東南アジア駐在員報告
2019年2月 行政 駐在員 : 芦澤 裕之
シンガポールの人口は2017年6月現在561万人で、日本の都道府県の人口と比べると千葉県と兵庫県の間、多い方から数えて7番目となる。このように小さな国であるが故に、社会問題に対する政府の対応が日本に比べて迅速、かつ柔軟であると感じることが多い。
その一例が、世界中を席巻した自転車シェアサービスへの対応である。シンガポール政府は、2016年7月から政府主導によるシェア事業の準備を進めていたが、民間のシェア事業の拡大を受けて2017年3月に計画を撤回。公共駐輪場などインフラを整備し、民間事業を後押しする方針に転換した。
その後、放置自転車が増加した問題を受けて、まずは2017年7月に事業者に放置自転車の撤去を義務付けた。さらに2018年3月には自転車シェアサービスに免許制を導入するとともに、2019年1月からは、利用終了時に駐車場に掲示されたQRコードを読み取らない利用者に罰金が課される制度を取り入れた。この結果、制度変更に対応できなかった数社が事業から撤退。今では自転車は適正な台数に落ち着き、放置自転車も街中から姿を消しつつある。
こうした「まずはやってみる」「現実に即して制度を変更する」というシンガポール政府の姿勢は、ITの進展により世界中で新しいサービスが生まれては消えていく時代にマッチし、快適な社会の実現に寄与している。
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