• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成26年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

田口 章 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/01/2014

会派名:

ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について  
 (1) 平成二十七年度当初予算編成方針と財政健全化への取り組み  
 (2) オリンピック文化プログラムの推進  
 (3) 県のブランド戦略と総合プロモーションの推進  
 (4) 来年度からの教育行政の進め方
2 地震・津波対策について
 (1) 広域受援計画の見直し
 (2) 浜松市沿岸域の津波避難施設整備
3 子ども・子育て支援事業支援計画について
4 安全運転教育について
 (1) 子供の自転車事故の防止
 (2) オートバイ事故の防止
 (3) 高校生へのオートバイの安全運転教育
5 エネルギー政策の推進について
6 今後の経済政策について
7 市町への権限移譲のあり方と行政サービス提供体制について
8 社会保障・税番号制度導入に伴う住民サービスの向上策について
9 富士山静岡空港の経営改革について


○副議長(伊藤育子君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、二十三番 田口 章君。
       (二十三番 田口 章君登壇 拍手)
○二十三番(田口 章君) 皆さんこんにちは。私どもふじのくに県議団では、このほど政策集を作成をいたしました。「命」「豊」「人」「礎」というこの四つの理念に基づいて今後政策推進に取り組むこととしております。きょうはこれらの政策理念に沿って、以下質問をしてまいりたいと思っております。
 それでは、ふじのくに県議団を代表して当面する県政の諸課題につきまして、通告に従い知事及び教育長、警察本部長、関係部局長に分割質問方式で質問させていただきます。
 最初に、知事の政治姿勢のうち、政策テーマ「礎」に当たるものとして、平成二十七年度当初予算編成方針と財政健全化の取り組みについてお伺いいたします。
 来年度の当初予算の財政収支試算では三百四十億円の財源不足が見込まれております。これに対し基金を二百四十億円活用し、残りの百億円分は経費五%カットなど部局の事業見直しで五十億円を捻出、残り五十億円を予算編成作業で捻出するとの方針が示されております。非常に大変な努力が必要と存じますけれども、ぜひ全力で取り組んでいただければと思っております。財政健全化は非常に大きな課題でありまして、中長期的な視点でこれに取り組んでいく必要があると思っております。
 財政運営に関して心配されるのは、やはり県債残高であります。通常債は減っているというものの総県債残高は増加の一途でありまして、大きな懸念材料となっております。特に臨時財政対策債の残高が一兆円を超えるのは、これは時間の問題でありまして、地方財政制度全体の問題であることは承知をしておりますけれども県の資産経営を示すバランスシートを大きく毀損をさせ将来世代への負担が懸念される状況となっております。また起債は利子の発生を伴い、利払いが一般財源を圧迫するのも現実であります。平成二十五年度の決算では利払いだけで三百七十六億円もの一般財源が、県民サービスや資産形成に使われることなく費やされておりました。起債管理や県債残高管理は慎重に進めるべきと思います。特に今後見込まれる財政需要に的確に対応していくため、事業の選択と集中は不可欠であります。とりわけ地震・津波対策は平成二十五年度から三十四年度までの十年間で約四千二百億円が投入される大事業でありますし、インフラの老朽化に伴う更新費用も県の社会資本長寿命化行動方針によりますと、対策を行わない場合、現状の年間約二百五十億円が約五百億円に倍増するということも見込まれておりまして、長寿命化を行ったとしても相当額の追加的な財政需要が必要となってまいります。社会保障費用につきましても、国の推計では今後十年間ほどで介護費用が今の二倍弱、医療費も一・五倍ほどと予測をされており、全てが県単独の負担ではないにしろ大きな財政圧力となってまいります。
 こうした中で、本県にとって大きな課題である人口減少対策や産業成長戦略の実現に向けて来年度以降本格的に取り組んでいくことになります。これらを考えると従来と変わらぬ、いわゆるシーリングによる歳出のスリム化や歳入確保だけでは、将来にわたって持続可能な財政運営は難しいのではないかと危惧をしております。
 こうした状況の中で、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの推進と将来の健全財政の確保に向けて平成二十七年度当初予算編成をどのような方針で進めていくのか、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
 次に、オリンピック文化プログラムの推進についてです。政策理念の「豊」からの質問となります。
 我が国では、二〇一六年の主要国首脳会議、二〇一九年のラグビーワールドカップ、そして二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックと国際イベントが今後めじろ押しとなっております。これにより現在の外国人観光客の中心であるアジアにとどまらず、欧米を初め世界各国から多くの外国人の来日が見込まれております。この絶好の機会を捉え本県への誘客を強力に進めるべきと考えます。しかし自治体間の競争の中で相当の魅力や情報発信をしなければ本県への誘客や長期滞在には結びつかないと考えます。
 こうした中、川勝知事は先月開催された全国知事会やG3サミットにおきまして二〇一二年のロンドンオリンピックのときに行われたカルチュラル・オリンピアードがロンドンだけでなくイギリス各地で観光客の増加につながった事例を紹介され、東京オリンピック開催期間中に全国各地で文化的なプログラムを開催することを提案されております。県内では地域の特色を生かしたさまざまな文化事業が進められており、これらの中にはオリンピック文化プログラムとして展開できるものも少なくないと考えます。例えば先月音楽の都浜松ではオペラコンクールが行われましたし、SPACなどの県内の資産、こうした特徴を生かして、私は他県に先駆けて本県の文化力を発信していくべきと考えております。
 今後、県は、地域の魅力を生かした文化プログラムの構築に向けてどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いしたいと思います。
 次に、県のブランド戦略と総合プロモーションの推進について伺います。
 本県は、今取り上げた文化力もそうですが、豊富な食材や観光資源に恵まれた県であることは今さら言うまでもありません。県のさまざまな特色を生かした都づくりも、いろんな情報ツールを使ってPRをしていると承知をしております。しかしそれぞれがばらばらに行われている感があり、これが静岡県だというインパクトに欠けているのではないかと感じます。インターネットの本県の広報を見ましても、個別のコンテンツはたくさん紹介しているんですけれども、県全体のプロモーションにつながっているのか若干の疑念を持たざるを得ません。株式会社ブランド総合研究所が行った調査によりますと四十七都道府県の魅力度ランキングという指標がありましたが、第一位北海道、第二位京都府などとなっており本県は十四位ということであります。昨年は十二位となっておりましてランクダウンとなっておりました。この調査は一例にすぎませんので一喜一憂する必要はないと思いますが、本県には魅力があるんだという現状にあまりにもあぐらをかいていると足元をすくわれることになりかねないと思います。先ほどもお話を申し上げましたとおり今後は海外からの誘客のチャンスでもありますので、国内外に静岡県をPRするための総合的なブランド戦略を進めるべきではないかと考えます。
 都市においては、シティープロモーションという言葉が随分一般的になってまいりましたけれども、県としてもこうした発想で魅力を発信すべきと考えます。県を挙げたブランド構築とプロモーションについて、所見を伺いたいと思います。
 次に、政策テーマ「人」に関する質問として、来年度からの教育行政の進め方について伺います。
 地方教育行政法の改正に伴い来年度から教育行政が大きく変わります。教育委員長と教育長を一本化した新たな教育長の設置、また総合教育会議の開催、あるいは教育に関する大綱を知事が策定をすることなどこうした新たな施策がめじろ押しとなっています。特に私が大切だと思うのは知事と教育委員会の関係だと思っております。今回の改正に当たっても教育委員会は引き続き執行機関として存置をされ、最終的な執行権限は教育委員会に留保されております。全国学力調査の結果公表時にも話題になりましたけれども、私も知事と教育委員会の意思疎通が非常に大切になるのではないかと考えます。そのためにも今回設置をされる総合教育会議は重要だと思います。この総合教育会議は知事が招集し、知事と教育委員会が十分な意志疎通を図り、地域の教育課題やあるべき姿を共有して、より一層民意を反映した教育行政の推進を図るとされています。
 昨日発行されました県民だよりを拝見いたしましたが、知事のお考えがびっしりと書かれておりましたけれども、この総合教育会議にはさまざまなテーマがあると思いますが、知事はどのようにこの会議を進めていく考えか、御所見をお伺いしたいと思います。以上の点について答弁を求めます。
○副議長(伊藤育子君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 田口議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、平成二十七年度当初予算編成方針と財政健全化への取り組みについてであります。
 平成二十七年度当初予算の編成に当たりましては、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの早期実現を目指し後期アクションプランを着実に推進するとともに、それを支えるための健全財政を堅持する取り組みを進めることを基本方針としています。このため経済の持続的な発展を図る新成長産業の育成と雇用創造、そしてまた防災・減災と地域成長とを両立させる内陸のフロンティアを拓く取り組み等々、後期アクションプラン八つございますが、この八つの重点取り組みに特別枠を設定いたしまして所要額による部局調整案の提出を認めるということで、ふじのくにづくりの早期実現に向けた積極的な施策の展開を各部局長に指示いたしました。
 一方、健全財政を堅持するための取り組みとしましては地震・津波対策など必要な投資はしなければなりませんが、一方、中長期的な視点に立って通常債の残高を抑制してまいります。臨財債については、これは国と地方全体の問題でございますので我々の力のなかなか及ばないところがあるということは御承知おきくださいませ。
