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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成27年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

佐野 愛子 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/18/2015

会派名:

ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                     
 (1) 平成二十七年度当初予算編成                  
 (2) 人口減少社会への挑戦                     
  ア 人口減少対策                        
  イ 少子化対策                         
2 憧れを呼ぶ地域づくりについて                  
 (1) 内陸のフロンティアを拓く取り組み               
 (2) 再生可能エネルギーの導入促進                 
 (3) 静岡県観光振興条例の理念の実現                
 (4) 富士山静岡空港の多様な活用                  
 (5) 地域と連携した芸術文化の普及                 
 (6) 農山村の振興                         
3 新産業の創出について                      
4 安心と安全な地域社会の実現について               
 (1) 介護人材の確保対策                      
 (2) 静岡県における感染症対策                   
 (3) 津波対策における防潮堤整備                  
5 女性の活躍促進について                     
 (1) あらゆる分野における女性の活躍促進              
 (2) 女性警察官が働き続けることができる環境整備          
6 地域とともに進める教育について                 
 (1) 生活困窮家庭の子供への支援                  
 (2) 小中一貫教育                         
 (3) コミュニティスクール


○副議長(伊藤育子君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十九番 佐野愛子さん。
       (三十九番 佐野愛子君登壇 拍手)
○三十九番(佐野愛子君) 今、まさに地方の時代。静岡型地方創生推進という見出しで来年度予算が紹介されていました。本県も憧れを呼ぶ地域の創生を目指して新たなスタートを切るために、地域をキーワードにいたしまして、ふじのくに県議団を代表して知事、関係部局長、教育長並びに警察本部長に一括質問方式で質問いたします。
 初めに、知事の政治姿勢についてのうち、平成二十七年度当初予算編成について伺います。
 平成二十七年は、県にとってラグビーワールドカップやサミットの本県開催の可能性、さらに二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを契機とした新幹線新駅の設置促進に向けた準備や交流人口の拡大など希望に燃える幕あけとなりました。一方で、平成二十七年度の経済成長率は個人消費などの民間需要主導による景気回復が見込まれ実質経済成長率は一・五%の増加が見込まれておりますが、依然として景気の先行きは不透明感も漂っており決して楽観視することはできません。昨年十二月に県が公表した部局調整案の提出時点の収支見通しでは、財源不足額が四百億円を超えておりました。景気の見通しも立たない中で大変苦労をされた予算編成作業になったことと思います。
 平成二十七年度は、知事が十二月議会で述べられたように総合計画後期アクションプランの折り返し地点であります。定めた目標を前倒しで達成するための大切な一年になると考えております。
 我が会派は、昨年十二月に平成二十七年度当初予算編成に対して財政の健全性を堅持しつつ、ふじのくにづくりの総仕上げに向けて、会派の政策理念である「命」「豊」「人」「礎」に基づいて、安全・安心な社会づくり、地域経済対策と雇用の創造、教育環境の充実、将来を見据えた行財政改革の推進など七つの重点政策と施策を提言したところであります。
 そこで知事は、我が会派の要望をどのように反映し後期アクションプランの折り返し点となる予算編成にどのように取り組まれたのか伺います。
 次に、人口減少社会への挑戦についてのうち、本県の最大の課題である人口減少対策について伺います。
 先日の、静岡県の人口流出は国内ワースト二位という新聞の大きな見出しは昨年に引き続き大きな衝撃でした。本県は首都圏からも近く、気候も温暖、食べ物も豊富。「住んでよし 訪れてよし」の理想のふじのくにであったはずです。最大限の危機感を持って早急の対応をしていかなければなりません。沼津市で開かれたストップ少子化・地方元気戦略において日本創成会議人口減少問題検討分科会座長である増田寛也氏は、「このまま対策を講じなければ、県内の人口は、二〇四〇年代までには現在より約七十五万人少ない二百九十万人台まで減る」という推計値を示し、「人口減を防ぐには、県民全体が危機感を共有し、若い人に出産の喜びを感じてもらい、地域に学ぶ場や働く場をつくることが大事である」と話されました。確かに、大学進学等で首都圏に出た若者がそのまま流出してしまう人材供給県から脱却し、県内雇用を確保して働く世代を呼び込むなど官民挙げての取り組みが求められます。特に若い女性に魅力がある職場づくりやワーク・ライフ・バランスの実現は欠かせません。さらに子育てを社会全体で応援する体制をつくり、合計特殊出生率を回復に導くことや移住・定住を促進して中高年層も呼び込むことも必要です。
 本県でも、昨年十二月二十五日に人口減少問題に関する有識者会議の鬼頭座長から知事に提言が提出されました。この提言では、人口減少対策だけでなく人口減少していく社会のもとでもいかに生産性を向上していくか、ライフスタイルの変革への適応、地域社会の活性化なども提案しています。
 県は、この最大の課題である人口減少対策に対してどのような施策を構築し推進していくのか、知事の所見を伺います。
 次に、少子化対策について伺います。
 先ほどの日本創成会議は昨年、大都市への人口流出が続けば、二〇四〇年までに全国の自治体の半数に当たる八百九十六都市で二十から三十九歳の女性数が半数以下になり消滅可能性都市の危機に瀕するとのショッキングな推計を発表しました。女性は産む道具というわけではありませんが、合計特殊出生率を上げていかないことには少子化の歯どめはかかりません。本県は平成二十五年、一・五三と多少の回復の兆しを見せてはいるものの、社会総がかりで子育てを応援することが具体的に示されないことにはいくら年ごろの女性であっても子供を産む気にはなれません。例えばフィンランドではネウボラというシステムがあり、妊娠六カ月ぐらいになると箱いっぱいの育児用品が支給され出産後の当面の必要なものは賄うことができます。それだけでなく地域のセンターで切れ目のない相談や指導をするシステムが整っています。それに比べ日本では最近、公園や保育園の子供の声が騒音であるという訴訟がされたという記事を見ましたが、子供の歓声は地域の活力というような見方ができないものかと少し残念に思いました。妊娠や出産にかかわる不安を解消すること、また保育や子育てへの充実した対応など少子化対策は多岐にわたっています。
 さらに、順序が少し逆になりますが、まず若者が結婚して家庭を持つことから応援しなければなりません。これについてはそれぞれの価値観や生き方にまで触れることになり、行政がどこまで踏み込むか問題があります。雇用が安定しそれなりの収入がないことには結婚、出産にたどり着くこともできません。
 さまざまな少子化対策が課題となって枚挙にいとまがありませんが、知事は少子化対策としてどんな対策を講じ推進していくおつもりなのか伺います。
次に、憧れを呼ぶ地域づくりについてのうち、内陸のフロンティアを拓く取り組みについて伺います。
 これまで、地方を元気にするためにさまざまな地域振興策がとられてきました。人口減少と高齢化が同時に進行する今日、幸せに暮らしていける地域とはどのような地域なのか一人一人が考えるべき時期に来ているのではないでしょうか。県が進めている防災・減災と地域成長の両立を目指す内陸のフロンティアを拓く取り組みは、地域の特性を生かした安全・安心で魅力ある地域づくりを全国に先駆けて推進するものであり、大いに期待しているところであります。
 今年度、この取り組みの拡大を図るため、県では内陸フロンティア推進区域制度を創設し、これまでに十七市町三十七区域の指定がなされました。このうち磐田市や富士市、御殿場市等の新東名高速道路インターチェンジ周辺地域では工業用地の整備が進み、進出企業が決定するなど順調に進んでいます。
