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中国駐在員報告2008年11月 経済 5年ぶりに一ケタ台になりそうな中国のGDP成長率 中国国家統計局は、10月20日、本年7〜9月期の国内総生産(GDP)が、実質で前年比9.0%増加したと発表した。 今年に入ってから、1〜3月期が10.6%、4〜6月期が10.1%と、徐々に低下傾向となっており、1〜9月期全体で9.9%となったため、本年全体の成長率は、2003年以来6年連続の2ケタ成長の見込みはほぼなくなった。この成長率の低下は、米国発の金融危機による世界各国経済の低迷のため輸出が減少したこと、内需も大幅に減少したことによる。 一方、9月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で4,6%の上昇で、これまでの上昇率に比較し低下したが、それでも1〜9月期全体で7.0%の上昇となっている。 このような状況の中で、本県企業を含む日系企業の動向を調査したところ、次のような傾向が見えてきた。 まず、日系企業全体では、景気は良くないが、米国の景気の悪化が直接の原因ではなさそうである。 確かに、中国のGDP成長率を押し下げた原因の一つは輸出の減少であるが、北米向けの輸出は、繊維、雑貨類が中心であり、自動車については中国国内向けとなっているため、北米への輸出の低下が、中国経済全体に悪影響を及ぼしているわけではない。 しかし、日系企業を含む外資系企業にとって、昨年から実施された外資系企業への優遇措置の見直し、今年1月から施行された労働契約法と物価の上昇等による人件費の上昇、原油高による原材料費等の値上げ、中国人民元と米国ドルの為替レートなど中国国内特有の種々の要因が、外資系企業の経済活動に支障を与えている。特に今年8月に公布された、改正外貨管理条例は、外貨資金の流入と流出の均衡管理等を目的に実施されているが、外資系企業にとって、本国間等との資金の流れが滞り、企業経営に必要なキャッシュフローに影響を及ぼしている。これは、米国発の金融危機よりも経済的な影響が大きいということであった。 |
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