 一方、歳出の抑制ということでは、大きくは活用されていない特定目的基金を廃止します。小さければ、例えばラジオ放送。週に二、三回、十分間、年間通じて千三百万円も払っているということを知りまして、月々百万円強ということになります。大変もったいないということで来年度廃止というふうに考えておりますが、こうした小さなもの。それからPRについても、広報課というのがありますが、広報含めたくさんのパンフレットをつくっているわけです。それはほとんど紙くずになるものもあると承知しておりまして、ですから質の高い広報をするということで、例えばいい例としては、富士山百画が商品になりました。もともとは県が負担していたものです。しかしこれは原価ではありますけれども買っていただけるようになった一つの例です。あるいは最近では遠江百景。これ、一部千円で四千部刷るというのを民間の会社がやってくださると。それだけで四百万円です。これがもし県がやると、それだけのお金がかかったであろうと。これを我々が最初投資しましたけれども、レベルが高いものだったのでこれが商品になったと。こういうふうなことを通して質の低いPRはしないということです。
 一方、県は県内外にPR効果を持っている組織ですので、そこでそれを活用していただく広告料の収入をもっと体系的に引き上げるように、引き上げるといいますか、広告の収入を確保するような対策を講じる。こういうようにいたしまして歳入確保に努めるとともに、公共施設の長寿命化や総量の適正化などの歳出のスリム化にも取り組みまして財政負担の軽減に努め、今後活用可能な基金を前年度を上回る三百億円確保することを目指してまいります。県民幸福度の最大化に向けて邁進していくため、当初予算編成ではありとあらゆる手だてを講じまして後期アクションプランの着実な推進と健全財政の確保の両立を図ってまいります。
 次に、オリンピック文化プログラムの推進についてであります。
 二〇一二年開催のロンドンオリンピックでは、開催までの四年間にわたり英国全土で文化プログラムが展開されたわけであります。これは北京五輪が終わりました二〇〇八年九月からロンドンオリンピックの終了日まで四年間、参加地域数、これは二百四。そして事業数六百、イベント総数十七万七千件以上と。そこには音楽、演劇、ダンス、美術、文学、ファッション、映画、展示会、ワークショップ等々が入っておりまして、参加アーティスト4万人以上。障害者もその中に八百人余り入っていると。イギリスらしいということではシェークスピアの戯曲を三十七カ国による三十七の異なる言語で実演するなどなさいまして、結果的に総参加者数が四千三百四十万人になり、そしてオリンピック開催年の二〇一二年よりも二〇一三年のほうがイギリスを訪問される観光客が多くなったという実績を上げ大成功をおさめられたわけでございます。そうした事例に照らしまして、先月全国知事会が開催された折、私はロンドンオリンピックでの成功事例を紹介いたしまして、ぜひ二〇二〇年開催の東京オリンピック・パラリンピック開催に合わせて全国各地で文化プログラムを展開し世界に向けて日本の魅力をアピールする機会とするように御提案申し上げたところ、多くの御賛同を得まして決議に盛り込まれたところでございます。
 静岡県には、今年の七月にフランスで開催された、世界三大演劇祭と言われる演劇祭の一つ、アヴィニョンの演劇祭でオープニングを本県のSPACが飾りまして、そしてフランスを代表するル・モンド紙などでも絶賛されまして、この宮城芸術総監督率いるSPAC。それからまた先月二十七の国と地域から二百四十二名もの応募をいただいて、県議の出身地である浜松市で開催された静岡国際オペラコンクールなど世界レベルの芸術文化が育っているわけでございます。
 ですから、演劇と音楽というのもあわせて考える必要があると。静岡県には今十近いアマチュア、準プロのオーケストラ含めてありますけれども、演劇と音楽というのはいろんな意味でコラボレートできますので、来年度あたりから、純粋に静岡県御出身の世界で活躍されている音楽家もいらっしゃるので本気でプロの音楽。決して大きなものではなくてチェンバーオーケストラとか、そういう四、五十人で十分にレベルの高い古典音楽ほかほとんどのものが演奏できますので、そうしたものをつくっていく方向をあわせて、SPACとともに、それと匹敵するような音楽集団をつくっていくことも考えているわけでございます。
 また、世界遺産富士山を初め南アルプス、浜名湖、伊豆半島などの豊かな自然と共生し育まれてきた伝統芸能、生活に根差した多彩な文化等々、県内各地にそういう資産がございます。さらに現在開催されておりますふじのくに芸術祭におきましても美術、音楽、舞台芸術などさまざまな分野で活発な文化活動が展開されているところです。こうした本県の有する文化力や地域資源を生かしまして、国内外の多くの方々が参加し本県の多彩で豊かな文化を体感し楽しむことができる文化プログラムを早期につくり上げるため、まずはロンドンオリンピックの文化プログラムの開催状況や受け入れ体制等を調査しようというふうに考えております。
 東京オリンピック・パラリンピックはもとよりラグビーワールドカップ二〇一九、二〇一六年のサミット開催に合わせまして、多彩な文化プログラムを市町を初め文化団体や産業界などさまざまな分野の方々と一緒になって県内各地で展開いたしまして、国内外から多くの方々が訪れ、憧れを呼ぶ地域、ふじのくにづくりを推進してまいります。
 次に、県のブランド戦略と総合プロモーションの推進についてであります。
 何といっても富士山です。ブランドの最高峰は富士山だというふうに考えます。平成二十五年――昨年、富士山は世界文化遺産になりました。「神さびて高く貴き駿河なる富士の高嶺」、あるいは「日の本の大和の国の鎮めとも宝ともなれる山かも」等々、信仰と和歌、つまり芸術とが一体となっているのが富士山の特徴で、それが世界に認められたわけでございます。静岡県は総合計画の基本理念に富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを掲げ、ふじのくにを統一ブランドとして県づくりを進めているところであります。これはお隣の山梨県にも今広がりつつあるということで喜んでおります。ふじのくにというのは霊峰富士それ自体を基礎とし、その気品のある姿に恥じることなく物心ともに豊かな人々の住む美しく品格のある地域。はっきり言うとポスト東京時代を開く新しい日本の顔づくりというふうに考えております。東京は政治経済の都ですが、自然の最も魅力的なところであるとは言いがたいということがありますので、東京以外の日本のよさを示す、しかも日本の顔になるようなもの、これは静岡県にたくさんございます。それがもう既に世界標準になっているものも富士山、南アルプス、お茶の世界農業遺産、さらにまた来年はジオパークも世界ジオパークになる可能性がありますし、韮山も世界文化遺産として、世界文化遺産が二つ合計、これだけでも五つでございます。
 そのように、世界水準のものがこのようにたくさんある県はほかにないのではないでしょうか。ですから、こうしたものが実はブランドだと。本物の日本だというそういう戦略を展開していくことが必要であるということです。それはただにPRするだけではなくて県に生活をされている方が誇りに思うと。世界の中の静岡だということを自覚していただくということで、東京の端っこだとか中京圏の端っこだという、そういう、何ていいますかね、意識はもう来年度からは、あるいはもうこれからは払拭していくということもあわせて考えておりまして、同時に多くの人がお越しになるとその分それ自体がPR効果になりますし、もちろん観光料の収入ということにもなるわけでございます。市町や関係団体などと連携いたしまして、いわゆる我々の持っている場の力ですね。これを磨き上げるとともに、情報発信の拠点施設の整備等を進めてまいります。
 なるほど、花の都、食の都、茶の都、もりの都等々、こうしたものはややばらばら感があるかと存じますけれども、しかし量がふえていきますと質に転じます。ですから、これらが実は今の中心の東京とは全く違う色合いというか、彩りを、華やかさを持ったものだということで、そうしたものが日本の国土の統合のシンボルである富士山のもとで凝集する、そういう転換点が必ず来るというふうに思っておりまして、恐らくそのうちの一つは二年後の主要国サミットですね。これが本県に来ますれば相当に大きなPR力といいますか、中心性というものが立ちあらわれてくるであろうというふうに思っております。
 同時に、先ほど言うのを忘れましたけれども和食もユネスコ無形文化遺産になりました。これも和食ということではなくて、静岡県の場合には和の食というふうに言うことを通して、中華料理もイタリア料理も韓国料理も、その他さまざまなエスニック料理がございますけれども、そうしたものに静岡の県産材を使っていただいているわけですね。そうした全ての食がここでは名人によってそんなに高くない価格で楽しめるという、この和の食文化というのも静岡県の売りにできると。こうしたものの祭典も開催しまして、食の都とか、それから健康寿命日本一の秘訣はお茶にあるということで、茶の都としての位置づけを中国と杭州、茶都と言われる浙江省と組んでやることを通して相手の力を自分の力の中に入れ込むと。もちろんこちらの力も向こうに貸してさしあげるというような形で、国内外に向けて情報発信していこうと考えているわけでございます。さらに、かつて「Myしずおか」と言われていた広報誌がございます。ふじのくにと今言っておりますけれども、そこには最近では森元総理が御登壇いただきましたが、ほかにも各国大使、アメリカや中国も入っております。さらにまた日本を代表する有識者に御登場いただきまして、通常のPR誌とは違ってそれ自体を読むに値するものにするというようなことを通しまして、これ自体のいわばレベルを他の四十六都道府県の広報誌のレベルを抜いていこうと考えております。
 今後、この主要国首脳会議、ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピックの開催を最大の機会として捉え、カルチュラル・オリンピアードも言い出しっぺとして本県における中心性を音楽や演劇やその他もろもろの文化活動を通して、これから二〇二〇年に向けて、そのときには新幹線の富士山静岡空港の下の駅もつくるということでこの補助制度を地域の人に出していますけれども、あそこの人たちは十年かけて使いたいとおっしゃっている。五年です。二〇二〇年までに三十三億円を使い切るというようなことを通して、もう目標を二〇二〇年にしっかり定めて、そのときに本県がふじのくにというかポスト東京時代の日本の顔として立ち上がると。そういうイメージが立ち上がってくるというふうなブランド力の向上というものを総合的なプロモーションとして、これから取り組んでいくということでございます。
 次に、来年度からの教育行政の進め方についてであります。
 この点につきまして、教育長ではなくて私に振っていただきまして、まことにありがとうございます。
 私は、この地域社会の子供の教育は文科省、教育委員会、学校だけに任せておくのではなくて、地域の子供は地域全体で育てるのだというそういう決意を立て、またそういう認識を持って社会総がかり、地域ぐるみで行うことが必要であるとかねてより考えてまいりました。こうした中、文部科学省も総合教育会議を設置されることになりまして、また地方創生というものが日本の合い言葉に今なりつつあります。文部科学省と教育委員会から教育を地域社会に取り戻すことが教育における地方創生につながるというふうに考えております。そのためにはよほどの自覚を持って、いい子供を立派に育てていくんだということを大人全体が共有する必要があるわけでございます。
 今回の教育委員会制度改革におきまして、新たな教育長の設置により、これまでまことに曖昧でありました教育行政の最終的な責任が果たして教育長にあるのか教育委員長にあるのか。今ではまだ制度的には教育委員長です。しかし非常勤ですからその力を及ぼすことができないということで、教育長が事務統括でしかないのに教育の顔として振る舞うという、まことに責任が不明確な事態が放置されてきたわけでございます。それとともに地域社会の代表である首長も教育基本法や地方教育行政法できちっと教育に対しては責任を持つということがうたわれておりますので、このたび首長と教育委員会との意志疎通を図る場として総合教育会議が創設されることは望ましい姿であるというふうに評価しております。
