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東南アジア駐在員報告
2011年2月 経済 駐在員 : 長谷川 卓
昨年12月、インド経済の中心、ムンバイ市のリサーチ会社「CRISILS社」を訪問、インド経済概況について説明を受けた後、意見交換を行った。
○インド経済は2008年に起きた世界金融危機の影響もあまり受けず、好調を維持している。2010年のGDP成長率は8.2%(対前年比)、最近5年間の平均でも8.0〜8.5%(対前年比)になることが見込まれている。
○歴史的に貯蓄率の高いインドだが、この10年で貯蓄率が40%近くに急上昇している。所得向上が消費と貯蓄を上昇させ、さらに貯蓄が投資に回る好循環を促している。過去に高い経済成長を遂げた日本、韓国、タイ、中国においても、経済発展直前に貯蓄率の上昇が起きていることから、今後インド経済も急速に発展することが期待されている。
○人口の約60%が15〜44歳の労働者層で、今後25年間も豊富な労働力の供給が可能なことから、生産と消費の継続的な拡大が期待できる。
○経済発展に伴うリスクも大きい。短期的にはインフレが問題となり、2010年は8.5%/年の物価上昇が予想される。
○中長期的な課題は、@インフラ整備の遅延、A熟練労働力の不足、B所得格差の拡大、C農業改革遅延による食糧不足、などが挙げられる。
人口12億人の巨大市場は確かに魅力的だが、新規展開を検討する日本企業にとっては、投資手続き、労務管理、流通経路なども課題となり、心身ともにタフでなければ、やっていけない厳しい国と感じた。
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