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委員会会議録

委員会補足文書

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令和元年12月子ども健全育成推進特別委員会
特定非営利活動法人POPOLO 事務局長 鈴木和樹氏 【 意見陳述 】 発言日: 12/03/2019 会派名:


○鈴木和樹氏
 よろしくお願いいたします。NPO法人POPOLOの事務局長をしています鈴木と申します。
 この委員会にタイミングよく、先日、食品ロス削減推進法の審議会が行われまして、POPOLOの理事長の望月が委員として出席しております。この法案は超党派で公明党の竹谷議員が中心になってやっていただいて、私も国会に何度か行かせてもらったんですが、セブンイレブンの会長さん、明治の社長さん、そういった食品メーカーから委員が選ばれる中でNPOが選ばれたのは、厚労省の推薦というふうに聞いております。厚生労働省が生活困窮者に食糧支援を行っている団体の中で、全国的にすぐれた数値を出しているところで呼んでいただいたと伺っておりますので、きょうは私どもが行っている一時生活支援事業の部分と、生活困窮者のフードバンクの活動、この2つに集中してお話をしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 ということで、当法人の取り組みも話しながらいきたいなと思いますが、大きく分けて、まず当法人の取り組みと現場から見てる子供の貧困について、対応に苦慮してる点、行政などへの要望、事前に議会事務局の方からここを中心にということでしたので、前回、津富先生がお話をされているという概念の関係は多少省かせていただきます。現場の声を中心にいかせていただきたいと思います。
 話すに当たって、自己紹介を少しさせてもらいます。実は私、小さいころ生活保護世帯で育っています。なので、皆さんの税金で大きくなった口でございます。実際に2007年から生活困窮者の支援活動に取り組んでます。ハートネットTVや、先日、クローズアップ現代でも取り上げていただきましたが、メディアにも出ています。それ以外には、フードバンクの全国推進協議会の理事もやっております。あとは静岡大学でフードシステムガバナンス論という授業を持たせていただいております。資格的には社会福祉士と2級キャリアコンサルティング技能士という就労支援の資格を持っています。こんな人間でございます。
 POPOLOの紹介です。POPOLOは、理事長の望月健次が行政書士で、私は事務局長で二人三脚でここ10年にわたって静岡で生活困窮者の支援をやっております。静岡市が3拠点と富士市が1拠点、職員はパート、アルバイトを含めて15名になります。主な事業としてきょう皆さんに御報告しようと思ってるのは一時生活支援事業とフードバンク事業、夏休み子ども応援プロジェクト。特にこの3番の夏休み子ども応援プロジェクトは、全国でも珍しい取り組みですので、ここは皆さんの地域でできるかどうかも含めて御検討いただいて、施策反映していただければなと思っております。
 一時生活支援事業です。2015年から生活困窮者自立支援法の実施によって、住居のない方の支援を、男性だけでなく家族及び女性の受け入れを行っています。1Kのアパートを提供してるんで、そんなに住み心地がいいところではないんですが、実は児童相談所等は、相談に行くと子供が引き離されてしまうということもあったり、あとはDVの施設が満床で入れない。あとは女性は、携帯も取り上げられてしまったりするので自由がきかなくなるので、入りたくないという現象が起こっています。それで、何とか子供は夏休みの間なんで一緒にいさせて、長期休みが終わったら児童相談所がちょっと引き取るようなアプローチを。それまでの間、そのお母さんのほうを何とか保護してくれないかという相談が結構あります。
 POPOLOの一時生活支援事業は、これもまた厚労省の先駆事例に載っているのですが、こういう泊まるところって用意すると集まってきちゃうじゃないですか、家族が逃げて来たりとか。それを避けるために、POPOLOでは12市と協定を結んでいて、その12市というのは東からいうと熱海、伊豆、伊東、御殿場、三島、沼津、富士、富士宮、焼津、藤枝、島田、掛川。この12市と協定を結んで、12市で相談が来た案件は全て富士市の施設で受け入れるという協定を市長印を押して結んでいます。これが少ない予算でやれて、なおかつその特定の自治体に集まってくるということを防ぐ方法として、今後、住居の支援のアプローチとしては有効ではないかということで、厚労省の視察も来ています。
 一時生活支援での入所が子供の貧困にかかわる理由として、10代で進学を希望せず就労を希望してる場合。これはどういうことかと言いますと、児童相談所の施設等々に入れようとすると、進学が前提になるんですよ。中卒でその後働くっていう気持ちを持ってる人だと入れないんですよ。大人扱いになるので。ですので、こういった方が家をなくしてしまうと、本人は進学を希望しないと施設に入れないですね。そうすると生活保護という方法もあるんですけど、普通の若人で、進学したいという希望もありませんので、そういうときに入るところに困っちゃうんですね。そういった場合、受け入れします。実際に16歳の女の子で――2年前、1年半前かな――某市役所さんからの依頼で、困ってしまって、児童相談所も結局進学希望してないんで受けることができない。女性相談員も、お母さんのほうにも問題があるもんですから、お母さんのもとに返すもわけにもいかないと。