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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成17年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

杉山 盛雄 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/27/2005

会派名:

自由民主党


質疑・質問事項:



    ○議長 (大橋正己君)  ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、 知事提出議案第百四十九号から第百六十七号まで及び平成十六年度静岡県一般会計、 特別会計、 公営企業会計決算全部を一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、 五十九番 杉山盛雄君。
            (五十九番 杉山盛雄君登壇 拍手)
    ○五十九番 (杉山盛雄君)  おはようございます。 質問に先立ちまして一言申し上げさせていただきます。
     さきに行われました第四十四回衆議院議員選挙におきまして小泉自民党は、 国民の圧倒的な支持を得て歴史的な大勝をおさめました。 これにより、 官から民へ、 国から地方へを柱とする小泉構造改革は、 昨日の所信表明演説にもあるようにますますスピード感を持って進められていくと思われます。 地方にもこれに呼応した行財政改革が求められますし、 石川県政にも地方のリーダーとして積極的な取り組みを望むものであります。
     また、 今月六日、 台風十四号による一千ミリを超える記録的な豪雨により多数の死傷者を出した九州地区を初めとする被災地の皆様にお悔やみとお見舞いを申し上げるとともに、 一日も早い復旧を心から御祈念を申し上げます。
     それでは質問に入らせていただきます。
     私は自由民主党を代表して当面する県政の諸課題に対し、 知事並びに関係部局長、 教育長、 警察本部長に質問をいたします。
     初めに、 四期目に臨む知事の政治姿勢についてであります。
     まず冒頭この本会議の場をお借りして、 自由民主党を代表し石川知事の当選に対しまして改めてお祝いを申し上げます。
     我が自由民主党は、 これまでの三期十二年間の実績を高く評価しいち早く石川知事を推薦申し上げ、 単純に四期目という在任期間の長さのみをとらえた批判や県民合意のもとに民主的な手続で進められている空港建設に対し、 逆風が吹いた今回の選挙を全力で支援をしてまいりました。 その結果、 対立候補に三十万票余りの大差をつけて県民の新たな信任を勝ち得ることができ、 これまで一丸となって石川県政を支えてきた我が自由民主党にとっても大変に喜ばしいことであります。
     今回の知事選では、 石川知事は県民生活の向上と県土の一層の発展を期すべく 「もっと日本一を誇れる静岡県に」 をキャッチフレーズに、 健康長寿、 人づくり、 産業活力や安心・安全など十の分野で、 県民暮らし満足度日本一を実現することを公約に掲げられました。 結果として多くの県民がこれを支持し、 当選直後の会見において知事は、 新たなこの四年の任期の中で県民満足度日本一に向けて確かな道筋をつけるため、 さまざまな施策に全力で取り組んでいくことを改めて強調されたところであります。
     これからの四年間の県政を展望すれば、 三位一体の改革等により地方の財政運営がますます厳しくなることが予想される中、 少子化が進む中でも持続可能な社会システムづくり、 地震や降雨災害等に強い県土づくり、 地域の発展を支える社会資本整備、 ファルマバレー構想の推進などによる新たな産業集積の促進、 高齢社会の中でも安心して暮らせる医療・福祉の充実、 観光の再生と活性化、 さらには平成二十一年春の静岡空港の開港など、 暮らしやすく元気な静岡県づくりに向けて緊急にかつ全力で取り組んでいかなければならない課題が山積をしております。
     そこでこうした課題に適切に対応し、 知事が掲げる県民暮らし満足度日本一を実現していくため、 石川県政の総決算ともなるこれからの四年間においてどのようなお考えで県政の運営に当たっていかれるのか、 四期目に臨む政治姿勢について知事の御所見をお伺いいたします。
     また、 県民暮らし満足度日本一を実現していくためにはこれを支える財政基盤の確立が重要であると考えますが、 国の三位一体の改革など地方財政を取り巻く環境が厳しい中、 今後どのような財政運営を目指していくのかあわせてお伺いをいたします。
     次に、 静岡空港についてのうち、 まず、 空港の必要性について伺います。
     静岡空港の用地確保については土地収用法に基づく事業認定を受け、 九月五日から十日にわたって立入調査が行われ、 二十一年春の開港に向けて事業が着実に進められております。 従来から私は、 「二十一世紀を担う今の若者たちにとって空港は至極当たり前の交通基盤であり、 二十年後、 三十年後に静岡県が現在と同様、 日本の雄県であり続けるためには必要不可欠な事業として、 空港の整備は全力を挙げて推進をすべきものである」 と主張してきたところであり、 我が党としても、 県民の期待を乗せた一番機が静岡空港から大空に飛び立つ日がまた一歩確実に近づいたと大変心強く感じております。
     今回の知事選挙で石川知事が四選を果たされたことは、 最大の争点であった静岡空港の建設について有権者の信任を改めて得たことを意味するものであります。 知事に就任され足かけ十三年、 用地の完全取得に向けて大きな一山を越えたと思いますが、 なぜ静岡空港が必要なのか、 今改めて知事の熱き思いを伺いたいと思います。
     次に、 空港の利活用について伺います。
     私は、 静岡空港をより一層魅力あるものにしていくためには、 まず、 女性と子供が行ってみたいと思う場所づくりをし、 レストランやショッピング施設なども充実をさせ、 空港に行けば静岡の名産や特産物もすべてそろう、 そんなターミナルビルを設置するなどぜひともにぎわいを創出する魅力ある施策を示していただきたいと要望してきたところであります。
     空港の運営については、 今年度中の空港運営会社設立を目指し、 現在検討会に参画する企業の専任スタッフにより会社設立に向けた具体的な検討が進められており、 また、 管理も含めて民間の活力を導入していく新たな構想も検討しているとのことであります。 そこで、 より一層魅力ある空港としていくために、 利活用についてどのような姿勢で臨むのか、 また、 その実現に向けてこれからどのように取り組んでいくのか知事の御所見をお伺いをいたします。
     次に、 伊豆地域の振興について伺います。
     伊豆地域は人口の減少と高齢化が進み、 主要な産業である観光についても宿泊者数や観光交流客数が減少傾向にあるなど、 現在大変厳しい状況に置かれており、 今後いかに地域の活力の維持増進を図っていくかが大きな課題となっております。 特にこの地域における生活と産業の維持発展には、 交通や情報通信などの基盤整備を欠かすことができません。 こうした課題については従来から取り組みが進められてきているところではありますが、 他の地域との格差を解消するためにはさらに一層の努力が必要であります。
     伊豆地域はもともと美しい自然、 温暖な気候、 豊かな歴史や文化、 特色ある農林水産物など内外に誇れるさまざまな資源に恵まれた土地であります。 そして、 こうした地域資源は価値観が多様化して、 心の豊かさ、 自然や文化との触れ合いを求める人々が増加している今日、 ますます大きな価値を持つようになってきております。 今後、 伊豆地域のさらなる発展を図るためには、 消費者ニーズの変化など時代の潮流を踏まえつつ、 地域のポテンシャルを有効に活用するとともに新たな資源の開発に努めるなどして、 地域の魅力を一層高めていくことが必要であります。
     そうした中、 現在県におかれては、 本年三月に半島振興法の適用期限が延長されたことを受けて、 平成十七年度からの十年間を計画期間とする第三次伊豆中南部地域半島振興計画の策定作業を進められているとのことであります。 そこで伊豆地域の発展に向けて、 どのようなお考えのもとに今回の振興計画を策定されようとしておられるのか知事の所見を伺います。
