• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

鈴木 利幸 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/17/2011

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 新総合計画の推進について                    
2 財政運営について                        
 (1) 平成二十三年度当初予算編成                  
 (2) 今後の地方財政のあり方                    
3 新総合計画の着実な実現に向けた組織体制について         
4 事業仕分けについて                       
5 県と政令指定都市とのあり方について               
6 本県の戦略物流ビジョンについて                 
7 富士山静岡空港の利活用促進戦略について             
 (1) 航空ネットワークの充実                    
 (2) 経済波及効果の評価                      
 (3) 空港ティーガーデンシティ構想の具体化             
8 看護職員の確保について                    
 (1) 需給見通しの結果を踏まえた今後の対策            
 (2) 静岡県立大学における看護教育の充実              
9 県民が安心して暮らせる地域医療の再生について          
10 県内企業の新成長分野への進出支援について            
11 強い農業の構築に向けた取り組みについて             
12 新農山村整備長期計画について                  
13 林業振興の取り組みについて                   
14 教育振興基本計画におけるキャリア教育について          
15 平成二十三年における警察運営の重点について 



    ○副議長(岩瀬 護君) 質疑及び一般質問を行います。
     通告により、五十二番 鈴木利幸君。
           (五十二番 鈴木利幸君登壇 拍手)
    ○五十二番(鈴木利幸君) おはようございます。
     私は自民改革会議を代表して当面する県政の諸課題について、知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長に質問いたします。
     質問に入ります前に、先ごろ宮崎県を初め近隣の愛知県などで高病原性鳥インフルエンザが発生しました。また韓国では口蹄疫の被害が深刻であるとのことであります。防疫対策は迅速な初動体制が重要であることから、一斉消毒や富士山静岡空港での検疫体制の強化など本県の畜産業に被害が生じないよう万全な危機管理体制のもと、県民の安全・安心の確保に努めていただくよう要望いたします。
     それでは質問に入ります。
     初めに、新総合計画の推進について伺います。
     今議会に提案されている平成二十三年度当初予算案や組織改正は、新総合計画実現のための第一歩となり、その推進の礎となるものであります。新総合計画は全議員が議論に参加して意見を提出するなど積極的に策定に参画しともにつくり上げた計画でありまして、ぜひ本県の豊かな未来に向けて、これからはその着実な推進を期待するところであります。
     知事は、ことしはうさぎ年その跳躍力にあやかり飛躍的な事業推進を目指し、また一方で対極に比較されるカメのごとく現場を直視しこつこつと着実に進むとの決意を述べられています。また新総合計画の基本計画は四年間の計画でありますが、前倒せるものは前倒しして実現していく覚悟との、知事の力強い発言があったことも記憶しています。
     折しも、本年七月には知事の任期が折り返し点を迎えることになりますが、新総合計画の着実な推進に向け来年度の県政運営の基本方針について伺います。
     次に、財政運営についてのうち、平成二十三年度当初予算編成について伺います。
     平成二十三年度当初予算は、新たな総合計画のもと川勝県政がどのように施策を推進していくのか、県民の期待と注目が集まる中での予算編成であったと思います。
     我が国の経済は、家電、自動車の補助金などの緊急経済対策により一たんは持ち直しの兆しが見られたものの、駆け込み需要が終了すると先行きに対する不安や警戒感が充満しており、さらには円高の長期化により本格的な景気回復はいまだ途上と思われます。雇用情勢も本県の有効求人倍率は昨年十二月現在で〇・五三倍と依然全国平均を下回っており、さらに大学生の就職内定率も前年より悪化しております。
     このような中、国が策定した平成二十三年度地方財政計画では、地方交付税が五千億円増額となるなど地方に対する一定の配慮がなされていると評価いたしますが、社会保障関係経費の増が見込まれるなど地方にとっては前年度に引き続き厳しい状況にあることに変わりはありません。しかしながら厳しい財政環境であっても、県民生活を守るために必要となる喫緊の課題への対応と将来への投資をバランスよく行い、活力ある本県の将来を切り開いていくことが望まれていると私は強く思います。
     我が党は昨年十二月、行政の継続性を重んじて、県民満足度の向上に向け真に県民が求める施策立案に心がけ、新しい総合計画に沿って着実に県政運営を行うよう経済・雇用対策の強化、医療・福祉の充実、安心・安全な地域社会の創造、行財政改革の推進など八つの分野における重点項目に配慮した予算編成を知事に要望したところであります。
     知事は、総合計画の実質スタートとなる来年度、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを実現するため、我が党の要望も踏まえてどのような事業に重点化して当初予算を編成したのか伺います。
     次に、今後の地方財政のあり方についてであります。
     国の平成二十三年度当初予算案を見ますと、依然として巨額の財源不足を赤字国債で補てんする構造は変わらず、来年度も三十八兆円もの赤字国債を発行する見込みとなり、三年連続で国債発行額が国税収入を上回る異常な状態が続いています。こうした状況を受けてか先月にはアメリカの格付会社が日本の国債の長期格付を引き下げています。一方地方自治体が発行する地方債は、道路や河川などの社会基盤整備や学校などの公共建築物の建設に充てられるもので、国のような赤字国債の発行は許されておりません。
     本県の県債残高は、平成二十三年度末で初めて二兆五千億円を突破する見込みであり、このうち国の財政状況が厳しいため地方交付税のかわりに県債を発行して対応するよう国から割り当てられる臨時財政対策債の残高は約六千三百億円で、この二年間で二千五百億円もふえております。一方通常債の残高は二年間で約九百億円減少し一兆八千億円台まで抑制してきていますが、臨時財政対策債がこれほどまでに増加するのではまさに焼け石に水状態です。また歳出については今後、社会保障関係費や公債費等の義務的経費の増加が確実に見込まれており、厳しい財政運営を強いられることになるとだれもが認識しているところであります。
     もちろん、財源不足解消に向けて事業仕分けや補助金の見直しなど徹底した行財政改革を行い、県として汗を流すところはしっかり取り組んでいく必要があると私は思いますが、こうした取り組みにも限界があります。もはや地方財政の健全化は、地方自治体の努力だけでは実現困難な状態に陥っているのではないかと考えますが、今後の地方財政のあり方について知事の所見を伺います。
     次に、新総合計画の着実な実現に向けた組織体制について伺います。
     県では、平成十九年度当初の組織改正において、本庁における事業実施部門の大くくり化や国の省庁に対応した縦割り組織の見直しにより、産業振興、社会基盤整備など目的指向型の組織体制を整備してきたものと認識しております。
     しかし、一方で農業振興部門における「担い手育成、栽培技術の普及・開発」と「農地基盤整備」や、林業振興部門における「需要に対応した県産材の供給」と「林道などの基盤整備」、水産業振興部門における「漁場整備」と「漁港の計画、整備及び管理」など、従来は同一の部で所管されていた業務を再編後において別々の部で所管することとなりました。こうした部署にあっては、関係する部門間の調整機能を強化すべきではないかとの意見も聞かれているところであります。