 しかしながら、内陸のフロンティアを拓く取り組みはそれだけでなく、県民の暮らしをより豊かにしていくために、例えば広々とした自然に囲まれてスローライフを楽しむなどさまざまな取り組みがあると思います。今後県はどのように内陸のフロンティアを拓く取り組みを進めていくのか伺います。
 次に、再生可能エネルギーの導入促進について伺います。
 国内の原子力発電所が全て停止している現在、電力の安定確保は喫緊の課題です。LNGや石油での発電でしのいでいますが、地球温暖化による異常気象は全ての生態系に影響を与えています。再生可能エネルギーの開発を急がなければなりません。本県における新エネルギー等の導入率は平成二十一年度に五・九%であったものが平成二十五年度末時点では七・八%に増加しています。総合計画後期アクションプランに掲げる平成二十九年度に一〇%の目標達成に向け、全体として着実に推移しているものと評価しています。しかしながら新エネルギー等の増加は太陽光発電に負うことが非常に大きく、バイオマス、小水力等ではあまり伸びていない状況が見られます。
 経済産業省が公表しているデータによれば、固定価格買い取り制度導入後設備認定を受け新たに設置された発電設備のうち、太陽光が占める割合は国内全体で九七%を占めています。本県は太陽だけでなく水、森林、温泉など豊かな自然資源に恵まれており、これらを生かしエネルギーとして利用する取り組みを進めていくことが大切であると考えます。国においても、太陽光発電に偏ることなく再生可能エネルギーがバランスよく導入されるよう固定価格買い取り制度の運用の見直し等を行うこととしています。
 本県においても、小水力やバイオマスの活用を進め再生可能エネルギーの導入をより一層促進していくべきと考えますが、県の取り組みについて伺います。
 次に、静岡県観光振興条例の理念の実現について伺います。
 昨年の九月議会において、我が会派提案の静岡県観光振興条例が制定されました。その条例の前文には次のような一節がうたわれています。「世界文化遺産登録を契機に、私たちはあらためて富士山と日本文化のすばらしさに気づき、郷土の誇りとして、これらを後世に継承していかなくてはならないことを再確認しました。私たちは、恵まれた観光資源の魅力をさらに磨き上げるとともに、観光の振興の意義を理解し、お客様をおもてなしの心をもって温かく迎え入れる意識を育まなくてはなりません」とあります。
 私どもは、条例作成に当たって観光の語源にこだわりました。「光を観る」と書きますが、その語源とは中国易経にある「国の光を観る もって王の賓たるに用いるによろし」から来ていると言われています。国民が幸せに輝いて生活している様子を感じとることができれば、その王に仕えるのにふさわしいという意味だそうです。この語源からしてふじのくにの県民が輝いているかどうか、訪れたお客様は微妙に感じとっていると思います。風光明媚な景色も観光資源ではありますが、お客様はふじのくにで体感した景色やおもてなしのイメージを全て包括して、いいところだった、また行きたいという感想につながるのです。
 東京オリンピック・パラリンピック、ラグビーワールドカップなどの開催により今後国内外から多くの観光客の来訪が見込まれています。その皆様に本物のふじのくにの輝きを見ていただくために、ただ通り過ぎるのではなく、ふじのくにのよさを生かした体験や触れ合いなど光を共有する機会をつくらなければなりません。観光業者、地域の幅広い関係者、さらに一般県民も心を一つにして新しい産業である観光振興に立ち向かっていくことが必要です。観光振興条例の理念の実現に向けて、今後県は観光戦略をどのように展開していくのか伺います。
 次に、富士山静岡空港の多様な活用について伺います。
 富士山静岡空港は開港から五年が過ぎ、台湾便や中国武漢、天津など多くの定期便の就航が広がり、利用者の拡大とにぎわいづくりがなされています。私も空港周辺の地元として富士山静岡空港の便利さをあらゆるところで広報していますが、実際に利用してみないとその便利さが伝わらないもどかしさも感じています。高校生や中学生の修学旅行で富士山静岡空港を利用する学校がありますが大変よい方策であると考えます。子供が利用することで保護者にも静岡空港の存在を意識してもらうことができますし、何といっても県の将来を担う子供たちにとって空港が身近なものになることは大きなメリットです。これまで遠い世界だと思っていた異国に行くことができるという体験は積極的に国際化への対応ができるグローバル人材の育成につながるものであります。また静岡という県土を空から眺めるという経験も貴重なものとなるでしょう。しかしながら学校の規模によっては静岡空港の便では一度に対応できない場合が多く、実際には現場の対応に苦慮しています。
 このような課題を克服し、可能な限りの支援を行うなど積極的に修学旅行における静岡空港利用のPRを進めるべきであると考えますが、県の取り組みを伺います。
 また、昨年整備された格納庫を生かしビジネスジェット機を誘致し、国内外の個人所有者の拠点としていけば、首都圏などからの利用が見込まれると考えます。さらに県内観光地とヘリコプターで結ぶという試験をしたということも伺いましたが、ヘリコプターや小型機の遊覧なども魅力です。
 県民にとって空、飛行機、空港は憧れであり、その思いをかなえるのも富士山静岡空港の大きな役割であると考えますが、空港を多様に活用するための県の取り組みを伺います。
 次に、地域と連携した芸術文化の普及について伺います。
 これまで、文化においても東京への一極集中、都会に行かなければ一流の芸術作品は鑑賞できないというのが常識でした。しかし今や地方の時代。特に我が県はグランシップやSPAC、県立美術館を中心に特色のある地方発の芸術文化の発信をしてきたと評価しています。さらに子供たちが本物の芸術文化に出会い感動や驚きといった刺激を受けることは、感性の豊かな人材を育て想像力を育むことにつながります。県内の中高生に対して芸術鑑賞事業に招待し、県やSPACがバス代を支援しており大変意義ある取り組みです。本年度は工事に伴う休館期間中、従来は館内で開催していた催事を、これまでなじみの薄かった県東西部地域を中心に館外公演として実施し多くの観客を集めたと聞いています。SPACは宮城芸術監督の理念のもと野外芸術フェスタの開催を初め率先して地域との連携を進めていますが、グランシップにおいても休館期間だけではなく地域との連携を積極的に図り、県内隅々にまで芸術文化を浸透させ、さらに地域の文化を掘り起こすことまでできたらこれこそグランシップの存在価値を示すことができるというものであります。
 地域と連携した芸術文化の普及に向けて、県はどのように取り組んでいくのか伺います。
次に、農山村の振興について伺います。
 本県の農業は、長引く茶業の低迷、とりわけ今年度の低価格は茶農家にとって徹底的なダメージとなりました。それに加えことしは米価も低く、このままでは後継者が育たないどころか農業に見切りをつけ、これまで大切に耕してきた農地を見捨てて耕作放棄地にしてしまう農家もふえてきます。農地は言うまでもなく、産業面の機能だけではなく環境的にも大きな役割を担っています。保水作用やCO2の吸収、そして景観的にも見る者の心を癒やし、きれいに手を入れられた田んぼや茶園は観光の目玉ともなっています。
 県は、これまで農山村の振興のために、ふじのくに美農里プロジェクトや一社一村しずおか運動の取り組みなどさまざまな施策を打ってきました。農家だけでなく、そこに住まう者や企業、市民が力を合わせての協働の取り組みが必要になってきます。現在進めているふじのくに美しく品格のある邑づくりの取り組みは、そんな農山漁村の村おこしを推奨する意義ある制度であると考えます。単に美しいだけではなく経済的生産性も確保しないことには持続可能な発展にはつながりません。これまでに登録された八十四カ所の邑は、地域の特色を生かした創造的な取り組みや外部への発信を進めている地域です。
 今後も、里山資本主義と言われるように里山にはすばらしい資源があることに気づき、地域が活性化しコミュニティーが広がっていくような施策を推し進めることが必要であると考えますが、県の取り組みを伺います。
 新産業の創出について伺います。
 LEDの開発で昨年ノーベル物理学賞を受賞した天野浩名古屋大学教授が先月、川勝知事から県民栄誉賞を授与されました。その際のコメントで天野教授は、LEDの仕事をシーズにして――種ですね、新たな産業をこの地で育てていきたいと述べ、県内企業とともにレーザーやトランジスタの開発に取り組んでいく考えを示されました。
 教授の出生地である県西部は、言うまでもなく自動車やオートバイ産業が盛んな地域です。今後の電気自動車や燃料電池車になることを見越して高性能、高効率なパワートランジスタをつくっていくなど地域の企業と一緒に開発研究を進めていく構想も熱く語られました。これまでは海外から原料を輸入し国内で付加価値をつけた工業製品に加工して輸出するという、ものづくり県としての存在価値がありました。しかしこれまでの円高等の影響で、県内企業は原料調達を含め全ての工程を海外で製造するようにシフトを移しています。まさに県内企業は空洞化、このまま手をこまねいていたのでは雇用も経済成長も危機に瀕してしまいます。現に昨年十二月の月例経済報告でも本県の経済の動きは全国に及ばず、県内企業短期経済観測調査でも製造業は全国を下回っており厳しい情勢が続いています。天野教授からいただいた示唆を活用して我が県も成長産業を積極的に取り入れ、ほかではまねのできない技術や産業の革新に取り組んでいかなければなりません。
