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中国駐在員報告
2012年1月 社会・時事 駐在員 : 野村芳一
長江(下流部分が揚子江と呼ばれる)の東部沿海部を跨ぐ「黄金ルート」の一部で、上海市崇明(すうめい)と江蘇省崇東(すうとう)を結ぶ崇啓(すうけい)大橋が24日、正式に開通し、江蘇省啓東が完全に上海の1時間都市圏に入った。
上海市側の崇明島は、上海市北部の宝山区のさらに北側にある長江の中洲に位置しており、島全体が崇明県とされ、上海市の一部として扱われている。崇明島は、世界最大の沖積島であり、島として、台湾、海南島に続く国内第3位の広さを誇っている。2009年に上海長江大橋と上海長江トンネルが開通し、上海市内と陸続きになっている。
長江の淡水と東シナ海の塩水が混じる「汽水」エリアであることから、陽澄湖などで養殖される上海蟹の稚蟹の大部分がこの崇明島で育てられる。
また、長江が運んできた肥沃な大地と自然環境が一躍注目を浴び、2005年に『崇明三島(すうめいさんとう)総合開発計画』が策定され、島の自然を守りながらの開発が進められている。島の東部の湿地帯は世界有数の渡り鳥の観測点としても名高く、世界有数の野鳥飛来地として自然保護区に指定されている。
今回の崇啓大橋の開通で完成した崇啓ルートは、全長約52キロメートル、省市境界において江蘇区間と上海区間に分けられ、江蘇と上海がそれぞれ独自に管理運営する。
崇啓ルートの開通で、上海市浦東から江蘇省啓東までの所要時間が自動車でこれまでの半分、約45分間に短縮され、長江に隔たれて交通コストの高さ、長い輸送ルートという長年の問題が完全に解消されたことから、上海市と啓東市の経済交流が大きくなるものと予想され、上海市の経済圏も拡大すると思われる。
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