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東南アジア駐在員報告2005年5月 経済 昨今のバイオメディカル産業は、ヒトゲノム(*注1)の解読を踏まえ各国で広がりをみているが、シンガポールでは新たなビジネスチャンスの獲得に向け、国を挙げて戦略的に取り組んでいる。
昨年の主な関連企業のシンガポールへの投資は、スイスのNovartis(ノバルティス社)の生産工場の拡張計画や、米Pfizer(ファイザー社)のアジアで初めてとなる大規模活性成分製造プラントの開設がある。その他、デンマークのヘルスケア企業Ferrosan(フェロザン社)やドイツのバイオ企業MiltenyiBiotech(ミルテニ・バイオテック社)がシンガポールをアジア統括拠点と定めるなど、外資を順調に呼び込んでいる。 研究開発の面では、政府系の5つの研究所(*注2)が昨年発表した研究成果は250件以上で、特許申請は476件、うち36件が認可を受けている。代表的な研究成果としては、分子細胞生物学研究所(IMCB)が乳ガンと関連する2つの遺伝子を発見したことや、シンガポール・ゲノム研究所(GIS)が遺伝子機能解読の新しい方法を開発したことがあげられる。 また、シンガポール政府は外国人研究者の誘致にも積極的で、昨年はドイツのAxel Ullrich博士とイギリスのDavid Lane卿の二人の著名な科学者がシンガポールでの研究に協力することに同意している。 一昨年開設したバイオポリスにはこれまで15社が研究開発拠点を設立し、政府系研究機関などとあわせて、現在2,000名以上の研究者がバイオポリスで研究を行っている。 シンガポール政府は2015年までに同関連産業を250億S$(約1兆6,000億円、医薬品と医療技術の計)産業にするとの新たな目標をあげている。 その他の国の状況として、マレーシアが4月末にバイオテクノロジー政策の根幹を成す「国家バイオ政策」を公表し、今年から15年をかけ、法制度面の整備、研究成果の商業化、世界に通用するバイオ企業の育成(20社以上)をあげている。また、インドも4月末に開催された「バンガロール・バイオ2005(第5回)」において「バイオテックポリシー」の草稿を発表した。バイオテック企業265社のうち127社がバンガロールに集積するなど、今後の成長が注目される。 *注1 ヒトゲノム・・・ゲノム(genome)は遺伝子(gene)と染色体 (chromosome)から合成された造語で生物種ごとの固有な遺伝 情報全体を指す。人間のゲノムがヒトゲノムで、その構成単位の
(IMCB)、バイオ工学・ナノテク研究所(IBN)があり、 いずれも政府主導のバイオ医学研究開発施設「バイオポリス」に 入居している。「バイオポリス」及び「ワンノースプロジェクト」 の詳細は次のホームページ(英語)を参照願います。 http://www.one-north.com/pages/lifeXchange/bio_intro.asp |
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