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中国駐在員報告

2004年10月 経済
駐在員 : 小杉 長生


中国の労働市場について

    中国において、内陸部から産業が集積している沿岸部への労働力の移動(出稼ぎ)が毎年増加している。
    最近、沿岸部の遼寧省大連市、浙江省嘉興市の進出県内企業及び江蘇省常州市の開発区を訪問し、雇用コストについて聞き取りしたところ、一般工員の給与は全て月平均700元で差はなく、ただ、寮費及び食費の個人負担に若干の差があるのみである。昇給は、物価上昇及び近隣の工場の価格を参考に決定しており、ここ数年では年0.5%以下の上昇とのことである。雇用形態は1年更新で、契約更新時に勤務成績の悪い者については継続しない。なお、3か所とも熟練工に関しては他社からの引抜きもあり、定着には課題があるとのことで、日本への研修をさせるなど、労働条件を良くして定着率を高めている。
    中国を含め、安い労働力を求めて海外へ進出している製造業者の話によると「中国・ベトナム・メキシコを比較すると、ベトナム・メキシコの労働単価は中国より安いところもあるが、中国より品質が悪いことがある。総合的に見て中国の方がコストがかからない。それに人口の多い中国の方が将来的にも安定した低コストの労働力を確保できる。」とのことであった。
    最近、安い労働力をほぼ無限に供給できると思われていた中国で、経済全体の底上けが進むに従って、労働者の意識に変化が起きている。
    GDPの一番高い広東省では出稼ぎ労働者の減少が現れてきており、広東省東莞市の製造業者によると「昨年までは募集をかければ希望人数の2〜3倍がすぐに集まったのに、ここ2〜3か月は希望人数を集めるのがやっと」との話もある。広東省の出稼ぎ労働者の1/2が月収平均800元に届かず、それに対して1月あたりの生活コストは1人平均500元に達している。また、浙江省においても月収が平均600元程度に対して、生活コストは1人平均300〜600元、特に杭州市では700元に達する。そのため出稼ぎに来る魅力が少なくなっている。
    低コストの出稼ぎ労働者の確保が難しくなった理由はほかにもある。中央政府が農村税改革を打ち出し、農業税の税率を毎年1%以上引き下げ、5年後を目途に廃止することで、今年だけでも農民全体の負担を70億元軽減すると発表し、加えて今年上半期の穀物価格等の上昇により、農村部の現金収入が実質10%以上上昇した。
    低コストの出稼ぎ労働者の減少は、進出企業にとっては労働力の確保のための賃金の引上げや定着のための待遇改善につながり、直接製造コストの上昇に結がっていく。
    中国における労働力確保は20〜30年は大丈夫と思われてきたが、中国の経済が加速度的に変化しており、それにより中国の労働市場も大きく変わる可能性を秘めている。


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