東南アジア駐在員報告
2002年7月 社会・時事
駐在員 : 岩城 徹雄
サッカーワールドカップ、終盤の状況
共同開催の日韓両国ともに決勝トーナメント進出を果たしたこともあり、東南アジア各国とも終盤に大きな盛り上がりを見せたが、中には笑えないニュースもあった。各国の様子をお伝えする。
シンガポールでは、有料ケーブルテレビが放映を独占していたが、準々決勝以降は地上波でも放映が、準決勝以降は政府庁舎前の広場で無料パブリックビューイングが始まり、各試合の勝敗や合計得点数などを当てる公認のサッカーくじを買い求める長蛇の列ができるなど、人々の関心が高まっていた。
政府庁舎前のパブリックビューイングには2万人ともいわれる観客が集まり声援を送った。筆者も準決勝の韓国対ドイツ戦を観戦したが、巨大スクリーンの前の大部分をキックオフ数時間前から韓国サポーターが埋め、その周りを欧米系住民・駐在員や一般のシンガポール人が取り囲み声援を送っていた。さらにその周りにはマレー風焼き鳥やビールを売る屋台、にわか市場も開設されるなどちょっとしたお祭りあるいはピクニックのような雰囲気であり、人々の入れ込み方の差が興味深く、改めて国際都市シンガポールを実感した。アジア対ヨーロッパの構図となった試合は、韓国サポーターはともかく、一般のシンガポール人からの声援は、普段ヨーロッパのサッカーの方がなじみ深いためか、両チームにほぼ同じくらいか韓国に少し多い程度に送られていたように感じた。
マレーシアでは、マハティール首相の退陣表明の場となった最大与党の党大会がW杯開催中だったことから、議長が会議中に注目のブラジル対イングランド戦の途中経過を報告するという一幕もあったようだ。また、同国内ケダ州では、タイ、インドネシア、シンガポール、香港、ブルネイと広範囲にわたりサッカー賭博を行っていたグループが摘発された。今回のW杯サッカー賭博ではアジア最大規模とのこと。
タイでは、テレビ受像機、アンテナ等の需要が大幅に増え、広告業界も好調だった。テレビ放送のスポンサーとなったビールメーカーが6月対前年比10%増、国内シェアを70%にまで伸ばす躍進ぶり。ピザ宅配業者もテレビ観戦派をつかみ売上を伸ばした模様。先月のこの欄でも報告した懸賞応募のためのはがきは、6月に1億5千万枚を売り、はがきの販売元タイ通信公団では職員にボーナスを支給するという。賭博の話題も多く、タイ警察によるとW杯期間中に賭博関連容疑での逮捕者は1,100人を超えた。番狂わせが多かった大会を反映し、賭博に負け借金返済に困る人が犯罪に走ることが多発すると見て、金融機関、コンビニエンスストアなどの警備を強化する方針 。
インドネシアでは、6月17日夜、ブラジル対ベルギー戦が行われている最中、リアウ州の刑務所で看守がテレビで試合を観戦している隙に360人の囚人のうち49人が集団脱走を図る事件が起きた。監視がおろそかになるという予想のもとの計画的犯行との見方もある。
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