中国駐在員報告
2019年2月 社会・時事 駐在員 : 石井 亘
2019年の春運(旧暦の正月に相当する春節期間の帰省、旅行に伴う特別輸送体制)期間は1月21日から3月1日までの40日間である。中国国務院の発表によると今年の全旅客輸送量は延べ29億9千万人で2018年比0.6%増加の見込みである。
交通手段別の輸送量は車両利用が約24億6千万人、鉄道利用が約4億1千万人、航空便利用が約7千3百万人、船舶利用が約4千3百万人となっている。車両利用は前年比0.8%減少、船舶利用は前年とほぼ同水準、鉄道利用が前年比8.3%増、航空便利用が前年比12%増となった。鉄道利用の増加は中央政府が進めている中国全土での鉄道網整備が着実に進んでいることの証左である。
春運期間の旅客数増加に対応すべく、航空便は期間中に約3万5千便を増便するほか、上海浦東空港、広州空港などの主要10空港で深夜早朝便を就航させる。鉄道部門では期間中に約4,800便を増便し、併せて高速鉄道の夜間便を運行する。大量の旅客を効率的に処理するために顔認証などの新技術を利用したサービスも取り入れられた。
本来春節は各地に離れて生活している家族が年1回故郷に集まって祖先に感謝を捧げ、団らんの時間を過ごすものであったが、生活水準の向上に従い同期間中に旅行をする人も増加している。大手旅行社Cトリップの発表では約4億人が春節中の旅行を計画しており、このうちの700万人は海外への旅行者である。また、仕事のために都市部で生活している子供の家庭を地方で暮らす両親が訪問する「逆春節」も近年増加している。
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