東南アジア駐在員報告
2023年10月 社会・時事 駐在員 : 竹田 敏彦
9月1日に実施されたシンガポール大統領選挙で新大統領に元上級相兼社会政策調整相のターマン・シャンムガラトナム氏(66歳)が選出された。
8月22日に告示された選挙は、ターマン氏の他に、政府系投資会社GICの元最高投資責任者ウン・コックソン氏(75歳)、大手保険会社の元CEOタン・キンリアン氏(75歳)が立候補し、三つ巴の選挙戦となった。過去12年間は、無投票で大統領が選ばれたため、今回の選挙は多くの国民が注目するイベントとなったようだ。
今年に入ってから与党・人民行動党内では、汚職疑惑での大臣逮捕や国会議員同士の不適切な関係など不祥事が続いていた。こうした状況下での選挙であったため、選挙前は与党の大物国会議員だったターマン氏に逆風が吹く可能性が指摘されていた。しかし、蓋を開けてみれば、ターマン氏は7割以上の票を獲得し、他の候補者を引き離しての圧勝だった。
新大統領の任期は6年。国家元首としての象徴的な存在で、儀礼的な役割を担う。しかし、政府準備金の引き出しや、政府機関幹部の任命に対する拒否権など、一部政権に対するチェック機能も担っている。
余談だが、ターマン新大統領の配偶者は、日本人の父親と中華系シンガポール人の母親を持つジェーン・ユミコ・イットギ氏。新大統領だけでなく、新しいファーストレディーを通じて、シンガポールと日本とのさらなる関係深化を期待している。
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