     次に、 県立大学の法人化について伺います。
     希望者のすべてが大学に進学をできる大学全入時代の到来が言われるようになっておりますが、 この春、 入学者が定員を割り込んだ四年制の私立大学は過去最多の百六十校にも上り、 全体の二九・五%を占めたとのことであります。 また本年六月には地元の自治体の支援を受けて開学した萩国際大学が定員割れが原因で経営破綻に陥り、 開学七年目で民事再生法の適用を申請したとの報道もありました。 少子化の影響による進学者数の減少は今後ますます大学間の競争を激化させ、 これからの時代、 魅力のない大学はどんどん淘汰されていくことが予想されます。
     こうした状況の中、 昨年四月から全国の国立大学においては、 個々の大学がそれぞれに活力に富み、 個性豊かな大学づくりを目指すとして法人化が実施をされました。 また同じ時期、 地方独立行政法人法が施行され、 公立大学の中からも国立大学と同様に法人化に踏み切るところが出てきて、 これまでに八つの公立大学が法人化をし、 この流れは今後さらに加速するものと見られております。
     本県も県立大学について法人化を含め、 今後のあり方をさまざまな視点から検討が必要な時期に来ているのではないでしょうか。 知事も昨年二月定例会において、 地域ニーズの変化や少子化の進行に伴う大学間競争の激化に対応するために、 一層その魅力を高めていく必要があるとの認識を示され、 さらに、 十二月定例会では、 当面する課題である法人化に向けて早期に対応を図ることとあわせ大学機能の一層の充実を図っていく必要があり、 法人化と大学機能の充実について、 県当局と大学との間で十分な協議、 検討を行い内容を固める必要があると、 法人化に前向きな答弁を行っておられます。
     私も県立大学は、 時代の変化の中で適切な教育研究活動や組織運営体制を築いていくことが必要であり、 大学自身が主体的に改革の努力を行っていくべきだと考えます。 知事は、 法人化した静岡大学についてこれが同じ大学かと思うような変貌ぶりだと感想を述べていますが、 大学全入時代の到来を迎え、 活性化と一層の魅力づくりのため県立大学の法人化について知事の御所見をお伺いをいたします。
     次に、 ユニバーサル技能五輪国際大会について伺います。
     二〇〇七年十一月に沼津市と静岡市を会場にユニバーサル技能五輪国際大会の呼び名のもと、 第三十九回技能五輪国際大会と第七回国際アビリンピックが開催をされます。 両大会の同時開催は大会史上初めてであり、 地方都市開催でありながら国内外から約二十万人もの来場者が見込まれております。 開会まであと二年となり準備も進められ、 国では四月に日本組織委員会が発足をし、 これに呼応して四月二十五日には静岡県推進協議会が、 七月一日には沼津市推進協議会が立ち上がりました。
     二〇〇七年問題が話題となっているこの時期に、 ものづくり県である静岡県で本大会が開催されることは大変意義深いことでありますが、 大会の成功のみならず技能や技の大切さや楽しさを県民、 特に未来を担う若者たちに伝えていく取り組みや、 大会を契機に観光を初めとする産業の活性化、 道路など社会基盤整備による地域の活性化を図ることが重要であると考えております。 特に技能五輪国際大会は県都以外の沼津市での開催ということから、 十分な宿泊施設の提供や地域の特徴を生かしたおもてなしなどのサービスが求められると思います。
     そこで、 次の点について伺います。 本大会を機に、 県民にものづくり県静岡を再認識していただき、 ものづくりへの理解と挑戦の意欲をかき立てるような長期的展望に立った取り組みが重要であると考えますが、 県はどのように取り組んでいくのか。 また来場者を温かく迎え、 本県の魅力を十分に堪能していただくため、 県民挙げての取り組みが大切と考えますが、 宿泊施設や関連イベントなど来場者の受け入れについてどのように考えているのかあわせて伺います。
     次に、 多発する豪雨災害に対する危機管理について伺います。
     この八月下旬、 米国を直撃した大型ハリケーン 「カトリーナ」 による被災の状況が、 テレビや新聞で報道されております。 先日も病院から多数の遺体が発見されるなど被害は極めて甚大なものとなっており、 自然災害の恐ろしさを改めて思い知らされました。
     本県は、 地形、 地質等の自然条件から、 人口や資産が河川のはんらん域に集中し、 水害や土砂災害に対して極めて脆弱な構造にあり、 このため過去幾度となく大規模な災害に見舞われてきました。 特に最近は、 時間雨量にして八十ミリ、 百ミリといった規模の豪雨が毎年のように、 しかも山間部や平野部を問わず局地的に起こり、 これにより県が管理する中小河川の流域において、 洪水被害や土砂災害が数多く発生している状況にあります。
     さらに都市化の進展により流域における雨水の保水機能が低下し、 洪水の流出がこれまでより目に見えて早まったり、 山すそまで住宅開発が迫り土砂災害危険箇所が増加している状況などを考え合わせますと、 これまで行われていた防災対策が現状に追いつかない傾向にあるのではないかと危惧しているところであります。
     また、 高齢者世帯が増加する中、 これまでの地域コミュニティーの希薄化や消防団員の減少等による災害時の共助体制の弱体化も懸念されており、 豪雨災害から生活者を守る地域防災力の強化が必要であると思います。
     このように近年の気象の変化による異常気象が異常でなくなった時代、 流域での都市構造の変化、 高齢化等の社会状況の変化を考えますと、 これまでの災害と地域社会とのかかわりを考え直し、 予想される豪雨被害を最小化する防災対策が緊急の課題となってきていると考えます。 そこで、 近年の多発する豪雨災害に対する危機管理についてどのように取り組むのかお伺いをいたします。
     次に、 荒廃森林再生に向けた森林新税の創設について伺います。
     私は昨年度、 建設委員会の委員長として委員の方と一緒に十月に発生をした台風二十二号の被災状況現地調査に参加をいたしました。 皆様御記憶のとおり、 この台風の影響により県内は伊豆半島を中心に豪雨となり、 県東部地域は多大な損害を受けました。 この台風による被害の特徴は、 河川の上流部からの流木が橋脚部分にたまり、 流れがせきとめられ結果としてダムアップした水が市街地に流れ込み、 被害が一層甚大となったわけであります。 地球温暖化の影響とも言われておりますが、 最近の災害の特徴として従来にも増して短時間に集中豪雨が起こり、 想定以上の被害が発生する状況が常態化しつつあることが挙げられます。 また以前に比べ豪雨による被害が大きくなっている原因の一つとして、 倒木や崩壊地の発生など森林が荒廃し山の保水力が低下をしていることもあると思います。
     知事は選挙後の会見で、 全県的に山の荒廃が進み放置するとさらに拡大するおそれがあるとの現状認識のもと、 環境日本一、 地域防災力日本一の点からも森林の荒廃防止対策に一層力を注ぎたいと述べられておりました。 そこで次の点についてお伺いをいたします。
     さきの六月議会において知事は、 森林新税に関する我が党の豊岡議員の質問に対し、 「県民の皆様の御意見を伺いながら、 賛同が得られるという見通しがつけば、 できるだけ早い時期に導入について判断をしたい」 と答弁をされたところであります。 県土の七割近くを森林が占める本県において、 森林の荒廃防止などを目的とした新税の導入を早急に実施をすべきと考えますが知事の御所見をお伺いをいたします。 また新税を導入する場合、 具体的な使途、 課税の方法、 導入の時期についてどのようにお考えかあわせてお伺いをいたします。
     次に、 今後の道路整備の進め方について伺います。
     昨年開催をされました浜名湖花博は、 目標を大きく上回る五百四十四万人が来場し、 大成功したものと評価をしております。 この成功は展示内容の充実やボランティアとの協働など大会運営の工夫によるところが大きいですが、 加えて忘れてならないのは開催に合わせてアクセス道路が短期間に整備をされ、 交通渋滞が緩和されたことであると私は考えております。
