• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 委員会会議録 > 委員会補足文書

ここから本文です。

委員会会議録

委員会補足文書

開催別議員別委員会別検索用


平成29年10月社会資本・まちづくり特別委員会
合同会社デザイン・アープ 代表 川口良子氏 【 意見陳述 】 発言日: 10/06/2017 会派名:


○川口良子氏
 川口良子と申します。
 静岡市清水区で、建築とまちづくりのコンサルタントと、2つの仕事をしている小さな事務所で、仕事をしている者です。
 もともとは建築士として仕事をしてきていますが、いろいろなまちづくりにかかわりハード整備のお手伝いをする経緯の中で、まちづくりコンサルタントとしてのお仕事もするようになりまして、今ではハードよりもソフトの御相談を受けることも多くて、ものをつくらない設計事務所の一員という感じにもなってきました。あと、NPO法人の事務局長として――これは夫が大学の教授をしていて、リタイア後にNPO法人を立ち上げたものです――その事務局長として手伝いをしたりしています。それも、まちづくりサポーター富士という、まちづくりの活動を支援する活動をしているところです。あと、私は静岡市清水区に住んでいる市民、住民としても。いろんな側面がありますので、何か一面的に、専門的に深い知見をお話しするということは、私には適していないんですけれども、割と広い目で、それも現場とか日常生活に根づいた中で、一定の専門性は持っていると思いますので、そういう中で感じたことをお話しできればなと。あと、先ほど、忌憚のない意見をぜひという話で、きょうは勝手に言っていいんだろうなと思って、かなり自分勝手なアイデアも持ってまいりましたので、そんなところを聞いていただければと思います。突拍子もないことを言うなと思われても、まあちょっとしたアイデアとして捉えていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず、きょういただいたテーマが、人口減少社会を見据えた都市計画、まちづくりについてということでしたので、それを踏まえて、先ほども言いましたように、私はいろんな場面に立ち会わせていただくことが多いもんですから、そこでの人口減少社会を迎えた最近のちまたの動向への率直な感想の一部を、まずは申し上げたいと思います。
 都市計画をやっていたり、まちづくりをやっていると、人口減少というのは、その都市計画の根幹の部分が大きな大転換を迎えるという認識を持っておりましたが、それを一般の方々とか皆さんにお話ししても、なかなか理解していただけなかったと思っています。
 いろんな話をする中で、ここ10年ぐらい、さらに言えば10数年の間、どうも人口が減るらしい、ある段階になったら人口が減っているらしい、経験したことのない事態らしいという場面で、将来を考えて、いろんなことを考えていかなきゃいけないですよね。特に私は、コンパクトシティーの推進を、積極的にいろんなところで発言してきたんですけれども、なかなかコンパクトという言葉が好かれないらしく、理解していただけないことが多かったんですけれども、今は、身近な生活の中で実感し始めてきているなと。それもそのはず、2006年から人口が減り始めていて、何と既に10年たったんだと。今、焦り始めて、制度も、やっとここでいろんなものが出てきたなという感じはあるんですけれども、やっぱり法制度とかそういうのは、後手後手にくるなと、正直、実感として思っています。
 あと、いよいよ、まち・ひと・しごと創生プランを各地でつくりなさいとか、人口減少を踏まえて、各自治体でいろんなことを真剣に考えなさいと。これも若干、上意下達的に国から言われてというところも釈然としないんですけれども、そういった委員会にも呼ばれる場面があるんですが、どことは言いません。数カ所の市とかの計画づくりに時々相談を受けたりするんですが、何としてでも自分のところだけは人口を減らさないという姿勢を感じて。正直、その人口はどこから来るのかと。頑張れば何とかなるだろうという姿勢を、やっぱりまだまだ感じてしまって、意欲は非常にいいんですけれども、きちんと現実を見据えて、知恵を働かせるべきなんだがと。
 特に、以前は都市化により人口がふえるから、その準備のために都市インフラを一生懸命つくってきた。器をつくれば、周りの人口がふえているわけだから、そこに人が来る。それは逆なんですよね。人口がふえるから、その準備のために都市インフラを一生懸命準備してきた。だけど、現場の今の方々は、器をつくれば人がふえると、ついつい勘違いしてしまっているのではないかと感じることがあります。