 しかし、限界もございまして教育委員会事務局にメスを入れるという姿勢がありません。ですから制度を改正しても実態がなかなか改まらないようでは困るというふうに思っております。この新しく創設される総合教育会議の意義を十分に発揮させるために、やはり教育の中立性確保というのは極めて大切なことです。首長の個人の一種のイデオロギーとか信条が入り込むと、それはもう最悪の場合には北朝鮮とか中国みたいになるわけですから、そういうことは絶対避けないといけないと。思想信条の自由、表現の自由、人間の基本的な自由というものを尊重するために多くの社会総がかりの人々の意見が入り込むようにつくっていかねばならないと。総合教育会議は今の教育委員会に私が入り込むだけです。あるいは各市町の教育委員会に首長さんが入り込むだけのもので一人そこにふえるだけのことなんですね。ですからいかに教育委員会当局というか、あるいは文部科学省と一体となった教育委員会というものが抵抗したかということで、私は新たに総合教育会議の概念図を見て、これはただ座るだけの会議にさせただけにすぎないかと思いましたが、しかしそれをするのも大変な試みだったということは承知しておりますのでこれを生かさねばならんというふうに思っております。
 そこで、実は今回の答申といいますか、改革案が出てくる前に、私どもは地域とともにある学校づくり検討委員会を立ち上げました。そのキャップは前の中日本のトップをなさっておられました矢野弘典さんです。そこにはいろんな方が入っておられます。ここを充実させてまいりたいと。ここを通して人材ブロックといいますか、これを確保し、体育だ、あるいは音楽だ、芸術だ、あるいは農業だということで、そういう社会に特に定年退職になったような方たちを中心に、毎日まではいかなくても多くの方々が学校の先生の周りのことをきっちり助けてあげて、学校の先生方はそれぞれ免許を取られたその部面においてその子供に面する時間を多くするということを通して学校の教育の質を上げていくと同時に、その裾野を大人全体で能力のある方。これは若干の訓練といいますか、ある種の県独自の資格みたいなものを付与した上で学校の現場に入っていただく。子供に面していただくということが必要であるというふうに存じますけれども、こういう地域とともにある学校づくり検討委員会というのを立ち上げて、もう既に何回か会議をしていただいておりますが、それ以外にも例えば西伊豆町で株式会社Z会と連携して読解力の向上なども図っておられます。そこに行ってみました。校長先生、また模範授業を見せていただきまして、これはもう単にZ会に任すということではなくて、実に教育の体系化の中で自分たちのどうしてもできないものをZ会に差し上げているんだということだったですね。ですから感心いたしましたが、こうしたさまざまな各地域における教育委員会の取り組みというものもございまして、その工夫が今これから期待されるところであります。まさに学校教育の現場が変わりつつあるという認識を持っております。
 総合教育会議では、私が地域社会の全体の代表としてこの検討委員会でのさまざまな御議論を私が代表して申し上げるということを通して、私の恣意が入らないようにするというふうにしたいと。いわば縛りですね。私を縛るということで個人の主観が、あるいは教育の中立性が侵されるということがないようしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
 現在の検討委員会が、総合教育会議の文字どおり実働部隊として議論を深められるよう、平成二十七年度に向けまして委員会の所管やメンバーの拡充などについて具体的検討に入ります。今後は総合教育会議を十分に活用し、例えば新しい実学の奨励、社会総がかりの取り組み等について積極的に議論することにより、静岡県が目指す富士山のような人、有徳の人づくりに向けまして子供にとってよりよい教育環境を実現できるよう全力で取り組んでまいることをお約束いたします。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 二十三番 田口 章君。
       (二十三番 田口 章君登壇)
○二十三番(田口 章君) それでは要望を、済みません、三つ、再質問を一つさせていただきます。
 まず、要望の一つ目でありますが、財政健全化についてであります。
 積極的な歳入確保についても幾つか御指摘をいただきましたし、無駄の削減にも取り組むという強い思いが伝わってまいりました。やはりもっと強力に私は無駄の削減並びに歳入確保等々に取り組んでいただきたいということでちょっと要望したいんですけれども、まず最近自治体によりましては行政評価をもっともっと予算に反映していく、いわゆるPDCAサイクルを回すと言いますけれども、これを手法として取り入れているところがたくさん出ておりますし、また枠配分予算という制度ですとか、包括予算制度とか、予算の編成過程を公開するですとか、自治体によっていろんな今工夫をされております。ぜひ本県におきましても、これまで同様のやり方をつなげるのではなくて抜本的なそういう予算の組み立ての仕方を御検討いただきたいなと。これを要望させていただきます。
 また、私、質問の中でインフラの更新にお金がかかると申し上げたんですけれども、本県のバランスシートを見ておりますとインフラは非常に負債の比率が高いんですね、本県は。したがって、これはやっぱり持っているインフラの統廃合を恐らく他県に先駆けて検討していかなければいけないのかなという気がしております。もちろん財務諸表モデルの違いもあるものですから一概には言えませんけれども、ぜひこういう保有資産のあり方についても今後三年ぐらいかけて、財務諸表は統一基準になりますので御検討いただきたいなと。これをお願いしておきます。
 それから、要望の二つ目ですが、ブランド戦略です。
 知事の、これもふじのくに、富士山を核としたふじのくにづくりの進め方、これはよくわかりました。ただやはり量が集まると質になるというお言葉もありましたが、いささか本県は量が多くて、まだやっぱり私はまとまり感がないような、本当にもったいないと思っています。これはぜひ、二〇一六年のサミットに向けて本県の質を高める仕組みを早急に組み立てていただきたいなということをお願いしておきます。
 それから、教育行政制度についても一点御要望したいと思うんですけれども、やはりこれは知事のほうで先ほど、地域とともにある学校づくり検討委員会ですか、これを知事の意見を聞きながら恣意性が入らないということでお話しをいただきました。社会総がかりというのは、やはり私たちが求めているあるべき姿だと思いますので、ぜひこの点について今後総合教育会議の中でもしっかりと御議論いただきたいと思います。あと制度上の細かいところまだまだあるようでありますけれども、委員会のほうでまた今後議論していただければと思っております。
 再質問ですけれども、先ほど知事の文化プログラムの御答弁の中で、今後本県の音楽とか演劇とかこうした非常にすばらしい取り組みがたくさんあるけれども、このコラボに本気で取り組んでいきたいと、このようなお話がございました。音楽集団をつくりたいと。このような御発想もあったわけなんですけれども、もし具体的にそういう御検討をされているのであればお聞かせいただければなと思っております。以上です。御答弁お願いします。
○副議長(伊藤育子君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 文化プログラムについての再質問、ありがとうございました。
 演劇の都というように、フランスで静岡県が紹介されたというのは大変我々にとってはうれしいニュースでありました。一方、音楽は、西は浜松から東は沼津等までたくさんの楽器を奏でることのできる集団があります。しかし静岡県を代表する、例えば山形だとか群馬だとか京都だとか大阪だとか、あるいは九州にも幾つかございますけれども、そういう音楽集団が育っていないと。これはふじのくに交響楽団として予算を皆様方にお認めいただいて、過去五年間、大体五百万から始めて今千五百万ぐらいまで来ているでしょうか。ところが残念なことにこれがうまく機能していないということがわかりまして、一方ぜひプロのオーケストラをつくってほしいという要望は、県議の中からも民間の企業の中からも上がってきているわけです。もういよいよそれを本格的に考えるときが来たのではないかというふうに思っておりまして、しかるべき目ききを組織委員会として立ち上げまして、そして指揮者からバイオリニストから管弦楽団、木管、金管、打楽器も含めてオーディションをするというふうなことを通して、できれば静岡県に御縁のある方を呼び戻してプロのオーケストラをつくると。ただしプロのオーケストラは、例えば近く東京に十くらいあります。百人集団のN響や新日本フィルやたくさんございます。そうしたところと対抗してもやはり勝ち目がないので、むしろチェンバーオーケストラとでもいいますか、モーツァルトだとかシューベルトやベートーベンが活躍したころのオーケストラの編成ぐらいですね。五、六十人で十分間に合うのではないかと。これを考えるときが今来たということで、プロの演劇集団とプロの音楽集団というのを政令指定都市が二つもあるところで持っていないのは静岡県だけです。これを来年一年かけて、できるかどうかも含めて検討してみようというふうに考えているところであります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 二十三番 田口 章君。
       (二十三番 田口 章君登壇)
○二十三番(田口 章君) SPACも含めて、あるいは自立した組織になるようにぜひ頑張っていただきたいと思いますが、やはりやるのであれば、やっぱりより一層の無駄をなくすということもあわせてお願いを申し上げたいと思います。
 次の質問に移りたいと思います。
 次に、「命」をテーマとした政策から幾つか質問させていただきます。
 まず一点目は、地震・津波対策のうち、広域受援計画の見直しについてであります。
 県は、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三、この実現に向けさまざまな取り組みを進めております。ハード整備は非常にこれ、目に見えるわけでありますけれどもソフト政策というのはなかなかこれ、目に見えてまいりません。私が心配をしているものの一つに、発災時における受援体制の整備、これがございます。大規模災害が発生したときに、やはり県内だけで十分な応急対応というのは困難であります。本県では、私も議員になるときに調べましたけれども、東海地震に備えて既に平成十七年に広域受援計画を策定をして、全国に先駆けてこうした県外からの応援物資や人の受け入れ準備を進めてきたということでありました。しかしそれ以降、東日本大震災があり、またそれを踏まえた第四次地震被害想定の公表などがあり、当時からは大きくこの状況が変化をしてございます。特に南海トラフの巨大地震においては被災地域が相当拡大をすることが予想されておりますので、災害対策を行う人や物が絶対的にこれは不足をするというふうに思っています。
 本県では平成二十七年度末までにこの広域受援計画の再構築をすると、このように伺っておりますけれども、関係省庁との調整も終わりと伺っておりますが、時間はかかるかもしれませんけれどもやはり早急にこの計画の検証をして見直すべきと考えます。この点について、県の御所見をお伺いしたいと思います。
