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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

前林 孝一良 議員

質問分類

代表質問

質問日:

06/29/2011

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:

1 大震災に対する知事の所感と今後の決意について
2 地震・津波対策について
 (1) 災害ボランティア支援
 (2) 避難所生活体験訓練
 (3) 天井落下防止対策
 (4) 防災教育の強化
3 地域のコミュニティー機能の強化について
4 節電への取り組みと新エネルギー対策について
5 事業仕分けについて
6 職員研修制度の充実について
7 食の安全・安心について
8 ふじのくに文化振興基本計画について
9 南アルプスにおける自然環境保全について
10 森の力再生事業の推進について
11 確かな学力の育成について
12 公立高校における日本史の必修化について
13 ニート対策について
 (1) 子供、若者の育成支援に対する取り組み
 (2) ニートの就労支援策
14 犯罪防止策の強化について



    ○副議長(鈴木洋佑君) ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、知事提出議案第九十号から第百二号までを一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、三十番 前林孝一良君。
           (三十番 前林孝一良君登壇 拍手)
    ○三十番(前林孝一良君) 皆さんおはようございます。
     私は公明党静岡県議団を代表して通告に従い当面する県政の諸課題について、知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長に質問をいたします。
     質問に入ります前に、さきの東日本大震災で犠牲となられました方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災地が復興され被災された皆様が一日も早く平穏を取り戻されますことを心からお祈りを申し上げます。
     それでは質問に入ります。
     初めに、大震災に対する知事の所感と今後の決意について伺います。
     三月十一日に東日本を襲った大震災は、同時に発生した大津波によって東北地方の太平洋沿岸に甚大な被害を及ぼしました。阪神・淡路大震災から十六年、まさかこのような大自然災害が再び我が国を襲うとはだれも予想しておりませんでした。
     私たち公明党県議団は、四月末にまず現地視察を行うとともに、五月には県ボランティア協会主催の派遣隊に二回に分けて参加させていただきました。現地の惨状を目の当たりにして、津波の恐ろしさを痛感するとともに、家族、友人、知人を亡くされた方々、住み慣れた家を失った方々の気持ちを考えるにつけ胸を締めつけられるような思いがいたしました。
     県におかれましては、いち早い対応を示されました。最近、ある新聞に「被災地の真実」と題する記事が掲載されていました。初動の遅れた政府と比べて、被災後いち早く現地本部を立ち上げ県を挙げて支援に取り組んだ本県の対応を高く評価するという内容でしたが、私は静岡県民の一員として誇りに思った次第でございます。
     さて、東海地震の到来が予想される本県であります。東日本大震災の救援活動が依然として続いている状況ではありますが、今回のこの大震災に対する取り組みを踏まえての現在の感想と、災害から県民を守るという立場から今後の決意について知事の所見を伺います。
     次に、地震・津波対策についてのうち、災害ボランティア支援について伺います。
     本県は、遠野市に現地支援調整本部を置いてさまざまな支援活動を行っていますが、その本部と同じ敷地内に全国各地から参加する災害ボランティアの受け入れ拠点となる遠野災害ボランティア支援センターが開設されております。このセンターは本県のボランティア協会を含む複数のNPO団体などが共同で設置し、遠野市社会福祉協議会などが組織している遠野まごころネットの後方支援を行っているものですが、設置や運営に当たり本県のボランティア協会が中心になっていることは頼もしい限りです。四月八日の開設以来、本県からは三百人を超える災害ボランティアがこのセンターを利用し三陸沿岸部の被災地の支援活動に参加をしております。
     私は、去る五月二十八日、二十九日の二日間、田好浩議員とともに陸前高田市でボランティア活動に参加をさせていただきました。当日はあいにくの雨天で、予定されていた家屋内の泥の除去、田畑の瓦れきの撤去などの作業は中止となり、避難所と仮設住宅での聞き取り調査と拠点である遠野市浄化センターに集められた救援物資の整頓作業を行いました。翌週第二陣として参加した蓮池、早川、盛月班は、炎天下、側溝にたまった土砂の除去作業に従事したということで、かなり重労働だったようです。たった数日間のボランティア経験でしたが、私たちにとっては貴重な経験をさせていただきました。
     このように被災地でのボランティア活動は大変な作業でしたが、本県関係者として満足感も味わったのです。それは現地のボランティア関係者と本県の災害ボランティアとが非常にうまく連携されていたことです。被災地の方々にも感謝されているという報告もあり災害ボランティアの意義を再認識いたしました。
     さて、東海地震の発生が懸念される本県ですが、いざ災害という際に県内外からのボランティアの受け入れは大丈夫なのでしょうか。今回の震災からもわかるように大災害になれば現場の復旧作業はもとより、各地から駆けつけてくるボランティアの受け入れ業務などは行政の職員に依存することはできません。すなわち災害ボランティアをコーディネートする人材もボランティアであるわけです。
     阪神・淡路大震災以来、災害ボランティアが重要視され今後もその活躍が期待されます。本県も支援体制づくりに取り組んでいることと思いますが、災害ボランティアの受け入れ調整について、いざ発災の際に混乱しないよう行政とボランティア関係者が連携し、日ごろから準備を進めておくことが必要であると思います。
     そこで、県は災害ボランティア支援についてどのように取り組んでいるのか伺います。
     次に、避難所生活体験訓練について伺います。
     今回の大震災では被災後、最大でおよそ四十八万人もの人々が避難生活を余儀なくされたと聞いております。その後三カ月半が経過し避難者も徐々に減少しましたが、それでも今なお全国各地で避難生活する方は十四万人余となっています。
     地震や津波で家を失った人の悲しみはいかばかりか想像すらできない、つらい現実であります。家財はおろか衣類・寝具も失い、飲料水・食料が限られる上、トイレや入浴といった衛生環境の問題、病気や心のケアといった健康医療の問題などが懸念されます。避難生活が長くなればなるほどプライバシーの保持も難しくなります。発災直後は、皆で励まし合い助け合う光景も見られましたが、果たしていつまで避難が続くのかと思うと避難者の不安はぬぐい切れません。災害時においてはできる限り避難者がいないことを願うばかりですが、現実はそうもいきません。予想される東海地震が発生すれば、恐らく何十万人という県民が避難生活を余儀なくされるのではないかと思われます。
     また、避難所は地域の防災拠点に位置づけられております。防災資機材や非常食の備蓄基地としての機能に加え、避難地との共用施設では救急医療の一端を担う救護所も設置されますし、安否確認などの情報発信基地としても期待されます。
     こうしたことから、地域、主に自主防災組織においては、すべての住民が日ごろから自分の地域の指定避難所を周知し、いざ発災の際に有効に利活用できるようにしていくことが求められます。指定避難所の多くは小中学校などの学校施設だと思いますが、施設管理者である学校と利用者である住民が連携し、実際の災害時に円滑に施設を利用できるようにする必要もあります。
     そのために平常時から、地域防災訓練の一環として実践的な避難所運営や避難所生活体験を実施したらどうかと思います。避難所となる場所での炊き出しや寝泊まりの実体験は非常時における避難所の実情や住民の役割分担が理解できとても有効であると思いますが、避難所生活体験訓練を実施することについて県はどのように考えているのか、見解を伺います。
     次に、天井落下防止対策についてであります。
     東日本大震災では、東北地方の沿岸部を中心に津波で多くの方が犠牲となられたほか、木造家屋が軒並み流されるなど建築物にも甚大な被害が発生しております。一方で地震の揺れにより建築物が倒壊するなどの大きな被害を受けたという報道は少ないものの、体育館やホールなど多くの人が集まる施設の天井落下事故が相次いで発生しております。中でも、東京都千代田区の九段会館では大ホールの天井が落ち二人の方が死亡し、栃木県では研究施設で一人が死亡、中学校の体育館でも生徒二十人がけがをする事故が発生しております。
     東海地震が想定されている本県におきましても、大規模空間を持つ公共施設などの建築物が数多くあり、そうした施設につきましては不特定多数の方が利用するスポーツ施設や公会堂、児童生徒が利用する学校施設の体育館などが多く含まれ、また震災時に開放される避難所として指定されている施設も数多くあります。大規模空間を持つこうした施設では、大地震が発生し天井材が落下するようなことがあれば直接人命に危険を及ぼすとともに、その後の利活用に大きく影響を受けることになります。
     これらの建築物につきましては、柱や壁などの構造体を補強する耐震化対策とともに天井の落下防止対策も重要となると思われますが、これら多くの人が集まる建築物に対する天井の落下防止対策に関する県の取り組み状況について伺います。また東日本大震災を受け、今後どのように対策を進めるのか、あわせて所見を伺います。
