中国駐在員報告
2019年12月 経済 駐在員 : 石井 亘
2009年にアリババが始めた11月11日に開催されるインターネット通販イベント「ダブル11」は、今年で11年目。取引額は、今年も昨年を上回り、年々増加の一途を辿っている。
アリババの取引額は、約2,684人民元(約4兆3千億円)で前年比約25%の増加。その他の京東(JD)、蘇寧といった大手のインターネット通販会社の取引額も昨年を大きく上回った。
今年のダブル11では2つの新たな消費傾向が顕著となった。1つは地方都市住民の購買力の増加である。今年のダブル11で初めてアリババで買物をした利用者のうちの70%は地方都市住民であった。また、京東の地方都市住民の利用者数も前年比60%増となった。地方都市生活者の可処分所得が増加傾向である中、地方都市生活者は大都市生活者と同様に高品質の商品をダブル11で購入するようになってきたことを表している。
もう1つは、旅行関連商品の取引額、購入者数の増加である。いずれも前年を大きく上回り、アリババグループの大手OTA(オンライン・トラベル・エージェント)であるFliggy (飛猪)では一日で約5万人が海外旅行を予約し、90万件以上の査証申請サービスが購入された他、ホテル予約は延べ100万泊が購入された。これまで旅行関連商品といえば航空券購入が中心であったが、ここ数年、高級ホテルの宿泊予約、人気テーマパークの入場券や旅行先での体験活動参加申込予約等が売れ筋商品となっており、消費行動の多様化が見られる。
なお、訪日中国人旅行者に人気の日本の化粧品、生活用品等が外国ブランド売上げの上位を占めたことも注目される。
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