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中国駐在員報告2005年11月 社会・時事 中国における観光客誘致(2)
一般に中国でのアンケート調査の結果は信じられていない。その理由は、日本人のように律儀に回答する人が少ないだけでなく、まとめて回答を作成していることが多いからである。また上海で日本への観光誘致を行っている人々に聞くと、「高価な旅行雑誌を購入して情報を入手する人は少なく、やはりタブロイド版のニュースペーパー(週1~2回発行で1~2元)で入手する人が多い」という回答が多い。しかし、先日のアンケート調査によれば「旅行雑誌」から情報を入手しているとの回答率が50%以上である。この理由はアンケートに回答した人がこのような高価な雑誌を購入しているという「回答者の面子」ではないかと思われる。 前回も報告したように、日本の中国旅行者のゴールデンコースは大阪、東京間である。しかし、今回の調査結果ではゴールデンコース以上に北海道の知名度が高かった。今年の2月、日本の旅行業者と航空会社がタイアップして上海から北海道へのツアーを開催した。参加者数は日本から180名前後、中国からは90名前後であった。冬の北海道のスキー旅行が魅力的であったにもかかわらず、1つのツアーで中国から100名以上の観光客を誘致するのはとても難しいことがわかる。 日本への中国人観光客誘致で実際に旅行が成立した例を見ると、次のような条件が整っている。 1. 具体的プラン(スケジュール、価格含む)に基づき中国の旅行業社と協議し、業者に日本への下見を行わせる。(各県が行って いる単なる招待旅行ではない。) 2. 日本側が旅行パンフレット等を作成し、PRを主体的に行う。(旅行代金とは別に経費負担をする。) 3. 日本を訪問した時、特別な催事(自治体や企業主催のウェルカムパーティー)を行う。 4. 旅行費用の一部負担。 また、地域別に見ると広東省からの旅行の成立が一番多い。その理由は広東省の旅行業者が他の地域の業者と違い、香港に近いためか積極的な営業活動を行うこと。その上、中国国内で日本へのビザ発給を行っている他の在中国日本国大使館(北京)、上海領事館より広州領事館の方がビザが取得しやすいことである。 今後、静岡県が行う観光誘致は現地の情報を正しく判断した戦略、時機を逃さず実行できる戦術が必要であると思われる。 |
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