韓国駐在員報告
2021年3月 経済
駐在員 : 小関 克也
本県と友好締結をしている忠清南道(チュンチョンナムド)の、ある農業共同組合によるイチゴ輸出が好調だ。道によると、道庁所在地である洪城(ホンソン)郡の5つの農家で構成されている洪城アリヒャン営農組合は、昨年4万3千ドルのイチゴを輸出した。これは、同組合の輸出初年の2019年に比べ、輸出額で1.7倍にあたる。輸出先は、国別で見ると、本県産農産物も多く輸出されている香港が一番で1万1千ドル、香港と同じく輸入大国であるシンガポールが9千ドル、インドネシア8千ドル、ベトナム、米国、タイが5千ドルなどとなっている。
ただ、道全体としては、イチゴの輸出額は前年比42.3%も下落し、170万2千ドルとなっており、その中で、洪城アリヒャン営農組合の輸出だけが急増した理由について、忠清南道は、「農家の優秀な技術力をもとに高品種のイチゴ栽培に成功したため」と分析している。同組合では、ビニールハウス30棟で韓国のイチゴの代表的品種である雪香(ソルヒャン)に加え、アリヒャンという品種も年間80〜90トン生産している。アリヒャンは、子供のこぶしより大きな果実が特徴で、糖度は一般のイチゴと同等だが、濃厚な甘みと酸味が楽しめる。何よりも果実が堅くて保存期間が長く、輸出に適している。海外では百貨店など高級市場で販売されており、香港の場合一粒50〜60gの特大型1箱(1.2kg)が約10万ウォン前後(約1万円前後)で即完売するそうである。
忠清南道にはいちご研究所もあり、いちごは主要農産物の一つである。「克日(日本に追いつき、追い越せの意)農産物の代表」などという政治的な言われ方をされることもあり、品種や栽培技術の日本からの流出が議論になることもあるが、今後も静岡県産いちごとフェアな輸出競争が行われることを期待したい。
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