 ですので、考え方として、インフラ整備は、つくれば何とかなるという時代から、やっぱりニーズのあるところにそれを持っていくという考え方、プロダクトアウト、製造やマーケティングでよく言われるんですが、プロダクトアウトからマーケットインへという形で、インフラ整備についても、ここを基本的に押さえないといけないなと感じています。
 そうなると何なのかというと、まずはニーズ。都市の魅力が重要と、これは当たり前の話に落ちついてしまうんですが、そこに住みたい、進出したいというところが大事になってきて、いろんな先進的な魅力ある町で人を引きつけているところは、実は何年にもわたって積み重ねてきたまちづくり、根底にある明確なコンセプト、訴求力のあるコンセプトがある場所。そこが魅力を外へ発信して人をひきつけているなと。今だからこそ、明確なコンセプトを、まちづくりの大きな方針を、これからの人たちを引きつける大きな方針を、そういった一貫した方針というものが、これからさらに必要、重要になってくると実感しています。
 現実に人口が減っちゃうわけですから、縮退の悪いイメージばかりが先行する傾向がありますので、ピンチはチャンスとして捉える必要性も感じていて、あえてよい面はないかと捉えて、それを考えるべきではないかということです。
 よくよく人間というのは悲しいもので、過去の成功体験――高度経済成長の元気なころを思い出して懐かしむような姿勢にどうしてもなってしまうんですけれども、それでは思考停止を引き起こすので、現実を見据えて、いい面はないのかと、そういった視点で物事を考えていくことが必要ではないかと。いろんな場所に行かせていただきながら、あんまり口には出さないで、心の中で思っていたことを、きょうはここで書きました。
 言わずもがなのことですけれども、改めて確認のために、都市計画の制度は、どういう経緯で行われてきたのか、別紙に都市計画の歴史として――これは、うちで別の機会にまとめる必要がありまとめたもので、責任は私のものです。全てが正しくないかもしれないですけれども、おおむね、きちっとチェックをしてやってきたものですので、見ていただければと思います。
 都市計画の概要の歴史を見ていただければと思うんですが、大体始まりは1930年で、旧都市計画法ですので、このあたりです。人口で言うと、1930年、このあたりです。明治維新があって、人口増時期の中ぐらいになって、都市計画法というのができてきます。でも、主に大都市が対象になり、全て国が決めているものです。その状態があって、戦後の時期に、いよいよ都市計画がその力を発揮すべき時期が来ます。それが1950年、戦後からです。特に、都市計画でキーになるのは、いわゆる全総というものです。全国総合開発計画というもので、1962年。1973年に新国土総合開発法。三全総があって四全総があり、五全総――これは全総という名前が消えて、21世紀のグランドデザインという形になって、2014年に国土のグランドデザイン2050というのが出てきます。全総は国土交通省でつくられることもあって、都市計画に大きな影響を与えてきています。
 そういう形の中で、いろんな政策は、全総から考え方の提示があって、各自治体がそれに倣う中で、その制度を利活用しながらまちづくりをしてきた経緯があると思います。やっぱり制度的にはトップダウンの形。都市計画の権限が、やがて地方自治体におりてきますけれども、全体の制度設計としては、国が策定する全国的な性格のフレームの中で、制度設計がされてきていることが、まず基本的に背景にあると認識する必要があるのかなと思います。
 それと同時に、じゃあその内容や目的はどこにあるのかと言いますと、戦後、特に工業化が一挙に進んだ中で、そこで起こっているのは、都市への急激な人口集中です。農村から都市への人口移動が起こります。広い場所から一挙に都市に人が集まってきますので、過密の問題ですとかもろもろ。きちっとした住環境を整備しながら人を受け入れなければいけない中で、都市計画の制度が活用されながら、民間については規制と誘導、行政からしてみると、いろいろな事業を行うことで都市計画が行われてきたということです。
 もともと都市計画の制度は、都市化にある人口増加を前提に、制度設計が行われてきている。だから都市計画の分野では、人口が減るぞ、何とかしなきゃといろいろ騒いできたということになると思います。
