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東南アジア駐在員報告
2013年7月 社会・時事 駐在員 : 長谷川卓
インドネシア・スマトラ島の森林火災や焼畑などが原因で発生するヘイズ(Haze;煙害)が、今年も6月14日以降連続して発生、特に18日〜21日は4日間連続で、ヘイズによる大気汚染指数(PSI)が、健康に影響があるとされる水準100を超え、21日正午には史上最悪の400を記録した。
シンガポール政府が外出を控えるよう注意喚起情報を発令するとともに、小中学校が臨時休校となった。市内の薬局、病院ではマスクを求める人が殺到し、入手が困難な状況となった。ヘイズはマレー半島にも拡大し、マレーシアの首都クアラルンプールにまで影響を及ぼした。
インドネシア政府はこれまで、毎年のヘイズ発生時のシンガポール政府からの対策申入れには、森林火災は内政問題であり、しかるべき対策は講じており他国からの内政干渉は受けないとの立場をとってきた。しかし、24日、インドネシアのユドヨノ大統領はヘイズの問題に初めて言及、「マレーシアとシンガポールの国民に、大変迷惑をかけている」と公式に謝罪し、「ヘイズ発生源の鎮火に努力する」と述べた。
ヘイズの原因となっている森林火災のほとんどは、パーム油の原料となる「アブラヤシ」のプランテーション開発のために発生しているため、スマトラ島で森林開発を続ける企業名が公表され、同社関係製品の不買運動も起こりつつある。石油由来でないため、地球にやさしいと考えられている植物油の生産がヘイズを引き起こしているのはなんとも皮肉な状況だ。
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