となると、彼女は就職を希望してるので、POPOLOさん、就職支援をしてもらえないか、彼女の家を用意してくれないか、彼女が仕事を見つけるまで、という依頼が来ます。こういったケースが何例か、5年間で3例ぐらいあります。これは多いと見るか、少ないと見るかは皆さんのそれぞれだと思うんですけど、うちの団体はめちゃめちゃ小さい団体で、だんだん知られてきたところなので、この3例も2015年、16年には全然なかったのに、17、18、19の3年間で来てるので、今後、ふえることが予想されます。これはなぜかというと、この、10代で進学を希望しない、ここにも問題はあると思うんですけど、希望しなかった場合、打つ手がないんですよ、実際問題。ですので、こういった施設がないとその方たちはどうするかというと、夜の仕事で寮つきの仕事だとか。今から言う発言というのは事実なので言いますが、そういった夜の仕事のほうがそろってるんですよ――アリバイの会社を用意してくれる、日払いで給料をくれる、なおかつ寮も用意してくれる。これを行政の施策でやってる自治体なんて1つもありませんので、全部そろってるというのは。私たちも家は用意できてもアリバイ会社なんてつくれませんので。ですので、こういった方を受け入れてます。
 母子生活支援施設が満床、もしくは本人が入居を拒否した場合。これは先ほど言ったように、やっぱり携帯を取り上げられたり自由が全然ないので、ノイローゼになってしまうよと、集団生活もあってお母さんのほうが耐えられない。子供は児童相談所に預けることを同意したとしても、お母さんのほうがこの母子施設に入りたくない、DVシェルターに入りたくないというケースでうちで預かって、実際にこの就労支援まで行って、就労支援をした後に児相と調整をして子供を迎え入れるという段取りをする、こういったことも行っています。なので、私、さっき社会福祉士だけじゃなくて、2級キャリアコンサルティング技能士という資格を持ってますよと言わせてもらったのは、そこです。就労支援までちゃんとやると。2級キャリアコンサルティング技能士って静岡県内で220名ぐらいしかいないんですよ。POPOLOの職員で2人いるんですよ、その資格を持ってる人間が。ハローワークに1人しかいないような資格を持ってる人間が2人いるということで、非常にこういった母子の就労支援というところ――母子に限らず就労支援ですね、大事にしております。私も磐田市のハローワークの長期離職者の履歴書の書き方講座や、あとはもう1人資格のある職員も、吉原や焼津などのハローワークで先生をやっております。ですので、そういった就労支援に特化してるものですから、どうしてもお母さんが入居を拒否した場合、うちに就労までちょっと面倒を見てもらえないかということで来るケースがあります。
 あとは、乳児院などへの入所調整を行うまでの間。これもさっきと、満床の話と同じなんですが、自治体の職員が、例えば子供が入れるところ探さなきゃいけないというときに、やっぱりすぐ見つからないんですよ。あいてるところを探すには何日か日数が必要で、行政職員もその日のうちにどうにかできればいいとは思ってるんですが、それができなかった場合、数日だけでも構わないので母子ともども預かってくれないか、子供が見つかると子供だけ乳児院等に行って、お母さんはそのまま、もしくは母子生活支援施設が入れるよというんであれば、2人そろって行くというような施設の調整の期間の間に利用するというケースもあります。
 あとは、児童相談所や子供を管轄する課が必要と判断した場合。どういうことかといいますと、例えば高校を卒業するまであと3カ月ないし半年とかのときに、経済的なDVが発生していた場合、要はバイト代を全てお母さんが搾取してしまうという状況のときに、その子の生活環境が非常に著しく悪いわけですよね。とはいえ、あと数カ月でもう就職も決まってる、なので、この自分の今いる市での仕事もやめたくないし、お母さんのところにも戻すわけにいかないというときに、うちの施設、これは富士市に施設があるんで富士市限定の話になっちゃうんですけど、その場合は数カ月だけ、うちの施設から学校に通って、バイト先に通うというようなことも行ったりもします。
 というように、実際は派遣切りとかされる方が一番多いんですけど、大体130人ぐらい入居するうちのこういう事例って1割あるかないかなんですけど、今後、多様な生き方、もしくはシングルの割合もふえてきてますので、DVもかなり助けてって言えるようになってきてますので、今後、こういった母子の利用というのはふえてく一方ですし、中には車上生活で逃げてきて自治体に頼ったときに、家族で受け入れる施設ってないんですよ。生活保護を申請したとしても1カ月はかかりますし、申請したところで物件を探すのは自分ですので、そういったときに緊急的に家族ごと受け入れられることができる施設って、今、県内だと恐らくうちしかないと思います、家族で受け入れるっていうのは。無料低額宿泊所とかも浜松市は結構整備されてますけど、あくまで単身を対象としてるので。基本的には世帯を分ける形になっちゃうので、世帯を分けると、今度はせっかく家族一致団結してやり直そうとしているときに離れ離れになっちゃうというリスクがあるもんですから。1割ぐらいは離れ離れにしたほうがいい特殊なケースもあるんですが。年間十三、四件ぐらいそういうのがあります。女性の単身の相談も多くなってきてます。こういった施設を運営してますよっていうところが1つです。これは全国でも珍しい形態の施設ですよということ、その中には子供、女性の行き場がなくて受け入れてるということがありますよと、就労支援までやってますよということを御理解ください。