     次に、防災教育の強化についてであります。
     東日本大震災を踏まえ、本県では津波対策の検証等を緊急的に行う必要があることから、津波対策検討会議を設置しソフト・ハードの両面から緊急的な対応を検討し、県教育委員会でも学校の津波対策に係る課題について検討していると聞いております。特に津波の避難行動については、地域住民の行動はもとより、学校における児童生徒の避難行動が重要であり、今回の津波被害の教訓をもとに学校の対応行動を見直す必要があると考えられます。岩手県釜石市は津波被害により死者・行方不明者が千二百三十九人にのぼりました。市内の小中学生約三千人のうち九九・八%が難を逃れ、釜石の奇跡と呼ばれています。特に釜石東中学校の生徒が短時間で高台に避難し、その避難行動が住民をも救ったことは報道でも取り上げられております。釜石市の津波防災教育で小中学生に徹底された三原則は、一、想定を信じるな、二、ベストを尽くせ、三、率先避難者たれ、だったそうです。防災教育の重要性を改めて再認識させられました。
     静岡県教育委員会では、平成七年の阪神・淡路大震災の翌年には震災の教訓を踏まえた学校の地震防災対策マニュアルを作成し防災教育及び学校の防災管理面の推進を図るとともに、平成十四年には静岡県防災教育基本方針を策定し防災教育のさらなる充実を図っています。その基本方針の具体的な内容としては、発達段階に応じた防災教育の模範的な実践を示すとともに、地域の自主防災組織等との連携を重点に置いた防災意識の高揚を図り、学校・家庭・地域が連携して災害に備える取り組みが重要であるとしています。その成果の一つとして十二月の第一日曜日に実施されている地域防災訓練においては、中学生、高校生の約五割が参加していることから地域とのつながりを深めることがある程度できているとはいえますが、中学生や高校生には率先して防災活動に取り組み、地域防災の担い手としてさらなる活躍を期待するところです。
     先日、新聞に一年生約百六十人が避難所生活の模擬体験をしたという牧之原市の相良中学校の記事が掲載されていました。本県においても被災地の成功事例を参考に、防災教育の見直しや避難所生活体験を実施するなどの工夫が必要と考えられますが、今後の学校の防災教育の強化について所見を伺います。
     次に、地域のコミュニティー機能の強化について伺います。
     災害時に犠牲になるのは高齢者を初め障害を持った方々や子供たち等いわゆる災害弱者と言われる方々です。さきの東日本大震災においても多くの方が亡くなられております。自分の命が助かってもお子さんや親兄弟を亡くされ悲嘆にくれる方の姿を見るのは、実に痛ましく悲しいものであります。一人でも多くの災害弱者、災害時要援護者を助けられる体制を構築することが必要であります。しかしながら災害時にすべての方を避難させることは大変に困難なことであり、住民による自助や共助が重要であります。
     この点、静岡県はこれまで住民の災害時における避難で重要な役割を果たす自主防災組織の育成に努めてきました。その組織率は全国トップであり災害時の活躍を大いに期待しているところでありますが、組織率よりも重要なのはその機能であることは言うまでもありません。災害時に援助の必要な方がどこにいるのか、だれが助けるのか、どのように助ければいいのかというような情報は、災害時に備え平常時に収集、検討しておくことが大切であります。そのためには日ごろのつながりやつき合いといった、ふだんのコミュニケーションに支えられた地域のコミュニティーの存在こそが重要です。しかしながら昨今、地域におけるきずな、結びつきが弱くなっていることは否定できません。昨年度の高齢者の所在不明問題や無縁社会という言葉の流行など、まさに地域コミュニティーの崩壊を感じさせるものであります。大震災の被害状況が連日報道される中、静岡市駿河区に一人でお住まいになっている高齢の女性がつぶやいておりました。「津波が来たらどうせ私は助からない」。こういう方々を救うのが地域の力であると私は思います。
     そこで、今後地域のコミュニティー機能の強化にどのように取り組んでいくのか、県の考えを伺います。
     次に、節電への取り組みと新エネルギー対策についてであります。
     東日本大震災の影響により、東京電力管内において電力供給能力が大幅に低下したことに伴い計画停電が実施され、県東部地区においては日常生活や企業の生産活動などに大きな影響がありました。今年の夏の電力需要の状況を見ますと東京電力管内では電力供給が需要を下回る見込みのため、最大使用電力の一五%抑制が国の目標値として掲げられております。また中部電力管内では浜岡原子力発電所の運転停止に伴う電力供給力の減少のため、節減目標は示されていないものの節電に努めるよう求められています。このような状況の中、計画停電の実施や不測の事態である大規模停電の発生を防ぐためには、電気事業者が電力供給能力の確保に努めることはもちろん県民や事業者も節電に努めることが必要であります。
     そこで、節電への取り組みについてですが、昨年の夏の状況をもとに国が試算した結果によれば、一日の中で電力需要が最も大きくなるのは十四時ごろで、その約三割が家庭での使用分であります。企業ばかりでなく、家庭における電力消費が大きなウエートを占めておりますことから、家庭における節電行動の実践が重要となってきます。その実現のためには県民の節電に対する機運を醸成し県民運動として高めていく必要があると考えますが、どのように浸透を図っていくのか、県の取り組みについて伺います。
     次に、新エネルギー対策についてであります。
     電力供給の逼迫に伴い導入の拡大が期待されている新エネルギーについては、太陽光発電が脚光を浴びており、知事も先月自然エネルギー協議会設立発表会見の席上、大手企業のメガソーラー整備計画の本県への誘致に前向きな姿勢を示したところであります。ただ太陽光発電には発電コストの高さ、時間帯や気象条件による不安定性などの課題があり、加えて低廉な蓄電機能の開発も必要となります。また新エネルギーについては、太陽光発電だけでなく風力発電や小水力発電、地熱発電など多角的に導入を進めていく必要があると考えます。
     そこで、本県の特性に合った発電を含め新エネルギーの導入に向けて県はどのように考えておられるのでしょうか、県の取り組みについて伺います。
     次に、事業仕分けについてであります。
     知事は去る六月十四日の記者会見において、今年度の事業仕分けの実施について公表されました。事業仕分けについては知事が就任して今年度で三回目を迎えます。過去二度の仕分けでは初年度に約三十一億円、昨年度には政策的経費全般の見直しにより約十七億円の財源捻出が図られ、ふじのくにづくりに向けた予算づくりに一定の成果を上げてきたものと考えております。またこれまで公募による県民が仕分け人として参加しましたし、千人を超える多数の傍聴者があるなど、多くの県民が県の事業を通じて県政を考えることができたのではないかと思います。私は、こうした県民参画の機会ができたことが事業仕分けを実施した何よりの成果ではなかったかと評価しております。
     一方、平成二十二年度の県政世論調査によりますと、県民の県政への関心度は約六〇%にとどまり、関心がない理由として県政はわかりにくいからが約四〇%と最も高くなっています。さらに県に対して意見や要望がある人が約四四%いる中で県に伝えた人が約七%にとどまるなど、県政の透明度を高めるにはさらなる努力が必要ではないかと感じています。
     こうした中、知事は記者会見の中で、今年度はさらに新しい県民参加型の手法を導入して、ふじのくに士民協働事業仕分けという名称で実施すると話されました。多くの県民が仕分けに参加し、それを参考に事業の見直しを行うことは、まさに開かれた県政の実現につながるものであると考えております。
     そこで、今年度の事業仕分けのねらいについて伺います。また多くの県民に参加してもらうための具体的な手法についてあわせて伺います。
     次に、職員研修制度の充実についてであります。
     ここ数年人事委員会勧告に基づく給与の引き下げにより県職員の給与は減少し続けており、また行財政改革の名のもとに大幅な人員削減が実施され、さらに東日本大震災に伴う職員派遣や被災者支援等新たな行政需要も生じているなど、最近の公務員を取り巻く環境はますます厳しくなってきていると考えております。
     つい最近、生命保険会社が昨年後半期に募集したサラリーマン川柳の人気トップテンが発表されました。その三位は、「何になる?子供の答えは正社員」でした。以前は公務員が目標だったと思いますが、ますます激しくなった雇用情勢を反映していると言わざるを得ません。私は、このような厳しい状況の中においても、県の職員一人一人が仕事に生きがいを感じて職業人として成長できるような勤務環境を整えなくてはならないと考えております。またそうすることが、これから公務員になろうという若者たちにも理解され、今後の優秀な人材の確保にもつながっていくのではないでしょうか。例えば国内外を問わず、短期間での研修や勉強ができる機会があれば職員としての視野を広げ専門性を高めることができ、ひいては効果的で能率的な行政運営や県民サービスの向上にもつながっていくのではないかと考えております。
     そこで、職員のモチベーションの向上や能力、資質を高めるための研修制度の充実について、どのようにお考えなのか、所見を伺います。
     次に、食の安全・安心についてであります。
     本年四月末に発生した富山県等での焼き肉チェーン店における集団食中毒事件は、生牛肉を原因とする腸管出血性大腸菌O―111が原因とされ、四人ものとうとい命が奪われ多くの方々が入院に至るという大変衝撃的な事件となりました。