 いよいよ2006年あたり、あるいは高度経済成長から安定成長、あるいは工業化から産業の高次化という中で、都市化から都市型の社会になりました。都市型の社会といっても、まだまだ大都市圏、都市圏への人口集中はトレンドとしてはあると思いますが、東京、大阪、名古屋はわかりませんけれども、いよいよ、地方都市においては、かつては都市化によって一定の人口増加が堅実に進んでいたのが、それが終わったと。さらに高齢化が加わった形の中で、もともと都市計画の制度とかまちづくりの進め方は、ある種、国の方針のもとで拡大していくときに行われた制度設計がそのままつながっていて、今、私たちがそれに対応する制度を持っているかというと、私は全然不足していると正直思っています。
 ちょっと繰り返してくどく言いますけれども、もともと都市計画の目的というのは、イギリスの産業革命に端を発した急激な過密による住環境の悪化、はっきり言うと、産業革命のころ急激に工場がロンドンに集まったときは、有名なスモッグだとか、イギリスの平均寿命は30歳だとか言われるぐらい、非常に居住環境やその他のものが悪く、そういう無秩序な集中による住環境悪化へ対応するために、計画的な都市づくりが必要という形で生まれたと。それが日本に導入されたときも、やはり従来の日本の都市計画における主な課題は、スプロール防止と土地利用配置の適正化、土地の有効利用、住環境の改善と、基本的に拡大する都市の受け皿を適切に準備する、それと同時に起こったモータリゼーションの進展に伴う中心部の空洞化対策と、それらに対応する制度として設計がされてきた。
 そして、今、人口減少社会を迎え、スプロールに対する言葉として、都市のスポンジ化がキーワードとして言われ始めています。町のあちこちで、ランダムに空き家や空き地が生まれる状態。計画的に空き地や空き家は生まれませんので、個人個人の状況によって、ランダムに起こる。土地の開発をしているときは、さっきも言いましたが、拡大していくときに、その受け皿として準備をする、なるべくいいものを準備する、スピードが求められるときには早く準備するという形をしてきたんですけれども、今度は分散したそれぞれの意思、事情のもとに、都市が空洞化していく。そういう状況が生まれてきていますので、正直言うと、主な手段が私は今見えないという感じを思っています。
 そんな中、さっき言いましたが、上意から出てくる形でいろんな制度とか計画がつくられてきたなと思っている中で、2014年に国土のグランドデザイン2050を、国土交通省が公表しました。キーワードはコンパクトプラスネットワーク。これ、日本全国、知らないわけです。それが、漏れ聞いたり、いろんなところを見ると、一挙に全国の将来都市像がコンパクトプラスネットワーク一色になったなという感想を持っています。かつて2006年、中心市街地の活性化法ですとか、都市計画法の改正とかが言われたとき、これを見ていただきますと、まちづくり三法改正が2006年です、ちょうど。このころからコンパクトシティーがキーワードとして出てきて、一部の提唱もあり、私はそれが必要だろうと思って、いろんなところで申し上げてきたんですけれども、最初のうちは、コンパクトという言葉を聞いたときに縮退というイメージで、口には出さないけど相当の人が嫌っていたなと、正直思っています。嫌われる場面に遭遇してきているんですけれども、いや国が言うと強いなと最近思っていて。若干皮肉っぽく言っていますけれども、これ一色で一挙に広がったということです。
 ただ、私が言いたいのは、やっぱりここは変わらないのかと。全総のときもそうだし、全総からずっと、国が言うと一挙にそれが広がり、制度設計もそのフレームの中でつくられていく。それに合わせるために、行政は、補助金は今は少なくなってきていますけれども、いろんな指導ですとかモデル事業ですとか、国が決めると一挙にやる。それを活用しながらまちづくりをしていかないと財政的に厳しいので、それをやらざるを得ない中で、行政の人たちが動いていると実感します。
 なので、本当の意味で、自分たちの町の人口が減っていく状況で、今後生き抜いたり、魅力をつくっていくために、どういう町が必要なのか、どうあるべきなのかといった議論が、まだまだ十分じゃないなと感じます。かかわらせていただくところは、数は少ないですけれども、それなりにいろんな場面に立ち会わせていただいて、あとあんまり偉い大学の先生じゃないもんですから、行政の人たちとは結構本音で会話をすることができるので、本音はどうもそうだなと。