 続いてフードバンクです。当法人はフードバンクふじのくにの運営を委託で受けております。フードバンクふじのくにというのは、10を超える団体がコンソーシアムでやってます。生協さんや労金さんなんかと一緒につくった団体です。NPOが5団体、この間来た津富先生の青少年就労支援ネットワークも、フードバンクふじのくにの理事団体です。というように、いろんな団体が集まってコンソーシアムでやっております。どういったものかというと、企業さん、食品メーカーさんなどが、まだ安全に食べられるにもかかわらず廃棄せざる得ないものを無償でいただいて、それを生活に困ってる人に届けるという活動になります。業務の実施は、当法人POPOLOが担っています。
POPOLOの理事長、望月健次は、先ほど言ったように内閣総理大臣任命で食品ロス削減推進法の審議会の委員をやっています。大体年間で2,915件で57トンの食糧を、静岡県内の困窮世帯に自治体や社会福祉協議会などを通じて提供しております。全県で食糧支援を受けれる県は静岡県だけです、これは。ほかの自治体へ行くと、食糧支援を受けれないという市が実は存在します。テレビで1番よく出るフードバンク山梨が有名なんですが、フードバンク山梨も甲府市では食べ物が受け取れないんですね。市役所、社協さんと連携とれてなくて。フードバンクふじのくには、全国でも珍しく全ての社協、全ての行政で困ってる人が食べ物を受け取ることができるという仕組みになっております。ですので、静岡型フードバンクと言われています。さまざまな立場の方がフードバンクに参加してるので、例えば島田市ですとか牧之原市なんかですと、企業さんに実際に食糧をくださいと、困ってる人に渡すのでということで、行政みずからが課長印を打って依頼状を出して企業に呼びかけるということをしております。
 フードバンクの派生で、先ほど言った子ども応援プロジェクトの話もしたいと思います。こういったフードバンクの活動そのものが、かなり全国的にも珍しいのに、当法人では島田市と連携してる夏休み子ども食糧支援事業というものがあります。これも似たような名前のやつはいっぱいあるんですけど、子供の貧困対策として2017年度から島田市及び島田市社会福祉協議会、NPO法人POPOLOが共催実施しております。これは内閣府の子供の未来応援基金というところからお金をもらって実施しました。夏休み期間に子育て応援と題して、幼稚園、保育園、小学校、中学校、高校、小規模保育所、企業保育所に全部配布します。
子供の貧困と言ってるのに困ってない人にも配るのかと疑問に思った方がいらっしゃるかと思うんですが、女性の方だとわかりやすいんですが、若い女性は市役所の福祉課に行きにくいんですよ。なぜかというと、子育ての課と違って福祉課に相談に行ったイコール生活に困ってるとばれてしまう可能性があるんですね。とはいえ、生活困窮者自立支援法が始まって、若い方にも困ってたら相談に来てほしいんですが、実際にデータをとると、この後また同じ話をしますけど、若い人全然来ないんですよ。それで、島田市と一緒になって、困ってる人集まれだと来ないので、とにかく皆さん来てください、子育て応援ですよっていって、貧困のひの字も出さないで呼びかけた中で、手渡ししながら面談をやると、僕らプロなんで困ってる人かどうかって話を聞くとわかるんですよ。そこで見立てて、一度も今まで市役所に相談に行ってなかった若い女性の相談を掘り起こしていくというのが目的なので、全ての幼稚園、保育園、小学校、中学校、高校、小規模保育所に全校配布してます。なので結構な食べ物の量が必要になってくるもんですから、行政も企業さんにお願いしたりするんです。
実際に島田市は大体10万人ぐらいいるんですけど、138世帯が申し込みをしました。この後、ちょっと詳細なデータを出しますけど、一度も市役所に相談に行ったことないって人が結構いるんですよ。この138世帯全部が貧困ではないんですが、6割ぐらいの人たちが、今すぐ支援が必要、もしくは何らかの見守りが必要と社協さん、行政、当法人で判断した案件でございます。これはどういうことかというと、子供がいる世帯ですので、子供の貧困に直結するやつですね。子供の貧困の1番の問題は、子供自身が助けてって言えないことです。お母さんの支援を通して子供の貧困がわかりますので、この事業を行うことで困ってる世帯のあぶり出しをする、アウトリーチですね。
全国的にもこういった幼稚園、保育園、小学校、中学校、高校と全てに配布するというのは、静岡県の島田市だけです。山梨県は就学援助の人だけに食べ物出してます。文京区の子ども宅食は就学援助の方だけです、LINEで申し込みをしている方だけです。京都府とか岩手県もやっているんですけど、こういった配布はやれていません。これはどういうことかというと、島田市が課を越えて連携していったからですね。
 データも示していこうと思います。現場から見える子供の貧困についてです。当法人の事業については、今の3つが子供の貧困にかかわる部分の事業ですので、ざっと説明させていただきましたが、ここからは問題点も含めてデータを示したいと思います。こちら、見にくいと思うんで紙を見てもらったほうがいいかもしれないんですが、フードバンクふじのくにから食糧を提供した県内の自治体の一覧です。見ていただくといろんな自治体から依頼があるんですが、まず見ていただきたいのが、東中西で見たときに、西部が弱いというところがございます。これは、次の年の平成30年のデータですね。こっちでも西部が弱いですね。ちょっとふえてますけど、西部の件数が基本的には低いわけですね。自治体以外にも、地域包括支援センターの高齢者の関係、スクールソーシャルワーカー、学校、子ども食堂、学習支援団体などにも食べ物を出しているんですが、実は学校から依頼があるっていうのは結構珍しくて、ほかの県では学校から直で依頼をフードバンクにするということは、実際は余りないんですね。