     厚生労働省の通知を受け、本県では県内七カ所の保健所で緊急調査を実施し今月初めに調査結果を公表しました。生食用食肉を取り扱っていた二百二十九施設のうち百九十三施設、なんと八四%の施設が衛生基準に不適合という驚くべき実態が明らかになったところです。私は父の影響で生の牛肉を食べることには子供のころから慣れており、大人になってからも馬刺し、レバ刺しと何の疑いもなく親しんでまいりましただけに、今回の事件には大きなショックを受けました。今後もしかしたら、もう生の牛肉は食べないかもしれません。またドイツを中心に欧州で広がっている病原大腸菌O―104による広域食中毒事件も芽野菜が原因と見られておりますが、多くの方が亡くなられるなど食の安全を脅かす事件が相次ぎ、食に関する県民の関心は高まっております。
     本県においても、食肉の加熱不足や生食によるカンピロバクター食中毒が発生しているとのことであり、バーベキュー等の場合は十分に加熱することや食肉の生食は食肉に対して消毒や殺菌ができない以上、抵抗力の弱いお年寄りや子供には食べさせないよう十分注意喚起を促すなど消費者に適切な情報提供をしていくことが重要であると考えます。
     このような中、県においては昨年度末に平成二十三年度から三カ年計画のしずおか食の安全推進のためのアクションプランを策定し、関係部局が連携しながら生産から流通、消費における総合的な食品の安全確保対策に取り組んでいるとのことであります。
     そこで、県はこのアクションプランで、食中毒防止対策や食に関する適切な情報提供など、食の安全を確保し県民の不安を解消するため、どのように施策を進めていくつもりであるのか所見を伺います。
     次に、ふじのくに文化振興基本計画についてであります。
     四月十三日、東京のサントリーホールで世界三大テノールの一人プラシド・ドミンゴのコンサートが開かれました。アンコールでは六曲が披露されましたが、ドミンゴさんは「ふるさと」を日本語で熱唱、被災者を思う気持ちで会場が一体となった場面には私は胸が熱くなりました。今も東日本大震災の被災地に向けて経済支援やボランティア活動に加えて、文化芸術を通して被災された方々を勇気づけようとさまざまな取り組みが見られ、支援の輪が広がっています。本県でも四月二十五日、グランシップで静岡交響楽団と仙台フィルハーモニー管弦楽団が合同演奏する復興支援コンサートが開かれています。文化芸術は、たとえ被災地とは離れていてもチャリティーイベントでは、チャリティーそのものの成果に加えて参加する人たちの支援への思いをさらに盛り上げる効果を生みます。また避難所や仮設住宅の人たちへの音楽支援は一体感を生むと同時に心と体の緊張をほぐす効果もあり文化芸術の持つ力を再認識したところであります。
     知事は常々経済力から文化力に重心を置くべきと唱え、ふじのくに芸術回廊の実現を打ち出し、文化力の向上に取り組む強い姿勢を示されています。県では今後の文化振興の方針を示した第二期ふじのくに文化振興基本計画を、この三月に策定され、「みる」、「つくる」、「ささえる」の視点による諸施策を着実に推進していることとしておられますが、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
     また、この計画において、今年度から新たに取り組もうとされているふじのくに子ども芸術大学について、具体的にどのように取り組んでいくのかあわせて伺います。
     次に、南アルプスにおける自然環境保全についてであります。
     南アルプスは、本州で唯一の原生自然環境保全地域を含む大変豊かな自然環境を有する地域であり、特別天然記念物であるライチョウを初めとして高山植物などのさまざまな動植物が生育する極めて貴重な地域であります。この貴重な自然環境は、当地域へのアプローチが長くなかなか簡単に入れないという環境にあったからこそ守られてきたということがあると考えます。私は二度訪問いたしました。二軒小屋ロッヂに泊まり伝付峠に登った折、東に富士山、西に三千メートル級の赤石の山々を望むことができる絶好の機会を得て、その雄大な景観に感動を覚えたものでした。
     今年五月、直線ルートで東京と大阪を結ぶリニア中央新幹線計画について、国土交通省の交通政策審議会小委員会が南アルプスを通るルートが適当との最終答申を出し、国はJR東海に対し建設指示を出しました。計画では、静岡県北部の南アルプスを長さ約十キロメートルの地下トンネルで通過することとなっています。川勝知事と田辺静岡市長は、先月十八日に県と静岡市で中央新幹線整備推進本部を発足することで合意し、建設に協力するとともに工事用に建設される道路について将来観光振興に活用できるようJR東海に求める方針を確認し合いました。そしてこれを踏まえて今月の一日に初会議が開かれたとのことであります。新幹線建設工事の完了後、建設用道路が南アルプス深部へのアクセス道路として活用されることになれば、これまで以上の多くの訪問者があることが想像されます。南アルプスの貴重な自然環境を多くの国民に見て、知って、感じていただくことは、静岡県の自然環境について考えいただく上で大変よいことであると考えますが、多くの人々が押しかけ地域の環境に負荷をかけることにもならないか、いわゆるオーバーユースにならないかという心配も一方であります。
     そこで、この南アルプスの貴重な自然環境をいかに保全していくのか、県の所見を伺います。
     次に、森の力再生事業の推進についてであります。
     森の力再生事業は、平成十八年度に導入されたもりづくり県民税を財源とし、十年計画で荒廃した森林の公益的機能を回復させることを目的としてスタートしました。この五年間で計画の半分に当たる約六千三百ヘクタールの整備を終え、残りの荒廃森林を整備するため昨年度十二月議会において課税期間の五年間の延長を議決したところであります。この事業は、土砂災害の防止や水源の涵養などの森の力を回復する直接的な効果とともに、雇用の維持や就労機会の創出につながるなどの山村振興に寄与する副次的効果もあり、県の新総合計画に掲げる活力ある多自然共生地域の形成の実現にとって貴重な事業といえます。また県が昨年度に県内各地で実施したタウンミーティングやアンケート調査において多くの県民が事業の継続に賛成しており、このことは本事業に対する県民の期待のあらわれともいえます。しかし一方で、人家裏や道路沿いの森林や竹林整備のさらなる推進など、本事業に対する具体的な要望も上がっておりました。
     もりづくり県民税は税の目的が明確で森の力の回復に対する県民の期待も大きく、付託された県の責任も重大です。本年二〇一一年は国際森林年であります。国土の約三分の二が森林である我が国は世界有数の森林国であります。世界に向かって森を生かそう、生活の中に森林や木材を取り入れていこうという機運の高まる中、先進県としての本県の取り組みは他県から注目されております。
     県は、十年計画の後半となる今後の五年間で、どのような方針で事業に取り組んでいくのか伺います。
     また、県では県民の意向を踏まえどのように事業を見直したのかあわせて伺います。
     次に、確かな学力の育成についてであります。
     平成二十二年度から公立高校の授業料の無償化が実現しました。ほとんどの中学生が高校に進学する時代となり、保護者の教育費負担の軽減という観点からも無償化は歓迎するものであります。ただ大学等への進学のために塾に通うとなればその負担は授業料どころではないわけで、公立高校の教育の質のさらなる向上を期待したいところであります。
     県中部のある私立高校はもともと理系の専門高校として誕生した高校ですが、三十年前に普通科を設置し大学進学にも力を入れるようになりました。七年前には五人に過ぎなかった国公立大学合格者が平成二十二年度には五十八人に伸びています。その背景には深夜に至るまでの熱心な指導があると聞いております。「塾に行かせない」、これがこの高校の方針だそうです。すぐれた能力を持つ中学生が入学を希望するような県内の公立高校、いわゆる進学校は、生徒の自主性を重んずるという伝統を重視する余り東京や他府県の進学校に比べ学習機会の提供や学習内容等学習指導に甘さがあるのではないかという声が聞こえます。大学進学だけが高校の役割でないことは十分承知しております。しかし多くの高校生が進学を目標とする時代になった以上、進学実績が問われることは当然であると思います。生徒や保護者が期待するような魅力ある学校づくりに努力すべきです。日本教育新聞が先月実施した地方議員を対象にしたアンケート調査では、八〇%の議員が公立小中学校の土曜授業の復活を求めているとの結果が報告されています。今回は土曜授業復活についての答弁を求めませんが、私は児童生徒の学力向上のためには土曜授業についても改めて議論が必要であると考えます。確かな学力の育成について、教育長の所見を伺います。
     公立高校における日本史の必修化について伺います。
     私ごとで恐縮ですが、私は大学卒業後、一九七七年――昭和五十二年に本県の高校日本史教諭として採用されました。しかし赴任した高校は国際人を育てるという理由で世界史が必修であり、日本史という科目そのものがありませんでした。日本史の教師として採用されながら、世界史、地理、倫理社会、政治経済を教える教師生活を五年間過ごしました。私が高校生であった一九七〇年前後は非常に多くの科目を学んだものです。大学受験がエスカレートしていく中で高校生が学ぶ内容は大きく変化しました。社会科は地歴科と公民科という二つの教科に分かれ、地歴科では世界史が必修、日本史、地理は選択科目となりました。言葉をかえれば高校生の半分は日本史を履修しなくなったということです。以前この問題を文教警察委員会で取り上げた際、「小中学校でも十分日本の歴史の勉強をしています」という答弁が当時の教育長から返ってきましたが、小中学校で教える内容と高校で教える内容は違います。最近知事が出版された「近代文明の誕生」という文庫本を読ませていただきましたが、非常に広い知識と歴史観に裏づけされた内容で私としては久しぶりに目を覚まされたような思いがいたしました。ただ知事のお考えを正しく理解するためには、読者にも歴史に関するかなりの知識が必要とされると感じました。
