本県農業生産の中核を担う高度な農業人材の育成など農業分野の富づくり・人づくりを進め、農業産出額二千四百億円の達成に向けて本県農業の成長産業化を進めてまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 鈴木交通基盤部長。
○交通基盤部長(鈴木克英君) 清水港周辺のまちづくりについてお答えいたします。
 清水港の昨年のクルーズ船寄港隻数は、国際旅客船拠点形成に向け連携するゲンティン香港のクルーズ船が急増したことにより一昨年の二倍以上となる三十八隻に上りました。受け入れ先となります日の出地区周辺ではWiFi環境の充実や多言語化した案内看板の設置の効果もあり、乗船客が周辺の商業施設や商店街へと足を向けることがふえておりますが、今後ますます増加するクルーズ船の寄港によるにぎわいや経済効果というメリットを清水港を中心とした地域全体で享受するためには港及び周辺の魅力を一体的に高めていく必要があります。
 そのため、県と静岡市及び地元の企業が連携し、みなととまちを一つの資産とみなし、その資産を最大限に活用する清水みなとまちづくり公民連携協議会を本年四月に設立し、みなとまちづくりのグランドデザインを描くとともに、その実現に向けた具体的なプランの作成に戦略的に取り組み地域経済を活性化することを目的とする活動を開始することといたしております。
 県といたしましては、この協議会を通じ民間企業の持つ機動性や経営ノウハウを十分活用し訪れた方々にとって魅力ある、また地域の方々にとって経済効果が実感できるみなとまちづくりに取り組んでまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 今後の教育行政の推進についてお答えいたします。
 社会情勢が大きく変化する中、地域づくりの基礎は人づくりであり教育はまさにその中心的役割を担っていることから教育委員会に課せられた使命は極めて大きく重要なものと考えております。
 私は、教育長就任以来教育現場の実態を把握することを特に重視し児童生徒、保護者、教員などと意見交換する移動教育委員会を年に十回、これまでに三十回実施しております。また民間との協働を強力に推し進めたいと考え、寄附金等によるふじのくにグローバル人材育成基金を活用した高校生の海外への留学及びインターンシップの支援や大学生等の協力を得てしずおか寺子屋事業などを新たに実施してきたところであります。
 しかしながら、議員御指摘のとおり、小中学校及び高等学校の学習指導要領の改訂や大学入学共通テストの導入を控え主体的・対話的で深い学びのための教育が求められており、社会総がかりの教育を一層進めたいと考えております。このため学びを広げるICTを活用した授業改善の取り組みや子供たちが歴史、文化、産業など地域のよさを再認識できるような学習機会を大学、民間企業等と連携して充実させるとともに、世界の中の日本及び静岡を認識し活躍できる人材の輩出に向けて海外留学の促進や高大連携を推進してまいります。
 さらに、いじめや不登校、子供の貧困が社会問題となっておりますことから、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの外部人材を活用したきめ細かな支援を行うとともに、教員をサポートする体制の充実により教員と子供が向き合う時間の確保にも積極的に取り組んでまいります。
 来年度からは、次期教育振興基本計画が始まることから教育が果たす役割をなお一層強く受けとめふじのくにの未来を担う有徳の人づくりに向けて計画に位置づける施策を着実に推進してまいります。
 次に、特別支援学校の教育環境の充実についてであります。
 特別支援学校の児童生徒数は増加を続けており、特に知的障害の児童生徒は平成二十九年度に約三千七百人で十年前よりも千人以上ふえております。今後も当面は増加していくものと考えております。
 本年二月に策定した静岡県立特別支援学校施設整備基本計画では、知的障害を対象とする特別支援学校の施設の狭隘化と児童生徒の通学負担を喫緊の課題とし、それらの解消に向け先行して着手した三島田方地区及び浜松地区では三年後の本校開校に向けて整備を進めており、あわせて三年後までに静岡地区の本校、御殿場・裾野、富士・富士宮、浜松各地区での高等部分校の整備にも着手することとしております。
 また、児童生徒の障害に応じた効果的な教育や主体的・対話的で深い学びを推進するため今後四年以内に全ての特別支援学校にタブレット端末、ICT機器を計画的に整備することとしております。さらに本計画に位置づけた新たに考慮が必要となった課題として、体温調節の難しい児童生徒などが安心して学校生活を送れるよう全ての普通教室に空調設備を設置するほか、子供たちが育った地域とのつながりを持ち続けられるよう交流籍を活用した小中学校との交流及び共同学習を進めてまいります。