 今後県では、新産業創出の取り組みをどのように進めていくのか伺います。
 次に、安心と安全な地域社会の実現についてのうち、介護人材の確保対策について伺います。
 介護保険制度が始まって十五年、多くの国民がその制度の恩恵にあずかり安心した老後生活が送られるようになりました。しかしお年寄りを世話する介護職員の人材確保と待遇改善については大きな課題として挙げられ、なかなか改善の兆しが見えない現状です。開設時に比べ要介護者はほぼ三倍とふえ続け、県でも新設の施設は平成二十五、二十六年度だけでも百四十六施設、介護職員の新規雇用者は三千百五十六人が必要となっています。しかしながら介護職員の離職率は一般企業と比較して六ポイントも高くなっており、やめた理由としては、経営の理念や運営に不満二五%、人間関係二四・七%、収入が少ない二三・五%、心身不調二二%など事業所経営者のマネジメント不足、待遇や労働環境に原因が多くあると思われます。賃金は全産業との比較で月額十万円少ないという平均が出ています。県ではキャリアパス制度の導入を推進し、セミナーの開催やモデルとなる給料表基準例を示すなどして事業所への指導を進めていると伺っていますが、さらに推し進める必要があります。
 国でも、介護報酬は二・二七%引き下げられる中、介護職員の賃金を月額一万二千円アップする予算を打ち出しましたが、確実な実行をするかどうか注視が必要です。それだけでなく介護人材確保のためには介護職の社会的地位を高めることが第一です。事業所がしっかりとした理念を持ち働く職員が喜びを持つことができるような経営をすることで利用者のサービス向上にもつながり、社会全体が変わってくると考えます。
 まだまだ歴史が浅く、専門性やスキルアップのシステムが確立していない介護職員に対して、県は第七次静岡県長寿者保健福祉計画において介護職員の確保対策に対してどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、静岡県における感染症対策について伺います。
 今シーズンはインフルエンザの流行が例年と比較して二、三週間早く、インフルエンザの流行状況を示す定点医療機関当たりの報告数は五十・八人まで達し、ここ十年間で最も大きな流行となっています。昨年末、静岡済生会病院で起きたインフルエンザの院内感染では医療関係者を中心に発症者が百八十人を超え、一部救急搬送の受け入れを中止するなど病院全体の機能にまで影響をする事態となりました。一方で、昨年は主に熱帯地方で流行するデング熱が東京の代々木公園を中心に七十年ぶりの国内感染例が発表されたほか、西アフリカで流行しているエボラ出血熱の国内感染が危惧されるなど県民にとってなじみの薄い感染症が広く認知された年でした。
 先日、平成二十六年の一年間に日本を訪れた外国人旅行者が過去最高となり千三百万人を超えたとの報告もありました。静岡県にも今後外国人旅行者の増加が見込まれます。交流人口の増加は地域経済の活性化に大きく貢献する一方で海外から感染症を持ち込まれる危険性が高まるという側面もあります。感染症と一口で言っても、インフルエンザからエボラ出血熱のようにその感染対策はそれぞれの状況に合った取り組みが求められます。
 そこで、県民の安全・安心を実現していくため、今後感染症に対してどのように取り組んでいくのか、県の方針を伺います。
 次に、津波対策における防潮堤整備について伺います。
 東日本大震災の発生や、その後の国による南海トラフ巨大大地震の想定は、地震や津波による甚大な被害が予想される本県にとって大きな衝撃を与えました。これを受け県は平成二十五年六月に第四次地震被害想定を公表し、あわせてその被害に対する方策を地震・津波対策アクションプログラム二〇一三として策定、公表し今後の津波対策の目標を示しました。
 アクションプログラムでは、レベルワンを超える津波に対しては防災林のかさ上げなどにより植生を大事にした静岡モデルの整備を推進することとしています。市町との協働でこのような取り組みを進めていることに大きな期待を寄せています。
 一方、これらの施設整備の進捗状況としては、浜松市を初めとする県西部地域においては静岡モデルが防潮堤の建設という目に見える形で着実に進んでいるものの、東部や伊豆半島地域などにおいては具体的な取り組みが明らかになっていないこともあり、施設整備がおくれているという印象を持つ人も少なくありません。また伊豆半島の海岸は漁業や観光などに広く利用され良好な景観形成の役割も担っているなど住民の生活と深く密接にかかわっているだけに、このような地域において津波対策を進めるには十分議論することが必要でありますが、いつ来てもおかしくない津波に対して一刻も早く地域における津波対策の方針を決定し施設整備を進める必要があると考えます。
 そこで県は、津波対策の防潮堤整備について今後どのように取り組み進めていく予定なのか所見を伺います。
 次に、女性の活躍促進についてのうち、あらゆる分野における女性の活躍促進について伺います。
 さきの十二月、男女議連で富士市にあるジヤトコ株式会社を視察しました。ジヤトコは社長みずからがダイバーシティーという理念を打ち出し、推進しています。ダイバーシティーとは、性別や国籍、学歴などの属性にとらわれることなく多様な人材を組織に受け入れることで新しい価値を創造していくという考え方です。これこそ膠着した価値観から脱却し現在の日本経済の低迷や労働力不足を打ち破っていく戦略であると言えます。ジヤトコではワーク・ライフ・バランス実現のために充実した育児休業制度や時間短縮勤務制度を整備したことによって、三交代の製造ラインで働く女性もやめないで働き続ける方がふえているということです。さらに女性管理職比率、新卒採用における女性の比率、外国人社員数など具体的な目標を設定しています。
 女性が輝く社会や女性活躍推進は、政府の重点課題として最近よく耳にします。二〇二〇年までに指導的地位に占める女性の割合三〇%というかけ声が勇ましく聞こえますが、現在の日本の状況といえば、世界経済フォーラム発表男女格差報告二〇一四年度版では調査対象百四十二カ国中百四位で依然として下位にとどまっているという状況です。学校教育の場では男子も女子も性別に関係なく能力を発揮して活躍しています。男女平等教育で育った若者が企業にも地域社会にも進出してくるときです。ロールモデルになるような頼もしい女性リーダーを多く登用してその成果を上げるようになれば、組織も社会も認めてくるはずです。現にさきのジヤトコの例からもわかるように経営者や男性の意識向上もかなめです。企業や団体、市町などあらゆる主体が連携して取り組みを進めていかなければなりません。
 県全体の機運を醸成していくために、県はどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、女性警察官が働き続けることができる環境整備について伺います。
 県では、二十七人の警察官の増員が決まり全体の定数は六千百四十二人となりました。警察の仕事は多岐にわたっていることから増員は不可欠だとは思います。今後の治安対策により万全を期していただくことを強く要望いたします。
 さて県警では、平成三十三年までに警察官のおおむね一〇%を女性警察官にする方針であると伺いました。女性の管理職三〇%という女性活躍推進の目標とは開きがありますが、今後女性警察官の採用とさまざまな分野への登用が推進されていくものと期待しています。現在は五百人余りの女性警察官がおり、本部企画部門を初め捜査部門などで活躍されています。藤枝警察署の三原博美副署長は県内初の女性警視、副署長など彼女の行くところには初がついて回っていますが、大変活躍されています。警察官は採用後、男女の区別なく同じカリキュラムで訓練を受け昇級試験や賃金においても同等、実力主義であります。しかしながら育児や介護等の事情がある女性警察官にとっては夜勤や緊急の呼び出しなどがある任務は負担が多く、退職せざるを得ない方々も多いと思います。治安の対象となる県民は老若男女さまざま。警察官も偏った性別や年齢構成だけではなく、ベテランの経験を積んだおばさん刑事がたくさんいてもおかしくないはずです。計画的な人員確保や仕事と家庭を両立するための環境整備が必要です。警察の職種の特殊性のため、休暇を補うために非常勤の警察官というわけにはいかないとは思いますが、兵庫県や茨城県など全国八県の警察では結婚や出産などで退職した女性警察官の再採用制度を取り入れている県もあるようです。
 そこで、女性の活躍をより促進する観点から、県警では女性警察官として働き続けることができる環境をどのように整備しているのか警察本部長に伺います。
 次に、地域とともに進める教育についてのうち、生活困窮家庭の子供への支援について伺います。
 全ての子供に生きる権利、守られる権利、育つ権利を保障する国連子どもの権利条約を日本が批准して二十年が過ぎました。しかしながら子供をめぐる現状は厳しいものがあります。どの子も親の経済状況にかかわりなく将来を切り開いていってほしいという願いを持ちながら、現状は貧困家庭の子供は成長した後も経済的に困窮しやすいという負の連鎖は断ち切りにくいという報告もあります。
 少し話は飛びますが、ピケティの「二十一世紀の資本」という経済書が全世界で話題になっています。ピケティの理論とは経済成長率は半永久的に資本収益率を上回ることができないというものです。富裕層は資本の一部を再投資するだけで労働者の賃金以上に富をふやしていくことができる。持てる者と持たざる者の差はますます開いていくばかりなのです。未来ある子供たちのスタートは誰も平等であってほしいという願いは、どうやら難しいらしいのです。
 日本の子供の貧困率は過去最悪の一六・三%に達し、とりわけシングルマザー等の世帯の貧困率は五四・六%に上ります。進学を断念したり部活や修学旅行に参加できなかったりするだけでなく、満足に朝食もとってこないため学校給食だけが栄養補給の場になっているという実態も聞きます。お弁当の日などにはコンビニで買える子はまだいいほうで、戦前のようにこっそり抜け出す子がいるというのです。とりわけ学力の不振にも陥りやすく進学に向けて塾などに通うこともできません。学級担任や学校だけでは対応したくてもなかなか十分な指導ができないのが現状です。
 生活困窮家庭の子供たちを学校だけに任せるのではなく、社会全体で支える体制を構築し全ての子供が能力を発揮できるようにするためには、県はどのような取り組みをしていくつもりなのか伺います。
 次に、小中一貫教育について伺います。
 文科省は、一学年一クラス以下の小中学校の統廃合を推進する方針を示しました。少子化が進む中、避けて通れない課題であることは事実です。しかしながら学校は地域の核、情報の発信や交流の場であり災害時には避難所としての機能もあります。地域の意見に配慮して将来を見据えて進めていくことが求められます。
 そのような課題が浮き彫りにされる中、地域で小中一貫教育を進めるという答申が中央教育審議会から出されました。今後の法改正により二〇一六年度から正式導入される見通しです。静岡県においても平成二十四年度から取り組み始め、既に沼津市立静浦小中、浜松市立引佐北部小中、浜松庄内学園の一貫校が三校あり先進的な取り組みを行っています。学年の区切りを新たに六・三制から四・三・二と改めたり小学校から教科担任制を取り入れたりしており、中一ギャップなどもなく中学生が今まで以上に落ちついて生活できるようになるなど生徒指導面での成果もあらわれているとの報告も伺いました。また東京品川区の区立日野学園では、地域ならではの特性や専門性を生かしたカリキュラムを組み立ててブランド化を図ることにより、入学希望者が殺到して例年抽選を実施しているということです。もちろん転出入への対応や教職員の負担など課題も多くあります。一番大切なことは、子供本位で考え地域とともに進めていくことであると思います。
 私は、県教育委員会として、国の制度改正に先駆け先進例の成果と課題を踏まえた上で小中一貫教育の推進に努めるべきではないかと考えますが、県内における小中一貫教育の現状と今後の県教育委員会の取り組みについて、教育長に所見を伺います。
 次に、コミュニティスクールについて伺います。
 学校は地域の核、地域の子は地域で育てるという考えのもと、コミュニティスクールへの関心と必要感が高まっています。県教育委員会では、地域とともにある学校づくり検討会を五回開催いたしました。地域の力を教育に生かすことで、子供たちに学問、スポーツ、文化芸術の三つをバランスよく育てることができれば本当にありがたいことです。また地域の方々が適切にかかわることにより教職員の負担軽減につながれば、なおありがたいです。実際私は現場の教職員に対して、多岐にわたる学校の仕事の中で教員でなければできないことと、ほかの方に任せられることを調査しました。すると校舎管理や事務的作業など地域の方々の手をお借りしたら随分助かるという仕事がたくさんありました。また学校は、地域のコミュニティーや生涯学習の場として学校施設や人材を生かすことも考えられ、まさにお互いにとってよい関係が構築できそうです。
 検討委員会の協議を今後どのように生かしていくのか、教育長の所見をお伺いします。
 また、来年度、しずおか型コミュニティスクールの導入促進に向けて、学校と地域をつなぐ業務を担うコミュニティスクールディレクターの配置を決めたとのことです。
 そこで県は、コミュニティスクールディレクターの配置とともに、県内の小中学校にある学校評議員や学校支援地域本部等既存の組織を生かし、本県の地域とともにある学校づくりを実現するために各市町をどのよう支援していくのか、教育長の所見を伺います。以上、答弁を求めます。(拍手)
○副議長(伊藤育子君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 佐野議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、平成二十七年度当初予算編成についてであります。
 平成二十七年度は、後期アクションプランの折り返し地点を迎えることから、計画の実現をより確実なものとするため、当初予算を平成二十六年度二月補正予算と一体的に編成し、ふじのくにづくりの総仕上げに向けた八つの重点取り組みを積極的に推進する、さまざまな施策を盛り込みました。
 ふじのくに県議団からいただきました、「命」「豊」「人」「礎」の四つの大きな政策理念からなる御要望にも十分にお応えすることのできる予算となったと考えています。
 一つ目の「命」につきましては、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づき、静岡方式すなわち地域の御意見を取り入れながら市町と協働して津波対策等に取り組むという静岡方式によりまして、着実に地震・津波対策が推進されております。また富士山の噴火に備えた避難ルートの検討や避難シェルター設置場所の調査を進めまして、周辺住民また登山者の安全確保を図ります。また在宅医療、訪問介護サービスなど地域における医療・介護サービス提供体制を拡充するほか、来年度から始まる子ども・子育て支援新制度に対応し保育所や認定こども園の整備なども進めます。
 二つ目の「豊」についてでありますが、本県の経済回復を確実なものとするため官民一体でつくり上げた産業成長戦略会議の御提言をもとに、県内企業のニーズに対応した人材確保と大学生のU・Iターン就職を促進するほか、東京都内にふじのくにに住みかえるセンターを開設しまして移住・定住政策にも力を入れます。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に合わせ富士山静岡空港新幹線新駅を設置するための調査や、ロンドンオリンピックでのカルチュラル・オリンピアードの成功に倣いまして本県の文化的魅力を発信する文化プログラム構築のための体制づくりも進め、交流人口の拡大を図ろうと考えています。
 三つ目の「人」につきましては、静岡式三十五人学級編制の全学年での実施を堅持しつつ、学び方支援非常勤講師などを配置し先生が生徒さんと向き合う時間を確保してまいります。また地域とともにある学校づくりを目指してコミュニティスクールの導入、学校支援地域本部の設置の促進、部活動における外部人材の活用を一層充実いたしまして、社会総がかりで多彩な人材を生む学びの場づくりを進めてまいります。
 四つ目、「礎」についてであります。予算編成の過程で徹底した事業の見直しを行い、投資的経費の重点化による歳出のスリム化や未利用財産の売却などによる歳入確保に努めた結果、翌年度以降活用可能な基金につきましては、当初予算編成前に目標としていた三百億円を優に上回る三百五十五億円を確保いたしました。こうした取り組みを通じまして、富国有徳の理想郷ふじのくにの早期実現に向けオール県庁で全力を尽くしてまいります。
 次に、人口減少社会への挑戦についてであります。
 人口減少対策についてですけれども、本県は国に先駆けて有識者会議を立ち上げました。その会議の御提言を踏まえ県として直ちに取り組むべき対策を取りまとめ、二月補正予算案及び来年度当初予算案に盛り込んだところでございます。人口減少は自然減と社会減から成ります。この人口減少の抑制戦略と人口が減少しても快適で安全な生活を維持できる人口減少社会への適応戦略、抑制戦略と適応戦略の両面から構築する施策を迅速かつ着実に推進してまいります。
 自然減に対する政策におきましては、子育てはとうとい仕事であるという理念に基づきまして子育てが社会的に評価される仕組みづくりを推進するとともに、企業が従業員の結婚を応援する仕組みの模索、またそれの構築、不妊治療の支援の充実や産科医療施設等の開設支援、待機児童ゼロを目指した保育所等の整備促進、仕事と子育てを両立する就業環境の整備など結婚から出産、子育てまで安心して子供を産み育てられる切れ目のない支援を行い、合計特殊出生率二の、「生んでよし 育ててよし」の地域を目指してまいります。
 また、社会減対策におきましては官民一体となって取り組む産業成長戦略の推進や都市部のUIJターンの希望者の就業支援、女性が活躍する社会の実現に向けた取り組みの推進、移住・定住を促進するふじのくにに住みかえるセンターの開設など、東京一極集中に歯どめをかけ本県に人の流れを呼び込む取り組みを強力に推進してまいります。さらに持続可能な分散自立型のエネルギー社会の形成やライフスタイルの変化に対応するゆとりある暮らし空間の創出、行政運営の効率化や最適化など本格化する人口減少社会を見据えた適応戦略を推進していかねばなりません。またこれらの戦略の基盤となる安全で安心して生活できる地域の形成に向けまして、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三や防災・減災と地域成長の両立を目指す内陸のフロンティアを拓く取り組みの着実な推進を図ります。
 今後、県内の各界各層の代表者で構成する静岡県まち・ひと・しごと創生県民会議――目下のところこれは仮称でございますが――さらに地域会議におきまして幅広く御意見を伺うとともに、県議会の皆様による御審議を仰ぎながら、地域の特色を最大限に生かした施策の一層の充実を図り、市町の皆様とも連携して人口減少克服に向けて全力で取り組んでまいります。
 次に、少子化対策についてであります。
 少子化対策の推進には、子供と子育て家庭を社会全体で支援していくことが重要です。このため、県では子育ての方の保育士資格の取得を応援するチャレンジ応援事業というのをやっております。当初二つの市で始めたのですが、今は十三の市町に広がりまして子育てをしながら保育士の資格が取れるというふうにする、その試みが広まってまいりまして、平成二十六年度では受講者数が百の大台に乗りました。それから県民の皆様が理想とする子供の数をお聞きしましたところ、これは二、三人だと。二人ないし三人だということでございますので合計特殊出生率の目標は二にすることは合理的な理由があるということでございます。この出生率の回復に向けた市町の施策立案を積極的に支援する戦略事業を展開することとしております。
 また、本県の合計特殊出生率は平成十六年には一・三七しかございませんでした。それが現在一・五三にまで回復しております。県内には裾野市あるいは長泉町のように一・八二にまで上昇したところもございます。こうした全体の流れを見ますと、この目標の達成は可能であるというふうに考えております。子供は社会に希望と活力を与える地域の宝です。子育ては地域社会の発展に寄与するとうとい仕事ですので、各経済団体とも連携しふじのくに企業子宝率の普及を図っているところでございますけれども、これも世間の注目を次第に浴びつつあるということで、また県内の企業の皆様方も改めて自分たちの従業員の家族を大事にするということの大切さを自覚していただいているところでございます。
 企業や地域における子育て支援を一層充実させてさまざまな分野の方々に御参画いただき、社会全体で結婚から妊娠、出産、子育てを応援する環境づくりを進めることとしているところであります。
 今後も、ふじさんっこ二、三人は、よいパートナーに恵まれれば子供は安心して育てられる、そのようなふじさんっこ応援プランの推進にしっかりと取り組みまして、市町を初め地域や企業などとも連携し、社会全体が心を一つにして、「子育ては苦労しがいのある仕事、愛を育むとうとい仕事」という歌もございます。まさに子育てこそ最も重要な仕事であるという、そういう環境をしっかりつくってまいりまして、「生んでよし 育ててよし」のふじのくにを実現してまいろうと決意しております。
 次に、憧れを呼ぶ地域づくりについてのうち、内陸のフロンティアを拓く取り組みについてであります。
 内陸のフロンティアを拓く取り組みというのは、防災・減災と地域成長の両立を目指すものであります。これは国の進めている国土強靱化の取り組みや地方創生の動きに、はるかに先駆けて重点的に取り組んでいるものであります。これまでに沿岸部におきましては掛川市における緑の防潮堤などの静岡方式、これは宮脇昭先生の鎮守の森の知恵に学ぶ森づくりでありますけれども、その造成が進んでおりまして、これも県下の幾つかの市町に広がりつつあります。山本敬三郎先生が、慧眼でこれだというふうに見つけられました宮脇方式、鎮守の森に学ぶ日本の古来の伝統の森づくりというものを通して安全を確保するということでございますが、そうした安全対策が実施されるとともに、内陸高台部におきましては工業団地の造成が進んでおります。
 しかしこれも、ただに乱開発にならないように景観に配慮した形で、企業は地域の公の器――公器であると。したがってコーポレートガバナンスにおきましても、ただに株主だけではなくて従業員やお客様や地域の人たち、その人たちにとっての会社であるということから景観に配慮しながらの造成が進んでおり、進出企業も続々決定するなど取り組みが具体的に動き出し、目に見える形になっているのを喜んでおります。しかし安全・安心で魅力あるふじのくにを実現するためには沿岸都市部と内陸高台部の均衡ある発展を図ることが必要です。県民の皆様の暮らしが豊かであると、この豊かさを実感できる取り組みを拡大することが眼目です。このため来年度、内陸フロンティア推進区域を対象とした豊かな暮らし空間を実現する住宅地整備に対する助成制度を創設いたしまして、地域コミュニティーの形成や景観に配慮したゆとりある生活空間の実現を加速してまいります。
 ゆとりある生活空間と申しましたけれども、これは東京都、あるいは名古屋とか大阪とか、大都市圏ではなかなかに実現が難しいのであります。特に世襲する資産、不動産資産あるいは金融資産などを持っていない若者がたくさんいます。持つ者と持たざる者との格差が先進国では今広がりつつありますし、今勃興しているアジアの諸国も似たような状態が指摘されているところであります。そこで不動産に係る大きな資本投下をしなくて済むように、定期借地、定期借家のような制度を活用いたしまして、世襲する資産のない青年たちが安心して子供を広いゆとりある空間で産み育てられるように、四十五歳から五十歳くらいまで、すなわち子供が自立するころまではそういう人たちを優先に定期借地、定期借家を提供すると。これは既に川根本町におきまして、土屋経済産業部長がまだ現場によく出ているときのことでございましたけれども、四十五歳未満の青年たちに交通の便は不便ですけれどもそこを提供しましたところ、あっという間に埋まりました。さらにそれは増設されました。そういう経験値がございます。これらを活用いたしまして新しいライフスタイルを選べるというそういう選択肢を皆様方に御提出申し上げることも、この内陸のフロンティアを拓く取り組みの中に入っているわけでございます。
 また、沿岸都市部での新産業の創出と。沿岸都市部におきましては、従来はいわゆる工業団地というイメージが強うございましたけれども、これからは野菜工場というこうしたものもできます。ですから新しい産業を沿岸都市部でどう創出するかというのも大きな課題であります。ともあれ静岡県は豊かな自然景観と多様な地形に恵まれておりますので、それらを活用した形で全県的にさまざまなモデルを提供する地域をつくり上げてまいりたいと思っております。
 今後とも、市町や内陸フロンティア推進コンソーシアムと連携しながら、新しい産業の創出と集積や自然と都市機能との両方が調和する、言葉として言えばガーデンシティーというような美しい都市景観を形成しまして、美しく、強く、しなやかなふじのくにの実現に努めてまいります。
 次に、静岡県観光振興条例の理念の実現についてであります。
 平成二十六年度から四年間を計画期間とするふじのくに観光躍進基本計画では、静岡県の魅力を「創る」、静岡県の魅力に「誘(いざな)う」、静岡県の魅力で「もてなす」という、この三つの戦略を柱に観光交流の拡大を図っているところであります。この計画の推進に当たりましては多くの議員の皆様の御尽力により制定された静岡県観光振興条例をよりどころといたしまして、来年度当初予算には条例の理念の実現を目指すためのさまざまな施策を盛り込んだところであります。
 静岡県の魅力を「創る」ということにおきましては、この一年半余りの間に世界水準の魅力が立ちあらわれてきました。富士山、茶草場、深良用水、ジオパーク、音楽創造都市、牧之原の花のまちづくり等々、さらに企業であるとかノーベル賞学者、天野先生以外にも太田朋子先生、あるいは高橋裕先生など国際賞を取る方が続々とこの一、二年の間に出てまいりまして、まさに世界水準の地域資源というものを持つ地域だということで、また同時にこれが今つくられつつあるということで、今後さらに多くの魅力ある本県の観光資源に光を当てまして観光客の多様なニーズに応える旅行商品としても磨いてまいりたいと思っております。さらに観光誘客にも大きな効果が期待されるオリンピックの文化プログラムにつきましては来年度から全国に先駆けて着手することとし、市町とも一体となりまして、本県の有する芸術文化や地域に根差した生活文化体験など静岡県ならではの魅力が凝集されたメニューを創出いたします。
 静岡県の魅力に「誘(いざな)う」という戦略におきましては、二〇一六年の主要国首脳会議、何とかこれを誘致したいと考えておりますが、さらに二〇一九年のラグビーワールドカップ、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックなど訪日客の増加が予想されます。特に大会役員やスポンサーを初め海外富裕層のキーパーソンを取り込むことで、本県観光の躍進を図るまたとないチャンスです。こうした機会を最大限に生かした誘客対策のさらなる充実を図ります。
 静岡の魅力で「もてなす」という第三の戦略におきましては、今後ますますふえると期待される海外からのお客様の受け入れ体制の充実のため、観光地におけるWiFi整備の支援などに新たに取り組みまして、おもてなし日本一の基盤づくりを推進いたします。
 今後とも、静岡県観光振興条例に込められました議員の皆様方の思いに応えるべく世界遺産富士山、伊豆半島、南アルプス、浜名湖等の世界に誇る本県の豊かで美しい資源を活用いたしまして、国内外から多くの方々が訪れる、憧れを呼ぶ観光地づくり、ふじのくにづくりを推進してまいります。
 次に、地域と連携した芸術文化の普及についてであります。
 ポスト東京時代に向けて本県の文化力を一層高めていくためには、次世代を担う子供たちを初め多くの県民の皆様が良質な文化芸術に触れる環境づくりが重要です。今年度からスタートいたしました第三期ふじのくに文化振興基本計画におきましても、地域の文化拠点づくりを重点施策に掲げておりまして、市町や公立文化施設等との連携を強化し地域で文化を支える体制づくりを推進しております。
 中核となる県立文化施設のうち、県立美術館では県内各地で移動美術展を継続して開催しております。今年度は沼津と菊川で黒田清輝の代表作「富士之図」などを展示した日本人の油彩画展を開催いたしました。今後も地域の美術館との連携のもと県立美術館が所蔵する多彩なコレクションを鑑賞いただく機会をふやしてまいります。
 また、本県の誇るSPACでは清水港やその他の地域、本県のすぐれた景観を舞台にしたふじのくに野外芸術フェスタを開催していただいております。また中高生舞台芸術鑑賞事業も開催していただいております。先般も東静岡のSPACの劇場で榛原高等学校の一年生が全員来ておりまして、私もその様子を見に行ったのでありますが、真剣に、宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」というのが宮城監督のもとでつくられたんですけれども、その後私は学生さんと会話する機会があったんですけれども、二時間ほどの演劇を見ることで人間が育つというのを実感いたしました。
 さらに、二月二十八日に「幕が上がる」という映画が上映されます。これは本県が舞台です。平田オリザさんの「幕が上がる」という極めてすぐれた小説が映画化されたものでありますが、もともとの舞台は関東平野の外れだったんですが監督さんが静岡県を舞台にされたわけです。なぜか。ロケをしなくちゃいけませんが、そのときに食べるものが北関東じゃまずいと。本県だとうまいと言うんですね、何というわかりやすい理由かと思いましたが、同時に、その主人公が本県出身のももクロZで、これは高校生が演劇部で自分たちで演劇をつくっていくと。題材がこれまた宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」だったわけです。これの劇中劇なわけですけれども、これを平田オリザという演出家と宮城監督がともに指導され、そしてこの過程でその主人公たち、ももクロZのですね、力がぐんぐん上がっていったということで、いかに演劇の人間形成力が大きいかということを私自身監督さんからじかに聞かされることがございました。そうした舞台芸術というものの教育力というのがございます。
 来年度には、藤枝市と島田市が共同で子ども演劇祭を開催されると。ここにもSPACが出演を計画してくださっています。さらにグランシップにおきましては公立文化施設の職員を対象とした研修会の開催や地域における文化事業への助成、伝統芸能等の体験プログラムの学校での開催などに地域の文化施設や文化団体、学校と連携して取り組んでいるところです。今年度はグランシップ休館期間を活用して、県東部地域と西部地域を中心に館外で自主企画事業を開催いたしました。歌舞伎やお能の公演では鑑賞者が昨年度を上回るなど大変好評をいただいたことから、来年度も御殿場、三島、掛川、浜松などで世界のすぐれた児童演劇や質の高い伝統芸能などの館外公演を継続して実施してまいります。
 今後とも、県立美術館、SPAC、グランシップを核に市町、文化施設、文化団体等、地域と連携した芸術文化の普及を図り、ふじのくに芸術回廊の実現を目指してまいります。
 次に、新産業の創出についてであります。
 県では、静岡新産業集積クラスターを推進するとともに、航空宇宙、新エネルギーなど成長産業への中小企業の参入を支援し新産業の創出に取り組んでおります。今月十二日に決定した産業成長戦略におきまして、これらの取り組みを中小企業の枠を超えた地域企業にまで拡大し、本県経済の持続的発展につなげていくことを目指します。これらを踏まえて、三つの地域プロジェクトでございますファルマバレープロジェクトにおきましては研究開発支援等のための新たな拠点施設の整備、中部のフーズ・サイエンスヒルズプロジェクトにおきましては国の新たな機能性表示制度に先駆けて科学的根拠に基づく製品開発の支援体制の整備、西側のフォトンバレープロジェクトでは、ことしは光というのが国際的テーマだということで光・電子技術関連産業支援員による企業支援なども重点的に進めます。
 また、高度な技術を生かした製品開発を進めるため本県、産業技術総合研究所、新エネルギー・産業技術総合開発機構、この三者間で三月に包括連携協定を締結し、地域企業と産総研――産総研というのは産業技術総合研究所のことでございますけれども――との共同研究を支援する先端企業育成プロジェクト推進事業を創設いたします。さらに研究開発に対する助成制度や設備投資に対する利子補給制度におきましても中小企業の枠を超えた地域企業を支援するほか、航空機、医療機器などの成長分野におきまして中小企業等が設立する共同受注体に対する助成制度というものを新たに創設いたします。産業界や金融界と一体となって新しい産業を創出し、国内外の経済情勢の変化に対応できる多極的、多層的な産業構造の構築を目指してまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長(伊藤育子君) 白井企画広報部長。
       (企画広報部長 白井 滿君登壇)
○企画広報部長(白井 滿君) 憧れを呼ぶ地域づくりについてのうち、再生可能エネルギーの導入促進についてお答えいたします。
 再生可能エネルギーのうち、太陽光発電につきましては現在導入が急速に進んでおりますが、住宅を中心に普及拡大の余地がありますことから既築住宅への設置に対する支援を引き続き行い、百万キロワットの目標達成に向けて導入を促進してまいります。一方、小水力やバイオマスなどにつきましては水利権や燃料の調達、環境への影響など太陽光に比べ設備の設置に多くの調整を要し時間やコストがかかることなどから、導入におくれが見られます。このため農業水利施設や県営ダムへの小水力発電の設置、木質ペレットの利用促進、小水力やバイオマスを活用した新技術・新製品の開発、温泉熱利用の理解促進などに引き続き取り組むとともに、導入可能性調査や設備導入への助成制度を新たに設け民間事業者や市町の取り組みを支援し普及拡大を図ってまいります。
 今後とも、本県の日照環境を生かすことのできる太陽光や太陽熱のみならず小水力やバイオマス、温泉熱など地域の特色あるエネルギー資源の活用を幅広く進め、小規模分散型エネルギー体系への転換によるエネルギーの地産地消を推進してまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 服部静岡県理事。
       (静岡県理事 服部真樹君登壇)
○静岡県理事(服部真樹君) 憧れを呼ぶ地域づくりについてのうち、富士山静岡空港の多様な活用についてお答えいたします。
 富士山静岡空港は、交流を促進し本県の発展を支える県民の財産であり、定期路線による観光やビジネス利用に限らず空港の機能を生かした多様な利活用に取り組んでいく必要があると考えております。空港を利用した教育旅行の促進は、若者の国際感覚を培い空港を身近に感じていただくことに極めて有用であり、教育委員会等と連携した就航先の現地調査などに積極的に取り組んでまいりました。今後とも学年全員が一緒に旅行できるようチャーター便等の活用を促す制度を設けるなど学校のニーズに応える施策を講じるとともに、教育旅行セミナーや学校への個別セールスによる空港利用のPRを通じて利用促進を図ってまいります。またビジネスジェット機の誘致は、東京オリンピックの開催を契機として各界のVIPなどを通じて本県の魅力を世界に発信することにつながると考え積極的に取り組んでおります。さらに観光事業者と連携しヘリコプター等により県内観光地と空港を直結する魅力ある旅行商品等の開発にも取り組んでまいります。
 このような空港の多様な利活用を通じて、県民の皆様にとって身近で使い勝手のよい空港として本県の経済活動のさらなる進展を図り、社会資本としての空港の効用を最大限発揮できるよう全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 野知交通基盤部長。
       (交通基盤部長 野知泰裕君登壇)
○交通基盤部長(野知泰裕君) 憧れを呼ぶ地域づくりについてのうち、農山村の振興についてお答えいたします。
 誰もが憧れる魅力的な農山村を創造していくためには、地域ごとに特徴のある農業の持続的な発展を可能とする生産現場の強化にあわせて、その地域が有する美しい自然景観や地域固有の文化等の地域資源の保全、継承を担うコミュニティーの活性化が重要であります。このため県では生産性の向上を図る農地や農業用水等の基盤整備などを推進するとともに、農家や地域住民等による里山の維持管理などのコミュニティー活動に対して、日本型直接支払制度を活用し財政的、技術的支援を実施しているところであります。さらに、ふじのくに美しく品格のある邑づくりの取り組みとして、地域資源がありながら十分に活用されていない農山村集落を対象に多様な広報手法の導入やアドバイザー派遣等の支援を行い、登録される邑の拡大を図り県内各所に魅力的な農山村を創造してまいります。
 県といたしましては、こうした取り組みにより風土に培われた個性を生かしながら農山村の新たな発展の可能性を切り開き、「住んでよし 訪れてよし」の理想郷の実現に努めてまいります。
 次に、安心と安全な地域社会の実現についてのうち、津波対策における防潮堤整備についてであります。
 県では、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づき想定されている犠牲者を十年間で八割減少させることを目標に、レベルワン津波に対する防潮堤整備やレベルワンを超える津波にも対応する静岡モデルの整備を進めることとしております。対策の必要な百七カ所のうち、これまでに牧之原市の勝間田川において新たに水門が完成し、既設の津波対策水門の耐震化が十四カ所で完成したほか伊豆市の八木沢大川など七水門で耐震補強設計等を行いました。また浜松市に続き磐田市、掛川市などでは静岡モデルの整備に着手するなど対策は着実に進んでおります。来年度は五十一カ所で施設高の確保や液状化対策、粘り強い構造への改良に係る詳細な設計等を行うとともに、地元合意が整ったところから整備に着手し、さらに進捗を図ってまいります。このうち観光や漁業等との調整が特に必要な伊豆半島地域におきましては、景観や利用等に配慮し地域の実情に合った津波対策となるよう、港単位で地区協議会を設置し住民の皆様の御意見を伺いながら具体的な対策の検討を進めてまいります。
 県といたしましては、津波被害に対する住民の皆様の不安を解消するため地元市町や関係者等と連携し、一刻も早く防潮堤等の津波対策施設の整備を進め津波に強い安全・安心な社会づくりを推進してまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 宮城島健康福祉部長。
        (健康福祉部長 宮城島好史君登壇)
○健康福祉部長(宮城島好史君) 安心と安全な地域社会の実現についてのうち、介護人材の確保対策についてお答えいたします。
 第七次静岡県長寿者保健福祉計画では、各市町の二〇二五年の介護サービス見込み量に基づき必要となる介護職員数を推計し、就業促進や労働環境、処遇の改善などの視点から今後さらに二万人を計画的に確保することとしております。
 就業促進としては、ふじのくにケアフェスタの開催や、介護の魅力ややりがいを発信する介護の未来ナビゲーターの活動の充実などにより若い世代を中心に介護の仕事への理解促進を図ってまいります。また労働環境と処遇の改善としては、介護事業所のキャリアパス制度の導入の支援や社会福祉人材センターによるきめ細やかなマッチングを一層充実させるなど定着に向けて取り組んでまいります。
 来年度からは、新たに介護施設のすぐれた取り組みを発信するコンクールを開催し、介護分野のイメージアップを図るなど働く人が意欲と希望や誇りを持てる職場となるよう努めてまいります。
 今後も、県民の皆様が必要なときに必要な介護サービスを受けることができるよう、市町を初め関係団体や各事業所とも連携し介護人材の確保に取り組んでまいります。
 次に、静岡県における感染症対策についてであります。
 本県の感染症対策につきましては、静岡県感染症・結核予防計画により、予防と蔓延防止対策を初め専門的な治療を行う病床と医師の確保など適切な医療体制を整備することとしております。
 定期的に流行するインフルエンザなどにつきましては、発生動向を毎週把握し、その状況に応じて県民の皆様にワクチンの接種やうがいと手洗いを励行するなど予防対策の徹底を図っております。新型インフルエンザにつきましては、静岡県新型インフルエンザ等対策行動計画に基づき抗インフルエンザ薬の備蓄など感染拡大防止に努めております。突発的に発生するエボラ出血熱などにつきましては、県民の皆様にその感染経路や危険性などを正しく理解していただくようわかりやすい情報の発信に努めることとしております。また感染症が発生した場合に備え、検疫所等と患者の隔離と移送の訓練を行うなど適切な医療の確保を進めてまいります。
 今後も、関係機関との連携のもと感染症の発生状況や感染予防についての積極的な情報発信やより実践的な訓練に取り組み、県民の皆様が安心して安全な生活ができるよう万全を期してまいります。
 次に、地域とともに進める教育についてのうち、生活困窮家庭の子供への支援についてであります。
 県では、生活保護世帯の中学生に対し個別の教育相談を行う学習チャレンジ支援モデル事業を実施したほか、高等学校等への進学率の向上を目的にした支援マニュアルを作成するなど就学環境を整えたところであります。また経済支援といたしましては、ひとり親家庭に対する児童扶養手当の支給や就学のための資金の貸し付けを行うなど高等学校等への進学を支援しております。来年度からは生活保護に至る前の生活困窮世帯の中学生と高校生を主な対象にして学習面や生活面についての個別支援を行うこととしております。経済的に厳しい環境にあるひとり親家庭に対しては、ランドセルや文房具等の購入費用の一部を市町とともに支援するなど生活困窮家庭の子供たちが安心して就学できるよう環境を整えたところであります。また文化・観光部や教育委員会など関係部局から成る静岡県子どもの貧困対策推進本部を設置し、学習支援を初め生活支援や就労支援など子供の成長段階に即した切れ目のないさまざまな施策の充実に全庁一丸となって取り組むことといたしました。
 今後とも、子供たちの将来がその生まれ育った環境に左右されることなく未来に夢と希望を持って成長することができる社会の実現を目指してまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 池谷くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 池谷 廣君登壇)
○くらし・環境部長(池谷 廣君) 女性の活躍推進についてのうち、あらゆる分野における女性の活躍促進についてお答えいたします。
 県では、これまで女性の役職者セミナーや起業支援、地域女性防災リーダーの養成など、経済、地域社会などさまざまな分野で女性の活躍の促進に努めてまいりました。しかしながら県経営者協会と実施した調査では、女性管理職がいない企業が半数近くを占めるなど女性の登用が進んでいない状況が明らかになりました。このため経済や行政などあらゆる分野で女性の力が最大限発揮できるための取り組みを加速化することとし、来る三月八日には企業、政治、行政の各分野の女性管理職等が一堂に会してネットワークを構築するふじのくにさくや姫サミットを開催いたします。
 今後はさらに、男性経営者等を対象としたセミナー、子育て等で離職し再就職を希望する方への研修、さくや姫サミットのフォローアップ、女性経営者等の人材バンクの構築などさまざまな角度から施策を展開するとともに、女性の活躍を推進する中核的な組織として、ふじのくに女性大活躍応援会議――仮称でございますけれども――これを来年度末を目途に設立し、企業を初めさまざまな主体が一体となって女性が活躍できる環境づくりに取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 西川警察本部長。
       (警察本部長 西川直哉君登壇)
○警察本部長(西川直哉君) 女性の活躍促進についてのうち、女性警察官が働き続けることができる環境整備についてお答え申し上げます。
 本県警察では、女性警察官採用・登用拡大に向けた推進計画を策定し、女性警察官が出産、育児等を経ても働き続けることができる環境整備について積極的に推進しているところであります。
 具体的な施策といたしましては、女性警察官が妊娠した場合における時間外勤務、休日出勤の免除など母体保護のための勤務への配慮、職員が組織に気兼ねなく育児休業を取得できるよう当該ポストに対する代替職員の配置、育児休業からの復職をスムーズにするための教育訓練、復職時の希望調査に基づく人事配置、仕事と育児を両立させるための育児短時間勤務や部分休業の取得など多様な働き方の選択ができる勤務制度の構築などを推進しているほか、職員からの相談に個別に応じるなど出産、育児や介護等、女性警察官が仕事をしていく上でのさまざまな悩みを組織的に解消するための施策を行っているところであります。
 加えて、採用間もない女性警察官に対して将来、結婚、出産、育児等のライフプランを見据えた働き方などに関する教育を行っており、若い世代から仕事と私生活を両立しつつ頑張っていこうという意識の向上に努めているところであります。
 今後も、過去に出産等の理由で退職した女性警察官の再採用制度の検討を含めまして、女性警察官が働き続けることができるよう、よりよい制度の構築に努めるとともに、幅広い年代の女性警察官が組織の中で活躍し、かつ幹部への登用が促進される組織づくりに努めてまいる所存であります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 地域とともに進める教育についてのうち、小中一貫教育についてお答えいたします。
 これまでも、県内各地におきまして中一ギャップの緩和など小学校から中学校への円滑な接続を目的に小中一貫教育の取り組みが行われてきました。例えば、磐田市や掛川市におきましては各中学校区を一つの単位として、区域内の小中学校間の児童生徒の交流活動だけでなく教員の授業参観や研修の共同実施などの連携が行われてきております。また施設一体型による小中一貫教育の取り組みにつきましては、議員からも御紹介がありましたように現在沼津市で一校、浜松市で二校の三校におきまして地域の実情に合った特色ある教育活動が展開されております。今後も県内においてこうした施設一体型小中一貫校の開校の動きが広がっていくものと考えております。
 具体的な成果といたしましては、子供たちの学習意欲の向上や学習習慣の定着、自己肯定感や思いやりの気持ちが高まったこと、また教職員にも小中学校間での授業観や評価観の共通理解が図られ教科指導力が向上したことなどの報告を受けております。
 県教育委員会といたしましては、小中一貫教育の成果等を研修会で紹介するとともに、義務教育九年間の児童生徒の健やかな成長を支える地域とともにある学校づくりを推進する中で、各地域の実情に応じた小中一貫教育のあり方を市町教育委員会と連携しながら研究をしてまいります。
 次に、コミュニティスクールについてであります。
 県教育委員会では、本県が掲げる有徳の人を育成するため、本年度子供たちの教育に社会総がかりで取り組んでいく方策を検討する、地域とともにある学校づくり検討委員会を設置いたしました。この検討委員会ではこれまで本県におけるコミュニティスクールの導入方策のほか、スポーツ、文化活動における外部指導者の活用などのあり方について議論を深めていただいたところであり、年度末までに具体的な政策提言をいただく予定であります。
 本県におきましては、これまでも学校評議委員会、学校支援地域本部、PTAなど学校を支援する組織がさまざまな活動を行ってきており、来年度はこうした取り組みを活用しながら検討委員会からの御提言も踏まえ本県ならではのコミュニティスクールの導入を進める予定であります。
 具体的には、平成二十七年度当初予算等でお諮りしているところでありますが、県内で行われております教育実践を調査研究しフォーラム等を通じてすぐれた取り組みを情報発信するとともに、コミュニティスクール導入後の円滑な事業展開を推進するため、コミュニティスクールディレクターの配置に対する補助などを通じ市町教育委員会における取り組みを支援してまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 三十九番 佐野愛子さん。
       (三十九番 佐野愛子君登壇)
○三十九番(佐野愛子君) 御答弁ありがとうございました。
 要望を三点、再質問を一点させていただきます。
 初めに、人口減少対策、少子化対策等ですが、さまざまな御答弁ありがとうございました。国でもこの件に関しては最大の危機感を持っておりまして、子ども・子育て新制度にかかわる巨額と言ってもいいような予算が各県にもおりてきていると思います。ぜひとも県でもその予算執行に追われるだけではなくて実効的な事業を組んでいただきたいと思います。国の制度はいろいろ規定というか使い方に、あまり自由に使えないというようなことも聞きますが、そうかといって一過性のイベントだけで終わってしまうのはもったいないような気がします。県民に広く行き渡るような少子化対策、そして子育て対策に生かすことができるような予算執行、事業立てを要望いたします。
 そして二点目といたしましては、観光振興。前向きな御答弁ありがとうございました。やはり各市町の観光協会とか県の観光協会が広域的に連携して、県の観光とは何か、ただただ美しいものを見てもらう観光地を磨くだけではなくて県民の心の醸成というところまで各観光協会が意識をそろえていっていただきたいと思います。そして体験型のプログラム等、県全体で一目でわかるような広域な案内も必要かと思います。ぜひとも県民が光を放つことができるような意識の醸成を望みます。
 三点目といたしましては、男女共同参画、女性の活躍促進でありますが、いろいろ、さくや姫サミットや女性の大活躍応援推進とか楽しみな仕掛けが来年度は起きてきそうです。しかしやはり輝きたくても輝けないような女性の声も耳にします。また女性躍進というと、同じような人が何回も何回も出たがりの人が出てきて目につくというような気もあります。ぜひとも一歩踏み出したくても踏み出せないような方に対して背中を押してあげるような、そのような支援を心がけていただきたいと思います。そして本当に実力がある人が羽ばたけるような、実力を発揮できるような、そんな女性の躍進を応援していただきたいと思います。
 次に、教育長に再質問をさせていただきます。
その前に、一昨日の辞任の記者発表の記事には大変驚きました。任期を残しての辞任は大変残念に思います。安倍教育長はまさに有徳の人を地でいっていらっしゃるような方だと思います。教育界の信頼は絶大なものがありました。教育長の数々の御功績に心から感謝の気持ちを持ちまして、再質問をさせていただきます。
 コミュニティスクール等、これからやはり学校は地域とともに歩んでいかなければならないという共通の思いだと思います。そして私の質問の中にもありましたが、学校の教員でなければできないこと、教職員でなければできないこと、また地域の人に、これは手を出してもらってもいいのではないかということもあると思います。
 教育長は、その辺のどの部分を地域の人と共有し、またプロとして教員が精進をしなければならないこと、その辺の境目というかこれからの方向性についていかがお考えでしょうか、答弁をお願いします。
○副議長(伊藤育子君) 安倍教育長。
○教育長(安倍 徹君) まずは、過分のお褒めのお言葉ありがとうございます。
 再質問にお答えしたいというふうに思います。
 私は、かねてから教員というのはある面ではゼネラリストというか、教科指導だけではなく生徒指導、進路指導、いろんな面でやはり子供たちの相談に乗ってあげられる、やはりそういう力を持っていなければいけないかなというふうに思っています。
 ただ、一方では非常に子供たちの課題というのは専門性が求められるということで、スクールカウンセラーとか、あるいはスクールソーシャルワーカー等々、やっぱり外部の人材を活用していかなければいけないかなと思っています。
 そういう意味では、先生方のそういう教科指導はもちろんそこを柱としなければいけませんけれども、いろいろな面で子供たちに寄り添える、やっぱりそういう力をスクールカウンセラー等々の専門家の皆さんと力を合わせながら資質の向上に努めるとともに、時にはそういうやっぱり専門的な方々の力をお借りしながら子供たちに向き合っていくという、そういうやっぱりバランス感覚が必要ではないかなと思っています。
 言い方を変えますと、役割分担をし過ぎてしまいますと、やっぱり教員が教科指導だけやっていればいいということで子供の全人格的な成長に寄り添えないということになってしまうのではないかなというふうに思いますので、その辺は常に教員がやっぱり気をつけなければいけないことなのかなと思っています。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 三十九番 佐野愛子さん。
       (三十九番 佐野愛子君登壇)
○三十九番(佐野愛子君) 御答弁ありがとうございました。
 先ほども、健康福祉部長のほうから生活困窮家庭の子供も教育委員会も他部局も一緒になって子供たちを支えるというような御答弁をいただきました。ぜひとも教職員だけで抱え込まないで、助けていただけるところは広く行政も地域の方もともに子供を育てていく、このような、やはり広い目を持って教職員も臨まなければいけないと思いました。
 安倍教育長の御示唆をいただいて、またこれから静岡県の現場の教員も頑張ってまいると思います。ありがとうございました。以上です。

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