     県内には、英語科や国際科を設け、国際人の育成を目指している高校が存在いたします。語学は重要だと考えますが方便に過ぎません。語学を通して何を伝えるのか、その点を忘れてはならないと思います。私は日本の青少年に日本人の教養の基礎として、日本史なかんずく近代史を学んでほしいと思います。神奈川県は平成二十四年度から日本史を必修科目とし、すべての県立の高校生が学習指導要領に求める日本史A、日本史B、神奈川県が独自に設定する郷土史、近現代史のいずれか一科目を学ぶこととしました。また東京都も平成二十四年度から日本史の必修化を実施することとしています。過去の出来事は実に多くのことを私たちに教えてくれます。歴史の教訓は大事にすべきであると私は思います。二代にわたって内閣総理大臣が理系の総理大臣でございますけども、ちょっと私には理解できないようなお考えを持っているような面もございます。日本史の必修化を提案するものでありますが、知事の御所見を伺います。
     次に、ニート対策についてのうち、子供、若者の育成支援に対する取り組みについて伺います。
     近年子供、若者を取り巻く環境は、核家族の増加等の家族形態の変化や地域社会の連帯意識の希薄化など大きく変化しております。さらに産業構造の変化とともに雇用形態は多様化しており、特に非正規雇用の増大は若者が将来に対し不安を抱く大きな要因となっています。平成二十一年度の内閣府のデータによりますと、中学校の不登校生徒数は全国で十万人を超えており、これは三十五人に一人の割合であり近年高どまりの状況です。さらにいわゆる引きこもり状態にある十五から三十九歳までの子供、若者は、全国で約七十万人と推定され深刻な状況にあります。昨年四月一日、子ども・若者育成支援推進法が施行されました。この法律は、子供、若者が次代の社会を担い、その健やかな成長が我が国社会の発展の基礎を成すものであることにかんがみ、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の理念にのっとり、子供、若者の健やかな育成、子供、若者が社会生活を円滑に営むことができるようにするための支援、その他の取り組みを推進することを目的としております。またこの法律では、特にニート、引きこもり、不登校等の社会生活を円滑に営む上で困難を有する者への支援を強調しております。このように我が国の、そして世界を担う将来の大人である子供、若者が健全に育成するよう私たち大人たちがさまざまな支援をしていくことは喫緊に取り組むべき課題であることは明らかであると考えます。
     今回、静岡県では、二十一世紀を担う子供、若者の健やかな成長と自立を支援していくため、≠モじのくに子ども・若者プランを策定されました。本計画の趣旨について御所見を伺います。
     次に、ニートの就労支援策についてであります。
     県内の雇用情勢については、東日本大震災の影響もあり、四月の有効求人倍率が〇・五七倍と三月を〇・〇四ポイントも下回るなど厳しい状況が長引いております。また新卒者の就職についても就職内定率が過去最低レベルとなるなど、超就職氷河期と言われるほど冷え込み、就労意欲のある多くの若者が就職難で苦労する厳しい時代となっています。このまま厳しい就職環境が続けば、さらに就職できない若者がニート化し増加する懸念もあります。
     本来であれば、日本の将来の担い手たるこうした若者たちが労働力を提供できない状況は、超高齢社会を迎える日本社会にとって大変心配な問題であります。私は平成十六年十一月に沖縄本島北部にある社団法人沖縄産業開発青年協会――通称開発青年隊を視察いたしました。六カ月間の規則正しい合宿生活の中で、大型特殊自動車免許など十種類の資格を取得し、立派な大人として成長して社会に出ていくというプログラムに感動し、十二月の本会議で本県での実施を提案しました。結果として、十七年度には静岡県版自立塾が、そして十八年度からは若者自立塾の事業が立ち上がりました。雇用情勢が改善していた時期でもあり成果が大いに期待されたわけでありますけれども、保護者の関心の高さとは裏腹に肝心の塾生が集まらず、三年目で廃止となってしまいました。若者たちを自立させることの難しさを実感した次第であります。ニートを就労に導くには先ほどの子ども・若者プランにより、青少年の教育の段階から就労意欲を醸成することに加え、仕事につくための就労支援策を強化していくことが必要であると考えます。
     県として、こうしたニートと呼ばれる若者の就労支援策として新たな取り組みを始められたと聞いておりますが、どのような内容であるのか伺います。
     最後に、犯罪防止策の強化について伺います。
     今年五月、東京立川で日本の犯罪史上最高額となる六億円余の現金が強奪される事件が発生いたしました。強奪された現金はいまだ発見されてはいませんが五人の容疑者が既に逮捕されています。過去には犯人がつかまらなかった東京府中で起きた三億円事件もあり、今回の事件も長期化が懸念されておりました。逮捕のきっかけとなったのは容疑者の姿が近くのコンビニエンスストアの防犯カメラに写っていたことでした。近年では地域住民の人間関係が希薄となり警察の捜査活動も難しくなってきていると聞く中で、防犯カメラの有効性を改めて認識させられた事件です。防犯カメラはその利用いかんによってはイギリスのような監視社会を生みかねず、その設置と利用方法には慎重を期さなければなりませんが、反面犯罪捜査の一助になるばかりか犯罪を企てる者に対して犯行を踏みとどまらせるなどの防犯効果が期待でき、設置箇所などの住民に対して安心感を与えるなどの治安の向上に寄与するものです。
     県警では、さまざまな犯罪抑止対策を推進され刑法犯認知件数を八年連続で減少させ一定の成果を上げていますが、さらに防犯対策を推進し犯罪の起きにくい社会をつくるために防犯カメラの有用性に着目した対策を進める必要があると感じます。
     そこで、県警では安全で安心なまちづくりを推進し犯罪の起きにくい社会づくりのために、防犯カメラの県内の状況をどのように把握しどのように活用していくのか県警本部長に伺いまして、ひとまず私の質問を終わります。(拍手)
    ○副議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 前林議員にお答えいたします。
     初めに、大震災に対する私の所感と今後の決意についてであります。
     私も三月下旬に被災地を訪問いたしました。この大地震による惨状は想定東海地震対策に取り組む本県にとりまして、人ごととは到底思えないものでございます。積極的に言えば我が事としてとらえております。今後の本県の地震対策に生かしていかねばならないという思いを強くいたしました。そこから学んだ多くのことがございますけれども、ここでは三つに絞って申し上げます。
     一つ目は想定を超える津波による被害の甚大さです。この地域はたび重なる津波災害を受けて、これまで必要な対策を講じてまいりました。しかし逃げおくれた方々が多数発生し多くの死者・行方不明者が発生しました。地震では助かる人がいますけれども、あるいはけがをする人もいますが、津波の場合はほぼ助からないと。生きるか死ぬかの二者択一しかないくらい、その破壊力はすさまじいものであるということがよくわかりました。
     二つ目は情報通信網等が被災したことです。そのため被災現場の情報が全く取れなくなって、その結果、被災地への支援に大きなおくれが発生したということを学びました。
     三つ目は広域応援体制が十分に機能しなかったということを学びました。全国知事会では、阪神・淡路大震災の教訓を受けまして、協定を締結して支援体制を整え文書もございました。しかしそれは空証文のような形で終わっておりまして、今回の広域的災害に対して実効性のある体制を確立できませんでした。この点は全国知事会でなぜ初動態勢が遅れたのか、三月十七日に我々に連絡があった。だれが決めたのかということを、四月二十五日の震災後最初の全国知事会でこのテーマが議論されたときに冒頭質問したのですが、知事会長は答えられないので、どきまぎいたしまして事務総長に振ったのですが、事務総長は「わかりません」と答えたのです。そしてその問題提起を受けまして五月の末に臨時全国知事会が開催されまして、そして上田副会長を――埼玉県知事でございますが――全国知事会の副会長を通して、また広域体制の支援体制システムが紹介されたのでありますけれども、結論は事務局体制を充実しなければならないということでございました。したがってまだできていないということでございます。
     それぞれに対して対策を立てるということでございますが、まず第一に津波対策につきましては、静岡県津波対策検討会議を設置してソフト・ハードの両面から総点検を実施いたしました。静岡県防災・原子力学術会議に津波対策分科会を設置して、専門的、学術的観点から御意見を伺い対策に反映するつもりでいます。
     二つ目の情報通信網につきましては、自治体や自衛隊等防災関係機関との無線周波数の共通化、携帯電話のメール機能の活用、地図情報システムの整備などによりまして、市町や自衛隊などの防災関係機関と連携して、県民との情報の見える化、共有化を推進し、災害に強い情報通信網を確保いたします。
     三つ目の広域応援体制につきましては、応援する都道府県と支援を受ける静岡県内の市町の割り当てをあらかじめ定めておくなど、全国から迅速かつ効果的な支援を受けられるような仕組みづくりを、全国知事会のみならず国に対しても働きかけてまいりたいと考えております。
     また、東海・東南海・南海地震の連動発生に対する国の方針や知見が示された段階で、現行の静岡県広域受援計画の見直しにも取り組んでまいります。
