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中国駐在員報告

2013年2月 行政
駐在員 : 井口 真彦


     中国のメディアでは、中国各地の大気汚染に関する報道が、1月上旬から連日のようになされている。北京など33の都市で、6段階の大気汚染指数で最悪の「深刻な汚染」を記録したと報道されたのが12日。呼吸器系疾患の患者が急増し、高速道路の通行止めや航空便の欠航が相次ぐなど、市民生活にも大きな影響が出ている、とされた。
     大気汚染の主な原因は、本報告でも繰り返しご紹介している、車の排ガスや工場の煙などから出る直径2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質「PM2.5」。北京では12日、この物質の観測値の日平均値が1立方メートル当たり75マイクログラム(以下同じ:日本の基準は35)以下としている基準を市内全域で超え、半数の観測点で基準の10倍近くまで上昇。900を突破したところもあった。
     14日には、北京の日本大使館が、在留邦人に注意を呼びかけた。日本の新聞やネットのニュースでも、霧が立ち込める北京市の様子が報道されていたが、16日には、上海市も「重度汚染」警告を公表。17日には上海総領事館が、注意喚起の文書を公表した。これによると、1月16日現在の一部観測ステーションにおけるPM2.5の観測値は242に達したとのこと。
     昨年12月の静岡県・浙江省友好提携30周年記念事業に合わせ訪日した県環境局の訪問団は、PM2.5を観測している「浙江省環境監測センター」等を視察した。当日はあいにく雨模様であったが、13時現在の近隣の監視局の観測値は93。平成23年度に、静岡県内で観測されたPM2.5の1時間最大値は95で、90を超える1時間値は僅かに2回カウントされたのみ。通常、静岡の雨天時での数値は一桁程度とのことなので、中国の大気汚染の深刻さがわかる。
     観測値を発表している上海市環境モニタリングセンターは、この観測値が示す大気汚染の健康に与える影響について、@心臓や肺に疾患のある場合は、大気汚染の影響を受けが著しく症状がひどくなり、運動耐性が低下する、A健常者も、広く症状が現れる、とし、対策としては、@児童や高齢者及び肺や心臓に疾患のある方は室内に留まり、屋外での運動を中止する、A一般健常者は、屋外での運動をできるだけ少なくする、としている。
     但し、日本では、屋外での生活を自粛したり、工場の活動を規制したりする緊急時の措置は、PM2.5に関しては規定が無く、浮遊粒子状物質(SPM:直径10マイクロメートル以下の粒子状物質で、PM2.5が含まれる)の1時間値が2,000を超え2時間継続した時とのことである。
     とは言え、26日の朝、出張先の杭州から高速鉄道で上海まで移動する車窓から見る景色は、晴れているにも関わらずどこまでも霞んでおり、太陽はその霞の中に夕陽のように浮かんでいたのには、少し気が重くなった。上海市の日本人が多く住む地域では、使い捨て不織布マスクをする日本人の姿が多く見られる。ちなみに、中国人の多くはカラフルな布のマスクを着用するが、ここのところマスク着用者が増えていると報道されているとは言え、その比率は日本人に比べて格段に低いように思える。
     中国紙・中国青年報がこのほどウェブ上で行った民意調査(サンプル:31省・自治区・直轄市の6,913人)によると、85.4%が政府の迅速な対応を期待すると答え、91.4%が大気汚染により生活に支障が出たと回答した。このうち50.4%はせきや喉の痛み、息詰まりを感じ、47.3%は窓を閉め切り、38.9%は外出を控えたと答えた。
     このように、政府に都合の悪い大気汚染の状況、政府に対応を要求する民意などをこのように公表すること自体は、以前の中国ではあまり見られなかったことで、観察者としては、変わりつつある中国を目の当たりにして感慨深いものがあるが、生活者としてはとにかく一刻も早く状況を改善する手を打ってほしいと願うばかりである。


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