 いろんな制度の活用をしていかないとお金も厳しいし、何かとやりにくいから、それに合わせて何とかうまくやっていかなきゃいけないな。一生懸命やってるんだけど、人口が減少してきている自分の町の実態がどうで、どういう特性があってというところは、調査はしているんだけれども、自分の地域の実態と制度をうまくマッチングするのが難しい場面が相当あるはずなんだけど、無理やり制度に合わせているなと感じるところがあります。
 それが、次にある、コンパクトプラスネットワークの実現化のための。私は個人的に、人口減少社会における新しい制度ってないのか、いつ出てくるんだって、よく大学の先生に聞いたりしたんですけど、国で検討してるようですけどねって言われて、いつごろですかって言っても、なかなか出てこなかったんです。理念としてコンパクト化とか、そういうのはあるんだけど、それを実現する道具というのは、いつ出てくるんですかね、自分たちで考えなきゃいけないんですかねって。すると、そうですよって、やっぱり市民主体で考えていかなきゃって。都市計画のとの字も勉強してない環境で、それを市民に依存するかって、正直思うところがありました。
 かなり本音で、きょうは話してますけれども、そういう中で、やっと出てきたのが、コンパクトプラスネットワークの実現のための立地適正化計画です。浜松市などが昨年度策定して、ことし静岡市は策定したのかな。静岡市は、都市機能誘導地域もかなり明確に位置づけして、強烈にやっているので、いよいよ、その方針に基づいて市民に発表したら、桜ヶ丘病院と市役所の問題に象徴的にあらわれてしまったり、いろいろ出てきているんですけれども。
私がここで言いたいのは、そもそも立地適正化計画というのは、コンパクトプラスネットワークのための実現のための制度としてやっと出てきたものだと思うんですけれども、静岡市、浜松市が策定し、策定しつつあるところについても、立地適正化計画を立案すると、国から提供されるさまざまな事業を目途に、やりたいことをそれにつなげていると思うんですが、必ずしもそれって一致してないでしょと。つくるときはいいんですよ。一律でいいんだけど、さっき言ったように、そうはいっても都市の事情って全然違うと。そういう状況で、みんな一律の制度の中でやっていかざるを得ない。これも問題だし、未策定の自治体が多数あるということは、まだ手段を持っていない自治体がたくさんあるということですよね。国のマニュアルだけに依存しない独自の方策の立案を促す動きが望まれるんじゃないかと。それも、地域の自治体発で望まれるんではないかと思っています。
 でも、じゃあ各市町にその力があるかというと、よほどトップダウンの強い指導のもとにやっていかないといけないんだけど、それを打ち出すのは難しい現状も感じたりして、ここで、ああ、きょうは県議会に行けると。基礎自治体のもう1つ上の、国とは違って地域に密着しながら、県という存在があるならば、その県としてコンパクトプラスネットワークの実現のため、いろんな道具、ツールを持つことが望ましいのではないか。私は期待をしたいと思っています。
それはなぜかというと、延々続いてきた、国からの大方針と、それに基づく制度をうまく使いこなせるのが、各行政のすぐれた行政職員であった。自分たち発で、現場に合わせた、都市化ではなく、人口が減って、独自に考えなきゃいけない状況になっているからこそ、そういったものを考え、必要な制度を、自分たちの道具を持っていくことを望みたいと。これですって言えればいいんですけれども、そこまでの知恵はちょっと私にはないので、そこをやっぱりいろんな方が考えながらやっていく必要があるんじゃないかと思っています。
 ネットワークの部分では、交通政策基本法があって、2013年に制定されています。これは、移動権は結局おしゃかになって移動の保証は位置づけられなかったんですけれども、公共交通というものは、事業者だけでなく、公共性を持ったものだから、自治体もきちっと考えなさいということをうたっています。だけど、現実の運用は、中山間地のバスの維持ですとか、そういったところに集中している感じがして、公共交通とか移動を保証するための交通政策基本法――かなり私は最初のころ期待をしていたんですが――その理念とは違う運用がされている感じを持っています。コンパクトプラスネットワークのネットワークは、多分公共交通だと思うんですよね。自治体によっては、公共交通もどうしようもないから、道路を活用してネットワークというのも出てもいいと思うんですよ。国がネットワークと言えば公共交通ですと言ってるから、公共交通を考えなきゃ、でもちょっと手が出ないな、だったら、困っている中山間地のバスの維持とか、そういうところをやればサービスしたことになるか。そうは思ってないと思うんですけれども、はたから見るとそう思っちゃうような現状で、そもそもこのネットワークをどう構築するのか、自分たちの実態に合わせて、本当に考えていかなきゃいけないんじゃないのかと思ったりしています。