 それから、次に浜松市沿岸域の津波避難施設整備についてお伺いしたいと思います。
 浜松市の沿岸域では、三年後の平成二十九年度をめどにレベルワンを超える津波にも対応できる防潮堤の整備が進んでおります。しかし津波は、これは対応としてはやはり常に逃げるということを忘れてはいけないと思っています。そこで引き続き県内の市町と連携をした避難場所の確保というのが不可欠だと思います。このことは私も一義的には浜松市の役割というふうに承知をしているんですけれども、浜松の沿岸域におきましては県が都市計画決定をした遠州灘海浜公園、これを活用をして津波や浸水想定を考慮した緊急避難場所、救急救援ヘリポート機能を持つスポーツ施設、これの設置要望が具体的に浜松市から出されております。やはり安全・安心の確保というのは最優先の課題でありますので、この浜松市沿岸域の防災用の避難施設につきましても課題を整理して早急に進めていただきたいと、このように思っております。知事は十月十四日の定例記者会見におきましても県と市の関係部局による勉強会の設置を表明をしております。こうしたことを踏まえて今後県としてどのように進めていくのか、この件についてお伺いをしたいと思っています。以上について答弁を求めます。
○副議長(伊藤育子君) 岩田危機管理監。
○危機管理監(岩田孝仁君) 地震・津波対策についてのうち、広域受援計画の見直しについてお答えいたします。
 大規模災害発生時において一人でも多くの県民の皆様の命を守るためには、全国からの救援部隊や緊急物資を迅速かつ効率的に受け入れる体制を整えておくことが重要であります。現在国では、南海トラフ巨大地震に備え自衛隊や緊急消防援助隊など救援部隊の派遣規模や進出ルートなどに関する具体計画の策定を進めており、県といたしましても国に対し防災拠点等に関する情報を提供し計画の早期策定を要請するとともに、東日本大震災の教訓や静岡県第四次地震被害想定を踏まえた県の広域受援計画の見直しを進めているところであります。
 具体的には、富士山静岡空港において自衛隊、消防、DMATなどに加え在日米軍も参加した全国からの救援部隊の受け入れ訓練を行うほか、ふじさんメッセなどにおいて広域物資拠点の運営訓練を実施するなど県内の防災拠点の機能や配置などの実効性について検証しております。また新東名高速道路のサービスエリアやパーキングエリアが防災拠点として有効に活用できるよう中日本高速道路と協議し、ヘリポートの改善等を進めていただいております。
 これらの検証や関係機関との協議を踏まえ国の具体計画との整合も図りながら、広域受援計画の早期見直しに努めてまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 野知交通基盤部長。
○交通基盤部長(野知泰裕君) 地震・津波対策についてのうち、浜松市沿岸域の津波避難施設整備についてお答えいたします。
 浜松市沿岸域において、浜松市から遠州灘海浜公園篠原地区へ防災用避難施設機能を有するスポーツ施設の設置に関する要望があり、実現に向けた調整を図るため県と浜松市の関係部局による勉強会を先月立ち上げたところであります。当該地区は津波浸水想定区域であることから、この地域特性を十分に考慮した上で防災施設として必要な機能や規模等を定め浜松市の地域防災計画に位置づけるなどの課題整理が必要であります。またスポーツ施設といたしましては地形や気象条件との適合性、自然環境への配慮、交通アクセスの確保、関係競技団体との調整などの課題があります。さらに実現するためには多額の費用を要することから財源の確保も大きな課題であります。
 県といたしましては、浜松市が実施する津波避難対策との整合を図りつつ勉強会を通してこれらの課題解決に向けて積極的に取り組み、防潮堤整備と連携しながら地域住民の安全・安心の確保に努めてまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 二十三番 田口 章君。
       (二十三番 田口 章君登壇)
○二十三番(田口 章君) それでは済みません、簡単に再質問を一つさせていただきたいんですが、野知部長にお伺いしたいんですけれども、先ほど積極的に取り組んでいくというお話を伺ったんですけれども、今回浜松市のほうと幾つか話を私もしているんですけれども、今回県に対する要望を重点事項を二つに絞り込んでやっているという、非常に思いを持っているというふうに伺っております。そうした中で幾つか当然浜松市が取り組まなければいけない課題があるのも現実なんですけれども、やはり市として浜松市のほうから県に対して要望を出しているということは、私は県にもっと主体性を発揮して進めてほしいということのあらわれだというふうに感じております。その点について知事も非常に前向きな発言をこれまでいろんな場面で伺っておりますので、私は県にもっと積極的に、今申しましたが主体性を持って取り組んでいただくということを表明していただきたいと思うんですけれども、以上、この点について御答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(伊藤育子君) 野知交通基盤部長。
○交通基盤部長(野知泰裕君) 再質問についてお答えいたします。
 遠州灘の海浜公園につきましては、これまでも県と浜松市と協議をいたしまして、例えば中田島につきましても役割分担をしながら整備してきたという経緯がございます。今回の御要望につきましても特に地震・津波対策、これにつきましては喫緊の課題でございます。県といたしましても、スピード感を持って解決しなきゃいけない課題について対応方針の検討につきまして勉強会を先月浜松市と共同で立ち上げたところでございますので、浜松市とともに精力的に検討していきたいというふうに思っているところでございます。
 いずれにいたしましても、御要望につきましては津波避難施設、またスポーツ施設、両方の機能、これを有効に、また快適に利用していただくということが重要だと考えております。そのような視点から今後も施設のあり方について検討してまいりたいというふうに考えております。以上でございます。
○副議長(伊藤育子君) 二十三番 田口 章君。
       (二十三番 田口 章君登壇)
○二十三番(田口 章君) それでは、もう再々はやめて要望にとどめておきますけれども、今もお話ありましたが、やっぱり市と県がまたがる事業になっておりますので非常に役割分担が難しくて責任の所在が曖昧になりがちだというふうに私は懸念をしています。ぜひ要望ですけれども、県のほうで、ボールは市のほうから投げられていると思いますのでしっかりと受けとめて、これは主体的に動いていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。とりわけ来年度に向けては、いろんな予算措置など今後具体的な動きをぜひ示していただきたいということもあわせてお願いをしておきたいと思います。
 次に、子ども・子育て支援事業支援計画についてお伺いしたいと思います。
 子ども・子育て支援新制度が来年四月から施行見込みとなっておりますけれども、これはいまだに政令が出されておりません。さらにここへ来て消費税率の再引き上げを一年半先送りをするという方針が示されておりまして、財源がどうなるのかと非常に懸念をされておりますけれども、現場はもう既に走り出しております。この新制度の導入につきましては、やはり保育サービスの要件緩和ですとか認定こども園の普及、それから放課後児童クラブの拡充、地域の子育て支援の充実などなど非常に子育て環境の改善に大きな期待が現場のほうでも持たれていると思います。
 県内の三十五市町におきましては、これはもう既に住民ニーズに基づいて事業計画を策定中でありますし、県においても市町の取り組みの支援と同時に社会全体で子供と子育てを支援するふじさんっこ応援プラン、これの策定を進めていると伺っております。知事はこれまでも「生んでよし 育ててよし」のふじのくにということで進められておりますし、また子供を社会の宝と位置づけて子育てはとうとい仕事であると、こういう理念の普及にも努めていらっしゃいます。
 こうしたことを踏まえて、今後五年間にわたる県の施策の推進計画となります、このふじさんっこ応援プランの策定に当たりまして、どのようなことに重点を置いて取り組んでいくのか、ぜひ御所見をお伺いしたいと思います。以上について答弁を求めます。
○副議長(伊藤育子君) 宮城島健康福祉部長。
○健康福祉部長(宮城島好史君) 子ども・子育て支援事業支援計画についてお答えをいたします。
 現在策定を進めているふじさんっこ応援プランは、市町が策定した子ども・子育て支援計画を着実に推進するための支援計画であり、また次代を担う子供が健やかに育つ社会の形成を目指す次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画でもあります。
 本プランの策定に当たり県民意識調査を実施した結果、県民の皆様の理想の子供の数は二・四三人、実際に持つ予定の子供の数は二・〇一人となりいずれも二人を超え、本県が合計特殊出生率二を目標に少子化対策を展開していることと県民意識とが一致しているものと考えております。二人から三人の子供を持ちたいという願いがかなえられ、全ての子供たちが大切に育まれ子供たちの笑顔があふれる社会を築いていくことを目指し、このプランでは子育てはとうとい仕事を基本理念として社会全体で子供と子育てを応援し支えていく意識を高めてまいります。また本プランの対象の主役を子供とすることで、きめ細やかで子供の目線に立った子育て環境の実現を基本目標とし子供の発達段階に応じたサービスが受けられるよう、保育の質の向上を図るだけでなく身近な地域で親子の交流を促進する地域子育て支援拠点などの子育て支援事業を円滑に実施していくこととしております。
 今後とも、子育て支援に主体的に取り組む全ての市町と連携し、ふじさんっこ応援プランを着実に推進していくことで社会全体で未来を担う子供と子育て家庭を応援してまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 二十三番 田口 章君。
       (二十三番 田口 章君登壇)
○二十三番(田口 章君) 要望を一点だけさせていただきます。
 私、ちょっと冒頭もお話をしたんですが、財源がまだ定まっていないというのが一番私は問題だと思うんですね。市町がもう現場は動いておりますので、ぜひこれは国のほうに県としてしっかりと要望してもらいたいんですけれども、例えば臨財債なんかの追加などで交付をするんじゃなくてやはりきちんと、これは子供、子育てに使われる財源であるというものを確保できるように、これはしっかり県として働きかけをしていただきたいなと。このことをお願いしておきたいと思います。
 それでは、次の質問に移ります。
 安全運転教育のうち、まず子供の自転車事故の防止について。これは教育長にお伺いをしたいと思います。
 私は、昨年度高校のPTAの会長をやっておりました。登下校時に子供たちの自転車事故が多いということに驚いたわけなんですけれども、県のデータによりますと昨年の県内の高校生の自転車事故の件数は千百六十二件ということで伺いました。公立と私立の学校とを合わせますと一校当たり年間で約八件ぐらいの事故が起きているという計算になります。もちろんこれ、被害事故もあるんですけれども加害事故もございまして、これはもう全く別の問題ですけれども社会的には高額の賠償事例なんかも出てきていて、非常にやっぱり自転車の交通安全というのは大きな課題ではないかと思っています。そうした中で自転車事故の防止は大きな課題でありますが、家庭の中でしっかりマナーを身につけさせることがまずは重要だと思うんですけれども、やはり小中学校や高校における取り組みというものも重要になってくると思います。
