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ヨーロッパ駐在員報告
2000年12月 政治 駐在員 : 森貴志
オランダ下院で世界初の安楽死合法化
オランダ下院で一定の条件を満たせば安楽死が刑法上の犯罪とならないことを明確にした世界初の安楽死合法化法案が今回可決され、同法案は来年、上院で採決される予定である。
また、ベルギーでも同様の法案を検討中とのことである。
オランダでは既に、患者が自ら安楽死を望むなど、一定の条件を満たした場合には、検察庁は医師を刑事訴追しないことが半ば容認されていた状況にあり、1995年から97年の間に医師から報告のあった安楽死は6,500件、このうち検察が訴追したのは8件となっている。しかしながら、刑法そのものの修正を行っていなかったため、訴追を懸念する医師会などが合法化を要求していた。
この法案では、患者が自発的かつ明確に安楽死を要請し、がんなど患者の苦痛が将来にわたって耐え難く、かつ回復の見込みがなく代替の治療方法がない等のすべての条件が満たされれば、安楽死が刑法上の犯罪とならないことが明文化された。また、地方審査委員会を設置し、捜査機関の判断に先立って安楽死のケースを審査、訴追の是非についても判断を下すことを認めることも盛り込まれている。
これに対し、ドイツのドイブラーグメリン法相は、地元ラジオとのインタビューで、オランダ下院が安楽死合法化法案を可決したことについて、「ドイツで(安楽死制度を)導入することは絶対ないだろう」と述べ、また、「安楽死の容認はタブーに触れる恐ろしい冒とく行為だ」との見解を示した。
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