 真ん中にどんとコンパクトプラスネットワークがあって。浜松市の都市計画マスタープランも静岡市の都市計画マスタープランも。袋井市はどうかなと思いながら見ると、袋井市はうたってはなかったです。なぜ袋井市を言うのかというと、線引きしてないんですよね、袋井とか掛川は。磐田は線引きしていて、袋井は線引きしていない。都市としては、はたから見ると近いんだけど、制度的には全然違う。ということは、やっぱり独自にこれから考えないといけないですよね。一律のものでやれるはずがないと私は思うんですよ。だから、そういう意味で言うと、現実の都市各地の実態は、歴史的な背景とか、国のいろんな制度を組み合わせて今のやり方があって、その中で独自に人口減少に対するまちづくり、都市づくりについての転換を図っていかなきゃいけないということがあると思います。
 あと、個人的にいろんな活動をして感じた中で、今の立地適正化計画の話に関連して、まず1つ目です。立地適正化計画は、先ほどここにあったように、これですね、都市機能誘導地区と居住誘導区域に、特に居住誘導区域の設定というのが、ここに位置づけられているのが、居住調整、今は線引きしていて、市街化調整区域があるんだけど、人口が減るから、居住調整区域というのも位置づけることができる。しなさいとは言ってないですよね。できるって言ってるんですよ。居住誘導区域を決めていかなきゃいけないってあるんですけれども、都市機能誘導地区って、拠点形成の制度を使われる場合も多いし、制度設計もこっちのほうが先にいっている。なぜか。イメージしやすいからかなと。中心市街地活性化と拠点形成の動きは同じ方向性で、制度とか事業もあるから、これは行政としては取り組みやすい。必要だからやるというのは全然構わないですが。
 さらに今まで、何で中心市街地ばっかりやるんだって言われるようなところもあったんですけれども、これによって拠点の必要性の根拠が補強されて、行政が取り組みやすいからやってるのかなと。これ、私は反対はしません。市の中心市街地の活性化とかのお手伝いをやってきて、都市の魅力の1つとして、魅力ある拠点というのは重要だと思っています。特に、都市の個性をあらわしたり、利便性を高めたりということは非常に大事なことなので、これは異存はありません。
 だけど、私は最近、女性のための都市計画勉強会を、人数はそんなに多くないんですけれども、浜松と静岡で始めました。3年ぐらい前から。NPO法人の事務局長として始めたんですけれども、そのときに気づかされたことがあります。コンサルタントをやってるので、都市の構造では拠点が先だろうって思い込んでたところがあるんですけれども、話を聞くと、住まいや日常の活動範囲の中で、空き地、空き家への問題に高い関心があります。中心部は中心部でやってもらえばいいんだ、身近でこんなことやあんなことが起こってる、なぜこんなことが起こるのと。
 こういう勉強会に参加する人なので、いろんな社会の状況に強い関心を持っている、あるいはかかわっている人たち――例えば福祉の居宅介護にかかわっている人ですとか、あるいは不動産業にかかわっている人たちとか、そういう方々と話をすると、空き地、空き家の問題に高い関心がある。だけど、私に質問されても、地域の実態とか大枠の数量の実態はわかりますよ。何軒空き家がある、空き地がある。だけど、さっき言ったように、地域地域でいろいろ特性があるし、まちづくりの歴史――戦後の、民間による開発行為によって行われたような住宅地開発の場合と、昔からの市街地における住宅地の場合と、いろんな諸事情がある中で、どうも同率にみんな人口は減ってきているんだなと。コミュニティーの状況も、みんなそれぞれなんですよね。だけど、空き家、空き地がふえて、単身のおじいさんやおばあさんがいるし、2人だけのところも単身世帯もふえている。だけど、どうしたらいいのか。私はそこへ行って、相談を受けて、やれることはやるんだけど、ここの地域ってどうなっていくのかしらと、非常にもやもやした状況で、不安がさらに加速されるところもある。中心部の話ばっかりして、この目の前にある住宅地の問題を、一体、いつ、誰が、どうやっていくのっていう疑問が、静岡、浜松でも共通して出されたのが、すごく私としては印象的です。