     今年度当初、県は新しい総合計画の策定を踏まえた組織改編を行ったところでありますが、時々の課題等に即応した施策を効果的に展開するために、このような相互に関係の深い業務を執行する部署間にあっては、事業執行に係る部門間の調整を効率的に進める取り組みが必要なのではないかと考えております。
     県は、新しい総合計画の着実な実現に向けて、日々高度化、複雑化する行政課題に迅速かつ的確に対応するため、来年度の組織体制においてどのような対応を考えているのか、所見を伺います。
     次に、事業仕分けについて伺います。
     県は、昨年九月に実施した事業仕分けで対象となった百三の事業を初め、対象以外の関連する事業についても事業仕分けの意見を反映して見直しを行い、来年度予算案を作成されました。この事業仕分けについては、多くの県民が県の事業を理解するよい機会になったと思いますが、そのやり方には多くの課題があると考えており、こうした事業仕分けの結果は決してうのみにするべきではないということをこれまでも何度も県当局にお願いをしてきたところであります。
     今回の事業仕分けの対象となった県営農業基盤整備事業は事業仕分けで「不要」と判断されました。地方の大切な産業基盤である農地の基盤整備を行う事業について、事前に視察やヒアリングを行わない仕分け人から確たる判断基準もなく短時間で「不要」と評価され、マスコミ等を通じてあたかもその評価が決定事項と認識されてしまうのは大きな問題であります。
     そもそも政策や事業を行うか否かの判断は政治の役割であります。単に効率性のみをもって判断基準とし、事業の可否について責任を持たない一部の県民に判定させるのは、議会はおろか知事みずからの存在意義もなくなり二元代表制民主主義の自殺行為と言えます。県営農業基盤整備事業は結局県が「改善」と判断し、事業を見直しながら継続で来年度予算案に計上したわけですが、こうした事業も多いのではないでしょうか。
     そこで、まず来年度予算案への事業仕分けの結果の反映状況について伺います。
     また、来年度も事業仕分けを継続していくのであれば、今のままの手法ではなく課題をしっかりと修正していただきたいと思っております。私としては外部の意見を参考に事業の見直しを検討することはよいと思いますが、短時間で「不要」と決めつけるような判定方式についてはぜひ見直しをしていただきたいと強く希望いたします。
     二年間の事業仕分けの経験を踏まえて、県では来年度どのような方法を検討しようとしているのか、その考えをあわせて伺います。
     次に、県と政令指定都市とのあり方について伺います。
     県と静岡市は、静岡市が政令指定都市に移行する際に締結した基本協定に基づき、経過措置としていたこども医療費助成、母子家庭等医療費助成、重度障害者医療費助成の三つの県単独事業である福祉医療費助成について、平成二十三年度以降県からの補助を継続するかどうかについて協議を行いました。
     その結果、知事は基本協定の原則に立ちけじめをつけるとして、静岡市への福祉医療費三助成の経過措置については、一年に限り補助率を現行の半分に引き下げて助成を継続し、平成二十三年度をもって経過措置を終了するという結論を出しました。この経過措置の取り扱いについては、市や市議会から要望、意見が出されたほか県議会の会派からも要望が出され、知事はこうした状況を踏まえあわせて県民の福祉・医療に関することを重視し、総合的に判断されたものと考えております。
     県においては、今後の地域の自立に向けて基礎自治体の体制整備を重要事項と位置づけており、特に政令指定都市については他の市や町と異なる財政基盤を有しているため、政令指定都市が自立すべきとの方向で結論を出されたこと自体に異論はありません。しかし今後本県がさらなる発展をしていくためには、人口の四割を占め地域の中核的な基礎自治体である静岡、浜松両市と広域自治体である県との間で適切なコミュニケーションを図り円滑な関係を築いていく中で、両市が独自の行政運営を行い自立していくことが不可欠であると考えます。
     現在、政令指定都市は「特別自治市」構想を提唱し、広域自治体と同格の自治体となる考えを明確にしておりますが、県はこうした自立に向けた政令指定都市の提案をどのように受けとめどのように対応していくのか伺います。
     次に、本県の戦略物流ビジョンについて伺います。
     静岡県は、東西の大動脈となる東名高速道路、清水港、田子の浦港、御前崎港などの交通基盤を持ち、東西交通の要衝としての地理的条件を生かしものづくり県として経済を発展させてきました。さらに新東名高速道路の県内の早期開通を初め、中部横断自動車道や三遠南信自動車道の整備が進展するなど、高速交通ネットワークが充実してきております。陸の交通基盤の整備だけではなく、富士山静岡空港の開港や御前崎港の重点港湾の指定など空・海の交通基盤も整備され、経済が発展する要因となる本県における人や物の交流が今後大いに拡大し、これらの交通ネットワークを活用して物流産業が新たな産業として発展する可能性も高まってきていると感じております。
     県では、去る一月二十八日ふじのくに物流シンポジウムを開催し、本県が交通の要衝であり物流拠点としての魅力的な点や、今後物流産業が発展する可能性が高いことを示すとともに、新しい物流システムを導入することにより、物流産業だけではなく本県のものづくりの産業を活性化する可能性についても示されたところであります。私は、このシンポジウムを通じて本県の物流に関しての高いポテンシャルと将来性を確信することができ、行政も物流施策についてしっかりと取り組んでいく必要があると強く感じたところであります。
     そのためには、本県が持つ物流に関する潜在能力を生かし、物流産業の振興を初めとした物流全体についての戦略的な取り組みが重要であると考えますが、県が来年度策定する戦略物流ビジョンとはどのようなものであるのか伺います。
     次に、富士山静岡空港の利活用促進戦略のうち、航空ネットワークの充実についてお伺いします。
     富士山静岡空港の開港により静岡県は上海、ソウルや国内遠隔地と直接結ばれ、ビジネスや観光、文化、スポーツなどさまざまな交流の可能性が開けました。
     国の国土形成計画においては、新しい国土像実現のための戦略的目標として東アジアとの円滑な交流、連携を第一に掲げており、東アジアとのネットワークを強化することにより産業競争力の強化を図っていくとしています。
     今後の静岡県の発展を考えれば、成長の著しい東アジア地域とのつながりを強めていくことが重要であり、そのためには本県と東アジア地域を結ぶ航空ネットワークの充実強化を図っていく必要があります。そうした意味で県が策定した新総合計画において航空ネットワークの充実を目指すこととし、従来の利用者数の指標に加え新たに就航地域数、富士山静岡空港の貨物取り扱い量を指標として追加したことは、富士山静岡空港の利活用の方向性を明確に示したものと評価しているところであります。
     富士山静岡空港の航空ネットワークを充実していく上では、成田空港や中部国際空港のような大空港を目標とするのではなく、大型機でなくともよくまた週に数日運航するダイヤでもよいので多くの地域と航空ネットワークで結ばれた地方空港を目指すべきであります。このためには就航先をふやすことが重要であり、航空会社への支援を初め官民が一体となった取り組みが重要であると思われますが、県の今後の取り組みについて知事の所見を伺います。
     次に、経済波及効果の評価について伺います。
     知事が積極的に進めようとしている地方と外国とが直接交流を進める地域外交にとりましても、富士山静岡空港の必要性はますます高まるなど空港の供用による県内経済への波及効果が期待されております。
     空港建設当時、県民等から空港の必要性や多額の財政負担などに対する疑問の声が出される中で、県は平成十五年に空港開港後一年間の県内経済への波及効果額を約五百六十億円と試算し公表したところであります。その後さまざまな困難を乗り越えてようやく開港した富士山静岡空港における開港後一年間の空港利用者数は約六十三万人と需要予測とは大きく乖離していることから、さきに述べましたとおりさらなる航空ネットワークの充実を図り、利用者をふやしていくことが求められております。また開港初年度の空港収支について、昨年十二月に企業会計の考え方による減価償却費等を含め約十六億円の赤字が見込まれると公表していることから、富士山静岡空港への漠然とした懸念を抱いている県民が多いのではと憂慮しているところであります。
     このような中で、先日の知事の説明では県内経済への波及効果が約二百四十五億円と示されましたことから、改めて富士山静岡空港が果たしている社会資本としての役割を県民の皆様にわかりやすく説明し、御理解いただくことが大変に重要なことであると考えております。
     そこで、まずは県として今回公表された経済波及効果をどのように評価しているのかお伺いします。