     こうした見直しを地震対策に反映させるために津波対策のうち短期的対策につきましては、ふじのくに津波対策アクションプログラム――これは今のところ仮称でございますが――これを今年度内に策定するほか、平成十八年六月に策定した地震対策アクションプログラム二〇〇六につきましても、三連動地震に関する国の新たな知見を踏まえ全面的に見直してまいります。
     原発事故については触れませんでしたけれども、この原発事故につきましては日本において今日もまだ収束の兆しが見えないという状況でございます。言いかえますと、その技術、人材に欠けるところがあるという認識を持っておりまして、なるべく早く日米防災協定というものを結んでいただくよう働きかけておりまして、そうした防災協定が結ばれますと仮に浜岡原発で事故が起こったときに、私は世界最強、最良の、放射能漏れあるいは原発事故に対する事故対応という体制がとれるものであるというふうに考えております。今これは働きかけているところでございます。
     次に、地域コミュニティー機能の強化についてであります。
     今回の東日本大震災におきましては、長年培った地域での支え合い、助け合いの心が、住民同士の声かけを生んで人命を守るということにつながりました。また地域住民が一丸となって復旧・復興に取り組まれている姿を目の当たりにいたしまして、地域のきずなの大切さを改めて強く実感したところでございます。こうした地域のきずながどのようにしてつくられるのか。これは一つには四季折々の祭りや文化行事などを通じて育まれてきたものだという認識を持ったものでございます。それが愛郷心あるいは地域共同体としての相互扶助の精神などを生みまして、互助、共助の力を生んで、住民生活のセーフティーネットとして確実に機能するということにする一方、少子高齢化、過疎化、家族形態の多様化など社会構造の変化とともに失われつつある、そういう現状であるだけに地域コミュニティーをしっかりとつくらねばいけないと思っております。今後地域コミュニティーによるセーフティーネット機能を再生していくには、地域のつながりやかかわり合いについて住民の意識を醸成するとともに、活動拠点の整備や中心となる人材を養成していくことが肝要であると考えています。
     県では今年度新しく、ふじのくに安心地域支え合い体制づくり事業を創設をいたしまして、地域の支え合い活動の拠点整備や人材の育成、NPOの立ち上げなどに加えて、災害時要援護者のマップの作成をすることに支援をいたしたいと存じます。こうした取り組みを通じ、すべての市町におきまして、自主防災組織や自治会、民間事業者など多様な主体が住民を重層的に支えて見守る体制づくりを進めることにしております。この事業を契機とし、災害時はもとより日ごろの生活におきましても、地域全体で助け合い支え合うことのできるコミュニティーの構築を進め、互恵・互助の精神と地域を愛する心、これを豊かにする。それがふじのくにづくりの基本であると考えております。
     次に、新エネルギー対策と節電への取り組みについてであります。
     新エネルギー対策につきましては、本年三月に策定いたしましたふじのくに新エネルギー等導入倍増プランに基づきまして、太陽や水、森林、温泉など本県の豊かな自然資源を活用して、新エネルギー等の導入を倍増させることを目標に取り組んでいます。この目標の早期達成に向け、導入を一層前倒しし加速してまいるつもりでございます。
     新エネルギーの中でも太陽光発電は本県が日照環境に恵まれていること、あるいは日本全体が日の本の国と言われるように太陽と深き文化的な縁もございます。そうしたこともあり一般家庭でも比較的導入しやすいものでございますので、これを重点施策と位置づけて住宅用太陽光発電設備の導入に対する助成制度の創設や県有施設への率先導入などを行うことにしております。そのほか農業用水路等を活用した中小の水力発電、間伐材や食品廃棄物等を有効利用するバイオマスエネルギー、温泉熱発電等につきましても、本県の地域特性を生かした戦略的なプロジェクトとして積極的に導入を促進してまいります。
     節電への取り組みにつきましては、これまでSTOP温暖化アクションキャンペーンに続き、今年度から環境にやさしい暮らし方や事業活動の定着を目指した県民運動ふじのくにエコチャレンジを始めたところでございます。この県民運動では家庭のエネルギー使用量や用途を診断し、省エネ対策をアドバイスするうちエコ診断などを実施しております。また今年の夏場に向けたさらなる節電対策として、専門家による電話相談や自治会単位、業界ごとの出前講座を行っているところでございまして、七月からは節電・省エネコンテストも実施することにしています。これまで県民の皆様方からは、「家族みんなで節電を実行します」、「電気の無駄遣いはしません」などの宣言が寄せられています。節電への取り組みの契機として電気を大切に使うライフスタイルへの転換が県民の皆様に浸透するように努めてまいります。
     ライフスタイルを変える。これはやはり文化に基づかなければならないと思いますが、本県にはあるいは日本には衣がえの文化もございます。県議会におかれましては、衣がえをしないという決断をされまして夏でもネクタイ、上着の着用とお決めになりましたけれども、やはり自然の摂理に従うということで、きのうからとりあえずネクタイを取るというふうにお決めになりました。そしてネクタイを取られている先生方もいらっしゃいますが、これは国の議会やあるいはいろんな委員会における服装スタイルに従われているのではないかと思います。そもそも国がこれを導入いたしました契機は、御承知のように当時の環境大臣でございました方が、「暑いから上着とネクタイを取ればよろしい」と言われたわけでございます。したがってそこには文化についての言及がありません。やはり本県の先生方が品位というものを大切にし議会に対する礼節というものがあるだろうと、そういうドレスコードは守ろうと言われたわけでございますが、一方、文化というものもございますので、それと両立させることが大事ではないかと。それは衣がえであり、そして私どもは、だらしない格好はしないということと暑いので涼しい姿にすればよろしいということではないかと思います。寒いからネクタイを締めるという人と寒いから上着を着るという人とどちらが多いでしょうか。暑いからネクタイを取るのと上着を取るので、どちらが涼しゅうございましょうか。そうしたことを勘案いたしまして、私どもは差し当たって、この議会の先生方がお決めになられましたスタイルに従って、衣がえをせずに等しく皆ネクタイと上着という、緯度五十度以上でつくられた服飾文化に従ったスタイルを貫いておりますけれども、これはやはりもう一度この郷土が培った春夏秋冬というものを大事にする、それに応じた衣飾の文化というものを取り返すためにも、差し当たって私は涼しいほうを選べばいいのではないかと。それは個人差がありますから、そうしたことの自由度も認めていただいて、ぜひ、もう既に改められているので、私どももまた改められやすいように再度御議論賜れればと存じます。
     次に、ふじのくに文化振興基本計画についてであります。
     本県の礎を築いた先人たちは、ふじのくにの多彩な自然や豊かな生活文化の中で感性を育み、すぐれた美しさの表現や卓越した発想を得て、それを多方面で花開かせてきました。そうした歴史を学び、本県が担う文化政策は、芸術文化の振興や文化財の保存などにとどまらず、文化を教育や福祉、まちづくり、観光、産業振興等、あらゆる分野の基盤としてとらえ、人々の暮らしを形づくる重要な地域政策として考えています。
     そこで、平成二十年三月に策定した第一期文化振興基本計画における事業成果を生かし、第二期計画を定めました。
     まず、「みる」、「つくる」、「ささえる」という三つのカテゴリーから成っているわけでございますが、「みる」におきましては本年度から新たに実施するふじのくに子ども芸術大学に代表される子供が本物の文化に触れる機会の充実を位置づけました。次に「つくる」という観点からは、世界的な創造活動の推進を静岡舞台芸術センター――通称SPACによる舞台芸術、そして静岡国際オペラコンクールなどを核として行ってまいります。そして「ささえる」という面では、市町、公立文化施設との積極的な施策協力による県内公立文化施設の機能の向上により進めることとしております。こうした施策を重層的に展開することにより、ふじのくに芸術回廊の実現に向けて着実に歩みを進め、県民がこの地に住むことに誇りを持ち国内外から多くの人々があこがれを抱いて訪れる地域となれるように努めてまいります。
     ふじのくに子ども芸術大学につきましては、その学長に三枝成彰静岡文化芸術大学文化・芸術研究センター長になっていただきまして、子供たちをクラシック音楽の奥深い世界に導く講座を受け持ってくださることになっています。また同大学の理事長の有馬朗人先生にはこの大学の顧問になっていただきまして子供たちの俳句作品を直接指導していただく講座もございます。こうしたさまざまな講座の案内書が二万部ほどございまして、図書館、公民館など県内文化施設で手に入れることができますと同時に、県庁にもその余分がございますので御利用いただければというように御案内をしているところでございます。
     このほか、七月から十二月にかけまして、県内文化関係団体が企画提案したすぐれた講師による講座を県内各地で行うこととしています。こうした取り組みをさらに拡充して本県の文化を担う人材を育て、静岡ならではの全国のモデルとなるような事業に育ててまいります。
     前林先生が言われたとおり、この芸術というのは、例えばドミンゴの歌声に癒されまた元気づけられるということでございまして、経済力も重要なのですがそれを担っているのは人間なので、その人間のやる気とかあるいは生きる力とか、こうしたものを育むのが芸術文化でございまして、経済力か文化力かという二者択一ではなくて、これを取り込むことによって人が元気になる。また豊かになる、やさしくなる、思いやりも深くなるということでございます。先ほど、山に登られて二軒小屋から伝付峠、二千五百メートルから二千メートルを二度ばかり登山されたと。確かに伝付峠からは東には富士、西には赤石等南アルプスを望むことができます。そこに感激せられたということでございましたが、その感激が、例えば「きららかな朝日に輝く富士の峰かえりみすれば雪の赤石」といったような歌になったときに、既にそこには人の心にその美がしっかりと入り込んでいる。そしてその言葉が今度は別のイメージを喚起して人を元気にするというような、そういう働きがございます。そうした意味で、私は本県ふじのくにが芸術文化の花咲く地域になれるように取り組んでまいりたいと決意しているところでございます。
     次に、公立高校における日本史の必修化についてでございます。
     現在、中学校社会科では日本の歴史を中心に学んでおり、高等学校では日本の歴史との関係を重視した世界史を必修として学んでいるのは、先ほどの先生の御指摘のとおりでございます。県内の県立高等学校におきましては、昨年度において日本史を選択学習している生徒は約七六%と四分の三を上回っているという統計がございます。こうしたことから学生諸君も日本史というものをあわせて学ばねばならないという気持ちを持っているかと思います。それをどのように制度の中に取り込んでいくかということが今回の御提言であるかと存じますけれども、既に平成十八年、今から五年前に神奈川県、東京都、埼玉県、千葉県の教育長が連名で文科大臣あてに、高等学校の日本史については必修科目としてすべての高校生に履修させる必要があるのではないかという提言書を出されています。さらにまた翌年十九年には、茨城県、東京都、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、山梨県、長野県そして静岡県の知事が連名で、高等学校学習指導要領の改訂を求める要望を出されています。そこに、高等学校において日本史を必修科目とすることというふうに要望書をまとめられています。さらに今年の四月二十三日、日本学術会議におきまして、世界史と日本史Aを統合した歴史基礎と地理Aを改編した地理基礎の両方を必修化するように提言しています。ですから前林議員の言われた御提言は、全体にこの平成十年代後半に入りまして加速しているというふうに受けとめております。
     私は、この日本史を教える場合に、あるいは世界史を教える場合に、日本というものが世界史の中でどのような位置を占めたのかという観点を失わないで教えることができるであろうと。しからば日本史を教える先生はどうしたらいいか。これはやはり日本史を世界という観点の中で教えるという姿勢が必要であると思っています。文字どおり日本史と世界史では、覚えるべきあるいは知っておくべき事実の量は違うかもしれませんけれども、しかしそれを見る見方というのは、これは両方について目配りがなければならないと思います。それはどうしたらできるか。私は一言で言えば教師にかかっていると。先生が日本史の専門家なので世界を知らないと言われれば、それでもうジ・エンド・オブ・ストーリーです。それこそそれで終わりです。そして世界史の先生がこれは自分の分野でないということで、日本史については私は知らないと言われればそれで終わりです。私は、現在の首相、前の首相が理科系出身で日本史に造詣の深い前林議員と考え方が違うというふうに言われましたが、本県の教育長も化学を教えていた教育長でありますが、本県の教育長においてはそういうおかしな考え方をする人ではないというふうに信じております。
     私は実は大学では日本史の一部である日本経済史を教えていました。日本経済史というのは日本が非西洋圏でどうして最初に近代的な経済発展ができたのかということが大きなテーマになっています。しかしそれを教えるときに世界の中での日本の経済発展を教えるというようにしていました。そうすることを通して日本と世界との両方の理解を得るようにすると。それはやはり教師の側がしっかりと歴史を勉強していないとだめだということです。まさにそれは学習指導要綱に書かれていることだけをマスターして黒板に書いて、それを子供に教えるということで事済ませているようではだめであると思います。すべて学習指導要綱にのっとってやるというのは、それは必要条件です。教室において何を教えるか、どう教えるかというのは先生の手腕にかかっておりますし、日ごろの先生の精進にかかっているとも思います。日本を世界の中で考え、世界の中に日本がどのような位置を占めたのかということを考えるというふうになさっておられれば、おのずとその知識が日本史、世界史の教科書に準じて教えられるときにも生き生きとしたものになると思います。ですからこれはやはり教師の勉強にかかっていると。
     教育長は、私は庄田先生、杉田先生、そして鈴木善彦先生、遠藤前教育長、安倍教育長を直接知る機会がありましたけれども、その評価は控えますけれども、ともかくやはり歴史に造詣が深い、あるいは郷土について地理も文化も伝統も、それから郷土が生んだ人材がどのような役割を果たしたかということについてもよく知っているというふうなことに、やはりその代表というような顔になってほしいと思っております。それは教育長だけでなくて、我々特にリーダーという役割を任じている方々は、そうした心がけが日々必要ではないかというふうに思っておりまして、全体として私も日本史、世界史あるいは地理と、地球というものを大きいと見るか、これしきのものでしかないかというふうに見るかという、その見方で別に大した広いところを学ぶことではないということにもなります。そうした器量を大きくするということを通して、日本史、世界史、これがおのずと必要とされるような、そういう環境を醸成してまいりたいと思っております。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 小林危機管理監。
           (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監(小林佐登志君) 地震・津波対策についてのうち、初めに災害ボランティア支援についてお答えをいたします。
     今回の東日本大震災では、災害ボランティアの全体的な総合調整が円滑に機能していないとの指摘がなされております。静岡県では想定東海地震など大規模な災害の発生に備えまして、全国から駆けつける多数の災害ボランティアを円滑に受け入れ適切に活動していただくために、災害ボランティアの受け入れ体制の整備とボランティア活動を調整できる人材の育成に取り組んでおります。
     ボランティアの調整につきましては、県内の総合調整機関として静岡県社会福祉協議会を中心としまして静岡県災害ボランティア本部が設置され、管内市町へのボランティア派遣などの調整を行う静岡県災害ボランティア支援センターが県内各地域に最大で八カ所設置されます。また実際に被災地でのボランティア活動の調整を行う市町災害ボランティア本部が各市町に設置されることとなっております。各本部や支援センターが迅速に立ち上がるよう、県や市町におきましては、パソコンなど運営のための資機材を提供するほか、ライフラインや公共交通機関の復旧、交通規制の状況などボランティア活動に必要な情報の提供を行うこととしております。
     人材育成につきましては、県で平成八年度から静岡県災害ボランティア支援センターなどで活動します災害ボランティア・コーディネーターを養成するための講座を開催し、現在までに延べ二千二百二名を養成しております。また各地域に設置します静岡県災害ボランティア支援センターが円滑に立ち上がるよう、各地域危機管理局が中心となりましてボランティア関係者との連絡会や図上訓練などを実施しております。
     県といたしましては、引き続き人材育成や訓練などに取り組みまして、広域災害時において災害ボランティアが十分機能を発揮できるよう、その基盤の充実に努めてまいります。
     次に、避難所生活体験訓練についてであります。
     東海地震などの大災害発生時に避難者が当面の生活を送る場所として、県内各市町では千二百八十一カ所の避難所を指定しております。避難所の開設については市町の職員の協力を得て行いますが、運営につきましては地域の自主防災組織が中心となり行うこととなります。
     静岡県では、自主防災組織が避難所の自主的な運営を円滑に行う上で参考となりますよう避難所運営マニュアルを作成しまして各自主防災組織に配布するとともに、避難所運営を模擬体験できます避難所運営ゲームHUGを開発しまして、自主防災組織のリーダー養成研修や訓練を通して避難所運営のノウハウの普及に努めております。また実際に避難所となる可能性の高い学校では、自主防災組織や市町の防災担当者の三者による防災教育推進のための連絡会議を開催し、その機会に発災時の対応や避難所内でのレイアウトなど具体的な対策を話し合っております。避難所の運営は、食事や宿泊などおのおのの役割を認識し、住民みずからが体験する中で避難所を主体的に運営することが重要でございます。
     こうしたことから、今後県では大槌町や山田町で避難所の運営などを支援している市町職員の経験などを生かし、九月の総合防災訓練や十二月の地域防災訓練の中で住民が避難所生活を体験できる訓練を今年度の重点訓練のメニューの一つとして位置づけ、訓練の実施を市町や自主防災組織に促してまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 松浦くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 松浦敏明君登壇)
    ○くらし・環境部長(松浦敏明君) 地震・津波対策についてのうち、天井落下防止対策についてお答えいたします。