 ですので、中心部の都市機能誘導地区は、これまでの制度とかを活用しながら、ある種の思い切りで進めなきゃいけなくて、あつれきも生まれるかもしれないんですけれども、何か流れみたいなのが見えるんです。けど、郊外の住宅地と身近な市街地における状況の見える化、それこそ空き地、空き家を資源として活用するモデルイメージの提示が、他都市で、こうやっていくといいねなんていうのが、ぼちぼち出始めてきているんですけれど、やっぱりそれは専門家の世界の中で情報提供がされているし、結局、そこにいる人に依存してしまうような成功事例だったりするもんですから、普遍的な、こうやっていくと全体の流れが出ていくようになるというものを。かつての都市計画制度でそんなにうまくいっているとも思えないですけれども、土地利用のいろんな規制をしながら、いろんなまちづくりの方針を決めていくような、普遍的でいろんなところでできるようなものを検討するためのモデルイメージの提示が必要になっているんじゃないかなと感じています。
 若干、夢のような話なんですけど、空き地を地域資源として生かすことは、地域の課題の解決であって、これはいろんなところで言われていることです。子育て、介護、防災やコミュニティー醸成等において、空き地、空き家だけじゃないです、そこの実態に即した中で、不足な課題は何なのか、今ある資源の中で、どう、よりよい地域にしていくことができるのかを考える。さっき言いましたように、そのモデル的なものが欲しい。その際に、私が望むのは、もともと建築をやっているので、住空間の質の向上につなげていく、それにより、地域に魅力を高める。頑張ってやっているところには人が集まってくる形にならざるを得ないと思うんですね。そういう形をどうつくっていくか。あるいは新しいライフスタイルを提示したり考える場面をつくっていく。シェアハウスだったり、シェアカーだったり。
私はシェアカーが一番今のところはやりやすいんじゃないのかと思っています。高齢者が1人で1軒ごと車があっても、もう要らない時代になる中で、シェアカーにして、時々運転サービスも利用しながら、駐車場は別の場所にして、これは難しいかもしれないですけれども、緑化を図るとか、空間の余裕に転用していく形で、何か夢のある郊外住宅地、これからの住宅地の魅力ある姿をイメージして、具体的にそれをどうしていったらいいのかを考えていくことがあってもいいのかなと思っています。
 あと、スマートコミュニティーって言うんですけど、できれば小規模分散型のエネルギーを起点に何かできるか検討するとか、新たな仕掛けを入れていくことも、あってもいいんではないのかなと思います。
 もう1つ、これは私も個人としてのこだわりなんですが、都市農地を地域資源として生かすということです。都市農地基本法が、農が都市に不可欠な要素であることを明示とここに書かせていただいてますが、実は、市街化区域内の農地は、宅地化が図られずに宅地供給をとめている存在、早く宅地化しなさいという存在だったんですけれども、宅地はもうフルになって、人口が減って要らないわけで――大体市街化区域はどの地域も、将来人口想定を結構ふくらましていましたからね、広めにとってるはずですよ――国も認めて、都市における農の位置づけをしたわけですよ。
 だから、いろいろ聞いていると、東京都などは、生産緑地制度が30年を迎えて2022年、もう5年先ですよね。5年先に、一挙に全部買ってくれって言ったって買えやしないわけで、宅地供給をそこでやると値崩れしたりいろいろしちゃうから都市農地は役に立つ。なので、これからも頑張ってやってくださいと言うために制度をつくったのかしらなんて考えたりするんですけど。大都市圏の必要に差し迫られての法律かもしれないが、基本的に地方都市は、この都市農地――農と食と人間が生きていくことの関係を直接的に実感できる場所、空間として、農と、特に子育て環境における農の役割みたいなものをより明確にして、都市における魅力、要素として積極活用していくことも、あってもいいんではないかと思っています。
 ただ、これは抵抗感があるのもわかります。例えば、静岡市の場合には、土地価格が高いから、人口が減っていると思っています、個人的には。雇用がないからとかいろんなことを言うんですけど、静岡市に住みたい人はたくさんいるはずですよ。静岡市に働きながら、藤枝や焼津へ住宅地を求めている人はたくさんいますよね。ということは、静岡市は、土地が高過ぎるから住めないだけなんですよね。もうちょっと供給をふやしなさいとなると、都市農地は、逆に言うと、あっては困るものになるかもしれない。だけど、それを転換して、自分たちの地域を魅力的にするために、都市と農の関係を改めて見直しして、その中で魅力をつくるための要素として積極活用するような物の見方ってできないのかなって思ったりします。