     次に、空港ティーガーデンシティ構想の具体化について伺います。
     富士山静岡空港の魅力を高め、空港周辺のにぎわい空間を創出するための空港ティーガーデンシティ構想が昨年末にまとまり、今後順次構想を実現する取り組みが始まると期待をしております。
     これからの空港は、空港利用者だけでなく空港や空港周辺を訪れる見学者を集めることも地域経済への波及効果の面からも重要なことと考えます。昨年十月にオープンした東京羽田空港の国際線旅客ターミナルは観光スポットとして大変なにぎわいを見せておりますが、富士山静岡空港においては開港時のにぎわいからやや陰りが見られ、空港及びその周辺の魅力を高めていくことが重要と考えます。
     そこで、今後空港ティーガーデンシティ構想をどのように具体化し、空港及び空港周辺の魅力を高めていくのか伺います。
     次に、看護職員の確保についてのうち、需給見通しの結果を踏まえた今後の対策についてであります。
     県が昨年十二月に公表した、平成二十三年から平成二十七年までの看護職員の需給見通しによりますと、平成二十七年の需要数が三万七千二百九人、供給数が三万六千三百四十八人で充足率は九七・七%と、おおむね需給は均衡するとしております。しかしながら平成二十三年から平成二十五年までは毎年千五百人程度の看護職員が不足するとしており、予断を許さない状況であると思われます。
     現在の医療を取り巻く環境は、少子高齢化の進展、医療技術の進歩等により変化してきており、その中で看護職員が必要とされる場は病院や診療所のみならず、訪問看護ステーションや介護関連施設などのさまざまな施設にまで拡大しております。一方病院現場においては、夜勤や超過勤務の増加等により身体的、精神的な負担の増加が要因で離職する看護職員が多いとも聞いております。このような現場で働く看護職員の身体的、精神的負担を軽減し離職防止につなげるためには、今回の需給見通しの結果からも明らかであるように、看護職員を増員し勤務環境の改善を図ることが重要であります。
     県では、これまでも潜在看護師への再就職支援や看護職員修学資金の貸与などさまざまな看護職員確保対策を行ってきておりますが、第七次看護職員需給見通しを踏まえ今後どのような対策を講じ看護職員不足の問題解決に当たろうと考えているのかお伺いします。
     次に、静岡県立大学における看護教育の充実についてであります。
     医療や看護が高度化、複雑化していく中で患者さんや御家族の方に最適な医療を効果的に提供するため、看護職員には幅広い知識やすぐれた技術、そしてみずから主体的に考え行動することができる力やコミュニケーション能力などこれまで以上に高い能力が求められております。
     このような医療や看護におけるさまざまなニーズに対応できる高い能力を備えた看護職員を確保するためには、医療現場で働く看護職員が日々、知識や技術を研さんするだけではなく、看護師養成のための教育の充実も重要な課題であります。県立大学では、現在四年制の看護学部と三年制の短期大学部看護学科における看護教育により、長年にわたり地域の保健医療の充実に貢献してきておりますが、医療の高度化や看護ニーズの多様化へ対応することができる高い能力を持った看護師を今まで以上に養成し、社会の要請にこたえていくことが必要ではないかと考えます。
     そこで県は、静岡県立大学における看護教育の充実を図ることとし、短期大学部看護学科の四年制への移行を進めるとしておりますが、そのような考えに至った経緯とともに今後、四年制への移行をどのように進めていくのかあわせて伺います。
     次に、県民が安心して暮らせる地域医療の再生について伺います。
     最近の医学、医療をめぐる状況は、専門化、高度化が進み細分化されたより多くの医師が必要とされ、平成十六年度からは新医師臨床研修制度が実施されるなどの状況も加わり、ここ何年もの間全国的な医師不足や偏在が問題となっております。一方平成十八年度の医療法改正においては、救急医療や災害時の医療などの医療体制の構築が求められ、体制の整備について私も県医療審議会の副会長として深くかかわりましたが、最近の地域医療を取り巻く状況の厳しさは当時の予想をはるかに上回っているように感じております。
     さて、本県ではがんセンターやこども病院等の高度専門医療機関や二機のドクターヘリによる三次救急医療体制など、全国に誇れる体制整備が進められてきましたが、医師不足や医師の偏在という点におきましては本県も例外ではありません。県内を見渡しますと、病院の勤務医の確保を初め地域医療提供体制の確保に困難が生じている地域もあります。そうした中、特に重篤な傷病を負った県民の生命を守る救急医療体制や、安心して子供を産み育てることができる環境を整備するための周産期医療体制の確保は、大変重要であると考えております。しかし現状では両分野とも肉体的、精神的に負担が大きく、医師、医学部の学生から敬遠されがちな分野である一方、県民にとっても重要かつ関心の高い分野でもあります。
     そこで、県民が安心して暮らせる地域医療の再生を図るため、医療体制確保の中でも緊急性の高い救急医療と周産期医療分野について、県は今後どのように体制整備を進めていくのか伺います。
     次に、県内企業の新成長分野への進出支援について伺います。
     輸送機器関連産業を中心とした生産体制の縮小や新たな設備投資の見送りなどが続く中、最新の県のGDP速報によれば、三期連続でプラスとなるとともに二期連続で全国平均を上回っており、景気回復に向かっているかのように見えますが、これを実感できないのが現状であると思われます。こうした中、国は昨年六月に発表した新成長戦略の中で、環境・エネルギー産業と医療・介護・健康関連産業をそれぞれ強みを生かす成長分野として、新たな需要と雇用の創造に結びつけようとしているところであります。
     本県においては、これまでにもファルマバレー、フーズ・サイエンスヒルズ、フォトンバレーの各プロジェクトを静岡新産業集積クラスターとして一体的に推進し、新たな成長分野への参入や新事業の創出などを目指す地域の企業を支援してきたところでありますが、これに加えて医療・福祉機器、ロボット、環境、光技術などの新たな成長分野への参入支援などにより、産業構造を転換するための新たな取り組みを始めており、その成果が待たれるところであります。
     兆しが見えてきた景気の回復をさらに確かなものにし県内経済を活性化させるとともに、県民生活が豊かさを取り戻すためには、産業界自身が新たな成長分野への参入の必要性を感じみずから行動できるよう県が適切に支援していくことが必要だと考えます。
     そこで、県は県内産業の将来を見据え、今後どのような戦略を持って取り組んでいくのか、また具体的にどのような施策を進めていくのかお伺いします。
     次に、強い農業の構築に向けた取り組みについて伺います。
     最近の国の国際対応につきましては、新聞紙上等でも連日報道されていますように、環太平洋連携協定――TPPへの対応が注視されております。TPP協定が締結された場合の国内産業への影響につきましては、各界からさまざまな見解が示されておりますが、農業への影響については国は、影響が大きいと思われる米や小麦など十九品目について、全世界を対象に直ちに関税を撤廃し何ら対策を講じない場合に農産物の生産額が四兆千億円減少するという試算を公表いたしました。
     本県農業についても米や畜産で影響が懸念されておりますが、このような外的要因に加えて県内農業の現状は、二〇一〇年農業センサスによれば、販売農家の平均年齢は六十六・八歳と農業者の高齢化が進展し、農家や農地も減少、平成二十一年の農業産出額も二千八十六億円と年々減少傾向にあるなど農業を取り巻く情勢は厳しさを増しております。
     国におきましては、本年六月を目途に農業対策の基本方針を決定すると伺っておりますが、国は国といたしまして本県においても農業対策を充実していく必要があります。例えば農業生産が縮小傾向にある一方で、青果物を扱う大手量販店などの流通や小売業の中には経営努力により業績を上げている事例も見受けられますことから、本県農業を活性化させる仕組みとして、農業者や産地がこれら流通業、小売業と連携した取り組みを促進していくことが考えられます。また県民の農林水産物の最終消費は、生鮮品として購入し家庭で調理する形態から加工品としての購入やレストランでの外食などでの消費がふえていることから、食品製造業や飲食業と連携した取り組みにより農産物の付加価値を向上していくことも考えられます。
     今後、県は強い農業の構築に向けた取り組みをどのように進めていくのか、所見を伺います。
     次に、新農山村整備長期計画について伺います。
