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東南アジア駐在員報告
2002年7月 政治 駐在員 : 岩城 徹雄
マレーシア、来年10月に首脳交代
6月下旬に開催されたマレーシアの与党第1党・統一マレー国民組織(UMNO)の党大会で、総裁であるマハティール首相の辞任表明があり、政界には衝撃が走った。党大会の場で辞任は表明直後に撤回されたが、結局来年10月にクアラルンプールで開催されるイスラム諸国会議機構の首脳会議を最後に政界を引退することとなった。これまでの例で同国首相、副首相にはUMNOの総裁、副総裁がなることとなっており、首相の後任には現副首相のアブドゥラ氏が確定し、副首相の後任には現国防相のナジブ・ラザク氏の名が挙がっている。
マハティール首相は在任20年を超え、日本や韓国の成功に学ぼうとする「ルック・イースト政策」や、マレー人を優遇する「ブミプトラ政策」などで同国を強力に引っ張ってきた。2020年には先進国の仲間入りを果たそうと常に先頭にたって指導してきたが、長期政権と高年齢によりその引退時期が人々の関心を呼んでいたことも事実である。予期せぬ衝撃的な発言と報道されたが、本人は意思を固めていたようである。アブドゥラ副首相も早くから後任最有力候補とされており、マハティール首相の諸政策を継続する模様。
首相の辞任表明に続き、野党第1党の全マレーシア・イスラム党(PAS)のファジル・ノール党首死去というニュースもあり、来年に総選挙が実施されるのではないかとの見方もあるが、アブドゥラ副首相はこの憶測を否定した。1年数か月という長い交代準備期間もあり、大きな混乱はあまりないものと思われ、アメリカの格付け会社もマレーシアの外債格付け引き上げの方針に変わりないことを発表している。
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