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東南アジア駐在員報告
2000年12月 政治 駐在員 : 岩城徹雄
インドネシア、シンガポールの間で論争
インドネシアのワヒド大統領は、シンガポールで開催されたASEANプラス3の会議終了後、シンガポールは中国などとの関係だけを重視しているなどと批判した。ワヒド大統領は、ASEANプラス3の会議では、中国雲南省昆明とシンガポールを結ぶ鉄道やメコン川流域開発の計画など、ASEANの西地域の経済開発ばかり取り上げられ、パプアニューギニアや東ティモールといったASEANの東の周辺国のことは取り上げられていないことを不満に感じたようで、中国の朱鎔基首相やシンガポールのリー・クアンユー上級相との会談の中で、インドネシアは、オーストラリア、ニュージーランドとともに東の5か国で連合を組む考えがあることを示した。リー上級相がこの5か国連合の考えに反対したため、ASEANプラス3の会議終了後の11月25日、インドネシア大使館で開かれたインドネシア人との懇談会で、「シンガポールは自国の利益しか考えず、われわれを無視した」、「リー上級相は自分(ワヒド大統領)がまもなく辞任すると語った」、などとシンガポールを批判した。
シンガポールでは、ゴー・チョクトン首相の報道官が「ASEAN全体の統合と発展を提案したものであり、南方の国を無視してはいない」との声明を発表したほか、外務省も「リー上級相が大統領に辞任を促す理由は何もない」との声明を発表するなど、反論している。
インドネシア国内でも、シンガポールからの対インドネシア投資に影響が出るのを恐れてか、大統領の発言は行き過ぎでそれほど深刻なものではない、との受け止め方が多いようである。一方で大統領の発言は国民の本音だとの声もあり、今後の両国関係への影響が懸念される。
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