 県教育委員会といたしましては、障害のある児童生徒がその持てる力を高め自立や社会参加に向けより身近な地域で快適に適切な教育が受けられるよう計画の具現化を着実に進めてまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 筋警察本部長。
○警察本部長(筋 伊知朗君) 平成三十年の県警察の取り組みについてお答えいたします。
 県警察では、本年の運営指針を「県民の期待と信頼に応える警察〜正・強・仁〜」と定めこの指針を実現すべく六つの重点目標、すなわち安全で安心できる犯罪の起きにくい社会づくり、地域と密着した活動の推進及び身近な不安の解消、交通事故のない安全で安心な社会の実現、凶悪な犯罪や暴力団などによる組織的な犯罪の徹底検挙、テロ、大規模災害など緊急事態対策の推進、警察活動を支える基盤の充実強化を掲げたところであり、これらに沿って各種施策を推進してまいります。
 具体的には、迷惑・悪質電話防止装置普及を促進するしずおか関所作戦を初めとした特殊詐欺被害防止対策、サイバー空間の安全と秩序の維持に向けたサイバー犯罪の検挙及び未然防止対策、配偶者暴力、ストーカー、児童虐待など人の生命、身体を脅かす事案への迅速的確な対応と子供や女性を性犯罪などの被害から守る取り組みの推進、殺人や強盗など県民の体感治安に直結する犯罪に対する初動捜査の徹底、組織的犯罪集団による事件に対する捜査の強化など犯罪の抑止と検挙に取り組んでまいります。
 また、本県ではラグビーワールドカップ二〇一九や東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会などの国際的なイベントが開催されますことから、昨年発足したテロ対策ネットワーク静岡の活動を一層活性化させるなど官民一体となったテロ等違法行為の未然防止に努めてまいります。イベント開催に伴い交通安全対策についても万全を期してまいります。
 さらに、高齢者や子供に対する参加・体験・実践型の交通安全教育や反射材の着用促進のほか運転適性相談の充実強化による高齢運転者対策を推進するなど交通事故防止対策につきましても一層推進してまいります。
 県警察では、関係機関・団体及び県民の皆様と力を合わせて以上のような各種施策を推進しより安全安心な静岡県の実現を目指してまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 相坂摂治君。
       (五十番 相坂摂治君登壇)
○五十番(相坂摂治君) 御答弁をいただきました。二点だけ要望して質問を終えたいと思います。
 まず一つは、特別支援学校の整備についてであります。来年度の予算の中でも空調設備への一年半での整備を進めるということで、これは本当に大英断で予算を確保していただけたと思いますが、あわせて特別支援学校の施設整備そのものが着実に、そしてまた一日も早くこの整備が進められるように全庁挙げて取り組んでいただきたいと思いますので御期待申し上げたいと思います。
 もう一つは、知事がかねてからコメントされております経済のシュンペーターの中には、これからイノベーションに参加をしていく好循環が生まれてくればそこに参加するプレーヤーは多分どんどん小さくなって、地域の中で活躍している中小企業の方々がこのオープンイノベーションにどんな知恵を持ち込んでくるかということが地元経済の活性化につながるんだろうと思います。
 シュンペーターは私も知事の言葉から少し読んでみた程度ですが、金融機関を一つのプレーヤーとして捉えるべきだということで理論がありましたけれども、ぜひ静岡県行政と金融機関の連携をもっと深くしていただいて行政機関の中に金融マンの出向をいただくとか、あるいは皆さんが目ききとして、さまざまなアドバイザリーボードから上がってくるさまざまな技術についてこうした金融機関をしっかりとつなぎながら県庁内の経済分析もしっかりと進め、金融機関は本当に名実ともにプレーヤーとなるように余剰金が余って融資ができないということではなく小さなプレーヤーにこそ、この県庁のオープンイノベーションの取り組みの政策の効果を発揮できるように活用をしていただきたいと御提案を申し上げます。以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(杉山盛雄君) これで相坂摂治君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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