台湾駐在員報告
2017年7月 経済 駐在員 : 内藤晴仁
台湾行政院が発表した2017年第1四半期のGDP成長率は2.6%であり、四期連続のプラス成長となった。台湾証券取引所に上場する株価指数も10,000台湾元(日本円:約3万7千円)を突破、2016年12月から2017年5月までの台湾元の対米ドル騰落率は+5.96%と、対米ドルに対する台湾元高も急速に進んでいる。
台湾株高及び台湾元高は、台湾の総賃金伸び率や失業率に良い影響を与えている。2017年第1四半期の総賃金伸び率は+3.5%(前年同期比)、2017年5月の失業率は3.67%(2016年間平均失業率は3.92%)と、経済指標を見る限り、台湾は大変な好景気を迎えているかのようである。
しかしながら、一方では、株価上昇や台湾元高が主に外国人投資家の巨額投資によるもので、賃金上昇や失業率低下も「一例一休(2017年2月の駐在員トピックスで報告)」の影響によるもので、いずれも一時的な現象に過ぎないとの分析や、経済指標のみが好景気で実体経済への恩恵が少ない点を指摘する識者もいる。
蔡英文政権の経済政策への批判も増えており、政権への支持率は政権発足時の69.9%(2016年5月)から33.1%(2017年5月。民間シンクタンク調査)まで急降下している。この評価を見る限り、台湾人の中で経済指標が示す好景気を実感している方は、そう多くないようである。
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