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東南アジア駐在員報告2003年1月 行政 ASEAN各国の地方分権への取り組み
元静岡県副知事の二橋正弘自治体国際化協会理事長やカンボジアのサルケン副首相兼内務大臣の出席を得て開催されたこのフォーラムは、ASEAN加盟10か国の地方自治関係者や地元カンボジアの州知事など多数が出席し、各国の現状や課題の報告とそれに関する質疑により理解を深めるという形式で行われた。閉会式にはフンセン首相も駆けつけて総括スピーチを行うなど、受入国カンボジアも最大級にもてなした。 カンボジアでは、2002年2月に1,621の基礎自治体(最小行政単位)で自治体評議会の委員を選ぶ普通選挙が実施され、地方自治の制度が一歩を踏み出した。委員の互選による代表が、地域内の生活環境の向上など基礎的な業務を遂行する制度が始まっている。カンボジアに限らず、地方の首長がまだ完全には公選制に移行していないタイや、分権の途上にあるインドネシア、軍政下のミャンマーなど、ASEAN加盟10か国の地方自治の状況は様々である。 議論を聴いていて痛切な印象が残ったのは、地方分権の目標の一つに貧困の解消をかかげる意見が多かったことである。理念として、地方自治が貧困の解消を担う大きな要素として位置付けられていること自体、東南アジア各国の抱える課題が窺える。同時に、各国とも地方分権を進める上で地域間格差をどう埋めていくかに苦慮している様子も窺えた。この点に関してCLAIRから日本の地方交付税制度がその歴史ともに紹介され、各国に大いに参考になったようである。この意味では、日本が第二次大戦以後進めてきた地方自治の歩みを、これから各国がその実情に応じてたどることになると思われる。経済に限らず様々な分野での日本からの情報提供も、各国の発展につながる支援、協力となりうることを改めて感じた。 |
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