台湾駐在員報告
2019年2月 経済
駐在員 : 宮崎 悌三
静岡県から台湾を訪れる方から静岡県の観光を扱った書籍が書店に見当たらないというお話を伺うことが多い。事務所開設当初(2013年)には、確かに御指摘の通り、静岡県をタイトルにした書籍がなかったように思う。
出版社からすると書籍が売れると見込めば企画をするだろうが、当時は、静岡県という場所すらも具体的にイメージすることが難しく、売れる見込みはないと判断されたに違いない。
台湾において静岡県の観光に詳しいブロガーが、静岡県の観光情報を扱った書籍の企画を色々な出版社に持ち込んでも断り続けられたという。企画内容を東京・鎌倉も扱うものに変更して、静岡県の観光情報を扱う初めての書籍の出版が、漸く日の目を見たのは、2014年9月のことだった。
その後、2015年4月には、静岡県の観光情報だけを扱った書籍が出版され、日本の大手旅行会社系出版社が発行するガイドブックの中国語訳の出版(2016年9月)、そして今年度は、2冊の書籍の出版(2018年11月、2019年1月)が続き、今や書店の新刊コーナーで最も目に付くところに並べられている。
これは、静岡県の観光情報が、出版社にも価値のあるものと認知されたものと考えられるが、喜んでばかりもいられない。
日本政府観光局(JNTO)統計によると、2018年一年間に台湾から日本を訪れた旅行者数は約476万人で、2017年比4.2%増となった。伸び率は若干鈍化したものの、中国、韓国に次ぐ第3位につけている。台湾からの訪日者数のほとんどが観光目的で、訪問2回以上のリピーターが8割である。それらリピーターが旅行の計画を立てる際、最も役に立った情報源として挙げているのは、個人のブログ(40.2%)で、以下、JNTOのホームページ(25.9%)、旅行会社のホームページ(25.6%)、旅行専門誌(20.2%)、SNS(19.2%)、テレビ番組(18.2%)が上位を占める。ちなみに、旅行ガイドブックは9.2%で、他の情報源から水をあけられている。上位のうち、旅行専門誌以外はすべてインターネット等から得られる情報である。雑誌などの休刊が最近相次いでいるのは、紙媒体を主とした出版社が厳しい経営環境に置かれていることを裏付けている。
日本人の視点では、その市場に自らの地域に関する書籍があることが浸透度合いを判断する材料なのかもしれない。しかし、台湾市場においては、書籍は情報源のあくまで一つの媒体であることを肝に銘じ取組みを進めていきたい。
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