     本県の農山村は、これまで先人の知恵とたゆまない努力により、茶やミカンなど品質の高い多彩な産物を生み出しながら、全国に誇る食材王国を形成することで、県内経済を潤し県民の生活の向上に大きな貢献を果たしてまいりました。しかしながら本県の農山村を取り巻く環境は、農産物の価格の低迷や高齢化の進行、耕作放棄地の増加等により大変厳しい状況が続いており、山間部等の営農条件の悪い地域では農業者の営農意欲も薄れつつあり、農業の衰退とともに地域がますます疲弊していくのではないかと大変危惧しているところであります。
     こうした中、来年度の政府予算案では、本年度激減した農業農村整備予算の復活が見込めなかったことに加え、本県の基幹作物である茶やミカンの樹園地整備に対する補助が縮小されたことから、農業生産の基礎となる基盤の整備が大幅におくれるのではないかと非常に苦慮しております。とりわけ農業生産にとって最も重要な用水を供給する農業水利施設等の基盤は、昭和三十年代から四十年代に整備されたものが多く、老朽化した膨大な施設が一斉に更新時期を迎えることから、適切な更新整備についても大変心配しているところであります。
     厳しい国際競争に打ち勝っていかなければならない今だからこそ、しっかりと生産基盤を整備することが重要でありますが、基盤整備がおくれることにより知事が掲げるふじのくに食の都づくりの実現が難しくなることも考えられます。
     こうした現状を踏まえ県はどのように農業農村整備を進めていこうとしているのか、今年度県が取りまとめている新たな農山村整備長期計画における基本的な考え方について、当局のお考えを伺います。
     次に、林業振興の取り組みについて伺います。
     本県は、県土の六四%を森林が占めており、杉、ヒノキの人工林を中心に森林資源は量的に充実していますが、林業の採算性の低下などから森林所有者の林業離れが進み森林資源が十分に活用されていません。
     そうした中、平成二十一年十二月に農林水産省が公表した森林・林業再生プランは、国の新成長戦略の重点に位置づけられ、十年後の国産材自給率五〇%を目標とし、それを具体化する政策が検討され、昨年十一月に森林・林業の再生に向けた改革の姿が示されました。改革の内容として植えて育てることが中心だった林業振興から、適切な森林施業が確実に行われる仕組みの整備、担い手となる林業事業体の育成、国産材の需要拡大と効率的な加工、流通体制の確立など育て上げた森林資源を活用する林業振興へ大きく方向転換がされました。
     また、数年前まで日本が世界の木材輸入のリードオフマンでしたが、今では中国に取ってかわられました。林業を取り巻く環境は、低価格住宅の増加などさらなる生産コストの縮減が求められ、それに担い手不足の拍車がかかるなど深刻な状況が続いていますが、世界的な木材需要は伸び、その結果世界的に木材の供給は不足ぎみになるなど本県の林業に追い風も吹きつつあります。
     私は、こうした追い風を生かしいち早く国の動きを取り入れ森林・林業の再生に取り組めば、本県の林業が再び大輪を咲かせることも可能であると思う一人でございます。特に担い手となる林業事業体の育成は、県産材供給のかなめであるばかりか新規雇用の受け皿であり、中山間の基幹産業として山村振興などへの波及が大きいと思われます。
     また、昨年九月の事業仕分けでしずおか優良木材の家総合支援事業が「不要」と判定されましたが、個人住宅は県産材利用の多くを占めますので、こうした取り組みもあわせて発展させるべきだと思います。
     そこで、県では林業振興にどのように取り組もうとしているのか、所見を伺います。
     次に、教育振興基本計画におけるキャリア教育について伺います。
     少子高齢化やグローバル化の進展など社会の状況はかつてないほど大きく変化しており、さまざまな課題への適切な対応が求められています。こうした中活力ある静岡県をつくるためには、生涯にわたって身近な人や地域を支えようとする心と行動力を持った人を育てることが必要であります。
     現在策定中の教育振興基本計画では、基本目標としてみずからの資質能力を伸ばし、お互いにかかわり合いながらよりよい社会づくりに参画し、行動する有徳の人の育成が掲げられていますが、これから本県を支える人づくりの方向として大変有意義であると考えております。
     社会の現状を見ますと、時代の閉塞感や将来に対する不安が高まるとともに、競争の激化や経済不況の影響等による学生の就職率の低迷が問題となっております。加えて生活に安定を求める学生の大企業志向の高まりの中で、ものづくりを支える中小企業の存続が危ぶまれるなどさまざまな産業が切実な問題に直面しております。
     また、子供が家庭や学校以外で働く大人の姿に接する機会も減っていることから、働くことが社会づくりにつながっていることを手本となる大人の姿を通して実感できない状況にあるのではないでしょうか。
     そこで、教育振興基本計画において、キャリア教育の推進や就職支援、またそのための体制づくりについてどのように位置づけ対応しようとしているのか、教育長の考えを伺います。
     最後に、平成二十三年における警察運営の重点について警察本部長に伺います。
     昨年の県内の治安情勢を顧みますと、県内の刑法犯認知件数は平成十五年から八年連続で減少し、昨年はついに四万件を下回り三万九千件台と認知件数が平成三年以来、実に十九年ぶりに三万件台にまで減少しました。また交通死亡事故につきましても、大幅に減少した一昨年よりもさらに減少し昭和二十八年以降最少となるなど、県内の治安指数に一定の改善を見ることができ、非常に喜ばしい限りであります。
     しかしながら、いまだに殺人や強盗などの凶悪事件の発生が後を絶たず、また高齢者をねらった振り込め詐欺や暴力団、来日外国人などによる組織犯罪の発生、さらに多発する交通事故への対策や飲酒運転の根絶など課題は山積していることも事実であります。
     安村警察本部長におかれましては、昨年の春に着任以来、正しく、強く、そして仁愛の気持ちを持った強い警察の構築を目指し、トップリーダーとして数々の治安対策を推進され成果を挙げてこられましたが、ことしもその手腕を大いに発揮され県民の期待にこたえていただきたいものであります。
     そこで、平成二十三年における警察運営の重点について、安村警察本部長にお伺いして私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
    ○副議長(岩瀬 護君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 鈴木利幸議員にお答えいたします。
     初めに、新総合計画の推進についてであります。
     富士山を仰ぐこの地に日本の理想郷を築くという日本一高い志を持って地域づくりに取り組んでおります。その道筋を示す新しい総合計画――富国有徳の理想郷“ふじのくに”そのグランドデザインを策定いたしました。新年度はこの総合計画が本格的にスタートとなる年となります。ふじのくにづくり元年であります。この総合計画の実現に向けまして、着実な施策展開を図る予算編成及びそれを支えるための組織定数改編を行うこととし、今議会にお諮りしているところでございます。
     新総合計画は、内容と担当する県部局とが直接結びつくようにいたしました。計画の実行に当たりましては四年間の基本計画を各部局の戦略として取り組んでまいり、進行状況が客観的にわかりやすくしております。その中で家・庭一体の住まいづくりや出生率の向上など、県民幸福度の最大化に向けた重要テーマに全庁を挙げて挑んでいくことといたしております。こうした新機軸の取り組みを計画的に行うためのふじのくにづくり推進基金の設置につきましても、お諮り申し上げております。
     県といたしましては、新総合計画の着実な推進を県政運営の基本としつつ、少しでも前倒しをして行う気構えで取り組みます。それとともに現場主義に徹しまして、常に県民の皆様の声に耳を傾け時宜に応じた弾力的な対応も図ってまいります。
     また、来る二月二十三日の富士山の日には、多くの皆様とともに富士山をことほぎますとともに、県民の皆様がそれぞれの目標や希望、夢などいわばそれぞれの富士、これを心に持ち、その実現に向けて進むことができるようにふじのくにづくりに向けた決意を宣言することとしておりますが、海外メディアも注目するほどになっておりますので、県民の皆様とともに富士山のように人々のあこがれを集め、誇りを持った生き方を実現できる地域づくりを進めてまいる所存でございます。
     次に、財政運営についてのうち、平成二十三年度当初予算編成についてであります。