 浜松市の場合には、人口増加のときに、全部自分のところで抱えることができました。郊外部にまだまだ土地利用を図れる場所がたくさんあります。浜松の勉強会のときに、赤電の沿線ですごい便利なところなのに、市街化調整区域なのよねと。開発されても困るし、あのままにしておくのももったいないしとか、いろいろ千々に乱れる思いが。でも、佐鳴台のように魅力的で、人口が減らないだろうなと思うところも、現実的には減ってきているという話の中で、そこをほっといてまでも、便利だから赤電の駅の周辺の土地利用を図るべきかというと、これも難しいというときに、今ある余剰地をどう都市の魅力として活用していくのか。特に浜松の場合、農業の部分も強いですので、これを都市におけるまちづくりにどう生かしていくのか。これもやはり、都市農地と地域の実態に合わせた状況の中で、いかに魅力として使っていくのかを考えていくことが必要じゃないかなと思います。
 ただ、農地にかかわる制度や規制は実に複雑で、これをどう克服するかは、特に民間の力を導入していかなきゃいけないときには、結構大きな課題だろうなとは思ったりします。時々これを言うと、川口さん、規制緩和に賛成だよねって言われるので、言っておきます。農地は守るべきだと、基本、思っている人間です。それは、生きていくうちで、食と、人間が生きていくという食の部分を身近に感じられる空間は、ぜひ確保しておくべきだということが、基本的な考えにあるからです。特に、地方都市の魅力において、それは大事だろうと思っているからです。
 話が全然飛ぶんですけれども、社会資本において重要なものとして、やっぱり行政だけが社会資本を整備したり、あるいは維持管理したりするだけというわけにはいかないだろうなというところもありますので、官民連携による地域維持、管理のウィン・ウィンの関係構築を。
何が言いたいのかというと、実は下の部分です。あとのところでもお話しするんですけれども、これは、ベクター・ペストフさんの福祉のトライアングルで、これを翻訳して、東洋大学の根本先生がこんな図にして、わかりやすくされているんですが、これが政府で、市場で、地域で、これがコミュニティーですね。これがマーケットで、これがステートですね。これが公共と民間の違い。この線が法人とかの公式の部分と地域という非公式な部分の違い。これが非営利、行政と地域は非営利で、福祉はこの分野に入りますね。アソシエーションという組織体。非営利活動団体の重要性を福祉において説かれたものなんですけれども、何が言いたいかというと、地域のここの部分が徐々に弱くなってきているのは、実態としてあります。ここを強くしていかなきゃいけないし、政府はなかなかでてこない。行政がどんどん強くなっていく時代ではないので、市場という形の中で、新しい担い手として、地域や市民、市場、いわゆる企業とかの力は、やはり今後もさらに必要なんですけれども、特に地域空間とかインフラとかにおける情報は、まだまだ縦割りの中で分断化されているし、地域というのは動いていますので、いろんな情報化を一元化するということが、すごく難しいなと思っています。
 そういう中で、ベースとなる地域空間情報の一元化が、やっぱりこれからは重要になってくるだろうと思っています。特にその地域の情報を誰もが見えるような状況をつくる。それと、いろんな課題とかを行政と市民が双方向でやりとりしながら、地域情報の集積と共有化ができるような仕組みみたいなものが必要だろうなと。私が、官民連携、地域も頑張ってもっとやっていきなさいって言ったって、コミュニティーも高齢化して、弱体化していくのは必須の話だし、やっぱり期待するところは企業の力とかで、そういうところはやっぱり今後、さらに強まってくるだろうなと思っています。
ただそのときに、情報がきちっと共有されたり、地域の人たちのいろんな状況が見える化していることによって、解決を検討してもらえる環境が整うんじゃないかと、あるいは環境が少しステップアップしていくんじゃないかなと思っています。
将来的には、地域住民と企業が一体になった組織体によって、地域でエリアマネジメントができるようなところが幾つかできてくることも期待しながら、そこの空間情報を一元化して、双方向でリアルタイムに更新されながら、いろんな情報がそこに集積されていくような仕組みが必要になってくるんじゃないのかなと思って。
 わかりやすく、うまくなかなか話せないんですけれども、ちょっとしたアイデアで、例えば、私も経験したんですけどね、この間、水道漏れしちゃったもんだから、行政に電話したら、もう明らかにおまえ、クレームだろうというような対応で。漏れてるみたいなんですけどって言ったら、その管はおたくの中じゃないですかって。いや全部見ましたって、こっち設計事務所だってわかってないもんで、一般市民で何にも知らない人がクレーム言ってきたぐらいにしか。まず入り口でそういう状況なんですよね。これ言うと、また何分かとっちゃうので言わないですけど、そこでふと気がついたのは、行政も忙しくて対応が大変になってきている。あと、私は仕事でやってるから、どこに悪いところがあるのかある程度想定しながら話ができる。だけど、そういう状況じゃない中で、行政にいろんな情報を提供していくと、確かに、行政の人も困っちゃうだろうなと、民間からそういうのが全部出てくると。
 おまけに地域は高齢化して、監視とか、何かおかしいなというものの感度が鈍くなってくる。これから地域はそうなってくるだろうなと思ったときに、いい関係をつくりながら、なおかつ地域の情報の監視力とかそういうものが脆弱化しているのをフォローアップするような、何か仕組みみたいなものが欲しいなと。交通事故でヒヤリハットというのがあるという話ですが、おかしいなと思うことをすぐ通報するとか、そういうちょっとした地域維持に対する関心を誘発しながら、なおかつその地域のインフラについて視点を持ってもらうような仕組みみたいなものがあって、ベースにある地域情報の空間情報にそれが乗っていくようなことをしていくと、何かできてこないかなって。これを見ながら思ったので、せっかくだから意見として言わせていただきます。
 最後に、唐突ですけれども、リニア新幹線の工事。これは人に頼まれて、きょう、最後に加えました。防災環境は本当に大丈夫なのでしょうか。残土はどこに、どのように運ばれるのでしょうか。何だか心配と。情報も少なく、余り関心が寄せられていないことが気になりますという問いがあって。私、きょう行かなきゃいけないもんで、結構今、プレッシャーなのよという話をしてたら、リニアどうなってるか聞いてきてって言われて。そこで、ここから何が言いたいのかというと、私は、まちづくりとかやってるので、こういうの知ってる、教えてっていうのが来るんですよね、女性の方も多いんですが、男性の方も割とどんどん聞いていただけるような状況になってきて、そういう中で、このリニアの話が出た。僕に入ってくる情報は、長野の反対派の意見しかないので、どう見ても反対としか言えない、でも本当のところはどういうことなの、川口さん、わかるって。私にもわからない。
 だから、地域インフラとかいろんな大きな動きの中で、私がここで申し上げたいのは、県議会という第三者的な、そして信用性のある立場で、地域インフラにかかわる最新のいろんな情報をきちっと伝える。そういうポータルサイト的なものを、議会でなくてもいいんですけれども、第三者的な、信用のおける立ち位置で、反対の立ち位置とか推進の立ち位置ではない、いろんな情報を提供する場面が欲しいなと。なぜかというと、余りに情報はあふれている。それを取捨選択して、自分の中でそしゃくをして考えをまとめるには、今の情報提供は、よく言われるように玉石混淆だし、都合のいいことだけピックアップして食べたくなる状況があるなと。きちっとそれを編集して――編集すると意図が入っちゃうかもしれないんですけれども――そういう情報提供をする環境が必要ではないのかと。リニアの相談を受けて感じましたので。特にこういう大きなものについては、そういった遠い話じゃないんですよね、正直言うとね。結構環境にも影響が、私がいただいた情報だとあるようなんですけれども、そういったものが、やはり必要になってくるのかなと思うところもありましたので、最後にこれを申し上げて、おおむね時間になりましたので、終わります。以上です。

○中澤(通)委員長
 ありがとうございました。
 以上で、川口様からの説明は終わります。
 これより、質疑に入ります。
 委員の方にお願いをいたします。
 質問はまとめてするのではなくて、一問一答方式でお願いをいたします。
 それでは、御質問、御意見がありましたら、御発言ください。お願いいたします。
 どうぞ、自由にいろんな意見、今の説明の中からでもいいし、また派生して意見を求めるのでもいいということで、やらせていただきます。限られた時間ですので、積極的に御発言ください。お願いいたします。どうでしょう。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp