韓国駐在員報告



2016年9月 社会・時事
駐在員 : 松村昭宏


グローバル教育企業エデュケーション・ファースト(EF)が2015年発表した「国別英語力ランキング」で、韓国は調査対象70か国中27位だった。2014年より3ランクのダウンで、同じアジア圏のシンガポール(12位)、マレーシア(14位)、インド(20位)よりも順位が低かったが、日本(30位)、中国(47位)よりは若干高かった。

EFは「韓国の1人当たりの英語私教育費(学校教育以外の塾・予備校などにかかる費用)支出は世界で最も高い水準だが、英語力は向上していない」と分析した。事実、韓国人は英語の私教育に大金をつぎ込んでおり、韓国政府の2015年度私教育費調査によると、全国の小中高校生は2015年、英語の私教育に5兆9,779億ウォン(約5,467億円)を支出している。これに未就学児・大学生・就活生が支払った費用まで合わせると、英語の私教育費は10兆ウォン(約9,150億円)を軽く上回ると教育界では推定している。

2016年の朝鮮日報と英国の大学評価機関「クアクアレリ・シモンズ社」によるアジア大学評価で、韓国のトップ10大学の卒業生評判度の平均順位は29.8位で、日本の25.5位よりも低かった。専門家は「韓国人のほとんどが英語をコミュニケーションのためではなく、学校の成績を上げる手段として勉強しているため、点数は上がっても実力は伸びない」としている。また、ソウル市内のある中学校の英語教師は「採点しやすい文法や読解を中心に英語の授業・試験が行われているため、学校で学んだ英語の実用性は著しく低い」と言っており、これは日本の英語教育にも相通ずるところではないかと感じる。

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