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2007年3月 経済駐在員 : 獅倉 浩
2007年1月にWTO加盟を果たしたベトナムには、特に今まで規制が厳しかった外国の流通業界、金融業界、保険業界が熱い まなざしを送っている。 「2006年12月と2007年1月では、日本でいえば明治維新前後のように大きく変化しましたよ。これからは、事業展開上、制度 の不備や、法律の不備によって差別的な扱いをされた場合にはWTOに提訴すれば良いからです。欧米系の企業は、WTO加盟直後 から、小売事業を始め様々な事業認可を申請しています。特にアメリカは、2001年にベトナムと通商協定を締結しましたが、 その時点で既にWTO加盟に向けての様々な注文を協定の中に入れていました。 ベトナム政府も、今まで中央に集中させていた事業認可の権限を2006年12月には地方に移譲するなどの前向きな対応をして います。もちろん、ベトナム政府の全ての官僚の対応が変わったということではないです。明治維新直後、まだちょんまげを 結っている人とザンバラ髪の人が混在していたのと同じ状態です。しかし、時間と共にそのような人たちは少数派になってい くでしょう。」ハノイの対越投資アドバイザーの弁である。 2005年の5月に上海をはじめとする中国各地で起こった反日行動以降、「中国プラスワン」として、製造業の分野において日 本企業のベトナム進出が進んでいるが、2007年1月以降は流通業界の企業から前述のアドバイザーへの問い合わせが急増して、 毎日対応に追われているということだ。 日越間においては、日越共同イニシアチブ(注1)に続き、2007年からEPA(注2)交渉が正式に開始される。又、2007年の ベトナムへのODA全約45億ドル中、日本は約9億ドルと最大の拠出国である。このように、日本とベトナムは深い関係を構築し ており、互いを「戦略的パートナー」と位置付けている。 (注1)ベトナムの競争力を強化するため、優先的に取り組むべき具体的な方策(44項目)について日越双方がとるべき具体 的な行動計画を定めたもので、2003年12月に両国首脳に報告書が提出された。行動計画は、ベトナムにおける投資阻 害要因を明確化・分析した上で、その改善のために日越双方がとるべき具体的行動計画(目標期限含む)を取りまと めたものとなっており、税制改正、人材育成及びインフラ整備等、投資環境の改善をより加速させるものである。 (注2)経済連携協定。自由貿易協定の要素を含みつつ、締約国間で経済 取引の円滑化、経済制度の調和、協力の促進等市場制度や経済活 動の一体化のための取り組みも含む対象分野の幅広い協定である。
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