     平成二十三年度当初予算は、厳しい経済情勢の中、県民生活を守る喫緊の課題でございます経済・雇用対策に取り組むとともに、行財政改革を進めながら新しい総合計画の実質的な元年――スタートの年として富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを着実に実行する予算として編成いたしました。
     自民改革会議から御提言いただきました八つの視点についてでありますが、経済・雇用対策の強化のうち、経済対策としては県産材を活用した住宅建築への助成戸数を三倍以上に拡大いたしました。そのほかリフォームに対する助成を緊急的に行った次第でございます。
     また、厳しい雇用情勢を受けて、七千五百人余りの雇用創出に加え、就職状況が厳しい新卒者を支援するため、人材派遣会社に雇用されながら研修などによって就職につながる技術を身につける機会を提供してまいります。
     医療・福祉の充実のうち医療関係では、本年度設置いたしましたふじのくに地域医療支援センターを核に医師確保対策を進めるほか、福祉関係におきましては子供を産み育てやすいまちづくりに意欲のある市町へ支援を強化してまいります。
     安心・安全な地域社会の創造では来年度に県立高校の耐震化を完了させます。それとともに口蹄疫や鳥インフルエンザなど家畜の防疫体制を強化するために、東部と西部の家畜保健衛生所の建てかえを進めます。
     観光・交流人口の拡大では、静岡空港の利便性向上のための旅客搭乗橋――ボーディング・ブリッジの整備や着陸料の減免の拡大などによって国内外の路線の確保・拡充に取り組むほか、定住・移住の促進として家・庭一体の住まい、このあり方を提示してまいります。
     教育・人づくりの充実におきましては、静岡式三十五人学級編制の平成二十五年度の完成に向けまして計画どおり小学校五年生に拡充するほか、狭隘化の進む特別支援学校につきましては、この四月に伊豆松崎、富士宮、浜松城北の各分校を開校いたしますとともに、新しく沼駿、志榛地区にも高等部の分校を設置するべく、現在準備を進めております。
     社会資本の整備促進につきましては、救急搬送路の整備や孤立集落の支援のための“安全・安心の道”緊急対策事業費と、ゲリラ豪雨などに備えるための緊急総合治水対策事業費を新たに計上いたしております。
     環境対策の確立では、電気自動車やプラグインハイブリッド車を県が率先して導入し普及啓発に努めてまいります。
     これらの施策を一歩一歩着実に進めるために、本年度の二月補正予算としてふじのくにづくり推進基金の設置をお諮りしておるところでございます。本年度策定する新しい行財政改革大綱に盛り込まれた取り組みの確実な実施とあわせて、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを進めてまいります。
     次に、県と政令指定都市とのあり方についてであります。
     政令指定都市は、他の市町と比べ明らかに豊かな財政基盤を持っております。事務配分の特例が適用もされております。最も高次の自治能力を有する現体制における基礎自治体でございます。そうしたものとして地域の自立において大きな役割が期待されております。
     一方、現行の政令指定都市制度では包括的な事務権限が付与されていません。そこで県との間で二重行政が生じているという課題が指摘されております。現在国の地方行財政検討会議におきましてそのあり方が検討されているほか、地方からも大阪都、中京都、新潟州などが提案されているところは御承知のとおりでございます。
     こうした中、静岡、浜松の両政令指定都市がその市域内において、広域自治体、基礎自治体という二層構造を廃して地方の事務を一元的に担う特別自治市を提案されておりますことは、地域の自立に向けた前向きな姿勢のあらわれであると評価しております。
     この地域主権改革の進展や道州制まで視野に入れた場合の、特別自治市のような基礎自治体を構築する方向性につきましては議論に値するものと考えております。もし特別自治市に浜松市あるいは静岡市がなった場合、例えば県庁所在地はここにあるのが適当でしょうか。そうしたことが出てくると思います。県内に特別自治市ができるということは、中身をごらんになるとわかりますように、あるいは中身を詰めていけばそのようになると存じますけれども、県内に新しい県をつくるに等しいと思います。
     そうしますと、それは県のあり方が考えられねばならないということになりますから、県が新しく道州制に改編されるといったようなこととあわせて、特別自治市の推進は考えねばならないということでございます。言いかえますと広域自治体たる県のあり方とも密接にかかわりますので、関係市と意見交換をしながら、県と政令指定都市のあるべき形の構築について、必要に応じて国などに対しても働きかけを行ってまいります。
     県議の御指摘の子供の医療費に関することで、経過措置を一年だけ静岡市に対しては延長するというふうに決めました。このこども医療費ほかこうした福祉にかかわる医療費は県民全体にかかわるものです。今県民が抱えている大きな問題は高齢化となかんずく少子化です。現在本県の人口は恐らく三百七十七万六千人を切っております。昨年の春段階で我々の人口力とでも言いましょうか、これは富士山の国にふさわしい三千七百七十六メートルを千倍いたしました三百七十七万六千人であったと、これが今落ちておりこれに対して私は強い危機感を持っております。
     したがって、この合計特殊出生率を上げるということが大きな課題です。これは市町においてそれぞれのリーダーシップを発揮していただかねばなりません。そうした観点から見ますと援助に値するような形で補助金が使われてるのかどうかということが試されるわけです。
     そして、今政令市に対しましてはこれまで十三億円余りの補助をしてまいりました。これはもし今の財政力をもってすれば十分に政令指定都市においては賄い切れる、賄い切ってなお余りあるものでありますがそれを有効に使う方法もございます。合計特殊出生率を上げ子育てを充実させる方法をやりながら、十分にまだその体制が整っていないというようなところはそれを推し進めまして、モデルとして、二・〇七すなわち人口を維持できる合計特殊出生率を達成したところをモデルとして、そこが牽引役になっていただいてこの人口力というものをそがないようにしてまいりたいと。
     これは政令指定都市であろうが県民全体にとって重要なことでございますので、私はどこかの地域を政令指定都市だからといって低めるということでなく、特別のこの政策についてどれだけリーダーシップを発揮しているかどうかということを問いながら、各地域の自立したリーダーシップ、自立性というものを見きわめ、今回のような経過措置を明確に、例えば浜松市とでは御了解の上で甘えの構造を断ち切ったというものでございます。
     次に、本県の戦略物流ビジョンについてであります。
     本県の物流産業は、現在貨物輸送量や物流施設数がともに全国十位という状況にあります。製造品出荷額等が全国第二位であることや新東名高速道路の県内における早期供用開始、駿河湾港と富士山静岡空港の整備の進展など、今後、県内の陸・海・空の交通基盤が一段と充実されることを考えますと、物流産業のさらなる発展が期待されるところでございます。
     また、物流産業は従来の運送業や倉庫業などから大きく進化し、そのとらえ方も変わってまいりました。今ではICTを駆使した販売管理や高度な流通加工も行うなど最先端の産業としても注目されているほか、本県の多彩なものづくり産業や農林水産業に先進的な物流システムを取り入れることによって、事業の効率化や六次産業化が図られるなど既存の産業を活性化させる新しい産業としても成長していく可能性があると考えております。
     昨年に空港部を廃止して空港の利活用を図っていくということに御賛同賜りました。私は交通基盤部というものを新しく設置しますときに、これを物流部というふうにしたいと言いましたけれども、県当局――私もそうですね――部局、チーム川勝の一致した御理解を得ることができなかったのを覚えておりますけれども、しかし今やふじのくに戦略物流ビジョン――これは仮称でございますが――これを来年度策定するまでになりまして、戦略的な物流産業の育成をしていくと、すなわち交通基盤が整いますとこれをどのように活用していくかということが問われます。
     そうしたことから、物流へ大きくシフトすることを通して交通基盤――インフラストラクチャーのこの活用をしていくということが今大事な課題でございます。効率的な物流システムを構築することによって既存産業の活性化を目指すとともに、国内外に本県の物流拠点としての魅力を情報発信いたしまして、物流関連企業の積極的な誘致にも取り組んで物流産業を本県のリーディング産業として育ててまいります。本県をいわば物流を通してネットワーク化し、一国として完結するほどのしっかりとしたネットワークをつくり上げてまいりたいと思っております。
