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中国駐在員報告2008年2月 社会・時事 便利でお得な上海公共交通カード ところが、定住人口が約1,800万人(流動人口を含む。)の上海市内で、日本語が多少通用する地域は一部の日本人が集中する「古北」、「虹橋」周辺くらいに限定される。 また、英語が通用するのは、外資系ホテルや高級飲食店内などであり、街の中は圧倒的に中国語のみの世界である。この都市に視察に訪れる人々の心配の種は、中国語しか通用しないということに尽きる。空港に降り立った瞬間から、入国審査、市内への移動、ホテルでのチェックイン、訪問先への移動等々、乗り越える関門は数多い。特に、中国語がわからないためのトラブルの中では交通関係のものが多いので、上海の交通事情について紹介する。 上海市内は、中国国内で最も交通機関が発達しており、2010年の万博に向けて、さらにその機能を高めようとしている。特に中国最大のネットワークを持った地下鉄は、2010年には東京の地下鉄の駅数を抜く280駅を予定し、連日、市内各所で地下鉄の拡張工事を行っている。また、市民の足である公共バスは、市内を縦横無尽に走っている。さらにタクシーは、料金が日本よりもはるかに安いため、使用頻度も日本にいる時より、はるかに多くなる。日本で販売されている観光ガイドブックには、地下鉄の路線からバス路線まであるものがあり日本人にとってはとても便利である。 これらの交通機関の利用料金は、現金払いが原則であるが、上海市内の地下鉄、バス、タクシーだけでなくフェリー、さらに上海市外の無錫市、蘇州市、杭州市の一部のタクシーの料金も全て同一カードで支払える「公共交通カード」がある。発売されるや爆発的に上海市内で普及したそうだ。 このカードは、主に地下鉄の各駅で販売されており、外国人である我々でもパスポートなしに購入でき、購入する場合、従来30元であったカード保証金が昨年11月から20元となった。また、カードには各種割引制度が付いており、同じカードを1カ月間で70元以上利用すると1割引きになるなど特典が多い。 静岡からの旅行者等にとってこのカードがなぜ便利なのかというと、一度カードを買うと、地下鉄やバスならば中国語を話さなくとも自由に乗り降りでき、料金の支払いもカードだけで済ませられる。また、小銭がない時や乗車券の券売機の前に長蛇の列ができている時でも、カードを持っていれば、それらを横目で見つつ、颯爽(さっそう)と改札口の中に入り、貴重な時間の節約にもなる。私のお勧めは地下鉄で、バスやタクシーのように交通渋滞がなく時間どおりに目的地に到着できることと、浦東、外灘、南京東路、人民広場、新天地など主な観光地にも地下鉄で直接行けてとても便利である。 なお、市内のタクシーで良心的な営業をしているといわれている大手のタクシー会社名は、次の通り。「大衆」(車体が水色)、「錦江」(白色)、「強生」(金色)、「巴士」(緑色)、「海博」(濃い青色)である。タクシーに乗った時には必ず領収書をもらうこと。この領収書には、タクシーナンバー、運賃、走行距離、乗車時間、降車時間、公共交通カードの残額、クレームを受け付ける機関の電話番号まで記載されるため、トラブル発生時や忘物をしてしまった時のことを考えると、領収書は重要である。参考までに付け加えると、タクシーで公共交通カードを使用する場合、運転手が運賃を入力するため、運転手を信用しない市民は、タクシーではカードを使用しないという。 |
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