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東南アジア駐在員報告
1999年12月 政治 駐在員 : 篠原 清志
インドネシア、精力的なワヒド大統領
ワヒド大統領は、就任後最初の訪問国として訪れた(11月6日)シンガポールでもワヒド旋風を巻き起こした。僅か6時間の滞在だったが、ゴー首相、リー上級相、ナタン大統領との会談をはじめ、ビジネスマン500人を前にしての講演会など精力的に日程をこなした。
会談では、アジアを代表する国家グループとして、アジアの大国である日本、中国、インド、インドネシアに、それぞれの国と関係の深いシンガポールを加えた5カ国でグループを形成、それをバックに欧米や中東とも関係を深める構想を明らかにした。この構想の実現性は非常に低いが、ライバル関係にある中国とインドを同じグループに引き込み、アジアの安定を図る点など、並々ならぬ政治的センスを窺わせた。
また、講演会では、原稿無しで(同大統領は、ほとんど視力がないといわれる)、質疑も含めて全て英語で行った。講演会の初めには、会場を埋めた華人ビジネスマンに「ニーハオ」と挨拶して、拍手喝采を浴び聴衆を掴むなど、好感度は高まり、インドネシアへの投資を求める最高のセールスマンとなっている。また、その後も、日本や中東など過密スケジュールを意に介さず、世界中を精力的に飛び回っている。
国内的には、アチェの独立問題、アンポン島での宗教対立など不安定な状況が続き、同大統領も歩くとき両脇に介助者が付くなど健康問題も懸念されていたが、その発言や行動によって、同大統領に対する諸外国や経済再建の鍵を握る華人の評価は高まっている。
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