     次に、富士山静岡空港の利活用促進戦略についてのうち、航空ネットワークの充実についてであります。
     現在、富士山静岡空港からは国内七都市、海外二都市に定期便が就航しておりまして、開港以来の累計で百万人を超える皆様に御利用いただいております。新しい総合計画に掲げました十地域への定期便就航や、年間利用者七十万人の現実に立脚した目標の達成に向けて、さらなる航空ネットワークの充実が現在喫緊の課題となっております。
     目標達成のためには国内外の路線の充実が必要であります。議員御指摘の東アジア地域をターゲットとした航空ネットワークの充実につきましては、既存路線の充実に向けて上海路線の週七便化、これは東方航空それ自体が望んでいるんです。そのためには観光だけでなくてビジネスとして使われねばなりません。これが本県では二百数十余の企業が四百以上の事業所を中国に設けているのでありますけれども、ビジネス客が利用しているのがまだ羽田あるいは中部国際空港というようになっておりますので、県内の皆様方と中国の企業との企業者がお使いになるようにこの上海便を充実させてまいりたいと思っております。
     また、ソウル路線の機材の大型化を、さらに新規路線の就航に向けて台湾、釜山、香港、タイなどのチャーター便の積み重ねをいたしまして、プログラムチャーター化、あるいは定期便化、さらに多様な地域とのチャーター便の誘致を推進していく必要がございます。
     このため、私が来月訪問する台湾でのエアポートセールスを初め、航空会社への定期便就航に向けてプロモーション活動を積極的に展開いたします。富士山静岡空港利用促進協議会や航空会社、観光関係者などと一体となった誘客キャンペーンなどを実施いたしまして、多様な地域と結ぶチャーター便の支援強化に努めます。そして富士山静岡空港を拠点とした航空ネットワークの充実を図ってまいりたいと思っております。
     現在静岡空港の利用の三分の一は外国便です。外国便の搭乗率のほうが国内便の搭乗率よりも高いというそういう統計数字が出ております。したがいましてこの静岡空港は東アジアのネットワーク化に貢献する可能性が大きいというふうにも見ております。それを推進するためにも地域外交をいたしまして、産業や観光はもとより教育、文化、スポーツなど幅広い分野の交流を拡大いたしまして、国内外から人々を引きつけあこがれを呼ぶ「住んでよし、訪れてよし」のふじのくにの実現を目指してまいる所存でございます。
     次に、看護職員の確保についてのうち、静岡県立大学における看護教育の充実についてであります。
     これまで、静岡県立大学短期大学部看護学科では、看護師になるために必要な基礎的知識や実践能力を備えた人材を三年という限られた就学期間で養成してまいりました。
     しかし、近年の医療の高度化や看護ニーズの多様化に的確に対応していくには、教養教育あるいは看護師となるための専門教育の一層の充実が求められています。就業後も最新の看護をみずから学び続ける能力などの育成も重要です。こうしたことから短期大学部看護学科を四年制に移行いたします。そしてより質の高い看護教育を行うことが必要であるというふうに考えております。全国の動向を見ましても看護系公立短期大学は四年制への移行が急速に進んでいます。高校生の四年制大学志向ということもございますので、将来学生の確保が今のままでは困難になるということも懸念されております。
     こうした状況を踏まえまして来年度におきましては、県民の皆様や医療関係者の方々の御理解を賜りながら静岡県立大学における看護教育充実計画を策定いたします。それとともに必要な施設のあり方について検討を行いまして、短期大学部看護学科の四年制への移行を早期かつ着実に進めてまいります。
     次に、林業振興の取り組みについてであります。
     県では、林道網の整備に伴い採算が見込める森林が拡大しておりますことから、新しい総合計画におきまして、平成二十五年度までに木材生産量を四十五万立方メートルまで大幅に増産する目標を設定いたしました。現状の一・七倍に当たります。それとともに県産材の需要の拡大、生産性の向上、林業技術者や作業員の育成なども積極的に進めることにしております。
     需要拡大につきましては、六年間実施してまいりましたしずおか優良木材の家総合支援事業を見直しまして、抽せん方式から――先着順ではありますけれども――応募者におおむね助成できるように予算規模を拡大いたしますとともに、小規模な増改築も対象とするなど平成二十三年度から住んでよし しずおか木の家推進事業として実施できるよう、本議会にお諮りしているところであります。
     また、公共事業におきましても、いわばグランシップを反面教師といたしまして草薙の体育館においてそうでございましたように、こちらの方針を明確にする、県産材を使っていただく。そして地域に合ったそうした理念を踏まえた建築物であってほしいというような理念を明確にし、相手任せにしない。そして結果的に現在草薙の体育館におきましては、御承知のように県産材を圧倒的に使う、しかも鉄筋木造コンクリートで耐震性はしっかりしているというようなことになり、県におけるその土地の文化と合うということとして、ぱっと見たときに登呂の遺跡の現代版だということが印象づけられるようなものになっております。
     こうした形で沼津、あるいは空港における展望台も県産材を活用する、言いかえると県でそういうものに従事する人たちを励ますと同時に県の物流を上げていくと、こうしたねらいを持って、材木につきましては県議御指摘のとおり、格段の力を入れてまいりたいというふうに思っているところでございます。
     木材の切り出しから製品化までのすべての段階で一層の生産性の向上を図ることが必要です。引き続き林道網の整備及び伐採や搬出を行う高性能林業機械を導入し、製材工場の規模を拡大し、品質向上のための乾燥機を導入するなど、そして合板など新しい製品の開発をするなど、積極的に支援をしてまいる所存でございます。
     さらに、林業技術者や作業員につきましてはこれまでもその育成に努めてはきましたけれども、平成二十三年度におきましても、高性能林業機械が使える技術者を五十人、間伐などの森林整備を行う作業員を百人育成いたしまして、平成二十五年度までに合わせて一千百人を確保することとしております。これは新しいフロンティアであります。
     県といたしましては、木材を生産する森林組合、加工する製材工場、利用する工務店など川上から川下までの関係者と連携いたしまして、県産材の需要拡大と増産を一体的に進めてまいります。
     なお、その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁申し上げます。
    ○副議長(岩瀬 護君) 丸山経営管理部長。
           (経営管理部長 丸山康至君登壇)
    ○経営管理部長(丸山康至君) 財政運営についてのうち、今後の地方財政のあり方についてお答えいたします。
     平成二十三年度当初予算に合わせて公表いたしました今後の五年間の財政の中期見通しによりますと、県税、交付税などの一般財源総額を二十三年度当初予算と同額としたケースでは四百億円前後の財源不足が毎年度続く一方、社会保障関係費等の増加に合わせ地方交付税が増加するという本来の地方財政制度の機能が発揮されるケースでは財源不足額が年々減少していくという、そういう結果になりました。
     また、いずれのケースにおきましても、地方交付税の身がわりとして配分される臨時財政対策債、この発行を前提としており、通常債は減少するもののそれを上回る臨時財政対策債の増加が見込まれることから、残高全体は増加をするという見通しになっております。このように県の財政状況は国の地方財政制度に大きく依存しておりこれは他の自治体でも同様でございます。したがいまして財源不足の解消のため、各自治体は間断なく行財政改革に取り組んでおりますが、議員御指摘のとおりその不足額は膨大でありまして、行革努力だけでは到底解消されるものではなく税制を含めた抜本的な対策が必要であります。
     本県におきましては、このたび策定いたしました総合計画を着実に実行することによりまして、域内経済を活性化し財政基盤の強化を図ると同時に、国に対しては行政サービスの安定的提供のため不可欠な一般財源総額の確保や地方消費税等の税財源の充実を含め、分権型社会にふさわしい税配分の見直しを提言してまいります。
     次に、新総合計画の着実な実現に向けた組織体制についてであります。