     天井の落下防止につきましては、建築基準法において地震その他の震動及び衝撃によって脱落しないように取りつけるべきことが定められております。特に大規模空間の天井落下対策に関しては国から技術的指針が示されております。県では、静岡県建築構造設計指針にこれを記載しまして周知、指導を図るとともに、建築確認や完了検査の際に天井落下防止対策が適切に行われていることを確認することとしております。大規模空間を持つ既存の建築物につきましては、県立高校体育館などの県有施設における天井落下防止対策は既に完了しております。市町が所有する施設については、関係部局と連携して改善に向け指導助言を行いますとともに、民間の建築物に対しては、建築物防災週間等の機会をとらえまして特定行政庁と連携して立ち入り等を行いまして、必要に応じて所有者に改善を指導しております。
     また、国は今回の東日本大震災の被害を踏まえ天井落下防止に関する基準について改めて検討を進めていますので、県といたしましては、今後それらの技術的知見によって天井落下防止対策が確実に実施されるよう関係機関と協力して周知、指導に努めてまいります。
     次に、南アルプスにおける自然環境保全についてであります。
     南アルプスは、国立公園や原生自然環境保全地域として我が国を代表する豊かな自然環境を有し、森林や水資源が大井川流域の人々に恩恵をもたらすとともに県民共有の貴重な財産でもあります。県ではこれまで希少な高山植物を保護するために、高山植物保護指導員による登山者への啓発、指導を行うとともに、登山道への木道やロープさくの整備、啓発看板の設置などを行ってまいりました。また昨年制定いたしました静岡県希少野生動植物保護条例に基づき保護基本方針を策定し、現在専門家の意見を伺いながら、南アルプスの生息実態調査の結果を踏まえ保護すべき種の選定を進めているところであります。
     今後は、希少種の生息地のうち特に保護を必要とする区域を生息地等保護区に指定するとともに、保護回復事業を実施するなど条例を活用した取り組みを積極的に展開し、貴重な自然環境の保全に努めてまいります。
     なお、南アルプスの直下を通過する中央新幹線の建設につきましては、環境影響評価法に基づく手続の中で事業者に南アルプスの貴重な自然環境に十分配慮した対応を求めてまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 地震・津波対策についてのうち、防災教育の強化についてお答えいたします。
     県教育委員会では、昨年度兵庫県や神戸市の防災教育、あるいは東北大学が推進します津波防災教育につきまして視察調査を行い、児童生徒の防災対応能力の向上や地域貢献など共生の精神を養う心の教育も踏まえ、今年度中に基本方針の見直しやマニュアルの改訂を予定しておりました。
     そのような中で、三月十一日に東日本大震災が発生し議員から御紹介のありました釜石東中学校のように、過去の災害や教訓から学んだ津波防災教育の成果が命を救う防災教育として注目されたところであります。このため先月大津波に襲われた釜石東中学校の校舎や校庭の惨状を直接見るとともに、釜石東中学校の校長、副校長からお話を伺う中で、平常時における地道な防災教育の積み重ねが何よりも重要であると改めて痛感をいたしました。
     県教育委員会といたしましては、議員御提案の避難所生活体験等を取り入れた訓練や津波避難に関する内容を充実させ、みずからの命はみずから守るとともに他者に目を向け行動できる児童生徒を育成することを踏まえ、基本方針の見直しを行い各学校の立地条件等現状に即した実践的な防災教育の強化に努めてまいります。
     次に、確かな学力の育成についてであります。
     県教育委員会では、確かな学力を育成していくためにはまず教員の授業力の向上が必要不可欠と考え、総合教育センターあすなろに教員の教科指導に関する機能を集中、充実させ、指導主事が学校訪問や研修を通して教員の授業力の向上に努めております。また教科指導力にすぐれた教員をアドバイザリーティーチャーとして任命し、若手教員に模範となる授業の公開や学力向上のための工夫について助言を行っており、昨年度の若手教員に対するアンケート結果ではアドバイザリーティーチャーの指導が役に立つと答えた割合が九七・四%であり、大きな効果を上げているものと考えております。今後は広い教養、高い識見に支えられた教師力の向上に努めてまいりたいと考えております。
     また、授業時数の確保という視点からは、放課後や休業日の補講等の実施や長期休業日の縮減等による授業日数の増加を既に多くの学校で行っており、また研究指定校を設けて土曜日を公開授業日として活用することなどについても研究しております。確かな学力には知識や技能に加え学ぶ意欲や課題を主体的に判断、行動し、解決する力が含まれておりますので、授業で身につける教科・科目に関する学力とともに、学校行事や部活動など体験的な教育活動もあわせて推進していく中で確かな学力を育成してまいります。
     次に、ニート対策についてのうち、子供、若者の育成支援に対する取り組みについてであります。
     子ども・若者育成支援推進法の理念を踏まえ、本県が掲げている有徳の人づくりを推進するため、平成二十三年三月に≠モじのくに子ども・若者プランを策定いたしました。この計画では、子供、若者を社会を構成する重要な主体として尊重するという新しい視点を取り入れるとともに、教育、福祉、保健、医療、雇用などの関係機関による総合的な支援体制の構築を目指しております。特にニート、引きこもり、不登校等の困難を有する子供、若者やその家族につきましては、専門性を生かした各関係機関のネットワークである横の連携を推進し、加えて学校卒業後あるいは中退後の困難を有する子供、若者が、関係団体から支援を得ることができるという本県の計画の特色を実現していくために、継続的な支援に取り組む縦の接続も推進してまいります。
     今後は、支援を必要とする子供、若者にとって身近であります市町において関係機関の連携により総合的な支援体制づくりが構築されるよう、教育委員会、知事部局、警察本部、さらにはNPOなどの民間団体とも連携協力し、子供、若者の育成支援に取り組んでまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 須藤経営管理部長。
           (経営管理部長 須藤明裕君登壇)
    ○経営管理部長(須藤明裕君) 事業仕分けについてお答えいたします。
     議員御指摘のとおり、これまでの事業仕分けの成果として、約四十八億円の財源捻出に加え県の事業に対して県民の皆様が関心を持ち理解を深めていただけたことが大きかったのではないかと考えております。しかしながらこれまで仕分け人として直接参加された県民の方は延べ五十六人にとどまったことから、今年度は実施方法を見直しより多くの県民の皆様に参加していただくこととしました。具体的には無作為に抽出した百二十人ほどの方々に県民評価者として御参加いただき、有識者と県職員との議論を聞いた上で事業の是非や見直し等について多数決により判定していただきます。またこれまで多くの県民の方々に傍聴していただきましたが、加えて会場にお越しになれない方々のために新たにインターネットを活用したライブ中継や意見募集の手法を導入してまいります。このような事業仕分けを通じて県民の皆様の御意見や御提案を積極的に県事業の見直しに活用することはもとより、県民参加型の透明性の高い行政運営の実践により県民と県との相互理解と信頼感や県民の行政参加意識の向上に努めてまいります。
     次に、職員研修制度の充実についてであります。
     本県では、中長期的な視点に立った人材育成を推進するため、平成十七年度から静岡県キャリア・デベロップメント・プログラムに基づきさまざまな研修の機会を提供することにより、職員の主体的な能力開発を促し職務に対するモチベーションや専門性の向上を図ってきたところです。
     国の機関や民間企業等への派遣研修につきましては、広く庁内公募を行い意欲ある職員を一年以上の長期にわたって派遣するほか、業務の都合に合わせて参加しやすいように中国や英国など海外の大学における三カ月程度の語学研修などもメニュー化しております。
     さらに職員の自発的な能力開発の機会を確保するため、退職せずに大学院への就学や国際貢献活動に参加することができる休業制度も本年度整備したところであります。また研修所における研修につきましても職位階層別の研修に加え、財務、法務、語学の通信教育講座を設けるなど専門性やスキルの向上につながる研修機会の提供に努めているところであります。
     今後とも、職員の自己研鑽に対する多様なニーズにこたえる研修制度の一層の充実に努めるとともに、自己研鑽の成果や意欲を適切に評価し処遇に反映する人事管理にも努めてまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 食の安全・安心についてお答えいたします。
     本年三月に策定いたしましたしずおか食の安全推進のためのアクションプランでは、生産から流通・消費における食品の安全確保及び消費者の食に対する信頼確保を柱といたしまして施策を推進することといたしております。この中で食中毒防止対策といたしましては、患者割合の高いノロウイルス食中毒を中心に学校、仕出し屋など大量調理施設の一斉点検や観光地における大規模宿泊施設の監視指導を実施するとともに、流行期における食中毒注意報の発表等、食品関係事業者や消費者への指導、啓発に努めているところであります。
     また、生食用食肉など健康被害のリスクの高い食品を扱う飲食店の監視指導を重点的に行い衛生基準の徹底を図るとともに、近年増加しております野菜サラダ等の流通食品に対し腸管出血性大腸菌O―111の検査を新たに追加するなど検査体制の充実を図っております。
     県民への情報提供につきましては、県内の大型食品店舗等約三百八十カ所に掲示板を設置し、消費者がより身近で適時適切な安心情報を受信できるちゃっぴーの食品安全インフォメーション事業を実施するとともに、食品製造施設の見学会の開催など食品安全確保の取り組みを消費者が直接目にする機会を積極的に設けることにより、食の安全に対する信頼度の向上に努めてまいります。
