中国駐在員報告



2023年10月 経済
駐在員 : 石川 祐介


 9月24日、県内関係者にとって待望の静岡−上海間の航空路線が復便した。上海浦東空港から69名の中国人旅行客や県内企業の現地駐在員らを乗せて、富士山静岡空港に降り立った中国東方航空のMU2019便。この初便に搭乗した中国人旅行客の声を紹介したい。
 上海市から5人組で観光に訪れた孫方さん(女性・30代)は、6日間の日程で静岡市街、土肥、熱海、御殿場アウトレットを訪れたという。天候にも恵まれ駿河湾フェリーからの富士山はすばらしく、海産物や静岡そだち(牛肉)も大変美味しかったと満足そうな様子であった。一方、同じく上海市から参加した旅行者からは、「日本の地方空港では飛行機の到着に合わせてバスを発車させるケースが多いが、当日は静岡駅に向かうバスが来るまで、空港で1時間以上待った」とアクセスの改善に期待する声が寄せられた。
 中国(香港・マカオを除く)は、道路交通に関する国際条約(ジュネーブ条約)に加盟しておらず、中国大陸からの旅行客は日本のレンタカーを利用することができない。また、中国人旅行客は自国で使えない日本の地図・観光アプリのダウンロードを好まず、WeChat(微信)のミニプログラムや、Weibo(微博)など現地で使い慣れたアプリで情報収集する傾向がある。このため、静岡空港を起点として中国FIT(海外個人旅行者)を受け入れるには、ハイヤーなど移動手段の選択肢を増やす、中国で利用されるアプリで情報発信をするなど、現地事情を配慮した対策をとることが望ましい。聞き取りを行った中国人旅行客の本県観光に対する満足度は総じて高く、中国現地でのセールスでも十分な訪問意欲を感じられることから、県内関係者と一体となって中国路線の増便・復便に向けた取組を進めていく。

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