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中国駐在員報告
2013年1月 経済 駐在員 : 野村 芳一
上海で生活していると、多くの客が訪れ繁盛しているように見える飲食店が、突然、休業することや、別の場所に移転してしまうことがしばしばある。
日本の常識では、飲食店にとって営業場所は重要な要素だ。新規開店の店舗であっても、固定客を掴みさえすれば、同じ場所で営業することが、安定した経営に結びつく可能性が高い。上海もそれは同じはずだが、日本と異なるのは、どうも不動産賃貸における環境のようである。
先日、よく利用している中華料理店が、1月中に営業をやめるという話を聞きショックを受けた。12月29日に家主から新しい賃借料を提示され、その条件では、折り合えないため、やむを得ない決断だという。日本人客も多く訪れる店舗であることから、反日デモが起きた9月以降は、日本人客は激減したものの、赤字経営ではないという。
レストランが繁盛している場合は、契約更新時に、出ていくことはないだろうと、入居店舗の足元を見て、家主が賃料の法外な値上げを要求してくることもあるようだ。
逆に、オフィス賃貸などでは、ビルのランクや評価を高めるため、優良な企業・団体を引き留めるようと、家主側が契約更新時に新しい入居者に比べ既存入居者に有利な条件を示す場合もある。
中国では、不動産賃貸の場合、内装は入居者が行うというのが一般的なので、引っ越しをすると無駄な経費もかかることになる。内装業者にとっては、チャンスが多いことになるが、商店にとって一層厳しい環境であると言えそうだ。
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