     この地域では、 こうした道路整備により花博閉会後においても幹線道路ネットワークの充実により日常の暮らしが便利になり、 県道浜松雄踏線の沿道環境の改善も図られたと聞いております。 言うまでもなく道路は県民の暮らしや産業経済活動を支える重要な社会基盤であり、 私も地元の皆さんの声を聞くにつけ、 道路に対する地域の期待は非常に大きいものがあると肌で感じております。
     公共事業への投資が縮小する中、 地元から要望がある道路を短期に整備をすることは現実的には困難ではありますが、 一方、 魅力ある地域づくりを進めていく上で必要となる道路については、 花博の道路整備の事例に見るように、 短期集中型の手法により着実かつ早期に整備を進めていくことが重要であり、 県内の他の地域においてもこうした観点でさらなる道路整備を必要とする地域が多いのではないかと考えます。 そこで花博開催を契機といたしました道路整備の成果を踏まえ、 今後の道路整備の進め方についてどのようにお考えか伺います。
     次に、 都市公園の指定管理者制度導入について伺います。
     本県では、 グランシップやエコパなど県を代表する施設を含む三十の施設について、 十八年四月から指定管理者による運営を予定するなど、 民間能力の活用や施設の効率的な運営への積極的な取り組みが感じられます。 しかし、 この中には県営都市公園のように、 私たち県民にとって非常に身近な施設もあり、 間違った民間活力の導入を行うと県民にとってのサービス向上につながらない場合もあるのではないかと心配をしております。
     例えば、 草薙総合運動場や愛鷹広域公園などは、 現在の利用状況や地域のスポーツ拠点施設としての役割からなくてはならない施設であります。 これらの施設は高校野球や国体等の青春の思い出や感動を呼び起こしてくれるだけでなく、 有名な選手が活躍をした施設で、 子供たちが一流選手になったような気分で、 野球、 サッカー、 テニスなどの身近で人気のあるスポーツをすることができることや、 また地元の運動会やゲートボール大会など、 地域の楽しく心温まる交流ができる大切な場所でもあります。 こうした施設に、 ただ単に効率性の追求や経費の節減だけを求めて民間活力を導入をしては今までのような利活用が減少をし、 本来の設置目的すら果たせなくなるのではないかと懸念が生じます。
     県は県営公園への指定管理者制度導入に当たり、 お年寄りから子供までがいつでも気持ちよく使え、 地域や県民の憩いの場を提供するといった県営公園としての最も大切な役割を、 どのように確保しようとするのか伺います。
     また、 今回のようにほとんどの公園に指定管理者制度を導入をしてしまうと、 県がみずから運営することがなくなるので、 公園の管理運営のノウハウが蓄積をされず、 その結果として指定管理者への指導や管理運営の改善ができなくなり、 かえって行政サービスの低下を招くのではないかとも危惧いたしますが、 県は制度導入後の県営公園の管理運営について、 どのようなお考えで取り組もうとしているのかお伺いをいたします。
     次に、 県立静岡がんセンター研究所について伺います。
     県立静岡がんセンターは、 本県がん対策の中核を担う高度がん専門医療機関として開院し、 この九月で三年になります。 この間、 患者の視点の重視や先進医療技術の適用などにより、 患者数が順調に増加する一方、 患者さんと家族の評判も総じてよいことから、 整備目的が達成されつつあるものと考えております。 これは、 県民全体にとりましても、 がん診療に対する安心が得られ、 大変評価できるものであります。
     このような中、 この秋にはがんセンター研究所の開所が予定をされております。 建設工事は順調に進んでおり、 一方、 研究体制についても新たに拡大をした研究部を合わせ、 八研究部三室体制をもって推進をしていくとのことであります。
     さて、 がんセンター研究所は整備に当たり、 大きく二つの目的を立てたと伺っております。 一つは、 がんセンターの病院部門の臨床支援と県内がん医療水準の向上を図ることであり、 がんセンターの患者さんに対し医療者と研究者の協力によって新たな研究成果を提供するとともに、 県内の医療機関等にもその成果を広めていくものであります。
     第二は、 ファルマバレー構想の推進であり、 研究所を臨床現場で発生している医療側のニーズと、 大学、 研究機関、 企業などの開発側のシーズと言われる技術の種とを結びつける場所として活用し、 静岡発の新技術や新製品の発表をしていくものであります。
     このような目的を掲げるがんセンター研究所に対する県民の期待は高いものと理解をしておりますが、 目的の実現に向けてどのような戦略をもって臨むのか、 また現状における具体的な取り組みはどうなっているのかお伺いをいたします。
     次に、 農水産業の振興についてのうち、 まず静岡茶のグローバル戦略についてお伺いいたします。
     県はこれまで、 二十一世紀に向けた茶業の新たな革新、 お茶ビジネスの創出や需要拡大を目指して、 平成十三年と十六年の二回にわたり世界お茶まつりを開催をしてまいりましたが、 前回は自分流もてなしの世界大茶会やワールドお茶メッセなど多彩なプログラムが催され、 内外から約十四万人の来場者があるなど大きな関心を呼んだところであります。 また国際O―CHA学術会議での発表などを契機に効能が見直され、 カテキン等特有の成分が数多くの新しい商品を生み出すなど環境は大きく変わってきているように思います。
     海外においても、 日本食や緑茶のすばらしさが注目をされており、 最近の新聞報道によれば、 紅茶文化発祥の地英国でも緑茶やハーブティーなどの販売量が過去二年間で三〇%以上ふえたとのことであります。 日本の食文化が世界に広まり消費者がふえるのは本県にとってもよいことではありますが、 海外ではジャパニーズグリーンティーと称しながら、 産地不明のお茶が出回っているとも聞いております。 海外でも本物の静岡のお茶を味わっていただきたいものだと願うわけであります。
     県は平成十三年に世界緑茶協会を設立しましたが、 お茶をテーマとした幅広い交流の促進や情報発信など世界的な視野からのこうした取り組みについては、 私も高く評価するものであります。 知事は昨年十二月の議会で、 「世界お茶まつりを通じて、 お茶イコール静岡というイメージを世界の関係者に強く伝えることができた、 本県を世界のお茶の本家本元としていく」 と答弁されておりますが、 県は今後、 静岡茶のグローバル戦略をどのように展開をしていくのかお伺いをいたします。
     次に、 海面養殖業の振興について伺います。
     本県は総延長五百キロメートルにも及ぶ海岸線を有し、 豊かな自然環境と海の幸に恵まれております。 中でも駿河湾の奥部に位置し波静かな沼津地区沿岸では、 昭和三十年代からハマチの海面養殖業が始まりました。 その後、 首都圏や観光地に近い立地的利点や県の水産試験場における技術開発、 指導によりマダイやマアジなど種類をふやしながら大きく発展し、 沿海地域の振興に多大な貢献をしてまいりました。 特にマアジの生産量は全国一にもなっており、 アジの干物は沼津の特産物として有名ですが、 養殖アジも駅弁や民宿にアジずしとして登場するなど商品開発の試みもされ、 好評と伺っております。
     このように、 海面養殖業は沼津を初めとする沿岸地域の振興にとって非常に重要な産業ではありますが、 近年では輸入水産物の増加や景気回復のおくれなどによる水産物価格の低迷の影響を大きく受け、 その経営は厳しく生産者数は減少傾向、 生産量は横ばい状態になってきております。
     また、 昨年十月九日の台風二十二号では、 沼津地区も大きな被害を受けました。 海という自然の中での生き物を対象に営まれる海面養殖業は、 災害や事故などの影響を受けやすく、 経営が安定しない傾向があります。 さらに一昨年来、 海外や他県の養殖魚で薬剤不正使用の問題が取りざたされており、 安全性の確保や安心であることを消費者にPRすることも急務であります。 そこで、 県は今後どのように支援をし振興を図っていくのかお伺いをいたします。
     次に、 今後の企業局の経営についてお伺いをいたします。
     本県企業局は、 工業用水道事業、 水道事業、 地域振興整備事業の三事業を展開をしており、 安全な水の安定供給や住宅団地や工業団地の分譲等を通じた地域の振興に大きな役割を果たしてきました。
     しかし、 近年の少子・高齢化社会の到来、 激しさを増す企業間競争、 産業構造の変化や合理化の進展、 さらには環境問題に対する意識の高まりなど、 地方公営企業を取り巻く環境は大きく変化をしております。
     このような中、 現状を見ますと、 工業用水道事業、 水道事業につきましては、 太田川ダムを水源とする遠州広域水道の拡張事業を実施中ではありますが、 全体的には施設の整備はほぼ終了し、 今後は施設の改築、 更新を計画的に進めながら経営基盤を一層強化していくことが重要であると考えます。
     一方、 地域振興整備事業につきましては、 長引く地価の下落傾向が経営に大きな影響を与えており、 今後の事業展開そのものを根本的に見直す時期に来ているものと考えます。
     このような企業局を取り巻く厳しい経営環境の中で地道で着実な成果を上げ県民サービスを一層向上させていくためには、 現在の経営状態をもう一度しっかりと見直し中長期的な収支の見通しを立て、 具体的な目標を定めて計画的に事業を執行しその成果を評価をしていくとともに、 これらを県民にわかりやすく情報公開し説明責任をしっかりと果たしていくことが必要であります。 さらに、 人・物・情報が大量かつ高速で交流する時代を迎える中で、 企業局もそれにふさわしい役割を果たすべきではないかと考えます。 そこでこうした時代の要請を踏まえ、 今後の企業局の経営をどのように考えているのかお伺いをいたします。
     次に、 教員評価制度について教育長にお伺いをいたします。
     先日、 私の大学生の長女が新聞を読んでいるとき、 こんなことを言いました。 「お父さん、 これいいことだよね。 教員免許を更新制にすることを検討しているんだって。 運転免許だって更新をするし、 お父さんたち県会議員だって四年に一度選挙があるよね。 学校の先生の免許に更新制がないのはおかしいよね」。 私はなるほどと思いました。
     中央教育審議会のワーキンググループは教員免許制度の改革案をまとめ、 新たに免許を取得する人については約十年ごとに更新をする。 免許の更新は都道府県や政令市の教育委員会が開く講習会を受講し、 教員としての資質、 能力などが身についていると判断された場合、 教育委員会が更新を認めることになるとありました。 私は教員免許の更新制が実現をすれば、 最近問題になっている指導力不足教員やさまざまな不祥事が少なくなるのではないかと思いますが、 これは国の制度でありますので一日も早く国において改正してくれることを期待をしております。
     また私が以前、 中国の高等学校を視察をした際に、 その高校では教員に対する試験を少なくとも一年に三回抜き打ちに実施をしており、 その試験に合格をしない場合は首になってしまうという話を聞きました。 教員の資質向上に取り組む熱心さを感じたわけであります。
     今、 県内の学校現場を見ると、 教員に対する要望や批判的な意見が強まる中で、 教員の多くは使命感や誇りや愛情を持って教育活動に当たっていると思います。 また日々の自己研さんにも努めているとは思いますが、 同時に努力を怠っている者や、 資質、 能力が十分でない者がいることも事実であります。 学校における教員の努力やすぐれた成果は、 適切に評価される必要があるのではないかと考えます。
     そんな中、 七月二十九日に教員評価のあり方に関する提言が、 教員人事管理システム研究協議会から教育委員会に報告をされたとの報道がありました。 これは、 教員一人一人の資質向上及び意欲の向上、 学校組織の活性化を図るために、 静岡県における教員評価制度のあり方について教育長が審議を依頼し、 平成十六年二月から九回の審議を経て提出された最終報告であると伺っております。
     中を読みますと、 新しい学校づくりを目指して、 求められる教員像の明確化や人材育成及び能力開発の観点から目標管理手法の導入などを含む新たな評価制度が提言をされております。 教育委員会ではこの最終報告を受けて、 制度の構築に向けた事務作業に入ると伺っております。 私はこの教員評価制度の構築に努力すべきと考えますが、 今後の教育委員会の取り組みについて教育長にお伺いをいたします。
     最後に、 警察行政について警察本部長にお伺いをいたします。
     初めに、 再編整備計画についてであります。
     ことし二月に県警が警察署再編整備構想を発表して以来、 市町村合併の動きとともに、 県内各地では県民の警察署再編整備計画に関する関心が非常に高まっております。 県内の各界の有識者で構成する懇話会が県警から意見を求められ、 五月から七月までの間に四回の会合を開いて取りまとめた提言書が七月二十二日に県警本部長に提出をされ、 それに基づいて作成された計画案が九月五日に発表されました。
     内容の一つ目は仮称裾野警察署、 袋井警察署、 浜松西警察署の新設、 二つ目は蒲原警察署、 森警察署、 水窪警察署の分庁舎化、 三つ目は市町村合併で生じた行政区と警察署の管轄のねじれの解消などとなっております。
     警察署の再編整備は、 管轄変更まで含めて考えると県下の全域にわたって影響が及ぶ県民の安全にかかわる重要な問題であり、 とりわけ新設や統廃合による分庁舎化をすべきとされた地域の住民にとっては、 新設や統廃合が実施をされるのか、 その時期はいつなのかが重要な関心となっております。 県警では、 この計画案に対し広く県民の意見を求めるなどした上で、 十月をめどに実施計画を策定するとしておりますが、 現時点で警察署の再編整備の今後のスケジュール、 実施計画の基本的な考え方についてお伺いをいたします。
     次に、 警察官の能力向上についてお伺いをいたします。
     厳しい犯罪情勢に対処するため、 平成十三年度から全国で警察官の増員が行われ、 本県でもこれまでに六百九十五人が増員をされたわけであります。 このような中、 県警では平成十七年度から今後十年間にわたり、 ベテラン警察官が毎年二百人を超える規模で退職する大量退職期に入るということであり、 一方、 補充する新規採用の警察官は、 職務の性質上かなり長期間にわたって訓練や教育を受けた上で、 さらに実務を積み上げないと一人前になれない状況にあるとお伺いをいたしました。 つまり、 厳しい治安情勢の中、 本県では人口当たりの警察官が他県に比べ少ない上に、 実務経験が豊富な人材が大量に退職していくにもかかわらず、 新規採用の警察官がまだ戦力になれない状況がしばらく続くということになるわけであります。
     こうした厳しい条件の中、 限られた人員で犯罪を検挙をし事故を防止するなどして治安を回復し、 県民の安全・安心な生活を確保するためには、 一人一人の能力を高める必要があると考えます。 そこで、 新規採用された警察官やその後鑑識などの専門的知識や技能などを必要とする専務係に登用された若手を一日でも早く一人前に育てるため、 また精神面で本当の警察官としての使命感を持って仕事をしていくためどのように取り組まれていくのか、 ベテランが大量に退職した後の警察力の確保につきまして警察本部長の御所見をお伺いをいたしまして私の代表質問を終了とさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。 (拍手)
    ○議長 (大橋正己君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  杉山議員にお答えをいたします。
     初めに、 四期目に臨む私の政治姿勢についてのうち基本姿勢についてであります。
     私はこれまで常に県民の県行政への満足度の向上を念頭に置くと同時に我が国や世界にも貢献する富国有徳の魅力ある地域づくり、 そのような地域になることを本県が目指すべきであるという考えから、 さまざまな分野の県民の方々と連携協働しながら努力を重ねてまいりました。 四期目に臨むに当たり、 人口減少を伴う急速な少子・高齢化を初め緊急に取り組まなければならない課題が山積しております中で、 これらに適切に対処し県民の暮らし満足度を最大限に高めていくことが県民の負託にこたえる私の使命であると考えております。
     このため、 安心・安全、 健康長寿、 産業活力、 人づくりなど十の分野にわたって日本一への道筋をつける方策について総合計画審議会での審議をいただいておるところであり、 ここにおける御意見を踏まえて具体的な実施プログラムを取りまとめる予定であります。 その上で、 これを明年度から実施に移すべく明年度の予算に反映をしたいと考えております。
     その実施に当たっては県民の皆様と創知協働の精神のもとで取り組む必要があると考えますし、 また行政の側としては県行政としては行政の生産性の向上の一層の展開、 これが必要だと思います。 この創知協働と行政の生産性向上を前提にしながらこの具体的な実施プログラムを戦略的に展開をいたしまして、 県民暮らし満足度日本一、 これへの道筋をしっかりつけたいと考えております。
     次に、 財政運営についてであります。
     今後、 この県民暮らし満足度日本一への道筋をつけるためには、 杉山議員御指摘のとおり、 これを支える財政基盤の確立、 これが重要であることは私も同様な考えであります。
     一方、 八月に総務省が示しました平成十八年度地方財政収支の仮試算によりますと、 地方税は増収を見込みますものの、 地方交付税など合わせた一般財源総額は今年度の地方財政計画に引き続いて前年度並みに据え置くという内容になっております。 すなわち今年度並みとするということになっております。 したがって当初予算編成時に財政中期見通しでお示ししたケースのうち、 平成十八年度から二十一年度までの間に五百六十七億円から六百八十一億円の財源不足が生ずるというより厳しい財政収支が想定されるわけであります。 したがって、 こういう厳しい前提のもとで中長期的視点に立った財政運営を考えていかなければならない状況であると認識をしております。
     また、 今後は社会保障関係経費や職員の退職手当等の義務的経費は増加していくことが確実となっておりますので、 多額の財源不足を解消し県財政の健全性を確保するためにはこれまで以上の行革努力が必要となってまいります。 このため、 これからの財政運営に当たりましては、 事業の重点化と優先化を徹底し、 予算の総額抑制を基本に県財政のスリム化や効率化に努め、 めり張りのある施策展開を図るなど行財政改革をさらに強力に推進することが何よりも必要になってくると思います。
     そういう状況のもとで、 県民暮らし満足度日本一を目指した政策を展開するということになるわけでありますから、 一層戦略的な展開ということも重要になってまいります。 非常に何て言うんでしょうか、 狭い進路の中でより効果的な県政運営をどのように実現するか、 大変難しい課題に直面をしておるわけでありますので、 今後県議会の皆様方の適切な御理解と御協力をいただきながら目的達成に向けて全力を挙げて取り組んでいく考えであります。
     次に、 静岡空港の問題でありますが、 まず空港の必要性であります。
     私は十二年前の知事就任以来、 地球規模での大交流、 大競争が加速する中で、 国内遠隔地や海外と直接に交流する窓口となる空港は本県の発展にとって不可欠な社会資本であると確信をし、 静岡空港の整備を推進してきたわけであります。
     全国で既に二十一の地方空港において国際定期便が就航し、 ビジネス、 観光はもとより、 スポーツ、 文化、 教育など幅広い分野で海外との直接交流が進んでおるわけであります。 本県がこのような手段を持ち得ないでこのまま推移するということは、 非常に先行き問題があるということをますます痛感するわけであります。
     また、 世界を見渡してみましてもイギリスのバーミンガムの周辺でありますとか、 オランダのアムステルダムを中心とするランドスタット地域でありますとか、 フロリダ半島でありますとか、 空港をてこにして大変活発な地域の活性化が図られているという状況を見聞きするにつけても、 空港のあるなしが地域の成長に大きく影響するということもますます確信を持つに至っております。
     特に、 本県は全国有数のものづくり県でありますが、 このものづくりの力は単に国内比較で有数であるばかりか世界的な競争優位性、 これも発揮しつつあるわけでありまして、 これをさらに伸ばしていくことが本県にとって極めて重要であります。 県内の多くの企業はそのために現在本県内におきます企業の力を高める努力と加えて、 アジア地域を初めとする海外展開を積極的に推進しているわけでありまして、 そういう企業の実態あるいは今後の見通しを考えますと空港の持つ意味は大変大きいと思います。
     現状におきましても県内のある企業では、 一年間の海外出張が延べで数千回に及ぶと、 数千ということは二千回とか三千回ということであります。 そういうふうに及ぶと聞いておるわけであります。 こうした県内企業の空港までの時間、 費用の点を考えますと空港が間近にある他地域との競争条件を考えますと、 本県の場合、 非常に空港までの距離が遠いわけでありますから、 極めてその点でも不利な状況にあるわけでありますから、 この点の不利を一日も早く解消する、 そういう意味でも空港の整備は喫緊の課題と考えます。
     また、 本県は富士山や伊豆などの豊富な観光資源を有しながら、 来訪客の大半が首都圏に偏っておって、 北海道などの国内遠隔地はもとよりビジット・ジャパンが叫ばれる中で海外からの積極的な観光誘客を図る上でも空港は欠かせないと考えております。 また阪神・淡路大震災や昨年の新潟県中越地震など災害時における救助部隊や救援物資の受け入れ拠点として、 空港の果たす役割は極めて重要であります。
     県内産業の振興や交流の拡大、 さらには安心・安全な県民生活を実現するために静岡空港の早期開港はもう待ったなしと私は存じます。 県議会を初め各界各層の御協力をいただきながら平成二十一年春開港に向けて全力を挙げて取り組みをいたします。
     次に、 空港の利活用についてであります。
     静岡空港は県民の皆様に航空利用の利便性を提供し、 大競争時代の産業インフラとしての役割を果たしていくことが重要であるとともに、 地域のにぎわい創出の一翼を担うことも期待されるわけでありまして、 そういう意味で大変重要であるということは論をまちません。
     こうした役割を果たしていくためには、 まず多くの路線、 多くの便数の確保と使いやすいターミナルビルの整備が重要であります。 加えて空港を利用する方はもとより周辺地域の方々にとってみても、 空港の中のさまざまな機能、 ショッピングとか、 あるいはビジネス利用に当たっての会議とか、 あるいは打ち合わせのための機能、 こういういわゆる商業サービス機能、 これも非常に最近では重要な機能となってまいっております。
     このように集客力の高い空港を運営していくためにはマーケティングを初めとする民間企業のノウハウが重要でありますことから、 県内企業、 有力企業の皆様に会社を設立していただいて滑走路等の空港基本施設とターミナルビルを一体的にこの会社に運営していただくということで今検討を急いでいただいておりまして、 年度内にはこの会社の設立も見通せる状態になってきているところでございます。 県といたしましては今後、 私みずからが航空会社にエアポートセールスを積極的に展開をいたしまして、 路線とか便数の確保に全力を挙げる考えであります。
     次に、 伊豆地域の振興についてであります。
     世界的な大交流時代を迎えて交流人口の大幅な伸びが見込まれる中で、 首都圏への近接性や富士・箱根地域との一体性などに加えて静岡空港の開港に伴う利便性の向上によって、 伊豆地域は交流促進に向けた地理的優位性を十分生かせる環境にあります。
     伊豆地域の振興を図る上で、 交通アクセスの向上や情報格差の是正などの課題があるということを認識した上で、 観光を初め自然との触れ合いなど本地域の持つ豊かな自然や歴史的、 文化的資源等の価値を最大限に活用して、 地域の新たな魅力を創造し高める努力を行うことが重要と考えます。
     現在策定中の第三次伊豆中南部地域半島振興計画におきましては、 こうした考え方を踏まえて五項目の施策展開、 すなわち生活や交流を支える交通・情報基盤等の整備、 あるいは国際的観光交流圏域の創造を中心とした交流人口の拡大、 さらには観光交流産業との連携による農林水産業等の一層の振興などの施策展開を図ってまいる考えであります。
     こうした地域づくりを効果的に推進するためには、 圏域内の各市町が連携した上で地域住民、 NPO等と協働して、 さまざまな活動に一体的に取り組むことが重要であります。 県といたしましても地域の主体的な取り組みを積極的に支援してまいる考えであります。
     次に、 県立大学の法人化についてであります。
     県立大学につきましては、 すぐれた教育研究を通じて地域に貢献できるよう発展していくことを期待しているわけでありますが、 大学間の競争が厳しくなる中でこの期待にこたえるためには、 生半可な努力ではその期待にこたえることは難しいというふうに私は思います。 そういう中で公立大学法人化はその期待にこたえる上で重要な手段というか手法の一つではないかと注目をしているところでございます。
     こうした中で県立大学においては今年の四月、 大学事務局に大学改革室を設置をいたしますとともに、 新しく就任した西垣学長のもとで学内に検討委員会を設けて、 法人化の具体化に向けて精力的に検討を行ってこられましたが、 このたび大学みずからの意志として県立大学を公立大学法人化するという結論を出したところであります。 こうした大学の意向を私は十分に尊重し、 大学と県との協議の上でありますが、 平成十九年四月を目途に県立大学の公立大学法人化に向けて取り組みたいと、 そういう目標のもとに関連する条例等について、 県立大学とのいろいろ協議、 準備を整えて、 それが整い次第、 議会にお諮りする考えであります。
     次に、 ユニバーサル技能五輪国際大会についてであります。
     この大会は、 全国有数のものづくり県としての本県が、 今後も発展をしていくために必要な技能の向上や社会的評価を高める絶好の機会であると考えております。 このため、 この大会を契機に広く県民及び企業において技能尊重の機運が醸成されるよう、 積極的かつ効果的な広報や情報発信を行うこととしております。 また大会を一過性のものとしないように、 ものづくり産業の発展にとって不可欠な技能の維持向上を図るため、 企業や関係団体等と連携し本県のあるべき体系的、 中長期的な職業訓練計画を策定してまいりたいと考えております。
     また、 来場者の受け入れについては既に今年の四月、 二〇〇七年ユニバーサル技能五輪国際大会静岡県推進協議会を発足させまして、 現在民間の各種団体による具体的な行動計画を策定中であります。 基本的には、 県民の積極的な参加と協力をいただいて、 民間の創意や地域の発想を生かした計画にしたいと作業に取り組んでおるところであります。
     なお、 外国や県外からの来場者に対しては通訳の配置や観光案内を行うなど、 来場されるすべての方々が本県の魅力に触れ堪能できるきめ細かな対策を講じてまいる考えでありますが、 このような通訳とか観光案内、 これにも県民の皆様のボランティアとしての積極的なかかわり、 これを期待しているわけでありまして、 このためのいろいろ方策も講じつつあるところであります。
     なお、 ことしの技能五輪の全国大会そして全国障害者技能競技大会、 これは山口県で開催をされますけれども、 これへの本県からの参加状態を見ますと、 まず技能五輪では六年前の一九九九年  平成十一年の大会では、 本県が開催地ということもありまして百二十七人のエントリーがあったわけでありますが、 これはまあ極めて例外と考えますと、 今年の参加者四十八人と、 この平成十一年を除く各年と比べてはるかに多いですね。 そういう意味では過去最高の参加者が実現いたしました。 そして参加する範囲も、 従来からよく御協力いただいておりました各種技能士会の方々の属する分野以外に、 中小大を問わず本格的に各企業の中での技能ですね、 これを重要視した動きが出てまいりまして大変手ごたえを感じておるところであります。
     また、 障害者の技能競技大会では、 過去最高の十五名が今年山口大会に出場することになっておりまして、 二〇〇七年、 二年後の大会に向けて本県からもかなりの世界大会にですね、 参加を期待し得る状況になってきているわけであります。 こういう勢いを今後とも続けていきたいと考えております。
     次に、 荒廃森林再生に向けた森林新税の創設についてであります。
     昨年十一月、 静岡県森づくり百年の計委員会から、 森林の働きを社会全体で維持、 向上させるため、 必要な費用について幅広い県民に負担をいただくことが望ましいという御提言をいただきました。 これを受けて本県では、 他県の取り組みを調査し、 荒廃森林対策のあり方、 事業規模等について検討する一方で、 荒廃森林再生の必要性について県民の皆様への周知に努めてまいりました。
     また、 私自身も昨年の台風二十二号の被災状況を視察したときにも感じましたし、 また七月の知事選挙に際して県内をくまなく回る中で、 県内各地の森林の現状を目の当たりにして、 県民暮らし満足度日本一の実現に向けて、 森林の再生が喫緊の課題であると改めて痛感をしたところであります。
     さらに、 七月から八月にかけて、 森づくり百年の計委員会で示された新税の使い道、 負担額等のイメージを示した上で実施をいたしましたアンケート調査や森林審議会の御意見等からも、 県民の皆様の理解が相当深まってきたと判断いたしまして、 新たな税負担をお願いすることを決断したところであります。
     税の仕組みにつきましては県民税の均等割に対する超過課税を基本とし、 その使い道は森林の持つ公益的機能を高めるために荒廃した森林の整備に充てていきたいと考えております。 今後、 税率とか課税の期間などについて詳細に検討を進めて、 県民の皆様の御理解を求めながら、 平成十八年四月  来年四月からの導入に向けて十二月県議会に新税に関する条例案をお諮りしたいと考えているところであります。
     次に、 農水産業の振興についてのうち静岡茶のグローバル戦略についてであります。
     静岡茶のグローバル戦略の柱として開催してまいりました過去二回の世界お茶まつりを通じて、 お茶が持つすぐれた効能や文化性などが国際的にも注目を集めるようになりました。 お茶といいましても、 特に緑茶ですね緑茶。 そして緑茶は静岡という認識が除々に浸透してきたと考えております。
     このような流れを確実なものとするために、 二〇〇七年秋には三回目となる世界お茶まつりを開催することとし、 先ごろ実行委員会が発足したところであります。 この実行委員会の会長には、 徳川宗家御当主の徳川恒孝氏に御就任をいただくことができました。 この徳川会長のもとで多くの方々がお茶のすばらしさを実感できる、 そしてまた、 より国際的広がりを持つプログラムを検討していただいているところであります。
     また、 第一回世界お茶まつりを機に設立をした世界緑茶協会は、 インターネットによる幅広い情報発信や国際見本市への出展、 セミナーの開催など多彩な活動の積み重ねによりまして、 海外からの緑茶取引の照会やメディアの取材の増加など国際的にも認知されつつあります。 緑茶にかかわるセンターとしての役割を果たさせたいというこの世界緑茶協会、 期待が高まりつつあるところであります。
     今後ともそのような期待に十分にこたえ、 今後さらに国内外の茶業関係団体や企業などと連携した継続的な事業展開がより積極的にできるように、 この世界緑茶協会の法人化を検討しているところであります。 今後は、 この世界緑茶協会の永続的な活動に加えて今回計画している世界お茶まつりをより一層国際的に認知度の高いイベントとすることによって、 世界の緑茶の中心地静岡としての地位の確立を図ってまいる考えであります。
     その他の御質問につきましては、 関係部局長、 教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長 (大橋正己君)  古川土木部長。
            (土木部長 古川博一君登壇)
    ○土木部長 (古川博一君)  多発する豪雨災害に対する危機管理についてお答えいたします。
     近年多発する豪雨災害に対しては事業の重点化による効率的な施設整備と適切な維持管理により被害の軽減を図る必要がありますが、 常に整備水準を上回る災害が発生する可能性があることを踏まえ、 被災前に速やかに避難できる体制づくりを行うなど地域における災害対応力を強化することが重要であります。
     このため県では、 洪水及び土砂災害ハザードマップ作成の支援や土砂災害防止法に基づく警戒区域等の指定などを行うことにより、 危険区域に関する正確な情報の周知に努めているところであります。 また市町が今後作成する避難勧告等の判断基準・伝達マニュアル及び避難支援プランのため、 避難の目安となる特別警戒水位情報や気象庁と連携して進めている土砂災害警戒情報などを提供するとともに、 土砂災害の危険のない場所に避難所を設定することが困難な場合もあることから避難所を守る施設整備を推進してまいります。
     さらに、 県内を六つに分けた圏域ごとに、 国、 県、 市町から成る災害情報協議会を本年新たに設立し、 災害情報の共有化及び災害時の連携強化を図るとともに、 水防団に協力する組織として新たに認められたNPOなどによる水防協力団体の設置を促進するなど豪雨災害に対する危機管理に取り組んでまいります。
     次に、 今後の道路整備の進め方についてであります。
     県では安全で快適な暮らしの実現や地域の活性化を図るため、 第二東名自動車道を初めとする高規格幹線道路ネットワークの構築や関連道路の整備、 身近な生活道路の渋滞や交通安全対策、 緊急輸送路の耐震対策などに重点的に取り組んでいるところであります。 加えて今後は高規格幹線道路網や静岡空港の完成を見据えて、 道路と空港、 港湾、 鉄道などが効果的に連結した大交流時代にふさわしい交通体系を実現するための道路整備が課題と考えております。
     このため、 新たに広域的な交流物流拠点となる静岡空港と多目的国際ターミナルを備えた御前崎港間を連結する地域高規格道路の早期供用や、 建設が進む東駿河湾環状道路と伊豆地域の西側の玄関口である新幹線三島駅を結ぶ都市内の幹線道路網の強化を図ることとしております。 また右折レーンの新設など交差点改良により渋滞対策を進めてまいります。
     今後の道路整備の推進に当たりましては、 地元市町が取り組む地域づくりや関連道路の進捗状況などを踏まえ、 より一層整備箇所の選択と集中による事業の重点化を図るとともに国など関係機関との連携を密にして事業効果の早期発現に努めてまいります。
    ○議長 (大橋正己君)  山村都市住宅部長。
            (都市住宅部長 山村善敬君登壇)
    ○都市住宅部長 (山村善敬君)  都市公園の指定管理者制度導入についてお答えいたします。
     現在、 県では五つの県営都市公園について指定管理者の募集を行っておりますが、 指定管理者に管理運営を行わせるに当たってはそれぞれの公園が持つ設置目的の達成と公の施設としての役割を果たすことを求めております。 このため募集要項において、 高校野球や陸上、 サッカー等の各種競技の大会などが優先的に行われるように優先使用基準を守ることや地域における利活用を確保するため一定程度の一般利用枠の設定を義務づけるほか、 指定管理者の選定に当たっては地域住民やボランティアとの連携を評価するなど県民の立場に立った管理運営を行うことのできるふさわしい者を選ぶこととしております。
     また、 適切に進行管理していくために、 プラン・ドゥー・チェック・アクションのマネジメントサイクルを取り入れ、 指定管理者制度導入後、 県は提案された事業計画が実行されているかを指定管理者から定期的に報告を受けるほか、 県がみずから利用者アンケートを行うとともに、 外部評価委員会からの事業評価を受けることにより、 指定管理者を適切に指導し行政サービスの向上に努めていく考えであります。
    ○議長 (大橋正己君)  植田がんセンター局長。
            (がんセンター局長 植田勝男君登壇)
    ○がんセンター局長 (植田勝男君)  県立静岡がんセンター研究所についてお答えいたします。
     最初に研究所の戦略についてでありますが、 がんセンターにおけるがんを上手に治すなど、 三つの理念を基本に、 患者や医療者のニーズを重視した研究所として臨床支援を中心とした研究を進め、 その成果をいち早く患者さんなどに還元することとしております。 そのため、 おのおのの研究プロジェクトごとに産学官の研究機関が連携し、 優秀な人材を結集して先端的な研究に取り組んでまいります。
     次に、 現在の取り組み状況についてでありますが、 しずおか産業創造機構の研究開発助成事業や国庫補助などの外部資金を活用し、 免疫治療研究部では難治がんでありますメラノーマの新しい免疫療法に取り組むとともに、 遺伝子診療研究部では新たな腫瘍マーカーの開発など新しい診断技術の研究を進めております。 また医看工連携による共同研究では、 東京工業大学から研究員を迎え蛍光物質を利用した腫瘍マーカーの共同研究を開始しており、 東京農工大学及び早稲田大学とも本格的な共同研究のための準備を進めております。 さらに民間企業との共同研究では、 画像診断分野で国内トップレベルの企業と医療用画像診断システム開発の研究を進めるとともに、 遺伝子診断分野でアメリカ企業との共同研究を計画しているところであります。
     今後とも産学官連携等による研究に取り組み、 本県のがん医療水準の向上とファルマバレー構想の推進に努めてまいります。
    ○議長 (大橋正己君)  北村農業水産部長。
            (農業水産部長 北村正平君登壇)
    ○農業水産部長 (北村正平君)  農水産業の振興についてのうち、 海面養殖業の振興についてお答えいたします。
     養殖業は、 適正に生産管理を行うことにより一定の品質の魚を安定的に供給できる優位性があり、 これを生かした取り組みが重要であります。 このため良好な漁場環境を維持し、 持続的な生産が可能になるよう水質等のモニタリング調査や飼育管理に関する指導を実施しております。 また消費者が食に対して安全・安心を強く求めていることに対応して、 水産用医薬品の適正使用の指導などを行っているほか、 消費者を対象とした生産現場の見学会などを通じて、 安全性についてのPRを積極的に進めることとしております。
     さらに、 消費の拡大を図るため、 活魚として有望なサバなどの新たな魚種の研究開発を進めるとともに、 県内の水産物を一堂に集め首都圏のバイヤー等を招いて開催するシーフードフェアにおいても積極的な販売活動を展開してまいります。 これに加えて、 共済掛金への助成等により自然災害等の被害を軽減する経営安定対策を講ずるなど、 各種対策を総合的に実施して海面養殖業の振興に努めてまいります。
    ○議長 (大橋正己君)  山田企業局長。
            (企業局長 山田 寧君登壇)
    ○企業局長 (山田 寧君)  今後の企業局の経営についてお答えいたします。
     企業局の経営に当たりましては、 これまで経済性の発揮と公共の福祉の増進に努めてきたところでありますが、 今後はこれに加えて顧客志向の徹底とCSR、 いわゆる企業の社会的責任の確立を経営の基本理念として、 すべてのユーザーの満足度を日本一とすることを目指してまいりたいと考えております。
     このため、 より一層の経営改革と経営基盤の強化を目的に、 平成十八年度からの五年間を計画期間とする中期経営計画を今年度中に策定し公表することとしております。 この計画では、 効率的な経営を行うための中期財政収支計画や民間委託等の推進、 定員管理の適正化により経費節減などを図る集中改革プランを盛り込んでまいります。 また事業別では、 工業用水道事業と水道事業については地震、 災害、 渇水などの異常時にも安定して給水すること、 特に市町村への料金が日本一安くなった水道事業につきましては一層のコストダウンに努め引き続き日本一を維持すること、 地域振興整備事業については地価下落のリスクを回避しつつ地域の要請にこたえていく事業展開のあり方を検討することとしております。
     なお、 平成二十一年春の静岡空港の開港を初め、 大交流時代を迎える中での企業局の役割についてでありますが、 産業立地基盤等の需要に対し適切に対応できるよう関係部局や市町と連携しつつ、 積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
    ○議長 (大橋正己君)  鈴木教育長。
            (教育長 鈴木善彦君登壇)
    ○教育長 (鈴木善彦君)  教員評価制度についてお答えいたします。
     学校教育の成否は、 議員御指摘のとおりその直接の担い手である教員に負うところが大きく、 子供や保護者、 県民から信頼される学校づくりを一層推進するためには、 何よりも教員の資質向上が不可欠であります。
     教員人事管理システム研究協力者会議の最終報告で提言されました教員評価制度は、 教員の資質能力及び意欲の向上を図るとともに、 学校組織の活性化に資することを目指したものであり、 現在この提言の配布等を通して、 学校や教員に対し趣旨の徹底を図っているところであります。
     今後は新たな教員評価制度の構築に向け教育委員会内部に研究委員会を設置し、 制度の具体的内容や実施方法等について検討してまいります。 また新たな教員評価制度が適正に機能するよう提言を踏まえ、 評価者研修を実施したり平成十八年度には研究協力校で試行し、 平成十九年度には全県的に試行を実施したりするなど段階的に準備を進めてまいりたいと考えております。
    ○議長 (大橋正己君)  石警察本部長。
            (警察本部長 石和夫君登壇)
    ○警察本部長 (石和夫君)  警察行政についてのうち、 初めに警察署の再編整備計画についてお答えをいたします。
     警察署再編整備の目的は、 真に静岡県の治安回復を図り県民の皆さんの安全で安心な暮らしを確保するための基盤整備を図るものでございまして、 具体的には警察署には最低百人程度の警察官を配置することが理想であると。 また一行政区域一警察署、 あるいは広域行政圏や日常社会生活圏など一体性のある複数の行政区域を一警察署が管轄することを基本方針として検討してまいりました。
     そこでまず警察署の管轄区域の変更につきましては、 市町村合併により生じた警察署の管轄区域と行政区域とのねじれを解消し、 行政や学校、 地域住民と警察が一体となった犯罪の抑止、 交通事故の防止、 災害対策などの活動を効果的に推進するためのものでございますので、 基本的には平成十八年四月に実施してまいりたいと考えておりますけれども、 浜松市関係につきましては、 仮称浜松西警察署の新設を除きまして政令指定都市に移行する予定の平成十九年四月を目途に、 それぞれ段階的に実施してまいりたいというふうに考えております。
     次に、 警察署の新設と統廃合につきましては、 平成十三年度以降警察官六百九十五人を増員していただいておりまして、 警察署には最低百人程度の警察官を配置するのが理想であるという基準だけから言いますと、 警察署が六つ、 七つ新設されてもおかしくないわけでございますので、 警察署協議会、 あるいは静岡県警察における警察署再編整備を考える懇話会の御議論の中でも現行の二十九警察署体制にこだわって新設するからどこかを廃止するというのではなく、 できれば増設すべきであるという強い御意見もあったところでございます。
     さて、 仮称裾野警察署、 袋井警察署、 浜松西警察署の三つの警察署の新設につきましては、 早期実現の強い御要望があるところでございまして、 警察職員の人員配置はいつでもできますけれども、 警察署施設の建設には予算措置が必要でございますので、 厳しい財政状況にある中で早期の新設が実現できますよう十二分の努力をしてまいる所存でございます。
     なお、 警察署が新設されるまでの間であっても、 その地域の治安水準は低いレベルのまま放置することは許されないことでございますので、 新設予定警察署の管轄区域にあります交番への勤務員の増強配置、 あるいはパトカーや自動車警ら隊、 機動捜査隊によります警戒力の強化など、 運用面の対策を講じますとともに、 デスク部門の削減など合理化、 効率化をさらに推し進めまして、 とても十分とは言えませんけれども警察署開設までの補完体制を整えてまいりたいと考えています。
     他方、 警察署の統廃合につきましては、 懇話会の御提言も踏まえまして、 体感治安の悪化あるいは不安感の増大あるいは過疎地の切り捨てといったような誤解を招かないように地域密着型の警察活動という基本理念を堅持してまいる所存でこざいます。 したがいまして、 蒲原警察署、 森警察署、 水窪警察署の三警察署が廃止される場合でも、 幹部交番の設置、 パトカーの配置、 刑事や交通など専務員の配置、 相談業務、 運転免許更新事務など事案対応能力や警戒力の維持、 利便性の確保を図るため、 統合先警察署の分庁舎化とすることとしております。
     なお、 役場や出先機関は完全撤退しているのに分庁舎として実質的な警察署機能を残すのは合理化、 効率化に反するのではないかとか、 あるいは行政サービスの合理化が進む中で、 免許更新手続が少々不便になっても仕方がないだろうというふうに考える方もないわけではございませんけれども、 警察は静岡県内のどのような地域におきましても、 県民の皆様の生命、 身体、 財産の安全を守るために二十四時間、 三百六十五日活動しなければならないわけでございまして、 重大事故事件、 大規模災害が発生したときに警察署が廃止され本署から遠くなったのでこれまでのようにはいきません。 しばらく我慢してくださいというわけにはまいりませんので、 また都合約二百五十万人の県民の方々が自動車運転免許を保有しているという中で、 県民生活に密着した行政サービスを低下させることもできないわけでございます。
     いずれにいたしましても県民の皆さんの御意見、 御要望を踏まえました上で、 最終調整を図りまして警察署再編整備計画を成案化して、 遅くとも十一月末までには公表いたす予定でございますので御理解いただきたいと存じます。
     次に、 警察官の能力向上についてお答えをいたします。
     まず、 新規採用された警察官につきましては、 警察学校において実務的教養を充実させることによりまして早期戦力化を図っておりますほか、 警察学校卒業後配属される警察署の地域警察部門に本年夏から警部補、 巡査部長に昇任した若くてやる気のある優秀な人材を集中配置いたしまして、 その指導教養に当たらせております。
     この制度は地域警察部門では年齢構成の偏りが特に目立ちまして、 五十代、 二十代と比べまして三十代前半から四十代前半の中堅層が極端に少ない、 いわゆるおやじはいても兄貴分がいないというような構造でございまして、 若手警察官を指導教養し職務執行能力を向上させる上で支障が生じておりましたこと、 また今後大量退職、 大量採用が続き働き盛りの指導者がいなくなってしまうことに対処することが目的でございますけれども、 あわせて刑法犯検挙人員の九〇%強を検挙しております地域警察部門をさらに一層強化して犯罪抑止力を向上させるための措置でもございます。
    また、 専務係に登用された若い警察官につきましては、 専門的な知識、 技能の修得を目的とした専科教養を実施しているところでございますけれども、 犯罪の組織化、 国際化、 広域化、 また科学技術の急速な発展や情報化社会の著しい進展とこれに伴う新型犯罪の出現などに対処するための専科教養では、 かえって若い警察官の方が教養効果が高いというところでございます。
     さらに、 伝承教養という観点から申し上げますと神様とかその道のプロとか言われる高度な専門的知識あるいは技能を有する警察職員がおりますので、 これを技能指導官あるいは技能指導員に指定いたしまして、 現場における個別の指導教養や学校などにおける集合教養に当たらせております。
     また、 現場の第一線におきましても師匠と弟子の関係をつくり職人芸を伝えるために、 ベテランと若手にペアを組ませ日常的・計画的な同行指導を行わせ、 ベテランが持つ知識、 技能を若手が実践的に体得できるような育成方法もとっているところでございます。
     このほかにも交番相談員や生活安全相談員の多くは長年にわたり警察官として活躍してきた者でございますので、 若い警察官が各種の貴重な教えを受けられるという副次的効果もございますし、 また平成十九年度からは再任用制度を活用いたしまして、 専門的、 職人的な知識、 技能を有する人材を警察組織にとどめまして若い警察官の育成にも当たらせたいと考えております。
     ところで静岡県警察の運営指針というのは、 県民の期待と信頼にこたえる警察でございまして、 副題として 「正・強・仁」、 つまり警察職員は正しく、 悪に対しては強く、 県民に対しては思いやりを持った職務執行に努めるということを掲げておりますが、 これを単なる学校や職場における教養というだけではなく一人一人の警察職員がこの 「正・強・仁」 を体現できるような職務執行に努めてまいる所存でございますので、 御理解のほどお願いをしたいと存じます。
    ○議長 (大橋正己君)  これで杉山盛雄君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

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