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韓国駐在員報告2009年2月 経済 雇用創出に向けた緑のニューディール政策 韓国政府は1月、4大河川の整備や環境に配慮した交通網の整備など36の事業に2012年までに50兆492億ウォン(約3兆5,430億円)を投入して96万人の雇用を作り出す「雇用創出に向けた緑のニューディール事業推進案」を策定した。 昨年8月に政府が発表した環境事業の育成による経済成長と雇用創出を目指す「緑色成長」政策と昨年末に発表したインフラ投資の拡大で内需活性化を狙う「韓国版ニューディール政策」を組み合わせ「緑のニューディール政策」としている。 短期的には景気低迷に対応し、長期的には韓国経済をリードする環境事業を育成する目的で、政府は「国民の苦痛を最小限にとどめ、雇用を増やすことを優先するという意思の表れ」と強調している。 「雇用創出のための緑色ニューディール事業推進法案」によれば、事業費は国費(37兆5,411億ウォン)や民間資本(7兆2,357億ウォン)などで賄う予定である。 目玉となるのは、現政権が強力に推進する運河事業と関連する4大河川の整備事業で、首都圏と江原道(カンウォンド)の漢江(ハンガン)、忠清道(チュンチョンド)の錦江(クムガン)、全羅道(チョンラド)の栄山江(ヨンサンガン)、慶尚道(キョンサンド)の洛東江(ナクトンガン)の4大河川の流域を整備し、中小規模のダムの建設や河川の周辺に全長1,297キロメートルの自転車用道路を整備すること等が盛り込まれている。 自然災害を予防するとともに、生態系を復元し、河川や公園などに放置されたゴミの埋め立て処理を行い、文化空間の造成を行い、2012年までに合わせて18兆ウォンを投じ4大河川と河川周辺の整備に28万人の雇用を創出することとしている。 政府はまた、公共交通機関の利用活性化を目的にソウルと釜山を結ぶ高速鉄道など2路線を完全に高速化するとともに、2018年までに全国に総全長3,114キロメートルの自転車の全国道路ネットワークなどを整備する「緑の交通網事業」に11兆ウォンを投入し、16万人の雇用を作り出すとしている。 さらに、バイオマス(生物資源)エネルギー事業を中心に23万人の雇用を創出するほか、エネルギー節約型の住宅「グリーンホーム」の200万戸の供給や2012年までに公共施設の照明の2割を発光ダイオード(LED)照明に替えることとしている。 この他、環境にやさしい車や太陽熱・地熱などの新エネルギーの開発や建物の屋上や壁を緑化する事業や、廃棄物資源を再利用して固形燃料にする施設などの設置を行うとしている。 政府は今後、これらの事業を早期に実施するため事業が妥当かどうかをチェックする調査を必要に応じて免除し、自治体がすぐに着手できるようにするとしており、自治体レベルの関連事業との統合可能性を検討したうえで、2月末には次のステップの推進案をまとめる方針である。 |
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