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本会議会議録

答弁文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成26年6月静岡県議会定例会

小長井 由雄 議員(ふじのくに県議団)の 代表質問 に対する答弁

(質問日:06/25/2014番目)
答 弁 者知事


○知事(川勝平太君) 小長井議員にお答えいたします。
 人口の社会減少の抑止と、ふじのくにの将来像にかかわる私の政治姿勢についてであります。
 人口減少社会は本県のみならず日本全体で本格化しております。本県におきましては社会移動による転出超過が拡大している状況に極めて強い危機感を抱いております。増田寛也元総務相を座長とする日本創成会議の提言は、現在の地方から大都市圏への人口流出がとまらないという前提で書かれた報告書であります。したがいまして方策としては、現在の東京一極集中に歯どめをかけて本県へ人の流れを呼び込む政策を強力に推進する必要があるということであります。この件に関しましては、やや本県にとっては環境が不利に働いたと思っております。何と言いましても二年前の春に中間報告、夏に最終報告が出された南海トラフの巨大地震におきまして、マグニチュード九の大地震が起こると十万人以上の犠牲者が何にもしない場合には出るということでございました。これは東日本大震災の優に五倍を上回るような犠牲者ですから、これに不安を覚えないほうがおかしいということです。
 一方、政府は昨年首都直下型の地震の想定を出されました。これは向こう三十年間のうちに七〇%で起こる直下型地震でありますが、マグニチュードは七なのです。関東大震災はマグニチュード八です。あっという間に十万人の方々が犠牲になられたという悲劇でした。それよりワングレード低いものを想定したんですね。マグニチュード九は起こらないんでしょうか、首都直下におきまして。北米プレート、フィリピン海プレート、そして太平洋プレート、こうしたものがひしめいているのが関東地方です。それを言わない。本県に対しては百年、百五十年に一回の東海地震についてはやってきた。しかし南海トラフは想定し得る最大限のものを言われたんです。ダブルスタンダードではありませんか。もし首都直下においてマグニチュード八ないしマグニチュード九というものが起こるとどういうふうになるか。当然首都圏脱出というエクソダスが起こります。それを避けるために一番少ない、しかし起こり得るであろう安政地震をベースにした想定を出されたわけです。関東大震災は、その記憶を失わないために九月一日前後に総合防災訓練を全国でやっています。それをすら前提にしていないということですね。ですから結果的には転入人口の地域別で見れば東京がトップ、神奈川が二位、埼玉が三位です。そして都市別で見れば本県などは沼津市、焼津市などが極めて多く、沼津市の場合には全国でも十位以内に入っているということですね。一方都市別で見れば東京の二十三区、横浜、川崎、さいたま市などはみんな十位以内に入っています。ですから、こういう人為的な形で不安をあおらないようにするという政策を首都圏に対してはとり、本県以下、南海トラフの巨大地震。その隣には実際は相模湾の相模トラフもあるわけですから。しかし南海トラフというのは伊豆半島よりも南のほうであります。南西に広がっているところであります。そこについてのみ考え得る最高の被害想定を出したということですね。したがって私たちのやることは、ともかくこれについて出された以上、最大限の防災・減災のプロジェクトを立てると。これが我々のやっている第四次被害想定に基づくアクションプログラムでございまして、向こう十年で犠牲者を八割減ずるということで先生方の給料も減らし私どもも同じようにして、まずやれるところから取り組んでいるということでございます。
 そうしたことで、やや我々にとっては不利な状況から始まりましたけれども、これ以上不利なことにはならないということで、これからますます安心感が、安全の防災・減災対策をとることによって高まっていくというふうに確信しています。しかしやることは同じです。差し当たって産業を再生する、また経済を活性化させる、雇用の場を創出させる、高等教育を充実させる、豊かさの実感できる暮らし空間をつくる。またさまざまなライフスタイルを選択できるというような選択肢、これをふやす。若いとき、お年寄り、そうしたときのそれぞれのライフステージに応じた生活が選べるような、そういうものを提供していくということがございますし、さらに特に次代を担う若者へのきめ細かな就職支援、女性が働きやすく能力の発揮しやすい環境を整備すること。結婚機運を醸成する、保育サービスを充実させる。子供は地域の宝で、子育てはとうとい仕事であるというような理念を普及させて、ここは子供を大事にしてくださるというように多くの方たちに実感していただけるようにPRをしていくということもございます。
 一番大切なのは、若い世代が夢と希望を持って家庭を築き子供を産み育てることができる社会を実現しなければなりません。本県は、景観は世界標準のものがそろい食材は日本一で、そして茶の都、食の都あるいは花の都というものをつくるのも決して夢ではありません。したがいまして「住んでよし 訪れてよし」ということは可能なので、その方向に向けて私ども、御一緒に邁進していこうではありませんか。
 次に、富士山を生かした地域の魅力づくりについてのうち、世界遺産委員会からの勧告及び要請への取り組みについてであります。
 世界遺産委員会からの勧告、要請は大きくは六つございます。全体の景観、いわゆる文化的景観というものに配慮しなさいと。それから麓からの巡礼と書かれていますが、麓からの登山道について調べ直しなさい。それから情報。五合目以上についての登山道を安全なように整備しなさいと。それから来訪者。実質的にはこれは登山者ですけれども、その管理戦略を立てなさい。そしてPRをしなさい、情報発信をしなさいと。それから経過観察を強化してください。こうした六つなんですね。
 全体景観についての意識を強めてほしいということですが、すなわち構成資産がございますけれども二十五。そうした点ではなくて全体として富士山を取り囲むといいますか、その景観が大事だという、そういう意識を持ってほしいと言っているわけです。これは我々の言葉で言えば借景ですね。どの建物も皆富士山などのような最高の借景を持ちながらつくられているというふうにして、自然とそれぞれの個別の存在とが一体のものであるというような意識を醸成しようということです。それから麓の登山道というのは富士、富士宮で、富士山駅伝というのを昨年暮れ、成功裏に行うことができましたけれども、こうした麓の富士山とかかわる道を大事にしていくと。なかんずく富士山本宮の浅間大社に保存せられている富士山曼荼羅のように三保松原から頂上まで、これが一体であるというそうした意識を、またそうした道を地元の方たちが大事にしていくということです。
 また情報発信につきましては、富士山世界遺産センターというのが坂茂先生のもとでこれからすばらしいものができていくということでありますね。そうしたものをこれからつくっていかなければならないということで、今進めているところであります。
 現在、本県のほか国、山梨県、市町村等で構成する世界文化遺産協議会を中心にいたしまして、本年末をめどに資産の全体構想と各種戦略の策定をするように進めているところであります。
 来訪者管理戦略というのが、なかなかに重要でございます。協力金をいただくのもそうした目的の一つでありますけれども、富士山における適正な収容力を研究しなくてはなりません。マイカー規制期間の拡大も徐々にして、そして今はマキシマムにまでできるようになりました。これも山梨県のほうも格段の努力をされておられます。ことしの夏から利用者負担制度は本格化しますけれども、この適切な運用を図ることを通して来訪者の管理戦略をしっかりしたものにしていくということです。
 それから構成資産ですけれども、これは富士宮と静岡市などが、例えば富士宮市ですと白糸の滝がございますが、これなどは我々が何も言わないにもかかわらず、もう市長さんをリーダーとして見事にあの地域を白糸の滝の景観にふさわしい建物群に変えられているのは、もう本当にありがたいことですね。一方三保松原につきましては、これは波消しブロック、松林、それから三保街道の電柱、電線というようなものがございまして、これは我々が一緒にやらないと、とてもじゃないけれども、しかもこれはもしイコモスが確認のために来られれば確実に外されます。ですから今、県のほうで市の協力をいただきながら、ある意味でもう後がないんだと。日本のために、恥をかかないために今やらなくちゃならないことというのはわかっているわけですから、これまでどおりの平時の計画をやっていきますなどと悠長なことを言っている時代ではありません。ですから実質再来年の二月とおっしゃいましたけれども、半年前に日本語の報告書を完璧なものにしないと英訳ができませんのであまり時間がないんですね。そのために計画さえしっかりしていれば、波消しブロックは難波さんなどを中心にしてやり方が決まりました。これで安心です。そして電柱、電線に関しましては、我々が意図していた以上に市のほうも積極的に取り組まれて、その埋設や、あるいは電線の撤去などについて長さを延ばされましたね。大変ありがたいことだと思っているんですが。松林は一番肝心なものです。神様を待つ松林ですから。そういう大事なところを今本格的にやっているということで、これはきつい言葉が飛び交っていますけれども、これをやらないと結果的にほぞをかむことになるという危機感を持っているところでございます。
 “富士(ふじ)の国(くに)”づくり推進会議を中心に、官民挙げての国民運動もこれから展開していこうということでございます。富士山の適切な保存管理や富士山に恥じない人づくり、環境づくり、地域づくりをしてまいりたいと存じます。
 魅力ある観光地づくりの推進についてでございます。
 本年度からふじのくに観光躍進基本計画がスタートいたしました。静岡の魅力を「創る」、静岡の魅力に「誘(いざな)う」、静岡の魅力はもてなしだという、この三つの戦略を柱に、世界遺産富士山を預かるふじのくににふさわしい世界標準の、あるいは世界水準の持続的な観光地づくりを目指すこととしております。先ほど議員御指摘のとおり伊豆半島、富士山、そして茶畑と、これは三冠王になりました。三冠王を持っているところは済州島くらいでしょう。あともう一つをもって彼らは四冠王と言っていますけれども、これはインターネットで、やや正確な四冠と言えるかどうかわかりませんが、私どもは韮山が世界遺産になれば四になります。そして、それぞれの地域ごとにやはり核となる観光資源がございます。伊豆半島はジオパークあるいは韮山、東部は富士山。そしてこの中部は南アルプスと徳川家康です。そして志太榛原、中東遠というのは、これは食とお茶。なかんずくお茶ですね。そして浜名湖は、これは遠江八景を挙げました。これがあまりにすばらしいと。花博の周りの景観が遠江八景と言われるにふさわしいところだということで、これが人気を博しまして、何とさる新聞社がこれを商品にしたいと。四千部刷られるそうです。値段が千円で。非常にレベルの高いパンフレットを我々がつくった、あるいは有馬先生、芳賀先生、熊倉先生、磯田さんなどによってつくっていただいた結果ですけれども、それは場の持っている力が出てきた結果だと思っておりますので、浜名湖も私は東海道のオアシスとして、山は富士、水は浜名湖ということで山水一体の魅力を本県は出すことができるというふうに思っているわけでございます。
 次に、健康寿命日本一の延伸についてのうち、健康寿命のさらなる延伸についてであります。
 市町や企業などと一層連携をして社会全体で取り組むことが極めて重要です。健康寿命日本一であり続ける、あるいは二位以下を格段に離していくぐらいの覚悟でやるほうがいいと。特に我々男性が全国二位で愛知に負けていますので、やはり愛知から出て静岡で最期を遂げられた徳川公のこともあります。私どもはこちらのほうがすぐれているんだということで、何としてでも男女ともに一位ということを誇り得るようにしたいと思っております。地域別の取り組みとしましては、県内七カ所の健康福祉センターごとに健康増進計画を定めまして、これは医師会の御協力も賜りまして大変感謝しておりますが、食生活など各地域の抱える健康問題に応じての成果の見える政策を進めます。また、五十三万人の特定健診のデータを活用いたしまして、メタボリックシンドローム該当者――私などもその一人ですけれども――高血圧を持っていらっしゃる方などの分布をマップ化して各市町に提供し、支援を行うと。きめ細かで役立つ健康づくりを市町と連携して行ってまいりましょう。
 若い世代に向けた取り組みとしましては、生活習慣の改善を目的としたふじ三三プログラムをスマートフォンなどでいつでも利用可能にするとともに、大学、専門学校などと連携してプログラムの普及に努めまして、若い方々が健康づくりに関心を持っていただいて気軽に実践できるようにいたしました。九月には厚労省との共催でふじのくに健康長寿サミットを開催します。若者向けの催事を盛り込みながら本県独自の健康づくりの取り組みや企業での先進的事例を発表して、社会全体で健康づくりに取り組む大切さを健康長寿日本一の本県から全国に訴えてまいりたいと思っております。このたびタンプライズをとられた本庶先生は、口を酸っぱくしてこれからは予防医学ですというふうに言われています。井村先生などは先制医療というふうに言われております。高血圧や、特に糖尿病は人工透析になりますと一人にかかる金が年間四百万ぐらいかかるそうです。ですからそれは本当にもったいないお金なので、そうならないようにしなくちゃならんということでございます。今後も県民総ぐるみで健康づくりに取り組む環境をしっかり整備して、超高齢社会における日本のモデルとなる健康長寿の都づくりに取り組んでまいりたいというふうに存じます。
 次に、新成長産業の育成と雇用創造についてのうち、雇用創造アクションプランの現状分析と今後の方向性についてであります。
 静岡県では、リーマンショック後の緊急的な対策として雇用創造アクションプランを策定し、三カ年の集中的な取り組みを推進してまいりました。その結果、ことし一月から三月期の完全失業者数が五万六千人と発表されピーク時の八万九千人と比べ三万三千人減少するということになり、リーマンショック前の五万五千人とほぼ同水準まで改善が見られ、目標は達成したというふうに存じます。これは景気が好転した影響はもちろんでございますけれども、雇用創造県民会議におきまして雇用の創出と人材の供給の両面から、官民が一丸となって成長分野の産業の育成や介護・福祉サービスの充実、企業立地の促進、きめ細かな就職支援、ミスマッチの解消などに取り組んできた成果であると評価しておりまして、この県民会議に参加くださいました皆様方、関係各位には感謝の言葉を心からささげたいと存じます。
 これから、これまで以上にミスマッチの解消を初め若者、女性、障害者の雇用、この環境は依然として厳しいのでこれらを改め、引き続き総合計画後期アクションプランの重点取り組みとして働く意欲の誰もが就職できる、就業できる雇用環境の実現を目指してまいります。
 次に、今後の本県製造業の方向性についてであります。
 本県経済の環境回復を力強く確実なものとして持続的な経済発展を図るには、既存産業の活性化を図りながら新しい成長産業を育成し、国内外の経済情勢の変化に柔軟に対応できる多極的な産業構造が必要です。私どもは東からファルマバレー、中部のフーズ・サイエンスヒルズ、西側のフォトンバレーというのをこれまでやってきましたけれども、これは種がしっかりまかれているのでそれを育てなければなりません。特にファルマバレープロジェクトを初めとした医療・医薬関係につきましては一兆円産業で日本一に輝いておりますので、特に医療機械が非常に力強い動きを見せております。しかも雇用創造力も非常に強いということで、これは支えてまいりたいというふうに思っております。
 また、国際戦略総合特区――アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区にも他県とともに参加に向けて取り組んでおります。私は、せっかく飛行場もございますのでMRJの拠点をこちらに引き込もうと、大須賀君などと御一緒に相当強く働きかけたわけですが、県営名古屋空港に隣接する県有地を取得され、差し当たってはそのままされるようですが、年間一千機体制にしようと思うとあの土地では足りません。ですから私どもは航空機産業というのも念頭に置きながらやっていきたい。もちろんそれ以外にも健康福祉にかかわるさまざまな応用を、輸送機産業の持っていらっしゃるたくみのわざを活用することができて幾つものそういう事例が出てきておりますので、それも励ましてまいりたいというふうに思っております。
 地域企業が持っている成長分野での技術シーズの詳細調査に着手しまして、特に有望なシーズの事業化に官民挙げて集中的にしていくというように去る六月十七日の第二回産業成長戦略会議で提言せられた施策でございますので、これをそうしてまいります。また本県産業の強みや優位性、市場ニーズなど今後の成長可能性を詳細に分析してグローバルな競争に勝てる産業分野を選定し、重点的に育成していくことの重要性についてその会議で意見が出されましたので、次回以降の会議においてさらに議論を深め実践してまいりたいというふうに思っております。
 特に農業につきましては、もう農業だ、商業だ、工業だというように分けている時代ではないと。六次産業化というのはその一体化でありますから、特に小長井議員のような本県のお茶産業の一番大切な宝物を栃沢で預かっていただいておりますので、こうした農業と、そしてそれを加工してさらに商品にして売りさばくという意味におきましては、農協と商工会が一体になってやらないともう間に合わないと。この先行モデルをどこでつくるかという、今時期に入っていると思っております。
 組織も変わらなくちゃいけないと。ある産業の組合組織というのがありますが、その組合組織だけでやっていける時代ではなくなっていると。いや組み合わせたほうが一足す一が三ぐらいになるというふうに思っておりまして、そこが、例えばそうですね、西部地域などは偶々輸送産業のトップが商工会議所の会頭です。また元の商工会議所の会頭が生産部門でした。今度農協のトップになられるのが西側ですね。こうしたところでモデル事業ができるならそれを突破口としてやりたいと。ほかのところでもあればそれをやっていこうと。漁業と農業であれば土肥で、同じそれぞれの生産部と同じ場所で売り買いされておりますので、そうしますと魚も野菜も一緒に消費者は買えるのですごく便利ですね。ですから漁協、農協というのも協力できるところから協力していくということでそれぞれの分野で努力されると同時に、他の産業組織、組合組織との連携も図っていくべきときに来ているというふうに考えております。
 次に、リニア中央新幹線の環境影響評価についてであります。
 リニア中央新幹線事業は、南アルプスの地下四百メートルから何と一千四百メートル下のトンネルを通過するということで、極めて大規模な土地改変を伴うものであります。また建設工事が十年以上に及ぶ見込みで、ユネスコエコパークに登録された南アルプス地域の自然環境や生活環境に大きな影響を及ぼすおそれがありますので、地元住民を初め多くの県民の皆様、議員を初めその影響を懸念されるのは当然です。
 このため私どもとしましては、四月二十二日に中央新幹線環境保全連絡会議を設置いたしました。生態系や土木工学などの学識経験者に加え井川地区の住民代表、大井川の利水関係者にも御参加いただいて地元の御意見、課題を十分に尊重しながら工事が水環境、生態環境、生活・産業環境に深刻な影響が及ばないよう、仮に影響があるにしてもそれを最小限にするようにJR東海に対して要請をしていくということにしております。またこの会議にはJR東海の方にも参加していただくように強く働きかけているところであります。
 環境影響評価の手続につきましては、先日国におきまして環境大臣が国交大臣に御意見を述べられました。その意見は、おおむね本県の環境影響評価意見書を尊重されたものということで休心はしたところであります。今後、環境大臣の御意見を勘案した上で国交大臣のほうからJR東海に意見書が提出されることになるということです。
 工事につきましては全国新幹線鉄道整備法に基づく国交大臣の認可を経て開始されることになるわけでございますけれども、私どもとしましては、手続上は工事開始前に静岡県環境影響評価条例に基づき提出される事後調査計画書に対して、連絡会議の意見や県環境影響評価審査会の審議を踏まえJR東海に改めて知事意見を述べてまいります。さらに仮に工事が南アルプスの直下で開始されるということが起こりました場合、その後も事業が環境に与える影響を把握、確認いたしまして、自然環境、生活環境及び水資源についてきちっとした保全措置が実施されるかどうか監視しながら、JR東海に対して厳しく求めてまいります。私は、その工事は品川から名古屋、さらに名古屋から大阪まで延伸されることになっておりますが、差し当たっては二〇二七年までに名古屋―品川間をつくり上げるということですが、この工期の順番ですけれども南アルプスは一番最後にするべきだというふうに考えます。品川から甲府まで、甲府―大月間は既に二、三十年間実験線が走っておりますし関東ローム層の地質構造はわかっております。首都圏は恐らく本州全体の長さくらいの地下鉄が縦横無尽に走っているわけですが、そうしたことができるのは言うまでもなく地質構造がわかっているからです。したがってそこは掘れると。一方、濃尾平野から中津川あたりまでは、これはいわゆる中央線といいますか、その流れでありますからほぼわかっていると存じますが、そこから南アルプスエコパークにかかわる市町の数は十市町村に及んでおります。本県で静岡市と川根本町、山梨で四市町、そして長野で四市町村でございますけれども、ここのところはよほど慎重でなければならないというふうに思っておりまして、工程表というものについても強い関心を持っております。もしも最初にするとするならば甲府から品川が最初であろうと。甲府まで来れば身延線がありますから、新幹線のところまで来れますので。そこから新幹線に乗って、例えば二〇二〇年までに、この間国交省のほうで首都圏空港にするかどうかということで事例として最終報告書の中に挙げられておりますので、仮にそれができておりますれば旧新幹線、それから世界で最も遅い身延線、そして世界最速のリニアというものも楽しめるし、仮に富士山が噴火すれば、それも首都直下型のときには複合災害の中に入れておられませんけれども降灰は関東地方に行きます。したがいまして地下鉄ですっとトンネルを出れば富士の国の奥座敷であったと。甲府盆地のことですけれども、富士の国をずっと北から南に下りてこられて清水に出られればよろしいと、こういうわけでございます。そうしたことも念頭に置きながら、日本のために、私どもリニア新幹線が必要とあれば、それを今の時点でどういうふうにするのが望ましいかということもあわせて考えて、南アルプスについてはこれは世界の共有財産になりましたので、私どもとしてはこれに対しては極めて厳しく水環境、生活環境、生態環境というものに対しまして悪影響が及ばないように最善を尽くすという覚悟でございます。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長(伊藤育子君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 大規模地震への万全の備えについてのうち、地震・津波対策の現状認識と今後の取り組みについてお答えいたします。
 昭和五十一年の東海地震説の発表以来、県では施設の耐震化や緊急輸送路の整備、自主防災組織の育成等を着実に推進してきたところであり、公立学校や庁舎等の耐震化、自主防災組織の結成などが全国トップクラスとなるなど一定の成果を上げているところであります。
 こうした中、東日本大震災を受け昨年第四次地震被害想定を行った結果、新たな課題も出てまいりました。
 課題の第一は、従来の想定を超える津波への備えであります。このためには新たな想定に基づく防潮堤や水門等の整備を進めるとともに津波ハザードマップの周知、津波避難ビルや命山など津波避難施設の確保、避難訓練の充実など地域の特性を十分に踏まえ、津波を防ぎ、津波から迅速に逃げるための取り組みを推進してまいります。
 課題の第二は、超広域災害への備えであります。全国からの救援部隊や支援物資は従来の想定より不足することが見込まれるため、県民の皆様への防災啓発や防災リーダーの育成により住宅の耐震化、水や食料七日分の備蓄、自主防災組織の強化など市町と一体となって自助、共助の取り組みを充実してまいります。さらに富士山静岡空港の大規模な広域防災拠点化を進めるなど全国からの応援の受け入れ体制の充実と関係機関との連携強化を図ってまいります。
 県といたしましては、今後とも国や市町との連携をさらに深め、想定される犠牲者を十年間で八割減少させることを目指し地域の特性に応じた地震・津波対策を着実に推進してまいります。以上であります。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

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