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中国駐在員報告
2011年2月 経済 駐在員 : 野村芳一
上海市と重慶市は1月28日、中国で初めて、日本の固定資産税に相当する「房産税(不動産税)」を試験的に導入した。不動産バブル対策の一環で、個人で高級住宅や複数の物件を所有する富裕層から徴収し、所得の再分配につなげる狙いもあるという。他の地方政府も両市の実施状況をにらみながら追随する可能性がある。
中国では土地の私有を認めず、都市の土地は国有、農村の土地は農民による集団所有と定められている。ただし、都市では土地使用権という形で取引されている。土地が使用できる期間は用途によって異なり、マンションなどの使用期間は70年になる。
上海の不動産税は、各世帯にとって2軒目以上となる住宅を新規購入した市居住者と、市内の住宅を新規購入した非居住者が対象で市場価格を基に算出する物件評価額の7割に対し、0.6%を課税する。
上海市地方税務局が発表した不動産税の細則によると1月28日以降の購入物件はすべて、所有権登記前に管轄する税務機関への申告と関連書類の提出を求め、審査の上、同税の減免を認定する。課税対象者は、毎年12月末までに自ら税務機関に出向いて支払う。滞納者からは、1日当たり0.05%の罰金を徴収するという。
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