     今後ともこれらの施策を通じまして、消費者、食品事業者、行政の相互理解を図り、関係者の協力のもと県民が安全で安心できる食品の提供の実現に取り組んでまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 森の力再生事業の推進についてお答えいたします。
     本事業の実施に当たりましては、前期五カ年の森の力再生事業の発揮によります植生の回復状況を踏まえ、従来どおり森林所有者等による整備が困難なために荒廃した森林を対象に良好な景観づくりに資するよう人工林の混交林化に重点を置くこととしております。
     事業の見直しにつきましては、昨年九月の小山町の災害を受け県民生活に直接影響を及ぼす山すその荒廃した人工林についても中腹の森林と一体となる整備を可能としたほか、作業道を整備した場合には木材を搬出し伐採木の有効利用を図ることといたしました。また県民からのニーズの高かった身近な竹林等につきましては、整備面積を二百八十ヘクタール追加するとともに、事業の確実な実施を図るためNPOや造園業者等の事業への参入条件を緩和したところであります。
     県といたしましては、このように見直しなどにより今後五カ年間で人工林と竹林、広葉樹林を合わせ約六千ヘクタールの再生整備を着実に実施し、森の力の回復に対する県民の期待にこたえてまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) ニート対策についてのうち、ニートの就労支援策についてお答えいたします。
     ニートと呼ばれる若者に対しましては、議員御指摘のとおり教育段階における就労意識を醸成することに加えまして、就労支援策を強化し就職に結びつくようよりきめ細やかな対応が重要であると認識をしております。このため県といたしましては、国、浜松市と連携いたしまして、ニートの相談機関地域若者サポートステーションを本日二十九日浜松市内に開設をいたしまして、七月一日から相談業務を開始いたします。三島、静岡と合わせまして県内三カ所で就労相談が可能となり、ニート本人や家族に対する就労までの継続的な相談体制を整備したところであります。
     また、昨年度ジョブトレーニング・コーチの個別指導によりまして三カ月間の就労体験を行い、ニートを就職に結びつけるジョブトレーニング事業を新たに東部地区で開始をいたしました。延べ七十三人の方に参加いただきまして十二人の就職実績を上げたところでございます。今年度はこの事業を中部、西部地区にも拡大をいたしまして、県内三カ所で延べ百八十人を対象に農業、製造業、サービス業などの分野で就労体験を実施することによりまして、一人でも多くのニートが就職できますよう支援をしてまいります。
     今後とも国や地域の関係団体との連携を強化いたしまして、相談から就職までのきめ細やかなニートの就労支援策に積極的に取り組んでまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 安村警察本部長。
           (警察本部長 安村骼i君登壇)
    ○警察本部長(安村骼i君) 犯罪防止策の強化についてお答えいたします。
     まず、防犯カメラに対する認識でありますが、私の考えは議員と全く同様でございまして、犯罪捜査の大きな助けとなるとともに潜在的な犯罪者にその実行を躊躇させる大きな力となると考えております。防犯カメラの現状につきましてはコンビニエンスストアの八千台余りを初め、事業所、自治体、商店街、住民自治会などで合計一万六千台余りを把握しております。これにつきましては年々増加傾向にあると承知しております。これら防犯カメラが設置された場所では、自転車盗、ひったくりなどの街頭犯罪が激減する、周辺の住民の安心感が向上するなど、大きな効果が得られているところであります。
     次に、どのように活用していくかについてでございますが、防犯カメラの映像から犯人を特定するなどの事件解決の手段としての活用は言うまでもなく、犯罪を犯そうとしている者に対する抑止効果と県民の安心感の醸成と防犯意識の高揚を図るという面での活用を図ってまいりたいと考えております。したがいまして今後とも道路、公園、地下通路等の公共空間の安全・安心のために、自治体や関係機関、団体及び事業者等への防犯カメラの設置を働きかけ、犯罪の起きにくい社会づくりをさらに推進してまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 三十番 前林孝一良君。
           (三十番 前林孝一良君登壇)
    ○三十番(前林孝一良君) それぞれ御答弁ありがとうございました。
     特に私、教育の世界からの出身ということで歴史教育については最初から非常に思い入れがございまして、きょうは知事からこの歴史教育についての御答弁をいただきましたこと、非常に感慨深いものがございます。私は決して元日本史の教師としてのわがままを言ってるわけではございませんで、やはり世界史も地理も大事だと思っております。そういう意味で今知事からお話がありましたように、これから新しい科目として日本史、世界史、地理を包含したような、そういう教育が行われるというお話もございました。ぜひ知事におかれましては、その推進力として応援をいただきたいと思う次第でございます。
     さて、そんな中で幾つか質問させていただきますけれども、まず一つは教育長に質問をします。
     確かな学力の育成についての話ですけれども、教育長からは教員の授業力という言葉がございました。また知事からは、別の角度から幅の広い教員をということでのお話もあったわけですけれども、先ほど紹介しました私立の高校としては、やはり進学ということを大きなテーマとして学校を挙げて学校の魅力づくりに取り組んだわけでございまして、そこで私は個々の教員も大事だと思いますが、やはり学校として、公立高校として、公立学校として魅力づくりに取り組んでいくことが非常に大事ではないかと思っております。教育長も聞くところによりますと、庵原高校という新設校で非常に努力をされてきたということもお聞きしておりますので、そういう意味では教員が、ある意味では経営努力として一丸となった学校の魅力づくりというものを、どう取り組んでいくべきなのか、その辺の御所見をお聞かせ願いたいと思います。
     それから、食の安全・安心についてですけれども、やはり今回の問題は事業者だけの問題ではなくて、ある意味で県民といいますか、国民の意識改革が必要ではないかと思っております。安いということとおいしいということにプラスして、安全までこれを保証するのは非常に難しいことだということはやはり国民が知らなくてはいけない。そういう意味で私は行政としては、そういう国民、県民の意識改革もしっかり情報提供していくことではないかと思っております。生肉を食べることは危険なんだということも教えていかなくてはいけない。そんな観点から改めて御答弁をお願いいたしまして私の質問を終わります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 前林議員から、魅力ある学校づくりにどのように取り組んでいったらいいかという私の所見ということで再質問がございました。
     私、今思いますのはやはり二つ大きくはございまして、一つは先ほどの知事の御答弁とも関連するわけですけども、やはり教員の人間としての力をつけるということがまず大事かなと。その中で特に言われておりますのはやはり教員の社会性ということで、これだけ時代が非常に変化が激しいわけですので、教員がもっともっと学校から出ていって、社会のいろいろなものをやはり身につける、感じる、体感するということが私は大事かなというふうに思っております。そういう意味では今回いろいろなところで防災教育の御質問もあったわけですけども、教員みずからが地域防災訓練等に積極的に参加し、やはり地域の牽引役を担うということも社会性を担う大きな要因かなというふうに思っております。
     そういう中で、二つ目はやはり校長のリーダーシップかなというふうに思っております。これは公立高校の場合、校長の在任期間というのが二年ないしは三年というのが大方の今までの流れでございましたけども、なるべくやはり校長先生の在任期間を長くする中で校長先生としてのリーダーシップを取っていただいて、その中で特色ある学校づくりを推進していっていただきたいなというふうに思っております。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 食の安全・安心についてのうち、県民、国民のほうの意識改革、それを行うための情報の提供について強化をすべしという御質問に対してお答えをいたします。
     県では、これまで食中毒が起こりますと食中毒の発生に伴ってその都度情報発信をしてきましたけれども、本年度から先ほど御答弁で申し上げましたように、より身近なところで安心情報も含めて情報提供するために、スーパーなどの大型食品店舗約三百八十カ所に掲示板を掲示しまして、我々のほうから即時提供をすることとしております。
     今回の生食につきましても、議員の御指摘のとおり消費者側においても新鮮であれば食肉を生で食べても大丈夫だ、すべて大丈夫だという誤解が消費者とか事業者の方、双方にございましたので、今後食品の監視とか講習会を通しまして食肉の生食や加熱不足による危険性の周知をさらにしていきたいと考えております。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君)これで前林孝一良君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

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