     本県では、これまで地方分権の推進等を踏まえ、本庁組織の大くくり化や出先機関の統合など組織の簡素化、能率化に努めてきたところであり、昨年の四月からはこれに加えまして県政運営の基本理念である富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを戦略的に進めるため、危機管理部と文化・観光部を新設し、新しい総合計画の戦略体系ごとに施策の推進役と責任の所在が明確となる新しい部局組織へと改編したところであります。
     機能別に大くくりした部におきましては、従来複数の部で調整してきた施策を一元的に推進できますことから、業務の効率的執行や迅速な意思決定が図られますとともに、六次産業化の推進など新たな発想による施策が実施されてきているところでございます。
     しかしながら、こうした組織の枠組みのいかんを問わず部門横断的課題は常に生じ得るものでありまして、各部門間の緊密な連携を確保することは組織運営上の重要な課題であるというふうに認識をしております。
     このため、これまでも行政改革、過疎・中山間地の振興、食育といった部局横断的な行政課題への対応につきましては、必要に応じ関係各部局間において定期的な連絡会議等を開催し議論の場を設けるなど、中核となる部局を中心に全庁的連携の強化に努めてまいりました。また御指摘のございました一次産業部門につきましては、農業戦略会議や各分野別の関係部署連絡調整会議等を通じまして、関係部局の共通認識のもと施策の展開を図っているところであります。
     今後ともこうした取り組みを強化するとともに、組織体制上何らかの措置が必要と認められる喫緊の課題に対しましては、部局横断的な関連業務を総括する職の設置も行うなど、新しい総合計画の実現に最適な組織体制を目指して適時適切に必要な措置を講じてまいります。
     次に、事業仕分けについてであります。
     事業仕分けの結果につきましては真摯に受けとめることは当然でございますが、あくまでも重要な参考意見であるというふうに考えておりまして、予算編成に当たりましては県全体の政策方針に照らして県として事業の必要性等を改めて検討し、予算案に反映させたところであります。
     「不要」とされた議員御指摘の県営農地基盤整備事業やしずおか優良木材の家総合支援事業費助成などにつきましては、議論の過程で出されたさまざまな意見を参考に事業の手法や内容等をゼロベースで見直し、改善した上で今議会にお諮りをしているところであります。
     これまで二回の事業仕分けにより政策的経費については一通り見直しましたことから、来年度は歳出のスリム化の視点は踏まえつつも透明性の向上、それから県民参加の拡大をねらいとした新しい行政評価の手法を導入してまいります。その際には市民判定人方式の導入、一事業当たりの審議時間の延長、また議員から御指摘をいただきました判定方式などについて、行財政革新戦略会議や事業仕分けの傍聴者アンケートでいただきました御意見等を参考に検討いたしまして、効果的な手法の導入に努めてまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 出野文化・観光部長。
           (文化・観光部長 出野 勉君登壇)
    ○文化・観光部長(出野 勉君) 富士山静岡空港の利活用促進戦略についてのうち、初めに経済波及効果の評価についてお答えいたします。
     富士山静岡空港が開港したことによる県内経済への波及効果につきましては、静岡県産業連関表に隣県も加えた広域的な地域間産業連関表を用いるとともに、経済波及の実態をより反映させる最新のモデルで分析を行ったところであります。
     開港後一年間の空港利用者六十三万四千人及び空港見学者百十五万五千人の県内消費による生産増加額は百三十六億八千万円で、それに誘発される間接効果を含めました総合効果は二百四十五億五千万円となり、雇用創出効果は千六百五十三人と推計されました。
     推計結果からは、インバウンド客の効果が全体の四分の一を占めていることから、就航先を初め国内外からの誘客数をふやしていくことが県内経済にとって重要であり、また空港見学者による経済効果も高いことから、空港ティーガーデンシティ構想を推進し空港及び空港周辺の魅力を高めていくことも地域の活性化に大きく寄与することが改めて確認されました。
     このほかに、昨年十二月に公表いたしました県民の空港利用による時間・費用短縮効果が約二十二億円、平成二十二年一月から九月の県内への外国人宿泊数の対前年比が一七八%増など、富士山静岡空港の開港による効果があらわれているところであります。
     今後、県民だよりやホームページなどを初め市町の広報誌や民間団体機関紙への掲載協力を仰ぎながら、空港開港の効果につきまして県民の皆様にわかりやすくお知らせするとともに、本県にとって必要不可欠な社会資本であります富士山静岡空港の利活用の一層の推進を図ってまいります。
     次に、空港ティーガーデンシティ構想の具体化についてであります。
     ふじのくにの玄関口にふさわしい魅力あふれる空港を実現するため、有識者会議や地元検討会での議論を踏まえて策定いたしました空港ティーガーデンシティ構想に基づき、空港を訪れる皆様が飛行機の離発着を眺めながら憩える施設として、石雲院の隣接地に展望デッキの整備を進めてまいります。
     具体的には、先ほどの知事答弁にもありましたが、県産材を多用し石雲院を取り巻く豊かな自然環境との調和を図るとともに、地元の御意見をできるだけ反映するため石雲院展望デッキの整備に係るワーキングにおきまして、施設規模や運営方法のほかにぎわいを創出するためのイベントなどを検討いたしまして、県内外の皆様が楽しむ人気スポットにしていきたいと考えております。
     また、エアポート楽座や空港を取り巻くように広がる空・茶・風・海の四つの道の観光資源を生かしました振興策につきましては、有識者会議や地域の方々の御意見を伺い空港の利用状況などを踏まえながら段階的に取り組んでまいります。
     今後とも、空港ティーガーデンシティ構想を着実に推進し、空港周辺のにぎわい創出等による地域の活性化や空港の利活用促進に努めてまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 石川健康福祉部長。
           (健康福祉部長 石川俊一君登壇)
    ○健康福祉部長(石川俊一君) 看護職員の確保についてのうち、需給見通しの結果を踏まえた今後の対策についてお答えいたします。
     看護職員の確保につきましては、養成力強化、定着促進及び資質向上の施策を三本柱といたしまして、これまでさまざまな対策を実施してきたところでありまして、全国に先駆けて実施いたしました潜在看護職員の病院派遣型再就業研修や新人看護職員の集合研修が一定の効果を上げるとともに、中長期的な対策として看護系大学の誘致による養成数の確保を図ってまいりました。
     しかしながら、介護関係施設の増加による需要増などに伴いまして、第七次看護職員需給見通しのとおりここ数年間は依然として看護職員不足が続くと見込まれているため、効果が早期に期待できる離職防止対策が重要であると考えております。特に離職者の多い新人看護職員につきましては、経験不足による看護技術等への不安の解消を図るよう、新たな助成制度を設け医療機関が卒後臨床研修を積極的に実施するよう促すとともに、研修責任者や教育担当者の養成による教育研修体制の充実を図ってまいります。また病院内保育所への助成を拡充し、育児中でも安心して働くことができる環境の整備を促進するなど看護職員確保に努めてまいります。
     次に、県民が安心して暮らせる地域医療の再生についてであります。
     本県では、救急及び周産期医療におきまして、それぞれ軽症患者の外来診療や正常分娩を担う初期医療から入院が必要な重症患者やハイリスク妊婦等に対応する二次医療、重篤な患者やあらゆるハイリスク妊婦等に高度な医療を提供する三次医療まで、段階を追った医療提供体制の体系的な整備を推進してまいりました。
     しかしながら、いずれも医師不足等により初期及び二次医療を担う医療機関が減少し医療体制の維持が難しい地域も出てきており、これに伴い三次医療を担う医療機関の負担が増加するなど、これまで以上に二次及び三次医療機関の充実と各医療機関の役割分担、連携強化が必要となっております。
     このため、県では在宅当番医制から急患センター方式への移行等による初期救急医療体制の立て直しや、二次及び三次医療機関の施設・設備の充実、新たな周産期母子医療センターの指定などについて、当該医療機関や医療対策協議会等と検討を行っているところであります。
     さらに、来年度、国が追加交付をいたします地域医療再生臨時特例交付金を活用いたしまして、本年五月中旬までに策定する新たな地域医療再生計画の中に救急及び周産期医療を担う医療機関の整備、拡充や医療連携体制の強化策を盛り込めるよう関係機関と協議を進め、命を守る医療の切れ目のない医療提供体制の強化を推進してまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 堀川経済産業部長。
           (経済産業部長 堀川知廣君登壇)
    ○経済産業部長(堀川知廣君) 県内企業の新成長分野への進出支援についてお答えいたします。
     今後も県内経済が発展していくためには、県内経済を支える大企業から中小企業までを地域企業として一体的にとらえ内需型産業を強化するとともに、急速な成長を続けるアジア市場を見据えた取り組みを進め、輸送用機械や電気機械に加えて今後成長が見込まれる環境や医療健康産業などの分野への参入を促進することが必要であります。
     新成長分野への参入支援につきましては、県試験研究機関が次世代自動車の部品開発など成長分野の試験研究を重点的に実施するとともに、機能性食品の開発に対する助成制度の新設、環境分野における試作品への助成枠の拡充、光技術の農業への活用やロボット技術の医療福祉分野への導入の促進などの取り組みを行ってまいります。また新たに特色あるスポーツ関連企業や施設の地域資源を活用したスポーツ産業、着々と整備が進みつつある陸・海・空の交通基盤を生かす物流産業の振興にも取り組んでまいります。
     アジア市場を見据えた取り組みにつきましては、県内企業が数多く参加した中国、タイなどの経済状況調査を踏まえまして、来年度は地域の商工団体や金融機関とも連携して、海外展開を検討している企業に対しまして、個別相談や人材育成に積極的に取り組むこととしております。こうした取り組みにより、国内外の経済情勢の変化に対応できる多極的な産業構造の構築を目指し、本県経済のポテンシャルを高め地域経済のより一層の活性化を図ってまいります。
     次に、強い農業の構築に向けた取り組みについてであります。
     農業は、安全な農産物を安定的に供給するとともに、水田や畑が持つ多面的な機能により県土の保全や環境の維持に役立つなど、私たちの生活になくてはならない産業であります。
     本県農業の活性化のためには、各地域で中心となって農業生産を行うビジネス経営体が核となる農業構造を構築し、価格と品質で競争力のある農産物を生産していくことが必要であります。このため県では、経営規模の拡大を目指す農業者等への農地の集積や生産コストの大幅な削減技術の開発と普及、経営管理能力を高めるアグリビジネススクールの開催などに加えまして、販路拡大のための展示会や商談会の開催などの取り組みを進めてきたところであります。
     こうした取り組みによりまして、農業生産に占めるビジネス経営体のシェアはこの五年間で約二倍の二五%に増加し、小規模な農家と連携して販売力の強化や農作業の受委託を行う事例、外食産業と契約して大規模栽培を行う事例、あるいは付加価値の高い加工食品の開発、販売に取り組む事例など多様な農業が県内各地で展開されてきております。
     県といたしましては、今後も強い農業づくりを進めるため、規模拡大や生産コストの削減に結びつく革新的な技術開発、新たな消費を生み出す商品の開発を進めるとともに、地域の資源である農地、技術、人など場の力を活用して新たな価値を創造し、意欲的に農業に取り組む農業者等を関係団体と連携しまして積極的に支援してまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 新農山村整備長期計画についてお答えいたします。
     本計画は、農山村づくりにかかわるあらゆる立場の人々の共通認識を醸成するために、社会情勢の変化に的確に対応した農山村整備の展開方向を示す行政指針であるとともに、平成二十五年度までに取り組むべき具体的な整備計画として三月に策定公表することとしております。
     この中で、新たな総合計画に掲げます食の都づくりを支える自立した農山村を創造するために、食と農を軸とした新たなビジネスを展開する産地の競争力の強化や農業生産に不可欠な農業用水の安定供給、農山村の地域資源を保全活用するコミュニティーの再生等を重点戦略として、必要な施策を展開していくこととしております。
     具体的には、茶やミカン等の高品質な農産物や高速交通ネットワーク等の本県の強みを生かしました発展性のある産地の整備に重点的な投資を行うとともに、基幹的な水利施設の機能の監視、診断に基づき計画的に補修や更新整備を進めますいわゆるストックマネジメントによりまして効率的な投資を行い、一層の選択と集中に努めてまいります。
     また、棚田保全活動に集う人々や企業等の協働による集落機能の強化等を着実に進めまして、多様な主体が目的を共有して活動することにより場の力を活用した地域づくりの推進を図るなど、富国有徳の理想郷“ふじのくに”のフロンティアにふさわしい美しく品格のある農山村の創造に努めてまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 教育振興基本計画におけるキャリア教育についてお答えいたします。
     キャリア教育は、子供にみずからのあり方、生き方について考えさせ、働くことの意義や果たすべき社会的役割についての理解を深めさせる教育活動であります。これは議員御指摘の地域を支えようとする心と行動力を持った人づくり、さらに個人として自立し人のため社会のために参画し行動できる有徳の人の育成につながるものであります。
     現在策定中であります教育振興基本計画におきましては、青少年期の教育の重要な柱の一つとしてキャリア教育の推進を位置づけ、発達段階に応じた望ましい勤労観、職業観、さらにものづくり立県を支える職業人としての技能や態度などを体系的、系統的に家庭・学校・地域等のさまざまな人とのかかわりの中で育成することとしております。このため小学校から高等学校までのそれぞれの段階において、キャリア教育に関する目標を地域の特色や児童の実態に応じて設定し、実現のための取り組みを推進するよう求めております。
     県教育委員会といたしましては、他県での実践例、例えば中学校二年生全員が職場体験活動等を行う十四歳の挑戦という富山県の取り組みなどを参考にしながら、職場見学、職場体験やインターンシップを引き続き推進していくほか、来年度につきましては遊休農地等を利用した農業体験活動、厳しい就職環境における高校生への就職支援を実施するなど、子供の手本となるさまざまな人や地域、産業界等との一層の連携協働のもと、社会全体でキャリア教育を推進する体制づくりに努めてまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 安村警察本部長。
           (警察本部長 安村骼i君登壇)
    ○警察本部長(安村骼i君) 平成二十三年における警察運営の重点についてお答えいたします。
     本年の警察運営の重点として六つの重点目標を定めております。
     その一は、安全で安心できる犯罪の起きにくい社会づくりであります。引き続き街頭犯罪などの抑止を図るとともに、子供や女性、高齢者をねらった悪質な犯罪を防止するため、重層的な防犯ネットワークの整備などの諸対策を進めてまいります。
     その二は、県民の安全を確保し安心を醸成する地域警察活動の推進であります。制服警察官によるパトロールを強化するほか、事件事故発生時における初動警察活動のさらなる高度化を図ってまいります。
     その三は、力強い刑事警察活動の推進であります。殺人や強盗等の重要犯罪や振り込め詐欺、暴力団等の組織犯罪の捜査をより強化し早期検挙を図ってまいります。
     その四は、人に優しい交通安全社会を目指した交通事故の抑止であります。関係機関・団体との連携を強化し、飲酒運転の根絶、高齢者や子供を守る意識の醸成を図る交通安全教育を推進するほか、歩行者や自転車にも優しい安全で安心な交通環境の整備に努めてまいります。
     その五は、東海地震やテロへの備えの推進であります。災害やテロなど緊急事態へ的確に対処するため、関係機関と連携して実戦的な訓練や重要施設等の警戒を強化してまいります。
     その六は、警察活動を支える基盤の充実強化であります。職員に対する教育指導の充実を図り頼れるおまわりさんの育成を進めるとともに、施設や装備資機材の充実などに努めてまいります。
     これら重点目標の達成に向け、平成二十三年の運営指針を「県民の期待と信頼に応える警察〜正・強・仁〜」と定め、正義、強靱、仁愛の気持ちを持って県民の安全と安心を確保するため、県警察一丸となって取り組んでいく所存であります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) これで鈴木利幸君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp