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ヨーロッパ駐在員報告2003年1月 政治 EU首脳会議、10か国加盟を正式決定
加盟が決まったのは、すでに11月18日のEU外相理事会で認められていたリトアニア、ラトビア、エスト二アのバルト3国、ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキア、スロベニア、マルタ、キプロスの10か国で、各国は2003年4月16日にアテネで加盟条約に調印する。その後、国民投票を実施して加盟を採択し、2004年5月1日に正式加盟する予定になっている。 これにより、EUは、人口約4億5,000万人、GDP総額では約10兆ドルとなり、巨大な経済圏となる。 交渉のまとめ役となったデンマークのラスムセン首相は、会議終了後の記者会見で「欧州は本日、血塗られた歴史の幕を閉じた。今日から新たな章が始まる。」と歴史的な合意の意義を強調した。 もっとも、EU拡大には巨額の費用がかかり、加盟国の首脳は2004年からの3年間の10か国の加盟に関連する必要経費を407億ユーロ(約4兆8,840億円)と見込んでいる。新しい加盟国の中には農業国が多いこと、道路や鉄道などの整備が十分でないことなどから、多額の出費が予想されているのである。 また、トルコの加盟申請については、今回の会議では加盟に向けての具体的な日程を提示しなかったが、トルコ政府はこれについて強い不満を表明している。トルコのEU加盟は、人口6,800万人の脅威(加盟国が欧州議会で持つ議席数は各国の人口を勘案している)、劣悪なGDP(EUの平均22%で最貧国に近いギリシアの4分の1に過ぎない)、冷戦の被害国ではない(今回の中・東欧諸国の加盟はヨーロッパへの帰還という大義名分があった)、フランスやギリシアのトルコへの複雑な感情などが交錯しており、長期的なものになるだろうと予想されている。 |
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