東南アジア駐在員報告
2005年9月 その他 駐在員 : 橋本勝弘
8月下旬の同時期に、シンガポールと日本において類似の統計数字(入国者数と訪日外客数)が発表され、共に月別で過去最高を記録した
まず、シンガポール観光庁(STB)が発表した内容を見ると7月の入国者数は前年同月比9.3%増の87万6,561人で、月別で過去最高を記録した。これまでの最高は2004年7月の80万2,000人となっている。
STBによると、増加要因として、海外での積極的な観光キャンペーンや、国際オリンピック委員会(IOC)総会の開催が効果を上げたという。格安航空の運航本数も前年から3倍以上に増えており、ベトナムやフィリピンを中心に東南アジアからの観光客増加につながったようだ。1〜7月の累計では前年同期比8%増の506万人に達したとみられ、STBが掲げる2年連続の過去最高更新(前年比7%増の890万人)も達成できる公算が大きい。7月は、ベトナム(前年同月比47%増)、インド(同31%増)、フィリピン(同30%増)の3カ国がそれぞれ3割以上伸びる一方で、最多のインドネシアは19万2,000人(同5%増)、2位の中国が9万4,000人(同1%増)、3位のオーストラリアが6万1,000人(同8%増)と伸びは1けたに止まった。上位15ヶ国・地域で唯一、前年割れとなったのが5位の日本で、11%減の5万人だった。
また、ホテルの統計(推定)で見ても、平均客室稼働率が前年同月比4ポイント増の89%と過去最高を記録し、観光客の増加を裏付けている。最近の特徴として、ロシア人旅行者が2004年に前年比48%増の2万人と急増している。訪れる理由として、病院で治療を受ける人が増えており、「1日に2、3人が訪れる」(ラッフルズ病院)とされている。
一方、我が国の国際観光振興機構(JNTO)が発表した内容を見ると、7月の訪日外客数(推計値)は前年同月比10.5%増の67万4,000人で、月別で過去最高を記録した。これまでの最高は2004年8月の61万人となっている。
JNTOによると、増加要因としては、ビジット・ジャパン・キャンペーンにより、訪日旅行PRの効果が着実に現れていることに加え、愛知万博(3月25日開幕)を訪日目的とする外国人観光客の増加と、訪日台湾人客・韓国人客に対する同万博開催期間中の暫定的なノービザ措置(90日以内の短期滞在)、中部国際空港への路線拡充・増便、訪日中国人団体旅行の査証発給対象地域の中国全土への拡大(7月25日以降実施)が、複合的にプラスに作用
したとしている。
いずれにしても、小国シンガポールが大国(GDPの大きさや国土の広さなど)日本を超える外国人観光客を引き付けて いることに驚かされる。今年からビジット・ジャパン・キャンペーンの対象国に、シンガポールが加わった。是非、富士山を中心とした四季折々の美しさを持つ静岡県をPRし、シンガポーリアンの訪日拡大に努めたい。
<参考:シンガポールの入国者数と日本の訪日外客数>
| 7月の状況
(過去最高) | 2004年
実 績 | 今後の目標 |
| 87万6,561人 | 830万人 | 2014年までに1,700万人 |
| 67万4,000人 | 613万人 | 2010年までに1,000万人 |
* 注1・・・シンガポールの人口は2004年6月30日時点の推計値で、シンガポール国民・永住権取得者349万人
と在留外国人75万人の合計
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