静岡県の場合は児童館だったり、子ども食堂だったり、学校だったり、スクールソーシャルワーカーさんとかあらゆる立場の方が、子供が御飯を食べていないとわかったときに、フードバンクに連絡をして食べ物をもらうというようなことが実際起こっています。学校でいいますと、中央高校や清水の中学校とか、あとは金谷高校とか。そういったいろんな高校で、学校の先生の裁量の中で、子供たちが食べていないということに気づいたときに、食べ物を提供するということをしています。
ただ、残念ながら全ての学校でそういうことをしているわけではないので、やっぱり思いのある先生、思いのあるスクールソーシャルワーカーがいて、初めてそういったことを使うということです。実際には、スクールソーシャルワーカーとの連携がまだまだ私たちもとれてませんので、県のほうでスクールソーシャルワーカーを多分雇用されてると思うんですけど、ぜひぜひこういった食べていない子供がいたらフードバンクにつないでいただけるような仕組みが皆さんの御尽力でできたら、これ全国でもやっていませんので助かるなというのが本音です。こういったいろんな団体、それ以外にも、子供の貧困と関係ないですけど地方検察庁が出所する人に食べ物を出したりとか、民生委員さんとか児童委員さんとか、母子寡婦福祉会とかひきこもり支援センターとか、いろんな団体と連携をとっています。
 静岡県はこれだけたくさんのいろんな団体、地域包括支援センターの高齢者のところから児童館まであらゆるところとかかわっているんですけど、それでも地域によってやっぱり利用が偏ってる現状があるんですね。西部地区に関しましては、依頼件数が少ないんですね。データももう出てます。積極的にフードバンクを活用する富士市、富士市社協では年間で487件、人口26万ぐらいですかね。島田市、島田市社協の依頼数は402件、静岡市、静岡市社協は70万人ぐらいいると思うんですけど、437件。やっぱり困窮している人はいるんで、それなりにやる気があると件数上がるんですよ。でも浜松市、浜松市社協は、同じ政令市なのにこの数の差はどういうことか。いないのか、浜松市は。そんなわけないですよね。掛川市、掛川市社協も人口、結構掛川市もありますけど45件、島田市と比べるとすごい違う。磐田市、磐田市社協の依頼件数も違う。どういうことかというと、やっぱり自治体によって食糧支援に対して温度差があるんですよ。
だけど、実際、御飯食べてないっていう相談者なんて腐るほどいて、あおりを食らうのは子供なんですよね。御飯食べてない世帯がいて、お父さん、お母さんは何とかなるかもしれないけど、結局あおりを受けるのは子供なんですよ。実際、私が小さいときに生活保護世帯で育ってますけど、両親のお金の使い方が悪くて、白い御飯に塩をかけて食べたり、1つの卵を2回に分けて御飯にかけて、しょうゆを多目にかけて食べたりとか、かなりひもじい思いをしました。要は、子供の分についてるお金は親に渡るので、親が使っちゃう人だと僕には来ないわけですよ。僕が唯一死守したのは、高校生のときにもらった地域振興券ぐらいですかね。本当に子供に渡らないんですね。だけど、子供が食べ物ちょうだい、助けてって言うところなんて学校以外ほとんどないじゃないですか。そうすると、やっぱりこういった困窮を世帯で支援してる窓口がもっと本気になって掘り起こしをしたり、いろんな地域と連携をとるような。法律ができたからといって国の法律だけじゃ足りないんですよ。しっかりと県で方針を示してやってくというところが大事になってくると思います。
 何でこんなに差が出るかというと、遠いんですよ、この3つって。西部だから。掛川市はぎりぎり中部と言ってもいいかも知れないですけど、食品を送るのに送料がかかるんですよ。それで、ここは近いから取りに来れるんですよ。島田市は近くはないですけど、もう根性で取りにきてますね。送料かからないように担当を置いて。そこで大きな件数の差ができていて、恐らく送料が無料の仕組みができたら、この件数ぐらい伸びるんですよ。伸びるってことはどういうことかというと、困ってる世帯にちゃんと食べ物が届くんですよ。
食べ物が届かない地域の方はどうしてるかっていったら、困ってお金借りたりとか、フードバンクの利用がお金かかっちゃうので使わないということで我慢をさせたりとか、私たちも豊富に資金があるわけではないので、やっぱり郵送費は出してもらってるところがあって。実際に各市町、法外援護費という特別会計を持ってるんですね。富士市はフードバンクに力を入れるかわりに、法外援護費を削ったんですよ、その送料とかに充てれるように。実際にそのアウトリーチに使って、食べ物を渡すという理由で家まで行って、家の中の様子とかを見るようにして、子供に対しての環境は大丈夫なのかとか、虐待はないかとか、そういうためのツールで結構使ってたりします。少ないところは送料がかかってしまうので、送料を出したくないっていうのが一番大きいと思います。資料戻りますけど、これ見てください。明らかに少ないですよね、明らかに。だから、袋井市は頑張ってるほうなんですよ。83件ですから、西部の中でひときわ頑張ってるほうなんですよ。自治体格差がすごく出てきてしまうんですね。
これを解決するにはやっぱり送料がネックになってくるもんですから、何かしらの手段が打てれば、食品ロス削減法案のほうでフードバンクに予算つけるという話もあるんですけど、フードバンクって厚労省の管轄でもあるし、農水省の管轄でもあるし、消費者庁の管轄でもあったりするので、管轄が定まってないので国だと予算取りがしづらいんですよ。そうすると、自治体単位とか県単位でやってかないと、フードバンクは管轄できないんですね。農水省は企業の食べ物だけですし、消費者庁とか環境省とかは個人の廃棄されるものが管轄だったり、厚労省は困ってる人にその食べ物を出すのが管轄だったり、かなり詳細に分かれてるので予算取りが実は難しくて、生活困窮者自立支援法の中にもこういった食糧提供の予算は入ってないんですよ。
でも、全国でもいろんなところが使ってる、特に静岡県は熱心なところはすごい使ってると。地域によって偏ってると。全ての自治体が積極的に支援を行う自治体と同じような支援体制になれば、現在の2,915件は8,892件までふえる可能性もあると思います。根拠としては、島田及び富士の件数をもとに、10万人当たり247件と仮定して、その36倍ですね、360万人いるんで、それで計算すると8,892件ぐらいかなというところです。実際、この3,000件というのは全国でもトップクラスです。困ってる方3,000件に出してるフードバンクっていうのはなかなかいないです。
 地域性以外にも、実はフードバンクや生活困窮の相談窓口の偏りは存在しています。これは島田市のデータです。これは当法人がフードバンクふじのくにと自前で全部調べましたけど、島田市の食品を欲しいよといった人たちの続柄です。60代男性、50代男性――高齢者の助けてが多いんですよ。よく見ると40代以上の男性が50%を占める。子供の貧困の話をしにきてフードバンクの話を私はしましたが、実際に自治体だけの食糧支援では、自治体、社協だけでやると40代未満の女性の利用率は10%、男性は8%しかないんですよ。
これはすなわちどういうことかというと、自治体、社協さんだけのそういう相談窓口を設置しても、若い人は来ないということがもう如実に。制度ができてもそういう状況になってますので、皆さんが一生懸命つくってくださった、皆さんの中で政党入ってる方なんか、特に、一生懸命法律をつくってくださいましたけど、ふたをあけたら制度設計としては子供たちを守るようなものにはなってないんですよ。若い人たちは来ないんです。世帯全体を見ても単身が半数、2人世帯が23%。来ないと。子供がいる世帯は22%という数字が出てます。なので、フードバンクの利用の年代が偏ってることがデータからも判明しています。市役所や社協の相談に来る年代が偏ってる可能性が高いということが、現場ではわかっています。なので、先ほど言った島田市との共同事業が生きてくるんではないかなと私たちは思って、2017年から実施しました。
 このチラシをよく見てください。あなたの子育て応援しますって書いてありますよね。先ほど言ったように、貧困のひの字もないんですよ。ここに貧困と書いてしまうと、私はまだ貧困じゃないから私が申し込むものじゃないなって勝手に思ってしまうんですね。自分より困ってる人が使うもんだと思って。だけど、ここを子育て応援に変えるだけで、全戸配布に変えるだけで依頼が爆増します。私も使っていいんだになって。もともと経緯としては、さっきのデータで僕たちは子供のいる生活困窮世帯を支援したいという思惑がありました。支援が必要な人に周知できてないんじゃないかと思いました。市役所も、いるんだったら支援しなきゃいけないとなって、社協さんも窓口をやってる中で、若い親からの相談がないんじゃないか、フードバンクの利用も少ないんじゃないかって思っていました。
それで共同実施をしたんですが、この生活困窮者自立支援法の相談窓口が2015年から全ての自治体にできましたが、問題点として、相談者が来るのを待って、そこから支援が始まるんです。何日も食事をとることができない、息子が全く働く意欲なく引きこもってるとか、いろんな相談内容があるんですけど、相談窓口をつくるっていうのは相談に来る人しか支援できない限界っていうのが存在します。ですので、支援が届かない人の特徴として、必要な情報にアクセスできない、支援を求めることに心理的ハードル――要は本当に困ってる人が行くんじゃないかとか、何か説教されたらどうしよう。特に若い女性が行くと例えば年配のケースワーカーさんとかが、たまに説教しちゃうんですよ。説教されると二度と行くもんかってなるじゃないですか。皆さんも若いとき、先輩から理不尽に怒られると、ありがたいお言葉だなと思うときもあれば、嫌だなと思うときもあるじゃないですか。それを市役所の職員にやられると、市役所に相談に行こうって気がなくなってしまうわけですね。特に男性の相談員がついちゃった日には、女性の方のすごく繊細なところの部分も根掘り葉掘り聞いちゃうので、行きたくないとなってしまう。
あと、問題が幾つも重なって自分でもどうしていいかわからない、これも結構多いです。あと周りに頼れる人がいない、困り果てて誰かに助けを求めることもできなかったりします。なので、相談の掘り起こしをしなければ埋もれたままになります。ここはぜひ皆さんのお知恵等々で、どうやったら掘り起こせるのか、どうやったら掘り起こしを一生懸命やってる団体を支援できるのかというところについては、そういった立法、制度含めて御援助いただけると、もっともっと地域の相談窓口が活動しやすくなると思います。正直、その掘り起こしに予算ついてないので、かなり手弁当で皆さんやってるところが事実です。NPOも含めて、社協さんや行政もかなり手弁当でやってるところがあります。
 ですので、私たちとしてはアウトリーチ事業を連動して、こういうフードバンク及び子ども応援プロジェクトは、食糧支援がきっかけで出会って、支援の入り口の種がまかれて、相談に行こうというきっかけをつくろうと思って始めています。実際、こういう図でやってます。
かかわってる部署は、民生児童委員さんとか、保育園とか、幼稚園とか、子育て応援課、健康づくり課――特定妊婦みたいな健康診断の関係ですね――あと学校教育課、教育総務課、保育支援課、福祉課、全ての課が集まって会議を行って、今回、その全部に申請書を配布して、申請が来たらPOPOLOが市役所と状況報告して、食糧を配布するときに社協さん、市役所さん、POPOLOの3者で、市役所さんは来ないときもありますけど、お母さんが取りに来たときにいろんなアンケートをとって、実際に困ってる状況かどうかの見立てをするわけですね。それで関係課に情報共有をしながらアウトリーチをしていくと。
実際に課を越えた連携として、福祉課は生活保護や生活困窮者の支援をしていますし、子育て応援課は児童相談、子供の貧困、母子父子の福祉。保育園、幼稚園なんかを統括してるのは保育支援課。健康づくり課は特定妊婦母子手帳のところです。教育総務課は就学援助。学校教育課は小中学、校長会、スクールソーシャルワーカーというところで、このいろんな課にわたってるもんですから。子供の貧困って、分かれ過ぎててどこの課でも主体的にやりにくいんですよ。児相がかかわったりすることが多いんですけど、就労支援のノウハウがあったりするのって、生活保護の方を就労支援やってる生活保護の課のほう方が得意だったりしますし、かといって、学校生活で発見とかする場合は、こっちのスクールソーシャルワーカーを束ねてる学校教育課のほうが詳しかったりしますし、就学援助を受けてるところの情報は教育総務課が福祉課より詳しかったりするので、この課を横断してしっかりと支援をやっていくというようなことをしないと。この事業は何課がやるみたいにやっちゃうと、子供の貧困って解決しないんですよ。なんで、課を越えてしっかりと支援をする体制っていうのをつくらなきゃいけないんですけど、残念ながら形だけの連携はありますが、こういった1つのケースをいろんな課が越えて一緒にやるってことはほとんどないです。
滋賀県の野洲市は、条例をつくってあらゆる生活困窮の方を排除しないで、課を越えてしっかりとたらい回しにせずに支援してこうという条例をつくっています。なので、野洲市でできるんであれば静岡県も、排除しませんよと、たらし回しで課が違うからっていうふうにしませんよというようなことはできると思うんですけど、現状、それがないので、たらい回しになっちゃってるところは事実としてあります。
 例えば、国民健康保険料を滞納したりとか、税金を滞納したりとか、水道料金を滞納したとしても、福祉課に連絡来ることってあんまりないんですよ。福祉課がやってる生活困窮のチラシを、水道料金の滞納の通知の中に入れたり、税の通知の中に入れたりしないんですよ。でも、野洲市はやってるんですよ。私、これをやってくれってずっと、いろんな市町に言ってるんですけど、なかなか実現しない。百歩譲って、税金の滞納があったときに、こういうとこに相談行ったらって言ってくれるようには最近なりましたけど、実際、県内ではまだまだそういった課を越えた連携っていうのはできていない。できている市もあるにはあるんですけど、全体的にできていないのが現状です。
 食べ物をとりに来たときは、こういった感じでアンケートをとって、借金があるのかどうかとかいろんなことを話しながら見立ててく。これは社協の職員ですね。で、こういうチラシを食べ物の中に入れて、家へ帰って食べ物を食べていく中で、あのとき言えなかったけど、こういうことも悩んでるんだよっていうふうに。いきなり最初に初めて会ったときに、特に女性は全部はしゃべらないんですよ、実は。皆さんもそうだと思うんですけども、初めて会う人に自分の繊細な部分を全部しゃべる人っていないんですね。実はっていうのが大体あるんですね。ですので、食べ物をもらってるから、このチラシが入ってるともう1回もらえないかって連絡が来るんですね。ここに社協と市役所の番号書いてあるんですけど、電話してくるんですよ。そうすると関係ができて、2回目だから、ああ、実は困ってたんですよって話をしやすくするんですね。それでこのチラシをもらって、ああ、私も相談していいんだってなって、実は借金があってとか、そういう話が出てきたりすることがあります。これお礼の手紙ですね。食べ物の中にはがき入れといたら、子供さんとかがこうやって書いてくださったりして。
 この事業をやってわかったことが、先ほども言ったようにこの138件申請があって、受け取りが131件だったんですが、ひとり親世帯は76件でした。その内、役所に相談に行ったことないというのが76件、社協に相談行ったことないが104件、両方に相談行ったことないは69件。見てください、約半分の人が社協にも市役所にも相談行ってないんですよ。ひとり親世帯が半分以上ですから、だからひとり親世帯の人ですら両方に相談行ったことないと。実際、ひもといてみると、6割、7割の人がすぐに関与しなきゃいけない経済状況だったってこともわかっていて。
これはどういうことかっていうと、制度はできても若い人たちに行きやすい環境はつくってないんですよ。そして待ちの姿勢ですので、困ってる人おいでって言って待ってるわけですよ。でもそうじゃなくて、積極的に来てもらえる仕掛けをしないと、相談者は来ないんです、特に若い人は。ですので、制度設計や何かを皆さんがやるときには、必ずこの部分の、事業のやってみた結果っていうのは、頭の片隅に置いといていただきたいんですね。窓口をつくっても若い人は行かない、そして行きやすくするには全員が対象みたいな形にしないと行きにくいんですよ。
 だから子ども食堂も、困ってる人集まれっていうふうにやってる子ども食堂は少ないんですよ。行くとレッテル張られちゃうんで。僕も今、こういう仕事してるから、生活保護受けてましたって言ってますけど、18歳ぐらいまでは恥ずかしくて言えませんでした。私は静岡市立高校だったんですけど、みんな大学行くんですよ。僕だけすぐにお金を入れなきゃいけないから、就職して大人になってから大学に行ったんです、自分のお金ためて。で、社会福祉士になるためにもう1回大学行って、何か人より多く行ったんですけど、そんな人なかなかいないですよ。
何が言いたいかっていうと、やっぱり自分がそういう状況下にいると言えない。今、共同経営してる望月は僕の高校の同級生なんですけど、一緒にやるまで僕が生活保護を受けてたことを知らなかったですからね。それぐらい皆さん隠しますので、なかなか役所にも行きにくいんですね。だから、生活保護の申請しちゃってあれば、別にまだ隠れて相談に行けばいいんですけど、行こうと思っても、やっぱり心理的な障壁があって市役所に行きにくい、じゃあ行きやすくするにはどうしたらいいのかっていうところをぜひぜひ一緒になって考えていけたらなと思います。その一手として、私たちはこういうことをしましたよと。
 あと、もっと大事なのがここです。困ったときに頼れる人は誰ですかって聞いたときに、見てください、市役所って答えた人これだけしかいないんですよ。社協って答えた人これだけしかいないんですよ。民生委員もこれだけしかいない。いないって答えた人いるわけですよ。家族や知人、友人が圧倒的なんですけど、よく考えてみると、家族、友人に言えないことだってあるじゃないですか。家族、友人以外にもう1つ、公的なところに相談できる人っていうのは強いんですよ、困ったときに言えるから。何が問題かっていうと、家族、友人以外に公的なところに相談に頼れる人がいるって答えた人がいないことが問題なんですね。要は、制度を知ってる人とかにつながらないわけですよ。私たちフードバンクふじのくには、困ってない人たちにフードバンクの存在を知ってもらって、困ってる人がいたときにこういうのあるよって言ってもらえるように、いかに困ってない人に知ってもらうかってことにこだわってるのは、このデータがあるからです。もう親とか友人しかいないんですよ。
 盛岡市が3年連続同じようなデータをとったんですね。静岡市はまだ1年しかないんですけど、盛岡市が、この事業を継続していくと、頼れる人っていうところに民生委員さんとか市役所が伸びていくんですよ。この事業を継続していくと、リピートでもらう人もいるので、リピートの人は答えてくんですよ、困ったときに頼れるのは市役所だよ、困ったときに頼れるのは民生委員さんだよって。これは事業の継続の中で相談につながって、ああ、本当に親切にしてもらったってその若いお母さん方が思って、アンケートに答えていくんですけど、来年の静岡市のデータをちょっと楽しみにしていて、皆さんにも提供できたらなと思ってるんですけど、3年後ぐらいに市役所とか学校とか民生委員さんとかが伸びてきたら、この事業は一定程度の成功かなと思っておりますが、こんなことをやっています。これは全国でも静岡市、島田市が一番珍しい取り組みと言われていますので、もし興味のある方は来年の夏もやっていますので、視察は大歓迎です。毎年やってますので。島田以外でできたらいいなとは思ってます。ただ、予算の問題もあったりとか、食糧の量の問題があったりとか、なかなか難しいところもあるんですが、ぜひぜひ興味を持っていただけたらなと思っています。
 対応に苦慮してることと行政への要望をお話ししたいと思います。
 食糧支援に先ほど言ったように地域格差、年代格差があること。これについては問題だと私ども活動してて思っています。ぜひぜひ何か皆さんから気づきをいただけたらなという思いもあることと、今の静岡の現状を皆さんに御理解いただきたいというところです。
学校や児童館などの多様なフードバンク利用。これも学校とか児童館から依頼が来るよとか言ってるんですけど、全部じゃないんですよ。全ての学校に御飯を食べてない子供は存在しますし、まだまだその学校が少し閉鎖的なところもあって、先生方がそういった教育委員会に目をつけられてしまうんじゃないかっていうところもあったりしますので、子供の貧困対策っていうのはやっぱり学校が一番発見しやすい、もしくは地域のそういう子供たちが集まる場所が発見しやすいので、そういったところで食糧支援がしやすいようなことができるようになると、もっともっと御飯が食べれない子供は減ってくのかなと。そして、子供が御飯食べてないってことは親世帯にも問題がある可能性が高いわけです。そうすると相談機関、市役所の担当課がその方たちを注視することができますので、そういった方が利用できるように後押しをいただけると、もっともっと変わってくるのかなと思っています。
 あとは子供の貧困担当の課との連携で、福祉課と子供の貧困の担当の課の連携が全然とれてないのが現状です。先ほども言ったように、この児相とかの案件の子育て応援の課の情報と福祉課の持ってる情報が、一緒じゃないってことが結構多いです。食べ物を渡そうとすると、こっちの情報は守秘で教えられないけど、福祉課の情報は教えてちょうだいって児相の課から言われたりしたり、あとはその支援に我々が入ろうとすると、児相案件ですとアンタッチャブルな感じになってて入り込めないんですよ。だけど本当は、私だって社会福祉士ですから、みんなでやったほうが、多様な機関がかかわったほうがいいアイデア出るに決まってるじゃないですか。ですが、この課はこの役割でやってるからっていうふうに縦割りになっちゃっているもんで。子供の貧困を担当するっていうところで大体子育ての課がやるんですけど、福祉課も本当はやらなきゃいけない。福祉課はかかわりたい。子育ては自分ところの仕事なので手放したくないわけですよ。でも、福祉課もやらないとまずいわけだからかかわりたいというところがあって。どっちがやるのっていうことが発生するので。どっちかがやるじゃなくてどっちもやるなんで、そこを調整するようなことができるといいんですけど、実際はできてる市とできてない市のギャップが物すごく大きいのは事実です。
 あとは、私たちがやってるフードバンクは予算措置とられていません。なので、全部寄附と手弁当でやっております。予算措置がとられていないので、送料の問題なんかもあって西部の支援の格差があります。あとは食糧寄贈企業確保に協力してくれる自治体の少なさ。先ほど企業の開拓もしてくれてるよって言ったんですけど、それは実は少なくて、35市町ある中で5自治体ぐらい。牧之原市とか島田市さんなんかはよくやってくれるんですけど、実はそういった企業さんに寄贈してって言うと集まるはずなんですよ。食品ロスで結構捨てる物持ってる企業さん多いんで。
でも、私たちの信用では、まだまだ全ての企業さんと連携をとること難しいので、やはり食べ物を安定的に確保するためにも、行政のほうで同じように一緒にやってるわけですから、そういった働きかけしてほしいんですけど、実際にはそういった企業確保に協力してくれる自治体はまだまだ少ない状況です。実際に具体的な名前を出すと、焼津市、藤枝市、島田市、牧之原市、あと浜松市ですね、よくやってくれるのは。この5つの自治体はよくやってくれてます。ただ、浜松市は依頼が少ない。企業は開拓してくれるんだけどという、何か不思議な現象が起こってるんですけど。
 ということで、まとめに入りますが、このように私たちがやってる事業の御説明をさせていただきました。どれも、どちらかというとどの地域に行ってもやってないことではあるのですが、問題もたくさんあります。私たちの力不足でやり切れてない部分もあります。僕たちは行政を変える力はやっぱりないので、議員の皆さんにお知恵をいただきながら、制度をつくっていただいて、私たちはそれに乗っかるしか正直ないところなので、現状を包み隠さずお話しさせていただきました。子供の貧困って大人の貧困です。生活保護を受けた世帯の子供が、25%の確率でまた生活保護を受けるというのは有名な話です。東大に行く人が1,000万円以上稼いでる世帯というのも有名な話です。私は実際、生活保護世帯でしたが、幸い生活保護世帯にならないで済みましたが、子供の支援とセットで困窮してる親の支援もやっぱりやっていただきたい。
例えばある日、中学生の子供が貧困でおなかをすかしていて、かわいそう、何とかしなきゃいけないって皆さんはおっしゃる。じゃあその子が20年後、38歳になって仕事が思うように見つからなかったら、怠けてるだろ、働けってなっちゃうんですよ。これはなぜか知らないけどそうなっちゃうんですよ。ですので、ぜひぜひ子供の貧困と大人の貧困ってセットですので、これをセットで考えていただきたい。
私自身、生活困窮者自立支援法はまだまだ理念に沿って運用されていないという印象を持っておりますので、皆さんも、子供の貧困と大人の貧困はセットですので、子供の貧困の委員会をやられるんであれば、生活困窮者自立支援法の制度趣旨をしっかりと理解をまずしていただくことが大事かなと思うとともに、何も細かく決まってない制度ですので、県独自のそういった支援の体制だったり、あり方というものを提案していただければなと思っていますし、静岡県は一時生活支援事業をやっているんですが、利用者はほとんどいません。当法人は130人ぐらい使うって話しましたよね、12市で。県の郡部でアンケートとったら需要あるって答えてたんですけど、データで調べてもらえばわかりますけど、利用者はほとんどいません。ノウハウがないなら、じゃあなんでうちに頼まないのとは思うんですけど。それは契約の関係なんで別にどちらでもいいんですが、いると思います。ですが、制度があってもしっかりと周知、そしてしっかりと連携をとれてないと利用者っていないんですね。ですので、制度をつくるだけではなくて、どういった展開をしていくのか、どういった知らせ方をしていくのか、誰がやるのか。ここについてはしっかりといろんな法律や公募なんかしながら受託させると思うんですけど、そういった制度一つ一つ考えていかなきゃいけないのかなと思っております。
 これは私、ハートネットTVでコメンテーターで出たときにフリップつくらせてもらったんですが、困ってる人たちというのはすぐに窓口に行きません。これは何度もきょう、言わせていただきました。そのためには、紹介者って人が必要です。私たちNPOは、この町内会や友人、家族、民生委員などいろんな方を巻き込んで、この人たちにつながるようにふだんからやっております。この後押し、それで初めて相談につながるんですね。ですので、こういった子供の貧困っていうのをやるには、子供からのアプローチ、親からのアプローチ、両方必要になってきます。とにかく、助けてと子供たちは言えませんので、大人が気づくしかありません。その大人が気づくためには、まだまだ静岡県も足りないところがいっぱいあります。ぜひぜひ前向きにいろんな忌憚ない御意見いただきながら、皆さんと意見交換をして、よりよく活動につなげれたらなと思っております。
 御清聴ありがとうございました。

○杉山(盛)委員長
 ありがとうございました。以上で、鈴木様からの説明は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 委員の方にお願いをいたします。質問はまとめてするのではなく、一問一答方式でお願いをいたします。
 それでは、御質問、御意見等がありましたら発言を願います。

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