 こうした事故の現状を踏まえた教育委員会としての取り組みについてお伺いをしたいと思います。以上について答弁をお願いします。
○副議長(伊藤育子君) 安倍教育長。
○教育長(安倍 徹君) 安全運転教育についてのうち、子供の自転車事故の防止についてお答えをいたします。
 児童生徒の自転車事故を防止するために、これまで交通安全に対する意識調査の実施や高校生による交通安全地域連絡協議会の開催、交通安全担当教員への効果的な研修の実施などにより、平成二十五年は交通事故死傷者数が前年に比べ一二%減少したところであります。しかしながら議員御指摘のとおり、高校生の自転車事故の発生は憂慮すべき状況にあります。保護者に対しても指導、協力をお願いしておりますが、特に新入学生徒の年度当初の事故発生率が高い傾向にあり、通学になれるまでの期間に発生する交通事故の防止が大きな課題となっております。
 このようなことから、児童生徒の発達段階に応じた安全教育を推進するため教職員用指導資料を作成し、小中学校では地域の実情を踏まえ学校間での共通の交通安全目標による指導や、高等学校におきましては加害事故による高額賠償事例を取り上げた研修会の開催など小学校から高等学校までの系統的な交通安全教育に取り組んでいるところであります。
 今後は、このような取り組みをより効果的に行うため実践事例を取りまとめ各学校に周知するとともに、関係機関と連携を図りながら自転車事故防止を重点課題として交通安全教育を一層推進してまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 二十三番 田口 章君。
       (二十三番 田口 章君登壇)
○二十三番(田口 章君) 御答弁からは非常に重点的に取り組んでいただくということで、積極的な姿勢がうかがわれました。ぜひ小中学校におきましても学校だけでなくてやはり地域とか、いろんなところを巻き込んでやっていただきたいと思いますし、高校も課外でやっていただけるということでこれは非常にありがたいと思っております。ぜひ積極的にやっていただければと思います。
 次の質問に移りますけれども、次にオートバイ事故の防止について。これは警察本部長にお伺いしたいと思っております。
 オートバイは本県の特色のある産業の一つでありますけれども、実は国内販売はピーク時の三百二十九万台に対しまして今四十二万台ということで激減をしております。こうした中でちょっとうれしいニュースがあったんですけれども、オートバイの免許の取得者が昨年久々に増加をしたというふうに伺っております。特にこれまでと傾向が異なっておりますのが若い女性層の取得などがふえておりまして、従来のオートバイのイメージとはちょっと変わってきているのかなというふうにも感じております。
 一方、このオートバイはやはり自転車同様操作ミスやあるいは事故などを起こしますと、どうしても四輪車に比べてけがをするケースがふえてまいります。業界団体もヘルメットや手袋、ブーツのほかにも保護装備を着用するなどの呼びかけをしているわけなんですけれども、私たちの年代も含めてリターンライダーと言われる人もふえておりまして、こうしていろんな層のオートバイ人気が高まってくる中で、やはり事故なく楽しく乗り続けるためには安全運転教育というものが私は重要ではないかと思っています。運転技能やマナーの向上で事故を減らすということも対策の一つになると思いますので、警察本部としてどのように取り組まれているのか、この点についてぜひお伺いをしたいと思っております。以上について答弁を求めます。
○副議長(伊藤育子君) 西川警察本部長。
○警察本部長(西川直哉君) オートバイ事故の防止についてお答えを申し上げます。
 原動機付自転車と自動二輪車の関係する交通事故の発生状況でございますけれども、昨年の本県の死者数が四十五人でございまして、県内の全死者が百八十四人でございましたので全体の二五%ということになります。全国平均ですとこれが一七%ということでありますので、比較いたしますとやや高い構成率を占めているかなというように思います。
 このような状況を踏まえまして、県警察ではオートバイの事故防止対策といたしまして業務でオートバイを使用しておられる事業所の従業員を対象とした講習会の開催、それから関係機関、団体と連携した街頭で車両点検や安全な乗り方に関するワンポイントアドバイス、さらに運転技能の向上及び法令知識の習得を図るための二輪車安全運転大会やキャンペーンの開催といったオートバイの利用者の運転技能の向上やマナーの向上を図る試みを行ってまいったところであります。また本年では新たに浜松市内で自治体あるいはオートバイの事業者の方、さらには関係団体との合同によります大規模なイベントを開催させていただきまして、交通安全パレードや運転技能指導を行うなど安全運転を呼びかけたところでございます。
 さらに、交通事故の際の被害軽減対策といたしましてオートバイ専用プロテクターやエアバッグジャケットといったものの着用を促進するために、これらを常時着用しております私どもの交通機動隊員がテレビ取材を受けまして、その重要性、必要性について呼びかけるなど安全装備の着用の普及に努めているところでございます。
 今後も、関係機関、団体とより一層連携を深めさせていただいてオートバイの事故防止に努めてまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 二十三番 田口 章君。
       (二十三番 田口 章君登壇)
○二十三番(田口 章君) 要望をさせていただきますが、今警察本部長からもありましたが、この夏、浜松でバイク・ラブ・フォーラムという大きなイベントが開催をされまして、この中ではオートバイと社会との共生ということも議論をされました。まだまだやはり社会にはオートバイに対してうるさいとか危ないとかこういうイメージを持っている方が多いという指摘もあったわけなんですけれども、やはりグッドマナーでオートバイを楽しんでいるライダーにとっては大変残念なことでありまして、ぜひ安全教育とあわせまして、これは要望でありますけれども本当にそういう危険な行為ですとか整備不良ですとか、そういうところへの対応もぜひよろしくお願いしたいと思っております。
 次に、高校生へのオートバイの安全運転教育について、これは教育長にお伺いしたいと思います。
 昨年、県内においてオートバイによる事故で九十九人の高校生がけがをしたということで情報をいただいております。平成二十五年――昨年ですが、オートバイで学校に通学をしていた高校生は――定時制高校が中心と伺っておりますけれども――定時制、全日制高校合わせて二十五校で百七十人いらっしゃったと聞いております。そうした学校では通学している生徒を対象に二輪車グッドマナー講習会というのをやっているということで、実技を含めた安全運転の講習をやっております。複数回受講する者も含めて延べで千百三十八人が受講しているというふうに伺っています。
 ところが、事故でけがをした生徒の学校というのは把握をしていないということでありまして、グッドマナー講習会を受講した生徒がけがをしたかどうかは全くわからない状況であります。恐らくけがをした生徒の中にはこうしたものを開催をしていないところの子供もいるのかなと思っています。先ほどは自転車のところで、御答弁で非常に積極的に取り組んでいただけるということだったんですけれども、私は自転車の交通安全教育をしっかりやるのであればやはりオートバイに乗る可能性のある学生に対しても交通安全教育をしっかりやっていただきたいと思うんですね。その中で交通ルールやマナーをしっかりと教えて、社会に出た後にもつながるようなこういう指導をすべきだと思うんですけれども、ぜひ教育長の御所見をお伺いしておきたいと思います。以上について答弁をお願いします。
○副議長(伊藤育子君) 安倍教育長。
○教育長(安倍 徹君) 安全運転教育についてのうち、高校生へのオートバイの安全運転教育についてお答えいたします。
 高校生のオートバイの安全運転教育につきましては自転車の安全運転や歩行中の事故防止等とともに、総合的に取り組んでおります交通安全教育の中で推進をしているところであります。具体的には警察や自動車学校の御協力のもと、オートバイによる通学を許可している生徒に対して運転技術の向上を目的とした実技指導や交通ルールの徹底と運転マナーの向上を目的とした安全指導を実施しているところであります。また各学校におきましては、交通安全教室や教科指導の中で交通安全教育普及協会等と連携しオートバイの安全運転に関する冊子やDVDなどの教材を積極的に活用しております。
 県教育委員会といたしましては、今後とも関係機関と連携を図りながら交通安全担当教員研修の充実や効果的な指導教材の普及に努めるなど地域や高校生の実態を踏まえたオートバイの安全運転教育を一層充実してまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 二十三番 田口 章君。
       (二十三番 田口 章君登壇)
○二十三番(田口 章君) 再質問させていただきたいんですけれども、今の御答弁ですと実質的に今やっていることを継続しているというふうにしか私にはちょっと感じられなかったんですけれども、今申しましたとおり現実的にこのオートバイの事故というのは起きているんですね。スマートフォンなんかでもよくあるんですけれども、結局使わせない、持たせないんじゃなくて正しい使い方を教えるというのが肝要じゃないかなというふうに思います。学校も社会の一員でありまして、やはり学校に在学中だけのことを考えるのではなくて社会に出た後のことも考えて、私は本気で高校生の安全を考えるのであれば、やっぱり可能性がある子供に対してはそういうのは教えるべきじゃないかなとこんなふうに考えておるんですけれども、再度教育長に御所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○副議長(伊藤育子君) 安倍教育長。
○教育長(安倍 徹君) オートバイの安全運転教育についての再質問でございますけれども、可能性のある高校生というのをどのように定義するかというのは非常に難しいところかなというふうに思いますけれども、先ほどの御質問の中でも未開催の学校の中にオートバイの事故で負傷した生徒もいるのではないかという御指摘もございましたので、先ほどの答弁の中ではオートバイの通学を許可している生徒に限定しておりますけれども、もう少しそういう意味では幅を広げて高校生による交通安全についての連絡協議会もありますので、そういうところで高校生みずからが考えるそういう機会も大切かなというふうに思います。
 いま一点は、三ない運動につきましてはこれはもう歴史的に昭和の時代から本県の高等学校におきましては県の高等学校のPTA連絡協議会と県の教育委員会のほうがこの方向を支持するという形で進めてまいりましたので、一応三ない運動というものは今後とも堅持をしていく方向かなというふうに思いますけれども、確かに乗せて指導をするという視点もございますので、この辺は例えば交通安全教室を実施する中で指導するというようないろいろな工夫をこれから考えていきたいなというふうに思っております。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 二十三番 田口 章君。
       (二十三番 田口 章君登壇)
○二十三番(田口 章君) 要望にしますが、先ほど私、可能性があると言いましたが、可能性があるという言い方が適切でないとすれば、あるいは希望者という言い方もあろうかと思いますが、やはりそういった子供に積極的に安全教育をするというのを考えていだきたいなと思います。みずからというふうに申し上げましたので。
 それから、三ない運動の話をされたんですけれども、この点御答弁があったので一言申し上げたいと思うんですけれども、私も去年高校のPTAの役員をやりましたが、私が出た場の中では三ない運動に関する議論というのはほとんどなされていません。ただ誰かが話をしてそういう結果を報告をしているのかもしれませんけれども、本当にそれで交通安全教育というのは議論がされているのかどうかということについてはもう一度ぜひ検証していただきたいなと思います。やはりPTAに話を聞きますと学校がというのを聞きますし、教育委員会のほうからはPTAだとこういう話も聞くわけでありますけれども、ぜひ責任転嫁をし合うのではなくて、お互いに子供たちにとってよりよい安全運転教育という方向でぜひ議論をしてもらいたいなと思っています。
 余計な話をしますけれども、ある県では高校生の三ない運動を見直して安全運転教育を実施するのが望ましいという依頼文書を警察本部長が教育長に出した県もあるんですね。それぐらいやっぱり真剣に社会全体で交通安全というのを考えていただきたいなというのを、これは要望ですけれどもしておきたいと思います。
 次の質問に移りますけれども、「豊」をテーマとした質問を二つ続けさせていただきます。
 エネルギー政策の推進についてお伺いをいたします。
 エネルギーは県民生活の基盤でありまして重要な政策の一つであります。これは需要と供給の両面から総合的に検討されるべきものと私は考えております。県は今どうなっているかと申しますと、エネルギーの供給側面としては、平成二十三年三月にふじのくに新エネルギー等導入倍増プランを策定して新エネルギーの積極的な導入に取り組んでいらっしゃいます。また小水力やバイオマスについては関係部局も含めて全庁的に取り組んでいるというふうに承知をしています。
 その一方で、エネルギーの需要の側面なんですけれども、これは東日本大震災後の県内の状況ですとか国の新たな温室効果ガス排出削減目標等を踏まえまして、ふじのくに地球温暖化対策実行計画、この見直しを現在進めていると聞いております。またあわせまして地球温暖化防止に向けた自発的な行動を促して省エネルギー社会の形成を促進する取り組みということで進めていることも承知をしております。
 このように、エネルギーの需給両面でさまざまな変化が最近起きているわけなんですけれども、やはり私は、その中で総合的に推進するには安定供給と新エネルギーの導入ですとかこういう供給側面と、それから省エネなどのような需要面の施策ですね、これを一体的に取り組んでいくべきだというふうに思っています。
 そして、これを効果的に進めるにはやはり部門の一元化ですとか総合的な戦略計画の立案、こうしたものが必要になるというふうに思っておりますけれども、ぜひ県の御所見をお伺いしたいと思います。
 次に、今後の経済政策についてお伺いしたいと思います。
 静岡県産業成長戦略会議の第四回会議が先月開催をされまして、本県版の産業成長戦略の方向性が示されております。大きく四つの戦略の柱に整理をされておりまして、これまで本県の屋台骨を支えてきたものづくり産業の活性化に取り組んでいこうと、この意図が大変強く感じられたと思います。
 一方で、これを一読して県内の状況を鑑みて幾つか私なりに感じたところがあります。例えば次世代産業の創出など将来に向けた種まきというのは、これは非常に期待できるものが多くあるなというふうに思ったんですけれども、その片方で消費税引き上げ後に国やお隣の愛知県などに比べて少々回復におくれが見られる。本県の足元の経済状況にどう対応するのかというのは依然として課題として残っているなという気がしてなりません。また企業誘致も大変具体的な行動に動いているという報告も聞いておりますし、規制緩和の検討もしているということなんですけれども、これも企業誘致は競争でありますので、今、圏央道周辺が非常にアクティブに動いているのに比べて本県では少し戦略的な立地・誘致計画が見えてこないなという気がしております。
 逆に、逆インセンティブになるような政策。例えば昨年も私申し上げたんですが、工業用水道料金の引き上げですとか、こうした逆インセンティブも相変わらず検討されておりますので、県全体の産業政策の整合性という点でどうなのかという疑問もあります。またウエブを使って海外への販路拡大をするという意見もありましたけれども、これも伺っておりますと食料品が中心ということでありまして、やはりものづくり産業のビー・ツー・ビーにはなかなか対応できていないという点もあろうかと思います。
 こうした幾つかの課題認識があろうかと思うんですけれども、これらをお踏まえいただいた上でぜひ今後の経済政策を御検討いただきたいなと思うわけでありますけれども、今回の産業成長戦略の狙いがどこにあり今後どのように進めていくのかということについてお伺いをしたいと思います。以上について答弁を求めます。
○副議長(伊藤育子君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) エネルギー政策と経済政策の二つについて御質問ございましたが、そのうちの経済政策についてお答えを申し上げます。 
 経済が今グローバル化しております。同時に国内市場が縮小傾向にあると。こうした経済環境の中で静岡県の経済が将来にわたり持続的に発展していくには、国内外の経済情勢の変化にスムーズに対応でき次世代産業が活発に創出される多極的な産業構造を構築していくことが重要です。私どもは総合計画で重点取り組みの一つに新成長産業の育成と雇用創造を掲げております。雇用創造につきましては、一応の三万人雇用創造計画というのは平成十九年、失業者が五万五千人、この数字を下回る五万四千までそれなりに達成したということでございますが、新成長産業を育成するということにつきまして官民一体で取り組むための産業成長戦略会議をこの三月に立ち上げ、既に四回議論をしていただいております。この会議におきましては、全国有数のものづくりの県である本県は、ものづくりの基盤技術の高度化や新事業分野への進出を促進することが必要であるという意見が多数を占めました。そのため航空機産業などの成長分野における共同受注体による一括受注や、海外ウエブ上に商品を紹介し海外輸出を拡大するなど中小企業が積極的に事業展開するための環境づくりに取り組んでいます。また新しい産業政策の視点として中堅企業というコンセプトが出まして、この中堅企業が本県経済成長の牽引役となれば県内の中小企業への発注を促進させる好循環を生み出すことになるという御認識で、この地域経済全体を活性化させるために中堅企業が国内外で新たな販路開拓や新事業を展開することが重要であるという認識を共有したところであります。今後成長分野へ積極的に挑む中堅企業をサポートする新たな組織の具体化について検討していくことといたします。
 なるほど、この成長戦略会議におきましては六次産業化、あるいはベンチャー企業などについては言及はなかったということでございますが、しかし六次産業化というのもこれはそれ自体を皆様方の間でも共有されているように、また県議御出身の浜松市におきましてはJAさんと商工会議所が一体になるというようなことを通して従来の産業別、一次産業とか二次産業とかいったのを取っ払って、最終的に豊かさを実感するためには最終消費者をしっかり見なくちゃいかんということでございまして六次産業化の視点を見失っているわけではありません。たまたま成長戦略会議では出なかったということです。それからまたベンチャー企業ですね。これにつきましては、ついこの間、本県ベンチャー企業のトップがTOKAIの鴇田さんですけれども、ここで全国の大会が開かれまして千人以上が来られました。そして私も含めて県の関係部局長全員出席いたしまして、これもベンチャー企業を静岡県は推しているんだという、これをアピールしたところであります。
 先ほども、エネルギー政策に関しまして供給側と需要側両方見なくちゃいかんと言いましたけれども、成長戦略においても同じですね。ですからこの成長戦略会議やあるいは現在政府のお進めになっている成長戦略というのは基本的に供給側なんですね。企業側なわけです。だけど豊かさというのは最後は生活者の中で、消費者の中で考えなくちゃいけません。しかも今個人消費が、この間の直近のGDPの成長率でほとんど貢献していないと。今全体としてマイナス一・六%という数字が出たわけですね。ですから国民所得は消費と貯蓄というものの和ですね。その貯蓄分を政府が財政支出やあるいはいろんな方法でお金を供給して、その貯蓄分を市場に供給するというふうにしてきたわけです。これもしかし私は行き詰まっていると思います。今需給ギャップはほとんどありません。ですからもう供給側はそれなりのアップ、アップまで来ていると。しからばいかにしてC――コンサンプションを伸ばすかと。これは全体の六割を占めております。
 それじゃ消費はどこで行われるのかというのは、個人消費という言葉をときどき新聞では家計消費というふうに言っています。これは訳語で、基本的にはハウスホールド・エクスペンディチャーという家計支出というものの訳なわけですね。だからこれはハウスホールド、すなわち家なわけです。家が狭ければ消費が伸びようがありません。ですから東京的にああいうマンションに住まっていると、ほとんどの人がマンションに住まわれているわけですが、置き場所がないので消費がふえようがないんですね。こういう問題についてやはりもっと真剣に考えるべきだと。コンサンプションはハウスで行われると。しからばハウスを大きくすればいいと。だから我々は暮らし空間数倍増計画というのをしているわけです。だけどこれは一気にできませんのでモデル的にやらなくちゃいけないし、家というのは不動産ですから大変大きなお金がかかりますから、そこにかけないようにして消費がふえるようにするにはどうしたらいいかと。それが定期借地とか定期借家ということで今防潮堤をつくっておりますがその一環として、もちろん先ほどの緊急避難場所として平時にはスポーツに使えるというのはこれはやらんといかんのです。
 膨大な土砂が要ります。私はその土砂がどこから来ているか見に行きました、この間。緊急消防隊の大会が関東一円のものがございまして、そこで十余りのところから来られました。そこにものすごい土砂が積み上げられている。それが緊急避難タワーとして機能するところのものなんですが、それ自体が昔からあったほどの大きなものです。どこから来ているか。全部阿蔵山から来ているわけですね。阿蔵山は浜松市が開発に失敗されているでしょう。それを私どもがいただきまして、そこにそういう、県が、あるいは市が土地を持ってそしてそれを又貸しすると。したがってお要りになる方は不動産代はいらないと。いわゆる所有しなくていいと。所有から利用、活用へということです。そういう空間をつくってさしあげたいと。今うちで考えているのは三百坪ですよ。三十坪じゃありません、三百坪です。建蔽率は二割、容積率は三割と。それだけで九十坪です。残り二百四十坪できますから。これは、じゃ、誰がやっているかというと別荘族は皆そうしているわけです。基本的に一千平米なんですよ。そこでは家が大きいので人が泊まりに来るとか、あるいはいろいろな家計消費が耐久消費財がふえてくるわけです。
 そうしたことをまず示してみたいと。東京では決してできない、こちらでできるということで、コンサンプション、六〇%を占めている、これを伸ばす方法を考えないといけないと。供給は需要のためです。生産は消費のためです。それが、今冒頭に言われた豊かさというのが実感される場所なので、消費を伸ばすための方策を我々は経済成長戦略の中で今考えていると。
 これはくらし・環境部。一見関係ないようですけれども、池谷君のところで彼が三百坪と言っているわけです。よく言ったと。六十坪じゃないんです。六十坪なら東京にもあります。しかし三百坪ですから。これは中山間地域に、いわゆる耕作放棄地も含めて余っているし、また空き家もたくさんあるんです。それからまたマンションについても通常ドア一つでしょう。だけどドア二つあってどうしてまずいんですか。二区画を持てば一つは玄関、一つは勝手口という形で使えますね。勝手口から何もかも全部入れるので、ですから人をお迎えするということを初めからしなくていいようなそういう構造になっているということがありますので、私はいかにしてハウスを、つまり消費の現場を大きくするかというのもあまり皆さんお気づきになっていないけれども、日本の数字が示しているのはそこを上げると。そしてまたサブプライムローンの失敗も、最終的に家を持てないような人たちにも金が貸されてそれが結果的に破裂したというのが最終的にリーマンショックに至ったわけですね。アメリカンドリームも最後は家なんです。家ならば日本でできると。いや静岡県で最も理想的にできると。なぜかというと首都圏からあるいは大都市圏から、西から東から両方から近いし。また本当の山間地――日本の中部地方の長野県だとか山梨県――そこから見ると海がある憧れの土地ですから、ここに出ていらっしゃいというふうなことを通しまして消費を上げていくという具体的な戦略を今十分に理解が得られないままですね、ようやく部長級には通じましたので進めていくということです。
 こうした生産と消費の両サイド、供給と需要の両部門から攻めの政策を展開いたしまして、そしてお金は金融界にございますので、その金融界が出しやすいように産業界や我々行政が一体になって産業成長戦略という会議を立ち上げまして、これを推進して未来につながる産業構造の、また消費構造のいわゆる静岡型ライフスタイルというものの提供を日本に向けてやっていきたいというふうに考えております。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 白井企画広報部長。
○企画広報部長(白井 滿君) エネルギー政策の推進についてお答えいたします。
 エネルギー政策は需要と供給の両面から取り組む必要がありますことから、県では後期アクションプランにおいてエネルギーの地産地消を重点取り組みとして掲げ、新エネルギー等の導入による小規模分散型のエネルギー体系への転換とライフスタイルの変革による省エネルギー社会の形成を促進しております。具体的には全部局で構成をします静岡県エネルギー戦略本部会議において、県有施設への新エネルギー設備の設置や民間事業者に対する支援など新エネルギー等の導入を官民連携して進めるとともに、県民運動ふじのくにエコチャレンジや省エネ診断などを通じ家庭や事業所における省エネ・節電の取り組みを促進しております。
 平成二十五年度末時点での新エネルギー等の導入率は七・八%であり着実に推移しておりますが、新エネルギー等導入倍増プランの目標である一〇%を前倒しで達成するためには新エネルギー等の一層の導入とエネルギー消費量の抑制を一体的かつ計画的に進めていく必要があります。このためエネルギーの地産と地消、それぞれが持つプランや計画を総合的に進捗管理する新たなビジョンの策定も視野に部局間の連携を一層強化し、全庁一丸となってエネルギー政策を推進してまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 二十三番 田口 章君。
       (二十三番 田口 章君登壇)
○二十三番(田口 章君) ありがとうございました。
 要望にとどめておきますけれども、知事から御答弁いただきました消費を伸ばすという発想。これは非常に、私も聞いていてもっと話を聞いてみたいなと思ったぐらいでありますけれども、やはり移住・定住まで含めて県民の幸せというのを考えたときには非常に重要な観点だと思いました。私もまた続けて研究をしてまいりたいというふうに思ったところです。
 それから、エネルギー政策なんですけれども、これはちょっと要望にさせてもらいますけれども、先ほど視野に入れて政策の一元化を考えていただけるというふうに伺いました。私、組織の一元化も含めて質問では取り上げさせてもらったんですが、この点については言及がありませんが、ぜひ引き続き検討してもらいたいと思っています。なぜこういうことを申し上げるかといいますと、従来の県の組織というのはどちらかというと国の省庁に倣っているものですとかあるいは予算の慣行によってできているとか、そういった考え方が多かったと思うんですけれども、やはり先ほどの話じゃありませんが県民の生活が中心でありますので、県民目線で見てどうなのかということですとかあるいは総合計画との整合はどうなのかということでやるべきだと思っています。ちょうど先週拝見をしましたら、新エネルギー導入倍増プランの評価の中ではこれは確かに後ろのほうに省エネルギーもついておりましたので、これがまさにそういう形なんだなと思ったんですけれども、総合計画をそうやって一体化していくのであれば、これはやっぱり組織のほうも一元化をしていただきたいというのを重ねて今後も検討していただければなということを要望しておきたいと思います。
 次の質問に移りますけれども、最後のテーマは「礎」というテーマで、今後の行政経営の手法について幾つかお伺いをしたいと思います。
 まず、市町への権限移譲のあり方と行政サービスの提供体制についてお伺いしたいと思います。
 本県はこれまでも日本一の権限移譲を進めてまいりました。現在、しかしながら事務処理特例条例制度で権限移譲されているんですけれども、移譲された事務権限につきまして都道府県――静岡県が市町に関与をし続けてはいけないと、こういう制度設計がなされているものですから、実際に市町の現場でどのように執行されているのかどうか、無理なく執行されているのかどうかというのを県の中では十分に検証できなかったんではないかなというふうに思っています。そこで会派、ふじのくに県議団では県議会の立場でこれを検証することが恐らく今後一層の権限移譲を進める際の一助になるんじゃないかなと考えまして、今回県内の三十五市町を対象に実態調査を行ったところです。
 この分析を行った結果、非常に評価の高い事業がある一方で課題もありまして、住民サービスを提供する行政の体制というのは事業によってこれはやっぱり最適化をしていく必要があるんだなということがわかりました。特に課題としては二十九の市町から専門職員の確保が難しいんだと、こういう声が聞かれております。とりわけ事務の頻度が少ないものについてはなかなかノウハウが蓄積されないと、こういう意見も出されております。特に法令に基づく届け出や受付を市町の窓口で受け付ける、それに対して立ち入り検査を行う場合なんかが出てくるんですけれども、こういうケースについて大変多くの市町から改善をしてほしいという要望をいただいているんですね。きょうは具体的にお示しは申しませんけれども、ぜひ今後調査データを御提供させていただきますので、事務処理体制の改善を進めてもらいたいなというふうに思っています。
 地方自治法第二条十五項にこんなことが書いてあります。「地方公共団体は、常にその組織及び運営の合理化に努めるとともに、他の地方公共団体に協力を求めてその規模の適正化を図らねばならない」というふうに書かれています。こうした法の趣旨に沿ってサービスの提供体制の適正化、事務によって図れるように、県として広域行政の役割を果たしてもらいたいなと思います。
 今後、事務処理体制を整備するには幾つかの手法が考えられると思っています。今回調査をしたところでは、市町からは県による補完――垂直補完と言いますけれども、これを求める声が多く出されていましたけれども、幾つかの市町からは機関等の共同設置などそういう検討もすべきではないかという声が出されていました。これは、今の二つは一部事務組合ですとか広域連合などに比べて仕組みが簡便で運用ができます。さらにことしの六月からは地方自治法が改正されて連携協約ができるようになりましたのでこうしたいろんな手法を使って、私はやはり住民にとってよりよい行政サービスを提供するための組織をつくっていくべきと考えますけれども、今後の県の考え方について取り組み方について御所見をお伺いしたいと思っています。
 次に、社会保障・税番号制度の導入に伴う住民サービスの向上策についてお伺いをいたします。
 社会保障・税番号制度。これはいわゆるマイナンバー制度と申しますけれども、来年の十月から付番が始まって平成二十九年にはサービス提供がもう始まります。こうした中、県としても関係条例の制定準備を進めていく必要があると同時に、この主体となる市町へのサポートというのが重要な取り組みになってくると思います。マイナンバー制度の導入で重要なことは単なるシステム変更で終わらせちゃいけないということだと思っています。ぜひこれを機に行政サービスをこれまでの申請型から提供型に変えることを進めていただきまして、行財政改革の手法として活用していただきたいと思います。マイナンバーが導入されますと、行政はマイポータルという住民個人のホームページのようなものを開設をいたします。これは県や市町からのお知らせをインターネットのマイポータルで好きなときにみんなが見れるようになるわけですね。マイポータルでは本人の家族構成や所得などがひもつけされておりますから、あなたが使えるサービスはこれですとか、あなたへのお勧め情報というのが行政から提供が可能になります。この提供可能なサービスというのは事前に条例で定めるなどの手続が必要になるわけですけれども、県におきましてもこういう提供型、プッシュ型のサービスをぜひ洗い出しをして住民に役立つサービス提供、これができるように取り組んでいくべきだと思いますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。以上について答弁を求めます。
○副議長(伊藤育子君) 下山経営管理部長。
○経営管理部長(下山晃司君) 市町への権限移譲のあり方と行政サービス提供体制についてお答えいたします。
 本県では、住民に身近な行政は住民に身近な市町が自立的に担い、市町には対応困難な広域機能、調整機能、専門的機能などを県が担うよう役割分担し、市町への権限移譲を積極的に進めてまいりました。しかしながら例えば環境衛生や消防保安等の立入検査を担う専門職員が不足するなどの人材の問題や事務処理件数が少なくノウハウが蓄積されないといった問題など県から移譲された事務を執行していく上でさまざまな課題もございます。このため権限移譲を進めるに当たっては、専門的な知識経験を有する県職員を派遣する人的支援や権限移譲交付金による財政的支援、確実な事務引き継ぎに向けた研修などの支援措置を一体的に講ずることとし、本年三月に策定いたしました第二期ふじのくに権限移譲推進計画にもこの方針を盛り込んだところであります。加えて受け皿となる体制整備についてはふじのくに県議団の調査結果も踏まえまして、地方自治法の改正により新たに導入された連携協約制度の活用を含め市町間の広域連携について検討してまいります。具体的には、本年度市町と県の総意で設置いたしました行政経営研究会の地方公共団体間の連携部会において、市町から連携の要望が強い消費生活相談体制をテーマとして機関等の共同設置など広域連携の具体化について検討を進めております。
 今後は、市町の皆様の御意見を伺いながら、こうした検討手法をその他の行政分野にも拡大していくことで住民にとってよりよい行政サービス提供体制の整備を目指してまいります。
 次に、社会保障・税番号制度導入に伴う住民サービスの向上策についてであります。
 社会保障・税番号制度、いわゆるマイナンバー制度は、社会保障制度や税制の効率性、透明性を高め国民にとって利便性の高い公平公正な社会を実現するための社会基盤であり、行政の効率化や県民の利便性向上のみならず地域の課題を解決するための有力な手段にもなり得ることから、地域独自の創意工夫を凝らした活用が期待されるところであります。この制度は国、地方、民間にわたり過去に例を見ない規模の情報基盤整備でありますことから、平成二十五年七月に社会保障・税番号制度導入に関する庁内連絡会を設置し、制度の確実な導入に向けまして情報提供や進捗管理の支援などにより市町をサポートしているところであります。
 その上で、本年三月に策定した新ふじのくにICT戦略に基づき市町と共同で自治体クラウドを推進するとともに、行政経営研究会のテーマとしてプッシュ型サービスの内容を具体的に研究することで、マイナンバー制度の積極的な活用による便利で利用者負担の少ない県民本意の行政サービスの実現を目指してまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 二十三番 田口 章君。
       (二十三番 田口 章君登壇)
○二十三番(田口 章君) 御答弁ありがとうございます。
 両方とも、市町のサービスがもしかすると基本になるので要望で結構ですが、ぜひ自治局の皆さんと、さっきのマイナンバーなんですけれども、情報政策部門の連携をよくとっていただきまして、市町をサポートしていただきたいなと思っています。やっぱり市町でシステムを変えるというのは、それこそさっきの話じゃないですが、担当職員の数も少なくて専門性も本当に十分かどうかというのは難しいところがありますので、これこそがまさに県がサポートしていくべき事業だと思っています。ぜひ両方とも、課題はたくさんあると思いますけれども、行政経営研究会、せっかく今年度設置をしていただきましたので十分に活用をしていただくことをお願いをしておきます。
 それでは次の質問に移りますが、最後に、富士山静岡空港の経営改革についてお伺いしたいと思います。
 富士山静岡空港は開港五年を迎えまして、新たに今年度フェーズツーの取り組みがスタートをいたしました。昨年度までは利活用促進と管理運営を別の部門でやっておりましたけれども、今年度から一体化、一元化をまさにしていただきましたので、これからが空港経営の正念場になるのかなとこんなふうに思っています。
 今後の取り組みとして重要なのは、いかにフェーズスリーですね、五年後に控えたPPPコンセッション方式の導入に向けていかに、さらにどのように民間活力の導入につなげていくかということだと思っています。このPPPによる官民連携というのは今後も行政経営手法の鍵になると思いますので、この際よく庁内全体で検討すべきだと思っています。
 例えば私は、まず経営戦略をここでしっかり立てることが重要だと思っています。まずやはり中長期の見通しをしっかり立てることだと思います。特に先日総務委員会の視察で仙台空港のお話を伺ったんですけれども、このコンセッション期間は三十年で、プラス三十年で最長で六十五年というような壮大な事業規模で行われると伺いましたので、そういった意味では中長期の見通しを立てるというのは必須だと思っています。さらに私がそこでちょっと聞いた話では、三百万人を超える利用者を持っている仙台空港と富士山静岡空港ではやはり経営環境に大きな違いがありますので、本県において採算割れの事業のコンセッションになりはしないかという心配をしております。やはりいろんなリスクに今備えておく必要があるのかなと思います。
 それから、長期見通しの中では、現在ターミナルビルの増改築をしているわけですけれども施設の小規模メンテナンスは恐らく民間事業者がやることになると思うんですけれども、ライフサイクルコストがどうなっているのか。メンテナンス費用なども考慮して設計されているのかちょっと気になるところだと思っています。ターミナルビルの取得価格は二十一億円、そして今度の増改築が予定工事費で三十三億と伺っておりますけれども、このイニシャルコスト五十億円を超える大きな事業は、仮に民間的な計算でいきますと、これは減価償却費で置きかえるとすごい大きなコスト負担になるんですね。県でこういう試算をしているのかどうかもちょっと私は心配をしています。
 以上、若干意見を申し上げながら伺いますけれども、コンセッション方式を今後導入するに当たっての今後の取り組み、それから今考えておかなくてはいけない課題、これについてお伺いをしたいと思います。
 また、あわせまして将来の旅客需要を踏まえた中長期の経営計画、これをお示しいただく必要があると思うんですけれども、その点についてもどうお考えになっているかお伺いをいたします。以上について答弁を求めます。
○副議長(伊藤育子君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 富士山静岡空港の経営改革について御答弁申し上げます。
 効率的で利便性の高い空港運営の実現には民間活力の導入が必須です。富士山静岡空港はいち早く指定管理者制度を導入して成果を上げてまいりました。この取り組みをさらに進化させるべく、空港の運営そのものを民間に委ねる公共施設等運営権制度の導入を目指しています。早ければ、現在の指定管理期間満了後の平成三十一年度にはこの制度を導入してまいりたいと考えています。この場合、二十九年度には民間事業者から空港運営への参画を表明していただいて翌三十年度に契約手続をするという段取りにならねばなりません。
 これを進める上では、まずは長期的な観点から空港収支見通しを立て、これを踏まえたビジネスモデルが民間業者が空港運営に参加するか否かを判断するときの材料になると思うわけです。そこで私どもは、差し当たっては後期アクションプランに年間七十万人の利用者を早期に達成するというふうに掲げておりますので、この目標に向けてあらゆる手段を講じてまいります。一方、制度の導入手続が進んでいる仙台空港や海外における空港民活化の事例などを参考にして、県と民間事業者の役割分担を整理して中長期の経営戦略を早期に策定するという心づもりでおります。
 県としましては、全国の地方管理空港に先駆けまして公共施設等運営権制度を活用した静岡県独自の静岡型の空港経営方式を導入し、地域の発展に資するのはもとより一層効率的で利便性の高い空港運営の実現を目指してスピード感を持って取り組んでまいるという考えでおります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 二十三番 田口 章君。
       (二十三番 田口 章君登壇)
○二十三番(田口 章君) 再質問をさせていただきたいんですけれども、今知事からも御答弁がありましたが、今最速でいきますと二十九年にはもう事業者の決定をしていきたいということであります。非常にそれを考えますと、今すぐにいろんなことを考えておかなければいけないと思っています。そうなりますとやはり今、私、課題は何かというお話をしたんですけれども、課題についての御答弁がなかったかと思うんですが、私はこれ、いろんなリスクがあると思うんですよね。まず今把握をしているリスクについて御答弁をいただきたいんですけれども、例えば私は、今現在においてもキャッシュフローベースで約年間五億円ほどの赤字が出ておりますので、これがどれぐらいの利用者が来ればよくなるのか悪くなるのかとかそうした試算をしっかりと把握してから臨む必要があるというふうに思っております。そこらあたりの課題といいましょうか、リスクと申しましょうか、その辺のところをもう一度、もしわかっていないならこれからいつごろまでに明らかにするのかということを含めてお聞かせ願いたいと思います。以上について答弁をお願いします。
○副議長(伊藤育子君) 服部静岡県理事。
○静岡県理事(服部真樹君) 今後、コンセッションに入る上での課題は何かということについて御質問をいただきました。
 今後、中長期の経営戦略の策定を二十九年度に事業者の方々から御判断をいただくための材料として策定してまいります。その策定の中で、今おっしゃられたキャッシュフローベースでの赤字を、今五億円の赤字が出ておりますけれどもそれをどうするのか。そういったことも含めて、そして利用者の増加の見通しですとか、あるいは今後の利用者の、増加するか、それからさらにどういったトレンドでふえていかせるのかといったような経営戦略も含めて、その中で具体的に検討していきたいというふうに思っております。まだ今すぐにいろいろやらねばならないというところはおっしゃるとおりではございますけれども、今後管理運営を進めていくに当たっていろいろ課題はございますけれども、この二十九年度に向けて全て、いろんな先進事例ですとかあるいは海外の事例とかを今調査して勉強しているところでございます。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 二十三番 田口 章君。
       (二十三番 田口 章君登壇)
○二十三番(田口 章君) 要望を一つと再々質問を一つさせてください。
 ちょっと再々質問を先にさせてもらいたいんですけれども、今課題を明確にすべきであると。いつごろまでに明確にするか明らかにすべきだという質問をしたつもりです。今お話を聞いたとおり、二十九年度にはもう事業者を募集したいということで、例えば来年度にはもう事業スキームの検討をするというようなスケジュールも示されているんですね。この中では本当に今すぐにでも、こういう課題があって、こういうふうな解決策をとらなければいけないというものがないと間に合わないんじゃないかなという気がするんです。この点についてちょっともう一度聞きたいと思います。
 最後の登壇なので、ここで要望を再度述べたいと思うんですけれども、今のお話を聞いていて感じたことなんですけれども、やはり今後の行政経営には恐らく民間的な考え方というのがかなり必要になってくるんだろうと思うんです。今回のコンセッションもそうなんですけれども。それから考えますと、例えば先導的空港経営検討会議では今回も監査法人の人に入ってもらったり民間企業の人に入ってもらったり、いろんなアドバイスをもらってやっているんですね。これは空港事業に限らずこれからはいろんな県の事業に幅広くそういうことが必要になってきますので、ぜひそういう意味で民間感覚がわかる人、それから新たな民間的な会計制度のわかる人を、もっと県の職員の中で育成をする必要があるというふうに思うんですね。そのあたりで県の今後の人材育成も、ちょっとこれは所管が違うのであれなんですけれどもお願いをして要望させていただき、最後に再々質問にお答えをいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○副議長(伊藤育子君) 服部静岡県理事。
○静岡県理事(服部真樹君) もう一度、ちょっと課題のほうを整理してお答えさせていただきます。
 今後、空港の利用動向等を分析するということ。それから空港の経営戦略の検討をするということに加えまして、まず空港の関係のいろんな資産がございますが、こういったものを今後維持管理していくに当たって必要な資産の情報を、資料を整理して、それらがどれぐらいのライフサイクルでメンテナンスが必要になってくるのか、こういったものの整理をする必要がございます。そのほか運営事業について今後検討課題を整理していくということ。それから民間事業者、特にこの事業に関心のある方々との意見交換を積み重ねていくといったようなことで二十七年度、二十八年度、この経営戦略というものを長期的に整備していきたいというふうに思っております。以上であります。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp