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2002年7月 経済駐在員 : 外山 敬三
日本企業が大挙して中国へ進出 今中国は第3次投資ブームを迎え、とりわけ日系企業の進出が話題となることが多いが、6月7日の「国際金融報」に興味深い記事が載っていたので要約を紹介する。 (以下要約) 6月4日、日本有名企業3社が中国での業務拡大を宣言した。富士通は北京に中国で四番目のIC設計センターを設立し、又4箇所の技術者の人数も現在の50人から200人に増やす計画。大手ディスプレーメーカーのNMビジュアルシステムは9月までに、メキシコとマレーシアの工場を閉鎖して、生産を中国に集中させる予定。カメラ大手のミノルタは2003年3月までにカメラ組立作業を完全に中国へシフトし、2004年からはデジタルカメラの生産を開始する。 その前日には、リコー、NEC、松下3社がそれぞれ中国で新しい会社を設立すると発表している。また最新の調査結果によると、83%の日本企業が中国進出を考えている。 これら日本企業の中国進出理由は何であろうか。労働力が安いからと思われがちだが、実際は違う。日本経済産業省の調査によると、半数以上の海外進出経験の有る日本企業が、5年後中国企業の技術水準は日本企業に追いつくと予想している。日本の憂慮すべき経済環境とますます強くなる中国企業が日本企業にかつてないプレッシャーを与えており、状況の変化に文句を言うよりも、日本企業が中国での生産または中国製品の輸入を通じて、中国の価格競争力を利用するなど、中国と共に発展していくことが日本企業のこれからの生きる道ではないだろうか。 中国の研究開発力、設計能力、部品生産力が競争において,優位に立ちつつある。NEC西垣総裁は、50〜60年代の日本が持っていたハングリー精神が今の中国にあると言っている。これは豊かになった日本が忘れた富国の源であろう。西垣氏によると、中国のエアコン製造の発展につれて、各地でエアコンの部品及び材料のメーカーが育ち、部品コストが大幅に削減できる。松下電器のエアコン業務部長によると、部品の現地調達率を上げたおかげで、広州工場のコストが97年より50パーセント下がったが、それでも、中国メーカーの勢いには勝てないと言っている。 一方、中国の大型メーカーは、グローバル戦略を進めており、コストの安さに限らず、ブランド戦略、市場開拓、技術力、管理能力、スピードなどの面においても、日本メーカーに引けを取らなくなってきており、これらの企業の日本進出も近いだろう。 このような状況は日本の製造業がそろそろ舞台から降りることを意味している。世界における日本製品の輸出も中国製品の攻勢の前に、シェアが縮小している。「ポスト工業社会」に備えていない日本は危険領域に入りつつある。
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