本会議会議録
質問文書
令和6年6月静岡県議会定例会 質問
質問者: | 相坂 摂治 議員 | |
質問分類 | 代表質問 | |
質問日: | 06/24/2024 | |
会派名: | 自民改革会議 | |
質疑・質問事項: | 1 知事の政治姿勢について (1) 知事が目指す県政のビジョン (2) 知事選結果の受け止め 2 今後の県庁組織と人事について (1) 県庁組織の改編 (2) 副知事人事と東部・伊豆担当戦略監などの地域戦略人事 3 県内の重要政策について (1) 伊豆半島の防災 (2) 東部地域への新産業の集積 (3) 中部地域のハブ機能の強化 (4) 西部地域のものづくり産業の再興 4 行財政改革と未来への投資について 5 リニア中央新幹線の推進について 6 遠州灘海浜公園(篠原地区)の整備に関する知事の方針について 7 県内の医療体制について 8 災害発生時における危機管理の意識について 9 今後の観光振興の方針について 10 農林水産業の特産品のトップセールスについて 11 年齢や障害の垣根を越えた共生社会の実現について 12 今後の教育の在り方について (1) 実効性のある教育施策の構築 (2) 今後の高等教育振興の方針 13 警察本部長着任における所信について |
○議長(落合愼悟君) 質疑及び一般質問を行います。
通告により、五十一番 相坂摂治君。
(五十一番 相坂摂治君登壇 拍手)
○五十一番(相坂摂治君) おはようございます。
十七日間の選挙戦を終え新しい知事に選任をされました鈴木康友知事に、まずは祝意を表します。御就任おめでとうございます。
私ども自民改革会議は、自民党県連の立場で鈴木知事と雌雄を決する選挙戦に臨んだわけでありますが、この選挙戦を通じて改めて明らかになった県内各地の課題、今後の県政の発展に貢献できるそれぞれの候補者が提案した政策など熾烈な選挙戦であったからこそ私たちが得た学びもありました。政党政治を基礎とする国政とは違い、知事と県議会はそれぞれが独自に民意によって負託を受けた二元代表制の下、共に県政に携わるものです。互いに意思と情報を共有し、県民の皆様へ本県のビジョンをはっきりと示し御理解と御協力を引き出していく、新しい県政の実現を期待するものであります。
それでは、通告に従いまして知事、副知事、関係部局長、教育長及び警察本部長へ自民改革会議を代表して質問を行います。
初めに、知事の政治姿勢についてのうち、知事が目指す県政のビジョンについて伺います。
知事は、オール静岡で幸福度日本一の静岡県をつくっていくというスローガンを選挙戦においても着任後の就任式や今議会の所信表明においても示してこられ、世界的な趨勢ともなってきたウエルビーイングの指標を紹介し県全体でこの指標をつくっていきたいと述べられております。
これまで県議会では、人口減少や青年層の転出超過への対策、南海トラフ地震への備えや激甚化する豪雨災害への対応など本県が直面している急務かつ重大な課題として捉え議論を重ね対策を講じる一方、県民が求める広範で多様な行政ニーズに関する諸施策についても行政当局と共に取り組んでまいりました。また東部、伊豆、中部、西部によって歴史や文化、気風が異なることを踏まえ、それぞれの特性に応じた施策を実施し県土全体の均衡ある発展を目指し、新東名や中部横断道、伊豆縦貫道や三遠南信道路、さらには国際貿易港である清水港や空の玄関口である静岡空港などのインフラの整備を着実に進めるために全力を挙げて予算の確保を行い、県下全域への視点に立ってそれぞれの地域の観光の振興や文化・スポーツ交流の実現、各種成長産業の集積と伝統的な産業の育成などの基盤としてきました。
リーダーが十五年ぶりに変わったことを節目に新しい県政の実現が求められています。三百六十万人の県民が幸福度を実感できる日本一の県を実現していくため、知事はこれからの県政においてどのように静岡県の将来像を描きその実現のためにいかに県政運営に取り組まれるのか、お考えを伺います。
次に、知事選結果の受け止めについて伺います。
今回は県土を二分するかのような結果が示されました。伊豆半島、東部、中部地区では全て大村候補の支持が上回る一方、遠州地区では鈴木知事が優勢で最終的には七万七千票余りの票差となりました。両候補がオール静岡を掲げ、大村候補の元には自民党県連所属の県議や市議、町議に加え無所属の国会議員や地方議員、産業界など各種の団体からも御推薦がありました。結果として双方共に選挙戦を通じては、オール静岡の体制づくりを完成することはできなかったということです。
これから県政運営を進めていくに当たり、様々な主体との連携が必須となります。この連携がうまくいかず綻びが生じ、県内だけでなく国や近隣の都県、民間の事業者の方々からも不安を寄せられるような場面を静岡県は経験してきました。こうした関係構築の失敗で最も不利益を被るのは、議会や行政を支えてくださっている県民の皆様です。新たな県政において何よりも望まれているのはまさにこの一点だろうと思います。
政府や国の機関、国政を担う各政党、近隣都道府県そして県内市町行政と上手に連携し信頼を積み重ねていくことが、本県発展の大きな鍵を握っています。そして知事と議会には二元代表制という地方政治の制度の趣旨を十分理解して毅然とした節度ある信頼関係が求められています。
私たちは、これからも様々な場面で政策に対する考え方の違いによって時には激しい議論となることがあるでしょう。しかしこの議論の末に一定の目標を見いだして合意し、決定後に互いの力を出し合って県政に尽くすことが何よりも大切なことです。政策議論すら不可能になるような関係の瓦解だけは避けなくてはなりません。そのための努力を私たち議会も決して惜しむものではありません。
地域により得票率に差が生じた今回の結果を受け、国、県、市との連携体制、議会との二元代表制の効果的な生かし方等について、知事の方針を伺います。
次に、今後の県庁組織と人事についてのうち、県庁組織の改編について伺います。
知事は、県庁職員の姿勢として新しいことにチャレンジし積極的に仕事をしていくことが必要であり、できない理由を並べてそこで止まるのではなくどうしたらできるか、どうしたら壁を突破できるかという発想で知恵を出していくことが大事だと述べておられます。私も意見を交わす県庁職員の皆さんから、高い専門性、本県の将来に対する責任感や使命感を感じます。自らの理想を私たち議員に語ってくださる職員の方も少なくなく、こうしたやり取りから私たち議員の政策が生まれていくことも少なくありません。
県議会では、こうした職員の能力、やる気、そして業務の成果を引き出すためにどのような県庁組織を編成することが必要なのか何度も取り上げてきました。他県と比較しても珍しい本県の組織構造には、知事直轄組織の存在があります。知事のリーダーシップの下で肝煎りの事業を進めるために政策と予算を一体化し、総合計画を策定する企画部門と財政部門を一つの局に集約してきました。企画部が存在しない組織のために、複数の部局にまたがる広範な政策展開や新規事業の方針を明確に定めることに大きな課題があると私は感じてきました。
そこで伺いますが、職員たちがその能力を発揮して新しいチャレンジをしていく活気ある組織を実現するために、今後どのような組織体制を整えていかれるのかお答えください。
次に、副知事人事と東部・伊豆担当戦略監などの地域戦略人事について伺います。
副知事の職務は、地方自治法によれば、知事を補佐し知事の命を受け政策及び企画をつかさどるものと規定されています。その立場は常勤の特別職で選任には議会の同意を要しますが、人選は事実上知事の専権事項であると理解されています。
今後の副知事との連携、活用、職務分掌について、知事の方針をお聞かせください。
続いて、選挙戦の終盤に表明された東部・伊豆担当戦略監の設置についてです。
六月七日に開催された東部・伊豆地域の市長、町長の会合などでは、設置を疑問視する意見が出されるなど知事の方針に今のところ理解が得られているとは言い難い状況です。
知事が考える東部・伊豆担当戦略監の設置に向けたお考え、その狙い、さらには予算を含めたその権限の範囲などお示しください。
また、東部、伊豆半島に限らず県内三十五市町にはそれぞれ県政への期待や要望、課題があります。静岡、浜松の両政令市との政策連携、他の市町との協働体制や連絡調整の場の設置などどのような体制を具体的に実施していかれるのかお示しください。
次に、県内の重要政策について四点伺います。
一点目は伊豆半島の防災です。今年元日に発生した能登半島の大震災は、揺れの大きさと津波の襲来により家屋の倒壊やインフラの破損が甚大で半島という地形のために救援の遅れが指摘されました。特に被災現場の情報収集は困難を極め、被害状況の把握が遅れたことや避難物資を届ける際にも交通施設の遮断などが課題となりました。
本県の伊豆半島は、南海トラフ地震が発生した場合には最大震度六強の揺れ、最大三十三メートルの津波が想定されており、東日本大震災以来地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づく対策を進めてきました。全県実績値として住宅の耐震化率八九・三%、高台等への避難路の二〇二二年末までの計画に対する整備率八七・四%、津波避難施設の要避難者カバー率九八・一%まで進捗し同計画の取組が続いています。
一方、津波防潮堤の整備は観光を主要産業とする地元の特性を重視し独自の津波対策を進める方針の下で地区協議会でハード・ソフト両面の対策が議論されているものの、高い防潮堤の整備を望まない地区もあります。また伊豆縦貫自動車道がいまだ完成に至っていない現状では能登半島地震と同様発災後の孤立問題が半島最大の課題であります。
こうした状況を踏まえ、伊豆半島における防災対策をより効果的に進めていくために今後どのような取組が必要だと考えていらっしゃるのか伺います。
次に、東部地域への新産業の集積について伺います。
東日本大震災の発生や新東名高速道路の開通をきっかけに国土利用のリスク分散が求められ、本県でも沿岸部への人口や産業の集中を見直し、経済産業部と企画部が市町と連携しながら内陸部での開発と新産業の集積を進めてきました。特に県立がんセンターの高度医療と地域産業を結びつけ医薬品や医療機器の製造を発展させてきたファルマバレープロジェクトや、環境に優しい植物由来セルロースナノファイバーの研究開発と事業化への取組は全国の注目を集めてきた本県東部地区独自の新産業創出への挑戦であり、東京経済圏に近接した地域特性を生かし関連分野を広く巻き込む本県全体の経済を主導するリーディング産業が創出されるものとして期待を集めています。
コンサルティング会社の代表を経験してこられた知事は、スタートアップの育成や企業誘致などの経済政策の重要性を示され積極的に取り組むとおっしゃっておられます。
そこで伺いますが、東部地域でのこうした取組を踏まえ、今後の産業政策としてどのような分野の産業を中心にどのような戦略で本県経済を伸ばしていかれるのかお答え頂きたいと思います。
次に、中部地域のハブ機能の強化について伺います。
静岡市から志太榛原地域一帯の県中部にはあらゆる交通の結節点が集中しており、東西の高速道路は関東圏と中京圏、中部横断自動車道は国土内陸部へとつながり、駿河湾は世界の海洋へ、静岡空港は全国の中枢地方都市と東アジアへと広がっています。人、物が行き交うことが活力と新しい挑戦を生み出し、そこから情報がもたらされ流行を生み出してさらに人を集めていく。こうした好循環が期待されながらも本県の人口減少には改善の兆しがありません。
しかし、近年の外国人への雇用と教育の機会創出はインクルーシブ社会の実現という新しい時代の潮流とも重なり交流の拡大と成長を促すようになりました。本県中部地区の目標はハブ機能の強化であり、これによるイノベーションであり、設備投資であり、若者の参入であり、新しい技術の活用であります。
清水港と周辺エリアでは、輸入材料を使った加工産業の集積、物流産業への新技術の導入、国際船の来客からの魅力の発信などは期待どおりに進んでいるのかどうか。飽和した東京上空の受皿として、静岡空港が東アジア空路の代替機能を備えることへの確固たる位置を得ようとしてきたのかどうか。航空産業や観光資源が次々と誕生するような力強さが発揮されているだろうか。
知事は山梨県の顧問もお務めでした。稚拙でも新しいチャレンジを職員に促してもいます。さらに就任後のJR東海との面会では、空港への新幹線新駅の構想も議題に上がったようです。
そこで伺いますが、行政がこれまで整備してきた観光、文化、交通の拠点、これらをつなぐ社会インフラの整備の加速、ここにイノベーションを起こす官民連携の施策展開、中部地区のこうした地域特性を踏まえ知事はどのような戦略で成長を実現できるとお考えでしょうか。お答えをお願いします。
次に、西部地域のものづくり産業の再興について伺います。
本県の製造品出荷額はリーマンショックにより大幅に落ち込み、その後次第に回復しつつもいまだショック以前の水準には戻らず全国平均と比べても回復が遅れています。これは県内の製造品出荷額の四割を占める西部地域において、自動車やオートバイなどの輸送用機械や楽器、繊維などの多様なものづくり産業の低迷が原因の一つとなっています。製造業は県内総生産の四割を占める本県の産業の中核でありこの再興は急務の課題です。
例えば、西部地域から全県に広がる自動車産業は、ガソリン車よりもエンジン関連の製造過程で約四割の部品が不要となるEV化は関連企業に深刻な影響を与えており、数多くの中小企業が有する熟練し洗練された技術の高度化や次世代自動車生産への展開支援が求められています。航空機やロケットなどの新分野への参入も支援を必要としています。輸送機器のみならず地域経済の特性ともなってきた裾野の広いものづくり産業の再興は本県の経済成長の鍵を握っています。
そこで、県は西部地域を中心としたものづくり産業を再興し製造品出荷額をV字回復させるためどのような取組を進めていかれるのか、ものづくり産業の再興に向けた知事の戦略を伺います。
次に、行財政改革と未来への投資について伺います。
知事は、松下幸之助氏から薫陶を受けたとして自治体においても経営感覚が必要だとお考えです。四期十六年の浜松市長時代にも行財政改革を進め千三百億円以上の市債を削減したり、職員の定員適正化や外郭団体の改革、補助金の見直しや公共施設の統廃合、さらには行政区の再編などにも取り組んでこられました。本県も行政の生産性の向上を目指して行財政改革に取り組み、職員定数の削減、歳出のスリム化、歳入の確保、県民サービスの向上などを進めてきましたが、本年度当初予算編成における財源不足額は五百五十五億円、将来負担比率は二四〇%で全国四十一位という厳しい財政状況にあります。
とはいえ、行財政改革の名の下に歳出を過度に引き下げ著しくサービスが低下すれば県民生活に影響し本県の魅力を失うことにもつながりかねず、県民が幸福度を実感できなくなってしまう懸念もあります。特に我が自民改革会議には、道路や河川、砂防、農林水産基盤、交通施設など県民に身近な社会インフラを整備する生活環境整備事業や防災対策など、県内のあらゆる地域から毎年要望が寄せられています。行革と投資そのバランスは極めて難しい政治課題でありますが、行革の目的は未来の投資のためにこそあると私は信じています。
そこで、本県における行財政運営の課題と改革の方向性について、知事のお考えを伺います。
次に、リニア中央新幹線の推進について伺います。
就任直後から知事は国土交通大臣やJR東海社長と面談し、またリニア中央新幹線建設促進期成同盟会の総会へ出席するなど精力的にこの問題に取り組む姿勢を見せています。知事はこの総会や自民党超電導リニア鉄道に関する特別委員会で、水資源や自然環境の保全と工事の両立に向けスピード感を持ってJR東海と対話を進めていくと発言されました。岐阜県において発生したリニアのトンネル工事の影響による井戸等の水位低下についても速やかにJR東海に説明を求めており、水と環境を保全する姿勢を示されたものと受け止めています。
その後六月十八日には、山梨県内のトンネル工事に要するボーリング調査をめぐり静岡県、山梨県、JR東海の三者で合意したことも伝えられ、県内の調査については今後大井川利水関係協議会の意向を踏まえて判断する方針を示されました。
知事は就任の記者会見で最後は政治的決断も必要だとも発言されており、リニアの整備に向け今後どのように取り組んでいかれるのかお考えを伺います。
さて、リニアの開通は我が国の高速移動交通網に大きな転換をもたらしますが、本県は沿線で唯一停車駅がないために直接的な開通のメリットを感じにくいと言えます。この点に関して知事は今月五日JR東海の丹波俊介社長と面談した際、静岡空港に東海道新幹線新駅を設置するリニア開業後の県の構想を語られたと聞いています。また今月七日の期成同盟会総会で示された効果の最大化に向けた四つの将来像の一つとして東海道新幹線沿線の活性化も提案されており、本県にとっても急速に新たな展開が進もうとしているように感じます。
そこで、本県にとってリニアの整備によりどのような具体的なメリットがあるのか、またそのメリットを現実化するために今後どのように取組を進めていかれるのか、知事のお考えを伺います。
次に、遠州灘海浜公園の整備に関する知事の方針について伺います。
この公園の整備が都市計画決定されたのは昭和三十七年、今から約六十年前のことです。その後整備に向けた動きはありませんでしたが、沿岸部で防潮堤の整備が進められるようになった平成二十七年、浜松市営球場の老朽化に伴う新野球場の整備が地元浜松市から要望され避難施設の一つとして野球場を整備するという基本構想の検討が始まりました。大規模な予算出動を自粛したコロナ流行期には一時議論が中断しましたが、野球場の規模をめぐっては県議会の各会派で検討が続いており、我々自民改革会議は令和三年に遠州灘海浜公園基本計画に関する提言を当時知事に提出しています。この提言書には、利用者のニーズとコストのバランスを考慮し整備すべき球場規模は高校野球の県大会開催が可能な程度とすることを柱に、野球の各種大会や合宿、キャンプの誘致を戦略的に誘致することや、災害対策、アカウミガメ産卵への配慮などを盛り込んでいます。
一方、浜松市では令和四年に新野球場建設促進期成同盟会が設立され、全天候型のドーム構造が要望されています。そして昨年十月には野球以外の幅広い大型イベントの開催を可能とする多目的ドーム型スタジアムへと要望内容が変更され、先月には期成同盟会の名称も新野球場から多目的ドーム型スタジアム建設促進期成同盟会へと変更、今月十四日には改めて要望書を鈴木新知事へ提出、我が会派も議長宛て要望書のコピーを浜松市長はじめ同盟会の皆様から手渡されました。
さて、県においては今年二月に三つの野球場タイプを盛り込んだ基本計画の素案がまとめられ、四月にはパブリックコメントが行われており、今議会の建設委員会においてこの素案が議論される予定です。私が拝見する限り、素案に示された中心施設は規模の違いはあってもいずれも野球場であり、示された整備費用もこれに基づいたもので多目的ドームのスタジアムとは異なるものだと見受けております。
このように議論されてきた遠州灘海浜公園の整備は、知事選でも大きな争点の一つとして注目を集めこの選挙が地域戦とも言われた背景ともなっていました。そして知事は、選挙期間中にはドームを中心としたボールパークを県、市、民間が一緒に整備する、就任記者会見においては公園の中心となるドームだけが取り沙汰されているが個人的には最初の全体構想をもう一度見直さないと判断を見誤る、構想を練り直すことが必要だと発言され、さらに県議会での就任挨拶では「公園としての基本的な機能や計画は大きく変更されることは想定されないため基本計画案につきましては本議会の常任委員会において御説明をさせていただく」と述べられ、その真意を図りかねるコメントが続きました。当初の予定ではこれから三つの案についてそれぞれのタイプのメリットやデメリット、公園内のその他の施設の在り方、ニーズの掘り起こしの可能性、そして費用さらには篠原地区全体のまちづくりなどが議論されるはずで、官民一体の協議の場でまずは特定の規模には執着せず今後の人口動態やまちづくりに要する開発費用、プレーヤーの確保などできる限り広い視点でこの三案のあらゆる可能性を洗い出すことが先決であると考えます。
静岡新聞の調査では、二万二千人規模の多目的ドーム型の推進について反対及びどちらかといえば反対と答えた人が全体の五二・三%を占め賛成を大きく上回っており、柔軟かつ冷静で長期的な議論の実現を心がけたいものであります。そこで改めて伺います。
一点目、整備に向けて今後どのような点を重視して議論していく必要があるとお考えなのか。
二点目、今後どのような手順とスケジュールにより議論を進めていくのか。そして施設の完成時期はいつ頃と見込んでいるのか。
三点目、選挙戦や就任後を通じた知事の公園整備に関する発言に変化があるように感じられますが、知事の発言の真意はどこにあるのか。そして現時点の知事の方針とは何なのか。
以上三点お答えください。
次に、県内の医療体制について伺います。
本県が直面する医師不足と偏在解消という課題も知事選で大きく取り上げられたテーマの一つでした。昨年度末に厚生労働省が公表した本県の人口十万人当たりの医師数は二三〇・一人で全国三十九位、依然低水準が続いています。県内八つの圏域別で見ると静岡圏域と西部圏域では全国平均を上回っていますがその他は全国平均以下であり、特に賀茂、富士、中東遠は医師少数区域とされ、静岡圏域でも駿河区、清水区は全国平均を下回り偏在が顕著な状況です。また今年四月適用が始まった医師に対する時間外労働の上限規制は年間九百六十時間までとされ、勤務医の約四割がこれを超えて就労してきた実態を考えると今回の規制は医療提供体制を一層逼迫すると予想されます。
知事は、選挙戦で東部・伊豆地区に医学部を誘致すると宣言されました。しかし途中トーンダウンし、就任時の記者会見で可能性はゼロではないがハードルは高い、即効性のある政策に重点を置くと軌道修正をされ、この発言が選挙公約の事実上の撤回だとニュースになり東部の県民が落胆する様子も報道されました。
まずこうした経過となったことについて、知事のお考えを伺います。
また、知事は即効性のある対応として県が実施してきた医学修学研修資金の拡充に言及されました。バーチャルメディカルカレッジと呼ばれてきたこの制度は運用開始から既に十年が経過し七百人以上の若い医師がこの制度を利用して本県で働いていますが、必ずしも偏在を解消する効果的な運営がなされているとは言えません。
そこで伺いますが、知事がお考えになるこの制度の拡充策とはどのようなものなのかお示しください。
次に、災害発生時における危機管理の意識について伺います。
東日本大震災の発生によって計画された地震・津波対策アクションプログラム二〇一三は、昨年改定され現在は同二〇二三として対策が進んでおり、住宅の耐震化、津波施設の整備などのハード対策、避難計画や避難生活へのソフト対策など比較的計画どおり進んでいると評価できます。しかしながら激甚化する近年の台風や集中豪雨による浸水被害、土砂崩落などは深刻さを増しており、これまでに整備された河川や堰堤の機能をはるかに超えてきており、根本的な被災原因を解決できないまま毎年のように同じ被害が報告される例も少なくありません。
このほか、本県が抱えている防災上の課題は原子力発電所からの避難計画の具体化、各種の団体などと締結してきた防災協定の見直しの遅れなどに加え、一昨年の台風による清水区での大規模な断水では自衛隊への協力要請が遅れたことや、今年元日の能登半島地震においては災害発生時に知事が不在であったことが度々議会で指摘されるなどまだまだ多岐にわたっています。
こうした本県の災害に対する実情を踏まえ、知事はどのように危機管理行政を運営されていくのか、また有事の際にはどのように県庁を指揮していくお考えなのか、所見や意気込みを教えてください。
次に、今後の観光振興の方針について伺います。
成長戦略の柱、地域活性化の切り札として令和五年三月国は観光立国推進基本計画を策定し、持続可能な観光地域づくり、インバウンドの回復、国内交流の拡大の三つの戦略に取り組んでいます。この計画に盛り込まれたインバウンド消費額五兆円という目標は既に達成され、過去最高を記録しています。
一方、観光庁の宿泊旅行統計調査によると、本県の令和五年の宿泊客数は二千七十万人とコロナ前の九割程度へと着実に回復してきました。しかし外国人宿泊者に限ってみれば全国ではコロナ前と同程度まで回復していますが、本県は約四割の回復にとどまり遅れがあるようです。さらに旅行消費の現地単価や平均宿泊日数も全国平均を下回っています。
県内宿泊施設では賃金の低さや人手不足による稼働率の低さが課題となっているようですが、新型コロナウイルス感染症の収束と円安の影響によってインバウンドは急回復し日本の観光は新たな局面を迎えています。本県観光産業が再起するためには、観光客の増加に加え顧客単価を上げる試みや滞在期間の長期化が重要であり、豊かな自然、食、歴史、文化、温泉、花など世界に誇る数多くの観光資源の活用と情報発信を一層充実させ、首都圏、中京圏に近接した地理的優位性も生かして体系的な施策を構築して実現していくことが大切だと感じます。
そこで、本県の産業としても重要な一翼を担う観光をどのように振興していくのか、県として今後の方向性について伺います。
次に、農林水産業の特産品のトップセールスについて伺います。
近年の物価高騰による価格転嫁が困難で経営の悪化が懸念されている農林水産業では、食糧の安定供給のためにも適正な価格形成が求められる一方、ブランド化による販路の一層の拡大が取り組まれてきました。具体的には全国や海外への展開を視野に多彩で高品質な商品を厳選し、しずおか食セレクションとして認定、「頂」の愛称を活用して首都圏で静岡フェアを開催したりコンビニエンスストアとの連携による新商品開発などを行っています。昨年までの累計では農産物百二十五、畜産物二十四、水産物三十七、林産物十一の計百九十七件をこのセレクションで設定しており、着実にブランド化を進めてきました。また加工品についても、県産品を使用した優れた商品をふじのくに新商品セレクションとして表彰し、受賞者には県内外での商談やテスト販売の機会を提供するなど販路の開拓を支援し、県産品を使った高付加価値の新商品開発を促してきました。
しかし、県が用意してきたこうした制度の認知度はまだまだ低く、宣伝、消費を含め県全体でブランド化を応援することが必要であり、特に知事自らがトップセールスの活動を展開することが打開策の一つになると考えます。浜松市長時代にも政令市の積極的な売り込みを宣言された知事ですが、これからは静岡県でトップセールに取り組んでいただくことになります。
そこで、県産品を国内外に売り込むためにどのような営業を仕掛けていかれるのか、知事の方針を伺います。
次に、年齢や障害の垣根を越えた共生社会の実現について伺います。
SDGsが世界的な潮流となる中、知事が提唱される幸福度日本一の静岡県を実現するためには、高齢者や障害のある方、子育て中の方や子供たちなど、あらゆる立場の方々の個性や人格が尊重される社会づくりが必要であります。外国人の社会参加機会の増加などまさに今、時代の転換期を迎えており、地域のつながりが希薄化する中で行政による制度への改善は常に検証され実現が図られなくてはなりません。
知事はまた、ウエルビーイングの指標をつくりたいと述べられています。身体的にも精神的にも経済的にもそして社会的にも、常に満足した良好な状態を実現できる社会を目指されているものと思います。そのためには、障害者差別の解消条例への理解を進め町並みや様々な施設利用における不便さを解決したり制度づくりへの当事者の参加機会を創出すること、また高齢者の安全を守るため免許の返納を促すために地域交通を見直したり社会参加の機会を確保すること、さらには生活困窮に直面し社会的な孤立状態にある方々の声を聞き取りにいくことなどあらゆる立場の方があらゆる社会資源を同じように利用し享受できる社会を目指すべきものと考えます。
こうしたことを踏まえ、年齢や障害の有無にかかわらず誰もが生き生きと暮らせる共生社会の実現に向け子供、高齢者、障害のある方、子育て中の方など様々な県民のニーズをどのように捉えきめ細かな行政サービスを提供していくのか、県の方針を伺います。
次に、今後の教育の在り方についてのうち、実効性のある教育施策の構築について伺います。
今月五日厚生労働省が二〇二三年の人口動態を公表しました。合計特殊出生率は一・二〇で過去最低を更新、本県も前年から〇・〇八ポイントの低下で一・二五となりやはり過去最低となりました。やがて訪れる一層の人口減少社会において社会を支える一人一人が担う役割とこうした人材を育てる教育の重要性はますます大きくなり、人格の発達過程におけるそれぞれの教育施策の構築には今まで以上に成長への実効性が求められることになります。
幼児教育におけるしつけや道徳性の教育と同時に情緒を育む環境づくり、義務教育課程における確かな学力、体力、協調性や研究心の育成など個性の尊重が求められる時代の中で、学校の小規模化や質の維持という課題を克服しながら成果を上げていくことは実に困難である反面、現場の教員の方々にはやりがいと達成感を得ながら職務に従事していただきたいと思います。
一昨年の就任以来、池上教育長は探究的な学びの充実や誰一人取り残さない教育の実現に向け様々な施策に取り組んでこられましたが、二期目を迎えるに当たりどのように実効性のある教育施策を構築していかれるのか、教育長のお考えを伺います。
次に、今後の高等教育振興の方針について伺います。
先ほども触れたとおり、我が国の出生数の減少は今後の高等教育の在り方を考えると一層深刻であります。昨年生まれた子供約七十三万人は、私が生まれた一九七三年の二百十一万人というピークの約三分の一程度であり、彼らが大学に進学する二〇四〇年の大学進学者数は大学進学率の上昇を考慮しても現在より二〇%も少なく、五十万人前後まで減少すると推計されています。
本県でも三万五千人ほどの現在の十八歳人口が二〇四〇年には二万二千人まで減少する試算であり、加えて県内進学率は約三割、大学の県内就職率も約五割と若者の県外流出の課題も抱えています。大学等の高等教育機関も入学生十八歳中心主義では、今の規模を維持することはできません。
こうした状況にはあるものの、本県には全国で最も多い四校の公立大学を含む二十一の高等教育機関があり、医療、健康、食品、光、電子技術など地域産業と密接に関係する学問が定着しており、幅広い教育研究が実践されています。産学官が連携したイノベーションの創出や高度な研究機能への期待があるものの、研究に要する設備や資金の充実など社会的な支援の必要性も指摘されています。
知事は、浜松市長時代に世界に冠たる教育研究機能を持つ先鋭的な大学を創設し従来にない新たな価値創造と先駆的人材育成を通じて静岡県内全域に有為な人材を供給し日本の未来に大きく貢献することを目的に静岡大学・浜松医科大学統合・再編促進期成同盟会を設立されており、就任後の会見でも県内大学の国際競争力に言及されています。確かに技術革新や人口減少など高等教育を取り巻く環境の変化に対応することは大切ですが、それぞれの大学の歴史や伝統、特性を互いに尊重しながら相互の連携を深めていく視点も必要であると考えます。
そこで、本県の高等教育の役割をどのように考えその振興に向けてどう取り組まれていくのか、御所見を伺います。
最後に、警察本部長着任における所信について伺います。
今年三月二十九日付で、津田本部長が大阪府警察副本部長から本県の警察本部長へ着任されました。これまでに鳥取県警察本部長のほか警察大学校での刑事教養部長、警察政策センター所長などの要職を歴任されております。本県警察が直面する課題に対し一から勉強しやるべきことをしっかり見据えていきたいと述べられ、春の全国交通安全運動の出発式では本部長自ら園児に横断歩道の横断方法を丁寧に教えるなど現場を重視する姿が伝わってきました。
さて、本県の治安情勢ですがまず昨年の交通事故件数、死者数、負傷者数は前年を下回ったものの、今年に入ってからは交通死亡事故が前年を上回りました。また特殊詐欺の被害も前年を下回りましたが、SNS型投資詐欺等の被害の発生は後を絶たず殺人、強盗などの凶悪事件も発生しています。このほか南海トラフ地震や自然災害などの対策はもちろんのこと、悪質巧妙化するサイバー犯罪対策、暴力団などによる組織的な犯罪対策、新たなモビリティーへの対応など県警察が取り組むべき課題は多岐にわたっています。
警察白書によれば日本は安全・安心な国だと思うと回答した人の割合は八割を超えている一方、半数以上の方はここ十年間で日本の治安が悪くなったと回答しています。これは一層の治安の改善を期待する思いの反映であり、警察行政への期待の表れだと感じます。
そこで、着任から三か月、こうした現状を踏まえ県民が安全で安心して暮らせる静岡県を実現するために今後どのように県警察を運営していかれるのか、本部長の御所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(落合愼悟君) 鈴木知事。
○知事(鈴木康友君) 相坂議員にお答えをいたします。
私の政治姿勢についてのうち、私が目指す県政のビジョンについてであります。
初めに、静岡県の将来像についてでありますが、私が目指す静岡県の将来像は選挙期間中からお示ししておりますとおり静岡県を幸福度日本一の県とすることであります。幸福度日本一については県民の皆様に暮らしやすさと幸福感を見える化し実感していただくことが重要であります。本県の強みを伸ばし弱みを強みに変え生活の質を向上させることで、県民お一人お一人に寄り添い幸せを感じられる静岡県づくりを全力で進めてまいります。
また、議員御指摘のとおり、本県は各地域に魅力があふれそれぞれの特性があります。伊豆、東部には首都圏への良好なアクセスや世界遺産富士山、伊豆半島ジオパークが、中部には清水港等の物流網、最先端の海洋研究拠点が、西部には一流のものづくりや浜名湖等の観光資源があります。こうした多様な資源、産業などを十分に生かし県全体として均衡ある発展を目指すことも私のビジョン、方針であります。
まずは、各地域の代表であります県議会の皆様をはじめ市町長や県民の皆様と丁寧な対話を積み重ね地域の実情を的確に把握をいたします。その上で全ての県民の皆様と力を合わせ、オール静岡で地域に立脚した施策を真摯に進めてまいります。
こうした取組について、全庁の力を結集ししっかりと推進していくためには、明確な経営方針を持つことも重要であります。私は五つの経営方針を徹底し県政の運営に当たる所存でございます。
具体的には、経営感覚を持ち将来世代に対する責任を負うこと、税金を無駄にしないこと、前例踏襲や常識にとらわれず新しく挑戦すること、「巧遅より拙速」、人を生かすことの五つであります。私は本県をさらに一段の高みに導くため、決断と実行、リーダーシップを発揮し全身全霊をささげ幸福度日本一の実現に邁進をしてまいります。
次に、知事選結果の受け止めについてでございます。
私は、選挙で訴えた幸福度日本一を実現するため県内において各地域の均衡ある発展が極めて重要であると考え、このたびの選挙においてオール静岡の実現を訴えてまいりました。選挙結果には地域性が如実に表れましたが、こうした地域間の考え、感じ方の違いについて速やかに対応することが必要であると認識をしております。
そこで、まず私自身が市町長の皆様をはじめ県民の皆様の声を丁寧に聞くことに徹底をいたします。地域ごとの考えや悩みなどをできる限り広く深く把握した上で全力で問題解決に当たり、実績を一つ一つ積み上げてまいります。
選挙中に県内各地を伺って改めて感じたことは、いずれの地域も高いポテンシャルを有しているということであります。これらをより効果的に活用し本県の力として顕在化させるためには、様々な関係者と十分に連携することが不可欠であります。そのため県議会の皆様はもとより県内市町、関係団体など各界各層の様々な皆様と意見を交わしながら取組を充実させてまいります。
また、議員御指摘の国との連携も県政の円滑な運営に必要不可欠であります。私のこれまでの経験や培った人脈を駆使し、具体的な政策提言等も含め国との積極的なコミュニケーションを図ってまいります。
二元代表制の一翼を担う県議会の議員の皆様は、県民から選ばれた各地域の代表でもあります。皆様とのコミュニケーションを大切にし地域の実情をお聞きするとともに、県政全体の発展について真摯に議論を重ねてまいります。
本県が直面する行政課題は、一層複雑化、高度化の度合いを深めております。力強く本県を発展させていくためには、県議会の皆様、国、市町、関係団体、そして県民の皆様と心を一つにしオール静岡で取り組むことが重要であります。県議会の皆様におかれましては改めて御理解、御支援のほどお願いを申し上げます。
次に、今後の県庁組織と人事についてのうち、県庁組織の改編についてでございます。
本県では、重点施策の推進に当たって政策立案の段階から戦略的な予算配分までを機動的かつ一体的に進めるため、いわゆる企画の機能と財政の機能とを担う政策推進局を知事直轄組織として設置をしているところであります。
例えば、新規事業や部局を横断する事業については政策推進局が主体となって各部局との対話を進め事業化に結びつけるなど、これまでその役割を果たしてきたと理解しております。現在の組織体制は今年度の重点施策や予算、事務事業等を踏まえて編成したものであり、当面は現行の体制を維持していくつもりでございます。
一方、私が今回の選挙で掲げた大きな目標である県民幸福度日本一の静岡県を実現するため、高度化かつ多様化する行政課題に対し部局の枠組みを超え一層の連携を図っていくことが重要であると考えております。
今後、迅速に先進的な施策を展開していくため「巧遅より拙速」の方針の下、時代の先を読み新しい挑戦をすることが重要であると考えております。そのため県民の皆様からの御意見や社会的課題に対してスピード感を持ち、全庁一体となって対応できる最適な組織体制について検討してまいります。
さらに、県民サービスの向上や業務の効率化に向け職員が新たにチャレンジしイノベーションが生み出されるような活気ある風通しのよい組織づくりにも取り組んでまいります。
次に、副知事人事と東部・伊豆担当戦略監などの地域戦略人事についてであります。
まず、副知事人事についてでありますが、複雑化、高度化する様々な行政課題の解決に向けては行政部門相互の緊密な連携がこれまで以上に必要となっております。二人の副知事にはそれぞれの役割分担の下、高い調整能力を発揮していただいているものと期待しております。
私が掲げる県民幸福度日本一の静岡県を目指すという基本的な方向性については、二人の副知事いずれも私と同じ思いであると確認したところであります。当面、両副知事には私と共に県政運営のかじ取りを担っていただきたいと考えております。今後政策目的に応じた組織づくりに取り組む中で、副知事の人事や役割分担について検討してまいります。
次に、東部・伊豆担当戦略監についてであります。
東部・伊豆地域は、将来の人口減少や少子高齢化への対応が喫緊の課題となっていることから、各市町に寄り添いそのニーズをきめ細かく把握しスピード感を持って課題解決に取り組むことが重要であります。そのためには新たな職の設置が必要ではないかと考えたところであります。
一方で、伊豆半島七市六町首長会議の構成員の皆様には職の設置について様々なお考えがあることが分かりました。今後できる限り早い時期に各市町長などの御意見を伺った上で、東部・伊豆地域と県との最適な連携を生む体制について最終的に判断をしたいと考えております。
東部・伊豆地域に限らず本県全体が将来にわたって活力ある豊かな地域であるためには、それぞれの地域の声を丁寧に聞き施策に反映させていくことが重要であります。そのため静岡県知事・政令市市長会議や地域ごとの市町長との地域サミット等により、幅広いテーマで積極的な意見交換を行いたいと考えております。
さらに、賀茂、東部、中部、西部の地域局長が直接私に地域の課題を報告する場を新たに設けるなどスピード感を持って県全体の活性化に取り組む体制づくりを進めてまいります。
次に、行財政改革と未来への投資についてであります。
本県の総人口は令和二十七年には三百万人を割ることが見込まれており、今後労働力や消費等の需要の減少、経済規模の縮小に伴う税収減が予想されております。
一方、社会保障経費や激甚化する自然災害、長期化する物価高騰への対応など行政需要は増大しており、本県の行財政運営を取り巻く環境は厳しさを増しております。
こうした状況の中、県民の皆様が必要とする行政サービスをしっかり確保し持続可能な地域社会を維持していくため、私は経営感覚を持ち将来世代に対して責任を負うという基本的な考えの下、将来を見据えた行財政運営に取り組むことが重要と考えております。このため事業の無駄を省きより効率的、効果的な手法に転換するほか、クラウドファンディングや寄附金等の民間資金の活用など歳出・歳入の両面からの不断の見直しに取り組んでまいります。また将来を見据えた資産経営を行うとともに、PFIやPPPなどの官民連携手法を積極的に活用してまいります。
さらに、効率的、効果的な行政経営を行うためLGXに取り組んでまいります。前例踏襲主義や役所の常識といったこれまでの組織の体質や考え方を転換するとともに、デジタル技術を積極的に活用し新しい施策、取組にスピード感を持って挑戦してまいります。このような考え方は、今年度議会へのお示しを予定している次期総合計画の骨子案に反映させ取組を具体化させてまいります。
その一方で、県民の生活や将来への投資も必要です。行財政改革により財源を捻出し産業政策や子育て支援などの将来に向けた取組や県民の安心・安全の確保、医療・福祉の充実など幸福度日本一の静岡県の実現に向けた施策にはしっかりと必要な予算を確保してまいります。
社会状況の変化に対応した効率的で生産性の高い行政運営を実現するとともに、健全な財政運営を堅持することにより県民の皆様が将来にわたって安心できる行財政運営を進めてまいります。
次に、リニア中央新幹線の推進についてであります。
リニア問題に取り組むため、まずはできる限り早くキーマンの皆様とお会いすることが重要であると考えておりました。就任直後に岸田首相や斉藤国土交通大臣、JR東海の丹羽社長等と意見交換できたことは大変有意義でありました。面談を通じてリニア推進という立場を皆様と共有するとともに、本県として水や環境の問題をないがしろにはできないという基本姿勢をお伝えすることができました。
静岡県内での工事着手には、残された課題が解決し流域の皆様の不安が解消されることが不可欠です。そのためには双方向のコミュニケーションが重要であります。流域市町長の皆様との意見交換を早期に行い意思疎通を図るとともに、引き続き国、関係都府県とともに連携を図ってまいります。またJR東海とは信頼関係を前提として、リニア中央新幹線の推進と大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全の両立に向けてスピード感を持って取り組んでまいります。
こうした取組により解決策が示され不安が解消される場合でも、関係者全員の思いが完全には一致しない可能性もあります。その際、個別の状況等を踏まえ政治的な決断をすることもあると考えております。
次に、リニア整備による本県のメリットについてであります。
議員御指摘のとおり期成同盟会ではリニア建設を契機とした総合的な高速交通の将来像を示しており、その中で東海道新幹線沿線の活性化策として東海道新幹線の停車本数増加や静岡空港新駅設置を挙げております。
私は、今月五日の丹羽社長との面談においてリニア開業後の具体的な東海道新幹線の停車本数を示していただくことを求めました。また、丹羽社長から空港新駅について課題はあるが県の考えを真摯に受け止め対話をしていきたいとの話がありました。東海道新幹線の停車本数については、沿線市町の意見も伺い地域特性やニーズを踏まえながら具体的なダイヤなどについてJR東海と対話を進めてまいります。
また、空港新駅については長期的な課題と認識しているところであり、期成同盟会の取組と連携しながら丁寧に進めてまいります。
今後、本県のメリットの現実化を目指して関係機関や関係市町と具体的な検討を重ねてまいります。
次に、遠州灘海浜公園の整備に関する私の方針についてであります。
初めに、どのような点を重視して議論していくのかについてであります。
県では、遠州灘海浜公園篠原地区の基本計画策定に向け県民の皆様やスポーツ関係団体等から三千件を超える多くの御意見をお聞きするとともに、県議会においても時間をかけて御議論を頂きました。最終的に本年二月に素案として取りまとめられたものであり、私としてはこの経緯を尊重したいと考えております。
一方で、これまで野球場単体が過度に注目され議論されてまいりましたが、整備効果を最大限に発揮するためには公園周辺や交通アクセスも含めたエリア全体の集客力を高める全体的な利活用の構想を検討していくことが重要であります。その際、県、浜松市、民間がそれぞれの責任分担と応分の負担も含めて検討を進めることが必要であると考えております。
次に、今後の手順とスケジュールについてであります。
この公園を含む全体的な利活用の構想により、公園としての基本的な機能や計画が大きく変更されることは想定をしておりません。そのため、まずは本年四月に実施したパブリックコメントの意見を踏まえ野球場の規模、構造について三案併記の基本計画を本議会においてお示しをいたします。その上で議会としての御理解を頂けた場合、公園用地の取得に向けて手続を進めてまいります。
また、これと並行して県と浜松市、必要に応じ民間を含めた新たな協議会を設置し、公園を含む全体的な利活用の構想を検討しながら野球場の規模、構造を絞り込んでいきたいと考えております。
議員御指摘のとおり、野球場について広い視野で三案の可能性を検討していくことは重要であり、構想の検討と並行して実施してまいります。
なお、施設の完成時期につきましては現段階で正確にお示しすることは困難でございますが、設計着手から完成まで数年単位を想定しております。
次に、私の発言についてでございます。
選挙中常に同一の表現をしていたわけではありませんが、私はこれまで一貫して基本的な考え方を持っており、その真意は本日御説明したとおりでございます。遠州灘海浜公園篠原地区が多くの県民の皆様に愛されるとともに、最大限の整備効果を上げてにぎわいを創出するよう浜松市と連携し、民間のノウハウを取り入れながら県議会の皆様ともしっかり議論を重ねスピード感をもって取り組んでまいります。
次に、県内の医療体制についてであります。
私は、選挙中当初は東部地域の医師不足への対応として医科大学の誘致について言及をいたしました。その後様々な御意見を頂き私もよく調べたところ、人口減少下、国全体で医師数の需要のピークを間もなく迎える中地域偏在は残るものの新しく大学誘致をすることはかなり厳しいと考えるようになりました。そのため選挙中も、東部地域における医師不足の解消のために即効性のある対策を優先し医学修学研修資金制度の拡充等を主張していたところでございます。就任時の会見においてもこうした趣旨を説明をいたしました。
医学修学研修資金制度の拡充策につきましては、例えば東部地域での勤務限定枠の創設、貸与額や勤務期間の優遇、返還免除となる医療機関の拡充など様々考えられます。これらについて個々の医師の育成などとのバランスを考慮しつつ、まずは県医療対策協議会及びその部会である医師確保部会、そして受入先となる病院などの様々な医療関係者の皆様の御意見を伺いながらよりよい策を検討してまいります。
なお、医師の定着に有効な医学部地域枠について、本県は現在国内トップクラスの六十八人を確保しております。令和二年度入学者からキャリア形成プログラムにより四年以上医師少数区域または医師少数スポットでの勤務が義務づけられており、勤務が本格化する令和八年度以降順次効果が発現してまいります。これまでの取組の効果を着実に発揮させるとともに、即効性のある新たな取組を加えることにより相乗効果が生まれるように施策を展開してまいります。東部地域に限らず医師少数区域等の医師確保策の充実に向け関係者の皆様方と知恵を出し合い、取り組んでまいります。
次に、災害発生時における危機管理の意識についてでございます。
私は、市長として四期十六年、国土縮図型都市と言われる浜松市で災害対応を指揮してまいりました。平成三十年には台風第二十四号による大雨、暴風により浜松市内で約二十八万戸が長期に停電したほか、令和四年の台風十五号による記録的大雨では土砂災害や浸水等深刻な被害を受けました。私はこれらの災害において常に先頭に立ち迅速、適切に対処してまいりました。
また、平成二十三年に発生した東日本大震災によりそれまでの津波対策の見直しを余儀なくされたことから、津波ハザードマップを改定し住民の避難意識の向上を図るとともに、県と連携して浜松防潮堤の整備を進め令和二年に完成をさせました。こうした市長としての経験を今後は知事として応用、発展させ全県各地で起こる災害にしっかりと対応していく所存でございます。
また、南海トラフ地震等の発生も想定されていることから、能登半島地震等を教訓とした対策も実施をいたします。道路網や河川、港湾の機能強化等のハード整備に加え県内各市町のニーズや実情を十分に把握をし、わたしの避難計画の普及や避難所運営の在り方を見直すなど自助、共助、公助の取組を一層強化してまいります。
このような準備を尽くした上で、実際に災害が発生した際には私が災害対策本部長として真っ先に陣頭に立ちます。多様な災害情報を的確に把握するとともに、救出救助や被災者支援、応急復旧など災害対策が円滑に実施されるよう迅速かつ具体的な指示を発出してまいります。
また、国や全国の自治体、自衛隊、関係機関などと密接に連携して人材や物資などの応援を県内で適切に配分するほか、県民の皆様の不安が軽減されるよう私自らが広報官となり全力で正確な情報を発信してまいります。
県民の皆様の生命と財産を守ることは、知事である私に負託された最も重要な責務と考えております。全身全霊をかけて本県の防災・減災対策に取り組んでまいります。
なお、その他の御質問につきましては関係部局長、教育長から御答弁申し上げます。
○議長(落合愼悟君) 酒井危機管理部長。
○危機管理部長(酒井浩行君) 県内の重要施策についてのうち、伊豆半島の防災についてお答えします。
能登半島と地理的、社会的条件が類似する伊豆半島におきましては、南海トラフ地震等が発生した際同様の事象が危惧されております。このため命の道となる伊豆縦貫自動車道の一日も早い全線開通に向け県を挙げて強力に国に働きかけるとともに、橋梁の耐震化、道路のり面の防災対策などスピード感を持ってアクセス道路の強靱化を図ってまいります。また地域の実情に即した津波対策の施設整備を推進し、静岡方式による津波対策に強い地域づくりに努めてまいります。
さらに、孤立対策としてヘリやドローンの活用により迅速かつ確実に支援物資等を輸送することができるよう、孤立地域内のヘリスペースや資機材の備蓄状況など市町と連携してより詳細な調査を実施するとともに、実際の訓練等を通じて自衛隊等の関係機関との連携をしっかり検証してまいります。
県といたしましては、現在も国において能登半島の課題の抽出や対応策の検討が継続されておりますがその議論を注視していくとともに、必要な対策については地震・津波対策アクションプログラム等に反映し、国や市町と一体となって伊豆半島の防災力の向上に邁進してまいります。以上であります。
○議長(落合愼悟君) 村松経済産業部長。
○経済産業部長(村松毅彦君) 県内の重要政策についてのうち、東部地域への新産業の集積についてお答えいたします。
県では、現在地域の強みを生かした産学官連携による先端産業創出プロジェクトを県下全域で展開しております。このうち東部地域のファルマバレープロジェクトにつきましては、今月知事が山梨県の長崎知事と面談し、総合特区のメリットを生かして両県連携の下、医療健康関連産業の集積に一層取り組んでいくことを確認いたしました。また脱炭素や循環経済を実現する素材として注目されるCNFについては、多くの需要が見込まれコストの低減が期待できる輸送機器関連産業での実装化を目指すこととしております。
東部地域では、こうしたプロジェクトの展開に加え首都圏への良好なアクセスなどのポテンシャルを生かし、知事自らが先頭に立ってスタートアップや成長著しいIT関連企業などの誘致に取り組んでまいります。また企業を呼び込むために不可欠な産業用地の確保につきましても、様々な手法を活用してスピード感をもって対応いたします。
東部地域の市町と連携して、魅力ある企業の誘致や高度な技術力を有する地域企業と先進的な技術、アイデアを有するスタートアップとの協業によりオープンイノベーションを促進し、雇用の創出にもつながる成長力のある新産業の集積を図ってまいります。
次に、西部地域のものづくり産業の再興についてであります。
西部地域のものづくりの要は自動車産業であり、まずは自動車産業の持続的な発展を支える取組が鍵となることから、次世代自動車センター浜松と連携して次世代自動車開発に不可欠な中小企業の固有技術の探索やEVの分解活動、試作品開発などの取組を行っております。
また、自動車関連の中小企業が他の成長分野に円滑に参入できるよう支援することも重要であります。高度な精密加工技術を必要とする航空機分野や医療機器分野への参入に向けて、製品開発への補助金の交付や関係支援機関のコーディネーターによる伴走支援を行ってまいります。
特に次世代エアモビリティーについては、スカイドライブがスズキと連携し磐田市に空飛ぶクルマの製造拠点を整備したことから、ビジネスマッチングなどを通じて県内企業の新規参入を促してまいります。
加えて、浜松市をはじめとする西部地域は起業家精神に満ちあふれ県内の約百五十社のスタートアップの半数以上が事業を展開しております。スタートアップの独創的なアイデア、技術を取り入れ革新的な製品、サービスを生み出すことで西部地域のさらなる発展が期待されます。
県といたしましては、地域企業が有する技術力の高度化やスタートアップと地域企業との融合によるイノベーションの創出などを通じて、西部地域のものづくり産業の再興に向け全力で取り組んでまいります。
次に、農林水産業の特産品のトップセールスについてであります。
高品質で多彩な本県農林水産物のさらなるブランド力向上、販路拡大のためには、議員御指摘のとおり知事自らが率先して国内外へのPRに取り組んでいくことが重要であります。
まず、国内につきましては生産者団体と連携し、知事トップセールスとして大消費地である首都圏卸売市場におけるPRや高級量販店、ホテルにおける静岡県フェアの開催など生産、流通、販売事業者が一体となった取組を進めてまいります。
海外につきましては、世界的な和食ブームや健康志向の高まりを絶好の機会と捉えマーケティング戦略の重点品目であるお茶、日本酒、温室メロン、イチゴ、ワサビなどを積極的に売り込んでまいります。特にお茶については欧米で人気の抹茶や有機認証茶に加え中東の富裕層向けに高級ボトリング茶の販路開拓に取り組むほか、昨年GI――地理的表示の指定を受けた日本酒についてもヨーロッパ最大級の日本酒見本市であるパリの展示会サロン・デュ・サケへの継続出展やインバウンド向け酒蔵ツアーなどを通じて、輸出拡大につなげてまいります。
今後、知事をトップに様々な場面で本県の高品質で魅力的な農林水産業の特産品を積極的にアピールすることで認知度向上と販路拡大につなげてまいります。以上であります。
○議長(落合愼悟君) 石川政策推進担当部長。
○政策推進担当部長(石川英寛君) 県内の重要政策についてのうち、中部地域のハブ機能の強化についてお答えいたします。
県中部地域は、インフラとして世界との交流拠点、富士山静岡空港や清水港、近隣大都市圏や内陸部とつながる高規格道路が整備されているほか、地域資源として駿河湾や南アルプス等の自然環境、茶をはじめとする多様な農産物もあり大きなポテンシャルを有しております。
県ではこれまでこうした特性を活用し、例えば交流面ではクルーズ船の誘致強化による外国人観光客の拡大、文化面では三保の松原の世界文化遺産富士山構成資産への登録、産業面では茶やミカン、海産物などの食品関連産業の集積などに取り組んでまいりました。
議員御指摘のとおり、中部地域発展のポイントは人、物、情報の結節点であることをさらに生かし新たな価値を創出することであります。静岡空港の就航先の開拓や医療健康産業の振興、水素活用など山梨県との連携強化により新しい流れを創出いたします。加えてMaOIプロジェクトの進化やイノベーション拠点SHIPの充実などにより、次代を担う産業や地域活力の創造につなげてまいります。県中部地域のハブ機能を強化することで人、物、情報が集う世界レベルの拠点を目指してまいります。以上であります。
○議長(落合愼悟君) 都築スポーツ・文化観光部長。
○スポーツ・文化観光部長(都築直哉君) 今後の観光振興の方針についてお答えいたします。
本県の観光交流はコロナ禍から着実に回復しております。この動きをより力強く確かなものとするため、多様な地域資源を改めて捉え直し、磨き上げ、観光の力で経済の好循環を実現していく必要があります。
このため、旅に欠かすことのできない食を中心に自然景観、温泉、歴史、スポーツ、アニメ、ロケ地、サウナなどの観光資源を組み合わせコンテンツとしての価値を高めブランド化するなど観光地としての魅力を一層向上させてまいります。特にインバウンドの拡大に向けては、観光ベンチャー企業等の新たなアイデアを取り入れながら外国人旅行を引きつける付加価値が高い商品、サービスを創出します。また世界的な旅行サイトへの特集ページの掲載など本県の魅力を情報発信するとともに、SNS等を活用したマーケティングを強化いたします。
加えて、近隣県と連携し富士山や街道といった共通する観光資源を巡るファムトリップ、モデルルートの設定など広域周遊の促進にも積極的に取り組み、滞在日数の長期化、旅行消費額の増加により経済を活性化させてまいります。
観光は本県経済を支える重要な産業であります。喫緊の課題である宿泊業の人手不足の解消も図りながら県内観光産業の持続的な発展に取り組んでまいります。
次に、今後の教育の在り方についてのうち、今後の高等教育振興の方針についてであります。
人口減少等により地域の活力低下が懸念される中、本県の高等教育機関には県内に多様な人材を輩出し地域の課題解決、経済の活性化、社会の発展に貢献する拠点としての役割が求められております。
こうした考えの下、県では観光業、医学、農林業など本県の発展に欠かせない分野において静岡県立大学、静岡文化芸術大学への教育課程の新設、大学院大学や専門職大学の設置など高等教育機能の充実を図ってまいりました。また地域・大学コンソーシアムと連携し社会人の学び直し、留学生の受入れなど県内産業を担う人材の育成にも取り組んでおります。
社会経済情勢が急激に変化する中では、高等教育機関が産業界等と課題を共有し一体となって地域社会の要請に応えていく必要があります。
このため、県では本年十二月に県内の大学と産業界などが一堂に会する大学サミットを開催し、将来に向けた恒常的な議論の場を構築することで大学や産業界の主体的で実践的な取組につなげてまいります。
本県の持続的発展に向け県内高等教育機関の教育・研究活動の充実に取り組むとともに、産学官連携による取組を強化することで本県高等教育の振興を図ってまいります。以上であります。
○議長(落合愼悟君) 青山健康福祉部長。
○健康福祉部長(青山秀徳君) 年齢や障害の垣根を越えた共生社会の実現について、お答えいたします。
誰もがいつまでも自分らしく暮らすことができる共生社会を実現し県民の皆様の幸福度や生活満足度の向上を図るためには、様々な境遇にある県民の皆様のニーズを的確に捉えていく必要があります。困っている方、不安を抱えている方の実情を把握し的確な支援を届けるため、まずは仮称静岡県こども計画の策定において、オンライン等を活用して子供や若者等の意見を幅広く聴取する仕組みを取り入れ、検証の上他の施策の立案にも拡大してまいります。
また、弱い立場にある方の声なき声に耳を傾けるため、アウトリーチ手法を積極的に取り入れたりSNSを活用して情報や支援を直接届けるとともに、民間事業者に出向いて合理的配慮をはじめ障害に対する正しい理解の浸透を図るなど誰一人取り残さない福祉の体制づくりに取り組みます。
さらに、社会構造が変化し単身高齢者の増加、子育てと介護のダブルケアなど生活課題が複合化、多様化していることから、市町に、断らない一元的な相談体制の整備を促し、子供、高齢者、障害のある方、生活困窮者等の分野を超え外国人居住者の方も含め県民の皆様を包括的に支援できる体制を構築してまいります。
県といたしましては、幸福度日本一の静岡県を目指し、地域で支え合い助け合う共生社会の実現に向け、全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(落合愼悟君) 池上教育長。
○教育長(池上重弘君) 今後の教育の在り方についてのうち、実効性のある教育施策の構築についてお答えいたします。
教育をめぐる環境は大きな転換期にあります。少子化が進み学校運営の変容が求められるなど子供たちを取り巻く状況は変化している中、未来に向かい予測困難な時代を力強く生き抜き持続可能な社会を築いていく人材の育成は公教育の使命であると認識しております。
私は教育長就任以来、誰一人取り残さない教育の実現の理念の下で創造性を育む新たな学びの推進を重要テーマとして掲げてまいりました。自らの信条である現場主義に基づき、学校や市町等へ出向き対話を通じてつぶさに状況を把握するとともに、将来を見据えたビジョンを戦略的に描き共有することで施策の実効性を高めてまいりました。
少子化により学校の小規模化が進む今だからこそ、地域のリソースを最大限活用した学校の魅力化をさらに進め一人一人の個性を大切にした教育の質の向上を図っていくことが必要であります。
二期目に当たりましては、その手段としてこれまで注力してきた探究的な学びのさらなる充実に向け、昨年度構築したオンラインプラットフォーム探QラボShizuokaを活用し地域の企業や団体等との横の連携、小中高の縦の連携の拡大を図り、また本県の社会課題等を探究する海外留学を推進するとともに、探究の世界的プログラムである国際バカロレア教育をふじのくに国際高等学校へ導入することを目指してまいります。
誰一人取り残さない教育の実現に向けましては、不登校児童生徒等を対象としたバーチャルスクールの導入や子供たちの自立のために民間フリースクール等への支援や連携強化に取り組むなどそれぞれの困難に寄り添った支援体制の構築に取り組んでまいります。
本県の将来を担う大切な子供たちの学びや成長を支える責務を強く心に留め、学校、家庭、地域との協働をさらに推し進めることにより施策の実効性を高め、社会全体のウエルビーイングの実現に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(落合愼悟君) 津田警察本部長。
○警察本部長(津田隆好君) 警察本部長着任における所信についてお答えします。
本県の治安情勢は、刑法犯認知件数や交通事故発生件数がおおむね減少傾向にあるもののSNS型投資・ロマンス詐欺の急増や企業へのランサムウエアをはじめとするサイバー事案の深刻化が課題となっているほか、高齢者と子供、歩行者と自転車といった交通弱者が当事者となる事故が増加するなど依然として厳しい状況にあります。また能登半島地震で浮き彫りとなった交通網遮断による孤立化は地形が類似している伊豆半島でも同様の事態が想定されるところであります。
こうした情勢を踏まえ、県警察では部内はもとより他の都道府県警察や関係機関・団体との連携強化により官民一体となった犯罪、交通事故の抑止対策及び災害対策を強力に推進しているところであります。特にSNSを通じて離合集散を繰り返し特殊詐欺や強盗等を敢行する匿名・流動型犯罪に対しては、グループの実態解明を急ぎあらゆる法令を駆使した戦略的な取締りを行ってまいります。また重要凶悪事件発生時には最大限の人員を動員し組織的な初動捜査体制を構築するなど被疑者の早期検挙に努めてまいります。
さらに、交通事故抑止対策としてはPDCAサイクルに基づく重点地区・路線での取締りを集中的に行うほか、高齢者と子供を中心としたしずおか・安全横断三つの柱の定着と自転車、小型モビリティーの交通ルールの周知に向けた広報啓発を推進してまいります。
災害対策としては、能登半島地震の教訓を踏まえて発足させた緊急検討チームにおいて災害対応の在り方を根底から見直すほか、自治体や消防との情報共有や合同訓練を推進し対処能力の向上に努めてまいります。
加えて、犯罪被害者支援についてでありますが、県被害者等支援条例を警察が所管し推進体制の長を警察本部長が務めている自治体は全国でも本県のみであり、ほかはいずれも知事部局が所管しております。犯罪被害者等に寄り添ったよりよい支援を実現するためにも、推進体制の在り方について見直し、検討を進めてまいりたいと考えております。
以上、県警察における当面の方針を申し述べましたが、国内外の情勢の変化により治安上の間隙が生じることのないよう組織体制や運用の在り方を最適化し職員一人一人が士気高く力を十分に発揮できる環境を整え、県民の期待と信頼に応えるよう努めてまいります。以上であります。
○議長(落合愼悟君) 相坂摂治君。
(五十一番 相坂摂治君登壇)
○五十一番(相坂摂治君) それぞれ御答弁を頂きました。
意見、要望を三点、それから再質問を三点行います。
まず一点目、知事からビジョンを語っていただきましたが、まず今日お示し頂いたこれはせんだっての議会での所信表明でも述べられてきた五つの方針ということでございましたけれども、この姿勢についてはよく分かりました。今県民の方々がこれから注目をしていくのは、次に知事が定める総合計画になろうかと思います。今日は私のほうから質問させていただいた県の四つのエリアについての重点政策を挙げさせていただきましたが、これからつくっていく総合計画の中には大きなスローガンを掲げていただいて、それぞれの地域の発展のイメージを盛り込んだ総合計画、そしてそこに新知事のカラーが分かりやすい、知事の姿勢ではなく今度は県のビジョン、力強くお示しを頂きたいと期待をしているところであります。
そして二点目、まず組織について検討していきたいということで御発言がありましたが、最終的に知事には絶対的な権限がやはりあります。ですから、最初から知事の下に企画や財政という脳みそとお財布を手元に置いておく必要はないということをですね、私ども再三申し上げてきました。この点については、今後の組織改編の中で鈴木知事がぜひお心がけ頂きたいのは職員の政策上の競争意識、あるいは切磋琢磨できる企画部門をきちんと立ち上げた上で職員の新しいチャレンジを後押しする組織を実現をしていただきたいというふうに思います。
それから三点目、篠原地区のドーム型のものについての要望、これは質問ではなく御要望を申し上げておきます。分かりにくいのは発展のイメージです。この地域で我々が議論していきたいのは、野球場の規模をどうするかとかあるいはここに多目的のものが加わるんじゃないかとかそういう議論が今先行して行われていますが、本来我々が知りたいあるいは皆様に県民の方々に示さなければいけないのは、この地区にこの施設を誘致するあるいは整備することでどのような発展が描けるのか、どのような人口へのインパクト、産業へのインパクト、イノベーションが起こるのか、そしてそのための負担をどのように賄っていく手法が実現できるのか、こうしたことがはっきりと示された上で施設の規模を議論するのが本来の在り方であろうと思いますが、順序がやや分かりにくくなっていますから心がけていただきたいというふうに思います。
再質問です。
まず一点目、リニアについてですが政治的決断ということでお話がありました。これは報道の前でもお話になったことではありますが、ややこの政治的決断という言葉、私どもはこの言葉から受ける印象はどこかでですね、やはり国の関与、あるいは国の責任、そして国の決断、これは環境保全等に対しての国の姿勢も含めてだと思いますが、知事が考えていらっしゃる今想定される政治的決断とは一体何なのか改めてお示しを、少し具体的にお示し頂けたらありがたいと思います。
それから、二つ目の質問がやはりリニアについてでありますが、これからメガリージョン構想の中で我が県がこの総合計画の中にもリニアへの姿勢を示していくことになるだろうと思いますが、今知事から我が県のメリットとして新駅の設置あるいは新幹線の停車本数等について力強い御発言がありました。これはまさに私ども同じ思いであります。ぜひこれを組織化を尽くしてこの議論がきちんと目に見える形で進んでいくような今後の方針について、もう少し組織化も含めてどんなところで議論を進めていくのかお聞きしたいと思います。
最後の再質問ですが、医師の配置の問題です。
これから医師少数区域に具体的な配置が示されていくということでありましたが、これを見える化して東部の方々に安心を与えていくような手法は考えていらっしゃるかどうかお答えを頂きたいと思います。
○議長(落合愼悟君) 鈴木知事。
○知事(鈴木康友君) それでは、相坂議員の再質問にお答えをしたいと思います。
一点目は政治的決断の意味でございますが、これは従前から申し上げておりますとおりリニア推進をしていくけれども静岡県の水の問題、大井川の水の確保とですね、生態系の保全、これを両立をさせていくということで三分野二十八項目の課題について一つ一つこれから現実的な課題をクリアする解決策を見いだしていくということを申し上げてまいりました。こうしたことを踏まえて大井川の流域市町の市長の皆さんのですね、御理解を得ていくということになりますが、これ政治の世界でございますので一〇〇%全てが賛成をしていただくということはですね、なかなか想定しにくいことでありますので、どの時点での判断かということはまだなかなか見通せませんけれども、こうした課題がクリアをされ一定の理解が得られた時点で決断を下すということ、これは私どもの責務だというふうに思っておりますので、そういうことについて政治的決断と申し上げているところでございます。
それから、リニアの当県についてのメリットについてどういう体制でこれを進めていくのかということでありますが、当面これはですね、JR東海と課題解決に向けての話合いとは別にですね、しっかりと本県についてのメリットについて対話をしていかなければいけませんので、そうしたことをですね、行ってまいりますけれども、まだ今の時点で具体的な組織をどうしていくかということについては想定はしておりません。
三つ目の医師の確保についてでございますが、これは御答弁でも申し上げましたとおり医学修学研修資金制度、これをですね、さらに拡充をするあるいは東部の地域の枠をつくるとかですね、様々なことが想定をされますので、そうしたことを通じてですね、即効性のあるやり方で東部地域への医師の確保というものを早急に行っていきたいというふうに考えております。
私からの答弁は以上でございます。
○議長(落合愼悟君) これで相坂摂治君の質問は終わりました。(拍手)
議事の都合により休憩します。
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