台湾駐在員報告
2016年7月 行政 駐在員 : 宮崎悌三
台湾での知り合いから「日本と台湾の休日、両方休めて良いですね。」と言われることがある(注:原則、台湾の休日に従っている。)。日本の「国民の祝日」に相当する台湾の「国定假(こくていか)日(じつ)」は、労働基準法で定められていて、中華圏で祝う旧暦のお正月である「春節」などもいれると日本の祝日と同様に16日間となる。
しかし、その全てがお休みという訳ではない。具体的には、中華民国開国紀念日(1月1日)の翌日(1月2日)、革命先烈紀念日(3月29日。1911年に起きた辛亥革命に先立つ武装蜂起を記念する日。一般には「青年節」と呼ばれる。革命で殉死した霊は、今や衛兵交代で観光スポットになっている忠烈祠に祀られている。)、孔子誕辰紀念日(9月28日。孔子の誕生日。一般には「教師節」と呼ばれる。)、台湾光復節(10月25日。台湾における日本の統治が終わったことを祝う。)、先総統蒋公誕辰紀念日(10月31日。蒋介石元総統の誕生日)、国父誕辰紀念日(11月12日。国父と呼ばれる孫文の誕生日)、行憲紀念日(12月25日。中華民国憲法が発布された日)は、「国定假日」ではるが、休みではない。
これらは、台湾で週休二日制の導入により、労使間での合意のもとに祝日から削減されたものである。片や政府は、政権交代前後のタイミングで労働時間の短縮を旨とする労働基準法の改正案を提出。政権交代前の時点(4月)で、立法院(台湾の国会)は、2か月以内の修正を政府に求め、差し戻しを行った。しかし、政権交代後の政府は、これを失効扱いとして、新たに完全週休二日制度の導入を主旨とする改正案を検討。さらに、改正案が可決されるまでは、上述の7つの紀念日を、休日として残すことを決めた。
これに反発したのは、全国工業総会など、工商関連の7団体である。労使間で一旦合意した内容を反故にした今回の決定は、受け入れられないとして、政府に対し適切な対応をするよう求めた。
この問題に関しては、工商関連団体、労働組合等から、様々な意見があり、政府は対応に追われているが、このまま調整が難航した場合、今年後半の紀念日がいつもの通りの出勤日になるのか、お休みになるのか、その行方を見守る会社員は多い。
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